静岡銀行(頭取 柴田 久)では、SDGs への取り組みの一環として、株式会社ニッケーコー(社長 青木力)と
2022.6.30
(株)ニッケーコーと「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約を締結
静岡銀行(頭取 xx x)では、SDGs への取り組みの一環として、株式会社ニッケーコー(社長 xxx)と
「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたので、その概要をご案内します。
※企業活動が環境・社会・経済のいずれかの側面において与えるインパクトを包括的に分析し、特定されたポジティブインパクトの向上とネガティブインパクトの低減に向けた取り組みを支援する融資
1.契約日 6 月 30 日(木)
2.融資金額 1 億円
3.資金使途 運転資金
4.(株)ニッケーコーの取り組みについて(詳細は「評価書」をご参照ください)
〇同社は、テントハウスの設計、製造、施工、販売を担う建設業者で、同社が手がける全天候型膜構造建築物
「オールウェザーハウス」は、一般的な建築物の施工に比べ、CO2 排出量や廃棄物の削減が可能です。
〇また、ISO9001 に基づく高い品質管理体制を維持するとともに、地域の美化活動や震災復興支援の一環としてxx市で植林活動を実施するなど、社会貢献活動にも積極的に取り組まれています。
〇今回、同社の企業活動が社会・環境・経済に与えるインパクトを、以下のとおり評価しました。
環境面 | ・環境に優しい「オールウェザーハウス」の提供 ・気候変動対策(LED 照明やハイブリッドカーの導入、自家用車を使用しない通勤方法を選択する従業員への「地球環境手当」の支給など) |
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社会面 | ・労働災害の発生しない職場の醸成(協力会社を含めた安全衛生協議会の開催、安全衛生委員会の取り組みなど) ・施工・品質不良対策(ISO9001 認証に基づいた品質管理体制の確立、強固なコンプライアンス体制の維持) |
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経済面 | ・高いブランド力(業歴 50 年以上の豊富な実績や経験に基づく厚い信頼と高い顧客満足度、清掃活動や植林活動などの社会貢献活動の実施、高いコンプライアンス意識に基づいた一貫生産体制の構築など) |
5.その他
(1)インパクト評価/国連環境計画金融イニシアティブが提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」およびポジティブインパクトファイナンスタスクフォースが提唱した「インパクトファイナンスの基本的考え方」に基づき、一般財団法人静岡経済研究所が㈱日本格付研究所の協力を得て評価を実施
(2)モニタリング体制/一般財団法人静岡経済研究所とともに「ポジティブ・インパクト金融原則」に従い構築した内部管理体制のもと、インパクト評価で特定した KPI について、融資期間中における借入人のインパクトパフォーマンスのモニタリングを実施
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
評価対象企業:株式会社ニッケーコー
2022 年6月 30 日
一般財団法人 静岡経済研究所
目 次
3
4
6
11
18
3-1 UNEP FI のインパクト分析ツールを用いた分析 18
3-3 特定されたインパクト領域とサステナビリティ活動の関連性 19
20
23
23
23
静岡経済研究所は、静岡銀行が、 株式会社ニッケーコー(以下、ニッケーコー) に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するに当たって、ニッケーコーの企業活動が、環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響およびネガティブな影響)を分析・評価しました。
分析・評価に当たっては、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」および ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則った上で、中小企業※1に対するファイナンスに適用しています。
※1 IFC(国際金融公社)または中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業
ニッケーコーは、全天候型膜構造建築物「オールウェザーハウス」の設計、製造、施工、販売を担う建設業者である。提供しているオールウェザーハウスは、一般的な建築物を施工した場合と比較して CO2 排出量や廃棄物の削減効果があり、地球環境の保全に貢献している。地球環境手当と いった独自の制度などにより事業活動に伴う CO2 の排出抑制にも努めている。そのほか、適切な廃棄物処理による環境汚染リスクの低減や膜材再利用による廃棄物削減などにも取り組んでいる。
従業員に対しては、働きがいを向上させるために風通しの良い職場の醸成や教育制度の充実に努めており、労働環境の改善にも積極的である。老若男女差別することのない経営を実践してお り、外国人や障がい者雇用にも前向きな姿勢を示している。労働安全に関しても、安全パトロールなどを励行し、過去 14 年もの間、労災発生件数を0件に抑えている。徹底された品質管理体制も、高いコンプライアンス意識のもと、高水準で維持されている。
また、本社周辺の美化活動、xx市での植林活動などといった社会貢献活動にも積極的であり、一貫生産体制を支える従業員、長い業歴、豊富な施工実績も相まって高いブランド力が構築され、同業他社と差別化することで顧客満足度も高水準で維持できている。
ニッケーコーのサステナビリティ活動等を分析した結果、ポジティブ面では「教育」、「雇用」、「資源効率・安全性」、「気候」、「廃棄物」、「包括的で健全な経済」、「経済収束」が、ネガティブ面では
「健康・衛生」、「雇用」、「エネルギー」、「水(質)」、「土壌」、「資源効率・安全性」、「気候」、
「廃棄物」がインパクト領域として特定され、そのうち、環境・社会・経済に対して一定の影響が想定され、ニッケーコーの経営の持続可能性を高める5つの項目について、KPI が設定された。
