Contract
民事法律扶助業務に係る事務の取扱いに関するセンターと弁護士・司法書士等との契約条項
第1章 総則
(適用範囲)
第1条 日本司法支援センター(以下「センター」という。)が、弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、司法書士及び司法書士法人(以下「弁護士・司法書士等」という。)と民事法律扶助業務に係る事務の取扱いに関し、その取り扱う事件に対応して支給すべき報酬及び実費が定められる契約(第2条第6号に規定する民事法律扶助契約)を締結するときは、この契約条項によるものとする。
(支部における規定の適用)
第1条の2 支部の業務において、この契約条項の規定に「地方事務所長」とあるのは、「支部長」と読み替えるものとする。
(センターとの契約等の定義)
第2条 この契約条項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 代理援助 業務方法書第5条第1号の援助をいう。
二 書類作成援助 業務方法書第5条第2号の援助をいう。
三 法律相談援助 次に掲げる援助をいう。
ア 一般法律相談援助 業務方法書第5条第3号アの援助をいう。
イ 特定援助対象者法律相談援助 業務方法書第5条第3号イの援助をいう。
ウ 被災者法律相談援助 業務方法書第5条第3号ウの援助をいう。
四 附帯援助 業務方法書第5条第4号の援助をいう。
五 指定相談場所 地方事務所長が理事長の承認を得て指定した法律相談援助を行う場所をいう。
六 民事法律扶助契約 センターと弁護士・司法書士等との間で締結する、代理援助、書類作成援助及び法律相談援助を実施することについての契約をいう。
七 民事法律扶助契約弁護士及び司法書士等 セン
ターとの間で民事法律扶助契約を締結した弁護士
・司法書士等をいう。
八 受任者 代理援助に係る案件を受任した民事法律扶助契約弁護士・司法書士等をいう。
九 受託者 書類作成援助に係る案件を受託した民事法律扶助契約弁護士・司法書士等をいう。
十 受任者等 受任者及び受託者をいう。
十一 申込者 第1号、第2号又は第3号ア若しくはウのいずれかの援助の申込みをした者をいう。 十二 申入対象者 第3号イの援助の実施の申入れ
があった者をいう。
十三 申込者等 申込者及び申入対象者をいう。 十四 被援助者 第1号から第3号までのいずれか
の援助を受けた者をいう。
十五 ハーグ条約事件 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成2
5年法律第48号)に基づく子の返還、子との面会その他の交流、その他同条約の適用に関係のある事件をいう。
第2章 民事法律扶助契約の締結手続に関する事項
(申込手続)
第3条 センターと民事法律扶助契約を締結しようとする弁護士・司法書士等は、その所属する弁護士会又は司法書士会(以下「所属会」という。)の所在地に対応するセンターの地方事務所に対し、申込書を提出して民事法律扶助契約の申込みを行うものとする。
2 前項の申込書には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
一 氏名、所属会及び登録番号(弁護士法人、弁護士
・外国法事務弁護士共同法人又は司法書士法人にあっては、その法人名、所属会及び届出番号)
二 司法書士については、司法書士法第3条第2項第
2号の認定の有無及び認定番号
三 事務所の名称、住所、電話番号及びファクシミリ番号(ただし、いずれも所属会に届け出をしているものに限る。)
四 報酬などの支払を受ける際に利用する預金口座又
は貯金口座のある金融機関の名称並びに当該口座の種別、名義及び口座番号
五 第5条第1項各号に掲げる契約締結障害事由がないこと
3 弁護士・司法書士等は、第1項の申込書に、前項第3号の電話番号及びファクシミリ番号のほかに、優先すべき連絡先として、事務所の別の電話番号、ファクシミリ番号を追加して記載することができる。
(民事法律扶助契約の期間等)
第4条 センターは、民事法律扶助業務に精通した弁護士・司法書士等と民事法律扶助契約を締結する。
2 民事法律扶助契約の期間は2年とする。ただし、この契約は、期間満了1か月前までにセンター又は民事法律扶助契約弁護士・司法書士等から契約を更新しない旨の通知が書面でなされた場合を除き、さらに2年間更新するものとし、その後も同様とする。
(契約障害事由)
