Contract
事業承継の民事信託契約書
株式
株式
民事信託契約書を作成した事例
私は製造業を経営しています。今年 70 才になりました。長男が専務として会社に入っています。将来は長男に会社を継いでもらいたいと思っています。そのために、会社の権限を渡すため株を譲渡したいですが、税金や買取資金など、クリアしなければいけない問題がたくさんあります。
それに、長男が経営者として適格かも見定めたいと思います。万一、不適格なら株を返してもらわなければいけません。
何かいい方法はないでしょうか?
株式
妻
社長
難す
渡
しの
難す
戻
いも
しの
いも
長女
xx
xx
者
贈与税・
買い取り資金
① これまでの方法では・・・
・ 贈与:多額な贈与税、少しずつ贈与すると、長い年月がかかる(それまでに先代に万一のことがあったら・・・)。
・ 売買:後継者に買取資金が必要。そのために融資を受ければ利息負担。また、先代に多額の譲渡取得税の可能性。
・ 遺言:株を生前に渡して、後継者を試すことができない。
・ 渡した後、後継者が不適格なら ⇒ 渡した株を戻すのが難しい。(多額の資金流出)
② 民事信託による解決例
(ア) 相続発生前
・ 株を後継者に信託する。
・ これにより議決権は後継者に渡る。
⇒ 後継者の適性を試せる。
・ 受益権をオーナーに残すので、このとき贈与税は非課税。
相続の発生!
株式の引き継ぎ
オーナー
・ オーナーが認知症などになっても、後継者が議決権を行使できるので問題ない。
(イ) 相続の発生
・ 受益権が後継者に渡る。この時点で株の譲渡が完了。(遺言と同じ効果)
・ 相続時は相続税で処理。
オーナー
株株
株
株式を信託
株主配当の受け取り
会社
人事権など議決権の行使
後継者
人事権など議決権の行使
後継者
新オーナーに
株株
株
会社
このスキームの民事信託契約書の
例を次のページで紹介!
事業承継 信託契約書
(自社株ついて)
事業承継 信託契約書 (例)
【父 会社オーナー】(委託者、以下「甲」という)と、【子 後継者】(受託者、以下「乙」という)は、以下の条項により、事業承継信託契約(以下「本件信託」という)を締結した。
第1章 総則
(信託の目的)
第1条 本件信託は、第3条記載の財産を甲から受託者である乙に信託することにより、甲の判断能力の低下、著しい身体機能の低下など会社の運営に支障が出る場合にも対処可能とし、さらに甲が死亡した後は、後継者である乙に確実に本件株式を移転させることにより、本件会社の世代交代を円滑に進め、株式の議決権の分散を防ぎ、本件会社の維持・発展を目的としている。
(用語の定義)
第2条 本件信託契約において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 信託財産 : 第3条各号に定める信託の目的とする財産。
(2) 本件会社 : 第3条第1号で定める会社。
(3) 本件株式 : 第3条第1号で定める会社の株式で甲が所有する全ての株式。
(4) 本件事業 : 本件会社が行う事業。
(信託財産)
(1) 次の会社の株式で、甲が所有する全ての株式本店 〇〇県〇〇市○○
商号 株式会社A
(2) 前号の財産から生じる果実、受領した元本、または売却処分した金員
(会社に対する譲渡通知・承認)
第4条 甲および乙は共同して、本件株式の信託については、本件会社に対する株式の譲渡承認の請求、株主名簿の書き換え請求など、本件信託のために必要な措置をとるものとする。
(効力発生時期)
第5条 本件信託は本契約締結後、直ちに効力が発生する。
(受益権証書)
第6条 本件信託に関し、受益権証書は発行しない。
第2章 当事者
(受託者)
2 受託者に次の事由が生じた場合は、受託者の任務は終了する。
(1) 死亡
(2) 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある場合
(3) 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である場合
(4) その他信託財産を管理できない状態になった場合
3 受託者の任務が終了した場合、受益者が新たな受託者を定める。
