Contract
個人コンサルタント向け
業務実施契約(単独型)の手続きに係る参考資料
2022 年 10 月
JICA調達・派遣業務部
はじめに
JICA では、法人格を有していない個人資格のコンサルタント(以下、「個人コンサルタント」といいます。)についても、コンサルタント等契約の相手先として、競争への参加を認めています。
本参考資料では、業務実施契約(単独型)の契約相手先となる個人コンサルタントの皆様が円滑な契約手続き、業務の適切な実施が確保できるよう、具体的な契約手続きと留意事項をまとめました。また、計算方法などが複雑な源泉徴収についても本参考資料の中で説明をしていますので、参照願います。
1.業務実施契約(単独型)とは?
業務実施契約(単独型)は、調査、技術協力等の業務のうち、単独の業務従事者による役務の提供によって実施可能な業務を委託するものです。
業務形態については、大きく分けて専門家として先方政府の関係機関で(又は技術協力プロジェクトの日本人専門家チームの一員として)技術協力を行う場合と、JICAが派遣する調査団の一員として担当分野の調査を行う場合とに区分されます。
以下、業務実施契約(単独型)の応募から契約終了までのフローについて説明した後に、個人コンサルタントが契約を締結、履行する際の留意事項を取りまとめています。
2.競争参加から契約締結まで
(1)案件の選定
毎週水曜日にコンサルタント等契約の案件が公示されますが、それに先立ち公示予定について「調達予定案件情報」で確認xxxxので、事前に情報を入手できます。
●業務実施契約(単独型)の公示情報
(xxxx://xxx0.xxxx.xx.xx/xx/xxxxxxxx/xxxxx.xxx?xxxxxxxxx0)
●コンサルタント等契約調達予定案件情報
(xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxxx/xxxxx.xxxx)
(2)競争参加の資格
競争に参加するには、以下の競争参加資格が必要です。詳しくは、プロポーザル作成ガイドラインの別添資料 11 「業務実施契約(単独型)公示にかかる競争手続き」を参照ください。
( xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxx/xxxxxxxxx/xxxxxxxxxx/00000000.xxxx )
✓ 日本国に居住していること。
✓ 税金の未納がないこと。
✓ 所属先がある場合は、所属先の同意を得ていること。
✓ 日本国の国籍を有すること。
上記の競争参加資格を確認するため、個人コンサルタントの皆様には、簡易プロポーザル提出5営業日前までに競争参加資格審査申請書の提出を求めています。資格審査申請書には、以下の書類の添付を求めます。
✓ 住民票の写し(過去3か月以内のもの)
✓ 納税証明書「その3の2」(過去3か月以内のもの)
注)所属先の同意及び国籍は、必要に応じ、契約交渉時に確認します。
(3)プロポーザルと見積書の作成と提出
1)プロポーザル
プロポーザルの作成にあたっては、個別案件の公示内容に加え、以下を参照ください。
●コンサルタント等契約におけるプロポーザル作成ガイドライン
(xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxx/xxxxxxxxx/xxxxxxxxxx/00000000.xxxx)
2)見積書
見積書の作成にあたっては、個別案件の公示内容に加え、以下を参照ください。
●コンサルタント等契約における経理処理ガイドライン
(xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxx/xxxxxxxxx/xxxxxxxxxx/xxxxxxxxx.xxxx)プロポーザルと見積書の提出は、専用アドレス(x-xxxxx@xxxx.xx.xx)へ電子デ
ータを提出いただきます。詳細については、上述のプロポーザル作成ガイドラインの別添資料 11 「業務実施契約(単独型)公示にかかる競争手続き」を参照ください。
(4)JICA での選定手続き ~プロポーザルの締切日から1週間程度~必要に応じて書類の確認等の連絡をさせて頂きます。
案件により、競争参加者によるプレゼンテーションを実施する場合があります。
(5)選定結果通知および契約交渉 ~3日間程度~調達・派遣業務部から選定結果を通知します。
契約交渉順位第一位に選ばれましたら、業務主管部署及び調達・派遣業務部の担当者と契約交渉を実施します。契約交渉では主に、業務工程や契約金額について確認します。
契約交渉に際し、現地業務期間が長期に及ぶ場合、過去1年以内の健康診断書
(写)の提示を求める場合があります。