第5条 センターは、民事法律扶助契約弁護士・司法書士等となろうとする者に次の各号のいずれかの事由があるときは、民事法律扶助契約を締結しない。一 弁護士法(昭和24年法律第205号)第57条又は司法書士法(昭和25年法律第197号)第
47条若しくは第48条に規定する懲戒による業務停止期間中であるとき。
二 民事法律扶助契約上の措置による契約締結拒絶期間中であるとき。
2 センターと前項各号の事由がある民事法律扶助契約弁護士・司法書士等となろうとする者との間で民事法律扶助契約の締結行為が行われたとしても、契約の効力は生じない。
(諾否の回答)
第6条 センターは、第3条の規定に基づく申込みを受けたときは、速やかに諾否を決定して民事法律扶助契約弁護士・司法書士等となろうとする者に通知するものとする。
第3章 法律相談援助に関する事項
(法律相談援助の実施場所)
第7条 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、センターの事務所、指定相談場所及び民事法律扶助契
約弁護士・司法書士等の事務所において、一般法律相談援助又は被災者法律相談援助を行う。
2 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、高齢者若しくは障害者又は前項に規定する相談場所から遠距離の地域に居住していることその他のやむを得ない事情により前項に規定する相談場所に赴くことが困難な者に対して、地方事務所長が所定の手続により申込者の居住場所その他適宜の場所において一般法律相談援助又は被災者法律相談援助を実施することとした場合には、前項の規定にかかわらず、当該場所において一般法律相談援助又は被災者法律相談援助を行うことができる。
3 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、申入対象者の居住場所その他適宜の場所において、特定援助対象者法律相談援助を行う。
(民事法律扶助契約弁護士・司法書士等の義務) 第8条 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、自
らが法律相談援助を行った案件につき業務方法書第
29条第1項第1号に規定する援助開始決定があったときは、受任者等となるよう努めなければならない。ただし、当該民事法律扶助契約弁護士・司法書士等が業務の繁忙その他正当な理由により当該案件を受任又は受託できないときは、この限りでない。
(センター相談における民事法律扶助契約弁護士・司法書士等の義務等)
第9条 センターの事務所を実施場所とする法律相談援助(以下「センター相談」という。)において、民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、地方事務所長の指定した日時に一般法律相談援助又は被災者法律相談援助を行う。
2 センター相談において、民事法律扶助契約弁護士
・司法書士等が、指定された日時に一般法律相談援助又は被災者法律相談援助を行うことができない場合は、速やかに他の民事法律扶助契約弁護士・司法書士等と交替し、その旨をあらかじめ地方事務所長に連絡しなければならない。
(相談日時等の条件の指定)
第10条 自己の事務所を実施場所とする法律相談援助又は第7条第2項若しくは第3項の法律相談援助を行おうとする民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、申込者等に対し、相談日時その他の条件を指定することができる。
(法律相談援助の拒絶又は中止)
第11条 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、申込者等が前条の規定による相談日時その他の条件の指定に応じないとき、その他申込者等に不適切な行為のあるときは、法律相談援助を拒絶し又は中止することができる。
(法律相談票等の作成・提出)
第12条 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、法律相談援助を行ったときは、法律相談の概要を記載した書面(以下「法律相談票」という。)及び一般法律相談援助又は被災者法律相談援助にあっては第14条に定める援助申込書(以下「法律相談票等」という。)を作成し、法律相談援助を行った日から
1か月以内に、地方事務所長に提出しなければならない。
