Contract
日・加物品役務相互提供協定(日加ACSA)は、自衛隊とカナダ軍隊との間で物品・役務を相互に提供する際の決済手続等の枠組みを定める協定。
カナダから、我が国との間の安全保障面での協力拡大を踏まえACSA締結の提案があり、2011年8月の第
1回日加次官級「2+2」対話において交渉開始を決定。
2018年4月21日、xxxx外務大臣とxxxxxx・xxxxxx加外務大臣との間で署名。
景
背
日・加物品役務相互提供協定(日加ACSA)
主な内容
(参考)
我が国が締結済みのACSA
■日米
2016年9月署名
2017年4月発効
※1996年の協定に代わる新協定
■日豪
2017年1月署名
2017年9月発効
※2013年の協定に代わる新協定
■日英
2017年1月署名
2017年8月発効
本協定の適用対象
自衛隊とカナダ軍隊の双方が参加する訓練のための物品役務提供 【第1条1a】
PKO、国際連携平和安全活動、人道的な国際救援活動、大規模災害への対処のための活動のための物品役務提供 【第1条1b】
外国での緊急事態における自国民等の保護措置又は輸送のための物品役務提供 【第1条1c】
連絡調整その他の日常的な活動のための物品役務提供 【第1条1d】
それぞれの国の法令により物品役務提供が認められるその他の活動のための物品役務提供 【第1条1e】
提供される物品・役務の区分
本協定の締結によって、自衛隊とカナダ軍隊が実施する活動においてそれぞれの役割を一層効率的に果たすことを促進し、並びに国際の平和及び安全に積極的に寄与することとなる。
早期締結の必要性
食料 水 宿泊 輸送 燃料・油脂・潤滑油 被服 通信業務 衛生業務 基地活動支援保管業務 施設の利用 訓練業務 部品・構成品 修理・整備業務 空港・港湾業務 弾薬
日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における物品又は役務の相互
の提供に関する日本国政府とカナダ政府との間の協定
日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とカナダ
政府との間の協定
日本国政府及びカナダ政府(以下個別に「当事国政府」といい、「両当事国政府」と総称する。)は、 後方支援の分野における物品又は役務(以下「物品又は役務」という。)の相互の提供に関する枠組みを
設けることが、日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間の緊密な協力を促進することを認識し、
このような枠組みを設けることが、日本国の自衛隊及びカナダ軍隊が実施する活動においてそれぞれの役割を一層効率的に果たすことを促進し、並びに国際の平和及び安全に積極的に寄与することを理解して、
次のとおり協定した。
第一条
1 この協定は、日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における次に掲げる活動のために必要な物品又は役務の相互の提供に関する基本的な条件を定めることを目的とする。
(a)
日本国の自衛隊及びカナダ軍隊の双方の参加を得て行われる訓練
x
x
(b)
国際連合平和維持活動、国際連携平和安全活動、人道的な国際救援活動又はいずれかの当事国政府の
国若しくは第三国の領域における大規模災害への対処のための活動
(c)
外国での緊急事態における自国民又は、適当な場合には、その他の者の退去のための保護措置又は輸
送
(d)
連絡調整その他の日常的な活動(いずれか一方の当事国政府の部隊の艦船又は航空機による他方の当
事国政府の国の領域内の施設への訪問を含む。)。ただし、いずれかの当事国政府の部隊が単独で行う
訓練を除く。
(e)
それぞれの国の法令により物品又は役務の提供が認められるその他の活動
2 この協定は、相互主義の原則に基づく物品又は役務の提供のための枠組みについて定める。
3 この協定に基づいて行われる物品又は役務の要請、提供、受領及び決済については、日本国の自衛隊及びカナダ軍隊が実施する。
第二条
(a)
(e)
1 いずれか一方の当事国政府が日本国の自衛隊又はカナダ軍隊により実施される前条1 から までに掲
げる活動のために必要な物品又は役務の提供を他方の当事国政府に対してこの協定に基づいて要請する場
合には、当該他方の当事国政府は、その権限の範囲内で、要請された物品又は役務を提供することができる。
