Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
資料3
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
瑕疵担保責任について
○ 請負人の担保責任について債務不履行責任に一元化
→改正民法の債務不履行責任等の一般規定、売買の担保責任に関する規定が適用
・売買の瑕疵担保責任を前提とし、請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の 目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に 仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供 した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができないことが規定された。
(第636条)
・請負人の担保責任の存続期間(第637条)について、これまでは瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年以内とされていたものが、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知すればよいこととされた。
・請負人の担保責任の存続期間(第638条)について、これまでの建物その他土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について引き渡し後5年、石造、土造、コンクリート造などに類する構造の工作物については10年とするとの規定が削除された。
・担保責任の存続期間の伸長について規定されていた第639条が削除された。
・担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができないとした第640条が削除された。
改正後
(請負人の担保責任)
改正前
(削る)
(請負人の担保責任に関する規定の不適用)
第六xx十六条 請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。
(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第六xx十七条 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。
第六xx十四条 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
2 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。
第六xx十五条 仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的 を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることがで きる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。
(請負人の担保責任に関する規定の不適用)
第六xx十六条 前二条の規定は、仕事の目的物の瑕疵が注文者の供した 材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じたときは、適用しない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告 げなかったときは、この限りでない。
(請負人の担保責任の存続期間)
第六xx十七条 前三条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年以内にしなければならない。
2 仕事の目的物の引渡しを要しない場合には、前項の期間は、仕事が終了した時から起算する。
改正後 | 改正前 |
(削る) | 第六xx十八条 建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は 地盤の瑕疵について、引渡しの後五年間その担保の責任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他こ れらに類する構造の工作物については、十年とする。 2 工作物が前項の瑕疵によって滅失し、又は損傷したときは、注文者は、その滅失又は損傷の時から一年以内に、第六xx十四条の規定による権利を行使しなければならない。 |
(削る) | (担保責任の存続期間の伸長) 第六xx十九条 第六xx十七条及び前条第一項の期間は、第百六十七条の規定による消滅時効の期間内に限り、契約で伸長することができる。 |
(削る) | (担保責任を負わない旨の特約) 第六百四十条 請負人は、第六xx十四条又は第六xx十五条の規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができない。 |
瑕疵担保責任に係る民法の改正内容②
(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
(買主の追完請求権)
第五百六十二条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。
(買主の代金減額請求権)
第五百六十三条 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。一 履行の追完が不能であるとき。
二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
