iPS アカデミアジャパン株式会社(以下、「甲」という。)と*****株式会社(以下、「乙」という。)とは、乙が国内外非営利機関(以下、「提供元」という。)か ら提供された人工多能性幹細胞(以下、「iPS 細胞」という。)を使用するにあたり、甲が国立大学法人京都大学(以下、「丙」という。)から再実施許諾権付き実施権を許諾された特許に基づく当該 iPS 細胞の使用に関するライセンス許諾に関し、次の通り契約(以下、「本契約」という。)を締結する。
人工多能性幹細胞(iPS細胞)使用に関する特許実施許諾契約書(案)
iPS アカデミアジャパン株式会社(以下、「甲」という。)と*****株式会社(以下、「乙」という。)とは、乙が国内外非営利機関(以下、「提供元」という。)から提供された人工多能性幹細胞(以下、「iPS 細胞」という。)を使用するにあたり、甲が国立大学法人京都大学(以下、「丙」という。)から再実施許諾権付き実施権を許諾された特許に基づく当該 iPS 細胞の使用に関するライセンス許諾に関し、次の通り契約(以下、「本契約」という。)を締結する。
(定義)
第1条 本契約において、次の各号に挙げる用語の意味は次の通りとする。
(1)「本特許」とは、別紙Ⅰに記載された特許及び特許出願をいう。
(2)「iPS 細胞等」とは、(a)本特許に係るマウス iPS 細胞又はヒトiPS 細胞(その複 製物及び派生物を含む。以下同様。)、(b)本特許に係るマウス iPS 細胞又はヒト iPS 細胞から分化誘導された細胞(その複製物及び派生物を含む。以下同様。)、(c)本特許に係るマウスiPS 細胞又はヒトiPS 細胞を改変した場合の改変体(その複製物及び派生物を含む。)、又は(d)本特許に係るマウス iPS 細胞又はヒトiPS 細胞から分化誘導された細胞を改変した場合の改変体(その複製物及び派生物を含む。)をいう。
(3)「本細胞Ⅰ」とは、乙が提供元(丙を含む。以下同様。)から提供を受けた別紙Ⅱに記載されたiPS 細胞等をいう。
(4)「本細胞Ⅱ」とは、(a)乙により本細胞Ⅰから分化誘導された細胞(その複製物及び派生物を含む。以下同様。)、(b)乙が本細胞Ⅰを改変した場合の改変体(その複製物及び派生物を含む。)、又は(c)乙により本細胞Ⅰから分化誘導された細胞を乙が改変した場合の改変体(その複製物及び派生物を含む。)をいう。
(5)「本細胞」とは、本細胞Ⅰ及び/又は本細胞Ⅱをいう。
(6)「本方法」とは、マウス iPS 細胞又はヒトiPS 細胞から体細胞へ分化誘導する方法であって、本特許に係るものをいう。
(7)「本地域」とは、日本国をいう。
(8)「本許諾目的」とは、本地域内における乙の研究施設での自己のための別紙Ⅲに記載された研究目的のみをいう。但し、本細胞の(a)ヒト及び動物に対する予防・診断・治療の為の投与・使用、その他ヒトへの使用(使用の形態及び目的の如何を問わない。)、及び(b)医薬品候補物質等のスクリーニングでの使用を伴う研究は、本許諾目的から除外されるものとする。
(研究ライセンス許諾)
第2条 甲は、本契約の規定に従い、本特許に基づき、乙に対して、乙が本細胞を本許諾目的に限り使用し、また、乙が本細胞の使用にあたり本方法を本許諾目的に限り使用するための非独占的通常実施権を許諾する。
2.乙は、本特許に基づく再実施権を第三者に許諾する権限を有しない。
3.乙は、本細胞及び本方法を使用して第三者(乙の関係会社及び関係研究機関を含む。以下同様。)と共同研究をするとき、及び/又は第三者に本細胞及び本方法を使用した委託をするときは、当該共同研究及び/又は当該委託に先立ち、甲と別途協議する。
4.乙は、別紙Ⅱに記載された以外の提供元から iPS 細胞等の入手を希望するとき、又は別紙Ⅱに記載の提供元から別紙Ⅱに記載された以外のiPS 細胞等の入手を希望するときは、その提供を受けるに先立ち、甲より書面による同意を得るものとする。
(実施の範囲)
第3条 甲より別途事前の書面による同意がない限り、乙は、本細胞を第三者に提供(分配、貸与、譲渡、使用許可等、提供の形態を問わない。)してはならず、本方法を本細胞以外に使用してはならず、また、本細胞を(a)ヒト及び動物に対する予防・診断・治療の為の投与・使用、その他ヒトへの使用(使用の形態及び目的の如何を問わない。)、及び(b)医薬品候補物質等のスクリーニングでの使用に供してはならない。
