①農業経営基盤強化促進法 H17.9改正
株式会社○○○○○定款(例)
第1章 総則
(農地所有適格法人・取締役会設置会社・議決権制限株式を発行する場合)
(定款作成後、認証前に公証人役場で確認してください)
(商号)
第1条 当会社は、株式会社○○○○○と称する。
※他人が登記した商号と同一であり、その営業所の所在場所も同一であるときは、その商号を用いることができない。
※法令上問題がなくても、近隣に同一名称の会社がある場合、顧客の混乱を与えたり、郵便物等の誤配の原因にもなることから、現在でもあらかじめ商号調査をしておいた方が無難である。
(目的)
第2条 当会社は、次の事業を行うことを目的とする。
1.農産物の生産・加工・販売
2.農産物を原材料とする○○○の製造販売
3.農作業の貯蔵、運搬及び販売
4.農業生産に必要な資材の製造販売
5.農作業の受託
6.○○○○
7.前各号に附帯関連する一切の事業
※農地所有適格法人の場合には、主たる事業が農業(関連事業を含む)でなければならない。
※当面実施する事業だけでなく、将来行う予定のある事業も記載しておく。
(本店の所在地)
第3条 当会社は、本店を静岡県○○○に置く。
※本店の所在地は市町村。政令指定都市では区までの記載とすることができる。これにより、同一行政区画内であれば移転の際、定款の変更をせずに済む。
(公告の方法)
第4条 当会社の公告は、○○に掲載する方法により行う。
※官報に掲載する方法、日刊新聞に掲載する方法、電子広告のいずれかの方法を取ることができる。
※大会社を除けば官報に掲載する方法が一般的。
※定款に定めがない会社については、官報に掲載する方法を公告の方法とすることになる。
第2章 株式
(発行可能株式総数及び発行可能種類株式総数)
第5条 当会社の発行可能株式総数は○○○株とし、そのうち普通株式は○○○株、甲種類株式は○○○株とする。
※会社が、定款を変更することなく将来に渡って発行可能な株式の総数を記載する。
※公開会社は、設立時発行株数が発行可能株数の 1/4 を下ることができないが、非公開会社の場合はその限りでない。
※上記から、設立時発行株式数の 4 倍以内が、発行可能株式総数の目安の1つである。
※議決権制限株式の数は発行済株式総数の 2 分の 1 以下とされている(会社法 115 条)。但し、株式譲渡制限会社は制限がない。
※議決権制限株式について、上記では「甲種」と記載している。この甲は、甲乙丙の甲であり、単なる呼称に過ぎない。
※議決権制限株式は、農地法第2条7項2号トに掲げる者の議決権制限には該当しないが、構成員要件は満たしておかねばならない。
※議決権制限株式を発行しない場合、(発行可能株式総数)第○条 当会社の発行可能株式総数は、○○○株とする。と記載する。
(甲種類株式の議決権)
第6条 甲種類株式を有する株主は、株主総会において議決権を行使することができない。
※農地所有適格法人において、第5条の甲種類株式は完全無議決権株式が妥当として例示した。
※議決権制限株式を発行しない場合、同条文を削除し、条項を繰り上げる。
(株券の不発行)
第7条 当会社は、株式に係る株券を発行しない。
※会社法では株券を発行しないことを原則としている。
(株式の譲渡制限)
第8条 当会社の株式は、取締役会の承認がなければ譲渡または取得することができない。
※農地所有適格法人として農地を利用して農業経営を行う場合、農地法第2条第3項により、株式の譲渡制限が必要とされている。
※株式譲渡の承認機関は、原則として株主総会(取締役会設置会社は取締役会)の決議によらねばならない。
※定款で定めた場合、取締役会を設置していない会社では「(代表)取締役の決定」とすることが可能。
(相続人等に対する株式の売渡し請求)
第9条 当会社は、相続その他一般承継により当会社の株式を取得した者に対し、当該株式を当会社に売り渡すことを請求することができる。
※会社法は、会社にとって好ましくない者が当該会社の株主にならないようにする株式の譲渡制限の趣旨に基づき、譲渡制限株式について、相続その他の一般継承により取得したものに対して、会社から当該株式を会社に売り渡すことを請求できる旨を定款に定めることができるとしている。
(基準日)
第10条 当会社は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載または記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。
② 前項のほか、株主又は質権者として権利を行使すべき者を確定する必要がある場合には、予め公告して臨時に基準日を定めることができる。
※基準日は権利行使(提示株主総会)の日の前3ヶ月以内の日とし、通常は事業年度終了日(毎事業年度末日)に設定する。
※基準日を定款で定めていない場合、権利行使の2週間前に公告が必要となる。
(株主名簿記載事項記載の請求)
