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空港コンセッション契約の比較
緊急事態対応及び契約見直し条項を中心に
ドイル xx 1・xxx 2
1個人正会員 京都大学 経営管理大学院(〒606-8501 京都府京都市左京区吉田本町)
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2個人正会員 京都大学 経営管理大学院(〒606-8501 京都府京都市左京区吉田本町)
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空港改革の一環として,我が国の主要な空港ではコンセッションによる運営民間委託が急速に進められてきた.この ような空港では,自然災害をはじめとする大規模な緊急事態に対し,空港管理者である政府と運営権事業者が互いに協 力して柔軟に対応することが求められ,条件によっては再契約が認められている.一方,アジアにおいて PPP の先進国 であるインドのモデルコンセッション契約(Model Concession Agreements:MCA)では,国際機関であるドナーや民間 から批判を受けているにも関わらず,契約見直し条項が盛り込まれていない.本稿では,インドと我が国のコンセッシ ョン契約における緊急事態対応(不可抗力)規定を比較し,パートナーシップ構造について主観ゲーム理論から考察する.
キーワード:空港,コンセッション契約,不完備契約,再契約,主観ゲーム理論
1. はじめに
我が国では,民間に運営権を設定するコンセッション 方式で,航空系事業と非航空系事業を一体経営するとい う空港経営改革が進められている.コンセッション方式 では,リスクが官民に適切に分担されていることが前提 条件として存在する.内閣府は,PFI 事業民間提案推進 マニュアル(平成 26 年度)1)を制定し,リスク分担にか かる留意事項を明確化,リスク分担のひな型が用意され ている.しかし,契約では「最も合理的にそのリスクに 対応できるものが負担する」と便宜的に記載されており,リスク分析やそのリスクに対し,柔軟に対応する姿勢が うかがえる.一方,2018 年にはイギリスで PFI の廃止が 決定し,その要因として,民間事業者にリスクが多く移 管されていることによるコストの高騰化,長期期間契約 による硬直化があげられている 2).
今般の新型コロナウィルス感染症で,人の移動・往来 の制限により,航空・空港産業界は大きな経済的打撃を 受けた.観光業に依存していた地域だけでなく,xxx 体,世界の航空・空港産業界が危機的状況に陥っている.我が国の民営化が進む地方空港は,地方自治体の観光や 地域振興に直結するインフラ基盤でもあり,地方空港の
存続は地域全体の経済にも大きく影響する.長期的な収益が見込まれない今般,契約の見直し,再契約という状況にならざるを得ないと予測される.
再契約において,ホールドアップやモラルハザードによる取引コストの問題は避けることができない.今後,我が国における再契約のありかたを考慮していくためには,他国の事例をもとに,パートナーシップの構造を考察する必要があるであろう.
本論では,契約の「硬直性」と「あいまいさ」についてゲーム理論からパートナーシップ構造を考察する.2および 3 では,インドと我が国における再契約の状況を整理している.4 では,契約を長期的観点から分析し,所有権とコントロール権の配分構造を考察,5 では,主観ゲーム理論を用いてパートナシップ構造における「あいまいさ」について考察する.
2. インドにおけるコンセッション契約
海外では 1987 年のヒースロー空港の民営化の後,ヨーロッパ各地はじめ,中南米・豪州・アジアでもインドを筆頭に空港の民営化が進んでいる.空港を管轄するインド空港庁(AAI)には,PPP 推進を目的に設立された
主要経済基盤開発局(Key Infrastructure Department: KID)が存在する.KID はインド政府機関である AAI 直轄の空港の開発・運営・管理のための民間パートナーの選定や民間航空省(Ministry of Civil Aviation)支援するという主要な役割を担っている.そして,KID が主体となり空港プロジェクトの設立や PPP を活用した空港の再構築及び近代化のための様々な契約や取引書類を管轄も行っている.インドでは,我が国と同様に,コンセッション契約では基本プロジェクト資産の所有権は政府に帰し,契約終了時にすべてのプロジェクト資産(プロェクトの目的のために運営権者が購入した資産を含む)は,政府に返還されるという仕組みである.
インドでは PPP を積極的に打ち出し,2000 年から市 場が一気に過熱した.これは,政府が資金調達のガイド ラインを整備したほか,IIFCL(India Infrastructure Finance Copmany)を設立するなど,ファイナンスへの取り組みが 民間資金を動員したと言われている.しかしそれに反し, 2010 年以降になると,PPP への民間投資額が大幅に減少 してくる.要因としては,①紛争解決メカニズム,②過 度な低価格による入札,③再交渉ルールの明確さ,④リ スク配分の最適化の不整備であると言われている 3).