今回実施予定の「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の概要
金額 | 100,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
モニタリング期間 | 5年0ヵ月 |
企業名 | 株式会社ニッケーコー |
所在地 | xxxxxxxxxx 000 xxの1 |
営業所 | 東京営業所:xxxxxx区東北事務所:岩手県xx市 中部営業所名古屋事務所:愛知県名古屋市名東区大阪営業所:大阪府大阪市淀川区 |
従業員数 | 30 名(男性 20 名、女性 10 名) |
資本金 | 2,000 万円 |
業種 | 膜構造製造建設業 |
事業内容 | オールウェザーハウスの設計・製造・施工・販売 |
取扱品目 (内訳は 2021 年度売上高ベース) | オールウェザーハウス森 58%オールウェザーハウス風 17%オールウェザーハウス光 11%オールウェザーハウス波 0%門番 9% その他 5% |
許認可・登録 | 特定建設業許可 国土交通大臣許可 (建築工事業、大工工事業、とび・土工工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、 鋼構造物工事業、内装仕上工事業、建具工事業) 一級建築士事務所 静岡県知事登録 |
主要取引先 | (仕入先) xx鋼材㈱、コンドーテック㈱、xx鋼業㈱、泉㈱、xxマテリアル㈱、xxxx㈱、xx電機産業㈱ (販売先) xx重工業㈱、トヨタ自動車㈱、トヨタ L&F、他【輸送用機器】 日本製鉄㈱、JFE ホールディングス㈱、㈱神戸製鋼所、他【鉄鋼・金属】xxx機械工業㈱、xxx機㈱、三菱重工業㈱、他【機械・製造】パナソニック㈱、東芝㈱、富士通㈱、他【電気・精密機器】 xxx化㈱、旭化成㈱、東レ㈱、㈱クラレ、他【化学・製造】鹿島建設㈱、㈱大林組、xx建設㈱、他【建設】 JFE 物流㈱、㈱日立物流、日本通運㈱、他【物流】防衛省、xxx、他市町村【官公庁】 |
沿革 | 1965 年 xx総業グループ(現 タイカグループの前身)が日本軽構造㈱を設立、同時にxx工場開設 1972 年 建設業許可(静岡県知事)取得 1973 年 xx総業㈱設立、日本軽構造㈱は傘下へ 1978 年 社団法人日本膜構造協会発足、同時に第一種正会員となる 1986 年 日本軽構造㈱を㈱ニッケーコーに社名変更 1993 年 高速シートシャッター「門番」の販売、施工開始 1995 年 ㈱ニッケーテック設立 2003 年 ㈱ニッケーテックを㈱ニッケーコーに社名変更、同時に旧 ㈱ニッケーコーより事業を引き継ぐ 2003 年 xx工場移転 2004 年 ISO9001 認証取得 2004 年 産業機器事業を㈱xxxxx機へ譲渡 2005 年 本社移転 2005 年 東京営業所移転 2005 年 現経営陣がxx総業㈱より全株式を取得し独立 2005 年 大阪営業所移転 2007 年 本社新社屋竣工、現在の所在地へ移転、鉄骨工場であるxx工場を本社へ集約 2014 年 名古屋事務所、東北事務所開設 2015 年 建設業許可(国土交通大臣)取得 |
(2022 年6月 30 日現在)
1. 事業概要
ニッケーコーは、膜構造建築物の設計、製造、施工、販売を担う建設業者である。膜構造建築物とは、屋根や外壁に膜材料を用いた建築物である。サッカースタジアムや陸上競技場などの大規模スポーツ施設から倉庫や作業場などの建築物まで用途は幅広く、鉄骨造などの一般的な建築物と比べ軽く、透光性に優れ、設計の自由度が高いという特徴を持つ。同社の取り扱う膜構造建築 物は、季節や天候に左右されない全天候型膜構造建築物であり、「オールウェザーハウス」と呼ばれている。
提供しているオールウェザーハウスは、「森」、「風」、「光」、「波」の4種類があり、全面が膜材料に覆われているもの、屋根に膜材料を使い外壁がないもの、レール上をスライドする可動式のもの、曲線を使いデザイン性に優れるものといった製品となっている。
森:倉庫・作業場として活用
・解体や移設が容易
・雪に対する耐荷重基準もクリア
光:可動式
・手動または電動でスライド、伸縮
・クレーンを使った搬出入も容易
風:屋根・荷捌場として活用
・軽量なため大スパン構造物にも対応
・側面壁やカーテンなども組み合わせ可
波:商業施設などに活用
・柔らかな曲線と光溢れる空間
・やすらぎと賑わいを演出
そのほか、光触媒作用をもつ酸化チタンを表面にコーティングした膜材「エコニック」や独自のエコシステムで地球温暖化を防止する高速シートシャッター「門番」なども取り扱っており、一時的な仮倉庫などに利用できるようオールウェザーハウスのレンタルも行っている。
2021 年度の売上高ベースでは、オールウェザーハウスが 86%(森:58%、風:17%、光:
11%、波:0%)、門番が9%、その他が5%となっており、オールウェザーハウスがニッケーコーの売上のほとんどを占めている。
ニッケーコーでは、オールウェザーハウスの提案から設計、製造、施工までを一貫して対応しており、施工後のアフターサービスやメンテナンスまで行っている。
オールウェザーハウスの製造に関しては、本社にある技術部門が一括して担当している。工程は、鉄骨製造工程と膜体製造工程の2つに大別され、鉄骨製造工程は、仕入れた鉄骨に切断加工や曲げ加工を施し、形状を整えたら仮溶接、本溶接を行い、塗装工程、梱包作業を経て施工現場へ運ばれる流れとなっている。膜体製造工程では、仕入れた膜材を適切な大きさへ裁断し、縫 製、ハトメ取付け、強度検査、溶着・幅継ぎを行うことで大型の膜体を製造する。その後、仕上縫製を行い、最終検査をクリアした膜材のみ梱包され、施工現場へ運ばれることとなる。
<鉄骨製造工程>
<膜体製造工程>
同社の営業拠点は、本社のある静岡市以外に、xxxxxx区、岩手県xx市、愛知県名古屋市名東区、大阪府大阪市淀川区にあり、全国を営業エリアとしている。製造された鉄骨や膜体は、発注した企業や官公庁の要請に基づき、全国へ運ばれ施工される。
ニッケーコーは、「最適な製品を顧客に提供し、社会の持続的な発展に貢献する」を企業使命に掲げている。この使命を達成するために、「信用を重んじ、感謝の念を忘れず、かつ自ら積極的な姿勢を持つことにより、周囲からの信頼を得ていく」という行動基準を設け、実行に移している。
【品質の確保・向上が求められる膜構造建築物業界】
