Contract
常用職員モデル就業規則
○○法人○○会
第1章 x x
(目的)
第1条 この就業規則は、社会福祉法人○○会(以下「法人」という。)△△△事業所(以下「事業所」という。)がその使命とする事業所の経営を適正かつ健全に行うために、職員の勤務と労働条件及び待遇等について定めたものである。
2 この規則に定めのない事項については、労働基準法その他法令が定めるところによる。
・就業規則の最初の部分に、労働基準法等の法令との関係、規則の目的などを明らかにする規定を置くのが通例です。これは、就業規則全体に通じる考え方、従業員のあり方などを明らかにしようという意図が含まれています。
・就業規則は各事業所毎に作成することを原則とするものの、定年、制度・解雇等の主要な事項は法人として共通することが必要です。
・「労働者」「職員」「従業者」の別について、「労働者」は労働基準法及び労働契約法で使用されており、使用者との区別において表現されています。「職員」「従業者」は、ともに社会福祉関係各法、同最低基準で使用されており、管理者を含め全員と、また、管理者以外の職員とを区別している場合があります。どのような名称を用いても、当該事業所で働く全ての労働者に適用されることが明らかであれば差し支えありませんが、xx職員と有期契約職員(パートタイマー、非常勤職員、臨時職員、xxxx等)間に差を設けている場合には、適用される範囲を明確にすることが必要です。
・その他法令とは、パートタイム労働法、労働契約法、男女雇用機会均等法、労働安全衛生法、最低賃金法、労災保険法及びこの関連規則があります。
(遵守義務)
第2条 法人・事業所及び職員はこの規則及び関連する諸規則を遵守し、互いに協力して誠実にその職務を遂行しなければならない。
・就業規則の遵守義務については、労働基準法第2条第2項で規定していますが、このような規定がなくても労使双方が就業規則を誠実に守るべきことは当然であり、このことを就業規則において再確認することは、使用者側が就業規則を誠実に守ることを自ら宣言するとともに、労働者側にも期待しようとするものです。
・遵守する主体は、労働者及び使用者(法人)ですので、就業規則の内容は実態に合ったものとしなければなりません。
(適用範囲)
第3条 この規則及びこれに付随する諸規定は第2章で定める手続きにより採用され、法人の業務に従事する職員に適用する。ただし、有期契約職員(パートタイマー・非常勤職員等)については別に定める就業規則による。
・「ただし書き」以下を削除すると、「有期契約職員(パートタイマー、非常勤職員等)」にもこの規則を適用するものと受け取られる可能性が大きいので、注意が必要です。「ただし書き」以下には、貴法人で使用している個別呼称を列記し、本就業規則の適用除外範囲を明確化させてください。
・xx職員の就業規則しか存在しない場合には、有期契約職員の雇入通知書にxx職員の就業規則に達しない労働条件を定めていても、xx職員用の就業規則に定めた労働条件に従わなければならないことになります。
(職員の区分)
第4条 職員の職種名は、次のとおりとする。
(1) 所長 (2) 副所長 (3) 医師 (4) 事務員 (5) 生活相談員
(6) 介護職員 (7) 保健師・看護師 (8) 栄養士 (9) 調理員
(10)児童指導員 (11)保育士 (12)生活支援員 (13)介助員
(14)母子指導員 (15)少年指導員 (16)心理判定員 (17)理学療法士
(18)作業療法士 (19)ソーシャルワーカー (20)マッサージ師
(21)ケアマネージャー
2 前項第○号及び第○号の職種については、xxを置くことができる。
・表記以外の職種が配置されている場合は追記し、また、配置されていない職種については、削除してください。
(管理監督者)
第5条 第4章で定める労働時間、休憩時間及び休日に関する規定は、管理監督の地位にある次の職員については、適用しない。
(1) 所長
(2) 副所長
・「管理職」とは、事業経営の管理監督的立場にある者、またはこれと一体をなす者であり、一般的には労働条件の決定、その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者です。このため、労働時間、休憩時間及び休日に関する規定の規制を超えて活動しなければならない事業所経営上の必要から、労働基準法第4章、第6章及び第6章の2で定められる労働時間、休憩時間及び休日に関する規定が適用されません。しかし、深夜業についての条文は適用除外となっていませんので、管理監督者であっても深夜業に関する規定は適用され、また、年次有給休暇の規定も適用されます。
・管理者についても、勤務状況を明示しているタイムレコーダー又は出勤簿等は備えておくべきです。これは、法人代表と兼務する管理者といえども同様です。また、管理監督者であっても、年次有給休暇や深夜業の条文は適用除外となっていませんので、深夜割増手当は支給しなければならず、この点てもタイムレコーダーまたは出勤簿等勤務の記録は必要です。
第2x x 事
(採用・提出書類)
第6条 職員の採用は、法人に就職することを希望する者に対し、所定の選考を行ない、これに合格した者の中から行う。選考に当たっては、次の書類の提出を求める。ただし、必要に応じその一部を省略することがある。
(1) 履歴書(3か月以内の写真添付)
(2) 中途採用者は、職務経歴書
(3) 卒業(見込)証明書
(4) 資格証
(5) その他法人・事業所が必要とする書類
2 職員として採用された者は、採用日から2週間以内に次の書類を提出しなければならない。
(1) 住民票記載事項証明書(又は戸籍の記載がない住民票)
(2) 職歴のある者にあっては、年金手帳及び雇用保険被保険者証
(3) 扶養親族控除申告書その他税法上必要とする書類
(4) 通勤届
(5) その他法人・事業所が必要とする書類
3 法人及び職員として採用された者は別に定める雇用契約書を締結するものとする。
・雇用期間を短く限っているものなど雇用期間を限って採用する場合は、原則として3年を超える期間とすることは認められません。(平成15年改正労働基準法)
・採用に当たっては、①戸籍謄本(抄本)、②住民票の写し を提出させることは適切ではなく、「住民票記載事項証明書」の提出をもって可とすること。
・職員の採用、すなわち労働契約の締結に当たっては、雇用契約書を作成することは必ずしも必要ではありませんが、これから職員となる者に対し、契約の中身である賃金、労働時間、その他の労働条件を明示することは労働基準法で義務付けられています。
・職員の採用選考に当たって健康診断書の提出を求めることは差し支えありませんが、従事する職務に必要と考えられる内容の診断項目に限定する必要があります。なお、採用を決定した者に、健康診断書の提出を求めることが一般的です。この場合、健康診断後3か月以内に採用した場合、当該診断項目は雇入れ時の健康診断を省略できます。
・採用の証明は、一般的には①採用辞令の交付・受理、②就業規則の提示及び労働条件通知書の交付・受理、③就業規則の提示及び給与辞令の交付・受理、④雇用契約書の締結 のいずれかが考えられます。
・その他法人・事業所が必要とする書類とは、①退職時の証明、②扶養手当申請書、③口座振込同意書、④住宅手当申請書等が一般的です。
(労働条件の明示)
第7条 法人は、職員の採用に際しては、採用時の賃金、就業場所、従事する業務、労働時間、休日その他の労働条件を明らかにするための書面の交付及びこの規則を周知して労働条件を明示するものとする。
・労働契約の締結に際し、労働者に明示しなければならない労働条件として、労働基準法施行規則には下記の事項が示されています。
・労働契約の期間に関する事項
・就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
・始業及び就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休憩並びに労働者を二組に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
・賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇級に関する事項
・退職に関する事項
なお、労働条件の明示は書面の交付により行うこととされています。
(試用期間)
第8条 新規採用者は、採用の日から3か月(90日)を試用期間とする。ただし、法人・事業所が認めたときは、この期間を短縮し、又は設けないことができる。
2 試用期間中又は試用期間満了の際に、能力、勤務態度、健康状態等からみて職員として著しく不適当と認めるときは、第20条の手続きにより解雇する。
3 試用期間は、勤務年数に通算する。