インド政府財務省には経済インフラの PPP に特化した部署が存在し,財務省のウエブサイトでは 1 億円 (5crore インドルピー)以上の PPP プロジェクトが 1800 以上あり,そのプロジェクト総額は 5000 兆円以上,現在
6 空港がすでに民営化されており,PPP 促進のプラット フォームが整備されている(2019 年 12 月現在).他に も,標準化された契約書が必要であるとの背景から 2000 年に財務省計画局(Ministry of Finance, Planning Com- mission)がモデルコンセッション契約(Model Concession Agreements:通称 MCA)を高速道路分野に導入,その後,他分野にも採用されるようになり,PPP 評価委員会も設 置され,法整備も整ってきた 4). ここでは MCA のほか, 2004-2006 年代にコンセッション方式に移行したムンバ イおよびハイデラバード空港の実施契約書 5)6)をもとに 検討を行った.テールリスクである「不可抗力」の定義 および取扱いは,我が国とほぼ同様であるが,不可抗力 事象に係る救済請求の条項は,民間側にとって極めて負 担が大きい.再交渉を認めない現在の契約であっても, 不可抗力の事象の補填にかかるプロセスの取引コストも 民間にとっては極めて増大であると想定される.
MCA のガイドラインとして世界銀行の PPP TOOL kit7)が基盤となっているものの,MCA の契約条項は政府側に有利であると批判されている.PPP 実施においてプロジェクトの特性を十分に考慮せずに,MCA をテンプレートとして使用することにより,リスク分配の点で問題が多いこと,特に,リスク軽減の仕組みが機能していなく,官民がxxではない部分が批判の対象である 8).
継続的に MCA の修正は行われているものの,xxxx 約見直しのメカニズムは取り入れられていない.このよ うに,インドでは,コンセッション契約を見直すことは,運営権者や政府関係者が当初予測していなかった事象が 発生しても,状況が劇的に変化している場合でも基本的 に許可されていない.この背景は,財務省が設置した PPP モデルを研究・評価するための委員会の報告書
(Kelkar report)9) に 1)民間事業者側におけるモラルハザードや機会主義的行動の可能性,2)情報の非対称性,3)政府機関における契約マネジメント能力の不足が明記されており,財務省は契約の見直し交渉を始めるための条件として,次のような項目を提案している.
◼ プロジェクト継続の苦しみが甚大であり,現在の契約のもとで継続した場合に,将来のある時点で債務不履行になる可能性があるという証拠
◼ 契約の見直しは,民間事業体が原因ではなく,現在の契約のままでは政府やアセットのユーザーに不利な結果をもたらす可能性があること
◼ 契約を見直した方が,見直さない場合より政府に対する直接経費が少なくなる可能性が高いという証拠
◼ 契約見直しにより,より大きな社会的便益を得る,又は長期的な成果に対する費用が回避できる可能性が高いこと
◼ インド政府のリスク分担について実質的に違いが出ないこと
財務省は,安易に契約の見直しを認めれば,多大な労力を要した調達手続きが無駄になるうえ,政府側の契約マネジメント能力が高いとはいえない中,高度な事業能力を持つ者ではなく交渉能力に長けた民間企業が利益を得るのではないかという強い不信を持っている.民間事業者が再契約の見直しの申し入れを行うのは,見直しの交渉による取引費用を支払っても,民間事業者側にそれを十分上回る利益を得る見込みがあるからである.上記の項目に示されているように,政府側に利得がある可能性もあるが,確実性は低い.或いは,それを確認するための取引費用の負担が政府側に発生する.再交渉が実施されれば,民間事業者側は引き続き何度も再交渉の見直しを求めてくる可能性もあり,その都度,政府側の取引費用は嵩むことになる.長期的に見れば,将来政府側に巨大な損失が発生するリスクもある.このような状況から,契約見直し条項を認めないインド財務省の判断は,妥当であると言える.
しかし,民間事業者にとって事前に予見できなかった情報が事業着手後に把握され,再交渉時に民間事業者側
からよりよい提案が提示される可能性も十分考えられる.政府側が柔軟に対応することで,民間事業者の利益が向 上し,それにより政府側との信頼醸成につながることも 想定される.そうなれば,政府にとって有利な契約見直 しとなるような提案が行われる可能性も考えられる.そ して何より,柔軟な姿勢の政府が行う公募に対しては, 多くの応募者が集まり,競争性が高まることで,政府に とって有利な契約に結び付くことが期待される.