膜構造建築物は、一般的な建築物よりも軽量で工期も短く、比較的容易に建設できる一方 で、機能性は高く、xx的な建築物としても用いられるため、高い耐久性や品質の維持が求められている。
このような中、一般社団法人日本膜構造協会では品質委員会として、技術標準専門委員会、工場登録専門委員会、膜施工管理技術委員会、維持保全専門委員会を設け、膜構造建築物品質管理基準、膜材料等品質基準、膜構造建築物施工指針などといった膜構造の建築物・膜材料などに関する6つの基準・指針の整備や、膜構造に係る適切な品質を有する膜体を製造することができる膜体加工工場であることを表示することで消費者の選択の一助となることを目的とする膜体加工工場登録制度の整備などに取り組んでおり、膜構造建築物の品質の確保・向上を図っている。そのほか、定期点検を行う技術者の資質の維持向上を図るための定期点検者登録制度や一定以上の膜施工の経験・知識・技量のある技術者を登録する膜施工管理技術者登録制度も実施している。
ニッケーコーは、膜体加工工場登録制度に登録されており、定期点検者登録制度や膜施工管理技術者登録制度に登録された従業員を複数抱えるなど、膜構造建築物を高い品質で提供し、保守する体制を整えている。
【シンプルな構造ゆえに悪影響が小さい膜構造建築物】
2019 年末に初の感染が確認された新型コロナウイルスによる供給網の混乱、米国を中心とした住宅需要の急回復により発生したウッドショック、ロシアによるウクライナへの侵攻に伴う原油・原材料不足など、建設業界を取り巻く状況はこれまでになく悪化している。膜構造建築物業界も、その影響を受けているものの、主な建設資材が鉄骨と膜材であるため、鉄骨造や木造などの一般的な建築物よりも悪影響は小さく済んでいる。
一般財団法人建設物価調査会によると、2022 年4月の建設物価指数(建築部門)の全国平均は前年同月比で+19.7%増加している。鉄鋼についても同+33.1%増加と大幅な上昇となっているが、製材と合板に関しては同+88.9%、同+97.9%と2倍弱まで値上がりしている。 2022 年に入ってから急速に進む円安傾向も相まって、今後も建設資材の高騰は継続するとみられるが、木材を使わず、一般的な建築物よりも鉄骨の使用量が大幅に少ない膜構造建築物は、コストの面などからニーズが高まる可能性がある。
<建設資材物価指数(全国平均、2011 年=100)>
資料:一般財団法人建設物価調査会
【SDGs xx都市計画】
静岡市は、SDGs の理念に沿った基本的・総合的取組みを推進しようとする都市・地域の中から、特に経済・社会・環境の3側面における新しい価値創出を通して持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市・地域として、内閣府より SDGs xx都市に選定されている。第3次静岡市総合計画の中で掲げた「5大構想」に SDGs を組み込む作業を行い、2021 年3月には計画期間を 2021 年から 2023 年とする「静岡市 SDGs xx都市計画」を策定した。
このような中、ニッケーコーにおけるxxx発電システムの設置や CO2 排出量の削減などの多くの取組みが同計画に関係しており、SDGs の達成に積極的に取り組むことや自社の取組みを公表することで、同社は静岡市の SDGs 推進策を牽引する企業として貢献している。
【働き方改革の推進】
柔軟な勤務形態などといった働き方改革に向けた取組みが多くの業界で広がりをみせている中、静岡県内でも「建設現場も働き方改革@静岡」として、休暇の取得や長時間労働の是正などへの取組みが進められている。静岡県は建設業団体への適切な賃金水準の確保についての要請や建設業退職金共済制度の普及・徹底を図るなど、働き方改革を推進しており、静岡労働局と共同で雇用改善に関するセミナーの開催にも取り組んでいる。そのほか、静岡県民に、建設現場などで働 き方改革に積極的に取り組んでいることを理解してもらい、県民がxxとなって建設業界の働き方改革の取組みを応援することをイメージしたロゴマークを作成し普及に努めている。
ニッケーコーでは、労働環境を改善すべく労働環境改善委員会を設置しており、働きやすい職場となるよう就業規則や休業規定の改定、総労働時間の削減などに取り組んでいる。
2. サステナビリティ活動
(1)環境に優しいオールウェザーハウス
xxxxコーが提供している膜構造建築物は、春の突風や夏の日差し、秋の長雨、冬の雪などといった日本の四季が生む厳しい環境下においても、施主の大切な商品や製品を守り、快適な作業を行うことができる性能を有しており、同社では全天候型膜構造建築物「オールウェザーハウス」と呼んでいる。
オールウェザーハウスは、鉄骨と膜材のみを使ったシンプルな構造であり、鉄骨造などの一般的な建築物と比較すると、建設材料の製造工程の違いなどから 71.2%の CO2 削減効果※があるとみられる。また、淡色膜の屋根は透光性が高いため、昼間の照明が不要になり省エネにつながることでも CO2 削減効果が期待できる。一般社団法人日本膜構造協会の「環境に貢献する膜構造」によると、「床面の必要照度を 1,000 ルクスとして検討した結果、膜構造では、銅板屋根に比べておよそ 30%程度、照明負荷削減可能であることを確認」との検証結果も出ている。さらに、xxxを最大 85%反射し、風通しが良く涼しい作業環境を実現できるため、夏場の空調利用頻度を下げることができ、省エネに貢献できる。特に、酸化チタンでコーティングされているエコニックは、光触媒作用による防汚効果があるため、透光性やxxxの反射率を長い期間維持でき、省エネ効果も長続きする。
オールウェザーハウスの環境性能の高さは、資源の有効活用や廃棄物の削減の観点からも確認できる。先述のとおり、鉄骨と膜材のみのシンプルな構造であるため、解体時の廃棄物が少ないだけでなく、移設しての再利用も可能である。臨時の倉庫や作業場として一時的な利用を検討している顧客には、オールウェザーハウスのレンタルも行っており、撤去後のオールウェザーハウスは、鉄骨や膜体に問題がなければ何度も利用できるため、数年間使用したものを別の場所に移して再利用することは多い。このように、繰り返し利用できるオールウェザーハウスは、排出する廃棄物を減らし、効率 的な資源の活用に貢献している。
