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目次
(1) 平成 28 年度から令和元年度における動物の飼養保管等業務委託契約に係る契約及び当該契約の履行に係る支出について 1
(3) 本件委託契約に基づく動物の回収、飼養保管及び処分について 9
(1) 動物の飼養保管等業務委託料の額及び契約の締結について 13
(3) 動愛センターでの本件委託契約の履行に係る支出について 15
別紙1記載のとおり。
本件住民監査請求は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第1項に定める要件を具備しているものと認め、受理することとした。
令和2年度の動物の飼養保管等業務委託契約に係る契約及び当該契約の履行に係る支出
(1) 平成 28 年度から令和元年度における動物の飼養保管等業務委託契約に係る契約及び当該契約の履行に係る支出について
地方自治法第242条第2項において、違法又は不当な公金の支出のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、正当な理由がある場合を除いて、住民監査請求をすることができない旨規定されている。
請求人は、令和2年度に入り「委託が収容数ではなく送致数という知り得ない事実が発覚したため」として、平成28年度から令和2年度までの過去5年間の動物の飼養保管等業務委託契約に係る財務会計行為をこの請求の対象としている。委託料の積算については後記第4の1(2)ウのとおりであり、委託料の額は、世帯数、殺処分数及び回収回数(犬、猫及び回収容器等の配送の実績)による按分により積算され、動物の個体に係る府への送致数の実績は委託料の額の積算根拠となっていない。また、後記第4の1(2)オのとおり、この契約には、実績に応じた精算条項もないのであるか
ら、契約の履行についても中核市の収容数か府への送致数かによって変わるものではない。
以上を踏まえると、平成 28 年度から令和元年度における動物の飼養保管等業務委託契約に係る契約及び当該契約の履行に係る支出については、1年を経過したことに正当な理由が存するとは認められず、監査の対象とは認められない。
請求人は、中核市から府が受領する動物の飼養保管等業務委託契約に係る委託料は一般会計へ歳入され、動物愛護管理センターの動物の歳出予算として全額を予算取りしていない旨、本来動物のための予算が使途不明金として不当に流用若しくは処分されている旨主張する。
予算は、地方公共団体の長が調製し、議会の議決を経たものである。住民監査請求の対象となるのは、地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は地方公共団体の職員について、違法又は不当な財務会計上の行為及び一定の怠る事実である。具体的には、①公金の支出、②財産の取得、管理又は処分、③契約の締結又は履行、④債務その他の義務の負担がこれに該当する。
一方、条例の制定、予算その他の議決等の議会の行為は、それだけでは住民監査請求を行うことはできず、当該条例又は議決に基づき執行機関の具体的な行為が行われる段階になってはじめて請求の対象となることから、動物の飼養保管等業務委託契約に係る予算については、監査の対象とは認められない。
大阪府動物愛護管理センター(以下「動愛センター」という。)
請求人に対し、令和3年11月19日に地方自治法第242条第6項の規定に基づく証拠の提出及び陳述の機会(以下「請求人陳述」という。)を設けたところ、別紙2のとおり陳述があった。
令和3年11月25日及び同月26日、監査委員事務局職員が動愛センターに対し監査を実施し、動物の飼養保管等業務委託契約の委託料の額の積算は妥当であったか、当該契約の履行とそれに係る支出が適正であったか等、本件請求に係る契約締結及び履行に係る
支出に関する証拠書類の確認を行うとともに、業務内容等についての聞き取りを行った。
動愛センターに対し調査した結果、次のとおりの事実が認められた。
動愛センターは、地方自治法第 156 条第 1 項の規定に基づき、動物の愛護及び管理に関する事務並びに狂犬病の発生の予防に関する事務(保健所に分掌させるものを除く。)を分掌させるために、大阪府動物愛護管理センター設置条例(平成 29 年大阪府条例第5号)により設置されている。
動物の愛護及び管理に関する法律(昭和 48 年法律第 105 号。以下「法」という。)、狂犬病予防法(昭和 25 年法律第 247 号)及び大阪府動物の愛護及び管理に関する条例(平成 13 年大阪府条例第3号。以下「条例」という。)等に基づき、主に次に掲げる業務を実施している。
ア 動物取扱業の規制に関する事務
動物取扱業の登録(法第 10 条)、登録の更新(法第 13 条)、変更の届出(法第 14
条)、廃業等の届出(法第 16 条)、登録の抹消(法第 17 条)及び登録証の再交付事
務等(動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(平成 18 年環境省令第1号)第
2条)
イ 動物愛護の普及啓発に関する事務
動物の愛護と適正飼養について、関心を高め、理解を深めるため、動物愛護週間事業等の開催や、ポスターの作成・配布、ホームページの充実等を通じて啓発(法第
3条)
ウ 動物の不適正飼養などに関する苦情・相談に関する事務
犬、猫その他愛護動物の不適正飼養などに関する府民からの苦情や相談について、関係機関と連携・調整し、対応(法第 25 条など)
エ 犬・猫の引取り、負傷動物等の収容、動物の飼養管理、返還・譲渡等に関する事務
犬・猫の引取り(法第 35 条)、負傷動物等の収容(法第 36 条)、引取り等を行っ
た犬・猫などの飼養管理(治療その他必要な措置を行うこと。)(条例第 12 条)、返
還・処分(譲渡し及び殺処分。以下同じ。)(法第 35 条、条例第 12 条、第 14 条など)
オ 狂犬病の予防対策に関する事務
未登録犬・予防注射未接種犬等の捕獲(狂犬病予防法第6条)、未係留犬の捕獲を行い(条例第 11 条)、これらの犬の所有者への引渡しや、所有者が引き取らない場合の処分(狂犬病予防法第6条、条例第 12 条、第 14 条)。
また、狂犬病の発生時には、けい留命令の発出、隔離指示、一斉検診、臨時の予防注射、移動制限や交通遮断(狂犬病予防法第8条から第 18 条など)。
ア 動物の飼養保管等業務委託契約(以下「本件委託契約」という。)の締結
狂犬病予防法の規定に基づく犬の捕獲等に関する業務並びに法の規定に基づく 犬及び猫の引取りに関する業務及び負傷動物等の収容等に関する業務は、都道府県、指定都市及び中核市(以下「都道府県等」という。)の業務である(狂犬病予防法第
6条、法第35条及び第36条)。
また、都道府県等は動物の愛護及び管理に関する事務を所掌する部局又は設置する施設が動物愛護管理センターとしての機能を果たすようにするものとされている(法第37条の2)。
府は受注者として、これらの業務のうち、後記イの業務の実施について、発注者である府内の中核市のうち高槻市、豊中市、xx市、寝屋川市及びxx市(以下これらの5市を併せて「中核5市」という。)それぞれと、毎年度、本件委託契約を締結し、中核5市から依頼のあった犬、猫、負傷動物等の回収、飼養保管及び処分などの業務を実施している。
令和2年度については、府は、後記ウのとおり積算し、令和元年9月頃に委託料の見込み額を中核5市に提示の上、令和2年3月下旬に中核5市に契約を締結するかどうかの確認を行い、次のとおり中核5市それぞれと本件委託契約を締結した。
なお、中核市の東大阪市及び枚方市は、各市において自らこれらの業務を実施している。
中核市名 | 契約額 | 契約締結年月日 | 契約期間 |
高槻市 | 13,106,773 円 | 令和2年4月 1 日 | 令和2年4月1日から令和3年3月 31 日まで |
xx市 | 9,774,670 円 | ||
寝屋川市 | 9,459,833 円 | ||
xx市 | 15,032,832 円 | ||
豊中市 | 14,833,322 円 | ||
合 計 | 62,207,430 円 |
イ 令和2年度本件委託契約の業務について
本件委託契約により府が実施しなければならない業務は、本件委託契約の「動物の飼養保管等業務に係る仕様書」(別紙4。以下「仕様書」という。)で定める次の
①から④までの4つの業務である(実際の業務は、動愛センターにおいて実施。以下同じ。)。なお、令和2年度において、下記②及び④の業務についての実績はなかった。
①犬又は猫の回収、保管及び処分
※負傷した犬又は猫を含む。
②負傷動物等の回収、保管及び処分
③保管動物の管理及び引渡し
④危機管理体制の連携確保及び技術的支援
上記①から③までの業務内容は、府内の34市町村の区域(43市町村から指定都市及び中核市を除いた区域)において府が直接行わなければならない業務と同じ内容である。
また、上記④の業務のうち、危機管理体制の連携確保は、狂犬病(疑い含む。以下同じ。)が発生した際の犬の捕獲や防疫等広域的な対応や、大規模災害の発生により被災した動物の救護や受け入れなどを想定したものであり、技術的支援は、職員等の派遣や研修等の実施を想定したものであるが、令和2年度は、いずれも中核
5市から要請はなかった。
ウ 委託料の額の積算方法
後記(3)のとおり、府では、中核5市からの依頼に基づく動物の回収、飼養保管及
び処分について、①法第37条の2の規定により、中核市が動物の愛護及び管理に関する事務を所掌する部局又は設置する施設が動物愛護管理センターとしての機能を果たすようにするものとされていること、②動愛センターに直接収容された動物及び動愛センターの支所(箕面支所、四條畷支所又は泉佐野支所)から収容された動物と区別することなく取り扱っていることから、本件委託契約の委託料の額の積算に当たっては、前記イの①から③までの業務に必要となる府全体の費用の総額