2 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、法律相談援助を行った日から1か月以内に、地方事務所長に対し、法律相談票等を提出しないときは、当該期限を経過した理由を地方事務所長に申し出なければならない。
3 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、自己の事務所において法律相談援助を行ったときは、援助申込書に、被援助者が当該法律相談を受けたことを確認する被援助者の署名を得なければならない。
4 自己の事務所において法律相談援助を行った民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、前項に係る被援助者の署名を得ることができなかったときは、その理由を地方事務所長に申し出なければならない。
(法律相談費の支払)
第13条 センターは、法律相談援助の実施に携わった民事法律扶助契約弁護士・司法書士等に対し、理事長が別に定める法律相談援助費用支出基準により法律相談費を支払う。
2 前項にかかわらず、センターは、次に掲げるいずれかの事由に該当するときは、当該法律相談の法律相談費を支払わない。
一 前条第3項に係る被援助者の署名を得ることができなかった場合において、その理由が合理的であると認められないとき又はその理由の申出がないとき。
二 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等が前条第
2項の期限内に法律相談票等を提出しない場合に
おいて、当該期限を経過した理由が合理的であると認められないとき又はその理由の申出がないとき。
(援助申込手続)
第14条 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、援助の申込みを受けようとするときは、援助の申込みをする者から、住所、氏名、職業、収入、資産、家族(被災者法律相談援助の申込みを受けようとする場合にあっては、住所、氏名及び職業。業務方法書第8条第1項第2号に規定する代理援助又は書類作成援助のうち同号の手続を対象とするものの申込みを受けようとする場合にあっては、住所、氏名、職業、収入、資産、家族及び特定援助対象者に該当する事情)及び申込者の希望する援助の方法並びに事件の相手方がいる場合にあっては相手方の住所及び氏名その他必要な事項を記入した所定の援助申込書の提出を受けるものとする。ただし、被災者法律相談援助の申込みを受けようとする場合にあっては、やむを得ない理由があるとセンターが認めるときには、申込後速やかに援助申込書を提出させることを条件として、口頭の方法による申込みを受けることができる。
2 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、前項に規定する場合において、申込みをする者が外国人であるときは、在留カード又はこれに代わる書面を提示させるなどして在留資格を確認しなければならない。ただし、申込みをする者がハーグ条約事件について法律相談援助の申込みをするときは、この限りでない。
(法律相談援助から審査付議に至る手続等)
第15条 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、一般法律相談援助又は被災者法律相談援助の申込みを受けた場合に、その案件が業務方法書第15条又は第15条の4に規定する法律相談援助の援助要件に該当しているかを速やかに確認しなければならない。
2 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、第14条に規定する申込み又は特定援助対象者法律相談援助の実施の申入れがあった案件が業務方法書第15条、第15条の3又は第15条の4に規定する法律相談援助の援助要件に該当すると認めるときは、法律相談援助を行わなければならない。ただし、自己
の事務所において申込みを受けた場合で特段の事情があるときは、この限りでない。
3 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、前項に規定する法律相談援助を行った場合において、その被援助者が代理援助又は書類作成援助を希望するときは、その案件の概要(次に掲げる事由に該当するかどうかについての判断に資する事情を含む。以下同じ。)を記載した調書(以下「事件調書」という。)を作成しなければならない。ただし、第12条に規定する法律相談票にその案件の概要の記載がある場合は、この限りでない。