2.乙は、本特許に係る発明を用いて iPS 細胞を作製する(本細胞を増殖させる行為を除く。)ときは、甲より本特許に基づく別途の特許実施権許諾を得なければならない。
3.乙は、本細胞を商業目的(医薬品候補物質等のスクリーニング、受託試験サービスでの使用、培地等の製品の品質管理試験を含む。)に使用するときは、甲より本特許に基づく別途の特許実施許諾を得なければならない。
(対価)
第4条 本契約第2条の許諾の対価として、乙は、以下の実施料及び消費税を甲に支払うものとする。なお、乙は、本契約が締結後1年未満で終了した場合は、下記(2)及び(3)の支払いを要せず、また、本契約が締結後1年以上2年未満で終了した場合は、下記(3)の支払いを要しないものとする。
(1)1年目:本契約締結後30日以内 金50万円(消費税別)
(2)2年目:本契約締結日から1年経過以前 金50万円(消費税別)
(3)3年目:本契約締結日から2年経過以前 金50万円(消費税別)
2.乙が、5株種を超えて iPS 細胞等を使用する場合には、前項の実施料を別途定めるものとする。
3.乙は、本条第1項に定める実施料及び消費税を以下の銀行口座宛てに支払うものとする。なお、実施料及び消費税の支払いに要する振込み手数料その他銀行手数料は、全て乙の負担 とする。
三井住友銀行 京都支店
普通預金口座 8572671
名義人 iPS アカデミアジャパン株式会社
4.甲は、理由の如何を問わず、既に受領した実施料及び消費税を乙に返還することを要しない。
(秘密保持)
第5条 甲及び乙は、相手方の事前の書面による承諾がない限り、相手方から秘密である旨を明示して開示された技術上及び営業上の情報、本契約締結の事実並びに本契約の規定を厳に秘密にし、第三者に開示又は漏洩してはならず、また本契約履行の目的にのみ使用し、他の如何なる目的にも使用してはならない。但し、次の各号のいずれかに該当することを書面にて証明できる情報については、この限りではない。
(1)開示を受け又は知得した際、既に公知となっている情報
(2)開示を受け又は知得した際、既に保有している情報
(3)開示を受け又は知得した後、自己の責めによらず公知となった情報
(4)開示を受け又は知得した情報に基づくことなく、独自に開発した情報
(5)正当な権原を有する第三者から適法に取得した情報
(6)法令、当局又は裁判所の命令により開示する情報
2.乙は、甲が、(1)本契約締結に先立ち、乙の名称、本契約の契約条件その他丙が必要と認める事項を丙に通知している場合があること、(2)本契約締結後、(i)本契約の写しを丙に交付すること、及び、(ii)本契約の実施状況を丙に報告することを、予め承諾する。
(法令遵守)
第6条 乙は、本契約に基づき本細胞を使用するに当たり、関連する法令、省令、規則、ガイドライン、行政指導等を遵守し、自らの責任で当該使用をなす。
(研究成果及び知的財産権の取り扱い)
第7条 乙が、本特許を実施して得られた研究成果に係る知的財産は、乙に全て帰属する。 但し、当該研究成果が、甲及び/又は丙の研究者と共同して得た研究成果(共同発明を含む。)であるときは、この限りでない。
2.乙は、甲及び非営利機関が、本特許を実施して乙が得た研究成果を、研究又は教育を目的として実施することにつき、当該研究成果に係る知的財産権を行使しないものとする。
(非保証・免責)
第8条 甲及び丙は、乙に対し、明示又は黙示を問わず、本特許の特許性及び有効性、その他一切の事項について何ら保証しない。
2.甲及び丙は、乙が本細胞及び本方法の使用により第三者の権利(特許権その他の知的財産権を含むが、これに限定されない。)を侵害するに至ったときにおいても、一切の責任を負わず、かつ、いかなる損害賠償義務も負わない。
3.甲若しくは丙又はそれらの所属員が本契約に基づく乙による本細胞及び本方法の使用により第三者から損害賠償その他の法的要求を受けたときは、乙は、甲及び丙並びにそれら
の所属員を当該要求から防禦するものとし、その損害(弁護士への報酬その他の費用を含むが、これに限定されない。)をすべて補償するものとする。
(権利侵害への対応)
第9条 乙は、第三者が甲又は丙からの許諾を受けることなく本特許に係る発明を実施していること又は実施する恐れがあることを発見したときは、直ちに甲にその事実を書面で通知し、根拠となる資料を甲に提示するものとする。
2.甲及び丙は、前項の当該第三者に対して、侵害排除の手段を講じる義務を負わないものとする。