3. 我が国のコンセッション契約
我が国の空港コンセッションの実施契約書における不可抗力を理由とする契約の見直しについては,「不可抗力による障害が3 ヶ月以上継続し又は継続することが見込まれるときは,運営権者は本契約の見直しの協議を国又は県に申し入れることができる.この場合において,不可抗力による障害によって本事業の前提となる環境に重大な変化が生じていると国又は県が認めたときは,国又は県と運営権者は協議の上,必要な範囲で本契約の見直しを行う」とされている 10).図-1 は緊急時に国による事業継続措置の必要性がある場合を表しているが,不可抗力に起因する緊急事態にあってもその必要性がないと認定さえる場合は,運営権者が全ての義務を負うというだけでは,実情にそぐわない.他の条項では,運営権の行使の停止に至らない範囲において国又は県が自ら必要な措置を行うことができる旨規定されており,緊急時における国又は県と運営権者の協力関係が前提となっていることがイメージされる契約となっている.
図-1 空港におけるリスクの分担原則(鳥取空港)
免責にかかる協議や,契約の見直し・再契約について
硬直な態度を貫くインド政府の方針と,緊急時においては契約を見直してまでも国又は県と運営権者との協議,コミュニケーションを基にした協力関係を維持することが前提となっている我が国の空港コンセッション契約との間には,際立った相違が見て取れる.
4. パートナーシップの構造とテールリスク
2および3の考察から,パートナーシップの関係が我 が国とインドでは相反していることがわかる.ここでパ ートナシップという構造について改めて整理する.内閣 府による PPP の定義は,公共施設等の建設,維持管理,運営等を民間事業者の資金,経営能力及び技術的能力を 活用して行い,コストを削減し,効率的および効果的な 公共にサービス(VFM:Value for Money)を提供するこ とにある 11).
事業の目的が上記であるとすれば,社会効率性・技術効率性・経済効率性が政府および民間事業者企業に求められ,双方の関係性による取引費用の削減は,極めて重要になる.そして,その関係性は,社会資本整備プロジェクトというその長期性に帰する.
(1)不完備契約における問題
非効率性を如何に削減することが制度設計であり,イ ンドでも我が国でも画一した PPP の制度設計が求めて られいるが,前述したようにインフラは規模が大きく, 個々の技術的特性や前提条件が大きく異なる.また,事 象をすべて立証できる(varriable)完全な契約(完備契約) を準備することのコスト,長期的な契約期間で起こるで あろう不確実性を考慮した場合,不完備契約にならざる を得ない.言い換えれば,xx,石ら 12)が言及する通り,
「不完備契約の世界」「長期的不完備契約」を前提としない限り,PPP および公共サービスにおける調達スキームの議論は無意味であると言える.
再交渉を主張する主体(Agent)は,「再交渉にかかるコスト」と「再交渉が可能でない場合にかかるコスト」を比較する.これらの費用の内訳とは,1)事後的契約変更・価格交渉にかかる時間と資源の浪費,2)情報の非対称性による非効率な同意,3)事前の関係特殊投資(汎用性の高い投資による安定性または特殊化した投資による犠牲)である 13).そして,不完備契約には,1)Hold-up 問題および 2)Prncipal-Agent 問題が存在する.
Hold-up 問題とは,初期投資が当該事業にのみ有効な取引特殊投資であることが多く,初期投資をした Agentが投資をした余剰の一部しか獲得できないという事態が発生するため,事前の投資水準が過少になるという問題である.今回のようなテールリスクの場合は,災害によって生じた負債となるので,Bail-out 問題となり,所有
権の帰属の観点から,立証できない(invariable)なサービス水準等の性能評価による損失が回復できないという事象が起こり,事前の投資水準が低くなる.特に不完備契約条件では,汎用性の高い投資による安定性と特殊化した投資による犠牲が存在しており,空港のような特殊インフラでは,民間事業者側の過少投資を引き起こしやすい.
一方,Prncipal-Agent 問題とは,情報の非対称性による潜在的コストである.Agent は,自己の利益の最大化を求めて,「機械主義的行動」をし,情報の非対称性を増大させる.それによって,限られた条件の下での合理的判断となる「制約された合理性」が生じることになり,これらによって取引コストが増大していく.さらに, Agent を観察するための契約費用,Agent の努力水準の評価ができないという問題も存在する 14).
