フランチャイズチェーン本部が何ら資本関係のない第三者との契約に基づいてその業態の拡大を図っていく方法である。チェーン本部が直営している店舗と同じ内容、同じレベ ルの店舗を加盟店自身が運営を行う。従って加盟店が対価を支払って利用する一定の経営システムや一連のプログラムが準備され整っていなければならない。この一定の経営シ ステムや一連のプログラムはフランチャイズパッケージ(Franchisepackage)と呼ばれ次の 3つの要素が組み合わされて形成されている。
フランチャイズシステム概要
フランチャイズチェーンにおいてのフランチャイズシステムは次のように定義される。
「フランチャイズとは、事業者(フランチャイザー)が他の事業者(フランチャイジー)との間に契約を結び、自己の商標、サービス・マーク、トレード・ネームその他の営業の象徴となる商標、および経営のノウハウを用いて、同一のイメージのもとに商品の販売、その他の事業を行う権利を与え、一方、フランチャイジーはその見返りとして一定の対価を支払い、事業に必要な資金を投下してフランチャイザーの指導および援助のもとに事業を行う両者の継続的関係をいう」。(日本フランチャイズ・チェーン協会)
資金負担
人材負担
加盟店
フランチャイズシステム
ロイヤルティ
加盟金
業態の開発
直営店実験
フランチャイズ本部
商標・ノウハウ
システム・プログラム
フランチャイズチェーン本部が何ら資本関係のない第三者との契約に基づいてその業態の拡大を図っていく方法である。チェーン本部が直営している店舗と同じ内容、同じレベルの店舗を加盟店自身が運営を行う。従って加盟店が対価を支払って利用する一定の経営システムや一連のプログラムが準備され整っていなければならない。この一定の経営システムや一連のプログラムはフランチャイズパッケージ(Franchisepackage)と呼ばれ次の 3つの要素が組み合わされて形成されている。
フランチャイズパッケージ
a フランチャイザーの商標、チェーン名などフランチャイザーの事業であることを示す標章(マーク)を使用する権利
b フランチャイザーが開発した生産、加工、販売その他経営上の技術(ノウハウ)を利用する権利
c フランチャイザーのイメージを維持し、高めるためにフランチャイザーが行う指
導・援助を受ける権利
チェーン本部と加盟店の断絶原因
a 限られた期間にチェーン本部のノウハウのすべてを伝えることができず、業態の運営を加盟店自身で本部直営店舗と同様な形ですすめられない。
b xxxx本部は示唆を与え、やる気を鼓舞して説得を試みることはできるが、命
令することはできない。
これらの
2 つの原因を取り除くためにスーパーバーザー(Supervisor)がチェーン本部
と加盟店の間に介在することになる。スーパーバイザーは業態の課題やシステムこれらに基づいて確立される「計画」や「店舗オペレーションの基準、運営方法」が正確に理解され、実践されているかを検証する役割を担っている。加盟店で実践されていなければ完全にできるようになるまで指導教育しなければならない。
フランチャイズ契約書
章 | 項目 | x x |
第1章第2章第3章 第4章第5章 第6章第7章第8章 第9章 | 総則 ライセンス許諾開店準備 勘定経営 会計利益 契約終了 雑則 | 協力関係、当事者の地位、加盟店資格 ライセンス許諾、ライセンス範囲、許諾地域 成約預託金、研修、研修費用、開業準備、開業準備手数料店舗の工事、営業の許可、加盟証拠金、 勘定方法、勘定の処理 自己資本の維持、休日と営業時間、店舗の保全管理、在庫維持管理、仕入と販売、広告と販売促進、注意事項、売価立入調査、公共料金、保険 売上金処理、帳簿、帳簿棚卸、実地棚卸加盟店引出金、最低保証、ロイヤルティ 開店前解約、契約期間満了、中途解約、合意解除、営業 維持、平均ロイヤルティ、チェーン本部の契約解除、加盟店契約解除損害賠償、権利の消滅、停止条件付担保、チェーン本部による店舗管理、現状回復、閉店手数料、損害賠償 遅延損害金、通知、契約の運用、改訂、裁判管轄の合意 |
「フランチャイズ契約書」はコンビニエンスストアのフランチャイズ契約の内容である。契約の内容は総則、ライセンスのス許諾、開店準備、勘定、経営、会計、利益、契約終了、雑則の 9 つに分けることができる。
コンビニエンスストアのフランチャイズ契約書では総則において、加盟店が今後チェー
ン本部の制約を受けることを明言している。ライセンスの許諾の第 2 章においては加盟店
への権利の付与などが述べられている。そして第 3 章開店準備の部分で加盟店の資格を得るための研修が義務づけられている。
次の勘定の第 4 章ではチェーン本部と加盟店の取引の計算方法などが記され、経営の第
5 章は加盟店の経営方法について多岐にわたりその運営方法が述べられている。会計の第 6章では加盟店からチェーン本部への送金方法や帳簿の記録、その提出義務などについて記されている。さらに第 7 章利益ではチェーン本部へのロイヤルティや最低保障について、
第 8 章契約終了ではフランチャイズ契約の終了および終了に伴う事項損害賠償に関する内
容などが定められている。雑則の第 9 章ではこの契約の運用方法、改訂についての考え方などが述べられている。
フランチャイズシステムの限界
フランチャイザー自体の限界要因
①環境変化への対応力
