1)治験開始にあたって、治験(開始・終了)連絡票(書式 T-19)を医事課外来医事係あるいは医事課病棟医事係に提出する。
治験責任医師の手順書
(改訂第 6 版)
Ⅰ 目的
この手順書は、自治医科大学附属病院において治験責任医師が治験を行う際に必要な事項をまとめたものである。
Ⅱ 治験責任医師の要件
1.自治医科大学の常勤職員であること。
2.役職名は「助教」以上であること。
3.教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施し得ること。
4.十分な臨床経験を有すること。
5.治験を行うに必要な時間的余裕を有すること。
Ⅲ 治験責任医師の責務
1.遵守すべき事項及び実施体制
(1)薬事法(昭和 35 年法律第 145 号)、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成 9
年厚生省令第 28 号)、医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成 17 年厚生労働
省令第 36 号)、その他の医薬品又は医療機器の臨床試験の実施に関する省令、医薬品の製
造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令(平成 16 年厚生労働省令第 171 号)、
医療機器の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令(平成 17 年厚生労働省令
第 38 号)その他の医薬品又は医療機器の製造販売後の調査及び試験の実施に関する省令を熟知し、これを遵守する。
(2)当院の「医薬品及び医療機器の臨床試験の実施に関する規程」を熟知し、これを遵守する。
(3)被験者への安全性確保を常に最優先する。
(4)病院長の指示・決定に従わなければならない。
(5)治験責任医師は、治験に関連する医療上の全ての判断に対して責任を負う。
(6)治験実施計画書(合意したもの)、最新の治験薬概要書、製品情報、治験薬等の取り扱い及び治験薬管理手順書に記載されている治験薬の適切な使用法に十分精通する。
(7)治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間内に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保する。
(8)治験分担医師及び治験協力者に、各人の分担業務内容、又は治験実施計画書、治験薬及び各人の業務を適正かつ円滑に行うための最新の情報を与え、指導及び監督しなければならない。
2.実施に際しての留意事項
(1)治験審査委員会(以下、「委員会」という。)に出席し、治験実施計画書の概要などについて説明する。
(2)企業主導の治験の場合は契約締結前、医師主導の場合は病院長との合意を行う前に被験者を治験に参加させてはならない。
(3)治験責任医師、治験分担医師でないものは治験に係わることは出来ない。
(4)同意の取得、治験薬の処方などは、治験責任医師、治験分担医師でなければ行ってはいけない。
(5)被験者に治験薬の使用法の説明、指示を行い、適切な間隔で被験者が説明された指示事項を正しく守っているかを確認する。
(6)治験の実施期間中、委員会の審査対象となる文書が追加、改訂された場合、速やかに病院長に提出する。
(7)治験薬概要書の改訂がある場合、企業主導の治験ではそれに先立ち、治験依頼者より報告を受け、その内容を確認する。
医師主導の治験で新たな情報が得られた場合は、手順書に従い改訂する。
(8)被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、被験者にその旨を伝え、十分な医療を被験者に提供しなければならない。
(9)被験者が他の診療科、他の医師により治療を受けている場合には、被験者の同意のもとに、被験者が治験に参加する旨を当該他の医師に通知しなければならない。
(10)治験責任医師は、モニタリング、監査並びに委員会及び規制当局による調査を受け入れなければならない。
(11)治験責任医師は、モニター、監査担当者、委員会又は規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。
(12)被験者に係わる連絡
1)治験開始にあたって、治験(開始・終了)連絡票(書式 T-19)を医事課外来医事係あるいは医事課病棟医事係に提出する。
2)入院患者の場合は、その他に実施入院患者連絡票(書式 T-14)を記入し、医事課病棟医事係に提出する(「診療報酬の請求に関する業務手順書」に従う)。
(13)治験の中止、延長、終了等が生じた場合は速やかに治験(開始・終了)連絡票により医事課外来医事係あるいは医事課病棟医事係へ連絡する。
Ⅳ 治験実施の準備から申請まで
1.申請時までに行う作業
(1)企業主導の治験では、治験実施計画書案、症例報告書の見本案及び治験薬概要書その他必要な資料・情報に基づき治験依頼者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討する。医師主導の治験では、自ら治験を実施する者は、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討し、治験実施計画書、症例報告書の見本、治験薬概要書、説明文書等を作成しなければならない。
(2)治験実施計画書、症例報告書の見本
1)企業主導の治験では治験責任医師と治験依頼者が、医師主導の治験では自ら治験を実施する者と病院長が合意したものであることを確認するため、両者が署名又は記名押印し、日付を記入したものを提出する。
2)上記Ⅳ 1.1)の場合、下記の a)又は b)の何れかの方法で行う。
a)当該治験実施計画書に直接署名又は記名押印し、日付の記入を行う。
b)当該治験実施計画書を合意した旨の署名又は記名押印入りの合意書(様式は自由)を提出する。
(3)事前に自らの履歴書(様式は自由)を治験依頼者に提出し、合意を得る。
(4)治験分担医師・治験協力者リスト(書式 2 又は(医)書式 2)の作成及び承認 1)治験分担医師・治験協力者リストを作成する。
2) 治験分担医師・治験協力者リストは、申請する際、申請書類と共に病院長に提出する。 3)病院長の承認を得た後は、企業主導の治験では治験依頼者及び治験責任医師、医師主導の治
験では治験責任医師(自ら治験を実施する者)に送付し、病院長はその写しを保管する。
(5)申請関係書類の作成
