Contract
【事案Ⅰ-1】契約無効請求
・2021 年 5 月 6 日 和解解決
<事案の概要>
申立人は、転換契約を無効とし、転換契約(終身共済)のこれまで 25 年間の共済掛
金合計額から被転換契約(養老生命共済 2 契約)の満期までの共済掛金合計額を差し
引いた金額 1,599,590 円および養老生命共済 2 契約の満期共済金計 300 万円の合計
4,599,590 円の返還を求め、裁定の申立てがあったもの。
<申立人の主張>
1.申立ての趣旨
①養老生命共済(満期共済金 100 万円)②養老生命共済(満期共済金 200 万円)「以上、被転換契約」③終身共済「転換契約」に関して、無効である転換契約のこれまでの 25 年間の共済掛金合計額から、被転換契約である 2 契約を満期まで掛けた場合の共済
掛金合計額を差し引いた金額 1,599,590 円および被転換契約 2 契約の満期共済金
3,000,000 円の合計額 4,599,590 円を申立人に返還せよ、との判断を求める。
2.申立ての理由
(1)2 本の養老生命共済契約を、終身共済 1 本にまとめて転換するとよいとして、申立人の積立型を重視した共済契約内容を無視して、養老生命共済契約を終身共済契約に転換するにあたり終身共済が積立型ではない共済であることの説明が一切無く、申立人を騙したと考えられるような転換である。
(2)当然、被申立人は申立人の変更内容の承諾をも得ておらず、終身共済の契約は詐欺行為にもなり、無効である。
(3)終身共済契約を締結した 25 年前から、5 年なり 10 年毎の契約内容の説明はなく、
2 年程度前から配布されている共済の内容にかかる説明は現在においても行われていない。民間保険会社では、毎年、加入保険契約について説明が義務付けられていると聞く。
<共済団体の主張>
1.申立ての趣旨に対する答弁
申立人の請求は認められない、とする判断を求める。
2.申立ての理由に対する答弁
(1)契約内容の有効性について
契約時の契約担当者は既に退職しており契約当時の詳細な経過については不明で あるが、契約転換前の養老生命共済(2 契約)を終身保障ならびに入院保障を 80 歳まで伸ばす等の拡充した内容に変更している。契約時に診査医扱いでの受診もあり、
申立人は契約内容を承知していたと判断し、有効性を主張する。
(2)契約内容について
① 契約内容は、共済証書の交付を行うとともに、毎年共済掛金案内通知書ならびに加入状況表の案内を行っている。
② 申立人はこの終身共済で保障する「がん倍全入院特約」での手術共済金の請求を 1999 年から 6 回行っており、被申立人は請求にあたり共済金の支払いを行っている。
③ 上記により、終身共済主契約 400 万円以外に保障されている共済契約であることを申立人は承知していたと判断する。
④ 終身共済の共済証書には、次の記載がある。
ア.xxxが主張する終身共済の満期共済金については、終身共済は終身保障をする内容であるため、満期共済金が存在しないこと
イ.60 歳までの定期特約 3,100 万円による保障や 80 歳まで保障する「がん倍全入院特約」等があること
<裁定の概要>
審議会において、当事者双方へ審議会から陳述要請(質問)を行うとともに、被申立人に対し、「転換契約に関し十分な説明や資料提供を行ったか、転換契約手続きが適切に行われたか」について、さらに釈明および資料の提出を求めた。その結果を基に、和解による解決を両当事者に打診したところ、両当事者は合意し、和解解決となった。