2 この協定に基づいて提供される物品又は役務は、次に掲げる区分に係るものとする。
食料、水、宿泊、輸送(空輸を含む。)、燃料・油脂・潤滑油、被服、通信業務、衛生業務、基地活動支援(基地活動支援に付随する建設を含む。)、保管業務、施設の利用、訓練業務、部品・構成品、修理・整備業務(校正業務を含む。)、空港・港湾業務及び弾薬
それぞれの区分に係る物品又は役務については、付表において定める。
3 2の規定については、日本国の自衛隊又はカナダ軍隊による武器の提供が含まれるものと解してはならない。
(a)
(e)
4 日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における前条1 から までに掲げる活動のために必要な物品又は
役務の提供は、それぞれの国の法令に従って行われる。
第xx
x
x
1 両当事国政府は、この協定に基づいて提供される物品又は役務の使用が国際連合憲章と両立することを確保しなければならない。
2 この協定に基づいて物品又は役務を受領した当事国政府(以下「受領当事国政府」という。)は、当該物品又は役務を提供した当事国政府(以下「提供当事国政府」という。)の書面による事前の同意を得ないで、一時的であれ又は永続的であれ、いかなる手段によっても、当該物品又は役務を受領当事国政府の部隊以外の者に移転してはならない。
第四条
(a)
1 この協定に基づいて行われる物品又は役務の提供に係る決済の手続は、次のとおりとする。物品の提供については、
(i)
受領当事国政府は、提供当事国政府にとって満足のできる状態及び方法で当該物品を返還する。た
(ii)
だし、 の規定の適用を妨げるものではない。
(ii)
提供された物品が消耗品である場合又は受領当事国政府が当該物品を提供当事国政府にとって満足
のできる状態及び方法で返還することができない場合には、受領当事国政府は、同種、同等及び同量
(iii)
の物品を提供当事国政府にとって満足のできる状態及び方法で返還する。ただし、 の規定の適用を
妨げるものではない。
(iii)
受領当事国政府が提供された物品と同種、同等及び同量の物品を提供当事国政府にとって満足ので
きる状態及び方法で返還することができない場合には、受領当事国政府は、提供当事国政府に対して
提供当事国政府の指定する通貨により償還する。
(b)
役務の提供については、提供当事国政府の指定する通貨により提供された役務を受領当事国政府が償
還するか又は同種であり、かつ、同等の価値を有する役務を提供することによって決済する。決済の方
法については、当該役務が提供される前に両当事国政府が共同で決定する。
2 両当事国政府は、それぞれの国の法令が許容する範囲内において、この協定に基づいて提供される物品又は役務に対して消費税を課さないものとする。
第五条
1 この協定に基づいて行われる物品又は役務の相互の提供については、この協定に従属し、並びに条件の補足的な細目及び手続であってこの協定を実施するためのものを定める手続取決め(その修正を含む。)
五
六
に従って実施される。手続取決めは、両当事国政府の権限のある当局の間で作成される。
(a)
(iii)
(b)
2 前条1 及び1 の規定に従って償還される物品又は役務の価格は、手続取決めに定める関連規定に
基づいて決定される。
第六条
1 この協定の規定は、千九百五十四年二月十九日に署名された日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基づいて国際連合の軍隊を構成する部隊として行動するカナダ軍隊が実施するいかなる活動にも適用されない。
2 両当事国政府は、この協定の実施に関し相互に緊密に協議する。
3 この協定及び手続取決めの解釈又は実施に関するいかなる事項も、両当事国政府の間の協議によってのみ解決されるものとする。
4 両当事国政府の権限のある当局は、手続取決めに規定する手続に従い、この協定の実施に関して生ずる紛争を解決するものとする。
第七条
1 この協定は、両当事国政府がこの協定の効力発生に必要な自己の内部手続を完了した旨を相互に通告す
る外交上のxxを交換した日の後三十日目に効力を生ずる。この協定は、十年間効力を有するものとし、その後は、いずれか一方の当事国政府がそれぞれの十年の期間が満了する少なくとも六箇月前に他方の当事国政府に対してこの協定を終了させる意思を書面により通告しない限り、xxそれぞれ十年の期間、自動的に効力を延長されるものとする。
