Contract
第1章 総則
第1条(目的)
さくら法律事務所 報酬基準規程平成16.4.1施行
この規程は,さくら法律事務所に所属する弁護士(以下,弁護士という。)が受任した職務に関して受ける弁護士報酬等に関する基準を示すことを目的とする。
第2条(弁護士報酬の種類)
弁護士報酬は,法律相談料,書面による鑑定料,手数料,日当,着手金,成功報酬金,時間制報酬及び顧問料とする。
2 前項の用語の意義は,次のとおりとする。
法律相談料
依頼者に対して行う法律相談(口頭による鑑定,電話による相談を含む。)の対価をいう。 書面による鑑定料
依頼者に対して行う書面による法律上の判断又は意見の表明の対価をいう。 手数料
原則として一回程度の手続又は委任事務処理で終了する事件等についての委任事務処理の対価をいう。
日当
弁護士が,委任事務処理のために事務所所在地を離れ,移動によってその事件等のために拘束されること(委任事務処理自体による拘束を除く。)の対価をいう。
着手金
事件又は法律事務(以下「事件等」という。)の性質上,委任事務処理の結果に成功不成功があるものについて,その結果のいかんにかかわらず受任時に受けるべき委任事務処理の対価をいう。
成功報酬金
事件等の性質上,委任事務処理の結果に成功不成功があるものについて,その成功の程度に応じて受ける委任事務処理の対価をいう。
顧問料
契約によって継続的に行う一定の法律事務の対価をいう。 時間制報酬
事件等の性質を問わず,委任事務処理の対価として,時間ごとの単価にその処理を要した時
間を乗じた額によって決定するものをいう。
第3条(弁護士報酬の支払時期)
弁護士報酬は,依頼者との協議により定められたときに,支払いを受ける。
2 着手xは,原則として事件等の依頼を受けたときに,報酬金は,原則として事件等の処理が終了したときに,支払いを受ける。
第4条(事件等の個数等)
弁護士報酬は,一件ごとに定めるものとし,裁判上の事件は審級ごとに,裁判外の事件等は当初依頼を受けた事務の範囲をもって,一件とする。ただし,第3章第1節において,弁護士が引き続き上訴審を受任したときの報酬金については,特に定めのない限り,最終審の報酬金のみを受ける。
2 裁判外の事件等が裁判上の事件に移行したときは,別件とする。
第5条(報酬請求権)
弁護士は,各依頼者に対し,弁護士報酬を請求することができる。
2 次の各号の一に該当するときは,弁護士は,第2章ないし4章,及び第6,7章の規定にかかわらず,弁護士報酬を妥当な範囲内で減額することがある。
一 依頼者から複数の事件等を受任し,かつその紛争の実態が共通であるとき。
二 複数の依頼者から同一の機会に同種の事件等につき依頼を受け,委任事務処理の一部が共通であるとき。
第6条(説明義務等)
弁護士は依頼者に対し,あらかじめ弁護士報酬等について,十分に説明し,法律事務の内容に応じた見積書を作成・交付する。
2 弁護士は,事件等を受任したときは,委任契約書(報酬契約条項を含む)を作成する。
3 委任契約書には,事件等の表示,受任事務の範囲,弁護士報酬等の額及び支払時期その他の特約事項を記載する。
第7条(消費税に相当する額)
この規程に定める額は,消費税法(昭和六十三年法律第百八号)に基づき,弁護士の役務に対して課される消費税の額に相当する額を含まない。
2 弁護士は,法律事務を依頼しようとする者に対しては,消費税を含めた金額を表示する。
第2章 法律相談料等
第8条(法律相談料)
法律相談料は,原則として,30分ごとに5,000円とする。但し,依頼者との協議により,増減することがある。
第9条(書面による鑑定料)
書面による鑑定料は,一鑑定事項につき10万円以上とする。
第3章
第10条(手数料)
手数料は,この規程に特に定めのない限り,事件等の対象の実質的な経済的利益の額を基準として,次の各号の表のとおりとする。なお,実質的な経済的利益の額の算定については,第8条ないし第13条の規定を準用する。
一 裁判上の手数料 別紙一覧表二 裁判外の手数料 別紙一覧表
