賃貸借に引き続き、保証について概説する。まず、保証に係る改正内容のうち、個人根保証契約の極度額と元本確定事由の規定を再掲する。保証に係る改正内容の全容と衆議院 法務委員会の審議状況については、「民法改正法案の第 192 回国会における審議状況3i」及び「同4ii」を参照にされたい。
リサーチ・メモ
民法改正法案の第 193 回国会における審議状況6
2017 年 6 月 26 日
保証(1)
改 x x |
(個人根保証契約の保証人の責任等) 第465条の2 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。 2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。 3 第446条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する。 (個人根保証契約の元本の確定事由) 第465の4 次に掲げる場合には、個人根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。ただし、第一号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。 一 債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。 二 保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。三 主たる債務者又は保証人が死亡したとき。 2 前項に規定する場合のほか、個人貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、次に掲げる場合にも確定する。ただし、第一号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。 一 債権者が、主たる債務者の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。 二 主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。 |
賃貸借に引き続き、保証について概説する。まず、保証に係る改正内容のうち、個人根保証契約の極度額と元本確定事由の規定を再掲する。保証に係る改正内容の全容と衆議院法務委員会の審議状況については、「民法改正法案の第 192 回国会における審議状況3i」及び「同4ii」を参照にされたい。
次に関係する質疑応答を引用する。なお、下線及びかっこ内は著者による。
4 月 25 日
xxxx委員:(前略)根保証について質問したいと思います。今回の改正で、個人根保証契約は、極度額を定めなければ一律に無効となるとの規定が置かれております。しかし、債権者が優位な立場を利用して極度額を不当に高額に定めれば、この規定による保証人保護は骨抜きとなる可能性があります。極度額の定め方
については制限はないのか、ないとすればなぜかということを伺いたいと思います。
xx民事局長:改正法案では、極度額の定めについて、書面又は電磁的記録によることが必要であるとしておりまして、極度額は書面の記載又は電磁的記録の記録上でその額を確定することができるという必要がございます。これは、保証人にとりまして、自己の負担する責任の上限を予測可能なものとするため、個人根保証契約の締結の時点で確定的な金額を書面又は電磁的記録で定めておくことを要求したものでございます。他方で、極度額としての具体的な額の定め方については、これは当事者の合意に委ねておりまして、その上限を設けること等はしておりません。これは、保証契約が付される取引にも様々なものがあり、また保証人の資力や保証人と主債務者との関係にも様々なものがあることから、法律で適切な上限額を設定することは困難である上、仮に一定の金額を上限額として法定する場合には円滑な金融を阻害するおそれもあることによるものでございます。もっとも、極度額を定めた法律の趣旨に照らしますと、主たる債務者の資金需要や 保証人の資力などを勘案しないで著しく高額な極度額が定められたというケースについては、これは保証契約が無効とされる可能性もあるものと認識しております。
法務省といたしましては、当事者が合理的な極度額を定めるよう、極度額に関する規制を設けた趣旨を十分に周知してまいりたいと考えております。
xxxx委員:(前略)個人根保証との関係では、いわゆる身元保証が問題となると。そもそも身元保証とはどのようなものなのか、またそれを規律する身元保証ニ関スル法律とはどのような法律なのか、教えていただきたいと思います。
xx民事局長:御指摘ありました身元保証ニ関スル法律における身元保証契約とは、これは同法一条に定義がございますが、その名称のいかんにかかわらず、期間を定めずに労働者などの被用者の行為により使用者が受けた損害を賠償することを約束する契約をいうと定義されております。
