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総価契約単価合意方式実施要領の解説
1.はじめに
総価契約単価合意方式(以下「本方式」)については、「総価契約単価合意方式実施要領(以下「実施要領」)」及び「総価契約単価合意方式実施要領の解説」(以下「実施要領の解説」)に基づき行うものとしている。
本解説は、実施要領の内容を発注者、受注者ともに的確に理解するとともに、単価協議・合意の具体的な手順等を示すことにより、円滑な実施等に資することを目的とするものである。
なお、契約変更においては、「契約変更の取扱いについて」(平成19年5月24日付け国用計第19号)に留意するものとする。
2.対象工事の範囲【実施要領2】
2.対象工事の範囲
工事種別のうち、250万円を超える土木、鉄骨鉄けた、軌道工事において実施するものとする。実施方式としては、単価を包括的に合意する方式(以下「単価包括合意方式」という。)で行う。
3.入札公告等による入札参加者への周知【実施要領3】
3.入札公告等による入札参加者への周知
以下に該当するものに、
内の文を記載することにより、本方式の対象工事であることを 入
札参加希望者に周知するものとする。
一般競争入札の場合 : 入札公告及び入札説明書指名競争入札の場合 : 指名通知
随意契約の場合 : 見積依頼書
公告に、実施要領の記載例を参考にして「総価契約単価合意方式対象工事」であることを記載する。
4.契約書の記載【実施要領4】
4.契約書の記載
①請負金額内訳書及び単価合意書
(記載例)
工事請負契約書(請負金額内訳書、工程表及び単価合意書)第3条 (略)
2 (略)
3 発注者及び受注者は、内訳書の提出後、xxxxに、その内容について協議し、単価合意書を締結するものとする。
4 単価合意書は、この契約書の他の条項において定める場合を除き、発注者と受注者を拘束するものではない。
5 受注者は、請負代金額の変更があった場合には、内訳書を変更し、○日以内に設計図書に基づいて、発注者に提出しなければならない。
6 第3項の規定は、請負代金額の変更後の単価合意の場合に準用する。その場合において、協議開始の日から○日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
[注1]○の部分には、原則として、「14」と記入する。
契約書第3条第4項における「この契約書の他の条項において定める場合」とは、第25
条第1項、第26条第3項、第30条第5項、第40条第6項、第41条第3項である。
また、「発注者及び受注者を拘束するものではない」とは、単価合意書に記載された数量、単価 および合意条件のとおりに施工し、又は施工を強制するものではないとの意味であり、契約書の第1条第3項の「仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段については、契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める。」という、いわゆる自主施工の原則を変更するものではない。
②請負代金額の変更方法
本方式の実施にあたっては、請負代金額の変更を単価合意書の記載事項を基礎として定めることが可能なように、工事請負契約書第25条に以下のとおり必要な事項を記入するものとする。
(記載例)
工事請負契約書(請負代金額の変更方法等)
第25条 請負代金額の変更については、次に掲げる場合を除き、第3条第3項(同条第5項において準用する場合を含む。)の規定により作成した単価合意書の記載事項を基礎として発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から○日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
(1) 数量に著しい変更が生じた場合。
(2) 単価合意書の作成の前提となっている施工条件と実際の施工条件が異なる場合。
(3) 単価合意書に記載されていない工種が生じた場合。
(4) 前各号に掲げる場合のほか、単価合意書の記載内容を基礎とした協議が不適当である場合。
2 前項各号に掲げる場合における請負代金額の変更については、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から○日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
[注]○の部分には、原則として、「14」と記入する。
3・4 (略)