(府内の34市町村と中核5市の区域で業務を行うための総額)を算出した上で、中核5市それぞれの世帯数や過去の動物の回収、飼養保管及び処分の実績を勘案して行っている。
具体的には、実際に本件委託契約の履行に関係する費用を動愛センターの支出等の中から抽出し、①中核5市からの委託に係る業務を、府が直接行うべき34市町村の区域の業務と区分することができないために世帯数による按分で積算している経費、②中核5市それぞれから回収した動物の殺処分数の実績で按分できる経費、
③中核5市それぞれからの回収回数の実績により按分できる経費に分類して算出し、これらを合計して積算している。それぞれの分類に含まれる経費は、次のとおりである。
①中核5市からの委託に係る業務を、府が直接行うべき34市町村の区域の業務と区分することができないために世帯数による按分で積算している経費:動愛センター人件費(飼養管理・譲渡関係業務、譲渡関係事務等、施設管理業務等)、公課費、委託料(回収委託、死体処理委託を除く。)、動愛センター減価償却費、消耗需用費
(えさ・薬品・処置用消耗品等)、維持需用費、役務費、使用料及び賃借料、動愛センター光熱水費、備品購入費
②中核5市それぞれから回収した動物の殺処分数の実績で按分できる経費:死体処分の委託料、動愛センター人件費(殺処分に係るもの)
③中核5市それぞれからの回収回数の実績により按分できる経費:犬猫の回収委託に係る経費
令和2年度の本件委託契約の委託料の額は、令和元年9月頃に、主にその前年度である平成30年度の執行実績をもとにして積算を行っている。各年度の委託料は、その前年度に、前々年度の執行実績に基づき積算される仕組みになっている。この仕組みにより、執行実績が委託料の額に反映される。
なお、委託料積算の概要と監査委員が算出した府全体額(39市町村分)については、次のとおりである。
【委託料積算の概要と府全体額(39市町村分)】
①世帯数による按分額 | ②殺処分数による按分額(犬猫計) | ③回収回数による按分額(犬猫等計) | 消費税 (10%) | 委託料の額 | ||||
高槻市 | 150,357 | 世帯 | 26 | 頭 | 23 | 回 | 410,247 円 | 13,106,773 円 |
11,983,026 | 円 | 438,658 | 円 | 274,842 | 円 | |||
豊中市 | 175,438 | 世帯 | 15 | 頭 | 7 | 回 | 452,262 円 | 14,833,322 円 |
14,080,055 | 円 | 237,702 | 円 | 63,303 | 円 | |||
xx市 | 113,400 | 世帯 | 24 | 頭 | 10 | 回 | 296,384 円 | 9,774,670 円 |
8,987,270 | 円 | 385,463 | 円 | 105,553 | 円 | |||
寝屋川市 | 102,450 | 世帯 | 41 | 頭 | 15 | 回 | 291,256 円 | 9,459,833 円 |
8,238,327 | 円 | 760,656 | 円 | 169,594 | 円 | |||
xx市 | 174,782 | 世帯 | 29 | 頭 | 15 | 回 | 460,367 円 | 15,032,832 円 |
13,930,269 | 円 | 472,602 | 円 | 169,594 | 円 | |||
中核5市計 | 716,427 | 世帯 | 135 | 頭 | 70 | 回 | 1,910,516 円 | 62,207,430 円 |
57,218,947 | 円 | 2,295,081 | 円 | 782,886 | 円 | |||
中核5市以外 (34市町村) | 1,158,666 | 世帯 | 314 | 頭 | 537 | 回 | 3,613,585 円 | 107,827,696 円 |
92,568,934 | 円 | 5,109,983 | 円 | 6,535,194 | 円 | |||
府全体 (39市町村) | 1,875,093 | 世帯 | 449 | 頭 | 607 | 回 | 5,524,101 円 | 170,035,126 円 |
149,787,881 | 円 | 7,405,064 | 円 | 7,318,080 | 円 |
・「①世帯数による按分額」は、前記①の経費であり、大阪府毎月推計人口(平成31年4月
1日現在)の世帯数により按分したもの。なお、飼養管理・譲渡関係業務、譲渡関係事務等、施設管理業務等に係る常勤職員の人件費は、本庁において、農業総務費で執行されている。
・「②殺処分数による按分額(犬猫計)」は、前記②の経費であり、平成30年度の殺処分数実績に基づき按分したもの。なお、殺処分に係る常勤職員の人件費は、本庁において、農業総務費で執行されている。
・「③回収回数による按分額(犬猫等計)」は、前記③の経費
※ 動愛センターでは、犬猫の回収について運送業者と委託契約を行っており、府域の南部地域を回収するA・Bコース、北部地域を回収するC・Dコースを設定し、コースごとに運行1回当たりの単価契約を行っている。この運行回数の実績による年間支出合計額が府全体に記載した額である。
按分の根拠となっている回数については、犬、猫及び回収容器等の配送の実績回数である。また、按分に当たっては、中核5市を回収するルートはBコース又はD
コースであるため、各コースの運送に要した年間経費を、各コース内での配送の実績回数で按分している。
寝屋川市及びxx市は、平成30年度は中核市ではなく、当該年度の回収実績がないことから、北部地区である高槻市と豊中市の実績回数の平均を用いて積算した回数としている。
・消費税は、中核5市に係る金額は、各中核市との本件委託契約書に記載のとおりであり、府全体に対する消費税の額は、本件委託料の積算において課税対象としている経費(人件費、公課費以外の全て)について、10%課税した場合の額を監査委員において算出し、中核5市以外の消費税額は、その差額を記載したもの。
・委託料の額については、①~③と消費税の合計額であり、中核5市以外と府全体に該当する額は、中核5市の委託料の額が全体に占める割合を算出するために、監査委員において算出した金額を記載
エ 実績報告等
府は、仕様書の4に基づき、毎月の実績報告書を、翌月の15日(3月については
3月末)までに、中核5市それぞれに提出することとされており、毎月提出されていた。なお、毎月の実績報告書を中核5市に提出するに当たり、動愛センターで意思決定を行うための決裁文書には、実績報告の根拠となる、「個体管理票」、「収容時調査・判定票」等の写しが添付されている。
さらに、年度末には、「動物の保管等業務実績報告書(通年)」を中核5市にそれぞれ提出している。
オ 委託料の収入について
1年間の受託業務の完了後、府は中核5市に対して完了届を提出し、中核5市それぞれでの確認後、納入通知書により支払いを受けている。なお、本件委託契約は、単価契約ではなく、実績に応じて精算する旨の条項は設けられていない。
なお、府が中核5市から委託料を収入する場合は、納入義務者である中核5市それぞれに納入通知書を送付しなければならず、納入通知書を受けた中核5市は、この納入通知書を用いて、大阪府の指定金融機関等に納付しなければならない(大阪府財務規則(昭和55年大阪府規則第48号。以下「財務規則」という。)第25条及び第 28条第1項)。
納入通知書で納付した場合には、指定金融機関等が出納印を押印した「納入通知書兼領収証書」が納付者に交付されることから、中核5市には、それぞれが支払っ
た委託料に係る「納入通知書兼領収証書」が交付されている。
中核5市から収納した金額、収納日等は、次のとおりで、いずれも納入期限日までに納入されている。
【委託料の収納状況】
中核市名 | 収納した金額 | 収納日 | 納入期限日 |
高槻市 | 13,106,773 円 | 令和3年5月 26 日 | 令和3年5月 26 日 |
xx市 | 9,774,670 円 | 令和3年5月 26 日 | 令和3年5月 26 日 |
寝屋川市 | 9,459,833 円 | 令和3年5月 20 日 | 令和3年5月 26 日 |
xx市 | 15,032,832 円 | 令和3年5月 25 日 | 令和3年5月 26 日 |
豊中市 | 14,833,322 円 | 令和3年5月 21 日 | 令和3年5月 26 日 |
合 計 | 62,207,430 円 | - | - |
(3) 本件委託契約に基づく動物の回収、飼養保管及び処分について
中核5市は、それぞれの市で収容した動物で、自ら返還や処分を行わなかった動物について、府に対して、本件委託契約書及び仕様書の定めに従い、「犬回収・保管・処分依頼書」、「猫回収・保管・処分依頼書」及び「負傷動物等保管・処分依頼書」により依頼・送致し、府はこれを受け、週2回、動物の回収を行い動愛センターに収容している。そのため、中核5市が府に送致する動物の個体に係る送致数(すなわち、府が中核5市から送致を受ける動物の個体に係る収容数)は、そのまま積算根拠となる府が行う動物の回収回数(犬、猫及び回収容器等の配送の実績)に対応するものではない。
動愛センターに収容後は、個体ごとに記録を付け、飼養保管及び処分を行っている
(前記(2)イの①~③の業務)。
中核5市からの依頼に基づき回収した動物の飼養保管及び処分については、動愛センターに直接収容された動物及び動愛センターの支所(箕面支所、四條畷支所又は泉佐野支所)から収容された動物と区別することなく、次のとおり取り扱われている。
ア 動物の収容
動物の収容には、次の3つの場合がある。
①犬の捕獲・抑留(狂犬病予防法第6条、条例第11条)
②動物の引取り(法第35条:犬及び猫 条例第10条:その他動物)
③負傷動物等の収容(法第36条)
