『研究開発型スタートアップと事業会社のオープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver1.0』について
『研究開発型スタートアップと事業会社のオープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver1.0』について
経済産業省・特許庁
オープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver1.0
• オープンイノベーションの阻害要因の一つとして、大企業等の事業会社と共同研究開発等を行う、ス タートアップの技術取引契約における法務面の理解不足が挙げられる。
契約種別 | 問題事例 | モデル契約書の解決提案 |
秘密保持契約 | ・自社の重要資料を取引先が他社に開示 ・秘密保持期間が短いなど、大企業だけに一方的に有利な条項 | ・開示範囲を契約の目的に照らして限定する ・契約終了後も一定期間の秘密保持義務を課す |
PoC契約 (技術検証) | ・追加作業を求められるも、契約書が提示されず、対価もなし ・PoC後の契約をほのめかされて、無償のPoCを続けるも、その後の契約なし | ・PoCとして実施する作業とその対価を明確化 ・共同R&Dに進むことの努力義務を慫慂 |
共同研究契約 | ・自社ノウハウによって生まれた発明であっても、その権利が相手側(大企業)に帰属する ・製品試作に関連する特許を無断で特許出願された | ・研究成果の知財はスタートアップ帰属、事業会社の関心事業領域は期間を限定して独占的ライセンス ・研究の過程で発明を取得した場合の相手方への通知義務 |
ライセンス契約 | ・製造や販売に関して、不利益を被るような独占契約を結ぶように何度も迫られた ・ライセンスの無償提供を求められた | ・期間や地域を限定してライセンスを許諾 ・イニシャルフィー、ランニングロイヤリティ等の複数の対価設定によりリスクを極小化 |
• 本契約書は、契約交渉で論点となるポイントを明確にしつつ、公取のスタートアップ実態調査の中間 報告で明らかになった問題事例に対する具体的な対応策を示したもの。
特許庁
1
• 委員7名で令和元年度から検討を開始して、現在までに6回の委員会を開催。
• 中間報告で明らかになった問題事例への対応として新素材をケースとしたモデル契約書を作成。
• 今後は実態調査等を踏まえ、AI開発等をケースとしたモデル契約書等を検討予定。
森・xxxx法律事務所 パートナー
xx xx
属性 所属 氏名
法律事務所
内田・xx法律事務所 代表パートナー
xx xx
大学/TLO
東京大学TLO 取締役
xx xx
オープンイノベーション
プラットフォーマー
eiicon company 代表/founder
xx xxx
スタートアップ
ピクシーダストテクノロジーズ 代表取締役COO
xx xxx
大企業
アステラス製薬 CVC プレジデント
xx xx
大企業コンサル
アクセンチュア シニア・プリンシパル
アクセンチュアベンチャーズ日本副統括
xxx x
2
モデル契約書の想定シーン(秘密保持契約)
1. 樹脂に添加可能な放熱に関する新素材を開発した大学発スタートアップX社は、樹脂の放熱性能を金属並みに引き上げることに成功した。当該素材は、特殊な表面処理がなされており、表面処理を調整することで様々な樹脂への添加が可能であることから、多種多様な製品用途に活用できる技術であり、実際に多様な業種の企業が関心を示している。
2. 今般、自動車部品メーカーY社から声が掛かり、自動車の部材に関する共同研究を前提とした技術情報(当該素材に関する非公開の物性値、表面処理に関する情報)の開示等を求められた。
3. X社として、Y社との取引で目指していることは以下のとおり。
① 研究領域はY社のマーケットシェアが高いヘッドライトカバーに当該素材を用いることの共同研究としたい。
② X社はY社と共同研究フェーズへ進んで、当該事実を公表して自社の技術力の確かさをPRする材料にしたい。
③ できれば早期に(2か月以内)PoCまたは共同研究に進みたい。
4. X社の現状は次のとおり。
① 専任の法務・知財担当はなく、また知見も乏しい(外部の弁護士、弁理士任せ)。