・モデル的な試用期間を規定しましたが、その期間を短縮し、あるいは試用期間を設けない等、実情に応じて適切に取り扱ってください。なお、労働基準法には試用期間の長さについて規定していませんが、あまり長いのは好ましくなく、通常は3か月以内程度とするのが適当です。
・就業規則等に試用期間を定めず直ちに本採用とし、採用後14日以内に解雇する場合には解雇予告制度が適用されますので、注意する必要があります。なお、試用期間中の解雇については、最初の14日以内であれば即時に解雇することができますが、14日を超えてから解雇する場合は30日前に予告するか、または解雇予告手当を支払う必要があります。なお、この14日は暦日です。
・第1項中、試用期間を月数で表記するか、日数で表記するかを選択してください。
・試用期間とは、新規に労働契約を締結した者について、必要と認める場合に、能力、勤務態度、健康状態などをみるために定める一定期間のことです。それにより職員として不適当と認めた場合には、採用を取り消すことができます(「取り消す」という意味は、採用日に遡って採用自体がなかったことにするということではなく、一度採用した以上、不適当と認めたら解雇するということです)。従って、「正式採用」は試用期間終了後ということになりますが、試用期間満了後は、試用期間は勤務年数に通算され、遡及して「正式採用」となります。
(人事異動)
第9条 法人は、業務上の必要がある場合は職員の就業場所又は業務内容の変更並びに職種変更を命じることがある。
2 職員は、正当な理由がない限り前項の命令を拒むことができない。
・職員の採用後、業務運営上の理由から就労場所や担当業務内容を変更することは、特別な約束でもない限り差し支えありませんが、職員の意に沿わない場合に争いが生じることがあるので、このように明記しておくとよいでしょう。また、職種変更が予想される場合も、あらかじめ上記の内容を規定化しておき、本人の了解を得るようにしてください。
(在籍出向)
第10条 法人は、業務上必要がある場合は職員を在籍のまま関係法人・施設へ出向させることがある。
2 職員は、正当な理由がない限り前項の命令を拒むことができない。
3 在籍出向者の手続き、取扱い、労働条件等は、別に定める「在籍出向規程」による。
・在籍出向の場合、現に雇用されている法人から労務提供の相手方が変更されることになることから、労働協約、就業規則上の根拠規定や採用時における同意等がない限り、使用者の出向命令権が労働契約内容になっているということはできません。在籍出向は、労働条件や雇用等の面で労働者に対する不利益を生じかねないので、出向先での労働条件、出向期間、復帰の方法等が出向規程によって整備され、当該法人において通常の人事異動として行われることが必要であり、出向労働者の労働条件が大幅に下がるような在籍出向は権利濫用として向こうとなります。従って、在籍出向を行うに当たっては、労働者の意見を聴取しながら、在籍出向規程の整備をしておく必要があります。
(休職事由)
第11条 職員が、次の各号の一に該当する場合は休職を命ずる。ただし、試用期間中においては、休職はこれを認めないものとする。
(1) 業務外の私傷病により欠勤が通算○か月に及んでも治癒しないとき
(2) 前号の他、特別の事情があって休職させることが適当と認められたとき
・本条においては、「事故」も「私傷病」に含めているため別号として表記していません。欠勤がなくても即休職になる場合もありましょう。「○か月」は通常、1か月が一般的のようです。労基法上には規定がないので、任意事項です。
・私傷病による欠勤に対する無給補償としては健保・傷病手当支給金・業務災害による欠勤に対する無給補償としては労災・休業補償給付がそれぞれあります。
・休職とは、一般には一定期間職員としての地位を保有したまま、職務従事義務を免除して職務に従事させない在職中の特別な扱いを言います。第2号中、「特別の事情」とは、①公職への就任、②関係法人・施設等への在籍出向、③業務に関連した研修修学、④留学するとき、及び⑤刑事事件にて起訴されたとき等を言います。
・福祉医療機構による「社会福祉施設職員等退職手当共済事業」では、休職期間は勤務期間として通算されません。賃金の取扱いについては、使用者において、ノーワーク・ノーペイの原則対応するのか、就業規則上において有給とするのかの判断を行うこととなります。
・就業規則や労働契約において、休職期間を終えた後もなお、引き続き就業不可能な場合、退職あるいは解雇するとして定めてあるのが普通です。第14条復職のように定めてあれば、就業規則の定めにより自然退職とすることができます。
(休職期間)
第12条 休職期間は休職事由及び勤務年数により次のとおりとする。
(1) 前条第1号による場合
ア 勤務年数1年未満の者 3か月
イ 勤務年数1年以上3年未満の者 6か月
ウ 勤務年数3年以上の者 1年
(2) 前条第2号による場合は必要と認める期間
2 休職者が前項の休職期間満了前に復職し、再び同一又は類似の事由により欠勤した場合で、復職後の出勤日数が15日に達しないときは当該欠勤期間は復職前の休職期間の延長として取り扱い、休職期間としてこれを通算する。
・第12条第2項の規定は、例えば、復職後2日間出勤してまた休職する等2週間以内に再び起こる休職事由は、新たな事由にせず、2日間は第1項に定める休職期間の範囲内で認めるために必要となります。
(休職期間の扱い)
第13条 休職期間は勤務年数に通算しない。ただし、法人の業務命令による休職期間は、これを通算する。
2 休職期間中の給与は支給しない。
・出向、研修就学等特定の事由による休職については、法人の特命として勤務年数は通算するのが普通です。使用者の命による休職(出向等)の場合は、労働意欲を損なわないよう現実面での配慮が必要です。なお、年次有給休暇に関しては通算しなければなりません。
(復職)
第14条 休職期間が満了又は休職期間満了前において休職事由が消滅したときは復職させる。ただし、旧職務、旧職種と異なるものに変更することがある。
2 私傷病により休職した職員が復職を申し出たときには、法人・事業所は産業医又は法人・事業所が指定する医師の診断を受けることを命じることがあり、命じられた職員はこれに従わなければならない。
3 休職期間が満了しても休職事由が引き続き存することにより復職できないときは自動退職とする。
(定年退職)
第15条 職員の定年は満60歳とし、60歳に達した年度の末日をもって退職とする。ただし、再雇用を希望する者については、原則として再雇用職員就業規則に基づき再雇用する。
2 退職通知は1か月前に行う。
3 第1項の定年は次の者には適用しない。
(1) 所長
(2) ○○
・再雇用の規定は第1項但し書きのように、再雇用職員就業規則の根拠をここで示すことが必要です。
・誕生日の翌日または誕生日の属する月末を退職日とする法人もありますが、普通、業務の区切りは年度末としています。また、退職者の補充を新規採用の時期に合わせて計画的に執行することができる等のことから、モデルでは退職日を年度末としています。
・定年年齢を定める場合は「60歳を下回ることができない」と「高年齢者等の雇用の安全等に関する法律」において定められています。本モデルでは法律上、下限年齢である60歳としています。なお、平成18年4月施行の改正高年齢者雇用安定法によると、平成18年4月以降事業主に定年の引き上げ、又は継続雇用制度の導入等の制度導入が義務付けられました。同法においては、18年4月以降に60歳定年を理由に退職させたとしても、それが直ちに無効となるものではないとされていますが、適切な継続雇用制度の導入がなされていない場合は法違反となります。
・定年を定めている事業主であって、61歳以上の年齢まで雇用する制度(再雇用など)を設けた場合には、一定の要件をもとに国の継続雇用制度導入奨励金が受けられます。
・定年年齢について、女性職員を男性職員と差別して、低い年齢で定めることはできません。
・定年退職し、引き続き再雇用した場合は、年次有給休暇の定年退職時における未消化日数はそのまま引き継がれる(繰り越される)ことに留意してください。
・第3項は、本条定年の適用除外の職員を置くことができることを想定したものです。
(自己都合退職)
第16条 職員が退職しようとする場合は、少なくとも退職日の1か月前までに書面により退職願を提出しなければならない。
2 退職願を提出し、承認されたとき、又は退職届を提出して14日を経過したときは退職とする。
3 前項の場合において、退職の日まで従前の業務及び業務引継を誠実に遂行しなければならない。ただし、疾病等やむを得ない事情がある場合は、この限りではない。
