Contract
xx市における随意契約ガイドライン
x x 市 令和3年11月
内容
1.随意契約とは 1
2.随意契約とする場合(可能なケース) 2
(1)予定価格が普通地方公共団体の規則で定める額を超えない契約をする場合 2
(2)契約の性質又は目的が競争入札に適さない場合 3
(3)特定の施設等から物品及び役務の提供を受ける契約をする場合 5
(4)地方公共団体の長の認定を受けた者から新商品等を調達する契約をする場合 6
(5)緊急の必要により競争に付することができない場合 7
(6)競争に付することが不利と認められる場合 8
(7)時価より著しく有利な価格で契約の締結が見込める場合 9
(8)競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がいない場合 10
(9)落札者が契約を締結しない場合 10
3.随意契約での留意事項 11
4.参考資料 12
地方自治法施行令 抜粋xx市契約規則 抜粋 提出書類一覧
1.随意契約とは
地方公共団体が締結する契約は、一般競争入札を原則とし、随意契約は地方自治法施行令
(以下「政令」)第167条の2)で定めた場合のみと規定されており、あくまで例外的な契 約方式であることを十分に認識し事務を適正に進めなければならない。
随意契約は、競争入札に比べて手続が簡略であり、相手方が特定した者であるため、技術、能力、経験等をもった相手方を知り得たうえ選定できるという長所がある。しかし、その運用を誤ると相手方が固定化したり、契約自体が情実に左右されxxな取引を害する恐れがあるため、政令第167条の2第1項で随意契約によりうる場合を、以下の各号に限定している。
1. 予定価格が普通地方公共団体の規則で定める額を超えない契約をするとき。
2. 契約の性質又は目的が競争入札に適しない契約をするとき。
3. 障害者支援施設等で製作された物品を買い入れる契約、障害者支援施設等、シルバー人材センター、母子・父子福祉団体が行う事業に係る役務の提供を受ける契約をするとき。
4. 地方公共団体の長の認定を受けた者が新商品として生産する物品を買い入れる契約をするとき。
5.緊急の必要により競争入札に付することができないとき。
6.競争入札に付することが不利と認められるとき。
7.時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき。
8.競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき。
9.落札者が契約を締結しないとき。
○随意契約判別フロー
・工事、製造の請負130万円・財産の買入 80万円
・物件の借入 40万円・財産の売払、貸付 30万円
・その他(業務委託) 50万円
いいえ
予定価格(税込)が契約規則第22条の規定以下である
はい
競争入札
いいえ 政令第167条の2第1項
第2号から第9号(特命
随契)に該当する
いいえ 契約規則第23条第1項の但し書きに該当する
はい
はい
いいえ
いいえ
政令第167条の2第1項
第2号から第9号(特命随契)に該当する
契約規則第23条
第2項に該当する
はい
はい
見積書
見積書
見積書
見積書
見積書
1者以上
2者以上
1者以上
1者以上
省略可
随 意 契 約
2.随意契約とする場合(可能なケース)
(1)予定価格が普通地方公共団体の規則で定める額を超えない契約をする場合
(地方自治法施行令第167条の2第1項第1号該当)
この号の趣旨は、契約事務の簡素化のため、予定価格の少額のものは競争入札に付さないでよいとしたもので、下表のとおり、契約の種類ごとに随意契約できる額の範囲を定めています。
ただし、額の範囲内であっても、他の契約方法を排除したわけではなく、2者以上から見積もりを徴することを原則とします。(一般的な「見積り合せ」)
・xx市契約規則第22条に定める額
x 約 の 種 類 | 予定価格(税込) | 適 用 |
1 工事又は製造の請負 | 130万円 | 建設工事、建築物等の修繕 |
2 財産の買入れ | 80万円 | 動産、不動産の購入 |
3 物件の借入れ | 40万円 | 物件等の賃借(リース) |
4 財産の売払い | 30万円 | 動産、不動産の売払い |
5 物件の貸付け | 30万円 | 動産、不動産の貸付け |
6 前各号に掲げるもの以外のもの | 50万円 | 業務委託、役務の提供、物品修繕等 |
【特記事項】
① 他の号の理由と併合した場合には、原則として第1号が優先適用となる。