「新規申請に関する手順書 - 新規申請から契約までの手順-」に従い、以下の申請関係書類を作成する。
1)企業主導の治験
・治験依頼書(書式 3)
・治験責任医師及び治験分担医師の履歴書(書式 1)
・同意取得のための説明文書及び同意文書の写し
「説明文書及び同意文書の作成に関する手順書」に従い、治験依頼者と協議の上作成する。
・被験者の募集手順に関する資料(期間内に目標とする症例数を集めることが可能であることを過去の実績から示す資料も含む)
・その他、委員会が必要と認める資料
合意された期間内に治験を適正に実施し得ることを証する資料
合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを示す資料
・当院の検査の基準値及びその範囲
・回答書(書式 T-22)
「事前ヒアリングに関する手順書」に従い作成する。
2)医師主導の治験
・治験依頼書((医)書式 3)
・治験責任医師及び治験分担医師の履歴書((医)書式 1)
・同意取得のための説明文書及び同意文書の写し
「説明文書及び同意文書の作成に関する手順書」に従い作成する。
・被験者の募集手順に関する資料(期間内に目標とする症例数を集めることが可能であることを過去の実績から示す資料も含む)
・その他、委員会が必要と認める資料
合意された期間内に治験を適正に実施し得ることを証する資料
合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを示す資料等
・当院の検査の基準値及びその範囲
・回答書((医)書式 T-22)
・治験医師主導の治験に関する病院長との合意(別記様式第 12 号の 3)
・治験薬(医療機器)調査資料(別記様式第 5 号)
・治験実施計画書(合意書添付のこと)
・症例報告書の見本(合意書添付のこと)
・被験者への支払い(支払いがある場合)に関する資料
・被験者の健康被害の補償に関する資料
・予定される治験費用に関する資料
・治験薬概要書、前臨床及び前段階までの試験結果概要
・モニタリングに関する手順書
・監査に関する計画書及び業務に関する手順書
・治験薬の管理に関する手順書
・通知に関する事項を記載した文書
・閲覧に供する旨を記載した文書
・治験を中止することができる旨を記載した文書
・開発業務受託機関の業務範囲に関する手順書
・治験調整医師、治験調整委員会及び治験責任医師の責務に関する文書
・盲検下の治験薬の割付けコードの開封手順書
・症例報告書の変更又は修正の手引き書
・自ら治験を実施する者の指名者による症例報告書の変更又は修正の手順書
・評価の統一基準の遵守方法に関する説明文書
・その他委員会が必要と認める資料
治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項を記載した文書等
Ⅴ 治験の申請から委員会の審査まで
1.新規申請を行う。
「新規申請に関する手順書 - 新規申請から契約までの手順-」に従い、新規申請を行う。
2.委員長説明により指摘された事項に関する回答書の作成
「委員長説明に関する手順書」を参照のこと
(1)委員長説明により指摘事項があった場合には、回答書又は追加資料を提出する。
(2)回答書又は追加資料提出
1)指示された提出期限を厳守する。
2)書類の様式は自由様式とする。
3)宛先は「自治医科大学附属病院 治験審査委員長」とし、提出先は治験審査委員会事務局(以下、「IRB 事務局」という。)とする。
4)書類は原本とその写しを 30 部提出する。
3.委員会での説明
(1)治験責任医師は委員会に出席し、当該治験の概要・治験計画等を説明する。
(2)自らが出席できない場合は、事前に IRB 事務局に連絡の上、当該治験の治験分担医師がその職務を代行することができる。
(3)治験責任医師又は治験分担医師が出席しない場合は未審議となる。
Ⅵ 委員会の審査から契約(又は合意)まで
1.審査結果
(1)委員会の審査の結果は、次の何れとする。
1)承認
2)修正の上で承認
3)却下
4)既承認事項の取り消し
5)保留
2.治験に関する指示・決定通知
(1)病院長の指示・決定が委員会の審査結果と異なるときは、治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1 又は(医)参考書式 1 )により、企業主導の治験では治験責任医師及び治験依頼者、医師主導の治験では自ら治験を実施する者に通知する。ただし、病院長の指示・決定が委員会の決定と同じであるときは、治験審査結果通知( 書式 5) の写しに病院長が署名又は記名押印して通知する。
3.審査結果受領後の作業
(1)「承認」の場合
1)企業主導の治験では治験に関する指示・決定通知書の発行後、契約を締結する。
2)医師主導の治験では治験に関する指示・決定通知書の発行後、以下の事項を行う。
a)病院長の承認を得たことを証するため、治験届を提出するまでに自ら治験を実施する者と病院長は治験実施計画書等に署名又は記名押印し、日付を記入したものを作成する。
b) 治験の計画届が受理された後に、医師主導の治験に関する病院長との合意を行う。
3)治験を開始する前に、治験実施のための打ち合わせ(事前検討会)を関係者(治験責任医師、臨床試験センター(以下、「センター」という。)薬剤部、医事課、治験依頼者等)と行う。
4)事前検討会の詳細及び手順については「治験の開始準備に関する手順書」に準ずる。
(2)「修正の上で承認」の場合
1)治験に関する指示・決定通知書により、承認のための条件が通知される。
2)企業主導の治験においては治験責任医師及び治験依頼者、医師主導の治験においては自ら治験を実施する者は、指示事項について検討する。
3)指摘された条件を修正する場合
a)企業主導の治験においては治験責任医師及び治験依頼者が、治験に関する指示
・決定通知書受領後、できる限り速やかに治験実施計画書等修正報告書(書式 6)と共に回答及び該当する資料を提出する。ただし、説明文書、同意文書のみの修正の場合、治験実施計画書等修正報告書は治験責任医師が作成し、差出元である治験依頼者の名称及び代表者欄は“ 該当せず” と記載する。
b)医師主導の治験においては自ら治験を実施する者が、治験に関する指示・決定通知書受領後、できる限り速やかに治験実施計画書等修正報告書((医)書式 6)と共に回答及び該当する資料を提出する。
4)提出された治験実施計画書等修正報告書は、病院長が修正内容を確認し、承認のための条件を満たしている場合は承認となる。
(3)「却下」、「既承認事項の取り消し」の場合
1)治験に関する指示・決定通知書により、取り消しの理由が通知される。