・民法第627条第1項は、雇用期間の定めのない労働契約については、「各当事者ハ何時ニテモ解約ノ申入ヲ為スコトヲ得」とするとともに、「雇傭ハ解約申入ノ後2週間ヲ経過シタルニ因リテ終了ス」と定めています。つまり、労働者はいつでも退職の意思表示を行うことができます。ただし、退職の効力が生じるのは、意思表示から2週間後となります。このように、退職は一方的な通告で済み、使用者の了解を要しません。使用者が退職を認めないということはできない性質のものです。また、民法第627条第2項は、「期間ヲ以テ報酬ヲ定メタル場合ニ於テハ解約ノ申入ハ次期以後ニ対シテ之ヲ為スコトヲ得但其申入ハ当期ノ前半ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス」と定めています。つまり、1か月働いた
らいくらというように期間を決めて報酬を定めた場合には、次の期から解約することができる。ただし、この申し入れは辞める前の月の15日前に申し入れをしなければならない、とされています。労働者からする労働契約の解約の申入(任意退職)については民法第627条が適用されることとなりますが、同条は任意規定ですから、原則として当事者の合意でこれを排除することができます。このことから、就業規則に①業務引継の必要があること②法人が後任者を雇い入れるために必要な最小限の期間である等の合理的な理由をもって、退職届提出のルールが定められている場合は原則としてこれによることとなります。ただし、使用者が労働者を解雇する場合の予告期間が少なくとも30日前とされている関係から、それ以上の事前届出を義務付けた就業規則の規定は無効と解されます。
・第2項文中「退職願を提出して14日を経過したとき」とあるのは、実際の労働行政指導上は14日とする向きがあることを考慮して、本モデルの就業規則では14日としたものです。1か月としても問題ありません。
(死亡退職)
第17条 第14条第3項、第15条及び第16条によるほか、職員本人が死亡した場合は退職として、職員の身分を失う。
(普通解雇)
第18条 職員が次の各号の一に該当するときは、解雇する。
(1) 業務上の都合により、事業の縮小若しくは転換をする場合、担当業務の継続が不可能又は不必要となり、他の職務に転換させることも困難なとき
(2) 本人の身体若しくは精神の虚弱又は障害等によって、医師の診断に基づき業務に耐えられないと認められるとき
(3) 勤務成績が著しく不良、又は法人、上司の指示、就業規則等を守れず、かつ早期に改善の見込みがないと認められるとき
(4) 職務遂行能力が劣り、一定期間の改善指導を行っても職務遂行上必要な水準まで上達する見込みがないと認められるとき
(5) 試用期間中で、第8条2項の解雇事由に該当し、本採用するに不適格と認められるとき
(6) 採用時に本人より提出された履歴書等の各書類に虚偽の事実があった場合
(7) 業務上の傷病によって、療養を開始後3年を経過しても就業が不可能であって、かつ傷病補償年金の給付を受けるに至ったとき(法人が打切補償を支払った場合、また法律上支払ったとみなされる場合も含む)
(8) 勤務1か年未満の者が私傷病以外の事由による欠勤が通算30日以上にわたるとき
(9) 法定刑に罰金刑を超える刑(死刑、懲役、禁錮)が定められている罪に当たる行為をなしたとき、又は、同行為について罰金刑を超える刑(死刑,懲役,禁錮)の宣告を受けたとき
(10)本規則に定める採用者提出書類を提出しないため、解雇の必要を認めたとき
(11)本規則又は法人の定める諸規程・通達・決定事項の定めに違反したとき
(12)前各号の他、解雇に相当する合理的事由があるとき
・平成15年の労働基準法の改正により、就業規則に解雇事由をより具体的に規定しておくことが必要であり、就業規則にない事由によって解雇処分とすればそれだけで無効とされます。
・指定管理者制度により、指定が更新されない場合は第1号に該当しますが、より具体的に「指定管理者に指定されない等業務の都合上により、」と修正するかどうかは検討してください。
・就業規則に定めた事由によって解雇した場合においても、その解雇権の行使が社会通念上妥当であるかどうかという点が裁判においては判断されますので注意しておくべきです。
・懲戒解雇と普通解雇の効果が大きく異なるのは、懲戒解雇の場合は一番重い懲戒処分ですから退職金を不支給や減額とするのが普通ですが、普通解雇の場合は懲戒処分ではありませんから退職金の不支給や減額といった措置をとることがあい点です。
(解雇制限)
第19条 前条の規定にかかわらず、次の各号の一に該当する期間は解雇しない。ただし、第1号の場合において労働者災害補償保険法第19条の要件を満たす場合はこの限りではない。
(1) 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業する期間及びその後30日間
(2) 産前産後の女性職員が第47条の規定により休業する期間及びその後30日間
2 育児・介護休業の申し出をし、又は育児・介護休業をしたことを理由により解雇することはない。
3 妊娠中、産後1年以内の解雇は、妊娠・出産に起因しないとする証明をした場合に限る。
・解雇制限には、条文の他に①国籍、信条などを理由としない、②男女差別を理由としない、③正当な労働組合活動を理由としない、④労基署等監督機関に対する申告を理由としない、⑤公益通報者保護法第3条などがあげられます。さらに、労働基準法第19条にも留意してください。
・「業務上の負傷」及び「産前産後休業期間終了後」30日間は解雇してはならないとされ
ているのは、労働基準法第19条による解雇制限要件です。これは休業し復職した職員の「平常どおり稼働するまでの期間」を30日と設定した労働基準法上の労働者保護のためと解釈されています。時折、休業を機会に解雇したい旨の話を聞きますが、あくまでも解雇の要件は休業を理由とするものではなく、就業規則等の遵守を怠り、服務規律に重大な違反行為があった場合です。「その後30日間」は、労働能力の回復に必要な期間として定められたものです。
(解雇予告)
第20条 第18条により解雇する場合又は、前条もしくは第8条第2項により解雇する場合は、次の各号の一に該当する場合を除き、30日前に本人に予告するか又は予告に代えて平均賃金30日分を支給する。
(1) 試用期間中の者で採用の日より14日以内の者
(2) 職員の責めに帰すべき事由で解雇する場合で、労働基準監督署長の認定を受けた場合
(3) 天災事変等やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となり労働基準監督署長の認定を受けた場合
・①日々雇用する者(引き続き1か月を超えて使用した者を除く)、②2か月以内の期間を定めて雇用した職員は、解雇予告制度の対象外ですが、その期間の途中で解雇するには「やむを得ない事由」のあることが必要です。
・法律上の適用条項について、職員からの労働契約の解約(退職)は、民法第626条、同627条の適用となり、使用者の一方的な労働契約の解約(解雇)は、労働基準法第19条~21条の規定によることとなります。
(退職時の証明)
第21条 職員が退職の場合において、退職の事由(解雇の場合はその理由を含む。)等について証明書を請求した場合は、法人・事業所は遅滞なく交付するものとする。
・退職者から請求があった場合の退職時の証明書作成は、従来「使用証明書」と呼ばれ、請求できる証明事項は「使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金」の4項目でしたが、平成15年の改正により、「退職の事由(解雇の場合はその理由を含む。)」が追加され、証明書の名称も「退職時の証明」に変更されました。なお、「退職の事由」とは、①自己都合退職②勧奨退職③解雇④定年退職等労働者が身分を失った事由を示す必要があり、解雇の場合はさらに解雇事由も含まれることになります。また、労働者が解雇の事実についてのみ証明を求めた場合は、労働法第22条第2項の規定により、その証明書に「解雇事由」を記載することは許されないことになります。
(職員の個人情報保護)
第22条 法人は、職員の同意がある場合及び法令に基づくとき等の正当な事由がある場合を除き、職員の個人情報を目的外に使用してはならない。
2 法人は、不正な手段により職員の個人情報を取得してはならない。
3 法人は、職員の個人情報を適正に管理しなければならない。
第3章 服 務
(服務の基本)
第23条 職員は職務の社会的責任を自覚し、社会福祉の向上及び法人・事業所の使命達成のため全力を挙げ、誠実に職務を遂行しなければならない。
・服務規律は就業規則に必ず規定しなければならないものではありませんが、事業所の秩序を維持するために必要不可欠のものです。