一 勝訴の見込みがないとはいえないこと二 民事法律扶助の趣旨に適すること
4 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、事件調書を作成したときは、被援助者から提出を受けた書面と併せてこれを地方事務所長に速やかに提出しなければならない。
(民事法律扶助契約弁護士・司法書士等の活動の原則)
第16条 法律相談援助を行う民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、援助を行う案件(以下「援助案件」という。)について、通常の相談案件と同様の配慮及び注意をもって処理しなければならない。
2 法律相談援助を行う民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、業務方法書第9条に規定する代理援助又は書類作成援助の援助要件に該当すると思料する被援助者に対して、地方事務所長の承認なく、自己と直接委任契約を締結するよう勧誘してはならない。
第4章 代理援助、書類作成援助に関する事項
(代理援助の受任者となるべき者の選任)
第17条 地方事務所長は、業務方法書第29条第1項第1号に規定する代理援助の援助開始決定をしたときは、当該決定に係る案件の法律相談援助を担当した民事法律扶助契約弁護士・司法書士等を受任者となるべき者として選任する。
2 地方事務所長は、前項に規定する民事法律扶助契約弁護士・司法書士等を受任者となるべき者として選任できないとき又は受任者の死亡、辞任、解任そ
の他特別な事情の生じたときは、他の民事法律扶助契約弁護士・司法書士等を受任者となるべき者として選任する。
3 地方事務所長は、弁護士・司法書士等が業務方法書第29条第1項第1号に規定する援助開始決定を条件に代理援助の受任又は書類作成援助の受託を承諾している案件(以下「持込案件」という。)については、当該案件の受任を承諾した弁護士・司法書士等が民事法律扶助契約を締結していないときは、同契約を締結の上、当該弁護士・司法書士等を受任者となるべき者として選任することができる。
(書類作成援助の受託者となるべき者の選任)
第18条 地方事務所長は、業務方法書第29条第1項第1号に規定する書類作成援助の援助開始決定をしたときは、民事法律扶助契約弁護士・司法書士等の中から受託者となるべき者を選任する。受託者の死亡、辞任、解任その他特別な事情の生じた場合も同様とする。
2 地方事務所長は、持込案件については、当該案件の受託を承諾した弁護士・司法書士等が民事法律扶助契約を締結していないときは、同契約を締結の上、当該弁護士・司法書士等を受託者となるべき者として選任することができる。
(個別契約)
第19条 地方事務所長が、受任者等となるべき者を選任したときは、センター、被援助者及び当該受任者等となるべき者との間において、理事長が別に定める契約(以下「個別契約」という。)を締結する。
2 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、受任者等となるべき者に選任されたことを知ったときは、個別契約を速やかに締結し、又は受任若しくは受託することができない旨を直ちに地方事務所長に通知しなければならない。
(報酬・実費等の支払等)
第20条 受任者等は、被援助者が、以下の各号に掲げる必要書類をセンターに提出する義務を履行することに協力しなければならない。
一 被援助者及び受任者等が署名又は捺印した個別契約書
二 被援助者が署名及び捺印した重要事項説明書 三 償還金(個別契約に基づき被援助者がセンター
に対し償還義務を負う金員)の支払のための手続
に必要な書類として細則に定めるもの
四 前三号に掲げるもののほかセンターが求める書
2 センターは、業務方法書第29条第1項第1号に規定する援助開始決定のあった援助案件について、センターが受任者等に対して立替金を支払う決定をした日又はセンターが被援助者から前項に規定された必要書類を受領した日のいずれか遅い日の属する月の翌月末日までに、受任者等に対し、業務方法書及びその下位規程に基づき報酬及び実費等を支払う。
(受任者等の活動の原則)
第21条 受任者等は、援助案件について、通常の受任事件又は受託事件と同様の配慮及び注意をもって処理しなければならない。
(保証金等)