請負代金額の変更方法については、原則として単価合意書に記載の合意単価等を基礎として請負代金額を変更することとするが、以下のような場合には、単価合意書に記載の合意単価等を用いることが不適当なことがあるので、変更時の価格を基礎として発注者と受注者とが協議して定めることとしている。
① 数量に著しい変更が生じた場合で、特別な理由がないとき
工事材料等の購入量が大幅に増え材料単価が安くなる場合や、大型の機械により施工することで施工単価が安くなる場合など、著しい数量の増減があった場合。
② 単価合意書の作成の前提となっている施工条件と実際の施工条件が異なる場合で、特別な理由がないとき
設計図書と現場条件に相違があった場合や、発注者から工事目的物の構造や材料規格について変更を指示した場合など、施工条件が異なる場合。
③ 単価合意書に記載されていない工種が生じた場合で、特別な理由がないとき
単価合意書に添付の工事等数量総括表に記載のない項目が生じた場合。
④ 単価合意書の記載内容を基礎とした協議が不適当である場合で、特別な理由がないとき
受注者の任意性が強いものとして当初一式金額で合意した作業土工について、受注者の責に帰すべきでない作業土工の金額変更が生ずる場合など、上記①から③に該当しないが単価合意書に記載の合意単価等を用いることが不適当な場合。
「特別な理由」とは、受注者の責に帰すべきものとして変更の対象にならない場合や、大
幅な数量増減や施工条件変更にもかかわらず単価変動が無い場合などが該当する。
なお、「特別な理由がないとき」に変更時の価格を基礎とするのであるから、「特別な理由があるとき」は「その他の場合」として単価合意書に記載の合意単価等を基礎とすることとなる。
また、発注者と受注者との協議とは、これらを踏まえて、請負代金額の変更部分の総額を協議するということである。
③賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更
本方式の実施にあたっては、賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の算定を単価合意書の記載事項に基づいて行うことが可能なように、工事請負契約書第26条に以下のとおり必要な事項を記入するものとする。
(記載例)
工事請負契約書(賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更)第26条 (略)
2 (略)
3 変動前残工事代金額及び変動後残工事代金額は、請求のあった日を基準とし、単価合意書の記載事項及び物価指数等に基づき発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から○日以内に協議が整わない場合にあっては、発注者が定め、受注者に通知する。
[注]○の部分には、原則として、「14」と記入する。
4~8 (略)
賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更を行った場合には、工事請負契約書第
3条第6項の規定に基づき単価合意を実施するものとする。その場合、一度合意した単価合意書に記載がある単価であっても、改めて合意し直すものとする。但し、以後、契約変更かつ出来形払いが無いことが明らかな場合は、単価協議は不要とする 。
5.単価合意の方法【実施要領5】
5.単価合意の方法
工事請負契約書締結直後の単価合意は、工事請負契約書第3条第1項及び第3項の規定に基づき実施する〔4.(1)①の契約書記載例参照〕ほか、以下の手続により実施するものとする。
(1) 単価合意は、工事等数量総括表に記載の項目(※1)について、当初契約の予定価格(変更契約の場合は機構積算額(※2))に対する請負代金額の比率に基づき行うものとする。
(2) 別記様式1-1及び様式1-2を参考とした「単価合意書」を締結し、工事等数量総括表を添付する。
(3) 単価合意書の締結後、発注者は当該合意書を、閲覧に供する方法により速やかに公表するものとする。なお公表の方法については、「工事等における入札及び契約の過程並びに契約の内容等に係る情報の公表について」(平成15年10月1日付け鉄業契第73号・鉄計積第38号。以下「情報公開通達」という。)における予定価格の積算内訳の取扱に準じることとする。また、情報公開通達に基づき契約の内容を公表する際には、当該工事が総価契約単価合意方式によったものである旨を明らかにすること。
(4) 請負代金額の変更後の単価合意は、工事請負契約書第3条第6項の規定により、同条第3項を準用して実施するものとする。
【用語解説】
※1 項目 ・・・・・・・・・ 原則として、工事等数量総括表に記載の細別(レベル4)を指す。