第4章
第11条(日当)
日当は,次のとおりとする。
半日(往復2時間を超え4時間まで) 3万円以上5万円以下 1日 (往復4時間を超える場合) 5万円以上10万円以下
2 前項にかかわらず,弁護士は,依頼者と協議のうえ,前項の額を適正妥当な範内で増減額することがある。
3 弁護士は,概算により,あらかじめ依頼者から日当を預かることがある。
第5章
第12条(実費等の負担)
弁護士は,依頼者に対し,弁護士報酬とは別に,収入印紙代,郵便切手代,謄写料,交通通信費,宿泊料,保証金,保管金,供託金その他委任事務処理に要する実費等の負担を求めることがある。
2 弁護士は,概算により,あらかじめ依頼者から実費等を預かることがある。
第6章 着手金及び報酬金第1節 民事事件
第13条(民事事件の着手金及び報酬金の算定基準)
本節の着手金及び報酬金については,この規程に特に定めのない限り,着手金は事件等の対象の実質的な経済的利益の額及びその他の実質的な利益を,報酬金は委任事務処理により確保した実質的な経済的利益の額及びその他の実質的な利益をそれぞれ基準として算定する。
第14条(実質的な経済的利益の算定可能な場合)
前条の実質的な経済的利益の額は,この規程に特に定めのない限り,以下の金額を参考に算定する。
1 金銭債権は,債権総額(利息及び遅延損害金を含む。)
2 将来の債権は,債権総額から中間利息を控除した額
3 継続的給付債権は,債権総額の10分の7の額。ただし,期間不定のものは,7年分の額
4 賃料増減請求事件は,増減額分の7年分の額
5 所有権は,対象たる物の時価相当額
6 占有権,地上権,永xxx,賃借権及び使用借権は,対象たる物の時価の2分の1の額。ただし,その権利の時価が対象たる物の時価の2分の1の額を超えるときは,その権利の時価相当額
7 建物についての所有権に関する事件は,建物の時価相当額に,その敷地の時価の3分の1の額を加算した額。建物についての占有権,賃借権及び使用借権に関する事件は,前号の額に,その敷地の時価の3分の1の額を加算した額
8 地役権は,承役地の時価の2分の1の額
9 担保権は,被担保債権額。ただし,担保物の時価が債権額に達しないときは,担保物の時価相当額
10 不動産についての所有権,地上権,永xxx,地役権,賃借権及び担保xxの登記手続請求事件は,第5号,第6号,第8号及び前号に準じた額
11 詐害行為取消請求事件は,取消請求債権額。ただし,取り消される法律行為の目的の価額が債権額に達しないときは,法律行為の目的の価額
12 共有物分割請求事件は,対象となる持分の時価の3分の1の額。ただし,分割の対象となる財産の範囲又は持分に争いのある部分については,争いの対象となる財産又は持分の額
13 遺産分割請求事件は,対象となる相続分の時価相当額。ただし,分割の対象となる財産の範囲及び相続分について争いのない部分については,その相続分の時価相当額の3分の1の額
14 遺留分減殺請求事件は,対象となる遺留分の時価相当額
15 金銭債権についての民事執行事件は,請求債権額。ただし,執行対象物件の時価が債権額に達しないときは,第1号の規定にかかわらず,執行対象物件の時価相当額(担保権設定,仮差押等の負
担があるときは,その負担を考慮した時価相当額)
第15条(実質的な経済的利益の算定不能の場合)
前条により実質的な経済的利益の額を算定することができないときは,その額を800万円とする。
2 弁護士は,依頼者と協議のうえ,前項の額を,事件等の難易,軽重,手数の繁簡及び依頻者の受ける利益等を考慮して,適正妥当な範囲内で決定することができる。
第16条(民事事件の着手金及び報酬金)
実質的な経済的利益の額 | 着手金 | 報酬金 |
300万円以下の部分 | 8% | 16% |
300万円を超え3000万円以下の部分 | 5% | 10% |
3000万円を超え3億円以下の部分 | 3% | 6% |
3億円を超える部分 | 2% | 4% |