② 地方公共団体の契約方法の原則は一般競争入札であることから、例外適用である随意契約の本号を該当させるため、意図的に分割発注してはならない。
(2)契約の性質又は目的が競争入札に適さない場合
(地方自治法施行令第167条の2第1項第2号該当)
「契約の性質又は目的が競争入札に適さない場合」とは、特殊な、あるいは独自の技術、機器、設備又は技法等を必要とする業務で、特定の者と契約しなければ契約の目的が達することができない場合や競争入札に付することが不可能又は著しく困難な場合とし、個々の契約ごとの特殊性や経済的合理性等を客観的・総合的に判断して該当するか確認することとします。
【工事契約関係】
① 特殊な技術、機器又は設備等を必要とする工事で、特定の者と契約を締結しなければ契約の目的を達する事ができない場合
ア 特許工法等の新開発工法等を用いる必要がある工事
イ 文化財その他極めて特殊な建築物等であるため、施工者が特定される補修、増築等の工事
ウ 実験、研究等の目的に供する極めて特殊な設備等であるため、施工可能な者が特定される設備、機器等の新設、増設等の工事
エ ガス事業法等の法令等の規定に基づき施工者が特定される工事
② 施工上の経験、知識を特に必要とする場合、又は現場の状況等に精通した者に施工させる必要がある場合
ア 本施工に先立ち行われる試験的な施工の結果、当該試験的な施工を行った者に施工させなければならない本工事
イ 既設の設備と密接不可分の関係にあり、同一施工者以外の者に施工させた場合、既設の設備等の使用に著しい支障が生ずるおそれがある設備、機器等の増設、改修等の工事
ウ 埋蔵文化財の調査、発掘、移転等で、特殊な技術、手法等を用いる必要がある工事
③ プロポーザル方式等により契約の相手方を予め特定している工事
【物品購入・業務委託等契約関係】
① 額面価格が定められているものなど、競争性がないと認められる場合
(収入印紙、郵便切手、新聞等)
② 地方公共団体の行為を秘密にする必要がある場合(試験問題の印刷等)
③ 契約の目的物が特定の者でなければ納入できない場合(不動産の買入等)
④ 特殊な性質を有する物品の買入、買入先が特定されている特殊な技術(特許)を必要とする場合
⑤ 特定の者でなければ役務を提供することができない場合
(特殊な技術を用いて設計施工した施設・設備の保守点検業務の場合等)
⑥ 電算システムについて、当該システムの特許権、著作権その他の排他的権利を有するシステム開発者にしかできない改造、改良、保守、点検等を実施する場合や既存電算シス
テムと密接不可分の関係にあり、同一システム開発者以外の者にプログラムの増設・追加等を履行させると、既存電算システムの運用に著しく支障の恐れがある場合
⑦ 法令等により契約の相手方が特定されている場合
⑧ 契約の目的を達成するためには、能力その他の複数の条件を満たすことが必要であっ て、一つ一つの条件については、それを満たす者が複数存在するが、全ての条件を満たす者が1者に特定される場合
⑨ プロポーザル方式等により契約の相手方を予め特定している業務
【特記事項】
本号は特命随意契約の場合に多く適用されているが、後述の第6号と判断を誤ることのないように確認すること。
(3)特定の施設等から物品及び役務の提供を受ける契約をする場合
(地方自治法施行令第167条の2第1項第3号該当)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十一項に規定する障害者支援施設(以下この号において「障害者支援施設」という。)、同条第二十七項に規定する地域活動支援センター(以下この号において「地域活動支援センター」という。)、同条第一項に規定する障害福祉サービス事業(同条第七項に規定する生活介護、同条第十三項に規定する就労移行支援又は同条第十四項に規定する就労継続支援を行う事業に限る。以下この号において「障害福祉サービス事業」という。)を行う施設若しくは小規模作業所(障害者基本法(昭和xxx年法律第八十四号)第二条第一号に規定する障害者の地域社会における作業活動の場として同法第十八条第三項の規定により必要な費用の助成を受けている施設をいう。以下この号において同