動物は、動愛センターに直接収容される場合と、中核5市の保健所又は動愛センターの支所に一時収容された後に動愛センターに収容される場合がある。
いずれの場合も、府では、動物の収容時に、個体ごとに獣医師である職員により健康状態や性格等に関する調査を行い、譲渡適性を判定している。
イ 収容動物の飼養
動愛センターへ収容後、譲渡適性があると判定された動物は、府の責任において飼養されるとともに、日々の健康管理の中での必要な処置や譲渡に向けたしつけが行われている。
ウ 収容動物の返還
収容した動物については、収容の場所、日時、動物の種類等の情報を公示し、所有者に引き取りを求めている(条例第13条)。
なお、公示により所有者が判明しない動物及び所有者が引き取らない動物については、条例第13条第3項の規定により知事が処分することができることとされている。
エ 収容した動物の処分について
動愛センターに収容した動物の処分は、「犬及び猫の引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置について」(平成18年環境省告示第26号。以下「環境省告示」という。)第4「処分」において、譲渡しと殺処分に分類されている。
(ア) 譲渡しについて
収容時に譲渡適性ありと判定された動物については、収容後にも日々の健康状態の経過観察を行うとともに、段階的に譲渡適性を判断している。
継続して譲渡適正ありと判定された動物は、譲渡に向けてワクチン接種や飼養が行われ、譲渡xxために当該動物に関する情報が府ホームページで公開される。
動物の譲渡希望者は、必要書類(動物の譲渡希望者申込書、対象者の基準チェック表)を動愛センターに提出し、その後、動愛センターの職員による飼育適正を判断するための自宅の訪問調査を受けるとともに、動愛センターにおいて譲渡前講習会を受講することが求められている。
上記の自宅の訪問調査及び譲渡前講習会の受講の後、動愛センターで譲渡希
望者と動物とのマッチングを実施し、問題がなければ、条例第14条の規定に基づき、動愛センターから希望者へ当該動物の譲渡が行われる。
なお、譲渡適正ありと判定されたにもかかわらず、譲渡先が見つからない動物については、動愛センターにおいて飼養することとしている。
(イ) 殺処分について
殺処分は、法第5条に基づく「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」(平成18年環境省告示第140号)第2の2(2)②
「講ずべき措置」のイで、①譲渡することが適切ではない(治療の見込みがない病気や攻撃性がある等)、②①以外の処分(譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難)、③引取後の死亡の3つの場合に分類されている。
府においては、瀕死の状態で収容される等予後不良の動物、凶暴性が強く資質の改善などが見込めない動物、感染症により公衆衛生上の問題を引き起こす可能性のある動物については、行政の役割として、上記の分類により複数の獣医師である職員で判断し、条例第12条の規定に基づき、やむを得ない場合に殺処分しており、収容時の判定で、即日、殺処分することがある。
なお、殺処分する場合は、動物の殺処分方法に関する指針(平成7年総理府告示第40号(平成19年環境省告示第105号で改正。以下「環境省指針」という。))に則り、獣医師職員が動物の苦痛をできる限り軽減する方法により行うこととしている。
前記第3の5の実地監査において、令和2年度に動愛センターが本庁から配当を受けて執行した歳出予算のうち、動物愛護管理行政のため執行する動物愛護畜産振興費に係る経費支出全件(支出命令伺書729件)について、財務規則等に基づいて適正に執行されているかどうか確認を行ったところ、確認した限りにおいて適正に執行されており、動物愛護管理行政以外への執行など目的外使用や不正流用は見受けられなかった。また、領収書を徴取し、当該領収書を管理すべき支出に関しては、確認した限りにおいて、すべて証拠書類として領収書が管理されていた(財務規則第174条第2項及び第3項)。
府では、支払方法は、口座振替(債権者が指定する金融機関の口座への振込)が原則となっており(財務規則第113条第2項)、口座振替で支払う場合には領収書は徴していない。中核5市からの受託業務に必要となる犬・猫の回収及び運送業務委託の費
用、薬品やえさの購入のための費用等は、原則として口座振替で支払われており、確 認した限りにおいて、財務規則等に基づいて適正に執行されていた。領収書を徴する ことが必要となるのは、主に、①資金xx職員に概括的に経費の金額を交付し、現金 支払をさせる場合(資金xx。xx資金の精算に当たり、精算書に添える証拠書類と して領収書が必要となる場合がある。(財務規則第44条))と②xx支払基金による現 金支払の場合(領収書その他の書類を徴して支払いをし、精算を行う際に、証拠書類 として精算書に添付しなければならない。(xx支払基金の管理に関する規則(昭和 55年大阪府規則第45号)第7条及び第8条第3項))であり、例外的な場合に限られて いる。請求人が監査委員に提出した事実証明書類に含まれている医療機関の領収書は、動愛センターの職員が、動物の飼養保管等業務に必要な狂犬病の予防接種を受ける際 に、医療機関で現金支払を行うために資金xxで支出された経費に係るもので、xx 資金の精算書に証拠書類として添えられたものであった。
なお、府と中核5市との本件委託契約書において、当該契約の履行に関する府の支出に係る領収書を中核5市に提出する旨の定めはなく、中核5市から、当該契約の履行に関する府の支出に係る領収書を求められたこともない。
請求人は、府と中核5市との本件委託契約が違法・不当な契約の締結・履行に当たるとともに、この契約に係る支出が違法又は不当な公金の支出に当たる旨主張するので、以下判断する。
(1) 動物の飼養保管等業務委託料の額及び契約の締結について
請求人は、委託料の額の積算根拠の理由が錯誤である旨、中核5市は委託料の額に納得していない旨主張するので、以下、本件委託契約の締結に関して、違法又は不当な点があるかどうかについて検討する。
前記1(2)ウのとおり、府が積算する委託料の額は、実際に委託業務に関係する費用を動愛センターの支出等の中から抽出し、①中核5市からの委託に係る業務を、府が直接行うべき34市町村の区域の業務と区分することができないために世帯数による按分で積算している経費、②中核5市それぞれから回収した動物の殺処分数の実績で按分できる経費、③中核5市それぞれからの回収回数の実績により按分できる経費に分類して算出し、これらを合計した額としている。
この積算方法は、直近の実績である動愛センターの支出額等を、中核5市それぞれの世帯数や回収・動物の処分の実績に応じて算出するものであって、中核5市からの委託業務に必要となる経費について応分の負担を求めるものであり、不合理な方法ということはできず、積算根拠が錯誤であるとの請求人の主張は失当である。また、一般に委託契約は、両当事者が対等な立場で、契約するかどうかを決定する自由を有しており、東大阪市及び枚方市のように府と契約締結を行わない場合もある。
本件においては、前記1(2)ウのとおり、府は、令和2年度の本件委託契約に係る委託料の額とその積算根拠について令和元年9月頃に中核5市それぞれに提示し、令和
2年3月に契約締結に係る中核5市それぞれの意思決定に基づき、令和2年4月1日付けで契約を締結しており、中核5市が委託料の額に納得していないということもできない。
以上のことからすると、本件委託契約の締結は、違法又は不当であるということはできない。
なお、前記1(2)ウのとおり、令和2年度の中核5市の委託料の合計額は62,207,430円であるが、府全体(中核市を含む39市町村)で実際に業務を行うために必要な経費は170,035,126円の約36.6%に相当する額となっていること、中核5市の世帯数の合計は716,427世帯であって府全体(中核市を含む39市町村)の世帯数1,875,093世帯の約38.2%であることからすると、中核5市の委託料が割高であるともいえない。
請求人は、①十分な予算を請求しておきながらかけがえのない命を努力なしに奪い続けてきたのは不当であり、一切の治療を施さず即日殺処分したことがあること、②本件委託契約の業務には中核5市に対する技術支援が含まれているが中核5市が技術支援を受けた事実はないことをもって、本件委託契約の不履行である旨主張するので、以下、本件委託契約の履行に関して、違法又は不当な点があるかどうかについて検討する。
(①について)
犬又は猫に係る委託業務については、前記1(3)のとおり、府では、中核5市との本件委託契約の仕様書の定めに従い、中核5市それぞれから「犬回収・保管・処分依頼書」及び「猫回収・保管・処分依頼書」により依頼を受け、週2回、犬又は猫の回収を行っており、動愛センターに収容後は、他の市町村域から収容した動物と区別することなく、個体ごとに記録を付け、飼養保管及び処分を行っている。譲渡適性があると判定された犬又は猫は、府の責任において飼養されるとともに、日々の健康管理の中での必要な処置や譲渡に向けたしつけが行われている。
殺処分に関しても、他の市町村域から収容した動物と区別することなく、前記1 (3)エ(イ)の分類に従い、複数の職員で判定の上、条例第12条第2項の規定に基づき、やむを得ない場合に行っている。その場合においては、環境省指針に従い実施している。収容時の判定において、瀕死の状態で収容される等予後不良の動物、凶暴性が強く資質の改善などが見込めない動物などについても、条例第12条第2項の規定に基づき、やむを得ない場合に、即日殺処分することがあるが、環境省指針に従い実施している。