※2 変更契約の場合は機構積算額 ・・・・・・・・・
第1回変更契約後は、当初契約と第1回変更契約の機構積算額の計。第2回変更契約後は、当初契約と第1回・2回変更契約の機構積算額 の計となる。(以降の複数回変更時も同様)
また、機構積算額には、積算要領に基づいた機構積算額(以下「一次機構積算額」)と、単価合意書等に基づいた機構積算額(以下「二次機構積算額」)が存在するが、ここでは一次機構積算額を指す。
単価合意は下記の手順により行う。〔詳細は(解説:別紙1)参照〕
<1> 請負金額内訳書の様式送付
(契約締結後すみやかに)
発注者
<2> 請負金額内訳書の提出
(契約締結後14日以内)
<3> 単価協議書の送付
<4> 単価合意書締結
(協議開始日から14日以内の成立)
受注者
契約担当課
発注(積算)担当課
協議及び単価合意書の締結
<3> 単価協議書の送付
① 契約担当課は、「単価協議書」(解説:別紙2)を作成し、受注者に送付する。
② 発注(積算)担当課は「単価合意書」(実施要領:別記様式1-1及び工事等数量総括表)を作成し、電子媒体で契約担当課に提出する。
③ 当初単価合意は、当初の工事等数量総括表に記載の項目について、一次機構積算単価に当初契約の一次機構積算額(予定価格)に対する当初請負代金額の比率を乗じたものを合意単価とみなす。
④ 第(●)回変更単価合意は、以前合意した項目を含めた第(●)回変更後の工事等数量総括表に記載の項目全てについて、改めて、一次機構積算単価に、第(●)回変更の一次機構積算額(変更増減額ではなく総額)に対する第(●)回変更後の請負代金額総額の比率を乗じたものを合意単価とみなす。
<4> 単価合意書締結
① 契約担当課は、「単価合意書」(実施要領:別記様式1-1又は様式1-2及び工事等数量総括表)を、受注者に送付する。受注者は、押印したもの2通を契約担当課に提出、契約担当課は押印後、1通を受注者に送付する。なお、合意は、工事等数量総括表を基本とし、契約変更の考え方について合意するものとする。
6.請負代金額の変更 【実施要領6】
6. 請負代金額の変更
請負代金額の変更にあたっては、工事請負契約書第25条の規定に従い、単価合意書に記載した事項に基づき請負代金額の変更部分の総額を協議するものとする〔4.(1)②の契約書記載例参照〕。なお、その際の予定価格の積算にあたっては、以下の(1)及び(2)に留意すること。
(1) 直接工事費及び共通仮設費(積み上げ分)については、単価合意書の別紙に記載の項目は 単価合意書に基づき積算する。なお、単価合意書の別紙に記載のない項目の取扱いについては、以下のとおりとする。
・ 「数量の増減が著しく機構積算単価が変動する場合を含む条件変更の場合」「施工条件が異なる場合」は、機構積算額に対する請負代金額の比率(以下「落札率」という)に変更後の機構積算単価を乗じて積算する。
・ 既存の工種(レベル2)に種別(レベル3)、細別(レベル4)が追加された場合は、落札率に機構積算単価を乗じて積算する。
・ 工種(レベル2)が新規に追加された場合の直接工事費及び新規に細別(レベル4)が追加された場合の共通仮設費(積上げ分)については、機構積算単価にて積算する。
(2) 共通仮設費(率分)、現場管理費、一般管理費等については、(1)により算出した対象額に、変更前の対象額に対する合意金額(合意金額は変更前の機構積算額に落札率を乗じた金額で算出)の比率及び積算標準の率式を利用した低減割合を乗じて算出する。
なお、対象額とは、共通仮設費(率分)にあっては直接工事費、現場管理費にあっては純工事費、一般管理費等にあっては工事原価をいう。
(1)直接工事費・共通仮設費(積上げ分)の変更額の算定
工事請負契約書第25条においては請負代金変更の際、合意単価以外を用いる4つの場合と合意単価を用いる場合を定めている。これらの場合に用いる積算単価はそれぞれ下記のとおりとする。なお、単価合意は変更協議等を円滑に行うためのものであり、契約書19条の考え方について従来と変わるものではない。
【単価合意書別紙(工事等数量総括表)に記載のない項目が追加された場合】
① 数量に著しい変更が生じた場合で特別な理由がないとき
変更後の条件により算出した一次機構積算単価に本契約の一次機構積算額に対する請負額の比率(「落札率」という。以下本項同様)を乗じる。
(例)「掘削(土砂)」の内容が、「普通土30,000m3未満」⇒「30,000m3以上」となるなど機構積算単価が変更
② 単価合意書の作成の前提となっている施工条件と実際の施工条件が異なる場合で特別な理由がないとき
