Contract
工事請負契約約款第25条第1項および第4項
(全体スライド条項)運用マニュアル(暫定版)
平成26年2月
xx県農林水産部農村振興課
はじめに
本資料は、xx県工事請負契約約款(以下、「約款」という。)第25条第1項および第4項の全体スライド条項について、スライド額の算定方法や発注者および受注者間における協議等についての運用の考え方を整理したものである。
本資料において、出来形数量の確認や残工事量の算出等において疑義が生じた場合は、農村振興課と必要に応じ相談等を行い、円滑な執行に努めてください。
1 適用対象工事
⑴ 工期が12か月を超える工事であること。
⑵ 約款第25条第1項の請求は、2の⑶に定める残工期が2の⑵に定める基準日から2か月以上あること。
⑶ 減額となる場合、物価変動後の発注者の積算を基に計算した請負代金額が1,000分の30以上変化していると予想されること。
項目 | 全体スライド (約款第25条第1項および第4項) | 単品スライド (約款第25条第2項) | インフレスライド (約款第25条第3項) | |
適用対象工事 | 工期が12か月を超える工事ただし、基準日以降、残工期が2か月以上ある工事 (比較的大規模な長期工事) | 全ての工事 (運用通知日時点で継続中の工事および新規契約工事) | 全ての工事 ただし、基準日以降、残工期が 2か月以上ある工事 (運用通知日時点で継続中の工事および新規契約工事) | |
請負契約締結の日から、12 | 部分払いを行った出来形部分 | 運用通知に基づく賃金水準の | ||
か月経過した基準日以降の残 | を除く全ての資材 | 変更がなされた日以降の工事 | ||
対象 | 工事量に対する資材、労務単 価等 | (鋼材類、燃料油類、アスファ ルト、生コン等主要な工事材 | 量に対する資材、労務単価等 | |
料) | ||||
請負額変更の方法 | ||||
残工事費の1.5% | 対象工事費の1.0% (ただし、全体スライドまたは | 残工事費の1.0% (29条「天災不可抗力条項」 | ||
受発注者の負担 | インフレスライドと併用の場合、全体スライドまたはインフ レスド適用期間における負担 | に準拠し、建設業者の経営上最小限度必要な利益まで損なわ ないよう定められた「1%」を | ||
はなし) | 採用} | |||
可能 | なし | 可能 | ||
(全体スライドまたはインフ | (部分払いを行ったxxxx | (運用通知に基づく賃金水準 | ||
再 | レスライド適用後、12か月 | 分を除いた工期内全ての資材 | の変更がなされる都度、適用可 | |
スライド | 経過後に適用可能) | を対象に、精算変更契約後にス | 能) | |
ライド額を算出するため、再ス | ||||
ライドの必要がない) |
・減額スライドの確認(請負代金額の1,000分の30以上)は、12か月を経過した時点、その時点で対象外の場合は、設計労務単価もしくは機械損料改定時を確認時期とする。
請求日および基準日等の定義は、以下のとおりとする。
⑴ 請求日:スライド変更の可能性があるため、発注者または受注者が請負代金額の変更の協議(以下、「スライド協議」という。)を請求した日とする。
⑵ 基準日:請求日とすることを基本とする。
また、請求があった日から起算して、14日以内で発注者と受注者とが協議して定める日とすることも可とする。
⑶ 残工期:基準日以降の工事期間とする。
・請求日について
請求に際しては、残工事の工期が基準日(請求日とすることを基本とする。請求日から14日以内の範囲で定めることも可とする。)から2か月以上必要であることに留意すること。
なお、請求日の遡りは認めないこととする。
・基準日について
発注者と受注者とが協議して定める基準日は、請求日を基本とするが、これにより難い場合は、請求日から14日以内の範囲で定める。