② コア技術は特許出願済み(当該素材そのものおよび当該素材が添加された樹脂組成物をカバーする特許出願)。ただし、ヘッドライトカバー用などの特定の製品を対象とした用途特許の出願はしていない。
③ X社は、当該素材の製造方法、表面処理、一般的な樹脂への好適な添加量等に関するノウハウを所持している。ノウハウは一部管理できているが、多くはCEOの頭の中にある。
X社
(大学発スタートアップ)
樹脂に織り交ぜ可能な放熱に関する素材を開発
Y社
(自動車部品メーカー)
秘密情報
◼ 共同研究の事実をPRしたい
◼ 専任の法務・知財担当はなし
◼ コア技術のみ特許出願済み
(自動車の部材に関する共同研究を前提としたノウハウ)
特許庁HPより加工(タームシート): xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/0000/00/00000000000/00000000000.xxxx 3
モデル契約書タームシート(秘密保持契約)
項目 | 内容 | モデル契約書において対応する条項 |
当事者 | X社(甲) | |
Y社(乙) | ||
目的 | 甲が開発した放熱特性を有する新規素材αを自動車用ヘッドライトカバーに用いた新製品の開発を行うか否かを甲乙共同で検討するため | 前文 |
秘密情報 | 無限定(※オプション1を採用と想定) | 第1条第1項 |
義務 | 秘密保持(複製物含む) | 第2条第1項ないし第3項、第4条 |
公表 | 相手方の事前承諾なく下記を公表可能 ⮚ 甲乙間で、甲が開発した放熱特性を有する新規素材αを用いた共同研究の検討が開始された事実 | 第2条第6項 |
禁止 | 目的外使用、リバース・エンジニアリング | 第3条、第5条 |
次の契約締結 | PoC又は共同研究開発契約の締結に向けて最大限努力。乙は、同契約を締結するか否かを、本契約締結後2か月を目処に通知 | 第7条 |
損害賠償 | 制限無し | 第8条 |
有効期間 | 契約期間:1年間 契約期間中に開示された秘密情報:本契約終了後も3年間保護 | 第10条 |
準拠法 | 日本法 | 第11条 |
裁判管轄 | ●地方裁判所 | 第11条 |
その他 | 秘密情報の返還・廃棄、差止め、協議事項 | 第6条、第9条、第12条 |
特許庁HPより加工(タームシート): xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/0000/00/00000000000/00000000000.xxxx 4
モデル契約書の想定シーン(PoC契約)
1. X社が、秘密保持契約を締結後、Y社に対し、当該素材の技術情報(当該素材に関する非公開の物性値、表面処理に関する情報)に関する資料を開示等するとともに説明を行った。
2. Y社の開発担当者としては、当該素材を用いた製品開発を進めたい意向であったが、今期の予算が限られていること、来期の開発予算獲得のために社内の説明資料が必要であるとして、まずは技術検証(以下「PoC」という。)を行いたいと伝えてきた。
3. X社とY社は、協議の結果、当該PoCを以下のとおり進めることを合意した。
① Y社は、X社に対し、ヘッドライトカバーの使用環境に関するデータを開示等する。
② X社は、外部の第三者を用いて、ヘッドライトカバーの材料であるポリカーボネート樹脂に当該素材を添加して成形することにより試験片(サンプル)を作成し、試験片の性能および耐久性に関する簡易検査(ヘッドライトカバーの使用環境を模した環境での性能および耐久性試験)を行い、当該検査結果を契約締結から3週間以内にレポートにまとめる。
③ Y社は、X社に対し、上記作業の対価として●円を支払う。
➃ Y社は、上記検査結果受領後、2ヶ月以内にX社との共同研究開発に移行するかを決定する。
X社
(大学発スタートアップ)
樹脂に織り交ぜ可能な放熱に関する素材を開発
Y社
(自動車部品メーカー)
ヘッドライトカバーの使用環境に関するデータを開示・委託料の支払い素材の性能および耐久性に関する簡易検査結果のレポートを提出
共同研究開発へ移行するかの通知
◼ 今期の予算が限られている
◼ 来期の開発予算獲得のために社内の説明資料が必要