3 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。
(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
第五百六十四条 前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。
4
○ 現行の約款において瑕疵担保責任は以下のとおり規定されている。
○公共工事標準請負契約約款
(瑕疵担保)
第四十四条 発注者は、工事目的物に瑕疵があるときは、受注者に対して相当の期間を定めてその瑕疵の修補を請求し、又は修補に代え若しくは修補とともに損害の賠償を請求することができる。ただし、瑕疵が重要ではなく、かつ、その修補に過分の費用を要するときは、発注者は、修補を請求することができない。
2 前項の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求は、第三十一条第四項又は第五項(第三十八条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による引渡しを受けた日から〇年以内に行わなければならない。ただし、その瑕疵が受注者の故意又は重大な過失により生じた場合には、請求を行うことのできる期間は〇年とする。
注 本文の〇の部分には、原則として、木造の建物等の建設工事の場合には一を、コンクリート造等の建物等又は土木工作物等の建設工事の場合には二を、設備工事等の場合には一を記入する。ただし書の〇の部分には、たとえば、十と記入する。
3 発注者は、工事目的物の引渡しの際に瑕疵があることを知ったときは、第一項の規定にかかわらず、その旨を直ちに受注者に通知しな
ければ、当該瑕疵の修補又は損害賠償の請求をすることはできない。ただし、受注者がその瑕疵があることを知っていたときは、この限りでない。
4 この契約が、住宅の品質確保の促進等に関する法律(xxxx年法律第xxx号)第九十四条第一項に規定する住宅新築請負契約である場合には、工事目的物のうち住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令(平成十二年政令第六十四号)第五条に定める部分の瑕疵
(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)について修補又は損害賠償の請求を行うことのできる期間は、十年とする。
(※住宅品確法第91条第1項に規定する住宅新築請負契約でないときは削除。)
5 発注者は、工事目的物が第一項の瑕疵により滅失又はき損したときは、第二項又は前項に定める期間内で、かつ、その滅失又はき損の日から六月以内に第一項の権利を行使しなければならない。
6 第一項の規定は、工事目的物の瑕疵が支給材料の性質又は発注者若しくは監督員の指図により生じたものであるときは適用しない。ただし、受注者がその材料又は指図の不適当であることを知りながらこれを通知しなかったときは、この限りでない。
5
○民間工事標準請負契約約款(甲)
(瑕疵の担保)
第二十九条 この契約の目的物に施工上の瑕疵があるときは、発注者は、受注者に対して、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を求め、又は修補に代え若しくは修補とともに損害の賠償を求めることができる。ただし、瑕疵が重要でなく、かつ、その修補に過分の費用を要するときは、発注者は修補を求めることができない。
2 前項による瑕疵担保期間は、前二条の引渡しの日から、木造の建物については一年間、石造、金属造、コンクリート造及びこれらに類する建物その他土地の工作物又は地盤については二年間とする。ただし、その瑕疵が受注者の故意又は重大な過失によって生じたものであるときは、一年を五年とし、二年を十年とする。
3 建築設備の機器、室内装飾、家具等の瑕疵については、引渡しの時、監理者が検査して直ちにその修補又は取替を求めなければ、受注者は、その責任を負わない。ただし、隠れた瑕疵については、引渡しの日から一年間担保の責任を負う。
4 発注者は、この契約の目的物の引渡しの時に、第一項の瑕疵があることを知ったときは、遅滞なく書面をもってその旨を受注者に通知しなければ、同項の規定にかかわらず、当該瑕疵の修補又は損害の賠償を求めることができない。ただし、受注者がその瑕疵があることを知っていたときは、この限りでない。
5 第一項の瑕疵によるこの契約の目的物の滅失又はき損については、発注者は、第二項に定める期間内で、かつ、その滅失又はき損の日から六カ月以内でなければ、第一項の権利を行使することはできない。
6 xx項の規定は、第十七条第四項各号のいずれかの場合に生じたこの契約の目的物の瑕疵又は滅失若しくはき損については、適用しない。ただし、同条第五項に該当するときは、この限りでない。
(新築住宅の瑕疵の担保)
第三十条 この契約が住宅の品質確保の促進等に関する法律(xxxx年法律第xxx号)第九十四条第一項に規定する住宅新築請負契約に該当する場合においては、前条の規定にかかわらず、次項から第五項までの規定に定めるところによる。
2 住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸水を防止する部分として住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令(平成十二年政令第六十四号)第五条に定めるものの瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)があるときは、発注者は、受注者に対して、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を求め、又は修補に代え若しくは修補とともに損害の賠償を求めることができる。ただし、瑕疵が重要でなく、かつ、その修補に過分の費用を要するときは、発注者は、修補を求めることができない。