負傷動物等に係る委託業務についても、前記1(3)のとおり、府では、中核5市との本件委託契約の仕様書の定めに従い、中核5市それぞれから「負傷動物等保管・処分依頼書」により依頼を受け、動愛センターに収容後は、個体ごとに記録を付け、飼養保管及び処分を行うこととされており、他の市町村域から収容した負傷動物等と区別することなく取り扱うことになっているが、令和2年度は、負傷動物等の回収実績がなく、殺処分した実績もないことから、本件委託契約の不履行には当たらない。
(②について)
危機管理体制の連携確保に係る委託業務については、前記1(2)イのとおり、狂
犬病発生時の対応や大規模災害の発生により被災した動物の救護や受入れなどを想定したものであるが、令和2年度は、狂犬病の発生や被災動物の救護や受入れなどに伴う要請はなく、本件委託契約の不履行があったとはいえない。また、技術的支援に係る委託業務については、令和2年度において発注者から技術支援の要請はなく、本件委託契約の不履行があったとはいえない。
なお、前記1(2)オのとおり、府と中核5市との本件委託契約には、この業務の実績により委託料を精算する旨の規定はない。
以上のことからすると、本件委託契約の履行が違法又は不当であるということはできない。
(3) 動愛センターでの本件委託契約の履行に係る支出について
請求人は、①府が受領する委託料が動物のための歳出予算として全額予算取りされておらず、本来動物のための予算が使途不明金として不当に流用若しくは処分されている旨、②動愛センターが公開した領収書は職員の医療費がほとんどであり、目的外使用であり契約不履行である旨、③府は、動愛センターが本件委託契約に関して支出した実費の領収書を中核5市に対して提出しておらず、財務会計上不適切であり、民法(明治29年法律第89号)第486条に違反する旨、④府が中核5市に提出している実績報告書は収容数、譲渡数、殺処分数といった数の報告であり、会計行為としての実費の領収書ではない旨主張するので、以下、動愛センターでの本件委託契約の履行に係る支出に関して、違法又は不当な点があるかどうかについて検討する。
予算そのものについては監査の対象とは認められないことは前記第3の2(2)のとおりである。
(①について)
前記1(4)のとおり、令和2年度に動愛センターが執行した歳出予算のうち、動物愛護管理行政のため執行する動物愛護畜産振興費に係る経費支出全件(支出命令伺書729件)について確認した限りにおいて、財務規則等に基づいて適正に執行されており、動物愛護管理行政以外への執行など目的外使用や不正流用は見受けられなかった。受託業務に係る常勤職員人件費については、前記1(2)ウのとおり、本庁において執行されている。
(②について)
前記1(4)のとおり、中核5市からの受託業務に必要となる犬・猫の回収及び運送業務委託の費用、薬品やえさの購入のための費用等は、原則として領収書を徴することを要しない口座振替で支払われていた。なお、請求人が事実証明書類として監査委員に提出した領収書の写しには、医療機関のものが多数含まれているが、これらの領収書はすべて、動愛センターの職員が、狂犬病の予防接種を受けるために医療機関に現金支払を行った際のもので、動物の飼養保管等業務に必要な支払に係るものであった。
(③について)
前記1(4)のとおり、本件委託契約において、当該契約の履行に関する府の支払に係る領収書を中核市に提出する旨の定めはなく、財務規則及びxx支払基金の管理に関する規則で、領収書を徴取し、当該領収書を管理すべき支出に関しては、確認した限りにおいて、すべて証拠書類として領収書が管理されていた。なお、請求人が指摘する民法第486条は任意規定であるから法令違反には当たらない。
(④について)
前記1(2)エのとおり、実績報告書等の記載事項は、中核5市から府が収容した動物の数、処分数、処分理由等となっているが、本件委託契約書において、動愛センターがどのような物を購入し、中核5市の収容動物に使用したか報告する旨の定めはない。
以上のことからすると、動愛センターでの本件委託契約の履行に係る支出に、違法又は不当な点があるということはできない。
以上のとおり、府と中核5市との本件委託契約が違法又は不当な契約の締結・履行に当たるとともに、この契約に係る支出が違法又は不当な公金の支出に当たるという請求人の主張には理由がない。
よって、本件住民監査請求を棄却する。
令和3年10月25日付け 請求人提出 (1)請求の対象者および職員
大阪府知事
請求の要旨
(別紙1)請求の要旨
動物愛護管理センター 所長 ほか職員4名
(2)平成28年度から令和2年度まで、過去5年間の動物の保管等委託料に係る財務会計行為
(本年度に入り、委託が収容数ではなく送致数という知り得ない事実が発覚したため)
違法または不当な公金の支出
違法または不当な契約の締結、履行
(3)違法、または不当とする理由
中核市からの委託料は一般会計へ歳入されており大阪府の全体の会計に入ったままで大阪府動物愛護管理センターは動物の予算とし全額を予算取りしておらず、そのことの説明も不十分である。本来動物のための予算が使途不明金とし、不当に流用若しくは処分されている。過去に「大阪府は高等学校無償化のためにお金がいるからご理解ください。」と大阪府の職員はxxと回答している。
例えば令和2年の大阪府の全体の予算は111,097,000円であるが高槻市、豊中市、xx市、寝屋川市、xx市の5市から請求している金額の合計は62,207,430円である。政令市、中核市をのぞいたら大阪府下市町村は34であり、34市町村で51,097,730円というのは比率があっていない。本来なら一、市町村で平均2,848,641円になる。そもそも論でこの請求は積算根拠の理由が錯誤である。
本件の委託契約において大阪府の主張は「災害時の避難所のため」「狂犬病予防法」であるが契約開始の平成15年の旧施設はxxx動物指導センターで大阪府下全域の動物を収容出来るような場所ではなかったので無理がある。また狂犬病予防法においての技術支援とあるがはじめて委託契約が始まったのは高槻市で平成15年にはすでに地域保健法において平成7年より犬の捕獲業務は中核市に下りており、基本的に大阪府の業務ではない。また実際に中核市が技術支援を受けた事実はない。仮に万が一、という主張なら技術支援をした実績に基づいて請求すべきである。つまりこれは架空請求・不当請求になる。
そして、大阪府は中核市に対し実費における領収書の提出もしておらず財務会計上不適切であり、「民法486条、領収書を発行する義務」違反である。当方が大阪府に開示した領収書は動物の管理費・医療費ではなく大阪府の職員の医療費がほとんどでその認識が中核市にあったかを質問したら「そのような契約はしていない。」という回答であった。つまりこれも目的外使用であり契約不履行である。
また何十年も十分な予算を請求しておきながらかけがえのない命を努力なしに奪い続けてきたのは不当である。それを証拠に負傷動物を放置したとし今年、「動物の愛護と管理に関する法律違反の容疑」で大阪府警に立件されている。(苦痛を与える場合以外)治療を行うこと。と動物の愛護と管理に関する法律には明記されており、自ら「我々獣医師ですから治療もしますし、(委託料とし)医療費もかかる。」と大阪府の職員は弁明している。が、しかし過去に枚方市が大阪府と契約していた際、一切の治療を施さず即日殺処分した経緯がある。これは明らかに違法行為であり、契約不履行である。
その他、大阪府が提示している実績報告書は収容数、譲渡数、殺処分数といった数の報告であり、会計行為とし実費の領収書に代わるものではなく、どの様な物を購入したか、中核市の収容動物に使用したかの事実確認が出来ない。そのため審査請求をし令和3年6月4日に行った領収書に係る「会計行為」についての口頭陳述会を開催したが、自ら「契約についての説明はした。もう説明はしない。」と言っておきながら職員はひたすら契約についての言い訳をしており、会計行為については回答になっていないままである。これは説明義務を怠ったことになる。枚方市における住民監査請求監査結果報告書では公認会計士を含む監査委員の意見で「市民への説明を十分に果たすべく、、、」と説明不十分という当方の主張が通っている。
また、「契約は合意のもと」と職員は高圧的に豪語していたが中核市は金額に対して納得 していないという意見もあり、「大阪府に見直しを求めるとセンターを使用させてもらえな いと困る」といったことが原因で消極的になっている。このように強迫観念から来るもので 中核市も決して金額に納得している訳ではない。税金の不透明性が続き公益に損害を与えた。背任行為とし、もって以下の厳重処分を求める。
(4)xx知事及び対象職員に5億円の損害賠償及び知事の辞職、職員の懲戒免職処分の措置請求をする。
辞 職:大阪府知事
動物愛護管理センター 所長 ほか職員4名
地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求する。
以上
事実証明書(略)
令和3年 11 月 19 日 請求人陳述の概要
○ 事業費の積算について
・この委託契約額の積算根拠は、頭数ではなく人口割という説明を受けた。犬猫の収容が0頭でも 1,000 万円とか 600 万円を支払っている。これに対して、「中核市がセンターを持つとしたら、数千万円かかるから妥当な金額だ」というのが府の言い分。センターは府の職員の自腹で建てたものではなく、市町村の市民(の府民)税が入っているんだから、さらに中核市が府に支払っているのは、二重取りになりおかしい。
・府の職員は元々おり、中核市と契約したからといって増員した訳でもないのに、委託料に人件費を上乗せしている。例えば、ある市から収容した動物のために、朝3時 間、夜3時間労力を使っているから、これにかかる人件費を請求するというならわかる。中核市のために増員しているのであれば、その証拠を見せていただきたい。
○ 委託契約の内容について
・契約書には「狂犬病予防法に基づいて・・・」と書いてある。また、中核市には捕獲義務、保管、拘留、予防接種の権限が下りている。そして、拘置期限の3日が終わった後に府に送致しているところがほとんどであるため、狂犬病予防法に関する業務を府はほとんどしていない。ちょっと契約の内容が杜撰すぎるかなと思う。