・本条「服務の基本」や次条「服務の心得」等の条文に法人や事業所の考え方等を独自に盛り込むことは差し支えありません。特に利用者のプライバシーの確保、子どもの権利条約、身体拘束禁止等の関係からの人権保護等々の観点から、福祉に携わる者として周知のことであっても、改めてここで注意を喚起しておくことは重要です。ただし、第26条「服務規律」までを通して過度に職員を縛るような内容にならないように配慮すべきでしょう。
(服務の心得)
第24条 職員は就業に当たり、次の事項を守らなければならない。
(1) 事業所利用者に対しては常に親切丁寧な態度で接し、事業所利用者に不安と不信の念を起こさせないよう努めること
(2) 自己の服務に対し責任を重んじ、誠実に服務に努めること
(3) 職員は互いに助け合い、礼儀を重んじ誠実に服務に努めること
(4) 常に時間を尊重し、職務の慎重、敏速及び的確を期すこと
(5) 職場の清潔整頓に努めること
(信用保持)
第25条 職員は、法人・事業所の信用を傷つけ、又は不名誉となる行動をしてはならない。
・職務外の私的な行為であっても法人・事業所の名誉・信用を害する場合を含みます。
(服務規律)
第26条 職員は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
(1) 業務上の秘密事項及び事業所利用者の不利益となる個人情報や秘密事項を自己の担当かどうか、また、在職中かどうかを問わず他に漏らすこと。また、偽りその他不正な手段により個人情報を取得すること
(2) 事業所内又は設備、備品等を私用で使用したり、業務に関係ない文書を掲示あるいは配布すること
(3) 就業時間中に上司の許可なく職場を離れること
(4) 法人・事業所の許可なく在籍のまま他の事業に従事したり、又はその他の労務、公務に服すること
(5) 職務の権限を超えて専断的な行為をすること
(6) 職務上の地位を利用して自己の利益を図ること
(7) 利用者に対して、緊急時を除く身体的拘束や虐待などの身体的・精神的苦痛を与えること
2 職員は、別に定めるハラスメント防止規程に規定されている内容により、勤務場所等において、他の職員等に対し、相手方の望まない言動により、それに対する相手方の対応によって業務遂行上で一定の不利益を与え、あるいは就労環境を悪化させる行為をしてはならない。
・本条第1項第3号は、面会や私用外出による職場離脱も該当します。
・本条第1項第6号は、事業所利用者や関係者等からの金品の授与、その他、不正行為を禁止したものです。
・本条第1項第7号は、虐待等の禁止や身体拘束が厳しく戒められていることから必要です。
・男女雇用機会均等法第11条により、セクシュアルハラスメントの防止は事業主の措置義務です。ついては、本条第2項のように就業規則に規定し、就業規則に根拠をもったセクハラ防止規程を別途単独規程化することが必要です。
(出勤)
第27条 職員は始業時刻までに出勤し、各自のタイムカードに打刻しなければならない。ただし、緊急やむを得ない事由でタイムカードに打刻できなかったときは、事後遅滞なく届け出なければならない。
・「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(厚生労働省平成14年)によると、(1)使用者は労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録し、3年間保存しなければならない(2)記録する方法としては原則として①使用者が自ら現認する②タイムカード、IC等の客観的な記録化、とされています。従って、実務上からも使用者の現認を要する出勤簿の採用は困難と思われます。
(出勤停止)
第28条 次の各号の一に該当する職員は出勤させないか又は退勤を命じることがある。ただし、法的規制を根拠に出勤停止を命じる場合は、産業医その他専門の医師の意見を聴くものとする。
(1) 法令又は本規則によって就業又は職場への出入りを禁じられている者
(2) 業務上必要でない危険物、有害物を所持する者
(3) 事業所内において秩序を乱す者
(4) 前各号のほか、業務に支障を与える恐れのある者
2 前項による出勤停止期間中の給与は無給とする。ただし、感染症法施行規則第11条第2項に該当しない疾病を理由に出勤停止とする場合については、使用者の責めに帰すべき休業に当たり、通常(平均)賃金の60%相当の休業手当を支給する。
3 感染症法規則第11条第2項に該当する職員が出勤するときは、第14条第2項を準用する。
・本条は、伝染病の疾病に罹っているもの、労働のため病勢が著しく憎悪するおそれのある者等を就業させると、本人自身の健康状態を悪化させるのみならず、他の職員や事業所利用者の健康をも害し、或いは悪影響を及ぼすおそれがあるので、これらの病者の就業を禁止したものです。本条によって出勤停止しようとするときは、医師の意見を尊重することが大切です。法令により就業制限が定められているのは、感染症法規則第11
条第2項に該当する場合です。このいずれにも該当しない疾病(非特定インフルエンザ等)を理由に出勤停止とする場合は、「使用者の責めに帰すべき休業」に該当するため、休業手当の支払が必要となります。使用者の責めに帰すべき休業に該当しない場合は、休業手当の支払義務はありません。
(欠勤の届出)
第29条 病気その他やむを得ない事由により欠勤する場合は、事前に所長に届け出なければならない。ただし、事前に届け出ることができないときは、事後速やかに届け出なければならない。
2 私傷病欠勤の場合で所長が必要と判断したときは、医師の診断書の提出を求めることがある。
・第2項の医師の診断書の提出義務については、断続的な病欠が生じる場合があることから日数に係る規定をせず、個々の職員の状況により、提出の可否を判断することが適当です。
・欠勤を、事後、職員が振り替えを希望すれば、年次有給休暇に振り替えても構いません。年次有給休暇の取得時季は、労働者が自由に指定することができるものであるため、使用者の判断で年次有給休暇に振り替えることはできませんが、労働者が振替に同意(要望)した場合には可能となります。年次有給休暇は時季変更権との関係から事前に取得日を通知することを原則としています。従って、年次有給休暇の事後の振替を原則として認めなくてもよいわけですが、事前に連絡できない場合も考えられることから、やむを得ない場合には事後の年次有給休暇への振替を認めるようにする取り決めや合意をしておくことが望ましいでしょう。
(無断欠勤)
第30条 職員が所定の手続きを経ないで欠勤したとき、虚偽の理由で欠勤したとき、年次有給休暇の請求に対して、合理的理由に基づく時季変更権の行使によって変更したにもかかわらず欠勤したときは、いずれも無断欠勤とする。
(遅刻・早退・外出)
第31条 遅刻、早退又は勤務中に外出しようとするときは、あらかじめ所長の承認を受けなければならない。ただし、緊急やむを得ない事由のあるときは、事後速やかに承認を受けなければならない。
第4章 勤 務
(労働時間)
-1か月以内の変形労働時間制の場合
第32条 所定労働時間については、1か月以内の変形労働時間制によるものとする。
2 1日の所定労働時間は、休憩時間を除き○時間○○分から○時間○○分とし、1か月を平均して1週間の所定労働時間は40時間を超えない範囲で定める。ただし、1か月を平均して1週40時間を超えない範囲で予め特定し、該当する日、または週において、1日○時間○○分を超え、または1週40時間を超えて勤務を命じることがある。
3 起算日は、毎月1日とする。
4 ただし、1か月以内の変形労働時間制が適用されない職員については1日○時間○○分とし、1週40時間を超えない範囲で定める。
・入所施設で変形労働時間制を採用しない場合、土曜日又は日曜日に年間10日出勤(この週も40時間を超えない)、他の土曜は月1回半日出勤、その他の土曜は休日、国民の休日年間15日も休み、との労働条件を満たすためには、週6日の労働日がある場合は、1日の所定労働時間は6時間40分以内、週5日±土曜半日勤務の労働がある場合は1日の所定労働時間は7時間12分以内でなければ、週所定労働時間は40時間以下となりません。上記6時間40分~7時間12分以内の1日の所定労働時間設定は、現状の職員配置上では困難と考えられ、従って、ここでは、最低1か月以内の変形労働時間制は必定であると認識してモデル就業規則を提示しています。
・通所施設で日曜日、休日は事業所を営業していない場合は、1か月(又は4週)単位の変形労働時間制の採用で対応できると思います。1か月変形の場合は4週4日の休日が確保されるよう勤務割表を作成する必要があります。
・「○時間○○分から」の表記は例えば通常の1日の所定労働時間の月内累計と1か月平均の1週間の所定労働時間の月内累計(1か月30日の場合171時間)との差を職員会議を行う日に充てる場合必要となります。具体的には通常は1日の所定労働時間を7時間45分とし、職員会議の日の所定労働時間を9時間とする場合、「7時間45分から9時間とし」となります。
