Contract
第1章 債権総説
通常,金銭債権は通貨で弁済される。債務者は自らの選択で「各種の通貨で弁済をすること」ができる(402 条 1 項)。つまり,100 万円を 1 万円札で支払うことも千円札で支払うこともできる。債権額が外国通貨で表示してある場合,債務者は履行地における為替相場で換算した額を日本の通貨で提供することができる(403 条)[平 2-3-ウ]。為替相場の基準時は現実に弁済する時点(裁判では事実審の口頭弁論終結時)である★ 1 最判昭 50.7.15)
二 利息債権
1 意 義
金銭の貸借にあっては,借主は借受金(元金)を返還するとともに,合意があれば,元金を使用した期間に対応した一定の比率(利率)によって計算される金銭(利息)を支払わなければならない。このような場合に 貸主が元金の支払いを求めることができる権利を元本債権,利息の支払いを目的とする債権を利息債権という。
利息債権には①基本権たる利息債権(利息を生ずることを目的とする基本的な債権)と②支分権たる利息債権(基本権たる利息債権の効果として一定期において一定額を支払うべき支分権)とがある★ 2
2 利 率
金銭の貸借について利息をとるかどうか,利率をいくらに定めるかは,当事者の合意に委ねられている。ただし,利息をとるという合意がない限り 民法上は無利息が原則である(587 条)。また,利率については,法外な高利から債務者を保護する趣旨から,利息制限法★ 3 及び出資取締法による制限
がある(利息 1 条,出資取締 5 条)
法律の規定又は当事者の合意により利息が発生する場合に,利率については合意しなかったときの利率を,民法は年5分と定めている(404 条)。この利率を法定利率(民事法定利率)という★ 4
第
4編
★ 1 特定の国の通貨で弁済することを合意している場合には,当然合意された国の通貨で弁済することになります
★ 2 たとえば,100 万円を 1 年間借金しその利息が年
12%で月額 1 万円の返済約定だとすると,この約定通りの利息を支払わねばならない債権が基本権たる利息債権とされ,毎月 1 万円ずつ支払うべき債権が支分権たる利息債権とされます
★ 3 利息制限法に関しては第 6 編第 5 章「消費貸借」へ
図表 3
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★ 4 商法においては民法の原則が修正され,商人間の金銭貸借については当然に利息が生ずるものとされ( 商 513 条 1 項)また,利率の合意がないときの利率は年6分 ( 商事法定利率) とされています( 商 514 条)
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司法書士試験 ブレークスルー 民法Ⅲ [債権]