契約交渉の最後に、契約に必要な書類の作成・提出を調達・派遣業務部から依頼致します。契約にあたって作成・提出していただく書類は次のとおりです。
1)契約書(案)(押印製本不要)
①業務実施契約書(単独型)
②業務実施契約(単独型)契約約款
③付属書Ⅰ(仕様書)
公示の内容を転記し、作成してください。
④付属書Ⅱ(契約金額内訳書)
契約書の雛型については、以下を参照ください。
●様式 業務実施契約(単独型)
( xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxx/xxxx/xxxxxx_xx/xxxxx_xxxxx_000000.xxxx )
2)最終見積書
簡易プロポーザルとともに提出いただいた見積書と同様式です。見積書の表紙に押印し、提出ください。
3)印鑑証明書
契約書、支払先口座届及び支払請求書等に押印される印鑑が実印であることを証明頂きます。
4)支払先口座届出書
支払先口座の真正性を確認し、口座の登録手続きをします。
上記の2)や4)について、押印を省略する場合は、以下のお知らせに記載の内容に準じ、該当の書類の表紙に個人コンサルタント本人の氏名及び連絡先
(電話番号及び電子メールアドレス)を明記し、提出時の電子メールを個人コンサルタント本人から送付ください。
xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxx/xxxxxxxxx/xxxxxxxxxx/00000000.xxxx
(6)JICA での契約承認手続き~上記の書類提出から1週間程度~
(7)契約締結
契約承認手続きの終了後、調達・派遣業務部から個人コンサルタントに対して契約書原本2部の作成を依頼します。
契約書は袋とじをした上で、袋とじ箇所(最初と最後の頁)及び受注者の箇所に押印してください。契約書の製本については、以下を参照願います。
●契約書の作成および製本について
(xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxx/xxxx/xxxxxx_x/xxxxxxxx.xxxx)
必要に応じて収入印紙を貼ってください(原本2部のうち、1部のみに貼付)。契約額によって収入印紙の額面が変わりますので、額については所轄の税務署にお問い合わせください。
(8)業務開始
契約履行期間の開始とともに、業務開始となります、業務開始後は JICA 事業部担当者と渡航、業務にあたっての打合せ等を行ってください。
3.契約開始から業務完了まで
ここでは契約締結後、業務を開始してから業務が完了するまでの流れについて説明します。
(1)渡航手続き
契約締結後、相手国政府への受入確認(一部不要な国もあります)、公用旅券の手配(アフガニスタン等の特定国のみ)、安全管理シートの作成等、渡航手続きに際して、準備をお願いする書類があります。契約締結後、すぐに渡航する場合もありますので、予め準備することをお勧めします。提出いただく書類は多岐に亘りますので、JICA 事業部担当者と十分連絡をとって準備をお進めください。詳しくは、以下を参照ください。
●コンサルタント等にかかる渡航手続き・安全対策について(依頼)
(xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxx/xxxxxxxxx/xxxxxxxxxx/xxxxxx.xxxx)
(2)海外旅行保険
開発途上国での業務では、気候、食事、文化の違い等によるストレスが蓄積し、 現地作業期間中に体調を崩す、交通事故により負傷されるなどし、中には重篤な 状態に陥られる方もいます。そのような場合、現地での疾病治療費や緊急移送費 等が個人で購うことが困難なほど高額となることもあります(医療事情の良くな い地域からの緊急移送では、2,000 万円を超える費用がかかるケースもあります)。
このようなリスクに備えるため、緊急輸送費や救護者費用等がxxされた海外 旅行保険に加入することを強くお勧めしています。
JICA では、コンサルタントにも提供可能な「海外旅行保険(通称:無事カエル パック)」を用意していますので、ご検討ください。詳しくは、以下を参照ください。
●海外旅行保険について
(xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/xxxxxx/xxxxxxxxx.xxxx)
(3)航空券、査証、宿泊先等の手配
業務実施契約(単独型)においては、航空賃や日当・宿泊料等を契約金額に含んで契約する場合と、契約金額には含まず、JICA から直接航空券を支給し、日当・宿泊料等を本人に銀行振込する場合とがあります。いずれにするかは公示に記載し、契約交渉時に相談・決定します。