・本条第2項で1日の所定労働時間を定めていることから、「ただし書き」がないと、これを超える労働ができなくなってしまいます。
・1年以内を単位とした変形労働時間制の場合とは異なり、1か月以内を単位とした変形労働時間制の場合には、必ずしも労使協定は必要とされてはいませんが、就業規則上で明確に規定しておくことは必要です。
(労働時間)
-1年以内の変形労働時間制の場合
第32条 所定労働時間については、労働基準法の定める労使協定を締結の上、1年単位の変形労働時間制によるものとする。
2 1日の所定労働時間は、休憩時間を除き○時間○○分から○時間○○分とし、1年間を平均して1週間の所定労働時間は40時間を超えないものとする。ただし、1年間を平均して1週40時間を超えない範囲で予め特定し、該当する日、または週において、1日○時間○○分を超え、または1週52時間以内の範囲において40時間を超えて勤務を命じることがある。
3 起算日は、毎年○月○日とする。
4 ただし、1年以内の変形労働時間制が適用されない職員については、1日○時間○○分とし、1週40時間を超えない範囲で定める。
(始業・終業時刻)
第33条 職員の始業・終業時刻及び休憩時間は次のとおりとする。ただし、業務の都合上、所定労働時間の範囲内において始業・終業時刻及び休憩時間を繰り上げ、又は繰り下げることがある。
職種名 |
勤務区分 |
始業時刻 |
終業時刻 |
休憩時間 |
|
|
○時○分 |
○時○分 |
○時○分~○時○分 |
|
○時○分 |
○時○分 |
○時○分~○時○分 |
|
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○時○分 |
○時○分 |
○時○分~○時○分 |
|
|
○時○分 |
○時○分 |
○時○分~○時○分 |
|
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○時○分 |
○時○分 |
○時○分~○時○分 |
|
|
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○時○分 |
○時○分 |
○時○分~○時○分 |
|
○時○分 |
○時○分 |
○時○分~○時○分 |
・同一敷地内に事業所が複数あり、勤務時間が異なるが、一体的に運営管理を行う必要から就業規則を一つとする場合は、異なる事項ごとに別表化或いは別規定化することにより問題ありません。
・モデル条文では無給としましたが、有給でも差し支えありません。例えば7か月までは有給、以後は無給とする法人もあります。
・労働基準法第67条では女性職員にのみ育児時間を認めています。
(育児時間)
第34条 生後1年に達しない乳児を育てる女性職員が育児時間を請求した場合は、1日につき2回、それぞれ30分の育児時間を与える。ただし、無給とする。
(休日)
第35条 変形労働時間制を適用される職員の休日は勤務割表によって示すものとする。
・変形労働時間制を採用する場合は、第35条、第36条のように変形労働時間制の適用職員と非適用職員の休日規定を別条化しなければなりませんので、注意してください。
・法定休日出勤については、代休処理の場合は、35%以上の割増賃金の支払いも必要です。具体的には1年以内の変形労働時間制においては1週1日、その他の場合においては4週4日の法定休日をどの日とするかについて、別表等で特定することが望ましいとされています。
(休日)
第36条 変形労働時間制を適用されない職員の休日は勤務割表によって示す次のとおりとする。
(1) 日曜日
(2) 国民の祝日に関する法律第3条に規定する休日
(3) 年末年始(12月○日~1月○日) ○日
(4) ○○○
(5) 法人が定めた休日数(○日間)
・変形制を適用される職員の年間休日日数を例えば120日間と定めた場合は、第36条第1号~第4号の日数の計が例えば80日間とすると120日-80日=40日間が第36条第5号の日数となります。つまり、第35条と第36条に休日日数は同じとなります。
(勤務区分)
第37条 第32条第2項ただし書、第33条勤務時間及び第35条並びに第36条休日等の割り振りは、原則として、1か月単位で職員個人ごとに作成する勤務割表により定める。ただし、業務の状況により、予め定めた勤務割表を変更することができる。この場合、当該職員の意見を聴いた上で変更する。
(変形労働時間制の適用除外)
第38条 第32条第2項にかかわらず以下に該当する職員には、1日8時間、1週40時間を超えて労働させない。
(1) 妊産婦である職員から申し出た者
(2) 育児や介護を行う職員、職業訓練又は教育を受ける職員その他特別の配慮を要す
る職員に該当する者のうち、変形労働時間制の適用免除を申し出た者
(休日の振替)
第39条 業務の運営上やむを得ない事由が生じた場合は、第34条及び第35条並びに第36条で定めた休日を1週間以内の他の日に振り替えることがある。
2 前項の場合は、前日までに振替による休日と労働日を特定して職員に通知するものとする。
・振替対象となる休日日以前に繰り上げて振替休日を取得することは、差し支えありません。
・普通、事業所の個々の職員の勤務表は、前月に作成し、当月の勤務日を個々人に知らせておくことが必要です(労働契約)。例えば、事業所の運動会等は当然事前にわかっていることですから、勤務表に予め「振替日」を特定しておくことで休日出勤したことにはなりません。もちろん、就業規則に「休日の振替」が定められていなければなりません。従って、同一週内の振替であれば問題ありません。又、運動会の属する週が週所定労働時間を超える場合(同一週内の振替とならない場合)は、時間外労働として125%の時間外手当を支払うか又は、変形労働時間制を定めておくことが必要です。本来、全職員の振替休日が必要とすることがないよう、きちんとした行事の年間計画を組み、年間カレンダーによる休日が望ましいでしょう。
・休日は暦日をさし、午前0時から午後12時までの24時間を単位とすると解されています。従って、半日単位の取得は認められていません。なお、代休制度なら、就業規則の規定によって時間単位の取得は可能となります。
(時間外、法定外休日労働)
第40条 次の各号の場合には、労働者の代表との協定の上第32条、第33条、第35条及び36条並びに第37条の規定にかかわらず、勤務時間外又は法定外休日に勤務させることができる。
(1) 業務上必要な場合、休憩時間を除き、所定労働時間を超え法定労働時間以内での時間外勤務及び法定休日を除く所定休日の勤務を行わせる場合
(2) 前号のほか、労働基準法第36条に基づく労使協定に定める範囲
(3) 災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合
ただし、この場合は事前に労働基準監督署長の許可を受けるか、事態急迫のためその間がない場合は事後速やかに届け出を行う
・法定休日とは、通常「4週4日」のことですが、1年以内の変形労働時間制の場合に限って「4週4日」ではなく、「1週1日」となります。
・法定労働時間を超え、または法定休日に労働させる場合には、本条第2号のような手続き(いわゆる「36協定」)が必要となりますし、以下の制限があることにも注意してください。ア 協定すべき内容については、届出様式が定められているので、それによってください。イ 法定労働時間を超えて延長することができる限度については、厚生労働省告示により目安が定められています。
・36協定を締結すれば法定休日勤務は可能ですが、本モデルは法定休日は必ず確保し、法定外休日労働のみあり得ると規定しています。(第41条関連も)
・所定労働時間を超えた「法定労働時間以内での超過勤務」と「法定労働時間を超える超過勤務」の違いは、割増賃金が法的に必要かどうかという点です。例えば、所定労働時間が1週38時間の事業所は、法定労働時間40時間までの1週2時間は、法定労働時間以内
での超過勤務時間です。この場合の超過勤務手当2時間分は1時間単位の賃金だけで、2割5分の割増賃金を支払う義務はありませんが、通常の時間当たり賃金を支払うか、割増賃金を支払うかは労使で話し合い、給与規定等で明らかにしておく必要があります。40時間を超える勤務、すなわち法定労働時間を超える超過勤務については、割増賃金が必要になるということです。
(代休)
第41条 第40条により法定外休日に勤務した場合は、本人の請求により業務に支障がない限り代休日を時間単位で与えることができる。
・本条での代休とは、法定外休日労働に対して任意に追加的に与える休日です。法定外休日労働に対して、代休を付与することは労働基準法上要請されていませんので、就業規則の定めに基づいて時間単位での付与ができます。
・法定休日労働に対する代休を付与する場合は暦日単位となります。