じ。)若しくはこれらに準ずる者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者若しくは生活困窮者自立支援法(平成二十五年法律第百五号)第十六条第三項に規定する認定生活困窮者就労訓練事業 (以下この号において「認定生活困窮者就労訓練事業」という。)を行う施設でその施設に使用される者が主として同法第三条第一項に規定する生活困窮者(以下この号において「生活困窮者」という。)であるもの(当該施設において製作された物品を買い入れることが生活困窮者の自立の促進に資することにつき総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けたものに限る。)(以下この号において「障害者支援施設等」という。)において製作された物品を当該障害者支援施設等から普通地方公共団体の規則で定める手続により買い入れる契約、障害者支援施設、地域活動支援センター、障害福祉サービス事業を行う施設、小規模作業所、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号)第三十七条第一項に規定するシルバー人材センター連合若しくは同条第二項に規定するシルバー人材センター若しくはこれらに準ずる者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者から普通地方公共団体の規則で定める手続により役務の提供を受ける契約、母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)第六条第六項に規定する母子・父子福祉団体若しくはこれに準ずる者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者(以下この号において「母子・父子福祉団体等」という。)が行う事業でその事業に使用される者が主として同項に規定する配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの及び同条第四項に規定する寡婦であるものに係る役務の提供を当該母子・父子福祉団体等から普通地方公共団体の規則で定める手続により受ける契約又は認定生活困窮者就労訓練事業を行う施設(当該施設から役務の提供を受けることが生活困窮者の自立の促進に資することにつき総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けたものに限る。)が行う事業でその事業に使用される者が主として生活困窮者であるものに係る役務の提供を当該施設から普通地方公共団体の規則で定める手続により受ける契約をするとき。
【適用基準】
本号では、障害者福祉等の増進といった一定の政策目的のために必要な随意契約を締結することができるとされている。
本号による随意契約の対象となるのは、福祉関連施設等において製作された物品を買い入れる契約又は役務の提供を受ける契約をする場合である。なお、工事契約は該当しない。
【特記事項】
本号を適用し、随意契約を締結する場合は、契約規則第22条の2の規定に基づき、市のホームページ等で公表することが必要である。
(4)地方公共団体の長の認定を受けた者から新商品等を調達する契約をする場合
(地方自治法施行令第167条の2第1項第4号該当)
新商品の生産により新たな事業分野の開拓を図る者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者が新商品として生産する物品を当該認定を受けた者から普通地方公共団体の規則で定める手続により買い入れ若しくは借り入れる契約又は新役務の提供により新たな事業分野の開拓を図る者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者から普通地方公共団体の規則で定める手続により新役務
の提供を受ける契約をするとき。
【適用基準】
本号の規定に基づき、地方公共団体の規則で定める手続により買い入れ若しくは借り入れる契約又は新役務の提供を受ける契約をするときには、随意契約により行うことができるとされている。
地方自治法施行規則第12条の3により認定を受けた事業者は、他に類がないものを生 産、加工又は役務の提供において、その生産物等には新規性があり、他の者による同類の生産物若しくは役務よりも優れた機能性があって、地方公共団体はその機能性からもたらされる利益をさらに享受することができることから、これらを調達することは、経済性及び競争性の原則の支障にならないものであると考える。
この号による随意契約の対象となるのは、新商品の買い入れ若しくは借り入れる契約又は新役務の提供を受ける契約であり、工事契約や測量・建設コンサルタント等業務に係る契約などは該当しない。
【特記事項】