そのほか、オールウェザーハウスには、防虫・防塵・機密性が高い高速シートシャッター「門番」の設置を選択することができる。門番は、シート閉鎖時の巻取りボックスとサイドフレームからの空気の流 入を防ぐエアタイト構造やシートの摩耗・破れを防止する高耐久性、無駄な開放を防止する ECOシステムが搭載されており、なかでも、通過する物の高さに応じて開閉する高さを調整する ECO モードや横切る人には反応せず無駄な開放を無くす方向検知機能、シートシャッター専用に開発されたエンジンとコントローラーにより実現した高速開閉、採光性を高めたシート素材、開閉による空気の 流入を抑えるインターロック機能などの ECO システムは、空調効率や照明設備の省エネルギー化に貢献する機能である。
※出典:ニッケーコーおよびニッケーコーの主要仕入先による調査
(2)気候変動対策
事業活動に伴う CO2 の排出量削減にも注力している。ニッケーコーの照明設備は、寿命が長く消費電力が小さい LED 照明にほぼ全て切り替えており、社用車は 17 台のうち 11 台はハイブリッドカーを導入することで、CO2 の排出を抑制している。そのほか、クールビズ・ウォームビズの推進やスマートコネクトを活用したエコドライブの促進などにも取り組んでいる。なかでも、ユニークな取組みとして地球環境手当が挙げられる。地球環境手当とは、徒歩や自転車、公共交通機関などの自家用車を使わない通勤方法を選択している従業員に手当を支給する制度である。環境に対する意識を向上させることで、複数の従業員が CO2 排出量の少ない手段で通勤しており、現在では9名が地球環境手当の支給を受けている。
また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のxxx等発電新技術等フィールドテスト事業として、2008 年にxxx発電システムを本社に設置し、自社使用電力の2割ほどを再生可能エネルギーで賄うことで CO2 排出量の削減を図っている。創出した一部の電力は、電力会社へ売却しており、一般家庭への再生可能エネルギーの普及にも資する取組みである。
(3)環境負荷低減
ニッケーコーでは、オールウェザーハウスに使用する鉄骨の製造には環境への悪影響を及ぼしかねない塗装工程が存在する。しかし、同社では、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR 法)に基づき化学物質等安全データシートが交付され、ホルムアルデヒドの発散が少なく建築基準法による使用制限がない「F☆☆☆☆(エフフォースタ ー)」表示がある鉛フリーの塗料を使用しているため、環境への負荷を低減することができている。塗料の都度購入による無駄に残ることの防止や塗膜が厚くなり過ぎないように膜厚計を使用した管理などにも取り組み、塗料の使用量削減にも努めている。
また、管理を徹底することで流出を防いでおり、廃棄する際も専門業者に委託し、廃棄物処理法に則った適切な処理を行い、環境汚染リスクを低減させている。
(4)廃棄物の削減
ニッケーコーでは、廃棄物の削減にも取り組んでいる。社内資料については、極力プリントアウトせず、ペーパーレス化を推進しており、施工現場で使用するリン木(建築資材を置く際に敷く木)の再利用も進めている。膜材を裁断した際に発生する端材に関しては、全てのオールウェザーハウスに使用できる補強材などの汎用品に加工し、再利用することで排出を抑制している。それでも発生した雑紙や鉄骨・膜材の端材については、リサイクルされるよう外部の再生業者へ委託している。
(1)働きがいの向上
ニッケーコーでは、従業員の働きがいを向上させるために、風通しの良い職場の醸成やイベントの開催、クラブ活動の支援、教育制度の充実に取り組んでいる。
xx以上の役職者が毎月マンスリーレポートをxx社長に提出することで、従業員と社長との壁を取り払う工夫を凝らしたり、xx社長自らが従業員に積極的に話しかけるなど、コミュニケーションを取りやすい良好な関係を築くことができている。
また、同社では季節ごとに社内行事が用意されている。その中でも、新年の経営方針発表会の後に開催される懇親会、9月 18 日の竣工記念日に開催される竣工記念祝賀会、xx川花火大会鑑賞会、ファミリー親睦会は社内で4大イベントと呼ばれており、従業員の親睦を深め、円滑なコミュニケーションを育む場となっている。
従業員が活動するクラブ活動も支援しており、ニッケーコー内に設立されたゴルフ部やアーティストクラブの活動資金の援助や活動に必要な用具の提供などを行い、同社へ対する従業員のロイヤルティを向上させている。
同社は、人材の育成を重要視しており、従業員教育の充実に努めている。2~4カ月間隔でビジネスマナー研修や資格取得勉強会などといったニッケーコー独自の社員育成研修を開催しており、多くの従業員が参加することでスキルアップにつながっている。また、外部のセミナーや研修への参加 費用、資格の取得費用は全て同社が負担しており、資格取得者には資格手当を支給するなどモチベーションの向上、キャリアアップのサポートを図っている。
このような、数多くの取組みを行うことで、働きがいが醸成され、従業員満足度の向上に貢献している。
(2)ダイバーシティ経営の実践
ニッケーコーは、設立当初より老若男女差別することのない経営を行ってきた。もちろん、国籍などによる差別もなく、過去に外国人研修制度を活用して雇用していた中国人6名は、皆同社の差別のない扱いに感謝していた。差別がなく良好な関係を築けていた様子は、帰国後も結婚や出産の 人生の節目に同社宛に連絡が来ることなどからも読み取れる。
また、障がい者雇用にも前向きであるものの、同社には障がい者が行える軽作業が少ないため、現状、雇用するには至っていない。将来的には、環境を整えて雇用したい意向を持っている。
(3)労働災害の発生しない職場の醸成
ニッケーコーには、安全衛生委員会が設置されており、労災対策などに取り組んでいる。同社および協力会社を会員とした安全衛生協議会(協優会)も組織され、協力会社を含めて安全衛生を協議する場が設けられている。協優会には、「安全で安心な作業環境を目指し、労働災害防止に全力で取組む」という基本方針が掲げられており、毎年度安全スローガンを策定し、安全衛生に努めている。
<各年度の安全スローガン>
年度 | 安全スローガン |
2020 年度 | 慣れるほど 忘れてしまうその危険 基本に返って安全作業 |
2021 年度 | 安全は 一つ一つの積み重ね 正しい作業でゼロ災害 |