業態は市場における機会をきっかけに誕生するが、市場の変化は常に激しい。経済は生き物であり、市場は日々刻々と変化し続けている。この流れからはずれた業態は業態間の競争に取り残されることになる。また、業態が考えていた限られた活動領域の市場が気づいたときには大市場になっており、競争が激化して後から新規参入が押し寄せてくる場合も存在する。
②顧客進化への対応力
業態は製品やサービスの購入を通しての顧客の成長に対してその進化が求められる。要求水準が顧客の成長により高度化するため、この進化がなされないとき業態が提供する製品の基準が顧客基準とズレてしまうおそれがある。
③革新性の陳腐化
時間の経過に伴う革新性の陳腐化の進行は顧客にその革新性が飽きられるという結果を生む。
④新しい知識の不足
不確実性の高い環境のもとでは仮説の比率が知識よりも圧倒的に多いのが現状である。市場や技術、製品、サービスに関して新しい知識やxxの部分は多い。また新たな市場や技術、製品、サービスについての推進方法や管理方法がわからない。
⑤競争相手の模倣
常に業態の革新性は競争相手の模倣の対象になりうる。競争相手による模倣は顧客に支持されるアイデアに基づいた業態の有効期限を短くする可能性がある。業態開発のプログ
ラムの段階で競争優位性をどこに置くかで競争相手に対する参入障壁が決まる。しかし開発してまもない業態は非常に攻撃を受けやすい。
⑥経営トップのリーダーシップと資質
経営トップが共通のシステムを作り、業態の内外にコミュニケーションし続け、継続的なパワーを発揮して従業員の潜在力を引き出し、素早く情報を取り入れてそれを経営に生かして継続的なイノベーションを行えるか。
⑦組織の疲労
経営陣や従業員が燃え尽きる可能性がある。特に成長している場合には問題は発生しにくいが、停滞するといっきに疲労感が蓄積する。
⑧人材の不足
価値と知識情報を共有し、事業の推進中に学習を行い、修正や仮説の検証を行いながらそれを知識化する。その結果、洞察力と信念を持った人材の育成ができるか。
フランチャイズシステム展開の限界
①一般要因
フランチャイズを展開するうえでの一般的限界要因として業態の価値共有、展開規模による要因がある。
1)価値の共有
業態を開発した側と加盟店側の両者が経営理念、ビジョン、使命などの価値を共有することができるか。
2)展開規模
いたずらに業態の展開規模を追いかけると成長のコントロールがきかない。規模を追求することが必ずしも競争上必要でないのにもかかわらず拡大に走り、その管理能力を超えていないか。
②フランチャイズチェーン拡大時の要因
同システムはチェーン本部の効率の良さと加盟店の業態経営の意気込みがかみ合ったときに成功する。フランチャイズを展開するうえで拡大時の要因として、コミュンケーションとチェーン本部のサポート要因がある。
1)コミュニケーション
チェーン本部は示唆を与えたり、説得を試みることはできるが命令することはできないた
め、チェーン本部側と加盟店側両者の継続的で円滑なコミュニケーションが図られているか。
2)チェーン本部のサポート
研修期間だけではチェーン本部のノウハウのすべてを伝えることができない。業態の運営を加盟店自身が本部直営店舗と同様な形ですすめるためのチェーン本部サポートが有効に機能しているか。
フランチャイズシステム開発プログラム
新業態が生まれるきっかけ=現状への不満足
きっかけ
となる要因
既存商品・サービス 新しい商品・サービス
新しい方法で提供
需要>供給
着想
実現可能性のあるアイデア
着
想段階
資源と能力評価
強みは何か 資源、能力棚卸し
解決への動機付け
外部専門家、 コンサルタントのアドバイス
経営環境
外部環境
市場性
ビジネスとして
成り立つか
設
計段
階
コンセプト FC化の方向
(業態化) ex.和服ファクトリーハウス、カジュアルビジネスショップ アーバンコンテンポラリーハウス
主力ターゲット設定
開
発段階
解決への動機付け
外部専門家、 コンサルタントのアドバイス
ポジショニング
メインターゲット、サブターゲット設定競争分析
競合分析参考事例
ベンチマーキング
マーチャンダイジング
販売促進
解決への動機付け
外部専門家、
コンサルタントのアドバイス
業態確定
収益プラン
ビジネス収益 シミュレーション
①着想段階
フランチャイズシステムの着想プロセス
環境分析
資源と能力分析
アイデア創出
機会Opportunities
脅威 Threats
新業態の着想
強み Strengths
弱み Weaknesses
現状認識
現状を認識する方法
a個々の現象ではなく、動いている流れに注意する。 b現在起こっている事象を全体の文脈のなかで捉える。 c傾向や流行を底流において捉える。
d最新の知識や情報を吸収する。
経営環境、機会・脅威及び経営資源・能力の「評価」市場性
②設計段階
当段階では新しい業態の方向を決める「コンセプト」の組立、当業態の位置づけを明確にする「ポジショニング」及びメインターゲットとサブターゲットにより構成される「主力ターゲットの設定」についての設計が行われる。
コンセプト(Concept)
価値観を形成していくための方法
a自らの使命を考える。
b譲歩することのできない信条を持つ。 cつねに時代を正面から捉える。
ポジショニング(Positioning)主力ターゲットの設定
③開発段階
当段階では競合業態の分析を行う「競争分析」、「参考事例」からのベンチマークプロセス(Benchmark Process)分析、新業態コンセプトと主力ターゲットニーズに基づいたマーチャンダイジング(Merchandising)活動、販売促進、ビジネス収益のシミュレーション
