* ヨルダンの APC 社はインドと 2020 年度の塩化加里輸入基本契約を締結した。CFR230ドル/トンで、契約期間は 2020 年 5 月~12 月である。これにより、ドイツの K+S 社を除き、世界の加里大手メーカーはすべてインド側と 2020 年度の塩化加里輸入基本契約を締結した。
国際化学肥料ニュース(2020 年 6 月)
肥料業界の 2020 年 6 月動態
* ヨルダンの APC 社はインドと 2020 年度の塩化加里輸入基本契約を締結した。CFR230ドル/トンで、契約期間は 2020 年 5 月~12 月である。これにより、ドイツの K+S 社を除き、世界の加里大手メーカーはすべてインド側と 2020 年度の塩化加里輸入基本契約を締結した。
* 3 月以降、国際市場に於ける石油と天然ガスの大幅値下げがアンモニアの価格に影響を及ぼしている。5 月初めに比べ、5 月末のアンモニア価格が約 1 割の 19~25 ドル/トンも値下げした。5 月下旬、アメリカの Trammo 社はサウジアラビアの Ma'aden 社から FOB220 ドル/トンで 1.0~1.5 万トン、日本の三井物産がマレーシアの Petronas 社からFOB212 ドル/トンで 1.5 万トンを購入した。また、ノルウェーの Yara 社がロシアメーカーと 6 月のアンモニア価格に関する交渉では FOB178~181 ドル/トンで決定した。
* 中国税関の速報によれば、2020 年 5 月中国の化学肥料輸出量が 13.1%減の 221.8 万トン、金額が 29.0%減の 2.93 億ドル。
一方、 5 月の化学肥料輸入量が 45.2%減の 62.3 万トン、金額が 52.2%減の 1.73 億ドル。
* 6 月第 1 週の国際りん安市場が南アジアの需要に支えられる。サウジアラビアからインドに 20 万トン DAP の輸出契約が確定された。6 月にインドのDAP 輸入量が 100万トンを超える見込みである。バングラデシュ農業省が 60 万トン DAP の国際入札を行い、大半が中国以外の製品で、チュニジアとヨルダン産 DAP が 25%以上を占め た。パキスタンが数回 DAP の輸入価格を打診したが、契約までいかなかった。
西半球のりん安需要も現れた。CFR ブラジルの粒状 MAP 価格が 5 月末より 5 ド
/トン上がり、310~315 ドル/トンになった。アルゼンチンのYPF 社が 1.4 万トンリン安の入札にCFR310 ドル/トン台前半で落札された。
* 6 月 12 日、インドRCF 社が尿素の国際入札を公表した。6 月 19 日締め切りと開札、
7 月 28 日まで船積みという条件である。購買予定量が未定というが、100 万トンの購
入を目指す模様。今回はインド今年 3 回目の尿素国際入札である。
* インド RCF 社は尿素国際入札の開札結果を発表した。応札量 209.5 万トン、最低応札価格は CFR 東海岸 237.35 ドル/トン、CFR 西海岸 238.45 ドル/トンで、5 月に行った前回の尿素入札より 6~10 ドル/トン高くなっている。
また、6 月 30 日現在の情報によれば、確定購買数量 62.8 万トン、そのうち東海岸
揚げ 5 船、西海岸揚げ 8 船、予定購買数量の半分強しかない。7 月下旬にはもう 1 回の尿素国際入札を行う噂がある。
* 6 月に入って、アンモニアの価格が約 5~8%下落し、2017 年 8 月以来の最低価格になっている。特にトリニダードトバゴ産のアンモニアがアメリカの需要不足で 5 月末よりさらに 13~15 ドル/トン値下げした。Yara はトリニダードトバゴ産のアンモニア現物 5 万トンを CFR200 ドル/トンでトルコのGemlik 社に輸出するほか、Mosaic と 7 月納品のCFR タンパ価格も 205 ドル/トンで決着した。
東ヨーロッパでは、ロシアとウクライナのメーカーが 7~8 月のアンモニア FOB 価格を 178~181 ドル/トンで販売する計画である。
サウジアラビア産のアンモニアが逆に値上げ、Sabic が FOB230 ドル/トンでアメリカの貿易会社Trammo に 1 万トンアンモニアを販売した。