訴訟事件,非訟事件,家事審判事件,行政審判等事件及び仲裁事件の着手金及び報酬金は,この規程に特に定めのない限り,実質的な経済的利益の額を基準として,それぞれ以下のとおり算定する。
2 前項の着手金及び報酬金は,事件の内容により,30%の範囲内で増減することがある。
3 民事事件につき同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは,前2項の規定にかかわらず,着手金を適正妥当な範囲内で減額することがある。
4 前3項の規定にかかわらず,実質的な経済的利益の額が96万円以下の事件の着手金は,10万円を限度に増額することがある。
第17条(調停事件及び示談交渉事件)
調停事件及び示談交渉(裁判外の和解交渉をいう。以下同じ。)事件の着手金及び報酬金は,この規程に特に定めのない限り,それぞれ前条第1項及び第2項又は第20条第1項及び第2項の各規定を準用する。ただし,それぞれの規定により算定された額の3分の2に減額することができる。
2 示談交渉事件から引き続き調停事件を受任するときの着手金は,この規程に特に定めのない限り,前条又は第20条第1項及び第2項の各規定により算定された額の2分の1とする。
3 示談交渉事件又は調停事件から引き続き訴訟その他の事件を受任するときの着手金は,この規程に特に定めのない限り,前条第1項又は第20条第1項及び第2項の各規定により算定された額の2分の1とする。
4 前3項の規定にかかわらず,実質的な経済的利益の額が96万円以下の事件の着手金は,10万円
(第20条の規定を準用するときは,5万円)を限度に増額することができる。
第18条(契約締結交渉)
実質的な経済的利益の額 | 着手金 | 報酬金 |
300万円以下の部分 | 2% | 4% |
300万円を超え3,000万円以下の部分 | 1% | 2% |
3,000万円を超え3億円以下の部分 | 0.5% | 1% |
3億円を超える部分 | 0.3% | 0.6% |
示談交渉事件を除く契約締結交渉の着手金及び報酬金は,経済的利益の額を基準として,次のとおり算定する。
2 前項の着手金及び報酬金は,事案の内容により,30%の範囲内で増減額することがある。
3 前2項の着手金は,5万円を最低額とする。
4 契約締結に至り報酬金を受けたときは,契約書その他の文書を作成した場合でも,第38条所定手数料を請求しないこととする。
第19条(督促手続事件)
督促手続事件の着手金は,経済的利益の額を基準として,次のとおり算定する。
実質的な経済的利益の額 | 着手金 |
300万円以下の部分 | 2% |
300万円を超え3,000万円以下の部分 | 1% |
3,000万円を超え3億円以下の部分 | 0.5% |
3億円を超える部分 | 0.3% |
2 前項の着手金は,事件の内容により,30%の範囲内で増減することがある。
3 前2項の着手金は,5万円を最低額とする。
4 督促手続事件が訴訟に移行したときの着手金は,第16条又は第20条の規定により算定された額と前3項の規定により算定された額との差額とする。
5 督促手続事件の報酬金は,第16条又は第20条の規定により算定された額の2分の1とする。ただし,依頼者が金銭等の具体的な回収をしたときでなければ,これを請求することができない。
6 前項ただし書の目的を達するため,民事執行事件を受任するときは,第1項ないし前項の着手金又は報酬金とは別に,民事執行事件の着手金として第16条の規定により算定された額の3分の1を,報酬金として同条の規定により算定された額の4分の1を,それぞれ受けることができる。
第20条(手形,小切手訴訟事件)
手形,小切手訴訟事件の着手金及び報酬金は,実質的な経済的利益の額を基準として,次のとおりと
する。
実質的な経済的利益の額 | 着手金 | 報酬金 |
300万円以下の部分 | 4% | 8% |
300万円を超え3,000万円以下の部分 | 2.5% | 5% |