2022 年度 | 気を抜くな 一度の妥協が命取り 正しい手順でゼロ災害 |
年に1度開催される安全衛生協議会(協優会)総会では、当期の活動方針を決定し、全国各地の現場を視察する安全パトロールの実施場所を3~4カ所選定している。年に3回ほど開催される安全衛生委員会では、安全スローガンの策定や安全備品の確認・支給、作業中止風速の検討などに取り組んでいる。そのほか、各現場で毎朝 KY 活動を行うなど、ニッケーコーの従業員だけでなく、協優会がxxとなって安全衛生活動に取り組むことで、同社は過去 14 年もの間、労働災害0件を継続している。
(4)施工・品質不良対策
ニッケーコーは、一定水準以上の品質マネジメントシステムの構築を証明する ISO9001 認証を取得しており、組織体制や法令遵守、業務の円滑化、リスクマネジメント、品質保証などに対する仕組みの確立が認められている。高い品質管理体制を維持するために、製作不適合発生件数0件などの品質目標やチーム全体の業務計画を基にした個人の行動計画を策定しており、施工・品質不良の発生リスクを抑制している。策定した目標は、四半期ごとに達成度を確認しており、進捗が芳しくない場合は、2カ月ごとに開催しているリーダー会議の中で、取組方法の検討・指示を行っている。各種手順書・確認書・計画書なども整備されており、マニュアルに沿って作業することで確かな製造・施工プロセスを確立し、自社所有している一軸引張試験機による膜材の全品検査など、オールウェザーハウスの核となる膜材の品質チェック体制も万全となっている。
<文書化された手順書・確認書・計画書一覧(抜粋)>
文書名 | ||
顧客要求事項依頼書 | 注文仕様書 | 製造または施工計画書 |
製作または施工要領書 | 鉄骨外注製作検査表 | 膜体製作品質計画書 |
校正証明証 | 測定機器使用前点検表 | 原寸図チェック記録 |
鉄骨荷受け時確認書類 | 膜体荷受け時確認書類 | 安全パトロールチェックシート |
膜体製作品質計画書 | 膜体出荷時確認シート | 設計管理手順書 |
毎年6~7月頃には、登録された監査員が内部監査計画表に従って内部監査を実施しており、指摘事項を改善指摘事項と要観察事項に区分・整理している。改善指摘事項が検出された部署は、11~12 月に再度内部監査が実施される仕組みとなっている。指摘事項に関しては、内部監査報告書兼回答書にて、原因や対応実施内容、水平展開などを策定しており、処置および有効性の確認を記録しており、適切な是正措置が行われている。
<内部監査実施時期と指摘件数>
年度 | 回数 | 実施時期 | 指摘事項(件数) | |
改善指摘事項 | 要観察事項 | |||
2019 | 第 34 回 | 2019/6/1~2019/6/30 | 1 | 2 |
2019 | 第 35 回 | 2019/11/1~2019/12/20 | 4 | 1 |
2020 | 第 36 回 | 2020/9/1~2020/9/10 | 0 | 1 |
2021 | 第 37 回 | 2021/7/14~2021/8/27 | 2 | 2 |
2021 | 第 38 回 | 2021/12/7~2021/12/13 | 0 | 2 |
内部監査後は、経営陣によるマネジメントレビューが実施されており、内部監査報告書兼回答書や改善提案書、不適合処置報告書などを参照し、手引書の改訂状況やマネジメントシステムの運用状況などの確認、ISO9001 の要求事項に対する適切性の判断、見直しによる改善の指示を 行うことで、さらなる品質の向上に努めている。
また、2005 年に発覚した耐震強度構造計算書偽装事件をきっかけに、2006 年に建築基準法が改正され、世間からの建築物の強度に対する見方が厳しくなった際、ニッケーコーはいち早くコンプライアンス体制の整備に取り掛かった。社内にコンプライアンス委員会を設け、関係する法令の改正情報の共有や建設工事請負契約約款の見直し、ガイドラインの徹底などに取り組み、同社の規律を保つことで、品質マネジメントシステムを高い水準で維持している。
(5)労働環境の改善
ニッケーコーでは、従業員の快適な労働環境を醸成するために労働環境改善委員会を設置している。就業規則や育児介護休業規定の改定、労働時間に関する個々の苦情意見および改善要望の検証、年間予定表など、従業員の労働環境に関する内容が協議されている。経営陣に対する意見聴取の場にもなっており、労働者と経営陣が対等に協議できる体制が整っている。
また、ニッケーコーでは、このような場を設けなくとも、xx社長に直接改善要望を申し入れることができるほど意見を言いやすい雰囲気が醸成されている。これは、先述のとおり、社長と従業員との良好な関係が築けているからであり、普段から気軽に改善案を言える環境を整えることで労働環境を改善している。
労働時間に関しても、長時間労働とならないよう、残業時間を管理するだけでなく、従業員の様子から適切な労働時間を見極めるなど、画一的な対応とならないよう気を配っている。台風の季節は、オールウェザーハウスの修理・修繕要請が多く、担当部署の繁忙期となるため、特に気を付けて管理している。
そのほか、産前産後休暇や育児休暇などは、法律で義務付けられる前から制度化しており、同社の従業員は全員が利用できることとなっている。
2-3 経済面での活動
(1)高いブランド力
ニッケーコーの歴史は長く、業歴は50年以上である。膜構造が本格的な構造形式として確立されたのが20世紀後半という事実からも、同社の歴史が如何に長いかがわかる。この長い歴史の中 で、xxxや名古屋市、静岡市、浜松市などの官公庁から各業界を代表する大手企業まで幅広い実績を持つ。また、同社のxx社長は、膜構造建築物に対する豊富な知識から一般社団法人日本膜構造協会の理事を務めた経験もあり、現在も企画運営委員を務めるなど、業界の発展に貢献している。このような、実績や豊富な経験が同社の厚い信頼へとつながっている。
電話や対面などによる顧客満足度調査も行っており、2021年度の結果は“期待通り”以上との回答が全体の84%と、顧客の満足度は非常に高いことがわかる。“期待通り”以上と回答した顧客に、ニッケーコーの評価できる項目を聞いた質問では、“製品”が54%を、“営業対応”が34%を占め、同社の提供するオールウェザーハウスの品質のxxx対応する従業員の人間力の高さが表れている。
<顧客満足度調査結果(年間累計)> <顧客満足度調査結果(“期待通り”以上の評価項目)>