2 1の規定にかかわらず、各当事国政府は、他方の当事国政府に対して一年前に書面により通告することによって、いつでもこの協定を終了させることができる。
3 この協定は、両当事国政府の間の書面による合意によって改正することができる。
4 この協定の終了の後においても、この協定に基づいて行われた物品又は役務の相互の提供に関し、第三条から第五条まで並びに前条3及び4の規定は、引き続き効力を有する。
以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。
七
八
二千十八年四月二十一日にトロントで、ひとしくxxである日本語、英語及びフランス語により本書二通を作成した。
日本国政府のためにxxxx
カナダ政府のために C・フリーランド
付表
区 分
食料 食料、食事の提供、調理器具及びこれらに類するもの
水 水、給水、給水に必要な用具及びこれらに類するもの
宿泊 宿泊設備及び入浴設備の利用、寝具類並びにこれらに類するもの
輸送(空輸を含む。)燃料・油脂・潤滑油 被服
通信業務衛生業務
基地活動支援(基地活動支援に付随する建設を含む。)
保管業務 施設の利用訓練業務
部品・構成品
修理・整備業務(校正業務を含む。)空港・港湾業務
弾薬
人又は物の輸送、輸送用資材及びこれらに類するもの
燃料、油脂及び潤滑油、給油、給油に必要な用具並びにこれらに類するもの被服、被服の補修及びこれらに類するもの
通信設備の利用、通信業務、通信機器及びこれらに類するもの診療、衛生機具及びこれらに類するもの
廃棄物の収集及び処理、洗濯、給電、環境面の支援、建設、消毒機具及び消毒並びにこれらに類するもの
倉庫又は冷蔵貯蔵室における一時的保管及びこれに類するもの建物、施設及び土地の一時的利用並びにこれらに類するもの
指導員の派遣、教育訓練用資材、訓練用消耗品及びこれらに類するもの
軍用航空機、軍用車両及び軍用船舶の部品又は構成品並びにこれらに類するもの修理及び整備、修理及び整備用機器並びにこれらに類するもの
航空機の離発着及び艦船の出入港に対する支援、積卸作業並びにこれらに類するもの弾薬、弾薬の提供、弾薬の提供に必要な用具及びこれらに類するもの
九
(参考)
日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とカナダ政府との間の協定第五条に基づく日本国防衛省とカナダ国防省との間の手続取決め要旨
1 目的及び適用範囲
(1)日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とカナダ政府との間の協定(以下「協定」という。)に基づく物品又は役務の相互の提供に関する補足的な細目及び手続について定める。
(2)手続取決めの下で行う両当事者(日本国防衛省及びカナダ国防省)による全ての活動は、国際法及びそれぞれの国の法令に従って行われることについて定める。
(3)両当事者は、武器を提供しないこと、また、それぞれの国の法令により禁止されている品目を相互に提供しないことについて定める。
2 運用及び決済
(1)各当事者は、その権限の範囲内で、他方の当事者の要請に応えるべくあらゆる努力を払うことについて定める。
(2)手続取決めを実施するための追加的な細目を定める実施取決めについて定める。
(3)連絡経路、発注証の様式、受領当事者の責任等並びに物品又は役務の要請、提供及び受領の手続の細目について定める。
(4)物品又は役務の価格の決定の手続、決済の期限、連絡先等、協定第四条に基づく決済の手続の細目について定める。
(5)物品又は役務に対する税及び関税の減免に係る協力について定める。
(6)手続取決め等に基づく処理は、原則として秘密に該当しない水準において実施することについて定める。
3 解釈の相違及び請求の処理
(1)手続取決めの解釈及び適用に関する相違は、協議を通じて解決することについて定める。
(2)手続取決めに関連する公務の遂行に当たり生じた損害等に関し相互に又は第三者から請求が提起された場合には、両当事者は、それぞれの国の法令により認められる範囲内で解決するため協議することについて定める。
4 一般的条項
(1)手続取決めは、協定が発効した日から協定が効力を有する間有効であることについて定める。
(2)手続取決めは、両当事者間の書面による同意により修正することができることについて定める。
(了)