3,000万円を超え3億円以下の部分 | 1.5% | 3% |
3億円を超える部分 | 1% | 2% |
2 前項の着手金及び報酬金は,事件の内容により,30%の範囲内で増減することがある。
3 前2項の着手金は,5万円を最低額とする。
4 手形,小切手訴訟事件が通常訴訟に移行したときの着手金は,第16条の規定により算定された額と前3項の規定により算定された額との差額とし,その報酬金は,第16条の規定を準用する。
第21条(離婚事件)
離婚事件の内容 | 着手金及び報酬金 |
離婚調停事件又は離婚交渉事件 | それぞれ20万円以上50万円以下 |
離婚訴訟事件 | それぞれ30万円以上60万円以下 |
離婚事件の着手金及び報酬金は,次のとおりとする。ただし,引き続き上訴事件を受任するときは,着手金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
2 離婚交渉事件から引き続き離婚調停事件を受任するときの着手金は,前項の規定による離婚調停事件の着手金の額の2分の1とする。
3 離婚調停事件から引き続き離婚訴訟事件を受任するときの着手xは,第1項の規定による離婚訴訟事件の着手金の額の2分の1とする。
4 前3項において,財産分与,慰謝料など財産給付を伴うときは,財産給付の実質的な経済的利益の額を基準として,第16条又は第17条の規定により算定された着手金及び報酬金の額以下の適正妥当な額を加算して請求することがある。
5 前4項の規定にかかわらず,依頼者と協議のうえ,離婚事件の着手金及び報酬金の額を,依頼者の経済的資力,事案の複雑さ及び事件処理に要する手数の繁xxを考慮し,適正妥当な範囲内で増減額することがある。
第22条(境界に関する事件)
境界確定訴訟,境界確定を含む所有権に関する訴訟その他境界に関する訴訟の着手金及び報酬金は,次のとおりとする。ただし,引き続き上訴事件を受任するときは,着手金を適正妥当な範囲内で減額することがある。
着手金及び報酬金はそれぞれ30万円以上60万円以下
2 前項の着手金及び報酬金は,第16条の規定により算定された着手金及び報酬金の額が前項の額を上回るときは,同条の規定による。
3 境界に関する調停事件及び示談交渉事件の着手金及び報酬金は,事件の内容により,第1項の規定による額又は前項の規定により算定された額の,それぞれ3分の2に減額することがある。
4 境界に関する示談交渉事件から引き続き調停事件を受任するときの着手金は,第1項の規定による額又は第2項の規定により算定された額のそれぞれ2分の1とする。
5 境界に関する調停事件又は示談交渉事件から引き続き訴訟事件を受任するときの着手金は,第1項の規定による額又は第2項の規定により算定された額の,それぞれ2分の1とする。
6 前5項の規定にかかわらず,弁護士は,依頼者と協議のうえ,境界に関する事件の着手金及び報酬金の額を,依頼者の経済的資力,事案の複雑さ及び事件処理に要する手数の繁xxを考慮し,適正妥当な範囲内で増減額することがある。
第23条(借地非訟事件)
借地権の額 | 着手金 |
5,000万円以下の場合 | 20万円以上50万円以下 |
5,000万円を超える場合 | 前段の額に5,000万円を超える部分の0.5%を加算した額 |
借地非訟事件の着手金は,借地権の額を基準として,次のとおりとする。ただし,引き続き上訴事件を受任するときは,着手金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
2 借地非訟事件の報酬金は,次のとおりとする。ただし,弁護士は,依頼者と協議のうえ,報酬金の額を,事実の複雑さ及び事件処理に要する手数の繁xxを考慮し,適正妥当な範囲内で増減額することができる。
一 申立人については,申立が認められたときは借地権の額の2分の1を,相手方の介入権が認められたときは財産上の給付額の2分の1を,それぞれ経済的利益の額として,第16条の規定により算定された額
