Contract
◆特定継続的役務提供
特定商取引法では、「特定継続的役務提供」として、エステサロン、外国語会話教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの6業種を指定しています。
これらは、目的の実現が確実かどうか分からないサービスを、一定期間、継続して提供する商売であり、「期待したサービスが受けられなかった」というトラブルが絶えません。
<事例>
高校2年生の子供に「親切な個人指導が中心」といって学習塾を勧められ、契約した。しかし、通い始めてみると、10人位のクラス編制で、質問する形式の授業だった。 最初の話と違うので、契約後2ヶ月を経過した時点で、中途解約を申し出たら『学習塾
の解約はできるが、当学習塾の教材は「関連商品」ではなく「推奨品」なので、教材の解約はできない」と言われた。納得ができない。
<助言>
学習塾は、特定商取引法の「特定継続的役務提供」にあたり、契約書面を受け取ってから8日以内であればクーリング・オフが可能です。
また、クーリング・オフ期間経過後も、法定の損害賠償を支払えば理由を問わず中途解約ができます。
この事例は、クーリング・オフ期間を過ぎており、中途解約の手続きをしました。
「学習塾の契約」は、解約料として「初期費用(入会金)」「受けたサービス分の代金」
「解約手数料」を支払って合意解約できました。
しかし、学習塾と同時に契約した「教材の契約」は、教材が「推奨品」として契約されており、解約はできませんでした。
※「関連商品」「推奨商品」の違い
「関連商品」とは、サービスを受けるにあたって、必要とする商品を意味します。
例えば、「エステサービスを受けるにはこの化粧品が必要である」とか、「家庭教師の指導を受けるにはこの教材が必要である」などとサービスと商品が一体化していて、契約書面に必ず記載されることになっています。ですから、中途解約の場合には、サービスと同様、未使用分の商品についても解約することができます。
「推奨商品」とは、サービスを受けるにあたって、お奨め(推奨)の商品を意味します。例えば、「こんな化粧品を一緒に使用されるといいですよ」、「教科書に沿ったテキスト で成績アップ間違いなし」などと商品の購入をほのめかされて購入しますが、購入は消費者が主体的に選択したことになります。ですから、中途解約の場合には、サービスの部分
は解約ができても、未使用の商品は解約ができないことになります。
契約してサービスを受けるためには、双方とも商品を買わざるを得ず、2つの言葉の意味にたいした違いはありません。しかし、いざ解約となると、「関連商品」は未使用分の商品を中途解約ができても、「推奨商品」の場合には、解約することができないという、大きな違いが生じてきます。
※アドバイス
・サービスについてのを契約をする時に、商品が必要と言われたら、契約書に「関連商品」と書かれているかどうかを必ず確認してください。「推奨商品」と書かれていたら要注意です。8日間のクーリング・オフ期間が過ぎたら解約はできません。
・家庭教師の場合には、教材販売が主目的のことがよくあります。また、エステサービスでは、化粧品や下着の販売が主目的の場合がよくあります。契約書に記載されている「役務(有)・(無)」の項目欄を確認し、(有)に○印がしてあることを確認してください。役務(無)に○印がしてある場合には、サービスの契約ではなく、単なる商品、つまり教材や化粧品を購入しただけになります。
・長期間にわたるサービスの契約は慎重にしましょう。