2)企業主導の治験においては治験責任医師及び治験依頼者、医師主導の治験においは自ら治験を実施する者は、指示事項について検討する。
(4)「保留」の場合
1)治験に関する指示・決定通知書により、保留の理由が通知される。
2)企業主導の治験においては治験責任医師及び治験依頼者、医師主導の治験においは自ら治験を実施する者は、指示事項について検討する。
3)企業主導の治験においては治験責任医師及び治験依頼者、医師主導の治験においては自ら治験を実施する者は、できる限り速やかに治験実施計画書等修正報告書と共に回答及び該当する資料を提出する。
4)提出された治験実施計画書等修正報告書等は、次回の委員会で審査する。
(5)上記Ⅵ 3.(2)から(4)において、治験に関する指示・決定( 修正の上で承認、却下、既承認事項の取り消し、保留)に異議がある場合は、以下の 1)又は 2)の何れかを行う。
1)当該治験を辞退する旨の文書(様式は自由)を病院長に提出する。
2)指示・決定に対する異議を申し立てる場合は、次項「Ⅶ 異議申立ての手順」に従う。
Ⅶ 異議申立ての手順
1.指示・決定に対する異議がある場合、企業主導の治験においては治験責任医師及び治験依頼者、医師主導の治験においては自ら治験を実施する者は、治験に関する指示・決定通知書受領後、できる限り速やかにセンターを経由して病院長へ指示・決定に対する異議申立書(別記様式第 11 号)を提出する。
2.病院長は、提出された異議申立書の内容を検討し、必要に応じて委員会に審議を依頼する。
3.委員会の審査の結果、委員会が前回と同じ意見を下した場合は、それ以後当該治験に関する異議申し立てはできない。
Ⅷ 治験コーディネーターの費用算出と業務内容の手順
1.治験コーディネーター(以下、「CRC」という。)費用の内訳(医師主導の治験を除く)
( 1 ) C R C 費用は、準備費用及び通常業務費用とする。
( 2 ) 準備費用は、1 契約につき 100 ,000 円とし、契約時に治験依頼者へ請求する。原則として、費用の返還はしない。
(3)通常業務費用は四半期毎に実績払いとする。
1)原則として被験者の来院回数に基づき算定する。
2)被験者1来院につき 18,000 円とし、来院確認票(書式 T-16)の提出を参考に来院回数を算定する。
3)来院確認票が発生しない場合(被験者が入院対象の治験等)は、別途協議する。
但し、この場合は、CRC通常業務費用算定票(書式 T-18)に必要事項を記入の上、治験責任(分担)医師及び CRC が署名又は記名押印する。また、センターは内容を確認の上、確認印を押し、四半期毎にまとめて治験依頼者に請求する。
a)来院確認票が発生しない場合の例
・被験者が入院対象の治験の場合は、検査スケジュール等を基に算定(1検査日を1回として算定)する。
・被験者が負担軽減費の受領を希望しない場合は、1来院につき1回として算定する。
・規定来院日の間隔が長く、原則として規定来院日以外の来院に対して負担軽減費が発生しない場合(例:継続試験で規定来院日は 12 週毎であるが、被験者の状態で4週毎に来院している場合等)は、1来院につき1回として算定する。なお、規定来院日については来院確認票にて算定する。
(4)管理費用(上記Ⅷ1.(2)、(3)の金額に各々20%を乗じるものとする。)
2.CRC の業務内容について
(1)事前に、三者(CRC・治験責任医師・治験依頼者)で打ち合わせを行い、CRC の業務内容を確認する。
(2)原則として、「治験コーディネーターの業務手順書」(別紙1)に示す業務を行う。
Ⅸ 契約から治験の実施まで
1.治験実施までに行う作業
(1)治験実施契約の締結後(医師主導の治験では病院長と合意を行った後)、治験責任医師は治験実施に先立ち、治験依頼者(又は、自ら治験を実施する者)、センター、治験薬管理者及び治験担当部門(医事課、臨床検査部、中央放射線部、看護部、薬剤部、臨床工学部、医療情報部等)と治験の実施方法について打ち合わせを行う。(事前検討会等)
(2)事前検討会の検討項目
1)治験実施計画の内容確認
2)被験者の登録方法
3)検査(臨床検査、放射線撮影等)の内容及び依頼方法
4)治験薬の処方オーダーの方法
5)治験薬の調剤・調製方法及び、払出方法・払出単位
6)併用禁止薬・同種同効薬に関する事項
7)同意に関する事項
8)被験者負担の軽減に係わる経費(負担軽減費)について
9)治験実施に係る経費の負担について
10)その他
Ⅹ 治験の実施から終了まで
1.被験者選定時の注意点
(1)同意の能力を欠く者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としない。
(2)社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合には、特に慎重な配慮を払う。
2.同意の取得
(1)被験者(代諾者)に治験への参加について文書による説明を行う。
(2)(1)において、盲目等で被験者(代諾者)が説明文書を読むことができない場合は、公正な立会人を立てる。
(3)被験者(代諾者)に委員会の承認印が押印された説明文書を交付し、十分に説明する。
(4)被験者(代諾者)に質問する機会を与え、当該質問に十分に答える。
(5)同意文書(別記様式第 6 号)の記載について
1)同意文書に必要事項を記載の上、自ら署名又は記名押印し、説明日を記入する。
2)被験者(代諾者)に、同意文書に署名や同意日を記入するように依頼する。
(6)同意に際して治験協力者が補足的な説明を行った場合には、同意文書に当該治験協力者も署名又は記名押印し、日付を記入する。
(7)同意取得時に公正な立会人を要した場合、当該立会人も署名又は記名押印し、日付を記入する。
(8)取得した同意文書の写しと説明文書を被験者(代諾者)へ治験開始前に交付する。
(9)緊急状況下における救命的治験において、被験者(代諾者)による同意取得が不可能な場合、治験実施後、可及的速やかに当該治験に関する説明を行い、同意文書により同意を得る。
3.治験薬(注射薬以外)の投与について
(1)同意取得後、同意文書の写しをセンターに提出し(同時は可とする)、治験管理システムに被験者登録がされてから治験薬(注射薬以外)を処方オーダーする。従って、同意取得後は速やかに提出する。
(2)但し、上記Ⅹ 2.(9)の場合はこの限りではない。
(3)事前検討会で打ち合わせた手順に従って、病院情報システム(以下「JUMP」という)より処方オーダーをする。
(4)JUMP より処方オーダーする場合の注意事項(外来・病棟共通) 1)「治験」のプロブレムを作成する。