(Simulation)を取り入れた「収益プラン」が開発される。
競争分析
具体的調査項目
a 店舗(施設)面積 b 営業時間
c 従業員数 d 売上高 e 粗利益率 f 在庫金額
g 取扱商品(価格ライン、品質など) h 製品・サービスの特徴
i 客層(男女別、年代別など) j 視認性
k 立地(通行者数、通行車数、周辺環境など)
l オペレーションの特徴(従業員の動き、接客応対、清潔感など) m 回遊性(客動線、レイアウト、通路幅など)
n 駐車台数
o 店舗外観
参考事例
情報をどのように
利用するのか
何が知りたいのか
どの参考事例と
比較するのか
ベンチマークプロセス(Benchmark Process)
情報をいかに入手
するのか
マーチャンダイジング(Merchandising)
製品の3つの機能
実際的機能
パッケージ
ブランド
他との違い
特性
品質 スタイル
拡大的機能
配送
信用供与
アフター
サービス
保証
中核的機能 ベネフィット サービス
4)販売促進
ターゲットの意思決定とフィードバック
ニーズ認知
代替案検討 | |
決定 |
評価
情報収集
経営管理システム
企業経営は経営戦略やマーケティング戦略が重視されていているが、案外地味なために軽視されているのが、「経営管理システム」である。しかし、フランチャイズ・ビジネスで発展しているチェーンは、外側から見ると確かに経営理念とか、マーケティング戦略が派手に目に映るが、実はこれらのチェーンは、「経営管理システム」がきちんと確立されているのである。
ドラマでいえば、フランチャイジーが舞台であり、プロデューサーがフランチャイザー本部の社長であり、ストーリーが経営戦略やマーケティング戦略であり、裏方さんが「経営管理システム」であり、どれ一つ欠けても、フランチャイズ店において、ドラマは演じられないのである。
フランチャイザーであれば、組織管理、人事管理、労務管理等の人に関する問題、経理
や予算に関する財務管理、原材料や商品を調達する資材管理、コンピュータや
POS シス
テムを管理する情報管理、事務所や事務手続きをオートメーション化する事務管理等、その他企業活動の中枢をにぎる、これらの諸管理機能のシステム化がなされなければならない。
フランチャイジーであれば、販売やサービスに専念するためには、発注のシステム、在庫管理のシテテム、商品の陳列のシステム、棚卸のシステム、経営管理のシステム等をシステム化しておき、加盟店のオーナーはいつも事務所にこもっていて、事務ばかり行っていないようなシステムづくりが是が非でも必要である。
コントラクト
チェーン.システムの中で、フランチャイズ.チェーンは法律的には、ポランタリーチェーン以上に深い関係にある。一説によるとxxxxxxx・xxxxは、「契約チェーン」と称している人もいる位である。いくらフランチャイズ・チェーンは、「経営理念共同体」とか「共同事業」といっても、フランチャイザーとフランチャイジーとは別個の経営体であり、両者にはそれぞれ権利と義務があるので、それを「フランチャイズ契約」という形で明文化しておかなければならない。
よく出る質問に、フランチャイズ契約と代理店契約の契約書に貼る印紙代は、どちらが安いですかというまったく馬鹿げたものがあるが、「フランチャイズ契約」というのは、
「フランチャイズ・パッケージ」をフランチャイザーがフランチャイジーに使用していただくための約束事であり、不幸にしてフランチャイザーとフランチャイジーの間にトラブルが生じた際に解決するためのルールでもあり、いわゆる予防医学的な存在なのである。わが国には契約の思想が根づかない風土があるため、契約の締結時にフランチャイジー 希望者が、契約書をよく検討しないで、署名をしてしまうケースが非常に多く、あとでトラブルが起きているが、フランチャイザーとしても、相手によく判るような説明をしてあげる必要があると共に、判り易い文面にしておくことも肝要である。また大事なことは、フランチャイジーが納得してから「ハン」を押してもらうことで、けっして急がせてはな
らない。
フランチャイズ契約書を作成する上で、一番重要なことは独占禁止法その他の法的問題をクリアしておき、将来万が一トラブルを生じた場合には、フランチャイザーが優越的な地位の乱用となっていないように、xx取引委員会から指摘を受ける前に、「フランチャイズ契約書」を整備しておかなくてはならない。
「フランチャイズ契約書」というのは、「フランチャイズ・パッケージ」そのものであるので、会社の中での担当する人は、たんに法律的知識だけではなく、フランチャイズ・システムやノウハウについても熟知しておかなければならない。また「フランチャイズ契約書」は会社の「経営理念」や「経営方針」の具現化したものであるから、これらを理解しているばかりでなく、会社全体の動きを把握しておかないといけない。
したがって、「コントラクト機能」に必要な人材は、法律的な知識ばかりでなく、経営戦略やらマーケティング戦略の知識も必要であり、なおかつ論理的思考のできる人が必要であると同時に、フランチャイザーとフランチャイジーをxxに見られる能力がなければならない。また「フランチャイズ契約書」ばかりでなく、会社のビジネスに関してあらゆる面に対しての法律的な問題を予防できなくてはならない。
フランチャイズ本部選定及び加盟プロセス
FC 既存情報
パーソナル体験
本部の情報収集
