Contract
〔条例等の制定〕
(環境対策①)
2 県が事業者と営業時間短縮等に係る協定を結ぶことについて
県が,温室効果ガス排出量抑制のための取組として,条例に基づき,24時間営業等事業者との間で,個別に営業時間短縮のための自主的な努力に係る協定を結ぶことは,合意の得られた事業者ごとに個々に締結されるものであり,営業時間の短縮以外の取組も選択肢として予定されており,事業者の活動を制限すると
まではいえないことから,独占禁止法との関係で問題とはならない。
1 相談の要旨
B県では,地球温暖化対策に関する意見を県民から募ったところ,深夜営業店の必要性について疑問の声が多数寄せられた。しかし,県が営業時間の短縮を内容とする営業規定を設けることは難しいと判断し,現在検討中の条例案の中で,県は,温室効果ガス排出抑制の観点から,終日営業を行う店舗並びに自動販売機の設置及び管理事業者(以下「24時間営業等事業者」という。)と,店舗の営業時間又は自動販売機の稼働時間の短縮等に関する協定を締結するよう努める旨の規定を設ける予定であるが,この案について独占禁止法上及び競争政策上問題ないか。
なお,合意の得られた事業者1社ごとに1件の協定を締結することを予定しており,事業者団体が協定の当事者となることや,1件の協定に複数の事業者が連名で協定の当事者となることはない。さらに,この協定は,温室効果ガス排出の抑制を目的としているので,営業時間の短縮が困難な場合でも,例えば,照明のエネルギーの効率化等,温暖化防止の取組に係る協定の締結や,この条例をきっかけに,温暖化対策について,各事業者との話合いの場を持つことができれば有意義であると考えている。
①BA県県と各と事各事業業者
者はは個別個に別協に定協を定
を締結締結
24時間営業等事業者
・・・
24時間営業等事業者
・・・
24時間営業等事業者
1か月で合計○時
間の営業時間の短縮
営業時間の短縮は困難であ
るため,店内の照明器具を省エネルギー製品に転換
B 県
2 独占禁止法上及び競争政策上の考え方
(1) 本件は,温室効果ガス排出量の抑制を図るために,条例に基づき,B県が 24時間営業等事業者との間で,営業時間短縮のための協定を締結するものである。
(2) 営業時間は事業者にとって重要な競争手段の一つであり,各事業者が自
らの経営戦略の中で自主的に判断することができる。行政機関が,法令に 具体的な規定がない営業時間(営業方法)に関する行政指導を行うことにより,営業時間(営業方法)に関する事業者の活動が不当に制限され,xxかつ自由な競争が制限され,又は阻害される場合には,事業者のサービスの向上のインセンティブを失わせることとなるため,こうした弊害が生じることのないよう十分留意する必要がある(行政指導ガイドライン2(4))。なお,本協定の締結を契機として,競争を回避することを目的として,事 業者間又は事業者団体で深夜営業を行う店舗数を制限することなどの営業時間に関する調整が行われるなど,事業者間の競争が制限されるなどの場合には,当該事業者又は事業者団体の行為は独占禁止法上問題となるおそれがある(独占禁止法第3条,同第8条第1号,第3号,第4号)。これが行政機関が実施する施策により誘発されたものであっても,独占禁止法の
適用が妨げられるものではない(行政指導ガイドラインはじめに)。
(3) 本件において,B県が,条例に基づき 24 時間営業等事業者との締結を予定する協定は,個別事業者ごとに合意の得られた相手方と個々に締結するものであり,協定の内容については,営業時間等の短縮に限らず,営業時間
等の短縮が難しい場合には,照明のエネルギーの効率化等,他の温暖化防止に係る取組を内容とすることも選択肢として予定されていることからすれば,事業者の活動を制限するとまではいえず,独占禁止法との関係で問題とはならない。
3 結論
本協定は,条例に基づき,地球温暖化対策の見地から,営業時間短縮のための自主的な取組に関して,県が個別事業者ごとに合意の得られた相手方と個々に締結し,営業時間の短縮以外の取組も選択肢として予定されているものであり,事業者の活動を制限するとまではいえないことから,独占禁止法との関係で問題とはならない。