静岡銀行(頭取 柴田 久)では、SDGs への取り組みの一環として、㈱タキ倉庫(社長 瀧 康晃)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたので、その概要をご案内します。
2022.3.30
㈱タキ倉庫と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約を締結
静岡銀行(頭取 xx x)では、SDGs への取り組みの一環として、㈱タキ倉庫(社長 x xx)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたので、その概要をご案内します。
※企業活動が環境・社会・経済のいずれかの側面において与えるインパクトを包括的に分析し、特定されたポジティブインパクトの向上とネガティブインパクトの低減に向けた取り組みを支援する融資
1.契約日 3 月 30 日(水)
2.融資金額 1 億円
3.資金使途 運転資金
4.㈱タキ倉庫の取り組みについて(詳細は「評価書」をご参照ください)
〇同社は、静岡県中部地域ならびに佐賀県内に 48 カ所の営業用倉庫や流通加工施設等を有しており、保管・荷役などの倉庫業を展開しています。
また、物流・組立加工・不動産管理などを手がけるグループ企業 4 社と有機的に連携し、お客さまのさまざまな要望に最適なソリューションを提供することで、事業領域の拡大に取り組んでいます。
〇今回、同社の企業活動が社会・環境・経済に与えるインパクトを、以下のとおり評価しました。
環境面 | ・エネルギー使用量の削減などによる環境負荷の低減(ECO アクション 21 を活用した環境マネジメントシステムの運用、グリーン経営認証登録などを通じた省エネや CO2 削減、資源の再利用、廃棄物の削減・適正処理) |
|
社会面 | ・働きやすい就労環境の整備(教育体制の充実、ワークライフバランスの充実等) ・防災対策の実施(毎年の防災訓練の実施、食料や発電機など非常用品の備蓄等) ・安全衛生管理の徹底(労働安全衛生法に則った適切な安全衛生管理の実施等) | |
経済面 | ・包括的かつ多様な物流サービスの提供(JIT 方式に対応できる物流サービスの提供、さまざまな配送方法への対応、EDI をはじめとした効率的なシステムの構築) ・厳格な品質管理体制の構築と運用(厳格な品質マネジメントシステムの運用、改善 提案活動による改善、緊急時の検査対応サービスの提供) |
|
5.その他
(1)インパクト評価/国連環境計画金融イニシアティブが提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」およびポジティブインパクトファイナンスタスクフォースが提唱した「インパクトファイナンスの基本的考え方」に基づき、一般財団法人静岡経済研究所が㈱日本格付研究所の協力を得て評価を実施
(2)モニタリング体制/一般財団法人静岡経済研究所とともに「ポジティブ・インパクト金融原則」に従い構築した内部管理体制のもと、インパクト評価で特定した KPI について、融資期間中における借入人
のインパクトパフォーマンスのモニタリングを実施
【ご参考】㈱タキ倉庫の概要
所 在地 | xxxxxxxx 000-0 | 創 業 | 1960 年(昭和 35 年)6 月 |
資 本金 | 22 百万円 | 売 上高 | 2,547 百万円(2021 年 9 月期) |
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
評価対象企業:株式会社タキ倉庫
2022 年3月 30 日
一般財団法人 静岡経済研究所
目 次
(6) エネルギー使用量の削減などによる環境負荷の低減 27
静岡経済研究所は、静岡銀行が、 株式会社タキ倉庫(以下、タキ倉庫) に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するに当たって、タキ倉庫の企業活動が、環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響およびネガティブな影響)を分析・評価しました。
分析・評価に当たっては、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融イ ニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」および ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則った上で、中小企業※1に対するファイナンスに適用しています。
※1 IFC(国際金融公社)または中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業
<要約>