・代休を取得する日の指定は「法定休日労働後に労働者が定めて法人に通知し承認を得る」という合意であるとされていますので、法定外休日労働の場合もこれに準じることとなりましょう。
(宿直)
第42条 事業所は労働基準監督署長の許可を得て、職員に対して宿直を命じることがある。
2 宿直の業務内容、勤務時間等の必要事項については別に定める。
・宿直は労働基準監督署長の許可を得て初めて可能となるものであり、宿直義務がある場合は必ず許可を得ておかなければなりません。その際、宿直手当の算出式の明示が求められます。
・宿直業務の存しない場合には本条を削除してください。
(出張)
第43条 所長は、業務上必要とする場合は、職員に出張を命ずる。
2 出張その他業務上の必要から事業所外で勤務する場合で、勤務時間を算定しがたいときは、所定の勤務時間を勤務したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには、通常所定労働時間を超えて労働することが必要になる場合においては、当該業務に関して、当該業務の遂行に通常必要とされる時間勤務したものとみなす。
(年次有給休暇)
第44条 6か月継続勤務し、所定就業日数の8割以上出勤した職員には10日の年次有給休暇を与える。その後、勤続1年6か月で11日、2年6か月で12日、3年6か月以降は毎年2日ずつを増加させ、20日を限度とする。
2 採用後6か月未満であっても、次のとおり法定外年次有給休暇を与える。ただし、1か月以内に退職する場合には付与しないものとする。
案1-3日を付与する。
案2-2か月に1日の割合で付与する。
3 年次有給休暇は、所定の手続きにより職員が指定する時季に与えるものとする。ただし、事業上正常な運営を妨げる場合には他の時季に変更することができる。なお、労使協定により、年次有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは年次有給休暇のうち5日を超える部分については、前記にかかわらず、その定めにより年次有給休暇を与える。
4 次の期間は、第1項の出勤率の算定上、出勤したものとみなす。
(1) 業務上の疾病による休業期間
(2) 年次有給休暇、生理休暇、育児・介護休業法による休業期間及び子の看護休暇並びに介護休暇、特別休暇及び産前産後休暇
(3) 選挙権その他公民権を行使した日
5 年次有給休暇のうち、その年度に行使しなかった日数は、翌年度に限り繰り越して使用することができる。
6 年次有給休暇の期間については、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う。
7 年次有給休暇を取得した職員に対して賃金の減額、その他不利益な取扱はしない。
8 年次有給休暇取得についての詳細は、別に定めるところによる。
・本モデル就業規則では、年次有給休暇の付与に際して職員一人ひとりの採用月により定めるパターンを提示しました。
・新たに採用された職員の採用月以後、6か月間については、労働基準法上では年次有給休暇の付与は不要ですが、6か月間年次有給休暇が0日(この間休んだら、欠勤)では、実際的ではないとの判断により、本モデルでは本条第2項において、案1と案2を提示しました。各法人で適宜判断してください。
・第3項のなお書きは労働基準法第39条第6項に基づく計画的付与で、これを行わない場合は削除してください。
・本条文中、下線部分は労基法の要請はありません。
・年次有給休暇には、労働基準法第115条の規定により、2年の消滅時効が認められています。
・育児休業明けの職員は、産休、育休とも労働契約は存続していることから、継続勤務していることとなり、産休、育休を出勤したものとしてみなした上で、出勤率が全労働日の8割以上となる場合には、前年の年次有給休暇日数に所定日数を加算した日数を当年の年次有給休暇として与えることとなります。
・年次有給休暇は、法令上休暇の取得目的に制限は設けられておらず、事業の正常な運営を妨げる場合のみ時期変更が認められているだけです。退職予定日の前に年休未消化分を全て取得、つまり年休の残日数に応じて退職日を指定してきた場合は、退職後は年次有給休暇を行使できないことから時期を変更する余地がないため変更することは実際としてはできませんので、指示通り取得せざるを得ません。なお、時期変更する余地がある場合でも、事業の正常な運営を妨げる場合とは主観的なものではなく客観的に認め
られる事由が必要とされていますので、一般的には単なる業務繁忙では時期変更は難しいとされています。
(特別休暇)
第45条 職員は次の各号の一に該当するときは、特別休暇を請求することができる。
(1)結婚休暇 引き続く7日
(2)出産支援休暇 2日
(3)忌引休暇 1日~10日
(4)xx休暇(7月~9月)5日
(5)その他の特別休暇及び詳細は別に定める休暇制度細則による。
2 前項の休暇は、忌引休暇を除き、少なくとも2週間前に請求しなければならない。
3 所長は特別休暇を与えることにより、正常な業務に支障のある場合には、請求の時季の変更を求めることができる。
4 第1項の特別休暇は有給とする。
・その他の休暇例としては裁判所又は警察の要請に基づく出頭、公民権行使や公務の執行(裁判所の労働審判員及び裁判員)があります。
(生理休暇)
第46条 生理日の就業が著しく困難な女性職員には、その請求により就業を時間単位で免除する。ただし、無給(有給)とする。
(産前産後休業)
第47条 6週間(多胎妊娠の場合には14週間)以内に出産予定の女性職員には請求により産前休業を与える。この場合、出産日が予定より遅れたため6週間(多胎妊娠の場合には14週間)を超えたときは、その超えた期間についても産前休業として取り扱い、出産日が予定より早まり産前休暇の残余期間がある場合は産後休暇に繰り越すことができるものとする。
2 産後8週間を経過しない女性職員は就業させないものとする。ただし、産後6週間を経過した女性職員が請求し、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせる場合はこの限りではない。
3 本条に定める産前・産後休業の期間は有給(無給)とする。
・第1項の下線部分は有給の場合には職員に有利ですが、無給の場合は繰り越しても出産手当金は増額されず、その後育児休業を取得する場合は育休基本給付金にも反映されないことに留意してください。
(母性健康管理の措置)
第48条 妊娠中及び出産後1年以内の女性職員が母子保健法による健康診査等のために勤務時間内に通院する必要がある場合は、請求により次の時間内通院を時間単位で認める。
1 請求できる期間及び回数
イ 妊娠23週まで 4週間に1回
ロ 妊娠24週から第35週まで 2週間に1回
ハ 妊娠36週以降 1週間に1回
ただし、医師又は助産師の指示がある場合は、その指示による回数を認める。
2 妊娠中の女性職員に対し、事業所は出勤、退勤時各々30分の遅出、早退を認める。ただし、この遅出、早退を出勤時あるいは退勤時のいずれか一方にまとめ計60分として取得する場合は、あらかじめ届出るものとする。さらに、医師又は助産師による具体的な指示がある場合は、あらかじめ届出ることにより、その指示事項が守れる限度において遅出、早退を認める。
3 妊娠中の女性職員が業務を長時間継続することが身体に負担になる場合、請求により所定の休憩以外に適宜休憩をとることを認める。
4 妊娠中及び出産後1年以内の女性職員が、医師又は助産師から、勤務状態が健康状態に支障を及ぼすとの指導を受けた場合は、「母性健康管理指導事項連絡カード」の症状等に対応する次のことを認める。
(1) 業務負担の軽減
(2) 負担の少ない業務への転換
(3) 勤務時間の短縮
(4) 休業
5 本条に基づく不就労に係る賃金は無給とする。
・本条は均等法第12条及び第13条並びに「妊婦中及び出産後の女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」(平成18年厚生労働省告示第616号)をうけての規定です。
(育児休業等)
第49条 職員のうち希望する者は、法人・事業所に申し出て育児休業、子の看護休暇、育児のための所定外労働の免除、時間外労働及び深夜業の制限並びに育児短時間勤務等の適用を受けることができる。
2 職員の育児休業、子の看護休暇、育児のための所定外労働の免除、時間外労働及び深夜業の制限並びに育児短時間勤務等に関する取扱いについては、「育児休業等に関する規則」の定めるところによる。
・①雇用保険の育児休業基本給付金、育児休業者職場復帰給付金、②育児休業期間中の社会保険料の免除、③育児休業期間中無給の場合の雇用保険料負担なし、ついては、別に定める規程において説明することが必要です。