○ 領収書について
・委託料に関するお互いの口座間のやり取りはあるが、具体的な使途を示した領収書やそれに代わる実績報告書が不存在である。(例:犬猫のご飯代)
・府に「領収書全て」と開示請求したところ、9割方が府職員の医療費であった。これを中核市が全て負担しなければならないのかということが、今回大きな論点。
・府職員と中核市職員(府からの出向者)の言い分を聞いていると、契約上では委託料の使途が特定されていないのだから、何に使っても別に問題ないだろうとのこと。そのような契約であったとしても行政間の同意で契約は成立するが、民法で領収書の提出義務があるのだから、契約そのものがおかしいのではと言ったが、府の職員には理
解してもらない。領収書を出してと言っても、「委託料の口座間のやり取りが証拠になるから、それが領収書」とのこと。民の視点から考えるとあり得ない。
・国でも領収書がないことなど、いろいろと問題になっている。今まではこれで通っていたのかも知れないが、時代も変わり昔のままでは駄目なので、見直しができるような監査をよろしくお願いしたい。
・府の職員に説明を求めても、説明が不十分。きっちり説明して、改善してくれてたら、裁判沙汰にもならない。動物のことに限らず、ちょっと不明瞭なことが多すぎる。そういう体質とかも含めて、今後の府政を正していってほしい。
○ その他(請求期間を徒過した理由)
・請求の要旨(2)に記載した「本年度に入り、委託が収容数ではなく送致数という知り得ない事実が発覚したため」について補足説明する。事実証明書として添付した
「中核市の実績と予算」の一覧に記載のとおり、(中核市での)収容数と(中核市から府への)送致数に相違がある。中核市で収容した全てを府に送致していたと思っていたが、委託がこれよりも少ないことを今年度に初めて知った。
・監査請求書に書き漏れており、制度的に追加できるかわからないが、府職員の医療費を中核市が全て賄っていたということも初めて知った。(中核市の)職員も知らなかったので、当然私も知らない。
○動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)(抜粋)
(普及啓発)
第3条 国及び地方公共団体は、動物の愛護と適正な飼養に関し、前条の趣旨にのつとり、相互に連携を図りつつ、学校、地域、家庭等における教育活動、広報活動等を通じて普及啓発を図るように努めなければならない。
(地方公共団体の措置)
第9条 地方公共団体は、動物の健康及び安全を保持するとともに、動物が人に迷惑を及ぼすことのないようにするため、条例で定めるところにより、動物の飼養及び保管について動物の所有者又は占有者に対する指導をすること、多数の動物の飼養及び保管に係る届出をさせることその他の必要な措置を講ずることができる。
(第一種動物取扱業の登録)
第10条 動物(哺乳類、鳥類又は爬(は)虫類に属するものに限り、畜産農業に係るもの及び試験研究用又は生物学的製剤の製造の用その他政令で定める用途に供するために飼養し、又は保管しているものを除く。以下この節から第4節までにおいて同じ。)の取扱業(動物の販売(その取次ぎ又は代理を含む。次項及び第21条の4において同じ。)、保管、貸出し、訓練、展示(動物との触れ合いの機会の提供を含む。第22条の5を除き、以下同じ。)その他政令で定める取扱いを業として行うことをいう。以下この節、第37条の2第2項第1号及び第46条第1号において「第一種動物取扱業」という。)を営もうとする者は、当該業を営もうとする事業所の所在地を管轄する都道府県知事(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という。)にあつては、その長とする。以下この節から第5節まで(第25条第7項を除く。)において同じ。)の登録を受けなければならない。
2 前項の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書に環境省令で定める書類を添えて、これを都道府県知事に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては代表者の氏名二 事業所の名称及び所在地
三 事業所ごとに置かれる動物取扱責任者(第22条第1項に規定する者をいう。)の氏名
四 その営もうとする第一種動物取扱業の種別(販売、保管、貸出し、訓練、展示又は前項の政令で定める取扱いの別をいう。以下この号において同じ。)並びにその種別に応じた業務の内容及び実施の方法
五 主として取り扱う動物の種類及び数
六 動物の飼養又は保管のための施設(以下この節から第4節までにおいて「飼養施設」という。)を設置しているときは、次に掲げる事項
イ 飼養施設の所在地
ロ 飼養施設の構造及び規模ハ 飼養施設の管理の方法
七 その他環境省令で定める事項
3 第1項の登録の申請をする者は、犬猫等販売業(犬猫等(犬又は猫その他環境省令で定める動物をいう。以下同じ。)の販売を業として行うことをいう。以下同 じ。)を営もうとする場合には、前項各号に掲げる事項のほか、同項の申請書に次に掲げる事項を併せて記載しなければならない。
一 販売の用に供する犬猫等の繁殖を行うかどうかの別
二 販売の用に供する幼齢の犬猫等(繁殖を併せて行う場合にあつては、幼齢の犬猫等及び繁殖の用に供し、又は供する目的で飼養する犬猫等。第12条第1項において同じ。)の健康及び安全を保持するための体制の整備、販売の用に供することが困難となつた犬猫等の取扱いその他環境省令で定める事項に関する計画(以下「犬猫等健康安全計画」という。)
(登録の更新)
第13条 第10条第1項の登録は、5年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
2 第10条第2項及び第3項並びに前2条の規定は、前項の更新について準用する。
3 第1項の更新の申請があつた場合において、同項の期間(以下この条において
「登録の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の登録は、登録の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。
4 前項の場合において、登録の更新がされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
(変更の届出)
第14条 第一種動物取扱業者は、第10条第2項第4号若しくは第3項第1号に掲げる事項の変更(環境省令で定める軽微なものを除く。)をし、飼養施設を設置しようとし、又は犬猫等販売業を営もうとする場合には、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に届け出なければならない。
2 第一種動物取扱業者は、前項の環境省令で定める軽微な変更があつた場合又は第
10条第2項各号(第4号を除く。)若しくは第3項第2号に掲げる事項に変更(環境省令で定める軽微なものを除く。)があつた場合には、前項の場合を除き、その日から30日以内に、環境省令で定める書類を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3 第10条第1項の登録を受けて犬猫等販売業を営む者(以下「犬猫等販売業者」という。)は、犬猫等販売業を営むことをやめた場合には、第16条第1項に規定する場合を除き、その日から30日以内に、環境省令で定める書類を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4 第11条及び第12条の規定は、前3項の規定による届出があつた場合に準用する。
(廃業等の届出)
第16条 第一種動物取扱業者が次の各号のいずれかに該当することとなつた場合においては、当該各号に定める者は、その日から30日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
一 死亡した場合 その相続人
二 法人が合併により消滅した場合 その法人を代表する役員であつた者三 法人が破産手続開始の決定により解散した場合 その破産管財人
四 法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 その清算人
五 その登録に係る第一種動物取扱業を廃止した場合 第一種動物取扱業者であつた個人又は第一種動物取扱業者であつた法人を代表する役員
2 第一種動物取扱業者が前項各号のいずれかに該当するに至つたときは、第一種動物取扱業者の登録は、その効力を失う。
(登録の抹消)
第17条 都道府県知事は、第13条第1項若しくは前条第2項の規定により登録がその効力を失つたとき、又は第19条第1項の規定により登録を取り消したときは、当該第一種動物取扱業者の登録を抹消しなければならない。
(周辺の生活環境の保全等に係る措置)
第25条 都道府県知事は、動物の飼養、保管又は給餌若しくは給水に起因した騒音又は悪臭の発生、動物の毛の飛散、多数の昆虫の発生等によつて周辺の生活環境が損なわれている事態として環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、必要な指導又は助言をすることができる。
2 都道府県知事は、前項の環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、期限を定めて、その事態を除去するために必要
な措置をとるべきことを勧告することができる。
3 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に係る措置をとらなかつた場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