本号を適用し、随意契約を締結するためには前号と同様に、契約規則第22条の2に基づく公表が必要である。
(5)緊急の必要により競争に付することができない場合
(地方自治法施行令第167条の2第1項第5号該当)
「緊急の必要」とは、天災地変その他非常緊急の場合です。本号の適用に際して重要な事は「緊急の必要」があるかどうかということと、「競争に付する時間的余裕がない」ことが、客観的な事実に基づいて説明できる事が条件となります。事務手続きの遅滞による「緊急」は理由になりません。
① 緊急の対応を行わなければ、市民生活等へ重大な影響が生じる恐れがある場合には適用できる。
② 市民生活等への影響を考慮して判断するものであり、事故や故障を持って直ちに随意契約をできるものではない。
③ 可能な場合には、複数の事業者から見積を徴するなど、経済的合理性に留意すること。
【工事請負契約関係】
※緊急に施工しなければならない工事であって、競争入札に付す時間的余裕がない場合ア 道路陥没、自然災害等に伴う応急的な工事
イ 電気、機械設備等の故障に伴う緊急に行う復旧工事ウ 災害の未然防止のための応急的な工事
【物品購入・業務委託等契約関係】
※緊急に実施しなければならない業務等であって、競争入札に付す時間的な余裕がない場合ア 道路陥没、自然災害等に伴い応急的な復旧のために必要とする物品(原材料な
ど)の調達や業務等がある場合
イ 電気、機械設備等の故障に伴い緊急に復旧を必要とする物品の調達や、業務等がある場合
ウ 災害の未然防止のために緊急に必要とする物品の調達や業務等がある場合
エ 感染症発生時において、まん延防止のための薬品、衛生材料等の緊急に必要とする物品を調達する場合
オ OAシステム・インターネットを通じた申請・申し込みシステム等の市民サービスを提供している場合で、緊急に復旧をしなければ、市民生活に多大な損害や利便性低下が生じる場合
カ 解散総選挙などのように、法令等の規定により業務を行う期間が短いため緊急に必要とする物品を調達する場合
(6)競争に付することが不利と認められる場合
(地方自治法施行令第167条の2第1項第6号該当)
現に契約履行中の工事や業務に直接関連する契約を、現に履行中の契約者以外の者に履行させることが不利である場合などで、新たに競争入札に付す方が随意契約よりも工期や経費で不利となるこ とが認められる場合に該当します。
【工事請負契約関係】
① 現に契約履行中の施工者に履行させた場合は、工期の短縮、経費の節減が確保できる等有利と認められる場合
ア 当初予期し得なかった事情の変化等により必要となった追加工事イ 本体工事と密接に関連する付帯的な工事
② 前工事に引き続き施工される工事で、前工事の施工者に施工させた場合は、工期の短縮、経費の節減、安全・円滑かつ適切な施工が確保できる等有利と認められる場合
ア 前工事と後工事とが、一体の構造物(一体の構造物として完成して初めて機能を発揮するものに限る。)の構築等を目的とし、かつ、前工事と後工事の施工者が異なる場合は、契約不適合責任の範囲が不明確となる等密接不可分な関係にあるため、一貫した施工が技術的に必要とされる当該後工事
イ 前工事と後工事が密接な関係にあり、かつ、前工事で施工した仮設備が引き続き使用される後工事(ただし、本体工事の施工に直接関連する仮設備であって、当該後工事の安全・円滑かつ適切な施工に重大な影響を及ぼすと認められるもので、工期の短縮、経費の節減が確保できるものに限る。)
③ 他の発注者の発注に係る現に施工中の工事と交錯する箇所での工事で、当該施工中の者に施工させた場合には、工期の短縮、経費の節減に加え、工事の安全・円滑かつ適切な施工を確保する上で有利と認められる場合
ア 鉄道工事等と立体交差する道路工事等の当該交錯箇所での工事イ 他の発注者の発注に係る工事と一部重複、錯綜する工事
【物品購入・業務委託等契約関係】
① 現に履行中の者に履行させることにより、履行期間の短縮、経費の節減が確保できる等有利と認められる場合
ア 当初予期し得なかった事情の変化等により必要となった追加業務イ 本業務と密接に関連する付帯的な業務
② 引き続いて委託する業務で、継続して履行させた場合、履行期間の短縮、経費の削減、安全・円滑かつ適切な業務の履行が確保できる等有利と認められる場合
ア 継続して行うことにより、一体の成果物(完成して初めて委託業務の目的を果たすものに限る。)の完成を目的とし、業者が異なる場合は契約不適合責任の範囲が不明となる等密接不可分な関係にあるもの