第22条 受任者は、保証金又は予納金の納付が必要であって、それらをセンターが立替支出することができるときは、受任者名で第三者供託又は予納を行うことができる。ただし、民事保全手続における保証金をセンターが第三者供託する場合は、特別の事情がない限りセンター名で第三者供託を行わなければならない。
2 受任者等は、業務方法書第43条第2項に規定する予納金を納付するときは、センターに第三者予納を依頼しなければならない。
3 受任者は、民事保全手続における支払保証委託契約を締結する必要があるときは、センターの指定する金融機関とセンターとの間で、同契約を締結するようにセンターに依頼しなければならない。
(訴訟救助の申立て)
第23条 受任者等は、援助案件が業務方法書第30条第1項第3号の規定により要訴訟救助申立案件であるとされたときは、その申立てをしなければならない。
(金銭の立替え・受領の禁止)
第24条 受任者等は、事件の処理に関し、被援助者のために金銭を立替え又は被援助者から金銭その他の利益を受けてはならない。ただし、特別の事情があり、受任者等が地方事務所長の承認を得た場合は、この限りでない。
(受任者による着手、中間、終結の報告)
第25条 受任者は、速やかに援助案件の処理に着手
し、個別契約締結後3か月以内に訴状、答弁書、調停申立書、仮差押若しくは仮処分の決定書、納付書、保管金受領書その他事件処理の着手を証する書面の写しを添付した着手報告書を地方事務所長に提出しなければならない。ただし、特別の事情があるときは、この限りでない。
2 受任者は、事件進行中において、援助案件に関連し、別に訴えの提起その他の手続が必要になったときは、その理由を付した中間報告書を地方事務所長に提出しなければならない。
3 センターは、業務方法書第29条第1項第1号に規定する援助開始決定後2年を経過したとき又は必要があると認めたときは、受任者に対し事件の進行状況に関する報告書を求めることができる。
4 受任者は、援助案件が判決の言渡し、和解、調停、示談の成立その他の理由により終了したときは、速やかに判決書、和解調書、調停調書、示談書その他事件の終了を証する書面の写しを添付した終結報告書を地方事務所長に提出しなければならない。
(受託者による作成終了等の報告)
第26条 受託者は、訴状、答弁書、準備書面その他の業務方法書第29条第1項第1号に規定する援助開始決定を受けた書類作成を速やかに行い、その写しを添付した報告書を地方事務所長に提出しなければならない。
2 センターは、業務方法書第29条第1項第1号に規定する援助開始決定後2年を経過したとき又は必要があると認めたときは、受託者に対し事件の進行状況に関する報告書を求めることができる。
3 受託者は、書類作成援助の対象となった事件が判決の言渡し、和解、調停の成立その他の理由により終了したことを知ったときは、速やかに判決書、和解調書、調停調書その他事件の終了を証する書面の写しを添付した終結報告書を地方事務所長に提出しなければならない。
4 受託者は、書類作成援助の対象となった事件が終了したにもかかわらず、被援助者が判決書、和解調書、調停調書その他事件の終了を証する書面の写しを受託者に交付しない場合には、その旨を記載した終結報告書を地方事務所長に提出しなければならない。
(金銭の取立て)
第27条 受任者は、事件の相手方その他事件の関係者(以下「相手方等」という。)から受取るべき金銭があり、任意履行の見込みがあるときは、速やかにこれを取り立てなければならない。
2 受任者は、被援助者が事件の相手方等から受取るべき金銭につき、その受領方法に関する約定を定めるときは、特別の事情がない限り受任者を受領者としなければならない。
(受領金銭)
第28条 受任者は、事件に関し相手方等から金銭を受領したときは、被援助者に交付せず、受任者において一時保管するとともに、その事実を速やかに地方事務所長に書面で報告しなければならない。
2 受任者は、地方事務所長が必要があると認めたときは、前項により受領した金銭の全部又は一部を地方事務所長に引き渡さなければならない。
(追加支出)
第29条 受任者等は、立替費用(センターが援助案件について立替える費用をいう。)について業務方法書第29条第1項第1号に規定する援助開始決定その他の決定に定める額に不足が生じたときは、追加費用支出申立書を作成し、これに疎明資料を添付して、地方事務所長に追加費用の支出の申立てをすることができる。
(辞任)