2)保険種別で「治験」を選択する。
3)治験薬(注射薬以外)は原則としてJUMP より処方オーダーする。
4)その他の併用薬(注射薬以外)も JUMP より処方オーダーする。また、併用薬(注射薬以外)の費用は、処方オーダー時に「依頼者負担」あるいは「被験者保険」等のコメント入力で対応する。
5)治験薬(注射薬以外)は、原則として併用薬(注射薬以外)と分けてJUMP より処方オーダーする。
(5)被験者に治験薬の使用法の説明・指示を行い、服薬状況の確認その他治験を行うに際しての指示事項を正しく守っているかを確認する。
(6)使用済み治験薬及び未使用の治験薬(飲み残等)は、投薬した薬袋ごと被験者から回収し、速やかにセンター又は薬剤部に返却する。
(7)治験薬を紛失、破損又は廃棄した場合は、速やかにセンターに治験薬(紛失・破損・廃棄)届(書式 T-10)により報告する。
4.治験薬(注射薬)の投与について
(1)同意取得後、同意文書の写しをセンターに提出し(同時は可とする)、治験管理システムに被験者登録がされてから治験薬(注射薬)を処方オーダーする。従って、同意取得後は速やかに提出する。
(2)但し、上記Ⅹ 2.(9)の場合はこの限りではない。
(3)事前検討会で打ち合わせた手順に従って、処方オーダーをする。
(4)治験薬(注射薬)を処方オーダーする場合の注意事項(外来、JUMP より注射オーダーを行っている病棟)
1)「治験」のプロブレムを作成する。
2)保険種別で「治験」を選択する。
3)治験薬(注射薬)は原則としてJUMP より処方オーダーする。
4)その他の併用薬(注射薬)もJUMP より処方オーダーする。また、併用薬(注射薬)の費用は、併用禁止薬・同種同効薬一覧表を医事課に提出し、対応する。
(5)治験薬(注射薬)を請求する場合の注意事項(JUMP より注射オーダーを行っていない病棟
:ICU、NICU、CCU、PICU、救急)
1)治験薬(注射薬)を処方する場合は、治験薬名が印字された治験専用の注射処方箋又は注射指示表を使用する(関連部署と事前に打ち合わせる)。
2)併用薬(注射薬)を処方する場合は、通常の注射請求伝票を使用し、薬剤部に注射薬の請求をする。注射の指示は、注射指示表を使用する。また、併用薬(注射薬)の費用は、医事課に併用禁止薬・同種同効薬一覧表を提出し、対応する。
(6)被験者に治験薬の使用法等の説明を行い、治験を行うに際しての指示事項を正しく守っているかを確認する。
(7)未使用の治験薬及び空箱、空バイアル等は投与終了後速やかにセンター又は薬剤部に返却する。
(8)治験薬を紛失、破損又は廃棄した場合は、速やかにセンターに治験薬(紛失・破損・廃棄)届により報告する。
5.検査、画像診断等について
(1)検査、画像診断等を依頼する際は、JUMP から事前検討会で打ち合わせた手順に従いオーダーする。
(2)製造販売後臨床試験の場合は、必要に応じ保険種別を切り替えて対応する。
6.被験者に係る連絡票
(1)治験開始にあたって、治験(開始・終了)連絡票を医事課外来医事係あるいは医事課病棟医事係に提出する。
(2)入院患者の場合は、実施入院患者連絡票を医事課病棟医事係に提出する。
(3)治験の中止・終了等が生じた場合は速やかに治験(開始・終了)連絡票により医事課外来医事係あるいは医事課病棟医事係へ連絡する。
7.安全性情報等に関する報告書(書式 16)が提出された場合
(1)薬事法及び薬事法施行規則に規定する海外及び国内の他施設で発生した重篤な有害事象、有効性・安全性にかかる研究報告及び海外での措置報告(治験参加の可否について被験者の意思に影響を与えると認められる情報)を受領した場合
1)必要に応じて当該情報を被験者(代諾者)に伝え、治験への参加について、被験者(代諾者)の意思を確認する。その場合、当該情報が被験者(代諾者)に伝えられたことを診療録等に記録する。
2)必要に応じて説明文書の改訂、治験実施計画書の変更等を病院長に申請し、委員会の承認を得る。その手順は「ⅩⅡ治験実施中の変更・中止等」に従う。
3)改訂が承認された説明文書を用いて改めて安全性情報等を説明し、治験への参加の継続について被験者(代諾者)から自由意思による同意を同意文書で得る。この場合も、被験者(代諾者)に同意文書の写しと説明文書を交付する。
8.治験実施計画書からの逸脱、変更(事務的事項を除く)
(1)治験実施中は治験実施計画書から逸脱又は変更をしてはならない。但し、被験者の緊急の危険を回避するためのものであるなど医療上やむを得ない理由での逸脱である場合はこの限りではない。
(2)被験者の緊急の危険を回避するためなどの医療上やむを得ない理由により、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行った場合は、責任医師は次の事項を行う。
1)その逸脱又は変更の内容をすべて記録する。
2)その逸脱又は変更の内容及び理由を、企業主導の治験は治験依頼者及び病院長(病院長を経由して委員会)、医師主導の治験は病院長(病院長を経由して委員会)に緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書(書式 8 又は(医)書式 8)により直ちに報告し、その写しを保存する。
備考:(企業主導の治験)治験依頼者は、緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書の受理後、緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書(書式 9)を病院長(病院長を経由して委員会)に提出する。
3)病院長の指示・決定に従う。
4)(企業主導の治験)治験責任医師は、緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書の写しを病院長より入手する。
(3)被験者の緊急の危険を回避するためなどの医療上やむを得ない理由によらない、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行った場合は、責任医師は次の事項を行う。
1)その逸脱又は変更の内容をすべて記録する。
2)その逸脱又は変更の内容を治験実施計画書からの逸脱(緊急の危険回避の場合を除く)に関する報告書(書式 T-27)により病院長へ報告する。
10.治験を継続する場合
(1)治験期間が長期間(1 年以上)に渡る場合は、病院長に対して少なくとも年 1 回以上の割合で、治験実施状況報告書(書式 11)により、実施中の治験の現状における概要を報告し、継続の可否についての審査を受ける。