(監査)
第10条 甲は、乙が本契約に違反していると認められる合理的な疑いが生じたときは、乙に対し、本細胞及び本方法の使用に関する事項について報告を求め、また、事前に乙に通知の上、乙の社内研究施設等に甲の従業員又は甲が指定する代理人を派遣して、本細胞及び本方法の使用に関する事項を調査することができる。この場合において、乙は、正当な理由なく、当該報告及び調査を拒むことができない。
2.前項に定める調査にかかる費用の負担については、当該調査の経緯及び結果その他諸般の事情を勘案して、甲及び乙で協議して定めるものとする。但し、調査の目的であった契約違反が明らかになった場合には、全額乙の負担とする。
3.乙は、甲が本条第1項の調査の結果を丙に報告することを予め承諾する。
(契約期間)
第11条 本契約は本契約の締結日に発効し、その後3年間有効とする。乙が本契約の延長を希望する場合には、契約期間満了日の3ヶ月前までにその旨を甲に書面で通知し、契約延長について甲と協議することができる。
2.甲及び丙との間で締結された本特許に係る特許実施権許諾契約が終了した場合には、終了事由の如何に拘わらず、本契約も同時に終了する。この場合において、甲は乙に対し、何らの損害賠償義務も負わないものとする。
3.前項において、乙が本契約の継続を希望するときは、以下の各号の条件をすべて満たす限りにおいて、甲は丙に対し、本契約上の甲の地位を承継させるよう努力するものとする。
(1)乙が、本契約上の義務に現に違反し、又は過去において違反した事実がないこと。なお、当該違反が適時に是正されたか否かは問わない。
(2)乙と丙との間で訴訟その他の紛争が現に生じ、又は過去において生じた事実がないこと。なお、当該紛争は、本契約に関連するものであるか否かを問わない。
(3)丙が甲の地位を承継した場合に丙にとって過大であると丙が判断した甲の義務は、丙と乙との間で協議した上で、当該承継の時に、合理的なものに修正されること。
4.第5条(秘密保持)の規定は本契約終了後も5年間有効に存続し、第4条(対価)第4項、第7条(研究成果及び知的財産権の取り扱い)、第8条(非保証・免責)、第10条(監
査)、第11条(契約期間)第2項及び第3項、第12条(反社会的勢力の排除)、第14条
(契約終了後の措置)、第15条(権利義務譲渡禁止)、第17条(完全合意)及び第18条
(準拠法及び裁判管轄)の規定は本契約終了後も引き続き有効に存続する。
(反社会的勢力の排除)
第12条 甲及び乙は、現在及び将来にわたり、自己並びにその役員及び経営に実質的に関与する者が、暴力団、暴力団関係企業、総会屋等その他の暴力、威力又は詐欺的手段等を用いて経済的利益を追求する団体又は個人(以下、「暴力団員等」という。)に該当せず、かつ、暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有しないことを表明し、保証する。
(契約の解除)
第13条 甲は、乙が本契約に違反したときは、書面による催告の上、本契約の全部又は一部を解除することができる。
2.甲は、乙が次の各号に掲げる事項の一に該当するときは、催告を要せず直ちに本契約の全部又は一部を解除することができる。
(1)差押、仮差押、仮処分、競売の申立若しくは租税滞納処分その他公権力の処分を受け、又は、破産、会社更生、民事再生若しくは特別清算手続その他これらに類する手続の申立をしたとき若しくは申立を受けたとき
(2)強制執行、競売等の申立を受けたとき
(3)行政機関等から営業停止又は営業免許・営業登録の取消処分を受けたとき
(4)自ら振出若しくは引き受けた手形又は小切手につき、不渡処分を受ける等支払停止状態に至ったとき
(5)財産状態が悪化し、又はそのおそれがあると認められる相当の理由があるとき
(6)解散の決議をしたとき
(7)本特許の有効性を直接的又は間接的に争ったとき
(8)第4条に規定する対価の支払いを怠ったとき
(9)第12条の規定に違反したとき
(10)前各号の他、本契約に違反し、その違反により本契約の目的を達成することができないと認められるとき
3.乙は、本細胞及び本方法の使用を終了する旨を、60日以上前に甲に書面で通知することにより本契約を解除することができる。
(契約終了後の措置)