3 前項による瑕疵担保期間は、第二十七条又は第二十八条の引渡しの日から十年間とする。
4 第二項の瑕疵によるこの契約の目的物の減失又はき損については、発注者は、前項に定める期間内で、かつ、その減失又はき損の日から六カ月以内でなければ、第二項の権利を行使することができない。
5 前三項の規定は、第十七条第四項各号(第三号を除く。)のいずれかの場合に生じたこの契約の目的物の瑕疵又は減失若しくはき損については、適用しない。ただし、同条第五項に該当するときは、この限りでない。
6 第二項に定める瑕疵以外のこの契約の目的物の瑕疵については、前条の規定を適用する。
6
○民間工事標準請負契約約款(乙)
(瑕疵の担保)
第十九条 受注者は工事目的物の瑕疵によって生じた滅失き損について引渡しの日から一年間担保の責めを負う。ただし、この期間は、石造、土造、煉瓦造、金属造、コンクリート造及びこれに類する建物その他土地の工作物若しくは地盤の瑕疵によって生じた滅失き損については、二年とする。
2 造作、装飾、家具などについては発注者が引渡しを受けるとき、監理者が検査して、もし瑕疵があるときは、直ちに受注者に補修又は取換えを求めなければ受注者は責めを負わない。ただし、隠れた瑕疵については引渡しの日から六ケ月間担保の責めを負う。
3 この契約が、住宅の品質確保の促進等に関する法律(xxxx年法律第xxx号)第九十四条第一項に規定する住宅新築請負契約である場合には、受注者は、前二項の規定にかかわらず、工事目的物のうち住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令(平成十二年政令第六十四号)第五条に定める部分の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)について、引渡しの日から十年間担保の責めを負う。
4 前三項の瑕疵があったときは、発注者は相当の期間を定めて受注者に補修を求めることができる。ただし、瑕疵が重要でなく、かつ、補修に過分の費用を要するときは受注者は、適当な損害賠償でこれに代えることができる。
5 発注者は、瑕疵の補修に代え又は補修とともに、瑕疵に基づく損害賠償を受注者に求めることができる。
7
○下請標準請負契約約款
(瑕疵担保)
第三十三条 (a) 工事目的物に瑕疵があるときは、元請負人は、下請負人に対して相当の期間を定めてその瑕疵の修補を請求し、又は修補に代え若しくは修補とともに損害の賠償を請求することができる。ただし、瑕疵が重要ではなく、かつ、その修補に過分の費用を要するときは、元請負人は、修補を請求することができない。
注 (a)又は(b)を選択して使用する。
2 前項の規定による瑕疵の修補又は損害賠償を請求することができる期間は、第二十五条(検査及び引渡し)第三項(第二十七条(部分引渡し)において準用する場合を含む。)の規定による引渡しを受けた日から〇年以内とする。ただし、その瑕疵が下請負人の故意又は重大な過失によって生じた場合は、当該請求をすることのできる期間は〇年とする。
注 〇の部分には原則として元請契約における瑕疵担保責任の期限に相応する数字を記入する。
3 この契約が、住宅の品質確保の促進等に関する法律(xxxx年法律第xxx号)第九十四条第一項に規定する住宅新築請負契約である場合には、工事目的物のうち住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令(平成十二年政令第六十四号)第五条に定める部分の瑕疵
(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)について修補又は損害賠償の請求を行うことのできる期間は、十年とする。
4 工事目的物が第一項の瑕疵により滅失又はき損したときは、元請負人は、前二項に定める期間内で、かつ、その滅失又はき損の日から六月以内に限り、第一項の権利を行使することができる。
5 第一項の規定は、工事目的物の瑕疵が支給材料の性質又は元請負人若しくは監督員の指示等により生じたものであるときは、これを適用しない。
第三十三条 (b) 工事目的物に瑕疵があり、その瑕疵が下請負人の責めに帰すべき理由により生じたものであるときは、元請負人は、下請負人に対して相当の期間を定めてその瑕疵の修補(工事目的物の範囲に限る。)を請求し、又は修補に代え若しくは修補とともに損害の賠償(工事目的物の範囲に限る。)を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でなく、かつ、その修補に過分の費用を要するときは、元請負人は、修補を請求することができない。
注 (a)又は(b)を選択して使用する。
2 前項の規定による瑕疵の修補又は損害賠償を請求することができる期間は、第二十五条(検査及び引渡し)第三項(第二十七条(部分引渡し)において準用する場合を含む。)の規定による引渡しを受けた日から〇年以内とする。ただし、その瑕疵が下請負人の故意又は重大な過失によって生じた場合は、当該請求をすることのできる期間は〇年とする。
注 〇の部分に原則として元請契約における瑕疵担保責任の期限に相応する数字を記入する。
3 この契約が、住宅の品質確保の促進等に関する法律(xxxx年法律第xxx号)第九十四条第一項に規定する住宅新築請負契約である場合には、工事目的物のうち住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令(平成十二年政令第六十四号)第五条に定める部分の瑕疵
(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)について修補又は損害賠償の請求を行うことのできる期間は、十年とする。
