Contract
8.定期借地権契約に関する確認書(集合住宅・地上権)
【前文】
土地所有者○○○(以下「甲」という。)と地上権者▽▽▽(以下「丙」という。)は、平成 年 月日付の契約により甲が△△△(以下「乙」という。)に設定した物件表示記載の土地(以下「本件土地」という。)に係る借地借家法(以下「法」という。)第22条所定の定期借地権(以下「本件借地権」という。)について、平成 年 月 日付で丙が乙から物件表示記載の準共有持分割合に従って準共有持分を譲り受け、本確認書に定めるところに従って丙が本件借地権の当該準共有持分を享受することを確認した。
【借地権の性質】
(第1条)
1. 本件借地権は、本件土地上に建築された物件表示記載の建物(以下「本件建物」という。)の区分された建物部分(以下「専有部分」という。)の所有を目的とし、物件表示記載の準共有持分割合に従って、丙に帰属する。
2. 本件借地権については、更新の請求及び土地の使用の継続による契約の更新並びに建物の築造による存続期間の延長がなく、また、丙は、法第13条の規定による本件土地上の建物の買取りを請求することができない。
【建物の維持義務】
(第2条)
丙は、本件借地権の存続期間中、本件建物を良好な状態に維持しなければならない。
【存続期間】
(第3条)
本件借地権の存続期間は、平成 年(西暦 年) 月 日から平成 年(西暦 年) 月 日までの 年間とする
【地代】
(第4条)
1. 本件借地権に関して丙が負担すべき地代は、月額○○○円とする。丙は、甲に対して、毎月○○日までに、その翌月分を甲が指定する金融機関口座に振込むことにより支払わなければならない。
2. 甲又は丙は、○年毎に、以下に掲げる方式により算定した額に地代を改定することを請求することができる。
改定地代の年額=( 従前の地代の年額 - 従前の地代決定時の公租公課の年額)× 変動率 + 地代
改定時の公租公課の年額
公租公課とは、本件土地に係る固定資産税及び都市計画税に物件表示記載の準共有持分割合を乗じた額とする。変動率とは、地代改定年において公表されている直近の年の年平均の総務庁統計局の消費者物価指数(全国平均・総合)を従前の地代決定時に採用した同消費者物価指数で除した数値とする。
3. 前項の規定にかかわらず、地代が、本件土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、甲又は丙は、将来に向かって地代の増減を請求することができる。
※注1 固定資産税及び都市計画税以外の公租公課を含める場合には、その範囲を明らかにしておくことが必要である。
※注2 変動率の基礎として引用し得る指数は、この他にも地域別の消費者物価指数等がある。
※注3 初回の地代改定において使用する「従前の地代決定時の公租公課」及び「地代改定時の公租公課」については、住宅用地の場合の固定資産税及び都市計画税の軽減の特例により初回地代改定時の公租公課よりも次回の公租公課が低くなることがあり得ることに留意する必要がある。
【敷金】
(第5条)
1. 甲は、xが本件借地権に関し負担する地代その他の債務を担保するため、乙が甲に対して預託した敷 金のうち第 4 条に規定する地代の○か月分に相当する金員を引き続き丙のために敷金として受託する。
2. 丙は、地代が増額されたときは遅滞なく、甲に対し敷金として当該地代の○か月分に相当する額に不足する金員を追加して預託し、また、甲は、地代が減額されたときは遅滞なく、丙に対し当該地代の
○か月分に相当する額を超える部分の金員を返還しなければならない。
3. 丙に地代の不払いその他本件借地権に関し丙について発生する債務の支払い遅延が生じたときは、甲は、催告なしに敷金をこれらの債務の弁済に充当することができる。甲は、この場合には、弁済充当日、弁済充当額及び費用を丙に書面で通知する。丙は、甲より充当の通知を受けた場合には、通知を受けた日から○日以内に甲に対し敷金の不足額を追加して預託しなければならない。
4. 本件借地権の消滅に伴い丙が本件土地を原状に復して甲に返還した場合において、甲は、本件借地権に関して生じた丙の債務で未払いのものがあるときは敷金の額から未払債務額を差し引いた額を、また、未払いの債務がないときは敷金の額を、それぞれ遅滞なく丙に返還しなければならない。この場合において、返還すべき金員には利息を附さないものとする。
5. 前項の場合において、未払債務額を差し引いて敷金に返還するときは、甲は、敷金から差し引く金額の内訳を丙に明示しなければならない。
6. 丙は、本件土地を原状に復して甲に返還するまでの間、敷金返還請求権をもって甲に対する地代その他の債務と相殺することができない。
7. 丙は、敷金返還請求権を第三者に譲渡し、又は担保に供してはならない。ただし、第7条第2項に規定する場合については、この限りでない。
【建物の増改築等】
(第6条)
丙は、本件建物を増改築し、又は再築しようとする場合には、あらかじめ、その旨を甲に通知しなければならない。この場合において、増改築又は再築により本件建物の共用部分の共有持分又は借地権の準共有持分に変更を生じるときは、丙は、甲の承諾がない限り、当該増改築又は再築をすることができない。