この身元保証契約の中には二つの類型があると解されておりまして、一つは、被用者が使用者に対して負う損害賠償債務を、これを保証する保証契約の性質を有するもの、それからもう一つは、被用者が使用者に対して損害賠償債務を負うかどうかにかかわらず、被用者が使用者に対して負わせた損害、これを填補する損害担保契約の性質を有するもの、この二つのものがあると解されております。そして、そのいずれの性質を有する身元保証契約を締結するかは当事者双方において決めることができるとされております。
身元保証契約の内容は、一般に保証する責任の範囲が極めて広く、存続期間の定めもございません。他方で、身元保証契約は個人的情義などに基づいて行われることが多いことや、身元保証契約の締結の際には身元保証人が現実に履行を求められることになるかどうかが不確定であることもあって、身元保証人の中には、そのリスクを十分に自覚せず、安易に身元保証契約を締結してしまう者も少なくないと指摘されております。
そこで、御指摘ありました身元保証ニ関スル法律は、存続期間を定めない身元保証契約は成立の日より三年間効力を有することとするなどの規定を置くことによりまして、身元保証人の責任の範囲を合理的なものとしております。
xxxx委員:身元保証は、雇用契約の締結時、老人ホームや障害者施設への入所時、病院への入院時等に広く使われております。それらは個人根保証契約に該当する場合が多いと考えられるが、性質上、極度額を定めるのは困難であると思われます。改正法施行後、極度額を定めずに個人根保証契約として身元保証がなさ れた場合、保証人は義務を負わず支払ってしまった場合も不当利得返還請求ができるということになるのでしょうか。
xx民事局長:身元保証ニ関スル法律の想定する身元保証契約を含めまして、いわゆる身元保証と呼ばれている契約一般のうちで、これ先ほど類型があるというふうに申し上げましたが、保証契約の性質を有するものについては、身元保証人が個人であるときはその身元保証契約は個人根保証契約の性質を有し、改正法案に 新設された個人根保証契約に関する各規定が適用されます。したがいまして、このような身元保証契約については極度額の定めがなければ効力を生じないということになりますので、仮に使用者に金銭を支払ったとしても、無効な契約に基づいて支払ったものとして不当利得返還請求が可能であると解されるところでございます。
xxxx委員:企業側が労働者を雇用する際によく使われる身元保証は極度額の定めが難しく、今回の改正で利用しにくくなると思われますが、債権者保護の観点から身元保証に関わる制度のニーズが高くなると考えられますが、改正案の作成過程でそういった議論は行われなかったんでしょうか。
xx民事局長:法制審議会におきましては、身元保証ニ関スル法律についても見直しの対象とする必要があるか否かなどに関しまして検討が行われました。もっとも、身元保証に代わる新たな制度を検討する必要を指摘する意見は、これはなかったものというふうに承知しております。
5 月 23 日
xxxx委員:(前略)この個人の保証の保証人になることについての保護については、不特定の債権についての根保証契約についても今回の民法改正では盛り込まれていると思うんですけれども、この根保証に関する規定については、個人の保護という観点では以前の民法改正でも規定が新たに設けられたと思うんですけれども、以前の改正の内容について、またそのときの国会の議論というものを御紹介いただければと思います。
xx民事局長:今御指摘ありました根保証契約におきましては、特定の債務を主債務とする通常の保証契約とは異なりまして、主債務となる債務が保証契約の締結後に追加される可能性があり、保証人が契約時には予想していなかった過大な責任を負うリスクがございます。このため、平成十六年の民法改正によりまして、主債務に貸金等債務が含まれている保証人が個人であります根保証契約については保証人の責任の上限となる極度額を定めなければならないこと、それから、債務の元本が確定する期日を原則として三年後とすること、それから、主債務者や保証人に破産や死亡などの事情が生じた際にも元本が確定することとしたわけでございます。他方で、貸金等債務以外の債務が主債務である根保証契約についてはこのような規律が設けられなかったわけでございますが、この点につきましては、衆参両院におきまして、貸金等債務以外の債務を主たる債務とする根保証契約についても個人保証人を保護する措置を講じることについて検討することという旨の附帯決議が付されておりました。
xxxx委員:(前略)貸金以外についても改正の検討ということで附帯決議に盛り込まれたということで今回の改正に至ったというふうに思いますけれども、では、今回の民法改正案について、根保証についてどの ような規定が盛り込まれているんでしょうか、お聞かせください。
xx民事局長:改正法案におきましては、根保証契約に関する規律のうち極度額と元本確定事由に関する規律について、それぞれ適用対象となる保証契約の範囲の拡大などを行っております。
まず、元本確定事由でございますが、現行法におきましては、保証人が個人である根保証契約のうち、主債務に貸金等債務が含まれているものに対象を限定して極度額を定めなければ契約が無効となる旨の規律が設けられております。しかし、この規律の対象とされました貸金等根保証契約以外の根保証契約について