・平成17年改正育・介法により、育児休業期間が1歳6か月までとなりました。また、一定の範囲の有期契約職員も対象となりました。
・労働基準法に規定されている育児時間に加えて、さらに育児休業・介護休業法に基づく育児短時間勤務を規定しなければなりません。平成22年改正施行により「育児休業等に関する法律」において制定されましたので、就業規則に根拠をもつ育児休業等に関する規則の作成が必要となります。
(介護休業等)
第50条 職員のうち希望する者は、法人・事業所に申し出て介護休業、介護休暇、介護のための時間外労働及び深夜業の制限並びに介護短時間勤務等の適用を受けることができる。
2 職員の介護休業、介護休暇、介護のための時間外労働及び深夜業の制限並びに介護短時間勤務等に関する取扱いについては、「介護休業等に関する規則」の定めるところによる。
第5章 給与・退職金
(給与・退職金)
第51条 職員の給与及び退職金は、別に定める。
・事業所独自に退職金制度を有している場合、恣意的なことでなく、制度として支給することが必要であり、賃金と同様の扱いが求められ、規程(給与規程等)を定めておく必要があります。
・腰痛や頸肩腕症候群が発症した場合、職員配置基準(行政基準)を遵守していても安全配慮義務違反や過失の損害賠償責任は必ずしも免責されない判例もありますので留意してください。
第6章 安全衛生
(安全保持)
第52条 法人・事業所は、職員の健康管理及びその増進に努め、災害予防のための安全設備及び職場環境の改善充実に必要な措置を講じるものとする。
2 職員は、前項の設備及び環境の整備改善に努力し、法令又は安全及び衛生に関する事項を遵守して健康の保持及び災害の防止に関する措置等に協力しなければならない。
(災害時の措置)
第53条 職員は、火災その他の災害を発見し、又はその危険を予知したときは、臨機の処置をとるとともに直ちに上司及び関係者に連絡し、職員互いに協力してその被害の拡大を防止するように努めなければならない。
(健康診断)
第54条 職員は、法人の行う定期健康診断並びに健康保持に必要な検査及び診断を拒んではならない。ただし、他の医師の健康診断を受け、その結果を証明する書類を提出した場合は、この限りではない。
2 前項の健康診断の結果、必要を認めるときは、就業時間の短縮、配置転換その他健康確保上の必要な措置を講ずることがある。
3 事業所の調理従事者等は、毎月1回以上の検便を行わなければならない。
・健康診断結果についての対応に関して「健康診断結果に基づき事業主が講ずべき措置に関する方針」(厚生労働省)が定められており、就業上の措置の決定について具体的に指示がありますので、参照してください。
・労働安全衛生法第66条第1項から第4項までの規定により実施される健康診断(雇入時健康診断、一般健康診断、特殊健康診断)の費用については事業主が負担すべきものとされています。また、「雇入時健康診断」の実施は労働安全衛生規則第43条に規定されています。これは「採用時健康診断」を実施していない場合に「雇入時健康診断」の実施を求めるものであって、雇入時3か月前までに「採用時健康診断」が実施されている場合は、それをもって「雇入時健康診断」に代えることができるとされています。なお、「採用時健康診断」は採用応募者の費用負担によっても差し支えありません。
(就業禁止)
第55条 疾病のため他人に害を及ぼす恐れのある者その他医師が就業を不適当と認めた者は、就業を禁止する。
・本条は、労働安全衛生法第68条が求める条文ですが、感染症罹患職員に対する就業制限(第28条)を除いた事由による就業禁止をとる場合の根拠条文です。
第7章 災害補償
(災害補償)
第56条 職員が業務上負傷し、又は疾病にかかったときは労働基準法の規定に従い、療養補償、障害補償、休業補償を行う。なお、その職員が死亡したときは、遺族補償を行い、葬祭料を支給する。
2 前項の対象者が同一の事由について労働者災害補償保険法に基づいて災害補償に相当する給付が行われるべき場合においては第1項の規定は適用しない。
・業務上の災害補償は、原則として労働保険によることとなりますが、災害補償休業する場合の不支給となる最初の3日間について、法人は平均賃金の60%以上の休業補償を行うことが必要です。
第8章 表彰及び懲戒
(表彰)
第57条 職員が次の各号の一に該当する場合は、審査の上表彰する。
(1) xx勤務し、その勤務成績が優秀で他の模範たる者
(2) 業務上有益な研究、工夫等の考案があった者
(3) 災害を未然に防止し、又は災害の際に特に功績のあった者
(4) その他法人・事業所の運営上に顕著な功績があった者
2 表彰は表彰状を授与し、副賞として賞品又は賞金を付して行う。
・モデル条文では、第1項第1号において「xx勤務し」と示しましたが、実際の条文では「○○年以上勤務し」と具体的に表記することが望まれます。
(懲戒の種類)
第58条 懲戒は次の6種類とし、懲戒を行う場合は、懲戒処分の内容、非違行為、懲戒事由等を書面にて職員に通知するものとする。
(1) け ん 責……始末書の提出を求め、将来を戒める。
(2) 減 給……始末書の提出を求め、1回につき、平均賃金1日分の2分の1以内を減給し将来を戒める。但し、2回以上にわたる場合においてもその総額は、一賃金支払期における賃金総額の10分の1以内とする。
(3) 出勤停止……始末書の提出を求め、7日以内を限度とした出勤を停止し、その期間の賃金を支払わない。
(4) 降 格……始末書の提出を求め、上級職位を解任して下級職位に就け、下級給料表に格付けする。
(5) 諭旨解雇……懲戒解雇に準ずる事由により解雇する。(諭旨解雇に相当する事由があった場合、退職金は減額して支給する。)
(6) 懲戒解雇……即時に解雇する。所轄労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当を支給しない。(又原則として懲戒解雇に相当する事由があった場合、退職金は全額支給しない。)
2 前項の懲戒の他、職員が法人に損害を及ぼした時は、その損害を賠償させることがある。
・けん責で即始末書聴取としていますが、訓戒を受け、始末書の聴取を行わない懲戒を設けることも差し支えありません。
(けん責)
第59条 職員が次の各号の一に該当するときは、けん責に処する。
(1) 正当な事由なくして遅刻・早退・私用外出をし、又はしばしば職場を離脱して業務に支障をきたしたとき
(2) 正当な理由なく無断欠勤、その他勤務に関する手続き・届出を偽り又は怠ったとき
(3) 業務上の書類、伝票等を改変し、又は虚偽の申告、届出をしたとき
(4) 業務に対する誠意を欠き、職務怠慢と認められるとき
(5) xx不良にして、他の職員等に対し暴行、脅迫を加え、又は法人において、賭博その他これに類する行為をなす等法人内の風紀秩序を乱したとき
(6) 就業時間内に許可なく私用を行ったとき
(7) 所属長又は関連上司の業務上の指示、命令に従わないとき
(8) 著しく協調性に欠け不当に人を中傷する等、他の職員等とまったくそりの合わないとき
(9) 法人の発行した証明書類を他人に貸与し、又は流用したとき
(10)許可なく法人の文書、帳簿、その他の書類を部外者に閲覧させ、又はこれに類する行為のあったとき
(11)職場内において他の職員の業務に支障を与えるような性的な言動を行うなど、職場の秩序や風紀を乱した者
(12) 職場における地位や権限など相手に対しての何らかの優位性を発揮できる力を用いて、本来の業務の範囲を超えて、断続的又は日常的に人格と尊厳を侵害する行動を行うこと。(パワハラ等防止規程関連)
(13)法人規則・通達・通知等に違反し前各号に準ずる程度の不都合な行為があったとき
(減給、出勤停止)
第60条 職員が次の各号の一に該当するときは、減給又は出勤停止に処する。但し、情状により、けん責にとどめることがある。
(1) 前条の違反が再度に及ぶとき、又は情状重大と認められるとき
(2) 故意、過失、怠慢若しくは監督不行届きによって災害、傷害その他の事故を発生させ、又は法人の設備、器具を破損したとき
(3) 許可なく法人の物品を持ち出し、又は持ち出そうとしたとき
(4) 許可なく法人内、若しくは付属の施設内で集会し、又は文書・図面等を配布・貼付・掲示・販売し、その他これに類する行為をしたとき
(5) 法人の掲示を故意に汚損若しくは改変し、又は破棄したとき
(6) 役職者においてハラスメント(xxxx、マタニティ及びパワハラを含む。以下同)を把握しながら放置したり、その監督が不充分であったため所属職員にハラスメントを発生させた者
(7) その他前各号に準ずる程度の不都合な行為があったとき
(降格、諭旨解雇)
第61条 職員が次の各号の一に該当するときは、降格又は諭旨解雇に処する。
(1) 前2条の違反が再度に及ぶとき、又は情状重大と認められるとき
(2) 職務又は職位を利用して法人の資産、その他これに類するものを使用し、自己の利益をはかったとき