4 工事目的物が第一項の瑕疵により滅失又はき損したときは、元請負人は、前二項に定める期間内で、かつ、その滅失又はき損の日から六月以内に限り、第一項の権利を行使することができる。
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発注者は、工事目的物に瑕疵があるときは、受注者に対して相当の期間を定めてその瑕疵の修補を請求し、又は修補に代え若しくは修補とともに損害の賠償を請求することができる。ただし、瑕疵が重要ではなく、かつ、その修補に過分の費用を要するときは、発注者は、修補を請求することができない。
○ 瑕疵担保責任の規定が削除されたことに伴い、瑕疵担保責任に関する約款の規定について見直しを検討する必要がある。
・瑕疵修補請求権
※瑕疵が重要ではなくかつその修補に過分の費用を要するときに該当しない場合に限られる(該当する場合は損害賠償のみ)
<公共約款>
※相当の期間を置くこと<公共約款>
・損害賠償請求権
※第635条ただし書により土地の工作物については契約解除不可
瑕疵担保責任
・追完請求権(瑕疵修補請求権に対応)
・損害賠償請求権
・報酬減額請求権
・解除権(催告解除については軽微なものは不可)
契約不適合責任
論点①
○ 「瑕疵」の文言の置き換えについて
・契約書(※)への記載事項を規定する建設業法第19条第1項第12号において
「工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任」とされていた部分が民法改正の整備法で
「工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその 不適合を担保すべき責任」と改められていることを踏まえ、標準約款においても
「瑕疵」の文言を「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合」と改めることでよいか。
※単に「契約不適合」とすると新民法第562条が「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、」となっていることとの関係で建設工事において数量に関する瑕疵が含まれるかどうか不明確となるため。
論点②
○
任の追完請求権、損害賠償請求権、報酬減額請求権、解除権との関係はどのように整理されるか。
これまで瑕疵担保責任として規定されていた瑕疵の修補と損害の賠償について、契約不適合責
・追完請求権については、新民法第562条において、「目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡し」となっているところ、代替物の引渡し、不足分の引渡しは建設工事においては想定し難いことから、引き続き「修補」のみを示すということでよいか。
・修補請求と損害賠償について、現行の約款の規定を維持し「修補を請求し、又は修補に代え若しくは修補とともに損害の賠償を請求することができる」ということでよいか。
・公共約款第44条第1項ただし書において「瑕疵が重要ではなく、かつ、その修補に過分の費用を要するときは、発注者は、修補を請求することができない」とされている一方、新民法第 562条第1項ただし書では「売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる」とされているが、修補のみを約款に記載するということであれば、現行の記載振りを維持するということでよいか。
・新民法第563条により、履行の追完を催促し、期間内に追完されない場合は代金の減額を請求することができるようになるが、約款においても「期限内に履行の追完(修補)がないとき」に代金減額請求を可能とするということで良いか。
・新民法第563条第2項の催告をすることなく直ちに代金の減額を請求することができる場合についてもそのまま約款に反映させるということでよいか。
※解除については第3回において議論予定 11
)
○前項の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求は、第三十一条第四項又は第五項(第三十八条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による引渡しを受けた日から〇年以内に行わなければならない。ただし、その瑕疵が受注者の故意又は重大な過失により生じた場合には、請求を行うことのできる期間は〇年とする。
注 本文の〇の部分には、原則として、木造の建物等の建設工事の場合には一を、コンクリート造等の建物等又は土木工作物等の建設工事の場合には二を、設備工事等の場合には一を記入する。ただし書の〇の部分には、たとえば、十と記入する。
○発注者は、工事目的物が第一項の瑕疵により滅失又はき損したときは、第二項又は前項に定める期間内で、かつ、その滅失又はき損の日から六月以内に第一項の権利を行使しなければならない。
現行民法
瑕疵担保の存続期間(第638条
5年
工作物又は地盤の瑕疵
10年
引渡し
※約款において民法の瑕疵担保の存続期間を短縮
改正民法(第166条)
権利を行使出来るとき
10年
知った
どちらか短
石造、土造、れんが 造、コンクリート造、金属造その他これら
時から 5年
い方が適用される
瑕疵による
1年以内に
に類する構造の工作物
不適合の事実を知ったとき
改正民法(第637条)
1年
1年以内に
通知
滅失・損傷
修補又は損害賠償請求
※目的物を引き渡した時において、請負人が不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは適用しない。
→1年以内に通知していなくても権利行使可能 12
公共約款
(第44条第2項)
公共約款改正 (案)
(第44条第2項)
引渡し
1年