本部候補の選定
本部の方針・展開計画
商圏設定・予想売上高
SV の役割(何をしているか)本部トップとの面談
3 既存店訪問
2 FC 本部訪問
事業説明会参加
1 資料請求
既存店調査
フェア・イベント
情
報収集段階
雑誌・本 ビデオ
絞り込み段階
決定段階
実際の運営・収益性確認 類似環境の店舗ヒアリング出店立地を生かす
4 加盟決定
FC 協会正会員
5 契約
法定開示書面の検討立地調査の結果検討経営計画書の検討 契約書の検討
1 資料請求
店長のモチベーション
6 営業開始
P・A の躾
行動力、人を使う能力
この段階でやるべきことは、自分の興味のあるチェーンの「加盟募集パンフレット」を集めて読む。
また定期的ではないが、各地で加盟店を募集する「ショー」「開業展」「講演会」「セミナー」等が開催される場合があり、これらはいくつかの本部が出展していて加盟の相談に
のってくれるので、出かけてみる。
この場合、「加盟募集のパンフレット」を集めることだけでもできるので、出かけることは無駄にならない。1 社 1 社の「加盟募集パンフレット」を集める仕事は、お金と時間がかかるが、一度に何社か集まる場合にはパンフレットも集めやすく、本部の担当者とも会うチャンスがある。こうしておくと後で本部の訪問もしやすい。
2 FC 本部訪問
本部を訪問する前に、そのフランチャイズ本部の「加盟募集パンフレット」をじっくり読み、判らないところかあったら、メモをしておく。また時間をみつけ加盟店を見学しておく。
(1)フランチャイザーの本部訪問の際に、気をつける点
まず、フランチャィザーの本部に電話をして、訪問をする予約を行う。会社の組織によって名称の違いxxが、一般的には「フランチャイズの店舗開発部(課)」が連絡先と考えられる。この時本部の担当者が、あなたの方に訪問すると言っても、必ずこちらから出かけていきますと強く言う。最初に本部の担当者に来られてしまうと、後で断りにくくなる場合がある。
本部を訪問して、そのときに担当者から会社の概要、チェーンの特徴、加盟のための条件等の説明を聞く。その際パンフレットを読んだ時に用意した、質問のメモを忘れないように持参する。
この本部訪問で注意するポイントは、
・受付の方がさわやかであったか
・受付のないフランチャイズ本部ではすぐ席を立って来て応対してくれたか
・廊下ですれ違った人でも、「いらっしゃいませ」と立ち止まって頭を下げて挨拶をしてくれたか
・応対に出た人は礼儀正しかったか
・十分わかるように説明をしてくれたか
・押しつけがましくなかったか
・加盟をせかせなかったか
・質問には親切に答えてくれたかを十分に観察する。
(2)フランチャイズ本部の経営者との面接
フランチャイズ本部の選定で、一番大事なことは次の点だ。すなわちトップがフランチャイズ・ビジネスに対して、本当に真剣に取り組んでいるかどうかを十分に聞くことである。真剣さというものは、「経営理念」に表れるので、最初にトップと面接をした時に、必ず聞くことを忘れない。
そしてトップが、「経営理念」を語る時の態度や言動から、フランチャイズ・ビジネスに熱心に取り組んでいるかどうかをつかむ。けっしてそれは経営者の語り口の巧拙ではない。真剣に取り組んでいる姿そのものである。
①経営理念
「経営理念」というのは、その企業の経営に対する基本的な考えであり、「経常理念」「経営目標」「経営哲学」「社是」「社訓」といったもので表している。
企業経営のあり方というのは、まず「経営理念」があり、これを根底として「ビジョン」 (具体的なあるべき姿)が描かれ「基本方針」が確立され、これに基づいてシステムやノウハウが作られていく。このように企業経営においては、まず「経営理念」ありきで、もし
「経営理念」をトップに尋ねても、そんなものはないとか、「経営理念」ではメシは食えないとかの発言やら、仮にあったとしても、単なるお題目や、聞いても何が何だかわからないような「経営理念」であれば、そのチェーンに加盟しない方がよいかも知れない。
②経営理念の内容
「経営理念」はいろいろな形で表現されているが、少なくても「お客様に対する経営理念」
「フランチャイズ・ビジネスに対する経営理念」の 2 つがなければならない。
・お客様に対する経営理念
フランチャイズ・ビジネスでは、お客様あってのフランチャイズ店であるという、最も大事な「経営理念」があること。フランチャイズ・ビジネスは、「お客様の立場に立ったビジネス」であり、ビジネスのすべてが「お客様に始まってお客様に終わる」といった表現があてはまる。これからはますます競争の激しい時代になってくるが、その時こそこの
「経営理念」の重要さが発揮される。お客様不在で会社志向の店は、ほとんど生き残れない。
・フランチャイズ・ビジネスに対する経営理念
よくフランチャイズ・チェーンを評して、「運命共同体」だということが言われる。これはけっして間違っている表現ではないが、運命という言葉が人っているために、なにか親亀こけたら子亀もこげるといったxxxxxが少しある。これはむしろ「経営理念共同体」といった方が、与える印象からして良い。
言葉の議論はきておき、要はフランチャイズ・ビジネスは、「お客様に喜んでいただくための、加盟店と本部の共同事業」なのである。そのために、本部のかかげる「経営理念」に、加盟店も賛同し、それで初めて、この共同事業はxxするし、また発展もする。
