Contract
ⅩⅤ 労働保険(雇用保険・労災保険)
1.雇用保険
(1)雇用保険の適用要件
雇用保険は、原則的として労働者を一人でも雇用する事業に適用されます。次の2つの要件を満たす場合には、パートタイム・有期雇用労働者についても雇用保険の被保険者になります。
雇用保険の適用基準
●1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること
● 31 日以上引き続き雇用されることが見込まれること
平成 29 年1月1日以降は、65 歳以降に新たに雇い入れられる者についても、上記の要件を満たす場合には、高年齢被保険者として雇用保険の被保険者になっています(保険料の徴収は平成 31 年度分(令和2年3月分)まで免除されていましたが、令和2年4月分から徴収対象になりました。)。
(2)適用区分
65 歳未満 | 65 歳以上 |
一般被保険者 | 高年齢被保険者 |
(3)雇用保険料率
・一般の事業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19/1000(事業主負担 6/1000、労働者負担 3/1000)
・農林水産・清酒製造事業 ・・・11/1000(事業主負担 7/1000、労働者負担 4/1000)
・建設の事業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/1000(事業主負担 8/1000、労働者負担 4/1000)
(令和3年度概算保険料の計算に使用)
(4)失業給付を受けられる日数(基本手当の所定給付日数)
① 一般の離職者(定年・自己都合・懲戒解雇等による離職)
被保険者であった期間 | 1年以上 10 年未満 | 10 年以上 20 年未満 | 20 年以上 |
全年齢共通 | 90 日 | 120 日 | 150 日 |
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労働保険(雇用保険・労災保険)
ⅩⅤ 労働保険(雇用保険・労災保険)
② 特定受給資格者(倒産、解雇等による離職)(※1)及び特定理由離職者(※2)
被保険者であった 期間 離職時の年齢 | 1 年未満 | 1 年以上 5年未満 | 5年以上 10 年未満 | 10 年以上 20 年未満 | 20 年以上 |
30 歳未満 | 90 日 | 90 日 | 120 日 | 180 日 | - |
30 歳以上 35 歳未満 | 120日(90 日) ※3 | 180 日 | 210 日 | 240 日 | |
35 歳以上 45 歳未満 | 150日(90 日) ※3 | 240 日 | 270 日 | ||
45 歳以上 60 歳未満 | 180 日 | 240 日 | 270 日 | 330 日 | |
60 歳以上 65 歳未満 | 150 日 | 180 日 | 210 日 | 240 日 |
※1「倒産、解雇等による離職者」(特定受給資格者)にあたるかどうかの判断は、ハローワークが行います。
※2 期間の定めのある労働契約の時期が満了し、かつ当該労働契約の更新がないことにより離職した者(更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立しなかった場合に限定)について該当する場合があります。該当するかどうかの判断はハローワークが行います。
※3( )内は受給資格に係る離職日が平成 29 年3月 31 日以前の場合の日数。
③ 障害者、高年齢者(65 歳以上で離職)は別に定められています。
(5)給付を受けるための雇用保険加入期間
離職日以前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上または80時間以上ある月が通算12か月以上あり、かつ、雇用保険加入期間が通算12か月以上あることです。
被保険者期間は、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある期間を1か月として計算しますが、令和2年8月1日以降に離職した者については、前述の条件を満たさない場合、補完的に賃金支払いの基礎となった時間が 80 時間以上であるものを1か月として計算することとされました(雇用保険法第13~14 条)。
倒産・解雇等により離職した場合は、離職日以前の1年間に賃金支払基礎日数 11日以上または80時間以上の月が6か月以上あることです(労働契約が更新されなかったために離職した有期契約労働者についても、こちらに該当する場合があります。)。
(6)基本手当日額
雇用保険で受給できる1日あたりの金額を「基本手当日額」といいます。この「基本手当日額」は原則として離職した日の直前6か月に毎月きまって支払われていた賃金(賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます。)のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。
基本手当日額の上限値
(令和2年 8 月1日現在 )
30 歳未満 | 6,845 円 |
30 歳以上 45 歳未満 | 7,605 円 |
45 歳以上 60 歳未満 | 8,370 円 |
60 歳以上 65 歳未満 | 7,186 円 |
基本手当日額は、年齢区分ごとにその上限値が定められています。
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ⅩⅤ 労働保険(雇用保険・労災保険)
2.労災保険
労災保険とは労働者が業務上の災害や通勤による災害をうけた場合に被災労働者や遺族を保護するために必要な保険給付を行うものです。この労災保険と雇用保険をあわせて労働保険といいます。一般的にはこの二つの保険にかかる保険料の申告・納付等は一括しておこなわれています。
労災保険は、契約社員にも適用されます。
業務災害に係る保険給付の種類としては、① 療養補償給付、② 休業補償給付、
③ 障害補償給付、➃ 遺族補償給付、⑤ 葬祭料、⑥ 傷病補償年金、⑦ 介護補償給付があります。 ※ 労災保険料率 全額事業主負担 2.5/1000 ~ 88/1000
(業種等により異なります。最終改定は平成 30 年4月1日で、令和3年度もこれを維持)
詳しくは、東京労働局労働保険徴収部 電話 03(3512)1627
または、労働基準監督署(労災保険)、ハローワーク(雇用保険)へお問い合わせ下さい。(「相談窓口案内」のページ参照)
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