(2)その他、委員会の求めに応じて上記Ⅹ 10.(1)を行う。
ⅩⅠ 負担軽減費の取り扱い
1.負担軽減費の支払い金額及び対象者
(1)被験者が治験のために外来へ来院する毎に1回 7,000 円を負担軽減費として支給する。
(2)治験の実施上、外来被験者の入院が必要であると治験責任(分担)医師が認める場合は当該被験者に対しても入退院を1回として同様に支給する。
2.負担軽減費を支払う基準は以下の通りとする。
(1)治験のための同意取得、診察、投薬、検査等(治験中止後の追跡検査も含む)
(2)有害事象を治療するための来院
(3)上記ⅩⅠ 1.(2)に該当する入院
(4)その他、来院の理由が妥当と治験責任(分担)医師が認めた場合
3.負担軽減費の支払いに係わる治験責任(分担)医師の業務手順
(1)治験責任(分担)医師は、被験者が来院する毎に来院確認票に必要事項を記入し、署名又は記名押印する。
(2)上記ⅩⅠ 3.(1)の来院確認票に被験者の署名をもらう。
(3)来院確認票を専用ファイルケースに入れ被験者に渡す。被験者には会計窓口 5 番に提出するように伝える。
(4)(初回時のみ)治験責任(分担)医師は、被験者に負担軽減費の振込依頼書(書式 T-17)と返信用封筒を渡し、必要事項を記載後センターに返送するように説明する。
(5)診察日以外に被験者が来院した場合の手続き(前回分1枚、当日分1枚)
1)治験責任(分担)医師は、被験者が過去に来院した日付を確認し、前回の来院確認票に必要事項を記入すると共に署名又は記名押印する。
2)当日分の来院確認票に必要事項を記入し、署名又は記名押印する。
3)上記ⅩⅠ 3.(5) 1)、2)の来院確認票に被験者の署名をもらう。
4)来院確認票を専用ファイルケースに入れ被験者に渡す。被験者には会計窓口5番に提出するように伝える。
(6)入院時の場合
1)責任(分担)医師及び被験者が必要事項を記入した来院確認票は、責任(分担)医師が医事課病棟医事係に提出する。
ⅩⅡ 治験実施中の変更・中止等
1.変更に関して
(1)治験実施中は治験実施計画書から逸脱又は変更しないこと。但し、事務的事項(例えば、電話番号の変更)に関する変更は、この限りではない。
(2)契約事項(目標とする被験者数の変更、治験の期間の変更、治験分担医師の変更等)、その他治験実施計画書等を変更する場合は次の事項を行う。
1)(企業主導の治験)治験依頼者と協議を行う。
2)治験に関する変更申請書(書式 10 又は(医)書式 10)を提出する。
3)必要に応じて委員会に出席し、当該治験の変更等を説明する。
4)治験に関する指示・決定通知書の結果が「修正の上で承認」「保留」「既承認事項を取り消し」又は「却下」の場合は、「Ⅵ 委員会の審査から契約(又は合意)まで 3.審査結果受領後の作業」に準じる。
2.中止・中断に関して
(1)治験を中止又は中断した場合には、病院長に速やかにその旨を治験終了(中止・中断)報告書(書式 17)で詳細に報告する。
(2)上記ⅩⅡ 2.(1)の場合、その旨被験者に通知し、被験者に対する適切な治療、事後処理を行う。
ⅩⅢ 院内における有害事象の報告
1 . 定義
( 1 )重篤な有害事象とは次に挙げる症例等とし、治験薬との因果関係の有無は問わない。
1)死亡
2)死亡につながるおそれのある症例
3)入院又は入院期間の延長が必要とされる症例
4)障害
5)障害につながるおそれのある症例
6)上記Ⅷ 1 . ( 1 ) 1 )~ 5)に準じて重篤である症例
7)後世代における先天性の疾病又は異常( 先天性異常) のある症例
( 2 ) 非重篤な有害事象とは、上記Ⅷ 1 . ( 1 ) に掲げる重篤な有害事象の症例等以外とし、治験薬との因果関係の有無は問わない。
2 . 有害事象発生時の対応について
治験責任( 分担) 医師は、被験者に有害事象が生じ、治療が必要であると認めたときは、被験者に対して適切な治療を直ちに開始し、被験者の安全確保に全力を尽くす。また、この場合、被験者にその旨を伝えなければならない。
3 . 重篤な有害事象報告について
( 1 ) 治験
1)企業主導の場合
a) 治験責任医師は直ちに重篤な有害事象に関する報告書( 書式 12-1 又は書式 12-2 ) 等により病院長及び治験依頼者に報告する。なお、詳細内容が把握できない場合は書式 12 -1 のみを提出し、書式 12-2 は詳細内容が分かり次第、改めて提出する。
2)医師主導の場合
a)治験責任医師は直ちに重篤な有害事象に関する報告書((医)書式 12-1 又は(医)書式 12-2)等により、病院長へ報告するとともに、規制当局、治験薬提供者及び多施設で治験を実施している場合は、他施設の治験責任医師(治験調整医師へ委嘱している場合は治験調整医師) へ報告する。
b)詳細内容が把握できない場合は( 医)書式 12-1 のみを提出し、( 医)書式 12-2
は詳細内容が分かり次第、改めて提出する。ただし、重篤な有害事象報告書は、治験毎の所定の安全性様式で代替することができる。
c)規制当局への報告の対象、方法( 様式を含む) 及び報告期限は、薬事法施行規則及びその他の関連通知等の規定に従う。
( 2 ) 製造販売後臨床試験
責任医師は直ちに有害事象に関する報告書( 書式 13-1 又は書式 13-2) 等により病院長及び治験依頼者に報告する。なお、詳細内容が把握できない場合は書式 13-1
のみを提出し、書式 13-2 は詳細内容が分かり次第、改めて提出する。
4 . 非重篤な有害事象報告について
( 1 ) 治験
病院長及び治験依頼者への報告対象としない。
( 2 ) 製造販売後臨床試験
報告対象となる非重篤な有害事象であるか否か、各製造販売後臨床試験実施計画書に従い検討する。報告対象と判断した場合、責任医師は有害事象に関する報告書
( 書式 13-1 又は書式 13-2) 等により病院長及び治験依頼者に報告する。なお、詳細内容が把握できない場合は書式 13 -1 のみを提出し、書式 13-2 は詳細内容が分かり次第、改めて提出する。
5 . 治験審査委員会での説明について
治験責任医師は治験審査委員会からの要請があった場合、同委員会に出席して、有害事象の状況説明等を行う。
6 . 報告書提出後の手順
( 1 ) 病院長の指示に従う。
( 2 ) 上記ⅩⅢ 1 . 1)、2)に該当する重篤な有害事象の場合は病院長の指示に従い、必要に応じ当該治験を一時中止し、病院長の指示があるまで治験薬の投与及び新規患者の組み入れを停止する。
