Contract
賃貸借
2.賃借権の譲渡
(1) 意義
賃借権が譲渡されると、譲受人のみが賃借人となり、譲渡人は、原則として賃 貸借関係から離脱し、賃貸人に対して債務を負わない。
例えば、Bは、A所有の甲土地を賃借しており、賃貸人Aの承諾を得て、賃借権をCに譲渡した。
この場合、旧賃借人Bは賃貸借契約から離脱し、譲渡後に発生した賃料等を負担する義務を負わなくなる。
(2) 承諾の撤回
賃貸人が、いったん賃借権の譲渡について承諾を与えたときは、賃借権譲渡の 契約を締結する前であっても、一方的にその承諾を撤回することはできない(最判昭和30.5.13)。
例えば、Bは、A所有の甲建物を借り、この賃借権をCに譲渡することについて賃貸人Aの承諾を得た。
この場合、賃貸人Aは、賃借人BがCと賃借権譲渡契約を締結する前であっても、一方的にこの承諾を撤回することはできない。
3.転貸
条文
① 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない(613条1項)。
② 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない(613条2項)。
(1) 意義
適法な転貸があると、転借人は、賃料支払義務・終了時の目的物返還義務等について、賃貸人に対して直接に義務を負う。また、賃貸人と賃借人の関係は存続するので、賃貸人は、賃借人に対して権利を行使することもできる。
例えば、Bは、A所有の甲土地を賃借しており、賃貸人Aの承諾を得て、甲土地をCに転貸した。
この場合、賃貸人Aは、転借人Cに対して直接賃料を請求することも、賃借人 Bに対して賃料を請求することもできる。
賃貸借
(2) 転借人が賃貸人を相続した場合
賃貸人の地位と転借人の地位とが同一人に帰属しても、転貸借は、当事者間に これを消滅させる合意がなければ、消滅しない(最判昭和35.6.23)。
例えば、Bは、A所有の甲土地を賃借しており、賃貸人Aの承諾を得て、甲土地をCに転貸した。
この場合、転借人Cが賃貸人Aを単独で相続しても、転貸借は当然には消滅しない。
4.解除権の制限
賃借人が、賃貸人の承諾なく、第三者に賃借物の使用又は収益をさせた場合でも、 背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は契約を解除することができない(最判昭和28.9.25)。
「背信的行為と認めるに足らない特段の事情」の例としては、同居の親族や内縁
の妻に対する賃借権の譲渡(最判昭和39.6.30)等がある。
例えば、Bは、A所有の甲土地を賃借し、自己名義で乙建物を建て、内縁の妻である▇と共同で飲食業を営んでおり、賃貸人Aもそのことを知っていた。その後、賃借人Bが死亡し、その相続人が賃貸人Aの承諾を得ることなく土地賃借権をBの内縁の妻C(第三者)に譲渡した。この場合、賃貸人Aは、この賃貸借契約を解除することはできない。