したがって、あの商売は良さそうだとか、あの商売は儲かりそうだとか、あの商売はきつくなさそうだとかといったような基準で本部を絶対選択しないこと。本部の「経営理念」に、あなたが心から賛同できるかどうかが、運命の分かれ目といえる。
3 既存店の訪問
既存のフランチャイジーの方に成功した秘訣を聞く際に注意しなければならないことは、とかく自慢話が多くなりがちであるため、それよりも苦労話とかビジネスに対する取り組む心構えを聞いてみる。もし、フランチャイザーに対する不平不満が説明された場合は、割引して聞く。
4 加盟決定
(1)加盟の申し込み時の注意点
加盟の申し込みというのは、自分がフランチャイジーになるとの意思表示であり、次の段階としては本部とフランチャイズ契約を結ぶということになる。この段階で申込金を徴収するチェーンもある。そしてほとんどのチェーンは、このお金を後で加盟金に充当してくれる。しかし、加盟を取り消した場合には、返還してくれない場合が多いため、よく申込金についての説明を聞いておく。
(2)法定開示書面
フランチャイズ・チェーンに加盟を希望する場合に、フランチャイザーはフランチャイズ契約を結ぶ前に、フランチャイジー希望者に「契約書のあらまし」の文書を見せて説明しなくてはならない。それは「中小小売商業振興法」という法律に定められている。それを一般的に「法定開示書面」と呼んでいる。
したがって、フランチャイズ契約書にハンコを押す前に必ずフランチャイザーにその書面の提示を求める必要がある。もしフランチャイザーが「法定開示書面」を持っていないと言われたら、加盟は断念した方が無難かも知れない。(ただし、サービス業は含まれていない)
中小小売商業振興法(第 11 条第 1 項)による「開示事項」
1.事業主の氏名又は名称、住所及び
常時使用する従業員の数(法人の場合は、役員の役職名及び氏名)
2.資本金及び主要株主、並びに事業者の行なっている他の事業の種類
3.事業主が議決権の過半数を している他の法人の名称、及び事業の種類
4.直近の 3 事業年度の貸借対照表び損益計算書
5.フランチャイズ事業の開始時期
6.直近の 3 事業の店舗の数の推移
イ.各事業年度の末日における店舗数
ロ.各事業年度内に新規に営業を開始した舗数ハ.各事業年度内に解除された店舗数
ニ.各事業年度内に更新された店舗数及び更新されなかった店舗数
7.直近の 5 事業年度において、加盟者(含む加盟者であった者)を訴えた件数、及び加盟者 (含む加盟者であった者)から訴えられた件数
8.加盟者の店舗の営業時間、営業日及び定期又は不定期の休業日
9.加盟者の店舗の周辺の地域に類似した店舗を出店する旨の規定の有無及びその内容
10. 契約の期間中、解除・解約・満了の後、他のフランチャイズ事業への加盟禁止、類似
事業への就業制限その他営業活動を禁止又は制限される規定の有無及びその内容
11.契約の期間中、解除・解約・満了の後、加盟者が知り得た情報の開示を禁止または制限する規定の有無及びその内容
12.加盟に際し徴収する金額に関する事項イ.徴収する金額の額又は算定方法
ロ.金銭の性質(加盟金、保証金等)ハ.徴収時期
ニ.徴収方法
ホ.返還の有無及びその条件
13.加盟者から定期的に売上金を送金させる場合の時期及び方法
14.加盟者に対する金銭の貸し付け又は貸し付けの斡旋を行う場合の利率、算定方法その他の条件
15.加盟者との営業上発生しる債権債務相殺残高に対する利息の有無、利率又は算定方法その他の条件
16.加盟者に対する特別義務
店舗構造又は内外装について特別義務を課すときは、その内容
17.事業主又は加盟者が契約違反の場合、金銭の額又は算定方法その他の義務の内容
18.加盟者に対する商品の販売条件に関する事項(含む斡旋)イ.加盟者に販売し、又は斡旋する商品の種類
ロ.当該商品の代金の決済方法
19.経営指導に関する事項
イ.加盟に際しての研修・講習会の開催の有無ロ.同上の内容
ハ.加盟者に対する継続的経営指導の方法及び実施回数
20.商標、商号、その他の表示
イ.使用させる商標、商号、その他の表示
ロ.当該表示の使用条件があるときは、その内容
21.契約の期間・更新・解除イ.契約期間
ロ.契約更新条件及び手続き ハ.契約解除の要件及び手続き
ニ.契約解除によって生じる損害賠償金の額又は算定方法その他の義務の内容 (3)本部による立地調査
立地調査は、商圏調査と物件調査の二つの面から実施される。商圏調査は、その立地で一日の通行者数、商圏内世帯数、昼夜間の人口変動、消費動向、競合店の状況、道路交通状況、駅の乗降客など、綿密にデータを積み上げて立地の評価を行う。
物件調査では、建物の面積、形態、建物のアイキャッチ度、賃貸条件などを調査する。この結果に基づいて、本部は売上高を予測計算する。
(4)本部による経営計画書作成
経営計画書は、加盟をするかしないか、意思決定をするための、最終的な資料であり、まず十分な説明を受ける必要がある。わからないところがあれば、遠慮なく質問をする。主なポイントは以下の通りである。
①必要投資額
チェーンに加盟することを希望しても、もし必要な資金が不足しては成功は望めない。どのくらいの投資が必要か、必要な一切の資金の確認を行う。
1.フランチャイズ加盟金(契約金)。
2.土地・店舗の取得に必要な権利金、保証金、買入代金等の資金。
3.店舗の造改築や設備に必要な資金。
4.商品・原材料の手当に必要な資金。
5.器具、備品、消耗品等の購入資金。
6.人件費、開店経費、販促費、雑費など当座の必要資金。