二 相手方については,その申立が却下されたとき又は介入権が認められたときは,借地権の額の2分の1を,賃料の増額又は財産上の給付が認められたときは,賃料増額分の7年分又は財産上の給付額をそれぞれ経済的利益として,第16条の規定により算定された額
3 借地非訟に関する調停事件及び示談交渉事件の着手金及び報酬金は,事件の内容により,第1項の規定による額又は前項の規定により算定された額の,それぞれ3分の2に減額することができる。
4 借地非訟に関する示談交渉事件から引き続き調停事件を受任するときの着手金は,第1項の規定による額の2分の1とする。
5 借地非訟に関する調停事件又は示談交渉事件から引き続き借地非訟事件を受任するときの着手金は,第1項の規定による額の2分の1とする。
第24条(保全命令申立事件等)
仮差押及び仮処分の各命令申立事件(以下「保全命令申立事件」という。)の着手金は,第16条の規定により算定された額の2分の1とする。ただし,審尋又は口頭弁論を経たときは,同条の規定により算定された額の3分の2とする。
2 前項の事件が重大又は複雑であるときは,第16条の規定により算定された額の4分の1の報酬金を受けることができる。ただし,審尋又は口頭弁論を経たときは,同条の規定により算定された額の3分の
1の報酬金を受けることができる。
3 第1項の手続のみにより本案の目的を達したときは,前項の規定にかかわらず,第16条の規定に準じて報酬金を受けることができる。
4 保全執行事件は,その執行が重大又は複雑なときに限り,保全命令申立事件とは別に着手金及び報酬金を受けることができるものとし,その額については,次条第1項及び第2項の規定を準用する。
5 第1項の着手金及び第2項の報酬金並びに前項の着手金及び報酬金は,本案事件と併せて受任したときでも,本案事件の着手金及び報酬金とは別に受けることができる。
6 保全命令申立事件及び保全執行事件の着手金は,10万円を最低額とする。
第25条(民事執行事件等)
民事執行事件の着手金は,第16条の規定により算定された額の2分の1とする。
2 民事執行事件の報酬金は,第16条の規定により算定された額の4分の1とする。
3 民事執行事件の着手金及び報酬金は,本案事件に引き続き受任したときでも,本案事件の着手金及び報酬金とは別に受けることができる。ただし,着手金は第16条の規定により算定された額の3分の
1とする。
4 執行停止事件の着手金は,第16条の規定により算定された額の2分の1とする。ただし,本案事件に引き続き受任するときは,同条の現定により算定された額の3分の1とする。
5 前項の事件が重大又は複雑なときは,第16条の規定により算定された額の4分の1の報酬金を受けることができる。
6 民事執行事件及び執行停止事件の着手金は,5万円を最低額とする。
第26条(倒産整理事件)
破産,会社整理,特別清算及び会社更生の各事件の着手金は,資本金,資産及び負債の額,関係人
一 事業者の自己破産事件 | 30万円以上 |
二 非事業者の自己破産事件 | 20万円以上 |
三 自己破産以外の破産事件 | 50万円以上 |
四 会社整理事件 | 100万円以上 |
五 特別清算事件 | 100万円以上 |
六 会社更生事件 | 200万円以上 |
の数等事件の規模並びに事件処理に要する執務量に応じて定め,それぞれ次の額とする。ただし,これらの事件に関する保全事件の弁護士報酬は,着手金に含まれる。
2 第1項第三,四及び六号の各事件の報酬金は,第16条の規定を準用する。この場合の経済的利益の額は,配当額,配当資産,免除債権額,延払いによる利益及び企業継続による利益等を考慮して算定する。
3 免責異議申立事件の着手金については,第1項第二号の規定により算定された額の2分の1とする。この場合の報酬金については前項の規定を準用する。
第27条(民事再生事件)
民事再生事件の着手金は,資本金,資産及び負債の額,関係人の数等事件の規模並びに事件処理に要する執務量に応じて定め,それぞれ次の額とする。ただし,民事再生事件に関する保全