航空賃が契約に含まれている場合、航空券や査証の手配は個人コンサルタント自身で実施していただきます。航空賃が契約に含まれていない場合、原則 JICA が航空券や査証を手配しますので、個人コンサルタントの方が直接手配する必要はありません。
現地の宿泊先は、宿泊料が契約に含まれているか否かにかかわらず、その手配の方法(JICA が手配するか、個人コンサルタント自身で確保するか)を JICA 事業部担当者と相談して下さい。なお、日当と宿泊料は、原則として、契約で定めた金額の定額支給です。
(4)現地での健康管理
1)持病・既往症がある方は、以下を強くお勧めします。
① 渡航前に主治医に相談し助言を得ておく。
② 治療中疾患については英文診断書携行、内服薬は大目に持参する。
2)海外での罹患時に重症化させないために、以下をお願いします。
① 体調不良時は出勤しない。
② 医療機関を選択の上、早めに病院へ相談、診療につなげる。
③同僚やJICA 関係者への連絡を躊躇しないこと。
⇒病気の場合に備え、支援を求める連絡先を確保ください。
3) 緊急連絡先として以下の連絡先を携帯ください。
① JICA 事務所担当者、大使館担当官
② 旅行保険会社:海外旅行保険証の写しを含む
③ プロジェクト関係者内の報告・連絡ルート
4)業務対象国に到着後、速やかに緊急連絡先と安全管理情報提供シートを在外事務所宛に提出ください。様式は以下の URL にあります。 xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxx/xxxxxxxxx/xxxxxxxxxx/xxxxxx.xxxx
5)新型コロナウイルスへの感染に関しては、以下をお願いします。
① 重篤化リスクを判断する場合、現地での健康管理体制を踏まえたうえで、
重篤化リスクが高いときは派遣を辞退するといった判断を躊躇なく行ってください。
② 現地で、感染症状が出た際は速やかに医療機関で受診ください。
③ 感染が確定した場合は、速やかに JICA 事務所へご報告ください。
④ 濃厚接触者になった可能性がある場合はマスク着用・健康観察を行い感染拡大を防止する。症状が出現したらすぐに医療機関を受診ください。
⑤ ご自身での対処が難しくなる前に、躊躇せずに JICA 事務所へ支援依頼をしてください。
⑥ 万が一、緊急移送の可能性が発生した場合、事務所が支援しますので、速やかに JICA 事務所へ支援依頼をしてください。
(5)現地での活動費
現地の活動に必要な車両の借上げ等については、JICA 在外事務所やプロジェクトチームなどが現物を提供することもありますが、JICA 在外事務所が個人コンサルタントに「臨時会計役」を委嘱し、現地での活動費の管理・支出・精算に関する権限と責任を負って頂く場合もあります。その際、精算には支出に対する証憑書類が必ず必要となりますので、証憑書類の紛失等には十分ご注意ください。
また現地に JICA 在外事務所がない国については、本部にて臨時会計役を委嘱するか、契約に現地業務費を含める場合があります。いずれの場合についても、公示に記載しますので参照ください。
(6)業務従事月報、打合簿等の作成
現地滞在期間が3か月を超える場合もしくは国内作業が合計1人月を超える場合に、毎月コンサルタント業務従事月報を監督職員まで提出する必要があります。
また、業務の進捗確認や業務内容の軽微な変更などを監督職員との間で合意・記録する文書として打合簿を作成することがあります。業務内容の変更やその他事象が生じた場合は、速やかに監督職員に報告、協議して下さい。
コンサルタント業務従事月報、打合簿の様式は以下を参照ください。
●様式 業務実施契約(単独型)
xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxx/xxxxxxxxx/xxxxxxxxxx/xxxxx_xx.xxxx
(7)業務の変更
業務を実施する過程で、やむを得ない事情により業務内容の追加・変更等が生じる場合は、事前に監督職員に相談してください。
必要に応じて、打合簿で変更事項について合意(軽微なものに限る。)、もしくは変更契約書を取り交わすことにより契約内容の変更を行います。契約内容の変更が打合簿で合意可能か、変更契約書を取り交わす必要があるか、変更事由によって異なりますので、業務の変更の可能性が生じた場合は速やかに監督職員に報告・協議を行ってください。(変更契約には1ヵ月ほどを要します。)
(8)経費の請求方法
請求書には日付、住所など必要事項を必ず記載のうえ、押印したものを提出ください。支払請求の詳細については、上述の「コンサルタント等契約における経 理処理ガイドライン」を参照ください。