特許庁HPより加工(タームシート): xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/0000/00/00000000000/00000000000.xxxx 5
モデル契約書タームシート(PoC契約)1
項目 | 内容 | モデル契約書において対応する条項 |
当事者 | X社(甲) | |
Y社(乙) | ||
目的 | 下記対象技術の対象用途への技術導入・適用に関する検証対象技術:甲の開発した放熱特性を有する新規素材α 対象用途:対象技術を自動車用ヘッドライトカバーに用いた新製品の開 発(甲と乙の共同での開発行為に限定) | 第1条 |
業務委託 | 乙から甲に下記業務を委託 ⮚ 「目的」に定める甲の技術導入・適用検証(本検証)実施 ⮚ 具体的な作業内容は別紙にて記載 | 第2条第1項別紙、第3条第1項 |
成果物 | 報告書(契約締結後3週間以内に提出) | 第3条第2項ないし第5項 |
委託料 | ●円(税別) | 第4条 |
支払日 | 本契約締結後10営業日以内 | 第4条 |
甲の義務 | 善管注意義務、成果・結果の不保証 | 第5条 |
乙の義務 | 協力義務 | 第7条 |
次の契約締結 | 共同研究開発契約の締結に向けて最大限努力。乙は、同契約を締結するか否かを報告書の確認完了日から2か月以内に通知 | 第6条 |
秘密保持 | 従前の秘密保持契約を上書き ⮚ 秘密情報:無限定 ⮚ 公表可能:検証開始の事実 ⮚ 存続期間:本契約終了後も5年間存続 | 第8条 |
知的財産権 | 検証遂行(含、報告書作成)に伴い生じた知的財産権 ⮚ 甲に帰属 ⮚ 乙に対し本目的に必要な範囲で許諾 | 第9条 |
特許庁HPより加工(タームシート): xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/0000/00/00000000000/00000000000.xxxx 6
モデル契約書タームシート(PoC契約)2
項目 | 内容 | モデル契約書において対応する条項 |
損害賠償 | 甲が乙に対して負担する上限:本契約の委託料(除、故意・重過失の場合) | 第10条 |
有効期間 | 契約締結日から6ヶ月又は報告書の乙による確認完了日のいずれか早い日まで | 第12条 |
準拠法 | 日本法 | 第14条 |
裁判管轄 | ●地方裁判所 | 第14条 |
その他 | 解除、存続条項、協議、権利義務譲渡禁止 | 第11条、第13条、第15条、オプション条項 |
特許庁HPより加工(タームシート): xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/0000/00/00000000000/00000000000.xxxx 7
モデル契約書の想定シーン(共同研究契約)
1. Y社は、X社から本素材の性能および耐久性に関する検証レポートを受領した後、社内検討を行い、正式にX社との共同研究開発を行うことが決定した。
2. 契約交渉においては、双方の意向として、以下の点が挙げられた。
① X社としては、資金調達の観点からもY社との共同研究開発を開始した時点、および、一定の成果が出た時点で、それぞれ公表したい。
② Y社としては、研究開発の結果生まれた成果物にかかる知的財産権は自社の帰属としたい。
③ 他方、X社としても、(1)上場審査やM&Aに先立つデューデリジェンスにおいてマイナス評価を受けないために、また、(2)自由度を確保して多数の企業とのアライアンスを実施し市場を拡大して売上を増加させるために、研究開発の結果生まれた成果物にかかる知的財産権は自社の単独帰属としたい。ただし、その場合であってもY社による成果物利用の用途を限定して、当該用途以外の成果物の他社への展開が阻害されない形であれば、当該用途においては成果物をY社のみが使用できるようにすることはやむを得ないと考えている。
➃ 協議の結果、単独発明による成果物にかかる知的財産権は当該発明を行った当事者に単独帰属、共同研究開発の成果物にかかる知的財産権はX
社に単独帰属させた上で、Y社に対して、一定期間・一定の領域において独占権を認める無償の通常実施権を設定することとした。