の弁護士報酬は,着手金に含まれる。
一 事業者の民事再生事件 | 100万円以上 |
二 非事業者の民事再生事件 | 30万円以上 |
三 小規模個人再生及び給与所得者等再生事件 | 20万円以上 |
2 民事再生事件の報酬金は,依頼者が民事再生計画認可決定を受けたときに限り,受けることができる。
3 第16条の規定は,前項の報酬金の決定について準用する。
4 第2項の報酬金の決定に際し基準となる経済的利益の額は,弁済額,免除債権額,延払いによる利益及び企業継続による利益等を考慮して算定する。ただし,次項の弁護士報酬を既に受領しているときは,これを考慮する。
5 依頼者が再生手続開始決定を受けた後民事再生手続が終了するまでの執務の対価として,依頼者との協議により,相当額の弁護士報酬を受けることができる。
6 前項の弁護士報酬の算定にあたっては,執務量,着手金及び既に第2項の報酬金を受領している場合には当該報酬金の額を考慮する。
7 民事再生法第235条に基づく免責申立事件(免責異議申立事件を含む。) の着手金は,第1項第
三号の規定により算定された額の2分の1とする。免責異議申立事件の報酬金は,前項の規定を準用する。
第28条(任意整理事件)
一 事業者の任意整理事件 | 30万円以上 |
二 非事業者の任意整理事件 | 10万円以上 |
任意整理事件(第26条第1項又は前条第1項に該当しない債務整理事件をいう。)の着手金は,資本金,資産及び負債の額並びに関係人の数等事件の規模に応じて定め,それぞれ次の額とする。
500万円以下の部分 | 15% |
500万円を超え1,000万円以下の部分 | 10% |
1,000万円を超え5,000万円以下の部分 | 8% |
5,000万円を超え1億円以下の部分 | 6% |
1億円を超える部分 | 5% |
2 前項の事件が清算により終了したときの報酬金は,債務の弁済に供すべき金員又は代物弁済に供すべき資産の価額(以下「配当xx額」という。)を基準とし,次の各号を基本として協議して決定する。一 債権取立,資産売却等により集めた配当xx額につき
二 依頼者及び依頼者に準ずる者から任意提供を受けた配当xx額につき
5000万円以下の部分 | 3% |
5,000万円を超え1億円以下の部分 | 2% |
1億円を超える部分 | 1% |
3 第1項の事件が,債務の減免,履行期限の猶予又は企業継続等により終了したときの報酬金は,第
26条第2項の規定を準用する。
4 第1項の事件の処理について,裁判上の手続を要したときは,前2項に定めるほか,本節の規定により算定された報酬金を受けることができる。
第29条(行政上の不服申立事件)
行政上の異議申立,審査請求,再審査請求その他の不服申立事件の着手金は,第16条の規定により算定された額の3分の2とし,報酬金は,同条の規定により算定された額の2分の1とする。ただし,審尋又は口頭審理等を経たときは,同条の規定を準用する。
2 前項の着手金は,5万円を最低額とする。
第2節 刑事事件
第30条(刑事事件の着手金)
刑事事件の着手xは,次のとおりとする。
刑事事件の内容 | 着手金 |
起訴前及び起訴後(第xx及び上訴審をいう。 以下同じ。)の事案簡明な事件 | 30万円以上50万円以下 |
起訴前及び起訴後の前段以外の事件及び再審事件 | 30万円以上 |
再審請求事件 | 30万円以上 |
2 前項の事案簡明な事件とは,特段の事件の複雑さ,困難さ又は繁雑さが予想されず,委任事務処理に特段の労力又は時間を要しないと見込まれる事件であって,起訴前については事実関係に争いがない情状事件,起訴後については公判終結までの公判開廷数が2ないし3開廷程度と見込まれる情状事件(上告事件を除く。),上告審は事実関係に争いがない情状事件をいう。
第31条(刑事事件の報酬金)
刑事事件の報酬金は,次のとおりとする。
刑事事件の内容 | 結 果 | 報酬x |
x.事案簡明な事件 | 起訴前→不起訴 | 30万円以上50万円以下 |