タキ倉庫は、静岡県中部地域と佐賀県に全 48 カ所の営業用倉庫や流通加工施設等を有し、保管・荷役などの倉庫業を営んでいる。さらに、顧客の様々な要望に応える形で、タキ倉庫 を中心に、タキトラフィック(輸送)、タキ電装(組立加工)、タキ商事(産業資材等の販 売)、タキホーム産業(不動産管理)の各社がタキグループとして有機的に連携し、組立・加工、物流、業務プロセスの提案といった多様なサービスを提供している。
タキグループの活動は、経済面では、ジャスト・イン・タイム(JIT)方式への対応など包括的 かつ多様な物流サービスの提供や、ISO9001 の認証取得を通じた厳格な品質管理体制の構築により、経済の収れんに対するポジティブ・インパクトの増大に寄与している。社会面では、充 実した教育体制の整備などの働きやすい就労環境の整備、非常用品の備蓄などの防災対策の実施により、雇用、教育、健康と衛生などに対するポジティブ・インパクトの増大に寄与している。さらに、社会面で、G マーク認定取得などによる安全衛生管理の徹底は、雇用、健康と衛生などに関するネガティブ・インパクトの低減に寄与しているほか、環境面では、ECO アクション 21 に よる環境マネジメントシステムの運用、グリーン経営認証等を通じた環境負荷低減への取組みによって、エネルギー、大気、資源効率・資源安全確保などへのネガティブ・インパクトの低減を実現している。
【ポジティブ・インパクトの増大】
分類 | テーマ | 取組内容 | KPI (指標と目標) | インパクトレーダー | SDGs |
経済 | タキ倉庫において、2027 | ||||
JIT 方式に対応 | 年までに倉庫機能を高度 化し、サービスの付加価値 | ||||
できる物流サービ | を高めて、顧客基盤を拡 | ||||
スの提供 | 充する。 | ||||
多様な物流 サービスの | 様々な配送方法への対応 | タキ倉庫において、2030年までに、自社の倉庫管 | 経済の収れん | ||
提供 | EDI をはじめとした | 理システムと連携するサプ | |||
効率的なシステム | ライヤーを現状より 10% | ||||
の構築 | 以上増やし、業務効率化 | ||||
を図るとともに、サプライチェ | |||||
ーンを強化する。 | |||||
タキ電装において、 | |||||
ISO9001 認証を更新 | |||||
し、高水準の品質マネジメ | |||||
ントシステムを運用すること | |||||
厳格な品質マネ | で、社外不適合品発生ゼ | ||||
厳格な品質 | ジメントシステムの | ロを目指す。 | |||
管理体制の構築と運用 | 運用 改善提案活動に | タキ倉庫において、改善提案活動を継続し、毎月の | 経済の収れん | ||
よる改善 | 品質会議で改善策を検討 | ||||
し実行することで、生産性 | |||||
を向上し、毎期、年間の | |||||
一人当たり総労働時間の | |||||
前期比削減を目指す。 |
分類 | テーマ | 取組内容 | KPI (指標と目標) | インパクトレーダー | SDGs |
社会 | タキ倉庫において、2026 | ||||
年度までに、年間の所定 | |||||
休日を2日以上増やす。 | |||||
教育体制の充実 | タキ倉庫において、2026 | ||||
働きやすい就労環境の整備 | ワークライフバランスの実現 ダイバーシティの推 | 年度までに、女性正社員の平均勤続年数を5年以上とする。 タキ倉庫において、新入社 | 雇用教育 包摂的で健全な経済 | ||
進 | 員、若手社員のほか、中 | ||||
堅社員、幹部社員も含め | |||||
た研修カリキュラムを拡充 | |||||
し、全社的な人財育成を | |||||
強化する。 | |||||
毎年の防災訓練 | タキ倉庫において、2023年度中に、事業継続計画 | ||||
の実施 | と初動対応マニュアルを策 | ||||
防災対策の実施 | 食料や発電機など非常用品の備蓄 | 定する。 タキ倉庫において、2025年度中に、策定した事業 | 健康と衛生 | ||
防災用品の販売 | 継続計画と初動マニュアル | ||||
事業 | を基に、全社的な総合防 | ||||
災訓練を実施する。 |
【ネガティブ・インパクトの低減】
分類 | テーマ | 取組内容 | KPI (指標と目標) | インパクトレーダー | SDGs |
社会 | タキ倉庫において、安 | ||||
全衛生教育、安全パ | |||||
トロールを拡充し、荷 | |||||
役作業におけるフォーク | |||||
労働安全衛生法に | リフト関連の事故件数 | 雇用 | |||
安全衛生管理の徹底 | 則った適切な安全 衛生管理の実施 | について、毎期、前期 比マイナスを目指す。 | 健康と衛生包摂的で健 | ||
G マーク認定取得 | タキトラフィックにおい | 全な経済 | |||
て、「G マーク」認定の | |||||
もととなる 38 の評価項 | |||||
目を遵守し、「G マー | |||||
ク」認定を継続する。 | |||||