・残工期について
残工期については、基準日における契約工期の残工事期間を基本とする。
なお、基準日までに変更契約を行っていない場合でも、先行指示等により工期延期が明らかな場合には、その工期延期期間を考慮することができるものとする。ただし、繰越工事等で議会承認を必要とする場合は、工期延長後において全体工期が12か月以上あること、および残工期が
2か月以上ある場合に限る。この場合においては、工期延長契約日以降に請求できるものとする。
発注者または受注者からのスライド協議の請求は、請負契約締結の日から12か月経過後に書面により行うこととする。
・スライド対象の確認
発注者は工期内で請負契約締結の日から12か月を経過(または、前回スライド基準日以降1
2か月)した段階で、スライド判定を行い、スライド協議の請求について判断することとする。スライド判定に当たっては、設計変更に伴う変更契約を行った上で出来高を確認し、変動前と
変動後残工事請負代金額により判定することを基本とする。
・スライド協議の請求について
発注者または受注者からのスライド協議の請求は、書面(別紙様式1-1まはた1-2)により行うこととする。
・スライド額協議開始日について
発注者は、受注者の意見を聴いてスライド額協議開始日を定め、請求日から7日以内に受注者に書面(別紙様式2)により通知する。
・実施フローについて
別紙1「全体スライド条項 実施フロー」を参照すること。
⑴ 賃金水準または物価水準の変動による請負代金額の変更額(以下、「スライド額」という。)は、当該工事に係る変動額のうち請負代金額から基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額の 1,000 分の 15 に相当する金額を超える額とする。
⑵ 増額スライド額については、次式により行う。 S増=〔P2-P1-(P1×15/1,000)〕
この式において、S増、P1およびP2は、それぞれ次の額を表すものとする。 S増 :増額スライド額
P1 :請負代金額から基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額 P2 :変動後(基準日)の賃金または物価を基礎として算出したP1に相当する額(P
=Σ(α×Z)、α:請負率、Z:設計額)
⑶ 減額スライド額については、次式により行う。 S減=〔P2-P1+(P1×15/1,000)〕
この式において、S減、P1およびP2は、それぞれ次の額を表すものとする。 S減 :減額スライド額
P1 :請負代金額から基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額 P2 :変動後(基準日)の賃金または物価を基礎として算出したP1に相当する額(P
=Σ(α×Z)、α:請負率、Z:設計額)
⑷ スライド額は、労務単価、材料単価、機械器具損料ならびにこれらに伴う共通仮設費、現場管理費および一般管理費等の変更について行われるものであり、歩掛の変更については考慮するものではない。
・基準日における特別調査または見積価格採用単価について
再調査や再見積に多大な労力または日数を必要とする場合には、当初積算時の類似単価の物価変動率により算定することができる。ただし、当該材料等の工事費全体に占める割合が大きい場合は、別途考慮する。
・複数回スライドを行う場合について
スライド請求を複数回行う場含におけるスライド額の算出も、上記に基づき同様に実施するものとする。
なお、この場合、基準日における請負代金額には、それまでに実施したスライド額を含むものとする。
⑴ 基準日における残工事量を算定するために行う出来形数量の確認は、数量総括表に対応して出来高確認を行うものとすること。
⑵ 現場搬入材料については、認定したものは出来形数量として取り扱うこと。また、下記の材料等についても出来形数量として取り扱うものとする。