⑤ 研究開発の進め方としては、次のとおりとする。X社が技術者をY社に派遣し、X社およびY社の技術者が共同でY社の設備を用いて、本素材をポリカーボネート樹脂組成物(量産品を念頭においた組成物)に配合し、ヘッドライトカバーの試作品を作成する。X社の技術者の立会いのもと、Y社は当該試作品について、性能検査や耐久試験を行う。そして、性能検査や耐久試験の結果をもとに、X社は、当該素材の表面処理を調整し、再度、ポリカーボネート樹脂組成物への配合、試作品の製造、検査を行う。
⑥ 試作品が製品としての目処がついた時点で、Y社は量産化のための原料の調達、量産ラインの準備等の作業を行う。
3. 上記については、両社特段異論はなかったが、最大の争点は研究費の負担や研究成果に対する報酬の有無および支払条件であった。X社としては、共同研究開発の成果としての知的財産権について一定期間・一定の領域で無償独占的通常実施権を設定するのであれば、Y社が当該共同研究開発にかかる実費や人件費に加えて、事業化に至る前段階で、研究成果に対する報酬も支払ってもらいたいと主張した。
4. これに対し、Y社としては、最終的に共同研究開発の成果を事業化した場合は何らかの報酬は払うこととするが、事業化に至る前段階の共同研究開発フェーズにおいては実費および人件費のみの支払いとしたいとの意向を伝えてきた。
5. 協議の結果、実費および人件費については、Y社が負担することとした。一方、研究成果に対する報酬については、研究成果が出てから事業化に至るまでに、Y社内での協議検討や商流の調整等で相当程度の時間を要する反面、事業化に至った場合にどの程度の収益が上がるか不透明な状況であった。そこで、研究成果に対する報酬については、事業化に至る前であっても、研究成果が出た時点で頭金として相当価格を支払うこととし、その後についても、商品販売までの ロードマップを策定し、その過程にメルクマールを設定し、各時点において研究成果への対価を支払うことを取り決めた。
X社
(大学発スタートアップ)
樹脂に織り交ぜ可能な放熱に関する素材を開発
Y社
(自動車部品メーカー)
X社が技術者をY社に派遣し、X社及びY社の技術者が共同でY社の設備を用いて試作品を作成
• 研究費用の支払い
• ヘッドライトカバー用の樹脂を提供
• 試作品の性能検査や耐久試験
• 量産化のための原料の調達、量産ラインの準備等 8
特許庁HPより加工(タームシート): xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/0000/00/00000000000/00000000000.xxxx
モデル契約書タームシート(共同研究契約)1
項目 | 内容 | モデル契約書において対応する条項 |
当事者 | X社(甲) | |
Y社(乙) | ||
目的 | 【研究テーマ】 甲が開発した技術を適用した、窒化アルミニウムを主体とする高熱伝導性を有するウイスカ―及び当該ウイスカーを配合した樹脂組成物を成形してなるヘッドライトカバー(本製品)の開発 【研究の目的】 本製品の開発・製品化 | 第1条 |
役割分担 | 甲の担当:技術者の派遣、本素材の表面処理の調整・配合量の検討、特性評価への立会い 乙の担当:本製品の設計、製作、特性評価 | 第3条 |
スケジュール | 本契約締結後速やかに決定 | 第4条 |
経費負担 | 乙 | 第5条 |
情報開示 | 以下を互いに開示 ⮚ 本契約締結日に各自が所有し、本研究に必要なものとして特定した情報(バックグラウンド情報) ⮚ 各自の担当業務から得られた技術的情報 | 第6条 |
知的財産権の帰属 | ①本研究の過程で各当事者が独自開発した発明(本単独発明) :当該当事者に帰属 ②本研究の過程で生じた発明のうち①以外のもの(本発明) :甲に帰属 甲に倒産リスクが生じた場合、乙は無償譲渡を請求可 | 第7条第1項、第7条第6項 |
特許庁HPより加工(タームシート): xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/0000/00/00000000000/00000000000.xxxx 9
モデル契約書タームシート(共同研究契約)2
項目 | 内容 | モデル契約書において対応する条項 |