環境 | ECO アクション 21を活用した環境マネジメントシステムの運用 | エネルギー | |||
タキ電装において、今後も定期的監査を受 | 大気 | ||||
エネルギー使 用量の削減 | けて「ECO アクション 21 」の認証登録を継 | 水 | |||
などによる環 境負荷の低 | 続するとともに、事業活 動に伴う 17 の環境負 | 気候変動 | |||
減 | 荷項目について、削減目標を定めて実行する活動を継続していく。 | 資源効率・資源安全確保 | |||
廃棄物 |
分類 | テーマ | 取組内容 | KPI (指標と目標) | インパクトレーダー | SDGs |
環境 | タキトラフィックにおい | ||||
て、2030 年までに EV | |||||
トラックの導入率 50% | |||||
以上を目指す。 | |||||
タキトラフィックにおい | |||||
て、「グリーン経営」認 | エネルギー | ||||
グリーン経営認証 | 証登録を継続し、環 | ||||
登録などを通じた省 | 境行動計画に基づく | 大気 | |||
エネや CO2 削減 | 定期的な目標の設 | ||||
定、実行を継続してい | 気候変動 | ||||
く。 | |||||
エネルギー使用量の削減などによる環境負荷の低減 | タキ倉庫において、 2025 年までに CO2排出量の算定を開始し、削減を目指す。 | ||||
タキ倉庫において、今 | |||||
後も、輸入品等から発 | |||||
資源の再利用、廃棄物の削減・適正処理 | 生する大量の段ボールやプラスチックについて、発生量の9割以上を 廃棄せずに専用の業 | 資源効率・資源安全確保 廃棄物 | |||
者へ引き渡し、資源と | |||||
して再利用する。 |
今回実施予定の「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の概要
契約日および返済期限 | 2022 年3月 30 日~2027 年 3 月 30 日 |
金額 | 100,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
モニタリング期間 | 5 年 0 ヵ月 |
企業概要
企 業 名 | 株式会社タキ倉庫 |
所 在 地 | xxxxxxxxxxx 000-0 |
事 業 所 | 本社営業所、榛南営業所、xx営業所、御前崎営業所、九州営業所 |
従 業 員 数 | 154 名 |
資 本 金 | 2,160 万円 |
業 種 | 倉庫業、包装業、第一種利用運送業 |
主要取引先 | ㈱xx製作所、xx通商㈱、xxxx㈱ |
グ | ル | ー | プ | ㈱タキ倉庫(倉庫) ㈱タキトラフィック(輸送) ㈱タキ電装(組立加工) ㈱タキ商事(産業資材、防災用品等の販売) ㈱タキホーム産業(不動産管理) | |
グループ沿革 | 1960 年 1974 年 1975 年 1983 年 1985 年 1986 年 1987 年 1994 年 1996 年 2002 年 2004 年 2008 年 2016 年 | 瀧包装㈱設立 倉庫業営業認可取得 ㈱タキ倉庫に社名変更 ㈱タキホーム産業設立 電装事業部新設、旧榛原町に自動車部品組立工場建設 ㈱タキ電装設立、電装事業部を分離 ㈱タキ商事設立、商事部を分離 ㈱タキトラフィック設立、倉庫部運輸課を分離御前崎市に倉庫建設、御前崎営業所開設 ㈱タキ電装が ISO9001/2000 を認証取得 ㈱タキトラフィックがグリーン経営認証取得九州営業所開設 新社屋完成 |
(2022 年3月 30 日現在)
1. サプライチェーンにおける役割および特徴
タキ倉庫は、静岡市xx区、榛原郡xx町、xxx市、御前崎市など静岡県中部地域に加え、佐賀県吉野ケ里町に、全 48 カ所の営業用倉庫や流通加工施設等を有し、保管・荷 役などの倉庫業を営んでいる。さらに、顧客の様々な要望に応える形で事業領域を拡大し、タキ倉庫を中心に、タキトラフィック(輸送)、タキ電装(組立加工)、タキ商事(産業資材等の販売)、タキホーム産業(不動産管理)の各社がタキグループとして有機的に連携し、組立・加工、物流、業務プロセスの提案といった多様なサービスを提供している。
なお、本ファイナンスにおいては、タキ倉庫とタキトラフィックの物流事業、タキ電装の組立加工事業、タキ商事の産業資材販売事業を中心に、包括的分析を実施した。
タキ倉庫(保管、荷役、検査、梱包)
倉庫業と一口に言っても、取り扱う商材によってその業務内容は異なる。タキ倉庫は主に、製造業向けに、ジャスト・イン・タイム(JIT)※1で必要な資材を納める代行納入業務を行っている(次頁 図表1)。これは、県中部に生産拠点を有する大手メーカーに対し、タキ倉庫が、合計約 130 社に上る部品メーカーや商社などのサプライヤーから、製品の生産に必要な資材や部品などを調達し、自社倉庫で保管の上、納入先のメーカーからの出荷指示に応じて、適切なタイミングで必要量を納品する業務である。