も、個人である保証人が予想を超える過大な責任を負うおそれはあり得るわけでございます。そこで、法制審議会において規律の対象を拡大することの要否に関して調査審議が重ねられましたが、裁判例の中には、不動産の賃借人の債務を主債務とする根保証契約において、賃借人が長期にわたり賃料を滞納した事案や賃借人が賃借物件において自殺した事案などで親類や知人である個人保証人に過大な責任を求めることが問題となったものもあることから、極度額に関する規律の対象を貸金等根保証契約以外の保証人が個人である根保証契約にも拡大すべきであるとの意見が大勢を占めました。
他方で、建物賃貸借の根保証は賃料以外にも賃借人が負う損害賠償債務なども保証するものでありまして、将来発生する損害などを予測して極度額を定めることは実務的に困難であるとの意見もございました。しかし、予測が困難であることのリスクを個人保証人に負わせるのは適当でなく、個人保証人については極度額を定めることとした上で、必要に応じて現在の実務でも用いられている法人の保証人をより活用することが適切であるとの意見が大勢を占めました。
そこで、改正法案におきましては極度額に関する規律の対象を一般的に拡大いたしまして、保証人が個人 である根保証契約については主債務の種別を問わず極度額を定めなければならない、そうしなければ効力を生じないということとしております。
次に、元本確定事由の関係でございますが、現行法では、主債務者か保証人のいずれかが破産したり死亡したり、あるいは債権者から強制執行などを受けるといった、合計六つの事由が定められております。
もっとも、貸金等根保証契約以外の保証人が個人である根保証契約においても契約締結後に著しい事情変更が生ずることはあり得ます。そのため、法制審議会においては、元本確定事由に関する規律の対象を貸金等根保証契約以外の保証人が個人である根保証契約にも拡大することの要否について調査審議が重ねられましたが、予想外の事態が生じた場合における個人保証人の責任をできる限り低減する観点から、貸金等根保証契約以外の保証人が個人である根保証契約についても基本的に元本確定事由の規律を及ぼしていくべきであるとの意見が大勢を占めました。
他方で、主債務者が債権者から強制執行などを受けたこと、それから主債務者が破産したことという二つの事由については、これを保証人が個人である根保証契約一般の元本確定事由とすることに否定的な意見が大勢を占めました。典型例と言える不動産の賃借人の債務を主債務とする根保証契約について、これらの二つの事由によって主債務の元本が確定してしまうと賃貸借契約は主債務者である賃借人の破産等によっても終了しないため、賃貸人としては保証契約の存在を前提として賃貸したにもかかわらず、以後は保証契約のない状態での賃貸を強いられるという、そういう不都合が生ずるからでございます。そこで、改正法案においては、これらの二つの事由を除く元本確定事由に関する規律について、その対象を拡大したものでございます。
以上に対しまして、元本確定期日に関する規律については対象を拡大する改正を行っておりません。法制審議会では、保証人の責任を限定するため、元本確定期日に関する規律の対象を貸金等根保証契約以外の保証人が個人である根保証契約にも拡大することの要否が検討されました。しかし、貸金等根保証契約以外で保証人が個人である根保証契約の典型例であります不動産の賃借人の債務を主債務とする根保証契約について、例えば最長でも五年以内には元本が確定することとすると、賃貸人としては、保証契約の存在を前提として賃貸借契約を締結したにもかかわらず、五年を超えて賃貸借契約が存続した場合には保証がないまま賃貸することを強いられるという不都合が生ずるというところが指摘されました。
他方で、改正法案においては個人根保証契約一般について極度額を定めなければならないこととしており
ますから、元本確定期日に関する規律の対象とされなくとも、保証人が予想を超える過大な責任を負う事態は最低限回避が可能となるということが言えます。
そこで、改正法案におきましては、元本確定期日に関する規律の対象は拡大することとはしておりません。以上でございます。
xxxx委員:局長からるる、るる説明がございましたけれども、一方、極度額の対象を広げるということではありましたけれども、実際の現場で極度額がすごい高額だったら、結果的にそういう意味で保証人の保護につながらないんじゃないか、保証人の被害になってしまうんじゃないかというおそれもあろうかと思いますけれども、この点について副大臣はどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
xx法務副大臣:xx委員の御指摘のように、その極度額、これが余りに高額であればと、こういうような御心配あろうかと思います。今回の民法の改正の案によりまして、その個人の保証、個人の根保証の保証というものを金銭債務以外に拡大をすると、こういう議論でなってきたわけでございますけれども、まずは、極度額の上限というものについて定めないということにつきましては、当事者間の合意というものがやはり何よりも優先されるということでございます。どういうような契約の内容であるのか、その個々の事情に応じて決めるべきであり、そして法律でその上限額をここまでとしなければならないというような設定をするというのが困難である上、仮に一定の金額を上限額と法定する場合、場合によっては円滑な金融を阻害するおそれもあると、そういうふうにも考えられるところであります。