イ 前後の業務が密接な関係にあり、かつ、全業務内容が後の業務委託に重大な影響を及ぼすものと認められるもの(期間の短縮、経費の削減が確保できるものに限る)
③ 他の所管の発注に係る現に履行中の業務で、当該履行中の者に受託させることよっ て、履行期間の短縮、経費の削減に加え、円滑かつ適切な履行の確保を図ることができると認められる場合
【特記事項】
① 本号の有利、不利の解釈は、主に価格面の有利、不利があるが、その業務の品質、期間、安全性も考慮して決定する。
② 発注した工事において設計変更が必要になった場合は、工事請負契約における設計変更ガイドラインに基づき、適切な判断により行うこと。
(7)時価より著しく有利な価格で契約の締結が見込める場合
(地方自治法施行令第167条の2第1項第7号該当)
「著しく有利な価格」とは、予定価格(時価を基準としたもの)から勘案して、競争入札に付した場合よりも明らかに有利である価格をいうが、しかし、判断基準が明確にできるものがないことや、競争入札に付した場合より安価になるかどうかも不確定であることから、適用に際しては、市場調査を行ったり、品質・性能の確保に問題がないことを確認することが必要となる。
【工事請負契約関係】
① 特定の施工者が、施工に必要な資機材等を当該工事現場付近に多量に所有するため、当該者と随意契約した方が、競争に付した場合より著しく有利な価格で契約することができると認められる場合
② 特定の施工者が開発し、又は導入した資機材、作業設備、新工法等を利用した方が、競争に付した場合より著しく有利な価格で契約することができると認められる場合
【物品購入・業務委託等契約関係】
① 特定の者が、過去に受注した業務のノウハウ・資料等を所有するため、当該者と随意契約することにより、競争入札に付した場合より著しく有利な価格で契約することができると認められた場合
② 特定の者が開発したシステム等を利用することにより、競争入札に付した場合より著しく有利な価格で契約することができると認められた場合
③ 競争の余地のない物品の買入で、公益的理由により有利な価格で契約することができると認められた場合
(8)競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がいない場合
(地方自治法施行令第167条の2第1項第8号該当)
いわゆる不落(不調)随契といわれるものです。「再度の入札」とは、開札の結果、予定価格の制限範囲内の価格の入札がないとき、直ちにその場で行う入札(再度入札)や、入札価格の制限に達しないものがない場合のほか、入札者がいない場合又は落札者が契約を結ばない場合において、再び公告をした後に改めて行う入札(再度公告入札)を行うことをいう。
本号を適用する場合は、最初競争入札に付するとき定めた予定価格やその他の条件(契約保証金及び履行期限を除く)を変更する事はできません。
① 全員が入札を辞退し入札者がない場合
② 再度の入札に付したが、予定価格超過で落札者がない場合
③ 再度の入札に付したが、入札が無効になり落札者がない場合
※ただし、改めて競争入札に付する時間的余裕がない場合に限る
(9)落札者が契約を締結しない場合
(地方自治法施行令第167条の2第1項第9号該当)
競争入札により落札者になった者が契約を締結しない場合(落札者が契約書を作成しないとき)、当該落札金額の範囲内で契約を締結する者があったときは、その者と契約を締結できることになります。契約は、あくまで落札金額の制限内で行うものとし、かつ、最初の競争入札に付するときに定めた条件(履行期限を除く)を変更する事はできません。
① 落札者が契約を辞退した場合
② 落札者が倒産等により契約締結ができなくなった場合
③ 落札者が所定の期日までに契約の保証を付することができなかった場合
※ただし、改めて競争入札に付する時間的余裕がない場合に限る
運用の解釈として、政令第167条の2第1項第8号との相違は、同号が落札決定前であり予定価格の制限内であることに対して、同項第9号は落札決定後であり落札者と合意された価格があるため落札金額の制限内でなければならないということである。
なお、競争入札において落札者が契約を締結しないときは、入札保証金相当額を違約金として徴収することとしている(xx市契約規則第6条第5項参照)。
3.随意契約での留意事項
1)根拠法令等の明確化
随意契約による場合は、予定価格より判断して、政令第167条の2第1項第1号から第9号に該当する号を明らかにする必要があります。また、1者随意契約は、政令の該当が明らかであること及びやむを得ない理由がある場合に適用できるものとします。