第11条 株式の取得により株主名簿記載事項の記載を請求するときは、当会社所定の書式による請求書に記名押印し、これに取得の原因を証する書面を添えて提出しなければならない。
※株式を取得した人は、株式を発行している会社の株主名簿に株主として氏名等を記載するように請求できる(会社法第 133 条
第 1 項)。
※譲渡制限株式では、発行している会社の承認が得られた場合や指定買受人になった場合、相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した場合に限り、株式取得者は株式名簿に記載することを請求できる。
※株式名簿に氏名等の記載を請求する場合、法令等に定められた場合を除き、その会社の所定の請求書に株式の譲受人と譲渡人とが記名押印して共同で請求するのが基本である。
(質権の登録および信託財産の表示)
第12条 当会社の株式につき質権の登録または信託財産の表示を請求するときは、当会社所定の書式による請求書に当事者が記名押印し、共同で請求しなければならない。その登録または表示の取り消しについても同様とする。
※株式に質権を設定した者は、株式会社に対して、質権者の氏名又は名称及び住所等、質権が設定されている株式であることを株主名簿に記載するよう請求することができる(会社法第 148 条第 1 項)。
(手数料)
第13条 前二条に定める請求をする場合には、当会社所定の手数料を支払わなければならない。第3章 株主総会
(招集)
第14条 当会社の定時株主総会は、毎事業年度終了後 3 ヶ月以内にこれを招集し、臨時株主総会は、必要あるときに随時これを招集する。
※定時株主総会は、基準日から3ヶ月以内と解されている。
(議長)
第15条 株主総会の議長は、代表取締役社長がこれにあたる。
② 代表取締役社長に事故があるときは、予め取締役会の定める順序により、他の取締役が議
長となる。
(決議の方法)
第16条 株主総会の決議は、法令又は定款に別段の定めがある場合のほか、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって決する。
② 会社法第 309 条第 2 項に定める株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使で
きる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その議決権の 3 分の 2 以上をもって行う。
※第1項は、株主総会の普通決議の際に定足数を排除するための定款の規定である。定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
※第2項の特別決議について、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主の出席が必要。ただし、定款により定足数を 3 分の1以上まで緩和することができる。
(議決権の代理行使)
第17条 株主は、当会社の議決権を有する他の株主を代理人として、その議決権を行使することができる。
② 株主または代理人は、株主総会ごとに代理権を証明する書面を当会社に提出しなければならない。
(総会議事録)
第18条 株主総会の議事録は、法令で定める事項を記載または記録した議事録を作成する。第4章 取締役、取締役会、監査役 ※取締役会、監査役を置かない会社の場合、同記載は削除する。
(取締役会の設置)
第19条 当会社は、取締役会を置く。
※取締役会を置かない会社の場合、同条文を削除し、条項を繰り上げる。
※取締役会非設置会社の場合、株主総会で決議することになるため、株主=経営者の場合は問題ないが、株主が多数いる場合や、外部から出資を受けている場合、株主たる構成員に相続が発生し株式が分散するような場合には、会社運営の意志決定に支障をきたす可能性がある。
(監査役の設置)
第20条 当会社は、監査役を置く。
※取締役会を置く場合、監査役の設置が必要となる(取締役会を設置しない場合は、監査役設置も任意)。
※監査役を置かない会社の場合、同条文を削除し、条項を繰り上げる。
※公開会社でない場合、会計参与を置けば監査役を置く必要はない。この場合、定款を監査役から会計参与に置き換える。
※会計参与とは、経営者と共同名義で会社の貸借対照xx計算書類を作成する専門家であり、公認会計士又は税理士でないと就任できない(会社法 333 条)。
(取締役及び監査役の員数)
第21条 当会社の取締役は3名以上、監査役は2名以内とする。
※取締役会を置く会社の場合、取締役を3名以上置く必要がある。
※取締役会を置かない会社の場合、取締役の人数に制限はなく、取締役は1名でも足りる。
(取締役及び監査役の選任方法)
第22条 当会社の取締役及び監査役は、株主総会において、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって選任する。
② 取締役及び監査役の選任決議は、累積投票によらないものとする。