( 3 ) 当該治験の実施計画等を修正する場合は、医薬品及び医療機器の臨床試験の実施に関する規程第 6 条第 4 項を準用する。-
( 4 )当該治験が当院での承認取り消しになった場合は、その旨を被験者に通知し、被験者に対する適切な治療、事後処理を行う。
7 . 医療機器の治験の場合
( 1 ) 本手順書を準用する。
( 2 ) 不具合に関する報告を含む。
不具合とは、治験機器の具合が悪くなること( 品質不良、故障等) をいう。
( 3 ) 使用時に被験者及び医療従事者( 使用する施術者及び治験協力者等) 等に生じた好ましくない事象を含む。
( 4 ) 病院長及び治験依頼者へ報告する際に用いる書式を以下に示す。 1 )重篤な有害事象(機器等の不具合等も含む)の場合
a)治験
重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(書式 14 又は(医)書式 14) b)製造販売後臨床試験
有害事象及び不具合に関する報告書(書式 15 )
2 )非重篤な有害事象( 機器等の不具合等も含む) の場合 a)製造販売後臨床試験
有害事象及び不具合に関する報告書
ⅩⅣ 監査及びモニタリング
1.直接閲覧を伴う監査・モニタリング
(1)監査・モニタリングの準備
1)治験責任(分担)医師は、センター及び治験依頼者又は自ら治験を実施する者が本業務を委託した開発業務受託機関(以下「CRO」という。)と協議して、直接閲覧の日時の調整を図る。
2)センターから送付されたモニタリング・監査実施連絡票(書式 T-5)の写しをもとに、閲覧する原資料を確認する(必要に応じ)。
(2)閲覧当日
1)原資料を持参する。
2)治験責任(分担)医師は、直接閲覧を伴う監査・モニタリングに立ち会う。
3)治験責任(分担)医師は、モニタリング・監査担当者からの質問に答えなければならない。
(3)(企業主導の治験)治験責任医師はモニタリング・監査実施結果報告書(書式 T-8)の写しを受領し、必要に応じ改善措置を行う。
(4)(医師主導の治験)CRO から提示されたモニタリング報告書の内容を確認し、病院長に提出する。モニタリング・監査実施結果報告書((医)書式 T-8)の写し、治験審査結果通知書の写し及び治験に関する指示・決定通知書を受領し保管する。必要に応じ改善措置を行う。
2.直接閲覧を伴わないモニタリング
(1)治験責任医師及び治験依頼者(又は CRO)は事前に打ち合わせ、モニタリングの日時を決定する。但し、緊急時のモニタリング等やむを得ない場合には、この限りではない。
ⅩⅤ 治験終了後の作業
1.治験の記録を全て診療録に記載する。
2.治験を終了後、病院長にその旨及びその結果の概要を治験終了(中止・中断)報告書により報告する。
3.治験実施に係わる文書、記録を保存する。
4.症例報告書の作成
(1)治験の記録を全て症例報告書に記入する。
(2)症例報告書を治験実施計画書に従って作成し、署名(記名)・押印する。
(3)症例報告書中のデ-タは原資料と矛盾してはならない。矛盾がある場合にはその理 由 を 説明する記録を作成する。
(4)症例報告書を変更又は修正した場合は、その日付を記載して、これに押印し、又は署名をした上で、その記録を作成する。また、重大な変更又は修正についてはその説明を記載する。
(5)治験分担医師が症例報告書を作成した場合は、その内容を点検し、問題がないこと確認した上で署名(記名)・押印する。
(6)企業主導の治験において治験責任医師は治験依頼者に提出した症例報告書の写しを保存する。医師主導の治験においては自ら治験を実施する者が保存する。
ⅩⅥ その他(医師主導の治験の準備・管理に関する業務について)
1.自ら治験を実施する者による治験の準備に関する業務
(1)自ら治験を実施する者は、以下の専門的知識を有する者を確保し、実施体制を整える。
1)医師
2)歯科医師
3)薬剤師
4)治験に関する医学的な問題について適切な助言を行う医学専門家
5)治験の全過程(治験実施計画書、治験薬概要書等の作成・改訂、データの取り扱い、統計解析の実施、総括報告書の作成等)を通じて活用されるべき実施医療機関内部及び外部の専門家
(2)自ら治験を実施する者は、以下の手順書を作成する。また、手順書に基づく治験の品質保証及び品質管理に努める。
1)治験実施計画書の作成に関する手順書
2)症例報告書の作成に関する手順書
自ら治験を実施する者は、症例報告書の変更又は修正に関する手引きを提供すること。
3)治験薬概要書の作成に関する手順書
4)説明文書・同意文書の作成に関する手順書
5)被験者の健康被害補償に関する手順書
6)治験薬の管理に関する手順書
治験薬の受領、取り扱い、保管、管理、処方並びに未使用治験薬の被験者からの返却、及び自ら治験を実施する者による処分が、適切で確実に行われるよう規定すること。
7)安全性情報の取扱いに関する手順書
8)モニタリングに関する手順書
当該治験の関連施設における治験関連記録の直接閲覧を含む。
9)監査に関する計画書及び業務に関する手順書
当該治験の関連施設における治験関連記録の直接閲覧を含む。
10)多施設共同治験において治験調整医師又は治験調整委員会への業務の委嘱の手順書
11)効果安全性評価委員会(独立データモニタリング委員会)の審議に関する手順書
12)総括報告書作成に関する手順書
13)記録の保存に関する手順書
病院長並びに委員会に保存すべき記録について、保存の必要がなくなった場合には、その旨を通知することを含むこと。
14)その他治験が適正かつ円滑に行われることに確保するために必要とされる手順書
(3)自ら治験を実施する者は、当該被験薬の非臨床試験、その他必要な試験を終了していなければならない。また、その試験成績等を治験薬提供者から入手するにあたって契約を締結する。
(4)自ら治験を実施する者は、以下の事項を記載した治験実施計画書を作成する。また、治験実施にあたって重要な情報を知ったときは必要に応じ、改訂する。
1)自ら治験を実施する者の氏名、職名及び住所
2)治験実施の準備及び管理に係る業務の一部を委託する場合は、受託者の氏名、住所及びその業務範囲
3)治験実施に係る業務の一部を委託する場合は、受託者の氏名、住所及びその業務範囲
4)実施医療機関の名称及び所在地
5)治験の目的
6)治験薬の概要
7)治験薬提供者の氏名又は名称及び住所
8)治験の方法
9)被験者の選定に関する事項
10)原資料の閲覧に関する事項
11)記録(データ含む)の保存に関する事項
12)治験調整医師に委嘱した場合は、その氏名及び職名
13)治験調整委員会に委嘱した場合は、構成医師(歯科医師)の氏名及び職名
14)効果安全性評価委員会を設置した場合は、その旨