これらの資金は、相当に厳密に見積り、計算したつもりでも実際には予想を上回り、予算をオーバーすることがよくある。開業後の売上金をあてにしなくてもいいように、必要投資額を多めに見積もって資金計画をたてることが望ましい。
②収益見込
フランチャイザーは、標準的な加盟店の損益計算書から試算して加盟希望者の店の経営予測値を情報として提示してくれる。これらを参考にして予想収益の十分な検討を行う。客単価、客数、仕入原価、粗利益率、諸経費などを何度も検討する必要がある。また、 必ず発生する月間の必要経費はどれだけか、その経費をまかない、目標となる利益を得るためには、どれだけの売上高をあげなければならないか、予定している店舗の立地でその売上をあげるだけの客数が十分見込めるか等を慎重に確かめて無理のない利益計画をつく
っていかなければならない。 (5)最終的に意思決定
第 1 番目に、自分自身が納得できる経常計画書だったであろうか。納得できない場合は、
もう 1 度本部の担当者に確認する。
第 2 番目に、経営計画書に対して関係者や役員の同意が得られたか。
第 3 番目に、もう 1 度自分自身の心に問いかける。本当に真剣にフランチャイズ・ビジネスに取り組めるかどうか。
5 契約
(1)フランチャイズ契約の締結の注意点
①フランチャイズ契約書
「契的」というの'ま、「約束」という言葉の法律用語です。約束をした以上、約束した当事者は互いにそれを守り、決して約束を違えてはいけない。
フランチャイズ契約を結んだ以上フランチャイザーとxxxxxxxxは、それを守らなければならない義務がある。ですから、フランチャイズ・チェーンに加盟しようとする人は、加盟する前に、フランチャィザーから提示されたフランチャイズ契約書の内容について、ひとつひとつ十分に検討し、これでよいと納得してから契約書に捺印することが必要である。
契約は約束であり、口約束でも有効であるが、フランチャイズ契約のように、長期にわ
たって効力をもち、しかも内容が複雑で多岐にわたり、かつ重要なものは文書にするのが通常である。
フランチャィズ契約の内容は、フランチャイジーがあらかじめ印刷しているのが普通である。印刷されてあり、フランチャイジーがフランチャイザーと交渉して、内容の一部を変えてくれるように申し出ても、ちかなか承諾してくれない。契約書にはパッケージ化されたフランチャイズ・システムの基心的な事項が記載されているため、これを変更するとなると、システムが崩れてしまい、チェーン全体のイメージも崩れてしまうからある。 フランチャイズ契約書の中には、契約する内容を基本となる契約書に全部書かないで、別の文書を用意している場合もある。例えば、運営規則とか運営規程あるいは付属明細書と呼ばれているものである。そのような場合には、その文章も契約書と同じ効力を生じ、関連する文書も全部契的書と同様によく読むことが重要である。
②商標等の使用許諾
同一のイメージを表すシンボルとして通常、フランチャイザーの商号の一部とかチェーン名、または商標とかサービス・マークなどを用いる。
商標やサービス・マークなどの使用許諾をはっきり規定していないフランチャイズ契約書はないが、念のために商標については商標登録がなされているか、特許などは法律的な権利をもっているかどうかを確かめる。自分で調べなくてもこれを証明できる書類をフランチャイザーに求めればよい。
なお商標やサービス・マーク等の使用が許されるといっても、その使い方には制約がある。
⑨フランチャイジーの支払義務
フランチャイジーは、フランチャイズ契約にしたがってフランチャイザーに対して各種の金銭を支払う義務がある。これを大きく分けると、次の 4 つに分けられる。
1.加盟金・契約金
フランチャイジーは、フランチャイズ契約の締結にあたって、加盟金、イニシシアル・ フイーなど、いろいろな名前で呼ばれる金銭をフランチャイザーに支払うのが通常である。この契約当初に支払うフランチャイズ料は、主につぎの対価として、または費用にあて
るために支払うものである。
a フランチャイジーがフランチャイズ契約の締結後ただちに提供を受ける経営ノウハウや商標などの使用許諾として
b フランチャイザーがフランチャイジーのために行う事前調査や開業までの教育訓練および開店時の援助などに要する費用として
この対価または費用の性質は、フランチャイザーによってそれぞれ異なる。加盟希望者は、それが何のために、どれだけの金銭を払うのかをよく確かめてから契約することが必要である。
2.保証金
加盟金とは別に保証金を徴収されることがある。これは通常フランチャイジーがフランチャイズ契約期間中にフランチャイザーに対して負う各種の債務を担保するためのものである。債務の不履行がなく、フランチャイズ契約が終了すれば、保証金は返還さるが、中途解約の場合はどうなのかといった点を注意しながら、保証金に関する契約上の取扱いを確かめておく必要がある。
3.ロイヤルテイ
フランチャイジーがフランチャイズ契約の続いている間、定期的にフランチャイザーに支払わなければならない金銭としてのロイヤルテイがある。通常これは、フランチャイジーが、フランチャイズ契約の期間中フランチャイザーのノウハウやグッドウイル(のれん)や商標などを使用したり、またフランチャイザーから継続的に麦ける指導・教育の対価として支払う性格のものである。