→求略式命令 | 前段の額を超えない額 | |
起訴後→刑の執行猶予 | 30万円以上50万円以下 | |
→求刑された刑が軽減された場合 | 前段の額を超えない額 | |
二.一以外の刑事事件 | 起訴前→不起訴 | 30万円以上 |
→求略式命令 | 30万円以上 | |
起訴後→無罪 | 50万円以上 | |
→刑の執行猶予 | 30万円以上 | |
(再審事件を含む) 求刑された刑が軽減された場合 | 軽減の程度による相当な額 | |
検察官上訴が棄却された場合 | 30万円以上 | |
三.再審請求事件 | 30万円以上 |
2 前項の事案簡明な事件とは,前条の事案簡明な事件と見込まれかつ結果において予想された委任事務処理量で結論を得た事件をいう。
第32条(刑事事件につき同一弁護士が引き続き受任した場合等)
起訴前に受任した事件が起訴(求略式命令を除く。)され,引き続いて同一会員が起訴後の事件を受任するときは,第30条に定める着手金を受けることができる。ただし,事案簡明な事件については,起訴前の事件の着手金の2分の1とする。
2 刑事事件につき引き続き上訴事件を受任するときは,前2条の規定にかかわらず,着手金及び報酬金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
3 追加して受任する事件が同種であることにより,追加件数の割合に比して1件当たりの執務量が軽減されるときは,追加受任する事件につき,着手金及び報酬金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
第33条(検察官の上訴取下げ等)
検察官の上訴の取下げ又は免訴,公訴棄却,刑の免除,破棄差戻若しくは破棄移送の言渡しがあったときの報酬金は,それまでに弁護人が費やした時間及び執務量を考慮したうえ,第31条の規定を準用する。
第34条(保釈等)
保釈,勾留の執行停止,抗告,即時抗告,準抗告,特別抗告,勾留理由開示等の申立事件の着手金及び報酬金は,依頼者との協議により,被疑事件又は被告事件の着手金及び報酬金とは別に,相当な額を受けることができる。
第35条(告訴,告発等)
告訴,告発,検察審査の申立,仮釈放,仮出獄,恩赦等の手続の着手金は,一件につき10万円以上とし,報酬金は,依頼者との協議により受けることができる。
第3節 少年事件
第36条(少年事件の着手金及び報酬金)
少年事件(家庭裁判所送致前の少年の被疑事件を含む。以下同じ。)の着手xは,次のとおりとする。
少年事件の内容 | 着手金 |
身柄が拘束されている事件 | 30万円 |
身柄が拘束されていない事件 | 20万円 |
抗告,再抗告及び保護取消事件 | 20万円 |
2 少年事件の報酬金は,次のとおりとする。
少年事件の結果 | 報酬金 |
非行事実なしに基づく審判不開始,不処分 | 40万円以上 |
身柄事件で非行事実認定に基づく審判不開始,不処分又は保護観察 | 30万円 |
在宅事件で非行事実認定に基づく審判不開始,不処分又は保護観察 | 20万円 |
3 弁護士は,着手金及び報酬金の算定につき,非行事実に争いがあったり,少年の環境調整に著しく手数を要したり,家裁送致以前の手続に特段の手数を要したり,試験観察に付されたなどの事情を考慮し,依頼者との協議により,前2項の着手金及び報酬金を適正妥当な範囲で増額することができるものとし,少年の環境調整に格段の手数を要しないなど,着手金及び報酬金を減額することが相当な事情があるときは,依頼者との協議により,前2項の着手金及び報酬金を適正妥当な範囲で減額することができる。
4 第2項に定める場合以外においても,報酬金を受領することが相当とする結果が得られたときは,依頼者との協議により,第2項及び前項前段に準じた報酬額を受領することができる。
第37条(少年事件につき同一会員が引き続き受任した場合)
家庭裁判所送致前に受任した少年事件は,家庭裁判所に送致されても1件の事件とみなす。