また他方、高額の極度額が定められるということでの被害が生ずるのではないかということにつきましても、内容次第でございますけれども、その主たる債務者の資金需要、保証人の資力等を勘案しない著しく高 額な極度額が定められるという場合については、ケース次第ではございますが、保証契約それ自体が無効とされる、公序良俗に反する、こういう可能性もあろうかと思います。
いずれにせよ、法務省としましては、当事者が合理的な極度額を定めるよう、極度額に関する規制を設けた今回の法改正の趣旨というものを十分に周知していきたいと考えております。
xxxx委員:経済活動を阻害しないということと個人のいろんな被害を防止するというのはバランスの非常に難しい問題ではあろうかと思っておりますけれども、またこの法律が、改正がもし実現したならば、随時その執行状況を見て、いろいろな形で必要な手当てをしていっていただきたいと思います。
5 月 25 日
xxxx委員:(前略)私、今日取り上げたいのは賃貸住宅。(中略)部屋を借りたり、特に民間の部屋を借りたり、それから家を借りたりする、いわゆる賃貸住宅を借りるときに、私たちはやっぱり不動産屋さんへ行って、一番最初に賃貸契約書なるものを目の前に出されて、そしてxxさんと、それから借り手、たな子さんと、それからその仲介をする多分不動産業者あるいはxx業者というような形で賃貸契約書というのを作ると思うんですが、今回の民法の改正の中で第三者保証というのがありましたね。この賃貸契約書の中にも 保証、保証人という欄がありますね。大体一般的には両親がなるとか、あるいは親類がなるとか、それでも見付からないときは友人とかという方が保証人になる。この保証人も何かのことがあれば保証しなくちゃいけないというふうに思うんですけれども、この保証人というのも、今回のいわゆる第三者保証、つまり、言われている公証役場の公証人のxx証書というのが必要な、そういうようなものに対象になるのかなという、そういう疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。まず、この点から伺っていきたいと思います。
xx民事局長:お答えいたします。改正法案では、公証人による保証意思の確認手続を新設しておりますが、
その対象は事業のために負担した貸金等債務、この定義は四百六十五条の三第一項にございまして、金銭の貸し渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務でございます。この事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約とされております。したがいまして、貸金等債務には該当しない賃貸借契約 における賃借人の債務を主債務とする保証契約はその対象とはなりません。したがいまして、賃借人の賃貸人に対する債務を主債務とする保証契約についてはxx証書の作成は必要でございません。
○xxxx委員:ありがとうございました。賃貸住宅の場合は金銭の貸し借りじゃなくて、借主がきちっと家賃を払ってくれるかどうかということに対する保証人ではないかと思うんで、いわゆる今回の第三者保証の対象にはならないということで、そうすると、この賃貸契約書を作るときに特に公証人のそういうxx証書は必要ないということで、これは今までと変わりなくということになると思います。そうすると、その保証人の役割、どういうふうな役割になるのかということと、それから、この保証人、例えば家賃の未払があっ たときというのは一番分かりやすい例だと思うんですが、保証人の役割ですね、それから、どこまでその責任範囲があるのかというようなことについて伺いたいと思います。
xx民事局長:保証人の役割と保証の範囲についてのお尋ねでございます。まずは、賃貸借契約に伴う保証における被担保債権の範囲は、これはやはり個別具体的な契約によって異なるところでございます。例えば、不動産の賃借人が賃貸人に対して負担する賃料債務その他の賃貸借から生ずる一切の債務を主債務とする 根保証契約が締結された場合には、一般に、賃借人の負う賃料債務のほか、賃借人が賃貸人に対して負います損害賠償債務についても保証の範囲として含まれることになると考えられます。
したがいまして、もちろんこれも個別の事情によるとは考えられますが、例えば、賃借人が賃借物件の内 部で自殺し、それが契約違反に当たり、賃借人に損害賠償債務が生じていたと認められる事案については、保証人はその損害賠償債務について責任を負うことになるものと解され、その賠償の範囲についても物件価値の毀損分等が損害として認められるということも、これはもちろん契約の趣旨にもよるわけでございますが、そういうこともあり得るものと考えられるところでございます。