(2)所有権とコントロール権の概念
所有権の概念から,Principal-Agent の関係について考察 する.インドでも我が国でも政府が空港を所有している.そのため,残余決定権の帰属である残余コントロール権 と残余利益の配分は,政府側に存在する.基本,残余コ ントロール権と残余利益が適切に組合わさることで,所 有者に資産価値の維持向上を図る強いインセンティブを 与えることができるが,コンセッション契約では分離し ているため,Hold-up 問題が起こる.
そして,インフラのような長期契約の場合,民間事業者は権限を委譲され,中間的所有形態を持つことができる.そして,権限は,実質的権限<法的権限<情報保有者権限とコントロール権は推移していき,再契約 t>0 である場合の交渉時に,不完備契約下における残余コントロール権による利益の誘導が起こる.
図-2 政府と民間のコントロール権
(3)テールリスク(不可抗力)と残余費用
再契約による政府側の取引コストと残余費用および収益について考察する.テールリスクといった想定外の外生的リスクは,リスク分担の原則からも主負担者は公共
(Public)となる 15).ここで,災害のよる保険の適用も 含め,再契約とするかリスクによる被害額の救済とする かという論点になるはずである.所有権アプローチから,コントロール権を考えると,再契約時に実質的権限は, 情報保有者権限より少なくなる.この場合,土地を所有 している政府が残余コントロール権を所持しているが, 情報保有者である民間事業者のコントール権も増加して
いる.t が長期になればなるほどコントロール権が民間事業者側に有利となり,情報の非対称性を生み出し,政府側の取引コストが増大になると推測される.
このように,テールリスクに言及すれば,民間事業者側が追加投資するインセンティブは存在しない構造になっているだけでなく,時間とともに政府側の取引コストだけが増加していくことがわかる.パートナーシップ構造の長期不完備契約の下で最も経済的な方法は,1)偶発的事態に対する責任を取引当事者間で分配すること,2)情報の交換を促進することに帰結するしかないといわれる所以であろう.
インド財務省が MCA について頑なに契約見直し条項を認めない根底に,コントロール権の民間事業者側への移転と情報の非対称性の増加に対する懸念があると考えられる.具体的交渉プロセスは,ケースバイケースであり,政府の交渉者は,一般に財務省ではなくインフラを所管する省庁の所掌であるとするならば,財務省は,政府でなく,インフラ所管省庁のマネジメント能力に十分な信頼をおいていないともいえる.
また,これは政府と民間事業者が同時進行型のゼロサムゲームを見ている状態であるとも推測される.長期的な契約でおいても,再交渉つまりゲームのたびに利得のみを考えて行動する短期的な視点の戦略ゲームとして捉えると考えることもできる.
5. 主観ゲーム論からみたアダプティブパートナーシップ
ここでは,政府(Principal)と民間(Agent)の二つのプレイヤーと,契約継続と契約解除という二つの選択肢が存在する.効率性をそれぞれのプレイヤーが求めている利得として置き換えれば,政府は経済的効率性と社会的効率性,民間事業者は技術効率性と経済的効率性を求めている.つまり,政府と民間は共通した一意の利得構成ではなく,異なるゲームを認識していると捉えることができる. そのため,ここでは主観的ゲームの概念を用いて考察する.
主観ゲームとは,1)ゲームをプレイするすべてのプレイヤーが,ゲームをプレイするプレイヤーと,各プレイヤーの選択可能な戦略の集合,情報集合,利得などのゲームの要素にかかる完全な情報を持っているか,2)情報が欠けている場合は,プレイヤーはわからないパラメーターに関する正しい事前確率を割り当て,3)お互いが同一のゲームをプレイし,わからないパラメーターに関して,同一の正しい事前確率を割り当て,プレイヤー間の戦略的関係を分析する方法である 16).
ドイル 17)は,国際協力における技術の選択において,援助国と被援助国の Principal-Agent 問題を分析し,相手
国の利得を考えず,自国の利得を最大化するようなゲーム,つまり各プレイヤーが異なるゲームを実施していると捉えてもゲームを変える行為によって利得が最大化することを示している.つまり,相手の利得や立場に関する理解や情報が不十分でも,相手の状況をいち早く把握し,ゲームを変えるという行為を行えば,行為を行わない状態より,利得が得られることを説明した.