※取締役は、株主総会の決議により選任される。決議要件は、定款の定めにより、定足数について 3 分の1以上の割合とすることができる。
※累積投票は、株式1株につき選任すべき取締役の数と同数の議決権が与えられる制度。多くの会社は、この制度を定款の規定により排除している。
(取締役及び監査役の任期)
第23条 取締役の任期は、その選任後 2 年以内、監査役の任期は、その選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
② 増員または補欠として選任された取締役の任期は、在任取締役の任期の満了する時までとする。
③ 補欠として選任された監査役の任期は、退任した監査役の任期の満了する時までとする。
※会社法により、取締役は任期2年以内、監査役は4年以内とされている。
※取締役の場合、これを定款又は株主総会の決議により短縮することが認められている(監査役は不可)。
※非公開会社は、定款の定めるところにより、取締役及び監査役の任期を選任後 10 年以内とすることもできる。
(代表取締役及び役付取締役)
第24条 当会社は、取締役の互選によって、取締役の中から代表取締役を選定することができる。
② 取締役の中から、社長を 1 名選任し、必要に応じて、会長、副社長、専務取締役、常務取締役各若干名を選定することができる。
※取締役会設置会社の場合、代表取締役を選任する必要がある(取締役会非設置会社の場合には任意)。
※代表取締役の選定を定款で定めるには、取締役の互選による方法と株式総会の決議による方法がある。
※会社法では取締役と代表取締役の区分のみであるが、役付取締役を設けることが一般的であり、これを明確にする際、定款に記載する。
※企業出資の農地所有適格法人において、親会社役員が社外取締役に就任し、代表権を持つことも想定される。
※取締役1名、代表取締役1名の会社の場合、「取締役は、代表取締役として当会社の業務を統括する」と記載する。
※取締役2名以上、取締役会なく代表取締役を定める場合、「当会社に取締役2名以上置いたときは、代表取締役1名を置き、取締役の互選によって定めるものとする。」と記載する。
(取締役会の招集)
第25条 取締役会は、法令に別段の定めがある場合を除き、代表取締役社長が招集し、議長となる。
② 代表取締役社長に事故があるときは、他の取締役が取締役会を招集し、議長となる。
※取締役会は、各取締役が招集するが、取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集する。当条文では、取締役会の議長についても定款で定めている。
(取締役会の招集通知)
第26条 取締役会の招集通知は、各取締役及び各監査役に対し、会日の3日前までに発する。ただし、緊急の場合には、この期間を短縮することができる。
② 取締役及び監査役の全員の同意がある場合には、招集の手続きを経ないで取締役会を開催することができる。
※原則として、取締役会の日の1週間前までに、各取締役にその通知を発しなければならないが、定款の定めにより、これを下回る期間前までに通知を発することができる。
※取締役の全員の同意があるときは、招集の手続きを省略することができる。
(取締役会の決議方法)
第27条 取締役会の決議は、議決に加わることのできる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行う。
(取締役会の決議の省略)
第28条 取締役が取締役会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき議決に加わることのできる取締役の全員が書面にて同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす。
※会社法は例外的に一定の要件のもと定款の定めにより、会議を開かずに書面による決議をなすことができるとしている。
(取締役会議事録)
第29条 取締役会の議事については、法令に定める事項を記載又は記録した議事録を作成し、出席した取締役及び監査役がこれに記名押印又は電子署名する。
(取締役及び監査役の報酬等)
第30条 取締役及び監査役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として当会社から受ける財産上の利益は、株主総会の決議によって定める。
※株式総会では、報酬の額(報酬の額が確定していないものについては具体的な算出方法)、金銭でない報酬については具体的な内容を決定する。なお、報酬を改定する場合、その理由を説明する。
第4章 計算
(事業年度)
第31条 当会社の事業年度は、毎年○○月○○日から翌年○○月○○日までとする。
※繁忙期がある作物の場合、その時期を避けて決算期を設定する。
※新設した会社で資本金が 1000 万円未満の会社は、設立から2事業年度は消費税の納税義務が免除される。この場合、会社
設立月の月始めを事業年度の始期とすることで、より長い期間、消費税免税の恩恵を受けられる。