政令第167条の2第1項第2号から第9号については、「1者随意契約」が締結できる理由であり、金額はxx市契約規則第22条で定める金額を超える事もできます。
ただし、1者随意契約の理由については、政令の趣旨をよく理解し、恣意的な拡大解釈のないよう留 意してください。
2)有利性の証明
随意契約による場合は、競争の理念に基づき、できる限り多くの者から見積書を徴して、それらの者の価格を比較検討し、原則として最も有利な価格で見積りをした者を契約の相手方とし、単に過去の実績や「業務に精通している」、「特殊な業務」等を理由に随意契約とすることは適切ではありません。
3)少額随意契約の留意点
政令第167条の2第1項第1号は、一定以下の金額については、事務の軽減を主旨に随意契約ができる規定(少額随意契約)ですが、本来競争性が生じる案件を合理的な理由もなく、故意に分割し、少 額随意契約することは適切ではありません。
4)予定価格の設定
1者からの見積書で予定価格を設定することにより、不調になったり、xxな入札にならなかったりする事例があるため、見積書をもとにして予定価格を設定する場合は、見積書を複数者から徴収することや取引の実勢価格を考慮するなど、適正な予定価格の設定が求められます。
5)説明責任
1者随契する場合は、透明性を高めるため、どのような調査を行った結果、どのような理由で 1 者しかいないと判断したのか等の過程(理由)を具体的に明らかにし、市民一般に対して説明する責任があります。その点に十分留意して慎重な執行が求められます。
① 「特別な技術、機器、設備」を理由とする場合、1者しかない状況を具体的に説明できること。
② 複数年同一業者と契約している場合、新規業者の参入等の状況変化で複数者の参加が可能となっていないかを確認すること。
③ 契約相手方は、委託する主要な業務を再委託する実態がないか確認すること。
④ 仕様等の変更や業務の分割等で入札できる余地がないか確認すること。
⑤ 他課・機関で類似業務が想定される場合、契約状況を確認すること。
⑥ 近隣自治体等で類似業務が想定される場合、契約状況を確認すること。
6)市内業者優先
随意契約であっても、できる限り、競争入札参加資格を有する業者(有資格者)で市内業者を優先的に選定することします。ただし、修繕等の少額の契約(包括施設管理委託契約以外)では、小規模工事等契約希望者登録名簿の登載業者も選定できるので積極的に活用してください。
4.参考資料
地方自治法施行令 抜粋
(随意契約)
第百六十七条の二 地方自治法第二xx十四条第二項 の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。 一 売買、貸借、請負その他の契約でその予定価格(貸借の契約にあつては、予定賃貸借料の年額又は総額)が別表第五上欄に掲げ
る契約の種類に応じ同表下欄に定める額の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき。
二 不動産の買入れ又は借入れ、普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。
三 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 (平成十七年法律第百二十三号)第五条第十一項 に規定する障害者支援施設(以下この号において「障害者支援施設」という。)、同条第二十五項 に規定する地域活動支援センター(以下この号において「地域活動支援センター」という。)、同条第一項 に規定する障害福祉サービス事業(同条第七項 に規定する生活介護、同条第十三項 に規定する就労移行支援又は同条第十四項 に規定する就労継続支援を行う事業に限る。以下この号において「障害福祉サービス事業」という。)を行う施設若しくは小規模作業所(障害者基本法 (昭和xxx年法律第八十四号)第二条第一号 に規定する障害者の地域社会における作業活動の場として同法第十八条第三項 の規定により必要な費用の助成を受けている施設をいう。以下この号において同じ。)