インフラの契約は長期にわたり,それぞれの交渉ステージで,非協力と協力が重層的に混在し,両者が一意の利得構成に達するまで交渉が行われていたり,交渉が決裂をしたりといった状況が混在する.これらがさらに動的な変化を呼び起こし,継続的に新しいゲームを展開していると考えることができる.合理的な自己利得追及ではなく,契約継続と契約解除という二つの選択肢とした効率性を共通目的とすれば,交渉ごとに中間解を求める行為がアダプティブマネジメントであり,パートナーシップ構造が求められる姿であろう.
6 .まとめ
一般的にインフラのリスクは,構造物の復旧,高度化といった比較的短期的な視点が強いが,今般の新型コロナウイルスとそれに伴う経済不況からも,長期的な時間軸でテールリスク分析をとらえる必要が求められる.
インフラプロジェクトは,長期かつ複雑な契約であるため,建設・運営の過程で可能性があるすべてのリスクや多様な変化,プロジェクトおよび技術の進展を網羅することは極めて難しい.契約による関係の硬直化は,パートナシップという柔軟を欠如することによって,民間業者や資金調達者のプロジェクト参画を抑止していると考える.
我が国特有の「あいまいさ」といった表現をアダプティブな管理手法ととらえるならば,パートナーシップとしての所有権の同一化とリスクの内生化が求められる.そのためには,契約条項に記載されていない Informal なコミュニケーションやメタ認識を含めた包括的管理とともに,「信頼」という長期的安定性が存在しなければならない.
情報の非対称性を是正し,組織としての長期的安定性を示すアセットマネジメントの成熟度(Maturity)評価によって,それを価値化することができれば,我が国の PPP のパートナーシップ選択,海外の PPP に参入おいてもひとつの目安となりえるであろう.
謝辞:本調査研究は,一般財財団法人関西空港調査会の「2019(平成 31/令和元)年度調査研究助成事業」
の助成を受けて行われたものです.ご支援いただいた同調査会に心から感謝申し上げます.
7. 参考文献
1) 内閣府:PFI事業民間提案推進マニュアル, 2016.
2) xxxx, xxxx, xxx:英国での改革の論点を踏まえてのわが国におけるPFI の実態分析, 会計検査研究, (53) 49-70, 2016.
3) xxx:インドのインフラ整備の現状とPPP 拡大のための課題, アジア・マンスリー= Asia monthly, 18.209,1-2, 2018.
4) インド財務省PPP局:Database of Infrastructure PPP in India, xxxxx://xxx.xxxxxxxxxx.xxx.xx/xxxxxxxxxxxxxxxxxxx/xxxxxxx- list?id=1&searchType=Government%20Infrastructure%20Projects%2 0(PPP), 2019年12月アクセス
5) インド航空省: Operation, Management and Development Agreement between Airports Authority of India and Mumbai Interna- tional Airport Private Limited for Mumbai Airport, 2006.
6) インド航空省: Concession Agreement for the Development, Construction, Operation and Maintenance of the Hyderabad Interna- tional Airport between Ministry of Civil Aviation, 2004.
7) 世界銀行: xxxxx://xxx.xxxxxxxxx.xxx/xxxxxx-xxxxxxx-
partnership/overview/practical-tools/toolkits, 2020年1月アクセス
8) Economic Laws Practice (ELP) : Concession Agreement in India, 2018.
9) インド財務省(X.Xxxxxx):Report of the Committee on Revisiting & Revitalising the PPP Model of Infrastructure Development , 2015.
10) 鳥取県:鳥取県営鳥取空港特定運営事業等公共施設等運営権実施契約書, 2018.
11) 内閣府: xxxxx://xxx0.xxx.xx.xx/xxx/xxx_xxxxxx/xxxxxxxx/xxxxxxxx_xxxxx.xxxx, 2020年10月アクセス
12) xxxx, 石磊: 社会資本整備における官民パートナー シップのための制度設計, 土木計画学研究・論文集, 24: 29- 42, 2007.
13) XXXX, X.:企業契約金融構造, 2010.
14) XXXXXXX X. and TIROLE J.:The dynamics of incentive con- tracts. Econometrica,Journal of the Econometric Society, 1153-1175, 1988.
15) xxxx, xxx, xxxx: PFI 事業におけるリスク分担ルール, 都市計画論文集第38 回学術研究論文発表会,公益社団法人日本都市計画学会, p. 49-49., 2003.
16) xxxx: 入門ゲーム理論と情報の経済学,日本評論社, 2004.
17) xxxxx:アカウンタビリティ論からみたインフラ開発援助に関する研究,2018.