バックグラウンド知的財産権のライセンス | 甲は乙に本研究の開始前から保有する特許権をライセンス ⮚ ライセンスの対象:本製品の設計・製造・販売行為 ⮚ ライセンスの種類:非独占的通常実施権 ⮚ サブライセンス:不可。但し、[グループ会社名等]に対するサブライセンスは可 ⮚ ライセンス料:本製品の正味販売価格の●%(外税) ⮚ 地理的範囲:全世界 ⮚ 期間:●年 60日前に非更新の通知がない場合、1年間の自動更新 | 第7条第2項 |
本発明に係る知的財産権のライセンス | 甲は乙に本発明に係る知的財産権をライセンス ⮚ ライセンスの対象:本製品の設計・製造・販売 ⮚ ライセンスの種類:本契約締結後●年間は独占的通常実施権 (期間満了前でも1年間不実施で非独占的通常実施権に移行)、その後は非独占的通常実施権 ⮚ サブライセンス:不可。但し、[グループ会社名等]に対するサブライセンスは可 ⮚ ライセンス料:無償 ⮚ 地理的範囲:全世界 ⮚ ライセンス期間:●年(独占的通常実施権)、その後は非独占的 通常実施権 | 第7条第7項 |
第三者の権利侵害 | ライセンサー(甲) ⮚ 非保証 ライセンシー(乙) ⮚ 第三者よりクレームがあった場合の通知義務 ⮚ 本特許権の被侵害の発見時の通知義務 | 第9条 |
特許庁HPより加工(タームシート): xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/0000/00/00000000000/00000000000.xxxx 10
モデル契約書タームシート(共同研究契約)3
項目 | 内容 | モデル契約書において対応する条項 |
対価 | ① 本製品が別紙所定の性能を達成した時: ●円 ② 本製品を用いたヘッドライトの試作品の完成時:甲乙別途協議した額(最低額:●円) ③ 本研究の成果を利用した商品の販売開始時: 甲乙別途協議した額(最低額:●円) | 第10条 |
秘密保持 | 従前のPoC契約における秘密保持条項を上書き ⮚ 秘密情報:無限定 ⮚ 存続期間:本契約終了後も5年間存続 | 第11条 |
公表 | 本研究開始の事実は別紙に定める内容を相手方の事前承諾なしに公表可能 本研究の成果を公表可能(公表内容・方法は別途協議) | 第12条 |
競業避止 | 本製品と同一または類似の製品の開発の禁止 | 第13条 |
第三者との係争 | 双方協力して解決(費用は有過失の当事者が負担) | 第14条 |
損害賠償 | 制限無し | 第19条 |
有効期間 | 契約期間:1年間 60日前に非更新の通知がない場合、1年間の自動更新 合理的理由なき更新拒絶の禁止 | 第17条 |
準拠法 | 日本法 | 第21条 |
裁判管轄 | ●地方裁判所 | 第21条 |
その他 | ライセンス料の不返還、権利義務譲渡の禁止、解除(不争義務あり)、 存続条項、通知、協議解決 | 第8条、第15条、第16条、第18条、第 20条、第22条 |
特許庁HPより加工(タームシート): xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/0000/00/00000000000/00000000000.xxxx 11
モデル契約書の想定シーン(ライセンス契約)
1. X社とY社の共同研究開発は順調に進み、研究成果として、樹脂に対して本素材を特定量配合してなる透明性樹脂組成物、その成形体およびそれからなるライトカバーについて、共同研究契約に基づきX社単独名義で特許出願がなされた。
2. 本素材を用いた樹脂により形成されるヘッドライトカバーの量産化の目処もついたことから、X社からY社に対するライセンスの内容や事業化後の両社の権利関係を協議することとなった。
3. 共同研究開発の結果、Y社においては、当初想定していた製品(ポリカーボネート樹脂組成物からなるヘッドライトカバー。以 下「当初製品」という。)以外の製品(アクリル系樹脂組成物からなるテールランプカバー。以下「応用製品」という。)にも研究成果を活用できると考えたため、Y社は、X社に対し、応用製品についても研究成果の利用許諾を得たいと考えるに至り、本ライセンス契約を締結することとした。
4. ライセンスの条件の概要は以下のとおりである。
① バックグラウンド技術のライセンスは、共同研究開発契約において当初製品について定めたものと同様に、非独占的通常実施権により行うこと。