若しくはこれらに準ずる者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者において製作された物品を普通地方公共団体の規則で定める手続により買い入れる契約、障害者支援施設、地域活動支援センター、障害福祉サービス事業を行う施設、小規模作業所、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 (昭和四十六年法律第六十八号)第四十一条第一項 に規定するシルバー人材センター連合若しくは同条第二項 に規定するシルバー人材センター若しくはこれらに準ずる者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者から普通地方公共団体の規則で定める手続により役務の提供を受ける契約又は母子及び父子並びに寡婦福祉法 (昭和三十九年法律第百二十九号)第六条第六項 に規定する母子・父子福祉団体若しくはこれに準ずる者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者(以下この号において
「母子・父子福祉団体等」という。)が行う事業でその事業に使用される者が主として同項 に規定する配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの及び同条第四項 に規定する寡婦であるものに係る役務の提供を当該母子・父子福祉団体等から普通地方公共団体の規則で定める手続により受ける契約をするとき。
四 新商品の生産により新たな事業分野の開拓を図る者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者が新商品として生産する物品を当該認定を受けた者から普通地方公共団体の規則で定める手続により買い入れ若しくは借り入れる契約又は新役務の提供により新たな事業分野の開拓を図る者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者から普通地方公共団体の規則で定める手続により新役務の提供を受ける契約をするとき。
五 緊急の必要により競争入札に付することができないとき。六 競争入札に付することが不利と認められるとき。
七 時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき。八 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき。 九 落札者が契約を締結しないとき。
2 前項第八号の規定により随意契約による場合は、契約保証金及び履行期限を除くほか、最初競争入札に付するときに定めた予定価
格その他の条件を変更することができない。
第一項第九号の規定により随意契約による場合は、落札金額の制限内でこれを行うものとし、かつ、履行期限を除くほか、最初競争入札に付するときに定めた条件を変更することができない。
前二項の場合においては、予定価格又は落札金額を分割して計算することができるときに限り、当該価格又は金額の制限内でxxに分割して契約を締結することができる。
xx市契約規則 抜粋
(随意契約によることができる場合の限度額)
第 22 条 令第 167 条の 2 第 1 項第 1 号に規定する規則に定める額は、次の各号に掲げる契約の種類に応じ、当該各号に定める額とする。
(1) 工事又は製造の請負 130万円
(2) 財産の買入れ 80万円
(3) 物件の借入れ 40万円
(4) 財産の売払い 30万円
(5) 物件の貸付け 30万円
(6) 前各号に掲げるもの以外のもの 50万円
(特定の随意契約に係る手続)
第22条の2 令第167条の2第1項第3号及び第4号に規定する規則で定める手続は、次に掲げるとおりとする。
(1) あらかじめ契約の発注見通しを公表すること。
(2) 契約を締結する前において、契約内容、契約の相手方の決定方法、選定基準等を公表すること。
(3) 契約を締結した後において、契約の相手方となった者の名称、契約の相手方とした理由等の契約の締結状況を公表すること。
( 随意契約の見積書の徴取)
第 23 条 随意契約によろうとするときは、契約及び見積りに必要な事項を示し、原則として2 人以上の者から見積書を徴するものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、1 人の者から見積書を徴することでこれに代えることができる。
( 1 ) 予定価格が1 件 10 万円( 工事及び修繕にあっては、30 万円) 未満の契約のとき。 ( 2 ) 契約の目的又は性質により契約の相手方が特定されるとき。
( 3 ) 市場価格が一定している場合であって、一般競争入札又は指名競争入札に付する必要がない物品を購入するとき。