工作物又は地盤の瑕疵
2年
石造、土造、れんが
引渡し
1年
工作物又は地盤の瑕疵
2年
石造、土造、れんが
造、コンクリート造、
造、コンクリート造、
瑕疵による滅失・損傷
6月以内に修補又は損害賠償請求
<短縮の例外>
金属造その他これらに類する構造の工作物
10年
瑕疵による
滅失・損傷 6月以内に通知
<短縮の例外>
金属造その他これらに類する構造の工作物
10年
※瑕疵が受注者の故意又は重大な過失により生じた場合には、請求を行うことのできる期間は10年
※瑕疵が受注者の故意又は重大な過失により生じた場合には、請求を行うことのできる期間は10年
論点
○
現行の条文をどのように修正するべきか。
消滅時効の一般原則が適用されること及び新第637条の期間制限を踏まえ、
・引き続き、期間制限を約款に置くことが可能ということでよいか。
・期間制限を置くことが可能である場合、その期間は現行の公共約款第44条第
2項と同様ということでよいか。
論点
○
をする必要があったが、新第637条においては、通知で足りるとされたことを踏まえ約款をどのように修正するべきか。
現行の第637条は、注文者が権利保全をするためには請求や解除の意思表示
・例えば、紛争防止の観点から通知したことが明らかになるよう通知は書面で行うべきことなどを約款に記載するべきか。
発注者は、工事目的物の引渡しの際に瑕疵があることを知ったときは、第一項の規定にかかわらず、その旨を直ちに受注者に通知しなければ、当該瑕疵の修補又は損害賠償の請求をすることはできない。ただし、受注者がその瑕疵があることを知っていたときは、この限りでない。
○第3項は、発注者が工事の目的物の引渡しの際に瑕疵があることを知っていたときは、請負者がこれを知っている場合を除き、直ちに請負者に通知しなければならず、この通知をしないときは、瑕疵担保責任を追及することはできないとしている。
○これは、瑕疵の存在が明白である以上、発注者は、すみやかにこれに対する措置を講じ、無用の摩擦を回避すべきであることから、当事者間の権利関係を早期に確定しようとする趣旨によるも のである。このため、瑕疵があることを知っているのに、いつまでもその状態を放置することは、その状態を是認し、瑕疵修補請求権、損害賠償請求権を放棄したと考え、瑕疵担保責任を消滅さ せることとしたものである。
○請負者が瑕疵があることを知っていた場合には、権利関係を早期に確定するとの要請は不要であり、また、本項が瑕疵担保責任を負わない旨の特約と近い機能を営むことから、民法第640条の規定の趣旨に鑑み、第3項本文は適用にならないこととしている。
論点
○単純に「瑕疵」を「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合」に改め、「修補」については存置することで問題ないか。
この契約が、住宅の品質確保の促進等に関する法律(xxxx年法律第xxx号)第九十四条第一項に規定する住宅新築請負契約である場合には、工事目的物のうち住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令(平成十二年政令第六十四号)第五条に定める部分の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)について修補又は損害賠償の請求を行うことのできる期間は、十年とする。
○住宅品質確保法では、住宅を新築する建設工事の請負契約においては、石造・木造等の区別なく、住宅のうち構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものの瑕疵 について、担保責任の存続期間を一律10年としている。
○住宅品確法は、民法改正後においても「瑕疵」の表現を維持している。
○住宅の品質確保の促進等に関する法律
(住宅の新築工事の請負人の瑕疵担保責任)
第九十四条 住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては、請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百十五条、第五百四十一条及び第五百四十二条並びに同法第五百五十九条において準用する同法第五百六十二条及び第五百六十三条に規定する担保の責任を負う。
2 前項の規定に反する特約で注文者に不利なものは、無効とする。
3 第一項の場合における民法第六xx十七条の規定の適用については、同条第一項中「前条本文に規定する」とあるのは「請負人が住宅の品質確保の促進等に関する法律(xxxx年法律第xxx号)第九十四条第一項に規定する瑕疵がある目的物を注文者に引き渡した」と、同項及び同条第二項中「不適合」とあるのは「瑕疵」とする。
論点
○住宅品確法において「瑕疵」の文言が維持されていることを踏まえると、公共約款についても「瑕疵」の文言を維持するということでよいか。
第一項の規定は、工事目的物の瑕疵が支給材料の性質又は発注者若しくは監督員の指図により生じたものであるときは適用しない。ただし、受注者がその材料又は指図の不適当であることを知りながらこれを通知しなかったときは、この限りでない。
第6項は、請負者の瑕疵担保責任は、瑕疵が「支給材料の性質又は発注者若しくは 監督員の指図」により生じたものであるときは、請負者が当該材料又は指図の「不 適当であることを知りながらこれを通知しなかった」ときを除き、発生しないとし ている。したがって、設計上の誤り、監督員の指示によって瑕疵が生じた場合には、請負人は担保責任を負わないこととされている。
論点
○売買の規定においては「買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは」とされているところ、現行の約款の規定はこれに対応したものと考えられるため、修正は必要ないということでよいか。