・ 既存の細別(レベル4)の積算条件が変更された場合は、変更後の条件により算出した一次機構積算単価に落札率を乗じる。
(例)ダンプトラック運搬において、指定場所の変更により、運搬距離が変更
・ 既存の工種(レベル2)に、新たに種別(レベル3)または細別(レベル4)が追加された場合は、一次機構積算単価に落札率を乗じる。
(例)「掘削(土砂)」が「掘削(軟岩)」に変更
③ 単価合意書に記載されていない工種が生じた場合で特別な理由がないとき
・ 新規に工種(レベル2)が追加された場合の直接工事費、細別(レベル4)が新規に追加された場合の共通仮設費(積み上げ分)、及び業務区分が新規に追加された場合の業務費については、合意した工事と施工体制が異なると判断し、積算標準・要領により算出した機構積算単価とする。なお、当初設計において、協議により計上としたものも同じ取扱いとする。
ここで新規工種(レベル2)、及び新規細別(レベル4)が追加された場合とは、工事工種体系の工種の用語上で同一の用語となる場合を除く。
なお、実施要領単価合意書に記載の「変更時の価格を基礎とする」とは、新規工種(レベル2)、及び新規細別(レベル4)は機構積算単価を使用した上で、請
負代金額の変更部分の総額を協議するということである。
④ 単価合意書に記載内容を基礎とした協議が不適当な場合で特別な理由がないとき上記①または②に該当しないが、単価合意書に記載の項目によることが不適当な
場合は、落札率に変更後の条件により算出した一次機構積算単価を乗じる。
(例)「作業土工」(一式)において、目的物の変更に伴い数量が増減変更
【単価合意書別紙(工事等数量総括表)に記載の項目を用いる場合】
上記①~④以外の場合は、落札率に一次機構積算単価を乗じる。
(例)①~④に該当しない数量増減変更
(2)共通仮設費(率分)、現場管理費、一般管理費等の変更額の算定
間接労務費、工場管理費、共通仮設費(率分)、共通仮設費(イメージアップ経費)、現場管理費、技術者間接費、機器管理費、据付間接費、設計技術費、一般管理費等などの率計算により算出する項目については、(1)の単価を基礎として算出した積算基準書で定める対象額〔B〕に、変更前の共通仮設費(率分)の対象となる項目の一次機構積算合計金額に対する変更前の共通仮設費(率分)の一次機構積算金額の比率〔C〕、積算標準の率式を利用した変更前後低減割合を乗じた率〔D〕を乗じて算出する。
(例)共通仮設費(率分)=B×C×D
B= 変更積算の共通仮設費(率分)の対象となる項目の二次機構積算合計金額
〔変更前の共通仮設費(率分)の一次機構積算金額〕× 落札率(C1)
C=
変更前の共通仮設費(率分)の対象となる項目の一次機構積算合計金額 × 落札率(C2)
Bを積算基準書の率式に代入した値(D1)
D=
C2を積算基準書の率式に代入した値(D2)
7.請負代金額の変更後の単価合意
工事請負契約書第3条第5項及び第6項の規定に基づき請負代金額の変更後の単価合意を実施するものとする。〔(実施要領)4.(1)①の契約書記載例参照〕
但し、以後、契約変更かつ出来形払いが無いことが明らかな場合は、単価協議は不要とする。
契約変更後の単価合意の方法
① 具体的手順は、「5.単価合意の方法」に準じて行うものとする。
② 契約担当課は、「単価協議書」(解説:別紙2)を作成し受注者に送付する。
③ 合意済みの項目および変更後工事等数量総括表に記載の項目の全てについて、改めて契約変更の考え方を合意する。
別紙1
単 価 包 括 合 意 方 式 に お け る フ ロ ー 図
発注者
発注(積算)担当課
契約担当課
請 負 者
「入札」及び「契約」(総価)
請負金額内訳書様式
請負金額内訳書様式
請負金額内訳書の作成
14
日以内の成立
送 付
(契約締結後速やかに)
受 理
受 理
決 裁
単価合意書の作成
(工事等数量総括表添付)
提 出
受理
(契約締結後 14 日以内)
単価合意書押 印
単 価 協 議 書決 裁(押 印)
単 価 合 意 書
(工事等数量総括表添付)
14
日以内の成立
送付(2 通)
送 付
単価合意書
(押 印)
提出(2 通)
受 理
送付(1 通)
単価合意書の公表(閲覧)
別紙2平成○○年○○月○○日
受注者名
殿
発注者名
単 価 協 議 書
平成 年 月 日付けで請負契約を締結しました下記工事について、工事請負契約書第3条第3項により単価合意書を締結したく協議します。
なお、合意のうえは当機構より送付する単価合意書2部に押印のうえ提出願います。
記
1.工事件名
2.工 期 自 平成○○年○○月○○ 至 平成○○年○○月○○日
3.請負代金額 ¥ 000,000,000円
4.協議開始日 平成○○年○○月○○日