さらに、ニッケーコーは社会貢献活動にも積極的に取り組んでいる。2005年に自然を大切にする旨を掲げ、具現化するために自然委員会を立ち上げた。国土交通省や静岡市のボランティア活動に登録し、全従業員が本社周辺の国道やxx川の美化活動(清掃やxxなど)に取り組んでいる。現在では、14年目を迎え、国土交通省から2度、静岡市からは3度表彰されるなど、地域への貢献が認められている。そのほか、東日本大震災で被災したxx県やxx市への寄付も行っている。xx市への寄付は、震災以降毎年継続しており、2021xxに竣工した複合文化施設
「マルホンまきあーとテラス」にニッケーコーの社名が入ったプレートが飾られるなど、これまでの寄付実 績にxx市から感謝の意を表されている。また、xx市では同市主催の植林活動にも励んでおり、環境保全に貢献している。このような活動は、同社の企業理念に基づくものであり、世間でSDGsなどが注目を浴びる以前から取り組んでいることである。現在でも、SDGsのゴール13、14、15を中心とした活動を継続しており、今後は、クリーンなエネルギーの利用可能性の拡大や住み続けられるま ちづくり、持続可能な生産消費形態の実現などを目標とするゴール7、11、12などにも積極的に取り組み、HPなどで活動を公表することで同社のブランド力をさらに向上させる方針を打ち出している。
高いコンプライアンス意識に基づいたオールウェザーハウスの一貫生産体制も同社の大きな強みである。先述のとおり、膜構造建築物でも高い施工品質が求められている中、顧客の要望に耐え得る技術・信頼・経験を持つ同社の従業員は同業他社との差別化につながる大きな財産となっている。
<ニッケーコーの経営理念に基づく3つのゴールと事業を支えるゴール>
3. 包括的分析
UNEP FI のインパクト分析ツールを用いて、ニッケーコーの建設事業を中心に、網羅的なインパクト分析を実施した。その結果、ポジティブ・インパクトとして「住居」、「健康・衛生」、「雇用」、「エネルギー」、「包括的で健全な経済」、「経済収束」が、ネガティブ・インパクトとして「健康・衛生」、「雇 用」、「エネルギー」、「文化・伝統」、「人格と人の安全保障」、「水(質)」、「大気」、「土壌」、「生物多様性と生態系サービス」、「資源効率・安全性」、「気候」、「廃棄物」が抽出された。
ニッケーコーの個別要因を加味して、同社のインパクト領域を特定した。その結果、同社の事業 は、住宅そのものを提供しておらず、健康増進やエネルギーへのアクセス性を高めているわけではないこと、有形文化財等がある場所での開発は行っていないこと、強制労働・児童労働などの問題もないこと、施工工事において大気汚染を及ぼす建築資材の使用や生態系に影響を与える開発もみられないことなどから、ポジティブ・インパクトのうち「住居」、「健康・衛生」、「エネルギー」を、ネガティブ・インパクトのうち「文化・伝統」、「人格と人の安全保障」、「大気」、「生物多様性と生態系サービス」を削除した。一方で、同社のサスティナビリティ活動に関連のあるポジティブ・インパクトとして「教育」、
「資源効率・安全性」、「気候」、「廃棄物」を追加した。
【特定されたインパクト領域】
UNEP FI のインパクト分析ツールにより抽出されたインパクト領域 | |||
ポジティブ | ネガティブ | ||
入手可能性、アクセス可能性、手ごろさ、品質 (一連の固有の特徴がニーズを満たす程度) | |||
水 | |||
食糧 | |||
住居 | |||
健康・衛生 | |||
教育 | |||
雇用 | |||
エネルギー | |||
移動手段 | |||
情報 | |||
文化・伝統 | |||
人格と人の安全保障 | |||
xx | |||
強固な制度・平和・安定 | |||
質(物理的・化学的構成・性質)の有効利用 | |||
水 | |||
大気 | |||
土壌 | |||
生物多様性と生態系サービス | |||
資源効率・安全性 | |||
気候 | |||
廃棄物 | |||
人と社会のための経済的価値創造 | |||
包括的で健全な経済 | |||
経済収束 |
個別要因を加味し 特定されたインパクト領域 | |
ポジティブ | ネガティブ |
3-3 特定されたインパクト領域とサステナビリティ活動の関連性
ニッケーコーのサステナビリティ活動のうち、ポジティブ面のインパクト領域としては、風通しの良い職場の醸成や充実した従業員教育、ダイバーシティ経営の実践が、「教育」、「雇用」、「包括的で健全な経済」に該当するとともに、環境に優しいオールウェザーハウスの施工を通した資源効率の改善や CO2 排出量の削減、廃棄物の削減が、「資源効❹・安全性」や「気候」、「廃棄物」に資する取組みと評価される。また、業歴 50 年以上の厚い信頼や高い顧客満足度、本社周辺の清掃活動やxx市の植林活動などといった社会貢献活動は自社のブランド力向上につながり、「経済収束」に該当する。
一方、ネガティブ面においては、協力会社も含めた安全衛生協議会(協優会)の開催や安全衛生委員会の活動、労働環境改善委員会の活動が、「健康・衛生」や「雇用」に該当する。また、xxx発電システムによる再生可能エネルギーの活用や LED 照明などの省エネ設備の導入、公共交通機関での通勤を推奨する制度などは、「エネルギー」、「気候」への貢献が認められるほか、 塗料・溶剤の適切な処理などが、「水(質)」、「土壌」に資する取組みと評価できる。さらに、 ISO9001 認証に基づいた品質管理体制や強固なコンプライアンス体制による施工・品質不良の絶無、ペーパーレス化などの廃棄物削減への取組みは、「資源効❹・安全性」、「廃棄物」への寄与が認められる。
UNEP FI のインパクト評価ツールを用いたインパクト分析結果を参考に、ニッケーコーのサステナビリティに関する活動を同社の HP、提供資料、ヒアリング等から網羅的に分析するとともに、同社を取り巻く外部環境や地域特性等を勘案し、同社が環境・社会・経済に対して最も強いインパクトを与える活動について検討した。そして、同社の活動が、対象とするエリアやサプライチェーンにおける環 境・社会・経済に対して、ポジティブ・インパクトの増大やネガティブ・インパクトの低減に最も貢献すべき活動を、インパクト領域として特定した。
4. KPI の設定
特定されたインパクト領域のうち、環境・社会・経済に対して一定の影響が想定され、ニッケーコーの経営の持続可能性を高める項目について、以下の通り KPI が設定された。