ロイヤルテイは普通、売上高に対する「一定率(歩合)で算出する例が多い。また、ロイヤルテイといわずに、経営指導料とかチェーン会費という名目で徴収するフランチャイザーもある。この場合は、金額が一定しているのが普通である。ほかに、広告・宣伝などの対価として定期的に分担金を支払うことがあるのかどうかを確かめておかなければならない。
4.その他、任意または不定期に支払う金銭
販売促進技術の指導・応援、研修会、計数管理指導、会計事務代行、新商品の開発、リース料などフランチャイザーが提供するサービスに対してフランチャイジーが金銭を支払わなければならないのかどうか、その金額も確かめておく。
5.申込金
フランチャイザーが加盟希望者から正式に申込を受けると、申込者から申込金を徴収することがある。しかし、確かなフランチャイザーは申込みを受けても検討・調査に値する場合でなければ申込金を受取らない。申込金は、フランチャイザーが申込みを受付けて契約に至るまでの経費に当てるためのものである。また、申込金は、通常フランチャイズ契約締結時に、加盟金の一部に振替られる。契約に至らなかったときは、調査などに要した実費を徴収して残りを返却するフランチャイザーと一切返却しないところがある。
④営業活動上のルール
フランチャイズ・チェーンにおいては、販売する商品・サービスの品質は均一でなければならない。販売促進についても、フランチャイジーは自分の店の宣伝だからといって、どんなことでもやっていいというわけではない。多くのチェーン店の中で 1 店だけ特別のやり方をしては、チェーンとしてのイメージがこわれてしまう危険がある。そこで、宣伝その他の販売促進の方法と費用の負担については、フランチャイズ契約書に規定してある。
販売促進のほかにも、営業活動のなかでフランチャイジーがフランチャイザーの指示や指導に従わなければならないことがいろいろある。たとえば、フランチャイジーは、フランチャイザーの許可がなければ他の営業に従事できないという義務を多くの場合契約に定めている。
その他、店舗の内外装のデザイン、従業員のユニフォーム、営業時間、会計などの事務処理の方法、損益計算の報告、帳簿閲覧などについて一定の役割や義務があるので、これを承知しておく必要がある。
⑤テリトリー
フランチャイズ・システムの場合、加盟店に対して、一定の地域(テリトリー)における独占的販売権を与えて、チェーン加盟店同士の競合を避けるようにしている。
テリトリーは、加盟店の商圏を保証するものであるが、テリトリーの与え方はチェーンによって異なる。たとえば、行政区画による分け方や店の周辺半径○○米の区域とか、地図に線を引いた分け方とか、その他人ロや世帯数を基準とした分け方など、いろいろある。
なお、地域は指定しないが、フランチャイジーの店舗の設置場所を一定の地点または一定の地域内に限定する方式がある。これをロケーション制という。
⑥契約期間、契的更新、契約解除
フランチャイズ契的の期間は、10 年以上の長いものや 5 年とか 3 年以下のものもあっ
て、標準的なものはない。日本の場合は一般的に 5 年位が多いようである。契約期間は、加盟店が投下した資本を回収するのに必要な十分な期間を考慮して定めるのが通常である。従って、投下資本が多いほど、長い期間が必要となる。
フランチャイズ契的では多くの場合、自動更新制をとっている。これは、期間が終了する前に一定の予告期間を置いて、どちらか一方が契約を終了する旨を通知すれば契約は終了し、どちらもその通知をしないときは契的は自動的に更新きれるという取り決めである。
契約を更新するとき、どのような手続きをするのか、その際、更新料などが必要か、その額はどれだけかを確認しておく。
フランチャイズ契約は、フランチャイザーとxxxxxxxxとの合意によって終了させることができるが、これを契約解除という。
この他、フランチャイズ契約書には、フランチャイザーが一方的に解約できる事項が定めてある。それにあてはまる事態が発生したらフランチャイザーは契約を直ちに終了させることができると規定されている。その主な事項として次のようなものがある。
1.加盟店が契約に違反し、契約に定めた義務を履行しないとき。
2.加盟店が死亡、破産、支払い不能になったとき。
3.その他の理由で加盟店の営業を継続することが不可能になったとき。
しかし、フランチャイジーの契約違反または債務の不履行を解約の理由とする場合でも、重大な場合に限られ、しかもフランチャイザーがフランチャイジーに改善通告をして余裕を与えた後でなければ解約すべきでないとされている。普通にやっていれば、解約の心配
はまずない。
解約を含め契約が終了した場合、フランチャイジーはフランチャイザーから使用を許されていた商標、サービス・マーク、看板などの表示類を撤去しなければならない。また、マニュアルなども返さなければならない。更に、契約終後にも、秘密の保持義務やノウハウの使用を禁ずる規定などもあるので、これらもよく確認してから調印する必要がある。
(2)契約調印から開店までの準備
①教育訓練
契約を締結すると、加盟店は直ちに本部から店舗運営のための必要な事項について教育訓練を受けることになる。
この研修期間は、業種・業態によって、また高度な技術がいるかいらないかによって異なるが、15 日~ 30 日前後におよぶ。店舗管理が単純なチェーンの場合は、もっと短いこともある。
加盟店にとっては、そのフランチャイズ店の経常や管理の仕方は、まったく新しい経験であり、この研修において、サービスの仕方や店舗運営の万法をできるだけ早く、徹底的にマスターするように懸命に努力するべきである。そして、自分が雇う従業員にも十分説叩し、指導できるようにすべきである。