4 都道府県知事は、動物の飼養又は保管が適正でないことに起因して動物が衰弱する等の虐待を受けるおそれがある事態として環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、期限を定めて、当該事態を改善するために必要な措置をとるべきことを命じ、又は勧告することができる。
5 都道府県知事は、前3項の規定の施行に必要な限度において、動物の飼養又は保管をしている者に対し、飼養若しくは保管の状況その他必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、当該動物の飼養若しくは保管をしている者の動物の飼養若しくは保管に関係のある場所に立ち入り、飼養施設その他の物件を検査させることができる。
6 第24条第2項及び第3項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。
7 都道府県知事は、市町村(特別区を含む。)の長(指定都市の長を除く。)に対し、第2項から第5項までの規定による勧告、命令、報告の徴収又は立入検査に関し、必要な協力を求めることができる。
(犬及び猫の引取り)
第35条 都道府県等(都道府県及び指定都市、地方自治法第252条の22第1項の中核市
(以下「中核市」という。)その他政令で定める市(特別区を含む。以下同じ。)をいう。以下同じ。)は、犬又は猫の引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。ただし、犬猫等販売業者から引取りを求められた場合その他の第7条第4項の規定の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合として環境省令で定める場合には、その引取りを拒否することができる。
2 前項本文の規定により都道府県等が犬又は猫を引き取る場合には、都道府県知事等(都道府県等の長をいう。以下同じ。)は、その犬又は猫を引き取るべき場所を指定することができる。
3 前2項の規定は、都道府県等が所有者の判明しない犬又は猫の引取りをその拾得者その他の者から求められた場合に準用する。この場合において、第1項ただし書中「犬猫等販売業者から引取りを求められた場合その他の第7条第4項の規定の趣旨に照らして」とあるのは、「周辺の生活環境が損なわれる事態が生ずるおそれが
ないと認められる場合その他の」と読み替えるものとする。
4 都道府県知事等は、第1項本文(前項において準用する場合を含む。次項、第7項及び第8項において同じ。)の規定により引取りを行つた犬又は猫について、殺処分がなくなることを目指して、所有者がいると推測されるものについてはその所有者を発見し、当該所有者に返還するよう努めるとともに、所有者がいないと推測されるもの、所有者から引取りを求められたもの又は所有者の発見ができないものについてはその飼養を希望する者を募集し、当該希望する者に譲り渡すよう努めるものとする。
5 都道府県知事は、市町村(特別区を含む。)の長(指定都市、中核市及び第1項の政令で定める市の長を除く。)に対し、第1項本文の規定による犬又は猫の引取りに関し、必要な協力を求めることができる。
6 都道府県知事等は、動物の愛護を目的とする団体その他の者に犬及び猫の引取り又は譲渡しを委託することができる。
7 環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、第1項本文の規定により引き取る場合の措置に関し必要な事項を定めることができる。
8 国は、都道府県等に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、第1項本文の引取りに関し、費用の一部を補助することができる。
(負傷動物等の発見者の通報措置)
第36条 道路、公園、広場その他の公共の場所において、疾病にかかり、若しくは負傷した犬、猫等の動物又は犬、猫等の動物の死体を発見した者は、速やかに、その所有者が判明しているときは所有者に、その所有者が判明しないときは都道府県知事等に通報するように努めなければならない。
2 都道府県等は、前項の規定による通報があつたときは、その動物又はその動物の死体を収容しなければならない。
3 前条第7項の規定は、前項の規定により動物を収容する場合に準用する。
(動物愛護管理センター)
第37条の2 都道府県等は、動物の愛護及び管理に関する事務を所掌する部局又は当該都道府県等が設置する施設において、当該部局又は施設が動物愛護管理センターとしての機能を果たすようにするものとする。
2 動物愛護管理センターは、次に掲げる業務(中核市及び第35条第1項の政令で定める市にあつては、第4号から第6号までに掲げる業務に限る。)を行うものとする。
一 第一種動物取扱業の登録、第二種動物取扱業の届出並びに第一種動物取扱業及
び第二種動物取扱業の監督に関すること。
二 動物の飼養又は保管をする者に対する指導、助言、勧告、命令、報告の徴収及び立入検査に関すること。
三 特定動物の飼養又は保管の許可及び監督に関すること。四 犬及び猫の引取り、譲渡し等に関すること。
五 動物の愛護及び管理に関する広報その他の啓発活動を行うこと。 六 その他動物の愛護及び適正な飼養のために必要な業務を行うこと。
(動物愛護管理担当職員)
第37条の3 都道府県等は、条例で定めるところにより、動物の愛護及び管理に関する事務を行わせるため、動物愛護管理員等の職名を有する職員(次項及び第3項並びに第41条の4において「動物愛護管理担当職員」という。)を置く。
2 指定都市、中核市及び第35条第1項の政令で定める市以外の市町村(特別区を含む。)は、条例で定めるところにより、動物の愛護及び管理に関する事務を行わせるため、動物愛護管理担当職員を置くよう努めるものとする。
3 動物愛護管理担当職員は、その地方公共団体の職員であつて獣医師等動物の適正な飼養及び保管に関し専門的な知識を有するものをもつて充てる。
(動物を殺す場合の方法)
第40条 動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない。
2 環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、前項の方法に関し必要な事項を定めることができる。
3 前項の必要な事項を定めるに当たつては、第1項の方法についての国際的動向に十分配慮するよう努めなければならない。
○動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(平成18年環境省令第1号)(抜粋)
(第一種動物取扱業の登録の申請等)
第2条 法第10条第1項の第一種動物取扱業の登録の申請は、様式第1による申請書を提出して行うものとする。
6 第一種動物取扱業者は、登録証を亡失し、若しくはその登録証が滅失したとき又は法第14条第2項の規定に基づく届出をしたときは、登録を受けた都道府県知事に申請をして、登録証の再交付を受けることができる。
7 前項の規定による登録証の再交付の申請は、様式第3による申請書を提出して行うものとする。
○狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)(抜粋)
(狂犬病予防員)
第3条 都道府県知事は、当該都道府県の職員で獣医師であるもののうちから狂犬病予防員(以下「予防員」という。)を任命しなければならない。
2 予防員は、その事務に従事するときは、その身分を示す証票を携帯し、関係人の求めにより、これを呈示しなければならない。
(登録)
第4条 犬の所有者は、犬を取得した日(生後90日以内の犬を取得した場合にあつては、生後90日を経過した日)から30日以内に、厚生労働省令の定めるところによ り、その犬の所在地を管轄する市町村長(特別区にあつては、区長。以下同じ。)に犬の登録を申請しなければならない。ただし、この条の規定により登録を受けた犬については、この限りでない。
2 市町村長は、前項の登録の申請があつたときは、原簿に登録し、その犬の所有者に犬の鑑札を交付しなければならない。
3 犬の所有者は、前項の鑑札をその犬に着けておかなければならない。
4 第1項及び第2項の規定により登録を受けた犬の所有者は、犬が死亡したとき又は犬の所在地その他厚生労働省令で定める事項を変更したときは、30日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地(犬の所在地を変更したときにあつては、その犬の新所在地)を管轄する市町村長に届け出なければならない。
5 第1項及び第2項の規定により登録を受けた犬について所有者の変更があつたときは、新所有者は、30日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地を管轄する市町村長に届け出なければならない。
6 前各項に定めるもののほか、犬の登録及び鑑札の交付に関して必要な事項は、政令で定める。
(予防注射)
第5条 犬の所有者(所有者以外の者が管理する場合には、その者。以下同じ。) は、その犬について、厚生労働省令の定めるところにより、狂犬病の予防注射を毎年1回受けさせなければならない。
2 市町村長は、政令の定めるところにより、前項の予防注射を受けた犬の所有者に注射済票を交付しなければならない。
3 犬の所有者は、前項の注射済票をその犬に着けておかなければならない。
(抑留)
第6条 予防員は、第4条に規定する登録を受けず、若しくは鑑札を着けず、又は第
5条に規定する予防注射を受けず、若しくは注射済票を着けていない犬があると認めたときは、これを抑留しなければならない。
2 予防員は、前項の抑留を行うため、あらかじめ、都道府県知事が指定した捕獲人を使用して、その犬を捕獲することができる。