15)作成及び改訂の日付、版番号
16)その他
a)同意能力を欠く者に対して非治療的治験(薬物動態試験等)を実施する場合
・当該被験者を対象にしなければならないことの説明
・被験者への予測される不利益が最小限度のものであることの説明
b)事前に同意を得ることが困難な緊急状況下における救命的な治験を実施する場合
・生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として承認申請を予定していることの説明
・他の治療法では十分な効果が期待できない旨
・被験薬の使用で生命の危険が回避できる可能性が十分ある旨
・効果安全性評価委員会が設置されている旨
・治験開始後、速やかに被験者(代諾者)に説明を行い、文書同意を取得する旨
・この経過と結果を委員会に報告する旨
(5)自ら治験を実施する者は、以下の事項を記載した治験薬概要書を作成する。また、治験実施にあたって重要な情報を知ったときは必要に応じ、改訂する。
1)被験薬の化学名又は識別記号
2)品質、毒性、薬理作用その他被験薬に関する事項
3)臨床試験が実施されている場合は、その試験成績に関する事項
(6)自ら治験を実施する者は、治験実施の準備及び管理に係る業務の一部を委託する場合は、以下の事項を記載した文書により契約を締結する。
1)当該委託に係る業務の範囲
2)当該委託に係る業務の手順に関する事項
3)2)の手順に基づき業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを自ら治験を実施する者(病院長)が確認できる旨
4)当該受託者に対する指示に関する事項
5)4)の指示を行った場合、当該措置が講じられたかどうかを自ら治験を実施する者(病院長)が確認できる旨
6)当該受託者が自ら治験を実施する者(病院長)に対して行う報告に関する事項
7)当該委託する業務に係る被験者に対する補償措置に関する事項
8)その他当該委託に係る業務について必要な事項
(7)自ら治験を実施する者は、あらかじめ治験に係る被験者に生じた健康被害(受託者の業務により生じたものを含む)の補償のために、保険その他の必要な措置を講じる。
(8)自ら治験を実施する者は、「新規申請に関する手順書-新規申請から契約までの手順-」に規定する文書を事前に病院長に提出し、承認を得る。
(9)自ら治験を実施する者は、あらかじめ、厚生労働省令に定めるところにより、厚生労働大臣
に治験の計画を届出なければならない。また、当該届出に係る事項を変更、治験中止若しくは終了したときは、その内容及び理由等を厚生労働大臣に届出なければならない。当該届出は、治験調整医師(治験調整委員会)に委嘱することができる。
2.自ら治験を実施する者による治験の管理に関する業務
(1)自ら治験を実施する者は、自ら治験薬を製造しない場合、治験薬提供者より治験薬GMPに適合した治験薬を用いて治験を実施する。その場合、治験薬の品質確保及び入手時期・入手方法等について、治験薬提供者との間で文書等で取り決める。
1)治験薬の容器又は被包に以下の事項を記載する。 a)治験用である旨
b)自ら治験を実施する者の氏名、職名及び住所 c)化学名又は識別記号
d)製造番号又は製造記号 e)貯蔵方法、有効期間等
2)治験薬に添付する文書、その治験薬又はその容器若しくは被包(内包含む)に以下の事項を記載してはならない。
a)予定される販売名
b)予定される効能又は効果 c)予定される用法又は用量
3)盲検下の治験の場合、緊急時に治験分担医師が被験薬及び対照薬の識別できるように、また盲検が破られたことを検知できるように必要な措置を講じる。
4)治験薬の輸送及び保存中の汚染や劣化防止のため、必要な措置を講じる。
5)治験薬に関する以下の記録を作成又は入手する。
a)治験薬の製造(製造年月日、製造方法、製造数量等)及び品質(安定性等)に関する記録 b)治験薬を入手した(提供を受けた)場合、その数量及びその年月日の記録
c)治験薬の処分の記録
6)治験の実施の承認後遅延なく、治験薬の管理に関する手順書を作成し、病院長に交付する。また、必要に応じ、治験薬の取扱方法を説明した文書を治験分担医師、治験協力者、治験薬管理者等に交付する。
7)厚生労働大臣に治験計画の届出が受理されるまで、治験薬の提供を受けてはならない。ただし、平成 15 年 5 月 15 日付医薬発第 0515017 号「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律の一部の施行について」の記のⅢの(2)のイの薬物にあっては、治験計画の届出後 30 日を経過した後でなければならない。
(2)自ら治験を実施する者は、多施設共同で治験を実施する場合には、各医療機関の間で治験の品質においてばらつきが生じないように、当該治験実施計画書(全ての治験責任医師が合意し各医療機関の長が承認したもの)の解釈及びその他の治験の細目について調整する業務
(治験計画の届出、副作用等の報告、モニタリング、監査、治験薬の管理方法、記録の保存等)を治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱することができる。その際、その業務の範囲、手順その他必要な事項を記載した文書を作成する。
※治験調整医師又は治験調整委員会は、当該治験の分野において十分な経験を有し、各医療機関の調整を適切に行いうる者であり、必ずしも治験責任医師に限らない。
(3)自ら治験を実施する者は、効果安全性評価委員会を設置することができる。その場合、効果
安全性評価委員会の審議に関する手順書を作成し、審議を行った時はその記録を作成し保存する。
※効果安全性評価委員会とは、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適切な間隔で評価し、治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議するものであり、自ら治験を実施する者、治験責任医師等、治験調整医師、委員会の委員、治験薬提供者及び病院長は、その委員になることはできない。
(4)自ら治験を実施する者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適
正に行うために必要な情報を継続的に収集・評価し、病院長に提供すする。また、必要に応じ、治験実施計画書及び治験薬概要書を改訂する(XⅥ 1.(4)(5)準用)。