(3) 職務又は職位を利用して部外者から不当な金品、饗応を受け、又は要求、約束し、自己又は他人の利益をはかったとき
(4) 法人の許可を受けず法人外の業務に従事したとき
(5) 正当な理由なく職場配置、休職、復職、配置転換、出張、職位決定、降格、給与決定、降給等の人事命令を拒否したとき
(6) 故意に業務能率を低下させ、又は業務の妨害をはかったとき
(7) その他前各号に準ずる程度の不都合な行為があったとき
(懲戒解雇)
第62条 職員が次の各号の一に該当するときは、懲戒解雇に処する。但し、情状により諭旨解雇にとどめることがある。
(1) 前3条の違反が再度に及ぶとき、又は情状重大と認められるとき
(2) 懲戒処分に対して改悛の情なしと認められたとき
(3) 出勤常ならず改善の見込みのないとき
(4) 刑事事件に関し有罪の判決を受けたとき
(5) 重大な経歴を偽り、その不正な方法を用いて採用されたとき
(6) 正当な理由のない無断欠勤で、法人に多大な迷惑をかけたとき
(7) 法人の許可を受けないで、他の法人の役員又は職員となり、又は営利を目的とする業務に従事したとき
(8) 法人の経営上及び業務上並びに利用者の重大な秘密情報等を法人外に漏らしたとき又は漏らそうとしたとき
(9) 利用者及び法人の金品を詐取流用し又は虚偽の伝票、書類を作成、発行して自己の利益をはかり、利用者及び法人に損害を与えたとき
(10)故意又は重大なる過失によって、利用者及び法人の設備、器物その他の財産を破損又は紛失し、利用者及び法人に莫大な損害を与えたとき
(11)所属長又は関連上司の指示命令を侮辱してこれに反対し、職場の秩序を乱し、業務を妨害したとき
(12)上司に暴行脅迫を加え、又は職員として著しく常軌を逸する粗暴な行為のあったとき
(13)破廉恥、背信な不正不義の行為をなし、職員としての体面を汚し法人の名誉及び信用を傷つけたとき
(14)法人の職員等に対して不当に退職を強要したとき(xxxxによって退職を余儀なくされるようなケースも含む)
(15)法人の秩序を乱すような噂や流言飛語を行ったとき(職場に居られないような噂を立てるセクハラのケースも含む)
(16)法人において暴行・脅迫・監禁その他、法人内の秩序を乱す行為をしたとき(性的な強要などセクハラのケースを含む)
(17)職場内において、職責など立場を利用して性的な強要をしたとき
(18)職場内において、他の職員等の業務に支障を与えるような性的な行為をしかける等、職場の秩序又は風紀を乱したとき
(19)職場における地位や権限など相手に対しての何らかの優位性を発揮できる力を用いて、本来の業務の範囲を超えて、断続的又は日常的に人格と尊厳を侵害する行動を行うこと。(パワハラ等防止規程関連)
(20)法人において、職場秩序を乱すような政治活動、宗教活動等を行い周囲の人々に多大な迷惑をかけたと法人が判断したとき
(21)殺人、傷害、暴行、脅迫、強盗、窃盗、横領その他の重大な刑事犯罪を犯したとき
(22)法人の経営権を侵し、若しくは経営基盤をおびやかす行動、画策をなし、又は経営方針に反する行動、画策により正常な運営を阻害若しくは阻害させようとしたとき
(23)法人の経営に関して、故意に真相をゆがめ、又は事実を捏造して宣伝流布する等の行為により、法人の名誉、信用を傷つけたとき
(24)その他前各号に準ずる程度の社会通念上、相当とする不都合な行為があったとき
・懲戒を行う時は、懲戒手続き規程に基づき弁明の機会を与え、事情をよく聴取するなど適正な手続きによることに留意してください。
・けん責が何回も重なる場合は、減給又は出勤停止のより重い懲戒がなされることになります。
・出勤停止は、一定期間出勤を停止して、その間の賃金を支払わない懲戒です。期間の定めについては法律上特に規制はありませんが、あまり長い出勤停止期間は望ましくありません。なお、7日以上の無断欠勤が出勤停止処分、14日以上が懲戒解雇というのが通例です。
・懲戒規定が設けられる以前の行為に対して遡って懲戒することや、1回の事由で2つの懲戒を行うことはできません。
・事業所に懲戒の定めがある場合には、その種類及び程度について就業規則に定めておかなければならず(労働基準法第89条第9号)、定めていない処分を任意に課すことはできません。また、懲戒の事由も、必ず条文として設けることが望ましく、懲戒の内容が合理的なものであり、その内容を労働者に周知している場合は、法的規範性が認められることになります。(労働契約法第7条)
第9章 福利厚生及び教育
(祝い金)
第63条 職員の次の慶事に対しては、職員の届出により祝い金を支給する。
(1) 結婚の場合 ○円
(2) 出産の場合 ○円
・「慶弔規程」を別規定として独立させても差し支えありません。
・職員へ慶弔金を直接支給する場合は就業規則又は慶弔規程に定められていることが必要です。ただし、常識の範囲を超えないことが求められます。
(弔慰金)
第64条 職員が在職中死亡した場合は弔慰金を支給する。
・例えば「福利厚生費」にて掛金を法人が負担して職域保険に加入し、死亡時一時金に備えている法人もあります。
(福利厚生)
第65条 職員及びその家族の福利厚生は福利厚生センターに加入するほか、別に定める規定による。
(教育)
第66条 法人・事業所は新たに採用した職員に対して採用後○か月以内に就業規則、その他業務上必要な事項を教育する。
2 法人・事業所は職員に対し職務能力、技能の開発及び向上のために必要と認める場合は教育訓練を実施し、又は外部受講を指示することがある。
3 職員は前項の教育訓練の指示に従わなければならない。
第10章 雑 則
(期間中の休日)
第67条 第8条、第11条、第12条、第16条、第19条、第20条、第45条、第47条及び第58条において、一定の日数、週数、月数又は年数で示されているものについては、その日数、週数、月数又は年数中には休日を含むものとする。
(実施規定)
第68条 この規則に規定するもののほか、実施にあたっての細部についての必要な事項は、法人理事長が定める。
(改正)
第69条 この規則の改正は、職員の代表者の意見を聴いた上、法人理事会の議決により行う。
(付則)この規則は平成 年 月 日より施行する。
<就業規則上の規定例示>
(時間外および休日労働)
第40条 業務の都合により、第30条の所定時間を超え、または第32条の所定休日に労働させることがある。この場合、法定の労働時間を超える労働、または法定の休日に労働させる労働については、あらかじめ法人は、職員代表と書面による協定を行い、これを所轄の労働基準監督署長に届け出るものとする。
2 時間外及び休日勤務は、原則として法人の指示によるかまたは上司の承認を得て行うものとする。
3 勤務は、始業時刻に勤務を開始し、業務終了後は特別の用務がない限り遅帯なく退勤しなければならない。但し、終業時刻までに業務が終了せず時間外労働を行った場合、事後必ず上司の承諾を得なければならない。
4 所定終業時刻が過ぎた時刻より休憩時間とする。
5 職員が時間外労働を行う場合は法定休憩とは別に15分間の休憩をとった上、業務を開始しなければならない。
6 前項の所定の手続きに拠らず時間外労働を行ったときは、この時間について時間外労働とは認めない。
7 法人は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する職員が当該子を養育するため又は要介護状態にある家族を介護する職員が当該家族を介護するために請求した場合には、就業規則の規定及び時間外労働に関する協定にかかわらず、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、1か月について24時間、1年について150時間を超えて時間外労働をさせることはない。
8 法人は、3歳に達するまでの子を養育する職員が当該子を養育するために請求した場合には、就業規則の規定及び時間外労働に関する協定にかかわらず、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、所定労働時間を超えて労働をさせることはない。
「(携帯機器、パソコンの私的使用の禁止)
第○○条 従事者は、携帯機器を仕事以外の目的(私的な電話、電子メール、インターネット、ゲームなど)で業務時間中に使用・携帯しないこと。また、事業所が貸与した携帯機器を仕事以外の目的で使用しないこと、もしくは、事業所外の者に使用させないこと。
2 従事者は、事業所のパソコンを仕事以外の目的(インターネット、ゲーム、電子メールなど)で使用しないこと。
3 施設長は、前項の規定に違反する者がいないかどうかを調査するため、従事者の承諾を得ずに、私的にインターネットや電子メールを行わなかったかどうかを調査することができるものとする。」