ア 工場製作品については、工場での確認またはミルシート等で在庫確保が証明できる材料は出来形数量として取り扱う。
イ 基準日以前に配置済みの現地据付型の建設機械および仮設材料等(架設用クレーン、仮設鋼材など)も、出来形の対象とする。ただし、基準日以降の賃料等については、スライド対象とする。
ウ 契約書にて工事材料契約の完了が確認でき、近隣のストックヤード等で在庫確認が可能な材料は、出来形数量として取り扱う。
⑶ 数量総括表で一式明示した仮設工についても出来形数量の対象とできる。
⑷ 出来形数量の計上方法については、発注者側に換算数量がない場合は、受注者側の当該工種に対する構成比率により出来形数量を算出してもよい。
⑸ 受注者の責めに帰すべき事由により遅延していると認められる工事量は、増額スライドの場合は、出来形部分に含めるものとし、減額スライドの場合は、出来形部分に含めないものとする。
⑹ 基準日までに変更契約を行っていないが先行指示されている設計量については、スライドの対象とすることができる。
・出来形数量等の確認方法について
基準日における工事の出来形数量の確認については、本マニュアル5に基づき実施することを基本とする。
・出来形数量等の確認時期について
発注者は、請求日から14日以内に出来高確認を行う。
6 物価指数
発注者は、積算に使用する単価を用いた変動率を物価指数とすることを基本とする。
なお、受注者の協議資料等に基づき双方で合意した場合は、別途の物価指数を用いることができる。
・積算に使用する単価について
変動後の価格を算定する際に用いる材料単価等については、発注者が積算に使用している物価資料等の基準日における価格を基礎とする。
・基準日における特別調査または見積価格採用単価について
再調査や再見積に多大な労力または日数を必要とする場合には、当初積算時の類似単価の物価変動率により算定することができる。ただし、当該材料等の工事費全体に占める割合が大きい場合は、別途考慮する。
スライド額に係る契約変更は、精算変更時点で行うことができる。
・精算変更時で行う場合
スライド額に係る契約変更を精算変更時点で行う場合は、 スライド基準日における出来形数量を確認し、残工事量を受発注者間で確認すること。
8 インフレスライドおよび単品スライド条項の併用
⑴ 約款第25条第3項に規定するインフレスライド条項に基づく請負代金額の変更を実施であっても、インフレスライド適用後12か月経過後に、本スライドを請求することができる。
⑵ 本スライドに基づき請負代金額の変更を実施した後であっても、約款第25条第2項に規定する単品スライド条項に基づく請負代金額の変更を請求することができる。
・約款第25条第1項および第4項に規定する全体スライド条項は、材料価格を含む物価や賃金等の変動に伴う価格水準全般の変動について対応するものであることから、単品スライド条項の適用となっている材料を含めて、まず全体スライド条項によるスライド額を算出することが基本となる。その上で、全体スライド条項との重複を防止するため、全体スライド条項の対象とした数量については、変動前の単価を全体スライド条項の適用日の単価として単品スライド条項のスライド額を算出することとなる。
・また、全体スライド条項と単品スライド条項とをそれぞれ単独で考えれば、前者においては残工事費の1.5%、後者においては対象工事費の1%、それぞれで受注者の負担が生じることとなる。両スライドのルールをそのままそれぞれ適用した場合には、受注者にリスクを重複して負担させることになり、結果的にリスク負担が過大なものとなる。
・このような過大なリスク負担を回避するため、単品スライド条項のみが適用される期間においては当該期間の工事費の1%を受注者の負担とするが、全体スライド条項と単品スライド条項が併用されている期間においては、全体スライド条項の適用により受注者が負担する残工事費の1.