第14条 本契約が終了又は解除された場合には、乙は本細胞及び本方法の使用を直ちに止めるものとする。また、乙は、残存する本細胞を直ちに破棄又は提供元に返却し、当該破棄又は返却を証する旨を書面にて甲に報告しなければならない。
(権利義務譲渡禁止)
第15条 甲及び乙は、相手方の事前の書面による同意なく、本契約の地位を第三者に承継させ、あるいは本契約から生じる権利義務の全部又は一部を第三者に譲渡し若しくは引受けさせ、又は担保に供してはならない。但し、甲が、本契約に係る事業の全部の譲渡に伴って本契約上の権利義務の全部の譲渡又は承継をする場合には、甲は、乙の事前の書面による同意なく第三者に本契約上の権利義務の全部を譲渡又は承継することができる。
(不可抗力)
第16条 甲又は乙が、不可抗力事由の発生により、本契約における義務の履行を妨げられた場合、債務者は、当該不可抗力が継続している期間中、これにつき債務不履行の責を負わない。なお、当該不可抗力が3ヶ月を超えて継続する場合、甲及び乙は、誠意をもって協議し、対応策につき決定する。但し、当該不可抗力事由の発生により義務の履行を妨げられた当事者は、相手方当事者に対して、かかる発生から10日以内に、その事実を通知し、また当該不可抗力が本契約に与える影響が最小限のものとなるよう、最善の努力を為す。本条にいう不可抗力事由とは、天災地変、戦争、暴動、争議行為、法令の変更、その他甲又は乙のいずれの責にも帰すことのできない事由をいう。
(完全合意)
第17条 甲及び乙は、本契約が本契約締結の目的に関する甲及び乙の間の完全なる合意を定めたものであり、本契約以前に取り交わしたすべての合意や了解に取って代わるものであることに合意する。
(準拠法及び裁判管轄)
第18条 本契約の効力、解釈及び履行などについては日本国の法令に準拠するものとする。また、本契約に関する甲乙間の一切の紛争については、京都地方裁判所を第xxの専属的合意管轄裁判所とする。
(誠実義務)
第19条 本契約に定めのない事項が生じたとき又は本契約に各条項の解釈について疑義が生じたときは、甲乙誠意をもって協議の上解決する。
本契約締結の証として、本契約書2通を作成し、甲及び乙が各1通を保管する。年 月 日
xxxxxxxxxx 00 xx 0
甲: iPS アカデミアジャパン株式会社ライセンス部長
(住所) | ______________ | |
乙: | (名称) | ________________ |
(責任者名) | ________________ |
別紙Ⅰ
No. | 特許番号/特許出願番号 | AJ管理番号 | 出願日 | 発明の名称 |
1 | 特許第5098028号 | AJ001 | 2006 年 12 月 6 日 | 核初期化因子 |
2 | 特許第4183742号 | AJ001 | 2008 年 5 月 20 日 | 誘導多能性幹細胞の製造 方法 |
3 | 特許第4411362号 | AJ001 | 2009 年 3 月 10 日 | 誘導多能性幹細胞の製造 方法 |
4 | 特許第4411363号 | AJ001 | 2009 年 3 月 10 日 | 誘導多能性幹細胞からの 体細胞の製造方法 |
5 | 特許第5248371号 | AJ001 | 2009 年 3 月 10 日 | 誘導多能性幹細胞を製造するための核初期化因子 の使用 |
6 | 特許第5467223号 | AJ001 | 2009 年 3 月 10 日 | 誘導多能性幹細胞および その製造方法 |
7 | 特許第5603282号 | AJ001 | 2011 年 4 月 12 日 | 誘導多能性幹細胞 |
8 | 特許第5943324号 | AJ001 | 2013 年 8 月 12 日 | 誘導多能性幹細胞 |
(以下余白)
別紙Ⅱ
No. | 提供元 | 細胞株名 | 細胞受領日 |
1 | 年 月 日 | ||
2 | |||
3 | |||
4 | |||
5 |
注:乙が5株種を超えて iPS 細胞等の使用を希望する場合には、乙は甲と事前に協議する。
(以下余白)
別紙Ⅲ 研究目的
「 第三者より提供を受けた別紙Ⅱに記載の iPS 細胞等を用いた、基礎研究又は事業化段階に入る前の研究(医薬品候補物質等のスクリーニングを除く。)但し、乙による本特許を用いた人工多能性幹細胞の作製、本細胞をヒト及び動物に対する予防・診断・治療の為の使用、及びその他ヒトへの使用(使用の形態及び目的の如何を問わない。)をしてはならない。 」
(以下余白)