3 予防員は、捕獲しようとして追跡中の犬がその所有者又はその他の者の土地、建物又は船車内に入つた場合において、これを捕獲するためやむを得ないと認めるときは、合理的に必要と判断される限度において、その場所(人の住居を除く。)に立ち入ることができる。但し、その場所の看守者又はこれに代るべき者が拒んだときはこの限りでない。
4 何人も、正当な理由がなく、前項の立入を拒んではならない。
5 第3項の規定は、当該追跡中の犬が人又は家畜をかんだ犬である場合を除き、都道府県知事が特に必要と認めて指定した期間及び区域に限り適用する。
6 第2項の捕獲人が犬の捕獲に従事するときは、第3条第2項の規定を準用する。
7 予防員は、第1項の規定により犬を抑留したときは、所有者の知れているものについてはその所有者にこれを引き取るべき旨を通知し、所有者の知れていないものについてはその犬を捕獲した場所を管轄する市町村長にその旨を通知しなければならない。
8 市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、その旨を2日間公示しなければならない。
9 第7項の通知を受け取つた後又は前項の公示期間満了の後1日以内に所有者がその犬を引き取らないときは、予防員は、政令の定めるところにより、これを処分することができる。但し、やむを得ない事由によりこの期間内に引き取ることができない所有者が、その旨及び相当の期間内に引き取るべき旨を申し出たときは、その申し出た期間が経過するまでは、処分することができない。
10 前項の場合において、都道府県は、その処分によつて損害を受けた所有者に通常生ずべき損害を補償する。
(届出義務)
第8条 狂犬病にかかつた犬等若しくは狂犬病にかかつた疑いのある犬等又はこれらの犬等にかまれた犬等については、これを診断し、又はその死体を検案した獣医師は、厚生労働省令の定めるところにより、直ちに、その犬等の所在地を管轄する保健所長にその旨を届け出なければならない。ただし、獣医師の診断又は検案を受けない場合においては、その犬等の所有者がこれをしなければならない。
2 保健所長は、前項の届出があつたときは、政令の定めるところにより、直ちに、その旨を都道府県知事に報告しなければならない。
3 都道府県知事は、前項の報告を受けたときは、厚生労働大臣に報告し、且つ、隣接都道府県知事に通報しなければならない。
(隔離義務)
第9条 前条第1項の犬等を診断した獣医師又はその所有者は、直ちに、その犬等を隔離しなければならない。ただし、人命に危険があつて緊急やむを得ないときは、殺すことを妨げない。
2 予防員は、前項の隔離について必要な指示をすることができる。
(公示及びけい留命令等)
第 10 条 都道府県知事は、狂犬病(狂犬病の疑似症を含む。以下この章から第五章まで同じ。)が発生したと認めたときは、直ちに、その旨を公示し、区域及び期間を定めて、その区域内のすべての犬に口輪をかけ、又はこれをけい留することを命じなければならない。
(殺害禁止)
第 11 条 第9条第1項の規定により隔離された犬等は、予防員の許可を受けなければこれを殺してはならない。
(死体の引渡し)
第 12 条 第8条第1項に規定する犬等が死んだ場合には、その所有者は、その死体を検査又は解剖のため予防員に引き渡さなければならない。ただし、予防員が許可した場合又はその引取りを必要としない場合は、この限りでない。
(検診及び予防注射)
第 13 条 都道府県知事は、狂犬病が発生した場合において、そのまん延の防止及び撲滅のため必要と認めるときは、期間及び区域を定めて予防員をして犬の一せい検診をさせ、又は臨時の予防注射を行わせることができる。
(病性鑑定のための措置)
第 14 条 予防員は、政令の定めるところにより、病性鑑定のため必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて、犬等の死体を解剖し、又は解剖のため狂犬病にかかつた犬等を殺すことができる。
2 前項の場合においては、第六条第十項の規定を準用する。
(移動の制限)
第 15 条 都道府県知事は、狂犬病のまん延の防止及び撲滅のため必要と認めるときは、期間及び区域を定めて、犬又はその死体の当該都道府県の区域内における移
動、当該都道府県内への移入又は当該都道府県外への移出を禁止し、又は制限することができる。
(交通のしや断又は制限)
第 16 条 都道府県知事は、狂犬病が発生した場合において緊急の必要があると認めるときは、厚生労働省令の定めるところにより、期間を定めて、狂犬病にかかつた犬の所在の場所及びその附近の交通をしや断し、又は制限することができる。但し、その期間は、72 時間をこえることができない。
(集合施設の禁止)
第 17 条 都道府県知事は、狂犬病のまん延の防止及び撲滅のため必要と認めるときは、犬の展覧会その他の集合施設の禁止を命ずることができる。
(けい留されていない犬の抑留)
第 18 条 都道府県知事は、狂犬病のまん延の防止及び撲滅のため必要と認めるとき は、予防員をして第 10 条の規定によるけい留の命令が発せられているにかかわらずけい留されていない犬を抑留させることができる。
2 前項の場合には、第6条第2項から第 10 項までの規定を準用する。
(けい留されていない犬の薬殺)
第 18 条の2 都道府県知事は、狂犬病のまん延の防止及び撲滅のため緊急の必要がある場合において、前条第一項の規定による抑留を行うについて著しく困難な事情があると認めるときは、区域及び期間を定めて、予防員をして第 10 条の規定によるけい留の命令が発せられているにかかわらずけい留されていない犬を薬殺させることができる。この場合において、都道府県知事は、人又は他の家畜に被害を及ぼさないように、当該区域内及びその近傍の住民に対して、けい留されていない犬を薬殺する旨を周知させなければならない。
2 前項の規定による薬殺及び住民に対する周知の方法は、政令で定める。
(政令で定める市又は特別区)
第 25 条 この法律中「都道府県」又は「都道府県知事」とあるのは、地域保健法(昭和 22 年法律第 101 号)第5条第1項の規定に基づく政令で定める市については、
「市」若しくは「市長」又は「区」若しくは「区長」と読み替えるものとする。ただし、第8条第2項及び第3項並びに第 25 条の3第1項の規定については、この限りでない。
○大阪府動物の愛護及び管理に関する条例(平成13年大阪府条例第3号)(抜粋)
(目的)
第1条 この条例は、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号。以下
「法」という。)第9条及び第37条の3第1項の規定に基づき動物の飼養及び保管に関し必要な措置等を定め、併せて動物の愛護及び管理に関し必要なその他の事項を定めることにより、府民の動物に対する愛護精神の高揚、府民の安全の確保及び生活環境の保全上の支障の防止に資することを目的とする。
(飼えなくなった特定動物の処理)
第8条 法第26条第1項の許可に係る特定動物の所有者は、当該特定動物を飼えなくなった場合は、その責任において適正にこれを処理しなければならない。ただし、知事は、所有者が当該特定動物を引き続き所有することができないことについて規則で定めるやむを得ない理由があると認めるときは、当該特定動物を引き取ることができる。
2 前項ただし書の規定による引取りを求めようとする所有者は、規則で定めるところにより、あらかじめ知事に申請しなければならない。
3 知事は、前項の規定による申請があったときは、同項に規定する所有者に対し、引取りの日時、場所等について必要な指示をすることができる。
(動物の引取り)
第10条 知事は、犬、猫及び特定動物以外の動物であって規則で定めるものの引取りをその所有者から求められたときは、当該所有者が継続して飼養することができないことについて、やむを得ない理由があると認めるときに限り、これを引き取るものとする。この場合において、知事は、当該所有者に対し、引取りの日時、場所その他必要な事項を指示することができる。
(飼い犬の抑留)
第11条 知事は、第4条第1項の規定に違反して係留されていない飼い犬があると認めるときは、その犬を捕獲し、抑留することができる。
(引取り等をした動物に対する治療等)
第12条 知事は、第8条第1項ただし書の規定により引き取った特定動物、第10条の規定により引き取った動物、前条の規定により抑留した飼い犬若しくは法第35条第1項本文(同条第3項において準用する場合を含む。)の規定により引き取った犬若しくは猫で疾病にかかり、若しくは負傷したもの等又は法第36条第2項の規定により収容した犬、猫等の動物について、治療その他必要な処置を講ずるものとする。
2 知事は、前項の規定にかかわらず、同項に規定する動物が同項の治療その他必要な処置を講じても回復等の見込みがないと認めるときは、当該動物を処分することができる。
(公示等)
第13条 知事は、法第35条第3項において準用する同条第1項本文の規定により引き取った犬若しくは猫、法第36条第2項の規定により収容した犬、猫等の動物又は第11条の規定により抑留した犬であって所有者の判明しないものの種類、引取り、収容又は抑留をした日時及び場所その他必要な事項を2日間公示するものとする。ただし、前条第2項の規定により処分する場合及び当該動物の所有者がいないと認められる場合は、この限りでない。
2 知事は、第11条の規定により抑留した犬の所有者が判明しているときは、その所有者に対し、期日を定めて当該犬を引き取るべき旨を通知しなければならない。
3 第1項の規定による公示の期間満了の日の翌日又は前項の規定による通知に定める期日までに当該公示又は通知に係る犬、猫等(以下この条及び次条において「犬、猫等」という。)の所有者がその犬、猫等を引き取らないときは、知事は、規則で定めるところにより、これを処分することができる。ただし、やむを得ない理由により当該公示の期間満了の日の翌日又は当該通知に定める期日までに引き取ることができない所有者が、その旨及び相当の期間内に引き取るべき旨を申し出たときは、その申し出た期間が経過するまでは、処分することができない。