インパクトレーダーとの関連性 | 資源効率・安全性、気候、廃棄物 |
インパクトの別 | ポジティブ・インパクトの増大 |
テーマ | 環境に優しいオールウェザーハウス |
取組内容 | 一般的な建築物と比較して CO2 や廃棄物の排出量が少なく資源を効率よく活用できる「オールウェザーハウス」の設計・製 造・施工・販売。地球温暖化防止に貢献する高速シートシャッター「門番」の取扱い。 |
SDGs との関連性 | 12.2 2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削 減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。 13.1 全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。 |
KPI(指標と目標) | ①2027 年までに、一般建築物と比較したオールウェザーハウスの CO2 排出量削減効果を、現状の 71.2%から+3.8pt増加させ、75.0%を達成する |
インパクトレーダーとの関連性 | エネルギー、気候 |
インパクトの別 | ネガティブ・インパクトの低減 |
テーマ | 気候変動対策 |
取組内容 | xxx発電システムにより創出された再生可能エネルギーの活 用。LED 照明などの省エネ設備の導入。公共交通機関での通勤を推奨する制度などの CO2 排出量削減策の実施。 |
SDGs との関連性 | 7.2 2030 年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。 13.1 全ての国々において、気候関連災害や自然 災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。 |
KPI(指標と目標) | ①2027 年までに、売上高 10 万円当たりの CO2 排出量を現状の 6.39kg-CO2 から▲12.2%削減させ、5.61kg- CO2 を達成する |
インパクトレーダーとの関連性 | 健康・衛生、雇用 |
インパクトの別 | ネガティブ・インパクトの低減 |
テーマ | 労働災害の発生しない職場の醸成 |
取組内容 | 協力会社を含めた安全衛生協議会(協優会)の開催。安全衛生委員会の取組み。 |
SDGs との関連性 | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 |
KPI(指標と目標) | ①安全衛生への取組みを継続し、労働災害件数を現状の0件で維持する |
インパクトレーダーとの関連性 | 資源効率・安全性、廃棄物 |
インパクトの別 | ネガティブ・インパクトの低減 |
テーマ | 施工・品質不良対策 |
取組内容 | ISO9001 認証に基づいた品質管理体制の確立。強固なコンプライアンス体制の維持。 |
SDGs との関連性 | 12.2 2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削 減、再生利用及び再利用により、廃棄物の 発生を大幅に削減する。 |
KPI(指標と目標) | ①2027 年までに、膜体製作不良件数を直近3年間平均 21 件(56 時間)から▲50%削減させ、10 件(28 時間)以下を達成する。 |
インパクトレーダーとの関連性 | 経済収束 |
インパクトの別 | ポジティブ・インパクトの増大 |
テーマ | 高いブランド力 |
取組内容 | 業歴 50 年以上の厚い信頼。高い顧客満足度。本社周辺の清掃活動やxx市での植林活動などの社会貢献活動の実施。高いコンプライアンス意識に基づいた一貫生産体制。技術・ 信頼・経験を持ち合わせた従業員。 |
SDGs との関連性 | 8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済 生産性を達成する。 |
KPI(指標と目標) | ①2027 年までに、オールウェザーハウスの受注件数を現状の年間 60 件から+15 件増加させ、年間 75 件を達成する ②2027 年までに、オールウェザーハウスの総延べ床面積を現 状の年間 24,000 ㎡から+6,000 ㎡増加させ、年間 30,000 ㎡を達成する |
5. 地域経済に与える波及効果の測定
ニッケーコーは、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスの KPI を達成することによって、5年後の売上高を 15 億円に、従業員数を 35 人にすることを目標とする。
「平成 27 年静岡県産業連関表」を用いて、静岡県経済に与える波及効果を試算すると、この目標を達成することによって、ニッケーコーは、静岡県経済全体に年間 24 億円の波及効果を与える企業となることが期待される。
6. マネジメント体制
ニッケーコーでは、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、xxx代表取締役社長が陣頭指揮を執り、社内の制度や計画、日々の業務や諸活動等を棚卸しすることで、自社の事業活動とインパクトレーダーやSDGsとの関連性、KPIの設定について検討を重ねた。
本ポジティブ・インパクト・ファイナンス実行後においても、xxx社長を委員長、xxxx取締役を副委員長とした、SDGs 委員会が中心となって展開していく。経営方針発表会などを通じて社内へ浸透させ、KPI の達成に向けて全従業員がxxとなって活動を実施していく。
委員長 | 代表取締役社長 xx x |
副委員長 | 取締役 xx xx |
委員会 | SDGs 委員会 |
7. モニタリングの頻度と方法
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した KPI の達成および進捗状況については、静岡銀行とニッケーコーの担当者が定期的に会合の場を設け、共有する。会合は少なくとも年に1回実施するほか、日頃の情報交換や営業活動の場等を通じて実施する。
静岡銀行は、KPI 達成に必要な資金およびその他ノウハウの提供、あるいは静岡銀行の持つネットワークから外部資源とマッチングすることで、KPI 達成をサポートする。