第30条 受任者等は、病気その他やむを得ない理由により辞任しようとするときは、地方事務所長にその理由を付した文書を提出して辞任の申出をしなければならない。
2 受任者等は、辞任を承認された場合において、地方事務所長から既に交付を受けた金銭の全部又は一部の返還を求められたときは、速やかにこれに応じなければならない。
(解任)
第31条 受任者等は、被援助者から解任の申出がなされ、地方事務所長が解任を承認した場合において、地方事務所長から既に交付を受けた金銭の全部又は一部の返還を求められたときは、速やかにこれに応じなければならない。
(個別契約の当然終了)
第32条 個別契約は、次に掲げる事由によって終了する。
一 被援助者又は受任者等が死亡したとき。
二 受任者等が弁護士・司法書士等でなくなったとき。
(個別契約の地方事務所長による解除)
第33条 地方事務所長は、次に掲げるいずれかの事由があるときは、個別契約を解除することができる。一 被援助者が、正当な理由なく連絡を断ち又は援
助の条件を遵守しないなど、契約を誠実に履行せず、援助を継続することが適当でなくなったとき。
二 被援助者が受任者等を解任したとき。三 受任者等が辞任したとき。
四 受任者等が受任又は受託した案件について必要な対応を行わなかったとき。
五 民事法律扶助契約が解除されたとき(被援助者が同意していない場合を除く。)。
(個別契約終了後の処理)
第34条 受任者等は、個別契約が終了した場合において、地方事務所長から既に交付を受けた金銭の全部又は一部の返還を求められたときは、速やかにこれに応じなければならない。
2 受任者は、代理援助の個別契約が終了したときは、速やかに代理援助に係る事件が係属している裁判所に辞任届を提出し、かつ、被援助者に証拠資料を返還しなければならない。ただし、証拠資料の返還については、被援助者の住所が不明の場合は、この限りでない。
3 受託者は、書類作成援助の個別契約が終了したときは、被援助者に速やかに証拠資料を返還しなければならない。ただし、被援助者の住所が不明の場合は、この限りでない。
(終結決定)
第35条 地方事務所長は、次に掲げる事由があるときは、援助の終結決定をする。
一 事件が終了し、受任者等から終結報告書が提出されたとき。
二 援助を継続することが著しく困難であるとき。三 援助を継続する必要がなくなったとき。
四 受任者等が辞任し又は解任され、後任の受任者等の選任が困難なとき。
2 地方事務所長は、受任者等から終結報告書が提出されない場合であっても、事件が終了していることが明らかなときは、援助の終結決定をすることがで
きる。
(報酬金)
第36条 地方事務所長は、終結決定において、被援助者及び受任者の意見を聞いた上で報酬金の決定をする。ただし、特別の事情のあるときは、この限りでない。
2 地方事務所長は、終結決定の対象となる事件に関連する事件が継続している場合には、関連事件の終結決定を待って報酬金の決定をすることができる。
3 地方事務所長は、終結決定の対象となる事件について、当該事件が終了したと認められる時から2年を経過しても終結報告書が提出されないときは、報酬金を支払わない決定をすることができる。
(保証金の償還)
第37条 受任者は、終結決定その他の決定に当たり、立替金のうち保証金のある場合で立担保の必要がなくなったときは、速やかに担保取消しの手続を行い、保証金及びその利息を償還しなければならない。
2 受任者は、前項に規定する場合において、支払保証委託契約により担保を立てているときは、地方事務所長に支払保証委託契約原因消滅証明書を提出しなければならない。
第5章 不服申立て・再審査に関する事項
(不服申立て)
第38条 受任者等は、地方事務所長のした決定に不服のある場合には、地方事務所長に対し、不服申立てをすることができる。
2 前項の不服申立ては、決定の通知が到達した日から30日以内に地方事務所長に不服申立書を提出してしなければならない。
(再審査の申立て)
第39条 受任者等は、不服申立てに対して地方事務所長がした決定に不服のある場合には、理事長に対し、再審査の申立てをすることができる。
2 前項の再審査の申立ては、不服申立てに対する決定の通知が到達した日から14日以内に、不服申立てに対する決定をした地方事務所長に再審査申立書を提出してしなければならない。
第6章 民事法律扶助契約に違反した場合の措
置に関する事項
(契約に違反した場合の措置に関する事項)