(剰余金の配当)
第32条 剰余金の配当は、毎事業年度末日現在における株主名簿に記載または記録された株主または登録株式質権者に対して行う。
② 剰余金の配当は、その支払提供の日から満3年を経過しても受領されないときは、当会社はその支払義務を免れるものとする。
※剰余金の配当請求権は、定款の定めがなければ 10 年の時効で消滅する。しかし、通常、定款の規定で期間を3年に短縮する。
第5章 附則
(設立に際して発行する株式の総数)
第33条 当会社の設立に際して発行する株式の総数は○○○株とし、その発行価額は1株につき金○万円とする。
※商法では絶対的記載事項であったが、会社法では、次条を定款に定めれば足りる。
(設立に際して出資される財産の価額又はその最低額)
第34条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は金○○○万円とする。
※設立に際して出資する金額を記入する(絶対的記載事項)。
※新設した会社で資本金が 1000 万円未満の会社は、設立から2事業年度は消費税の納税義務が免除される。
※設立当時に建物や機械を購入する場合などは、課税売上より課税仕入が多い場合が考えられる。この場合は、消費税の還付を受けるため、「課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者になる方が有利(ただし、2事業年度課税事業者となる。)。
(設立時取締役及び監査役)
第35条 当会社の設立時取締役及び設立xxxxは、次のとおりとする。
設立時取締役 | 住所 氏名 | 静岡県○○市○○○○○○○○ ○○ ○○ |
設立時取締役 | 住所氏名 | 静岡県○○町○○○○○○○○ ○○ ○○ |
設立時取締役 | 住所氏名 | 静岡県○○市○○○○○○○○ ○○ ○○ |
設立xxxx | 住所氏名 | 静岡県○○町○○○○○○○○ ○○ ○○ |
※設立時取締役の選任は、出資(金融機関に出資金を払込み)後、遅滞なく行わなければならないが、設立時取締役を定款で定めた場合には、出資の履行が完了したときに選任されたものとみなされる。(会社法第 38 条第 3 項)
※取締役の員数において、農地所有適格法人の執行役員要件に留意する。
※株式会社の場合、会社法により株主以外の取締役(員外役員)が認められているため、執行役員要件が満たされていれば、株主以外のものが取締役になることは可能。(農事組合法人の場合、農協法により農民である組合員以外のものが執行役員(理事)になることはできない。)
※会計参与設置の場合は,「設立時会計参与○○○○」となる。
(最初の事業年度)
第36条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から平成○○年○○月○○日までとする。
(発起人の住所、氏名及び引受株数)
第37条 発起人の住所、氏名及び各発起人が設立に際して引き受けた株式数は、次のとおりである。
発 起 人 住所 静岡県○○市○○○○○○○○
氏名 ○○ ○○
株式 普通株式 ○○株
発 起 人 住所 静岡県○○町○○○○○○○○
氏名 ○○ ○○
株式 普通株式 ○○株
発 起 人 | 住所氏名 株式 | 静岡県○○市○○○○○○○○ ○○ ○○ 普通株式 ○○株 |
発 起 人 | 住所氏名株式 | 静岡県○○市○○○○○○○○株式会社 ○○○○ 普通株式 ○○株 甲種類株式 ○○株 |
※議決権制限株式を引き受ける発起人の株式は、第5条にて定められた株式名を記載する。
※住所は印鑑証明書どおりに正確に記載する。
(定款に定めのない事項)
第38条 この定款に規定のない事項は、全て会社法その他の法令によるものとする。
以上、株式会社○○○○○を設立するため、この定款を作成し、発起人がこれに記名押印する。平成○○年○月○日
発 起 人 静岡県○○市○○○○○○○○
○○ ○○ ㊞
発 起 人 静岡県○○町○○○○○○○○
○○ ○○ ㊞
発 起 人 静岡県○○市○○○○○○○○
○○ ○○ ㊞
発 起 人 静岡県○○市○○○○○○○○
株式会社 ○○○○ 代表取締役 ○○ ○○ ㊞
※法人が農地所有適格法人の構成員要件を満たし、出資した場合は発起人になることができる。
(参考)特定法人貸付事業・・・改正農地法の施行に伴い廃止される
①農業経営基盤強化促進法 H17.9改正
遊休農地や遊休農地になりそうな農地が相当程度存在する区域
基本構想
参入区域として設定
同意
市町村
市町村基本構想に特定法人貸付事業を規定
知事
②農業生産法人以外の法人への農地等の貸付け
協定の締結
買入れ又は
借り入れ
使用貸借による 権
利又は賃借権(リース)の設定
○農地法第3条許可
(特例的に許可)
農地所有者 ○基盤法第18条
利用集積計画
株式会社等農業生産法人以外の法人
業務執行役員のうち、1人以上の者がxxまたは養畜の事業に 常時従事
市 町 村
農地保有合理化法人