なお、請求金額に対しては、JICA が源泉徴収をした上で、お支払します。詳し
くは「4.その他留意事項」を参照願います。
① 前金払
現地業務期間が長期にわたる場合の航空賃や現地の滞在費にかかる受注者の負担を軽減するために、受注者が個人コンサルタントである場合は、旅費(航空賃、日当・宿泊料等)の前金払の請求を認めています。
具体的には、個人コンサルタントとの契約においては、以下の条項が契約書に追記されます。
受注者は、発注者に対して附属書Ⅱ「契約金額内訳書」に定める旅費に限り前払金の支払を請求することができる。この場合、発注者は、業務従事者の現地業務の都度、当該現地業務に係る旅費を前払することができる。な お、一回の派遣で派遣前に前払できる限度は、航空賃と6ヶ月分の日当・宿泊料等とし、残額分の前払は6ヶ月経過後とする。
② 部分払
契約書で部分払条項を設けている場合のみ部分払請求が可能です。
③ 概算払
下述「(9)業務完了届」に記載の検査合格通知の後、精算金額の確定に先立って、契約金額の 90%を上限に請求いただくことが可能です。
④ 精算払
履行期限内にご提出頂く精算報告書をもとに JICA が内容を精査し、確定した精算金額が請求金額の上限となります。
(9)業務完了届
契約書に規定されている提出期限までに契約業務を完了し、速やかに業務完了 届を JICA に提出してください。
JICA は業務完了届及び業務として提出を求めている報告書等の文書の検査を行った上で、提出日の翌日から 10 営業日以内に、検査結果を受注者に通知します。検査結果通知をもって、業務完了となります。
(10)精算報告書の作成
受注者は、履行期限内に遅滞なく精算報告書を JICA に提出する必要がありま す。また、精算報告書の内容に不備等がある場合、当該部分の支出が認められないこともあります。精算報告書の作成にあたっては、以下を参照の上、手引きに基づいて作成ください。
●経理処理ガイドライン
(xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxx/xxxxxxxxx/xxxxxxxxxx/xxxxxxxxx.xxxx)
JICA は精算報告書の内容を確認の上、精算金額の確定を行い、その結果を受注者に通知します。
(11)請求書の作成
JICA からの精算金額の確定通知(精算確定通知書)に基づき請求書を作成ください。請求書を受領してから 30 日以内に JICA から請求書で指定の口座に銀行振込を行います。
4.その他留意事項
(1)経費の負担項目
業務実施契約(単独型)における契約金額は大きく報酬(直接人件費、その他原価)と直接経費に分類されます。直接経費として航空賃や日当・宿泊料等が計上されていますが、直接経費に含まれない費用は、報酬額の中に含まれているとの整理です。
受注者が報酬額の中で負担すべき経費(直接経費として計上が認められない経費)の具体的なものとしては、以下が該当します。
1)一般旅券の交付にかかる経費
2)査証(ビザ)代(※1)
3)携帯電話等の通信費
4)コンピューター端末にかかる経費
5)予防接種費用(※1)
6)海外保険料(※1)(戦争特約部分は除く。)
(※1)国内業務主体の契約の場合は、直接経費への計上を認めます。
(2)源泉徴収
JICA が個人コンサルタントと契約を行い、請求書に対する支払いを行う際、法律に基づき、請求金額から源泉徴収税を控除した額を支払うことになります。
なお、JICA は毎年 1 月から 12 月までに徴収した源泉徴収税にかかる支払調書
を、翌年 1 月下旬に個人コンサルタント宛に送付しています。
1)源泉徴収課税の対象経費
源泉徴収課税の対象は、原則契約金額全体となります。例えば、契約金額に旅費(航空賃、日当・宿泊料等)を含めて契約をしている場合、その旅費を含めた契約金額全体が課税対象となります。具体的な計算は、契約金額に基づき個人コンサルタントが請求する「請求金額」を母数として計算します。
契約金額全体を対象として課される税のうち、必要経費とみなされるものについて源泉徴収された税額が、個人コンサルタントが確定申告をすることにより還付されることがあります。詳しくは所轄の税務署にお尋ねください。
2)源泉徴収税額
税率は、請求額のうち 100 万円までがその 10.21%、100 万円を超える分についてはその超えた額の 20.42%となります。
JICA へ支払い請求を行う毎の請求金額に対して、上記の税率を乗じて算出されます。
支払い請求については、前金払、部分払、精算払等、複数の回数にわたることがありますが、請求金額全体額が同じでも、請求回数や請求毎の金額の多寡により、源泉徴収税額の総額が変動することにご留意願います。
以上