第40条 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、民事法律扶助契約に基づき民事法律扶助業務に係る事務を取り扱う場合には、法律事務取扱規程に規定する法律事務の取扱いの基準並びに業務方法書及びその下位規程に定める事項を遵守しなければならない。
2 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等がその契約に違反した場合の措置は、次の三種類とする。
一 3年以下の契約締結拒絶期間を伴う民事法律扶助契約の解除
二 民事法律扶助契約の3年以下の契約締結拒絶期間の設定
三 民事法律扶助契約の効力の2年以下の停止
3 センターは、民事法律扶助契約に基づく法律事務の取扱いにおいて、民事法律扶助契約弁護士・司法書士等が法律事務取扱規程に規定する法律事務の取扱いの基準に違反し、その違反の程度が重大で、民事法律扶助契約弁護士・司法書士等としての職責を著しく怠り、民事法律扶助契約を継続又は締結することが相当でないと認めたときは、前項第1号又は第2号に規定する措置をとることができる。
4 センターは、民事法律扶助契約弁護士・司法書士等に次の事由があり、民事法律扶助契約に基づく業務を一定期間停止することが相当なときは、第2項第3号に規定する措置をとることができる。
一 民事法律扶助契約に基づく法律事務の取扱いにおいて、法律事務取扱規程に規定する法律事務の取扱い基準に対する違反の程度が軽微でなく、民事法律扶助契約弁護士・司法書士等としての職責を怠ったとき。
二 民事法律扶助契約で定める義務(法律事務の取扱いに関するものを除く。)を怠り、センターの事務に著しい支障を生じさせたとき。
5 第2項に規定する契約上の措置は、民事法律扶助契約弁護士・司法書士等に対するセンターからの書面による通知によりその効力を生ずる。
6 センターが前項に基づく通知を、民事法律扶助契約弁護士・司法書士等の事務所にファクシミリを利用して送信したときは、ファクシミリの送信日に前
項の通知が到達したものとみなす。
7 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、センターが、当該弁護士・司法書士等に対する契約上の措置に関する手続の一環として、この契約条項その他センターにおいて定める規程に基づき、所属の弁護士会若しくは日本弁護士連合会又は司法書士会若しくは日本司法書士会連合会に対し、所要の通知を行い、調査を依頼し、又は意見を求めることに異議を述べない。
第7 章 前章に規定する場合以外の措置に関する事項
(懲戒を理由とする措置)
第41条 センターは、民事法律扶助契約弁護士・司法書士等が、弁護士法第57条又は司法書士法第4
7条若しくは第48条に規定する除名、退会命令、業務停止又は業務禁止の懲戒を受けたときは、前条第2項第1号又は第2号に規定する措置をとることができる。
2 前条第5項から第7項までの規定は前項の場合に準用する。
(心身の故障等を理由とする措置)
第42条 センターは、民事法律扶助契約弁護士・司法書士等が、心身の故障等のため、民事法律扶助契約弁護士・司法書士等としての職務の遂行に著しい支障がある場合には、契約締結拒絶期間を伴わない民事法律扶助契約の解除措置又は、期間を定めない法律相談援助の担当者若しくは受任者等となるべき者の選任の停止措置をとることができる。
2 第40条第5項から第7項までの規定は前項の場合に準用する。
第8章 契約の終了に関する事項
(解約)
第43条 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、何時でも民事法律扶助契約を解約することができる。ただし、解約時点において個別事件の受任者等に選任されている場合には、解約の効果は当該事件に関する契約関係には及ばない。
2 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等が前項に基
づき民事法律扶助契約を解約する場合には、その所属する弁護士会又は司法書士会の所在地に対応するセンターの地方事務所に対して解約申出書を提出しなければならない。
3 第1項に基づく解約の後であっても、センターが第40条第3項及び第41条第1項に定める事由に基づく契約上の措置(第40条第2項第2号の措置に限る。)をとることを妨げない。
4 民事法律扶助契約の契約期間満了による終了後であっても、センターが第40条第3項及び第41条第1項に定める事由に基づく契約上の措置(第40条第2項第2号の措置に限る。)をとることを妨げない。