モニタリング期間中に達成した KPI に関しては、達成後もその水準を維持していることを確認す る。なお、経営環境の変化などにより KPI を変更する必要がある場合は、静岡銀行とニッケーコーが協議の上、再設定を検討する。
以 x
x評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、静岡経済研究所が、静岡銀行から委託を受けて実施したもので、静岡経済研究所が静岡銀行に対して提出するものです。
2.静岡経済研究所は、依頼者である静岡銀行および静岡銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するニッケーコーから供与された情報と、静岡経済研究所が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書の提供を受けています。
<評価書作成者および本件問合せ先>
一般財団法人静岡経済研究所
企画調査部 研究員 xx xx
x000-0000
xxxxxxxx 0-00 xxxxx 0 x TEL:000-000-0000 FAX:000-000-0000
第三者意見書
2022 年 6 月 30 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 株式会社ニッケーコーに対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社静岡銀行 |
評価者:一般財団法人静岡経済研究所 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、静岡銀行が株式会社ニッケーコー(「ニッケーコー」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、静岡経済研究所による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定した PIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシアティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、インパクト分析ツールを開発した。静岡銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際し静岡経済研究所と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、静岡銀行及び静岡経済研究所にそれを提示している。なお、静岡銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義を、PIF 原則等で参照している IFC の定義に拠っている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえで PIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とした中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
静岡銀行及び静岡経済研究所は、本ファイナンスを通じ、ニッケーコーの持ちうるインパクトを、UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
この結果、ニッケーコーがポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、静岡銀行が PIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 静岡銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
①PIFの申込み | ②PIF評価依頼 | レビュー依頼 | ||||
③インパクトの | ||||||
包括分析・特定 | ||||||
お客さま | ⑤目標・KPI等の協議 | 当行 | ④インパクトの還元 | 静岡経済研究所 | コメントバック | JCR |
⑥目標・KPI等の報告 | レビュー依頼 | |||||
⑨融資実行 | ⑦目標・KPI等の | |||||
PIF評価書交付 | 評価 | |||||
⑧PIF評価書作成 | コメントバック |
(出所:静岡銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、静岡銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、静岡銀行からの委託を受けて、静岡経済研究所が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めた PIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本 PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て静岡経済研究所が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、静岡経済研究所が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しなが
ら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及び ESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人であるニッケーコーから貸付人である静岡銀行及び評価者である静岡経済研究所に対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価部長
xx xx
担当xxアナリスト 担当アナリスト
xx xx xx xx
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・xxな立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候変動イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:00-0000-0000 FAX:00-0000-0000