5%をもって既に単品スライド条項に係るリスク負担がなされているとの考え方に基づき、単品スライド条項に係る1%分の負担を求めないこととした。
・さらに、単品スライド条項に係る対象工事費は基本的には最終的な全体工事費であり、全体スライド条項と併用した場合の対象工事費は全体スライド条項に係るスライド額を含む変更後の総価となる。
別紙1
全体スライド条項 実施フロー
期限等 手続き項目 様式 備考
7日以内
14日以内
31-1-1
請求日 | |
スライド額協議開始日の通知 | |
基準日 | |
・出来高確認 ・残工事量算出 ・スライド額(案)算定 | |
スライド額協議開始 | |
スライド額確定 | |
工期末 |
31-1-2
・発注者または受注者から請求
・発注者から受注者に通知
・基準日は
請求日を基本とす
2か月以上
14日以内
る
・受発注者間で
協議書取り交わし
・精算変更時点で 行うことができる
請求日:
○○事務所長 様
(受注者名)商号または名称:
代表者名: 印
賃金または物価変動に基づく請負代金額の変更請求について
標記について、工事請負約款第25条第1項に基づき、請負代金額の変更を請求します。
記
工事名:河川路線名:施工地係:
希望基準日:(請求日を基本とするが、これにより難い場合請求日から 14 日以内)
請求日:
(受注者名)
商号または名称:
代表者名: 様
○○事務所長 印
賃金または物価変動に基づく請負代金額の変更請求について
標記について、工事請負約款第25条第1項に基づき、請負代金額の変更を請求します。
記
工事名:河川路線名:施工地係:
希望基準日:(請求日を基本とするが、これにより難い場合請求日から 14 日以内)
年月日:
(受注者名)
商号または名称:
代表者名: 様
○○事務所長 印
賃金または物価変動に基づく請負代金額変更の協議開始日について
約款第25条第1項による請負代金額変更請求のありました下記工事について、工事請負約款第25条第7項に基づき、協議開始日を下記のとおり通知します。
記
工事名:河川路線名:施工地係: 請求日:
協議開始日:(受注者の意見を聴いて請求日より 7 日以内)
年月日:
(受注者名)
商号または名称:
代表者名: 様
○○事務所長 印
賃金または物価変動に基づく請負代金額変更の協議開始日について
約款第25条第1項による請負代金額変更請求をしました下記工事について、工事請負約款第25条第7項に基づき、協議開始日を下記のとおり通知します。
記
工事名:河川路線名:施工地係: 請求日:
協議開始日:(受注者の意見を聴いて請求日より 7 日以内)
(受注者名)
商号または名称:
代表者名: 様
協議日:
○○事務所長 印
賃金または物価変動に基づく請負代金額の変更協議について
約款第25条第1項による請負代金額変更請求のありました下記工事において、同条第4項に基づく請負代金額の変更について、同条第6項に基づき協議します。
(スライド額を精算変更時点で変更する場合)
なお、異存がなければ、承諾書(様式33-1-3)に記名押印のうえ返送をお願います。
記 | ||
工事名:河川路線名:施工地係: 請求日: 基準日:協議開始日: | ||
スライド変更金額(増額分):¥ ¥ | (税込み) (税抜き) |
協議が整わない場合
協議開始日から 14 日以内に協議が整わない場合には、工事請負約款第 25 条第 5 項の規定に基づき、この協議書をもって通知したものとする。
(受注者名)
商号または名称:
代表者名: 様
協議日:
○○事務所長 印
賃金または物価変動に基づく請負代金額の変更協議について
約款第25条第1項による請負代金額変更請求をしました下記工事において、同条第4項に基づく請負代金額の変更について、同条第6項に基づき協議します。
(スライド額を精算変更時点で変更する場合)
なお、異存がなければ、承諾書(様式33-1-4)に記名押印のうえ返送をお願います。
記 | ||
工事名:河川路線名:施工地係: 請求日: 基準日:協議開始日: | ||
スライド変更金額(減額分):¥ ¥ | (税込み) (税抜き) |
協議が整わない場合
協議開始日から 14 日以内に協議が整わない場合には、工事請負約款第 25 条第 5 項の規定に基づき、この協議書をもって通知したものとする。
年月日:
○○事務所長 様
(受注者名)商号または名称:
代表者名: 印
賃金または物価変動に基づく請負代金額の変更協議について(承諾)
約款第25条第1項による請負代金額変更について、約款第25条第6項に基づき下記のとおり協議がありましたことに異存がありませんので、承諾します。
記
工事名:河川路線名:施工地係: 請求日:
基準日:協議開始日:
協議日:
スライド変更金額(増額分):¥ (税込み)
¥ (税抜き)
年月日:
○○事務所長 様
(受注者名)商号または名称:
代表者名: 印
賃金または物価変動に基づく請負代金額の変更協議について(承諾)
約款第25条第1項による請負代金額変更について、約款第25条第6項に基づき下記のとおり協議がありましたことに異存がありませんので、承諾します。
記
工事名:河川路線名:施工地係: 請求日:
基準日:協議開始日:
協議日:
スライド変更金額(減額分):¥ (税込み)
¥ (税抜き)