xxxx委員:意外と、xxを借りるケースと違って、家を借りるときの保証人というのは、そうすると、頭の中で浮かぶのは、借主が家賃を滞納しちゃったり、家賃を払わないでどこかへ逃げちゃったり、それから何か不測の事態がちょっとあってお金が掛かるような修理が必要だぐらいかなというふうに思うんですけれども、今答弁伺っていますと、例えば、やっぱり不測の事態って結構いろいろ考えられるような今発言、答弁伺って感じたんですが。例えば、例えばですよ、今独り暮らしの方が多くなっていますよね。そうすると、孤独死というのがすごく問題になりますね。借りた部屋の中であるとき突然その借主の方が亡くなられるということもある。そういうこともある。それから、その部屋の主の方が部屋で不幸にして人生悲観して自殺しちゃうようなこともあるかもしれませんし。それから、場合によっては、部屋なら部屋でいいんですけれども、ケースとしては、そのマンション、借りている部屋のあるマンションですね、マンションの屋上なり階段の踊り場なりから飛び降り自殺みたいなことをしてしまうと、そのマンション全体の、何というんですか、イメージとか評価とか、それから貸しに出すにしても、やっぱりそういう事実があるとなかなかxxさんにとっては厳しいことになると思うんですが、つまりこの保証人というのは、そういうこともあったら保証の対象になるというふうな見解でよろしいんでしょうか。
xx民事局長:もちろん、これは現行の制度の説明ということになりますが、契約の趣旨にもよりますが、自
殺などの場合には、先ほど申し上げましたように、保証の対象と、損害賠償義務が発生して保証の対象となるということは考えられます。お話にありましたような自然死のような場合はまた、責めに帰すべき事由が
あるかどうかということの議論は当然あるところかと思います。
なお、改正法案におきましては、保証人が個人である根保証契約については、保証人が契約時には予想していなかった過大な責任を負うリスクがあることから、賃借人の債務を主債務とする根保証契約を含めて、主債務の種別を問わず極度額を定めなければ効力を生じないこととしております。この改正点は、お尋ねにありました賃貸借契約に伴う保証人の責任について限定する機能を果たすことが期待されているところでございます。
xxxx委員:そうすると、現行とそれから今度の新しいルールになると、今おっしゃった極度額、これ、法律の専門用語じゃないかと思うんですが、言ってみれば賠償の限度額というふうに言ってもいいと思いますけれども、それをあらかじめ決めておかなくてはいけないというような、今度の新しいルールはですね、おっしゃったんですけど、そうすると、普通、賃貸契約書の中でそこまで書き込んであるか、あるいはそこまで説明を例えば仲介業者から受けるかというと、現時点では何か受けていない、それからそういうのを書き込むところもないというような気がしますけれども、今おっしゃった極度額というのを新しいルールでいうと、何か契約上で変化、そのときに説明するなりあるいはそういう書類なりということで準備をしないと、保証人というのは言ってみればとんでもない予想外の賠償をしなくてはいけないケースになるということなんでしょうか。
xx民事局長:保証契約の方が書面によることを求めていますので、契約書に様々な条項を記載していただく必要が出てまいります。先ほど申し上げました根保証の極度額につきましても同様に記載していただくということになります。
xxxx委員:念のためですが、そうすると、この新しいルールになった場合は、賃貸契約書の中に、多分保 証人の欄のところに保証人が負うべき義務というか責任というか、そういうものがある程度明記されるというふうに解釈してよろしいんでしょうか。
xx民事局長:記載されることになると思います。
xxxx委員:お金の貸し借りと違って、家を借りるときの保証人って気軽に、それこそ気軽に引き受けてしまうことが多いと思うんですけれども、そのときに万々が一大きなそういう事態になるとやっぱり困るので、その辺はやはりきちっとした体制というのをこれからつくっていかなくてはいけないと思いますので、よろしくお願いします。
極度額
改正法465条の2の規定により、不動産賃貸借に係る個人根保証契約について、契約書で「連帯保証人は、極度額○○円を限度として負担する」などの条項を書面で定めなければ、保証契約は無効となる。
法案審査において、この極度額は、主たる債務者の資金需要や保証人の資力などを勘案しないで著しく高額な極度額が定められた場合は、無効となる可能性があることが明らかになった。
不動産賃貸借に伴う賃借人の債務は、賃料債務のほか、建物を損傷することによる損害賠償債務や場合によっては、自殺により賃貸できなくなったことによる機会費用の損害賠償も含み得、賃貸借に係る一切の債務となるため、見込まれる債務の額を推計し、その極度額を設定するのは困難である。また、通常賃貸人が保証人の資力について情報を持っているわけでもない。したがって、どの程度の額であれば、賃借人の債務の見込まれる額や保証人の資力を勘案して著しく高額な極度額になり、公序良俗に反し無効となるかは不分明であろう。もっとも、高額な極度額にすれば、そもそも保証人の引き受け手が
いなくなるであろう。個人保証だけでなく、機関保証、敷金、保険等多様な手立てを適切に組合せることが有効となろう。
保証契約の性質を有する身元保証
サービス付き高齢者向け住宅などでは、身元保証を求めることがあるが、一般にこの身元保証は、入居者による損害賠償債務も保証するものである。
法案審査において、保証契約の性質を有する身元保証については、改正法465条の2の規定が適用され、極度額を書面により定めなければ、無効となることが明らかになった。
(xx x)