* 中国窒素肥料工業協会の最新データによれば、今年 1~5 月の中国窒素肥料生産がコロナウイルスの悪影響を受けず、順調である。中国の 1~5 月アンモニア生産量が 3.2%増の 2461.1 万トン、窒素肥料生産量(N 換算)が 3.2%増の 1704.1 万トン、尿素生産量(実物量)が 6.2%増の 2353.6 万トン。但し、国内消費量の減少と輸出の不振
で、価格が大幅に低下し、企業の収益が悪化した。1~4 月大手窒素肥料メーカー176社のうち、赤字企業が 12 社増の 77 社、協会メンバーの 43.8%を占める。全体の赤字
額が 1.4 億人民元増加し、計 22.7 億人民元(約 160 億ドル)に達した。
大手各社の営業業績
* ヨルダンAPC 社が 2019 年の業績を公表した。加里肥料生産量が 248.6 万トン、販売量 244 万トン、ともに新記録を樹立した。純利益が 21%増の 1.52 億ディナール(約
2.14 億ドル)である。
肥料資源の探索と肥料プラント新規建設
* オーストラリアの西オーストラリア州政府は Reward Minerals 社が提出した Lake Disappointment 硫酸加里プロジェクトの開発計画を許可した。Lake Disappointmentは西オーストラリア州のギブソン砂漠にある一時性塩湖で、地下鹹水に豊富な硫酸加里を含んでいる。
* ウズベキスタンNavoz にあるNavovazot 工場に新設した硝酸プラントが完成し、稼働始めた。当該プラントの建設はイタリアのCasale 社が請負い、生産能力 50 万トン硝酸/年である。硝酸全量は同工場の硝安プラントに供する。
* エジプト KIMA 社の新しい尿素工場が完成し、稼働始めた。当該プロジェクトは Tecnimont と Stamicarbon の 2 社共同で請負い、アンモニア合成は KBR 社、大粒尿素は Stamicarbon 社の技術を使用し、生産能力はアンモニア 1200 トン/日、大粒尿素 1575 トン/日である。
* モロッコの OCP 社はアフリカのガーナとナイジェリアに建設中の肥料工場を計画通り、
2024 年に完成すると発表した。この 2 工場とも化成肥料の生産能力が 100 万トン/年
を予定している。また、エチオピアに建設中の生産能力 250 万トン/年の化成肥料工場も順調に進み、2023 年または 2024 年に稼働するとも述べた。
2019 年、OCP 社は約 900 万トンりん酸肥料と化成肥料を輸出した。そのうちの 180
万トンがアフリカ向けで、アフリカに販売されている肥料シェアの 58%も占めている。
* オーストラリアの Perdaman 社は西オーストラリア州の Karratha 市に尿素工場を建設する計画を決定した。投資額 45 億豪ドル(約 31 億ドル)、生産能力 200 万トン/年、2023 年完成する予定。当該プロジェクト EPC は Clough 社と Saipem 社の JV が担当する。
* ロイター通信によれば、イスラエルのハイファグループは3 億4700 万ドルを投資して、 イスラエル南部に新しいアンモニア工場を建設することを決定した。原料は天然ガスで、すでにイスラエルの地中海側に開発中の Leviathan 天然ガス田から毎年 600 万 m3 の 天然ガスを購入することを合意した。
その他
* 6 月 24 日、ウクライナ政府の国際貿易委員会は窒素肥料と化成肥料のグローバル保障措置調査の打ち切りを発表した。当該調査は主にロシア産窒素肥料と化成肥料の輸入がウクライナに対する影響を調べるものである。
* 6 月 26 日、アメリカの Mosaic 社はアメリカ商務省および国際貿易委員会にモロッコとロシア産りん酸肥料(DAP)の政府助成金に対する調査と輸入の相殺関税徴収に関する要望書を提出した。Mosaic 社はモロッコとロシア政府の不当な助成により、廉価にアメリカに大量に輸入され、国内市場で引き起こしている歪みを是正するために、相殺関税の徴収が必要であると主張する。
このニュースが発表された後、ニューオーリンズ港の DAP 価格が上昇し、6 月 28日のFOB 価格が 308.7 ドル/トンとなり、前週より 2.2 ドル上昇し、この 2 ヶ月の最高値になった。