(5)自ら治験を実施する者は、被験薬について法で規定する重篤な有害事象、有効性・安全性に係る研究報告、及び外国に置ける措置を知ったときは、直ちにその旨を病院長(多施設共同治験の場合、他の実施医療機関の治験責任医師を含む。)、治験薬提供者及び規制当局に報告しなければならない。また、規制当局への副作用報告期間は、原則、治験計画届書の初回提出日から、終了届書又は中止届書あるいは開発中止届書を提出するまでの期間とする。ただし、終了届書又は中止届書を提出した後、当該成分における承認申請が引き続き行なわれる場合は、承認を取得するまであるいは開発中止届書を提出するまでとする。
(6)自ら治験を実施する者は、被験者の人権、安全及び福祉が保護されていること、治験が GCP及び最新の治験実施計画書を遵守して実施されていること、及び治験責任医師等から報告された治験データ等が正確かつ完全で、原資料等の治験関連記録に照らして検証できることを確認するため、当該治験のモニタリングに関する手順書を作成し、委員会の意見を踏まえて、当該手順書に従いモニタリングを実施する。また、モニタリングは、実施医療機関において実地に行わなければならない。ただし、他の方法で十分にモニタリングできる場合はこの限りではない。
(7)自ら治験を実施する者は、モニタリングの実施に必要な科学的及び臨床的知識を有し、かつ当該治験に従事していない者をモニターとして指定する。
(8)モニタリングに関する手順書には、モニターを選定するための手続き(モニターの要件を含む。)、当該治験においてモニタリングを行わせるモニターの氏名、モニタリングの具体的な方法、モニタリング報告書の取扱い等が含まれていなければならない。
(9)モニターは、モニタリングを実施したときは、その都度以下の事項を記載したモニタリング報告書を自ら治験を実施する者及び病院長に提出する。
1)モニタリングを行った日時、場所
2)モニターの氏名
3)モニタリングの際に説明等を聴取した自ら治験を実施する者等(治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者等)の氏名
4)モニターが点検した内容の要約及び重要な発見事項あるいは事実、逸脱及び欠陥、結論
5)治験責任医師等に告げた事項並びに講じられるべき措置及びモニターの見解
(10)自ら治験を実施する者は、モニタリング報告書に関して点検とフォローアップを行う。
(11)自ら治験を実施する者は、当該治験の監査に関する計画書及び業務に関する手順書(監査担当者の要件等)を作成し、委員会の意見を踏まえて、当該計画書及び手順書に従って、監査を実施する。
(12)自ら治験を実施する者は、教育・訓練と経験により監査を適切に行いうる要件を満たしている者を監査担当者として指名する。監査担当者は、当該治験の実施(その準備及び管理を含む。)及びモニタリングに従事してはならない。
(13)監査担当者は、監査を実施した場合は、監査報告書及び監査証明書を作成し、これを自ら治験を実施する者及び病院長に提出しなければならない。監査報告書には、監査担当者が記名押印又は署名の上、報告書作成日、被監査部門名、監査の対象、監査実施日、監査結果(必要な場合には改善提案を含む)及び当該報告書の提出先が記載されていなければならない。
(14)自ら治験を実施する者は、実施医療機関が GCP 又は治験実施計画書に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(GCP 第 46 条に規定される場合を除く。)には、当該実施医療機関における治験を中止しなければならない。
(15)自ら治験を実施する者は、治験を中断又は中止(開発中止も含む。)する場合には、速やかにその旨及びその理由を病院長に治験(中止・中断)報告書((医)書式 17)により報告する。なお、その場合、自ら治験を実施する者は規制当局に速やかに報告する。
(16)自ら治験を実施する者は、治験を終了又は中止したときは、手順書に従って総括報告書を作成する。総括報告書は、「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」等に従い作成することとするが、多施設共同治験にあっては、各治験責任医師が共同で作成することができる。
(17)自ら治験を実施する者は、総括報告書を規制当局の求めに応じて提出できるよう保存しておかなければならない。また、総括報告書には、当該治験に係る監査証明書を添付して保存しなければならない。
(18)自ら治験を実施する者は、以下に掲げる記録(文書及びデータを含む。)を保存する。
1)治験実施計画書、承認書、総括報告書その他 GCP の規定により自ら治験を実施する者が作成した文書又はその写し
2)症例報告書、委員会の意見に基づき病院長より通知された文書、その他 GCP の規定により病院長又は治験分担医師から入手した記録
3)モニタリング、監査その他の治験の実施の準備及び管理に係る業務の記録(1)2)5)に掲げる
ものを除く。)
4)治験を行うことにより得られたデータ
5)GCP に規定する治験薬に関する製造、品質、交付及び処分に関する記録
(19)自ら治験を実施する者は、(18)の記録を以下の 1)、2)、3)の日のうちいずれか遅い日まで保存する。また、保存の必要がなくなった場合は、その旨を病院長に通知する。
1)当該治験薬が製造販売の承認を受けた日
2)当該治験の中止又は終了後3年を経過した日
3)当該治験薬の開発中止が決定された日から3年が経過した日
(20)治験薬が製造販売承認された場合、自ら治験を実施する者は、(18)の記録を以下の 1)又は 2)の日のうちいずれか遅い日まで保存する。また、保存の必要がなくなった場合は、その旨を病院長に通知する。
1)当該被験薬に係る製造販売承認日から5年が経過した日(申請書に添付されないことを知り得た場合にはその旨の通知がされた日から3年が経過した日)。ただし、薬事法の規定により承認後の再審査を受けなければならない医薬品で、かつ再審査が終了するまでの期間が5年を超えるものについては、再審査が終了する日
2)治験の中止または終了後3年が経過した日
(21)自ら治験を実施する者は、当該記録の保存について病院長にその業務を依頼することができるものとする。また、多施設共同治験の場合は、自ら治験を実施する者の責任において、自ら治験を実施する者が指定する適切な者に保存業務を依頼することができるものとする。
ⅩⅦ 施行期日
本手順書は、平成 10 年8月 12 日から施行する。改訂2版:平成 12 年9月1日
改訂3版:平成 13 年5月2日
改訂4版:平成 17 年4月1日
改訂5版:平成 19 年4月1日改訂6版:2010 年 6 月 24 日