②店舗建設・建築改装工事
本部の工事計画書にもとづいて、工事が開始されてから完了するまでは、その工事の施工・管理・監督は、通常、本部のスタッフが行う。加盟店は、その経過の報告を受け、あるいは立ち会う程度が普通である。この期間中は、加盟者は本部の教育訓練を受けている時期でもあり、また、店内の設備、レイアウトなどは標準化されたものであることが多いからである。ただ、自分なりの意見があったら本部のスタッフや工事関係者と納得いくまで話し合う心掛けが必要になる。
③内外装・設備・什器・備品等の検収
開店の実務は、まず内外装・設備・什器・備品などの検収から始まる。内外装工事の検収は、設計図.仕様書や見積書どおりに工事が行われているかどうかをチェックに重点がおかれる。
この検収によって、開店後に支障をきたすような障害や誤りを発見した場合には、たとえ開店期日を延期しくでも、直すべきことはやり直さないと後で困るのはあなたである。特に、電気・ガス・水道・排水・空調設備などで、開店後やり直すことの困難な工事に
ついては十分にチェックすることが必要である。
④商品・原材料の搬入
工事関係や器材・備品などの検収が終わったら、店内を清掃し、商品・原材料を搬入します。加盟店は本部の指示にしたがって、加盟店が独自に調達すべきものを購入する。この場合、指示された物品がない場合は、類似品でもよいかどうか、本部の指示を受ける必
要がある。
⑤労務関係の準備
加盟店は本部とよく相談して、従業員の作業割り当てとか、時間表(シフト)を作る。開店当初、開店直後、そして平常の営業といった現実的なプランをたてる必要がある。開店当初は、店主が頑張って全時間をカバーするなど、特別なシフトを組む必要がある。
⑥チェックリストの作成
定期的な日常業務については、本部が用意した開店から開店までのチェックリストを作る。
このチェックリストには、掃除、戸締まり、防火防犯、釣銭、伝票整理など日常の業務を、終日スムーズに行うための手順が記載きれている。
⑦業務マニュアルの復習
いよいよ開店直前の準備段階に入るが、それに先だって本部の指導スタッフは、店主をはじめ加盟店側の全スタッフを集めて、もう 1 度、加盟店が行うべき事項を業務マニュアルによって確認する。
⑤開店前の心得
店の準備かできたら、1
日でも早く営業したいと思うのは人情であるが、商売は最初の
印象が大切であり、開店当初にお客様に悪い印象を与えると大変ですあるため、開店後の営業をスムーズに進行させるためにも、開店準備に十分な日数をとり、万全な体制をとる必要がある。
6 営業開始後の注意点
①コミュニケーション
フランチャイジーにとって何より人事なことは、常にフランチャイザーとのコミュニケーション(意志疎通)を十分に行うことである。おかしいと思うことや問題点があれば、腹にしまっておかないで、てきるだけ早く、本部の人に聞き、そして話し合う。
コミュニケーションといっても、問題が起こったときや不満があるときだけのものではなく、日常が大事である。良きにつけ、悪しきにつけ、いつもお互いに通じ合っている関係づくりが大事である。
②売上高増大の努力
何といってもまず必要売上高を確保しなければならない。売上高増大のために、販売に専念できるのがフランチャイズ・システムの長所である。商売がうまくいっていさえすれば、本部との関係は何もかも順調にいく。
しかし、ちょっと思うようにいかないと、他人のせいにしたがるのが人間心理の常のよ
うである。
下手をすれば、本部の悪いことばかり目につくようになり、ついには感情的になり、悪い方向へといきかねない。こんな場合、加盟店の側でも何が悪いのか、足りないのか、冷静に分析し、悪い方向だけは行かないように努力をすることが必要である。
③チェーン活動への積極的参加
いうまでもないが、フランチャイズ・チェーンに加盟したからといって、そのことだけで成功が約束されているわけではない。加盟店がその事業に全力投球すること、それに根気と忍耐力こそが加盟店を成功に導く唯一の近道である。
フランチャイズ・チェーンに加盟した人は、グループの一員として共同して事業を進めると決意したはずである。あらゆるグループ活動には、そのグループに特有な何らかのルールがあって、構成員はそれを守らなければ、グループ活動が成り立たない。フランチャイズ・チェーンにあっては、フランチャイズ契約にもとづく義務と責任を守ることである。
また、単にルールを守るだけでなく、そのグループの活動に積極的に参加しなければ、グループ活動は発展しないし、グループに加盟した意味がない。フランチャイジーは、自ら積極的、意欲的にチェーンの事業と活動に参加する必要がある。
たとえば、
1.販売増大・店舗運営のための技術指導に対する意欲的な取り組み
2.販売促進のための行事への積極的な参加
3.本部から受ける指導や情報、サービスを徹底的に活用(スーパーバイザーの指導も含む)
4.各種ミーティングへの参加
5.お客様の需要動向、競合店の状況その他地域の市場情報や本部に対する意見を積極的に本部に提供すること
チェーン・システムには、次のような循環運動の発展が期待される。一つひとつの加盟店が営 業努力を積み重ねることによって、チェーン名やイメージが高められ、それが各店の売上高増大に 役立ち、その結果、各店はさらに営業がしやすくなって、チェーン加盟店の連帯感も高まる。
そして各店は加盟店であることに自負を持ち、そのチェーン名に誇りをもてるようになるのである。