② 研究成果は汎用性が高く、X社の利用の自由度を確保しておくため、応用製品については、非独占的通常実施権を設定すること。
③ X社は、本素材の技術力をブランディングするために取得した登録商標「XXX」を、ヘッドライトカバーとテールランプカバーのPRに使用してもらうことを希望し、Y社もこの点を了承していること。
X社
(大学発スタートアップ)
樹脂に織り交ぜ可能な放熱に関する素材を開発
• 研究成果の応用製品へのライセンス(非独占的通常実施権)
• 登録商標「XXX」の使用
• ライセンス料の支払い(イニシャル+ランニング)
Y社
(自動車部品メーカー)
特許庁HPより加工(タームシート): xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/0000/00/00000000000/00000000000.xxxx 12
モデル契約書タームシート(ライセンス契約)1
項目 | 内容 | モデル契約書において対応する条項 |
当事者 | ライセンサー:X社(甲) | |
ライセンシー:Y社(乙) | ||
用語 | 本製品1:ヘッドライトカバー(当初製品)本製品2:テールランプカバー(応用製品)本特許権:共同研究成果にかかる特許権 本バックグラウンド特許権:バックグラウンドIPにかかる特許 | 第1条 |
本製品1のラ イセンス | 共同研究開発契約でライセンス済 | 第2条第1項・第2項 |
本製品2のライセンス | 甲は乙に対し、本特許権及び本バックグラウンド特許権をライセンス ⮚ ライセンスの対象:本製品2の設計・製造・販売 ⮚ ライセンスの種類:非独占的通常実施権 ⮚ サブライセンス:不可。但し、[グループ会社名等]に対するサブライセンスは可 ⮚ ライセンス料:有償 ① イニシャルフィー:●円 ② ランニングロイヤルティ:本契約の期間中に乙の販売するすべての本製品 2の正味販売価格の●% ⮚ 地理的範囲:全世界 ⮚ ライセンス期間:本契約の期間中または各権利の存続期間のいずれか早い ほう | 第2条第3項、第4条 |
商標ライセンス | 乙は甲の本商標を本製品に付す(努力義務) 甲は、乙に、本商標の非独占的通常使用権を無償で付与 | 第2条第5項 |
特許庁HPより加工(タームシート): xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/0000/00/00000000000/00000000000.xxxx 13
モデル契約書タームシート(ライセンス契約)2
項目 | 内容 | モデル契約書において対応する条項 |
改良技術 | ライセンサー(甲)による改良 ⮚ 通知義務無し、乙が要求した場合は開示義務あり ⮚ 乙に非独占的権利を許諾、無償ライセンシー(乙)による改良 ⮚ 通知義務あり、開示義務あり ⮚ 甲に非独占的権利を許諾、無償外国出願の取り扱い ⮚ ライセンシー(乙)が特定の国への出願を希望した場合、ライセン サー(甲)に対し、事前に出願内容を開示 | 第7条 |
第三者の権利侵害 | ライセンサー(甲) ⮚ 非保証 ライセンシー(乙) ⮚ 第三者よりクレームがあった場合の通知義務 ⮚ 本特許権の被侵害の発見時の通知義務 | 第9条 |
秘密保持 | 従前の共同研究開発契約における秘密保持条項を上書き ⮚ 秘密情報:無限定 ⮚ 存続期間:本契約終了後も5年間存続 | 第10条 |
期間 | 契約期間:●年間 60日前に非更新の通知がない場合、1年間の自動更新 | 第11条 |
契約終了後 | 乙は本製品の在庫を甲への引き渡す又は廃棄する | 第13条 |
損害賠償 | 制限無し | 第14条 |
準拠法 | 日本法 | 第16条 |
裁判管轄 | ●地方裁判所 | 第16条 |
その他 | 監査、ライセンス料の不返還、商標利用時の信用失墜行為の禁止、解 除(不争義務あり)、存続条項、協議解決 | 第5条、第6条、第8条第3項、第12条、 第15条、第17条 |
特許庁HPより加工(タームシート): xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/0000/00/00000000000/00000000000.xxxx 14