【借地権の準共有持分の譲渡】
(第7条)
1. 丙は、第三者に本件借地権の準共有持分を譲渡しようとする場合には、専有部分とともに譲渡するものとし、その場合には、あらかじめ、その旨を甲に通知しなければならない。
2. 丙は、前項の場合には、甲に対する敷金返還請求権を譲渡する。
3. 丙は、第1項の場合には、本件借地権に係る丙の義務を当該第三者に承継させ、甲はそれを承諾する。
【土地の譲渡】
(第8条)
1. 甲は、本件土地を第三者に譲渡しようとする場合には、あらかじめ、その旨を丙に通知しなければならない。
2. 甲は、本件土地を第三者に譲渡した場合には、丙に対する敷金返還債務を当該第三者に承継させなければならない。
【地代支払債務不履行の場合の特例】
(第9条)
1. 丙が第4条に定める地代の支払を二年以上怠った場合には、甲は、丙に対し、その所有する専有部分とともに本件借地権の準共有持分を甲に帰属させることを請求することができる。ただし、本件借地権の設定契約における当事者間の信頼関係が未だ損なわれていないと認められるときは、この限りでない。
2. 甲は、前項に規定する請求権の行使によって当該専有部分を取得したときは、取得した日から○か月を経過する期間(以下「清算期間」という。)内に、第4項に規定する清算金の見積額を丙に通知しなければならない。ただし、甲は、丙に対して支払うべき清算金が存在しないと認めるときは、その旨を丙に通知する。
3. 前項の場合において、甲は、清算期間が経過する日の専有部分の見積価額並びにその日の未払地代、損害金等の債務の合計額(以下「債務額」という。)を明示しなければならない。
4. 甲は、清算期間が経過した日の専有部分の価額がその日の債務額を超えるときは、その超える額に相当する金員(以下「清算金」という。)を丙に支払わなければならない。
5. 丙は、前項の規定による清算金の支払いと引き換えに専有部分の所有権移転の登記及び引渡しをしなければならない。
【原状回復義務】
(第 10 条)
1. 本件借地権が存続期間の満了により消滅する場合には、丙は、他の専有部分の所有者とともに連帯して、自己の費用をもって本件土地に存する建物その他丙又は他の専有部分の所有者が本件土地に附属させた物を収去し、本件土地を原状に復して甲に返還しなければならない。
2. 前項の場合において、丙は、他の専有部分の所有者とともに連帯して、期間満了○年前までに本件建物の取壊し及び建物賃借人の退去等本件土地の返還に必要な事項を書面により甲に報告しなければならない。
3. 第1項に規定する本件土地の返還が遅延した場合には、丙は他の専有部分の所有者とともに連帯して、遅延期間に応じ、本件土地の地代の合計額の○倍に相当する額の遅延損害金を甲に支払わなければな らない。
※注 確認書においては、原状回復の具体的内容を明確にしておく必要がある。特に集合住宅の場合には、基礎杭の処理について例えば「地下○メートルまで収去を行わなければならない」等の約定が必要である。
【原状回復義務等】【特約】
(第○条)
1. 本件借地権が存続期間の満了により消滅する場合には、丙は、他の専有部分の所有者とともに連帯して、自己の費用をもって本件土地に存する建物その他丙又は他の専有部分の所有者が本件土地に附属させた物を収去し、本件土地を原状に復して甲に返還しなければならない。
2. 前項の場合において、丙は、他の専有部分の所有者とともに連帯して、期間満了○年前までに本件建物の取壊し及び建物賃借人の退去等本件土地の返還に必要な事項を書面により甲に報告しなければならない。
3. 第1項に規定する本件土地の返還が遅延した場合には、丙は他の専有部分の所有者とともに連帯して、遅延期間に応じ、本件土地の地代の合計額の○倍に相当する額の遅延損害金を甲に支払わなければな らない。
4. 前各項の規定にかかわらず、甲は、本件借地権の存続期間満了○年前までに、本件借地権の存続期間満了時に丙の所有する専有部分を無償で譲り渡すべきことを、丙に対して請求することができる。
※注 確認書においては、原状回復の具体的内容を明確にしておく必要がある。特に集合住宅の場合には、基礎杭の処理について例えば「地下○メートルまで収去を行わなければならない」等の約定が必要である。
【登記】
(第11条)
件借地権の存続期間が満了した場合には、丙は、第5条の規定による甲の敷金の返還と引き換えに、地上xx共有持分の登記を抹消する。
【遅延損害金】
(第 12 条)
xは、本件借地権に関し甲に対して負担する地代その他の債務の履行を遅滞したときは、甲に対して年○%の割合による遅延損害金を支払わなければならない。
【管轄裁判所】
(第 13 条)
本件借地権に係る紛争に関する訴訟は、本件土地の所在地を管轄する地方裁判所を第xxの管轄裁判所とする。
【協議】
(第 14 条)
本確認書に定めのない事項又は本確認書の規定の解釈について疑義がある事項については、甲及び丙は、民法その他の法令及び慣行に従い、誠意を持って協議し、解決する。
※記載例は、別ファイル「物件の表示(集合住宅・地上権)」を参照