4 前項の規定により受託者に定められた者が相当な期間を定めて催告しても受託者に就任しない場合は、受益者は新たな受託者を定める。
(受託者の地位等)
第8条 受益者は、前条に定める他、以下の各号に定める場合のみ、受託者を変更することができる。
(1) 受託者が本件信託に基づく義務を履行せず、または本件信託の重大な事項に関する規定に違反した場合
(2) 受益者と受託者の合意がある場合
2 前項の場合、受益者が新たな受託者を定める。この場合、前条第4項の規定を準用する。
(受託者の任務の継続)
第9条 本件信託の受託者に信託法第56条第1項3号の事由が生じた場合においても、受託者の任務は終了しない。
(受益者)
第10条 本件信託の当初受益者は甲とする。
2 甲死亡後の受益者は乙とする。
(受益権の譲渡制限)
第11条 本件信託の受益権は、譲渡、質入れその他の処分をすることができない。
(受益者代理人)
第12条 受益者は、必要がある場合、信託監督人または受益者代理人を選任することができる。
(委託者の地位の相続)
第13条 委託者の地位は甲死亡によっても相続されない。
第3章 信託の方針
(信託財産の管理方針)
第14条 信託財産の管理運用等に関する事項は次のとおりとする。
(1) 受託者は、本件株式の議決権を行使することにより、本件会社の円滑な運営に務めるものとする。
(2) 受託者は、本件信託の事務の処理につき特に必要な場合は専門知識を有する第三者(以降「信託事務処理代行者」という)に委託することができる。
(3) 受託者は、受益者から信託財産の管理状況について報告を求められたときは、速やかに求められた事項を報告するものとする。
(4) 受託者は、信託財産に属する金銭があるときは、受益者の納税、受益者の生活資金、本件事業の経営のために費やすことができる。ただし、受益者が反対の意思表示をしたときはこの限りではない。
(5) 受託者は、受益者のために必要があるときは、受益者の承諾を得て本件株式を本件会社に売却することができる。
2 受託者は信託事務の遂行に当たり、信託財産を受託者の固有の財産と分別管理して、両財産を混同してはならない。
3 受託者は、善良な管理者の注意をもって、受益者のためにxxに職務を遂行する。
第4章 信託の終了と清算
(信託の終了)
第15条 本件信託の終了事由は、次のとおりとする。
(1) 甲の死亡
(2) 受益者と受託者の合意
(3) その他信託法に定める事由が生じたとき。
(清算受託者および手続き)
第16条 本件信託が終了したときの受託者を清算受託者とする。
2 清算受託者は、法令に従い現務を終了して清算手続きを行う。
3 清算受託者について、第7条第2項乃至第4項、第8条、および第9条の規定を準用する。
(信託終了後の残余財産の帰属)
第17条 本件信託契約の終了に伴う残余財産の受益者は、本件信託の清算結了時の受益者とする。
第5章 その他
(法定代理人による意思表示)
第18条 本件信託における受益者の意思表示は、受益者代理人、法定代理人、または任意後見人による意思表示も含む。ただし、本件信託各条項により除外している場合はその限りではない。
2 信託監督人が選任されている場合、受益者の意思表示にあたっては信託監督人との協議を要する。ただし、受益者が意思表示できない場合(前項の場合を除く)は、信託監督人とのみ協議をすれば足りる。
(信託契約の変更)
第19条 本件信託の変更は、受益者と受託者の合意がある場合に限り、書面によって行うことができる。
(契約に定めがない事項の処理)
第20条 本件契約の条項に定めのない事項は、信託法その他の法令に従うものとする。
平成 年 月 日委託者
住所 |
氏名 |
受託者
住所 |
氏名 |
【注意】
ここに示した信託契約者は、今回のモデル事例で参考のために作成したものです。民事信託の案件は全ての案件で事情が異なるので、同じ契約書になることはありません。ここに示した契約書はこのような項目を記載することを理解するための参考程度にとどめてください。
本契約書を実際に用いて生じた損害等について、提供者は何ら責任を負うものではありませんの
で、ご注意ください。