2 少年事件につき,引き続き抗告審等を受任するときは,前条にかかわらず,抗告審等の着手金及び報酬金を,適正妥当な範囲内で減額することができる。
3 送致された事件が複数である場合及び事件が追加して送致され併合された場合の着手金及び報酬金の算定については,1件の少年事件として扱うものとする。ただし,追加送致された事件により,少年の環境調整などのために著しく執務量を増加させるときには,追加受任する事件につき,依頼者との協議により適正妥当な着手金を受領することができる。
4 少年事件が刑事処分相当として家庭裁判所から検察官に送致されたときの刑事事件の着手金及び報酬金は,本章第二節の規定による。ただし,引き続き刑事事件を受任するときの着手金は,その送致前の執務量を考慮して,受領済みの少年事件の着手金の額の範囲内で減額することができる。
第7章 時間制報酬
第38条(時間制)
依頼者との協議により,受任する事件等に関し,第2章ないし第4章及び第6章の規定にかかわらず,30分当たりの適正妥当な委任事務処理単価にその処理に要した時間(移動に要する時間を含む。)を乗じた額を,弁護士報酬として受けることができる。
2 前項の単価は,30分ごとに5,000円以上とする。
3 具体的な単価の算定にあたり,事実の困難性,重大性,特殊性,新規性及び弁護士の熟練度等を考慮する。
4 弁護士は,時間制報酬を受けるときは,あらかじめ依頼者から相当額を預かることができる。
第8章 顧問料
第39条(顧問料)
顧問料は,次のとおりとする。ただし,事業者については,事業の規模及び内容等を考慮して,その額を減額することができる。
事業者 月額5万円以上 非事業者 月額1万円以上
2 顧問契約に基づく弁護士業務の内容は,依頼者との協議により特に定めのある場合を除き,一般的な法律相談とする。
3 簡易な法律関係調査,簡易な契約書その他の書類の作成,簡易な書面鑑定,契約立会,従業員の法律相談,株主総会の指導又は立会,講演などの業務の内容並びに交通費及び通信費などの実費の支払等につき,弁護士は,依頼者と協議のうえ,顧問契約の内容を決定する。
第9章 委任契約の清算
第40条(委任契約の中途終了)
委任契約に基づく事件等の処理が,解任,辞任又は委任事務の継続不能により,中途で終了したときは,弁護士は,依頼者と協議のうえ,委任事務処理の程度に応じて,受領済みの弁護士報酬の全部若しくは一部を返還し,又は弁護士報酬の全部若しくは一部を請求する。
2 前項において,委任契約の終了につき,弁護士のみに重大な責任があるときは,弁護士は受領済みの弁護士報酬の全部を返還しなければならない。ただし,弁護士が既に委任事務の重要な部分の処理を終了しているときは,弁護士は,依頼者と協議のうえ,その全部又は一部を返還しないことができる。
3 第1項において,委任契約の終了につき,弁護士に責任がないにもかかわらず,依頼者が弁護士の同意なく委任事務を終了させたとき,依頼者が故意又は重大な過失により委任事務処理を不能にしたとき,その他依頼者に重大な責任があるときは,弁護士は,その委任事務が成功したものとみなして弁護士報酬の全部を請求することができる。ただし,弁護士が委任事務の重要な部分の処理を終了していないときは,その全部については請求することができない。
第41条(事件等処理の中止等)
依頼者が着手金,手数料又は委任事務処理に要する実費等の支払いを遅滞したときは,弁護士は,事件等に着手せず又はその処理を中止することができる。
2 前項の場合には,弁護士は,あらかじめ依頼者にその旨を通知しなければならない。
第42条(弁護士報酬の相殺等)
依頼者が弁護士報酬又は立替実費等を支払わないときは,弁護士は,依頼者に対する金銭債務と相殺し又は事件等に関して保管中の書類その他のものを依頼者に引き渡さないでおくことができる。
2 前項の場合には,弁護士は,速やかに,依頼者にその旨を通知しなければならない。附 則
この規程は,平成16年4月1日から施行する。