(譲渡)
第 14 条 知事は、法第 35 条第1項本文の規定により引き取った犬又は猫、第 10 条の規定により引き取った動物及び前条第3項の規定により処分することができることとなった犬、猫等を、これらの飼養を希望する者であって、これらを適正に飼養することができると認められるものに譲渡することができる。
○大阪府動物愛護管理センター設置条例(平成 29 年大阪府条例第5号)(抜粋)
(設置)
第1条 地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号)第 156 条第1項の規定に基づき、動物の愛護及び管理に関する事務並びに狂犬病の発生の予防に関する事務(保健所に分掌させるものを除く。)を分掌させるため、大阪府動物愛護管理センターを設置する。
(位置及び所管区域)
第2条 大阪府動物愛護管理センターの位置及び所管区域は、次のとおりとする。
位置 | 所管区域 |
羽曳野市尺度 | 府の区域 |
○動物の殺処分方法に関する指針(平成7年総理府告示第 40 号)第1 一般原則
管理者及び殺処分実施者は、動物を殺処分しなければならない場合にあっては、殺処分動物の生理、生態、習性等を理解し、生命の尊厳性を尊重することを理念として、その動物に苦痛を与えない方法によるよう努めるとともに、殺処分動物による人の生命、身体又は財産に対する侵害及び人の生活環境の汚損を防止するよう努めること。
第2 定義
この指針において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)対象動物 この指針の対象となる動物で、動物の愛護及び管理に関する法律
(昭和 48 年法律第 105 号)第 44 条第4項各号に掲げる動物
(2)殺処分動物 対象動物で殺処分されるものをいう。
(3)殺処分 殺処分動物を致死させることをいう。
(4)苦痛 痛覚刺激による痛み並びに中枢の興奮等による苦悩、恐怖、不安及びうつの状態等の態様をいう。
(5)管理者 殺処分動物の保管及び殺処分を行う施設並びに殺処分動物を管理する者をいう。
(6)殺処分実施者 殺処分動物の殺処分に係る者をいう。第3 殺処分動物の殺処分方法
殺処分動物の殺処分方法は、化学的又は物理的方法により、できる限り殺処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によるほか、社会的に容認されている通常の方法によること。
第4 補則
1 殺処分動物の保管に当たっては、「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成 14 年環境省告示第 37 号)、「展示動物の飼養及び保管に関する基準」(平成 16 年
環境省告示第 33 号)、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」
(平成 18 年環境省告示第 88 号)及び「産業動物の飼養及び保管に関する基準」(昭
和 62 年総理府告示第 22 号)の趣旨に沿って適切に措置するよう努めること。
2 対象動物以外の動物を殺処分する場合においても、殺処分に当たる者は、この指針の趣旨に沿って配慮するよう努めること。
○犬及び猫の引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置について
(平成 18 年環境省告示第 26 号)
第4 処分
保管動物の処分は、所有者への返還、飼養を希望する者への譲渡し及び殺処分とする。
○動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針
(平成 18 年環境省告示第 140 号)
第2 今後の施策展開の方向
2 施策別の取組
(2) 適正飼養の推進による動物の健康及び安全の確保並びに返還・譲渡の促進
②講ずべき施策
イ 犬及び猫の殺処分を透明性を持って戦略的に減らしていくことが必要であり、以下の殺処分の3分類の特に②に属する個体の返還及び適正な譲渡促進を積極的に進め、令和 12 年度の殺処分数について、平成 30 年度比 50%減となるおおむね2万頭を目指すこと。また、①、③については飼い主責任の徹底や無責任な餌やりの防止により引取り数を減少させ、結果的に該当する動物の数を減らしていくこと。
①譲渡することが適切ではない(治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等)
②①以外の処分(譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難)
③引取り後の死亡
「動物の飼養保管等業務」に係る仕様は次のとおりとする。
1.委託業務の概要
(1) 犬又は猫の回収、保管及び処分 (2) 負傷動物等の回収、保管及び処分 (3) 保管動物の管理
(4) 危機管理体制の連携確保及び技術的支援
2.用語の定義
(1) 「抑留」とは、犬、猫、又は負傷動物等をおり等の中に留め置くことをいう。 (2) 「回収」とは、犬、猫、又は負傷動物等を保管場所へ運搬することをいう。 (3) 「負傷動物等」とは、道路、公園、広場その他の公共の場所において、疾病にか
かり、若しくは負傷した犬、猫等の動物をいう。 (4) 「処分」とは、譲渡又は致死させることをいう。
(5) 「保管」とは、回収を行った動物及び治療を行っているか治療が完了した負傷動物等を、処分を行うまで保管場所において引き続き留め置くことをいう。
(6) 「保管動物」とは、発注者の依頼に基づき保管している動物のことをいう。 (7) 「飼養」とは、動物を保管している間、その動物を飼い養うことをいう。
(8) 「返還」とは、所有者の申請に基づき、所有者が判明した保管動物をその所有者に返すことをいう。
3.委託業務の内容
(1) 犬又は猫(負傷した犬又は猫を含む、(1)において以下同じ)の回収、保管及び処分
ア.発注者は、発注者が抑留している犬について、「犬回収・保管・処分依頼書(第1号様式)」により、受注者に回収、保管及び処分を依頼する。
イ.発注者は、発注者が抑留している猫について、「猫回収・保管・処分依頼書(第2号様式)」により、受注者に回収、保管及び処分を依頼する。
ウ.受注者は、発注者から回収、保管及び処分の依頼があったときは、原則として、犬は火曜日と木曜日、猫は火曜日と木曜日に回収を行う。
エ.受注者は、発注者により回収、保管及び処分の依頼があった犬又は猫に予後不良等又は不測の事態が生じたときは、直ちに発注者に連絡し、協議を行う。
オ.受注者は、発注者の「犬回収・保管・処分依頼書(第1号様式)」又は「猫回収・保管・処分依頼書(第2号様式)」に記載された処分可能日以降において、発注者から回 収、保管及び処分の依頼があった犬又は猫の処分内容を決定し処分を実施する。
カ.受注者は、発注者から回収、保管及び処分の依頼があった犬又は猫の処分を行ったときは、「犬処分通知書(第3号様式)」又は「猫処分通知書(第4号様式)」により発注者に通知する。
(2) 負傷動物等(このうち犬又は猫を除く、(2)において以下同じ)の保管及び処分 ア.発注者は、受注者に対して、負傷動物等の保管及び処分を「負傷動物等保管・処分
依頼書(第5号様式)」により保管を依頼する。
イ.受注者は、発注者の依頼により保管している負傷動物等に予後不良等又は不測の事態が生じたときは、直ちに発注者に連絡し、協議を行う。
ウ.受注者は、発注者から保管及び処分の依頼があったときは、その輸送について迅速に対応できるように発注者と協議のうえ、協力して行うものとする。
エ.受注者は、発注者の「負傷動物等保管・処分依頼書(第5号様式)」に記載された処分可能日以降において、発注者から保管及び処分の依頼があった負傷動物等の処分内容を決定し処分を実施する。
オ.受注者は、発注者から保管及び処分の依頼があった負傷動物等の処分を行ったときは、「負傷動物等処分通知書(第6号様式)」により発注者に通知する。
(3) 保管動物の管理及び引渡し
ア.受注者は、保管動物の飼養管理を、受注者の責任において行うものとする。 イ.受注者は、発注者の依頼により回収した犬、猫及び負傷動物等が死亡したとき
は、「保管動物死亡通知書(第7号様式)」により発注者に通知する。
ウ.発注者は、受注者から保管動物の引渡を受ける必要があるときは、事前連絡により受注者へ保管動物の処遇を確認・調整のうえ、「保管動物引渡依頼書(第8号様式)」により、受注者に保管動物の引渡を依頼する。
エ.受注者は、発注者から保管動物の引渡の依頼があったときは、「保管動物引渡書 (第9号様式)」により、発注者に引渡を行う。
(4) 危機管理体制の連携確保及び技術的支援
ア.狂犬病(疑い含む)発生時や災害等により対応が広域にまたがる場合等において、受注者は発注者と連携を図る。
イ.受注者は発注者と協議のうえ、職員等の派遣や研修等を実施する。
4.実績報告及び完了届の提出
(1) 受注者は、毎月の実績報告書を翌月の 15 日までに発注者に提出するものとする。 (2) 受注者は、業務が完了したときは、「完了届」を遅滞なく発注者に提出するものと
する。
(3) 受注者は、発注者から依頼を受け保管した動物にかかる個体管理票を作成し、発注者は閲覧できるものとする。
5.その他
(1) 受注者と発注者は互いに協力し、殺処分がなくなることを目指して、所有者がいると推測されるものについてはその所有者を発見し、当該所有者に返還するよう努めるとともに、所有者がいないと推測されるもの、所有者から引取りを求められたもの又は所有者の発見ができないものについてはその飼養を希望する者を募集し、当該希望する者に譲り渡すよう努めるものとする。
様式第 1 号から第9号(略)