(センターのとった措置の個別契約への反映)
第44条 地方事務所長は、民事法律扶助契約弁護士
・司法書士等が、第40条から第42条までに規定する契約の解除又は契約締結拒絶期間の設定の措置を受けたときには、個別契約を解除する。ただし、被援助者が同意しない場合はこの限りでない。
(当然の契約終了事由)
第45条 民事法律扶助契約は、次に掲げる事由によって終了する。
一 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等が死亡したとき
二 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等が弁護士
・司法書士等でなくなったとき
2 前項第2号による契約の終了後であっても、センターが第40条第3項及び第41条第1項に定める事由に基づく契約上の措置(第40条第2項第2号の措置に限る。)をとることを妨げない。
第9章 ハーグ条約事件に関する事項
(ハーグ条約事件の特則)
第46条 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、ハーグ条約事件の特殊性に鑑み、特に次に掲げる事項について協力するよう努めるものとする。
一 民事法律扶助制度の利用を前提としてハーグ条約事件を担当するに際し、総合法律支援法に基づく民事法律扶助制度及び条約実施を担保する関係機関の機能と役割等について、援助の申込予定者に対して必要な説明を行うこと。
二 援助開始決定以降、被援助者の償還金債務が消滅するまで、センターからの問い合わせに対し、知得している被援助者の所在及び連絡先を回答し、かつ、センターからの連絡・照会を被援助者に取次ぐよう努めること。
三 立替えの有無にかかわらず、被援助者の負担が過大にならないよう費用の節減に努めること。
第 10 章 雑則
(申込書に記載した事項の変更)
第47条 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、第3条第2項第1号から第3号まで又は第3項に掲げる事項に変更があったときには、遅滞なく、センターに届け出なければならない。
2 センターは、前項の規定による届出がない場合においても、第3条第2項第1号から第3号又は第3項に掲げる事項に変更があったことを知ったときは、それらの事項につき変更の手続を行うことができる。
3 センターは、前項の変更手続をとったときは、遅滞なく、民事法律扶助契約弁護士・司法書士等に対し、その旨を通知する。
(契約条項の変更)
第48条 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等が、この契約条項を変更した旨の通知をセンターから受けた後に、新たに法律相談援助を行い又は個別契約を締結した場合は、センターは、当該民事法律扶助契約弁護士・司法書士等がこの契約条項の変更に同意したものとみなす。
(民事法律扶助契約弁護士・司法書士等の情報共有)第49条 民事法律扶助契約弁護士・司法書士等は、民事法律扶助契約に関してセンターが保有した民事 法律扶助契約弁護士・司法書士等に係る次の各号に掲 げる情報を、センターが指定した団体と共有すること
に、予め同意する。
一 氏名又は法人名及び担当者名二 所属会
三 登録番号及び届出番号四 事務所名称及び住所
五 事務所電話番号及びファクシミリ番号六 法人の場合は社員又は使用人の別
七 契約の有無、契約の種類又は行うことを予定する援助の内容
八 センターの利用者その他の者からの苦情に関する事項及びセンターが認知した法律事務取扱規程第6条又は第7条に規定する措置の要件に該当する事由その他措置の原因に関する事項
2 前項においてセンターが指定する団体は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める団体とする。
一 弁護士、弁護士法人及び弁護士・外国法事務弁護士共同法人 所属する弁護士会及び日本弁護士連合会
二 司法書士及び司法書士法人 所属する司法書士会及び日本司法書士会連合会
(民事法律扶助契約弁護士・契約司法書士等の情報管理)
第50条 センターが保有する民事法律扶助契約弁護士・司法書士等に関する情報は、本人の同意がある場合又は法令に基づく場合を除き、総合法律支援法第14条に規定するセンターの目的の範囲内で利用する。
変更日 令和6年4月1日