( 4 ) 2 人以上から見積書を徴することが困難又は不適当と認められるとき。
2 前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当するときは、見積書を徴さないことができる。 ( 1 ) 価格を定めて払い下げるとき。
( 2 ) 相手方が官公署であるとき。
( 3 ) 法令等の規定により価格の一定しているものであるとき。
( 4 ) 予定価格が1 件 3 万円未満のとき。ただし、備品の購入は除く。
( 5 ) 前各号に掲げるもののほか、見積書を徴することが困難又は不適当と認められるとき。
3 第 1 項の規定により見積書を徴する場合においては、第 9 条の規定を準用する。
( 一般競争入札の規定の準用等)
第 24 条 第 7 条及び第 8 条の規定は、随意契約においてこれを準用する。ただし、工事請負( 設計及び測量の請負を含む。以下同じ。) 又は物品の製造、修理若しくは加工の請負の場合において、仕様書又は設計書の作成を省略したときは、相手方から徴した見積書等を審査し、適正と認められる最低の見積価格をもって当該予定価格とするとともに、予定価格調書の作成を省略することができる。
提出書類一覧
№ | 項目 | 関係例規 | 工事 | 委託 | 役務 | 物品 |
1 | 起工伺書 | 規程第5条(様式1号) | ○ | ○ | ○ | ○ |
2 | 見積書提出依頼書 | ※任意様式 | ○ | ○ | ○ | ○ |
3 | 予定価格調書 | 規則第7条(様式3号) | ○ | ○ | ○ | ○ |
4 | 見積経過書 | ※任意様式 | ○ | ○ | ○ | ○ |
5 | 工事請負契約締結及び監督員並びに総括監督員指定伺 | 規程第9条(様式3号) | ○ | |||
6 | 業務委託契約締結及び監督員並びに総括監督員x x伺 | 規程第21条(様式3号の2) | ○ | ○ | ||
7 | 建設工事請負契約書 | 規則第41条(様式8号) | ○ | |||
8 | 業務委託契約書 | 規則第60条(様式20号) | ○ | ○ | ||
9 | 物品供給契約書 | 規程第23条(様式16号) | ○ | |||
10 | 監督員指定通知 | 規則第42条(様式9号) | ○ | ○ | ○ | |
11 | 工事着工届 | 規程第13条(様式6号) | ○ | |||
12 | 業務着手届 | 規程第21条(様式6号の2) | ○ | ○ | ||
13 | 現場代理人等の指定通知 | 規則第49条(様式15号) | ○ | |||
14 | 監理技術者等の指定通知 | 規則第61条(様式15号の2) | ○ | |||
15 | 現場責任者等の指定通知 | 規則第61条(様式15号の3) | ○ | |||
16 | 工程表 | 規則第49条(様式第14号) | ○ | |||
17 | 工程表 | 規則第61条(様式14号の2) | ○ | ○ | ||
18 | 前払金請求書 | 規則第50条(様式16号) | ○ | ○ | ||
19 | 設計変更承認願 | 規程第14条(様式7号) | ○ | ○ | ○ | ○ |
20 | 工事請負契約変更について(協議) | 規程第14条(様式8号) | ○ | |||
21 | 業務委託契約変更について(協議) | 規程第21条(様式8号の2) | ○ | ○ | ○ | |
22 | 工事請負変更請書 | 規程第14条(様式9号) | ○ | |||
23 | 業務委託変更請書 | 規程第21条(様式9号の2) | ○ | ○ | ||
24 | 工事完成通知書 | 規則第47条(様式10号) | ○ | |||
25 | 業務完了報告書 | 規則第62条(様式10号の2) | ○ | ○ | ||
26 | 検査員指定通知書 | 規程第18条(様式14号) | ○ | ○ | ○ | |
27 | 検査調書 | 規則第48条(様式11号) | ○ | ○ | ○ | ○ |
28 | 工事完成結果通知書 | 規則第48条(様式12号) | ○ | |||
29 | 業務完了検査結果通知書 | 規則第62条(様式12号の2) | ○ | ○ | ||
30 | 工事完成に伴う引渡書 | 規則第54条(様式19号) | ○ | |||
31 | 業務完了に伴う引渡書 | 規則第62条(様式19号の2) | ○ | ○ | ||
32 | 請負代金請求書 | 規則第53条(様式18号) | ○ | ○ | ○ | ○ |