こうした取引形態を構築した背景には、自動車部品メーカーとの取引がある。取引先がトヨタ自動車の「かんばん方式」※2を基に生産体制を構築しており、タキ倉庫も、顧客のニーズに応える形でかんばん方式に対応できる体制を整えることで、製造業の高効率なサプライチェーンの一部を、物流面で支える役割を担うようになった。実際に、タキ倉庫が調達・納入業務を代行することで、部品メーカーや商社などのサプライヤー側は運送・管理コストを、納入先の大手メーカーは在庫の管理コストを削減することが可能となり、最終的に、サプライチェーン全体の業務効率化やコスト削減、環境負荷の低減を実現している。
またタキ倉庫では、受発注、請求、支払いなどの取引情報を電子的に行う XXX を早期に導入し、業務の効率化を図っている。納入先とのシステムの連携はもちろんだが、独自にシステムをカスタマイズし、サプライヤーとも EDI を連携することで、従来は手作業だった出荷指示や請求・支払等の事務作業を自動化し、大幅な業務効率化を実現している。
さらに、タキ倉庫は 1960 年に梱包を行う瀧包装㈱として出発した経験を活かし、保管・荷役業務に加えて、包装や検査といった流通加工業務も担っている。具体的には、グループのタキ電装が生産した部品を箱詰めしたり、海外からの輸入品を専用の箱に詰め替えるほか、海外から輸入した部品を、目視や専用の機械を使って検査する業務なども行っている。
※1 必要なものを、必要なときに必要な量だけ造る、トヨタ自動車が提唱する生産方式。
※2 「かんばん」と呼ばれる、いつ、どこで、何が、どれだけ使われたかが書いてあるカードを使い、部品の作り過ぎや保管スペースを無くし、ジャスト・イン・タイムを実現するための方法。
タキトラフィック(運送)
タキトラフィックは、小型車から大型車まで計 41 台の車両を保有し、タキ倉庫と連携して、静岡県内全域で、代行納入や JIT 納入といった運送業務を行っている。
タキトラフィックは、タキ倉庫の主要事業である代行納入において、タキ倉庫から納入先メーカーへの資材の運送を担当している(図表1)。また、70 社以上の企業で構成する協同組合の協同配送業務の一部も担っている。なお、タキトラフィックは、タキ倉庫と連携し、その出荷指示に基づき、効率的に配送を行う体制を整えている。
タキトラフィックの運送業務の特徴は、JIT 納入、多回納入、xx納入など、顧客の要望に 応じて、最適な納入方法で配送できる点である。たとえば、かんばん方式に対応し、納入先メーカーがあらかじめ指定した頻度や時刻に、指定数の資材や部品を確実に配送する体制を構築しており、顧客の求める高度なサービスを提供することで、地域の製造業の効率的な生産活動を支えている。
図表1 タキ倉庫の代行納入業務フロー
【資材調達先】
納品
部品メーカー、商社等
A社
【納入先】
出荷指示
メーカー
B社
保管、荷役
C社
タキ倉庫
D社
タキトラフィック
E社
タキ電装(組立、加工)
タキ電装は、xx(xxx市)、御前崎(御前崎市)、xx(静岡市)の3工場で、自動車用照明器具、住宅用電動雨戸シャッター電装部品、交通信号保安機器などの組立加工を行っている。主力の自動車用照明器具では、モデルチェンジ後の旧型の部品加工を行っているため、登録品種は1万品種以上と、“超”多品種少量生産に対応している。なお、これら自動 車用照明器具の梱包をタキ倉庫が担当しており、製品種類ごとに専用の包装資材やラベルで梱包した上で、納品する。
タキ電装の強みは、極めて高度な品質管理と納期厳守を確実に行う点である。世界最高水準の生産性を誇る日本の自動車産業では、徹底した品質・納期管理を求められる。そこでタキ電装では、従業員への教育訓練を実施し熟練工の技術の向上を図るとともに、2002 年に ISO9001 を認証取得し、品質マネジメントシステムを厳格に運用することで、顧客の高度な要求に対応した品質・納期の管理体制を構築している。
タキ商事(産業資材、防災用品等の販売)
タキ商事は、労働安全衛生保護具、物流用品、防災用品などの販売を行っている。製造業や建設業など県内の事業所向けに、ヘルメット、手袋、安全靴といった労働安全衛生保護具をはじめ、安全標識やカーブミラーなどの工事用看板・標識、クリーンルーム用の作業服など、豊富な産業資材を供給している。また、県内の官公庁や地域の自治会に対し、消火器や消火ホース、長期間保存可能な飲料水や食品といった防災用品を納めている。
タキホーム産業(不動産管理)
タキホーム産業は、静岡市、藤枝市の住宅展示場のメンテナンスや清掃管理をはじめ、顧客の建物や施設の維持管理を行っている。また、タキグループの不動産管理やメンテナンス管理を行っている。
2. 業界の動向
市場動向
物流とは、「物資を供給者から需要者へ、時間的及び空間的に移動する過程の活動。一般的には、包装、輸送、保管、荷役、流通加工及びそれらに関連する情報の諸機能を総合的に管理する活動」(JISZ0111)と定義される。そして、物流を担う事業者には、鉄道や自動車、船舶、航空機による貨物運送業、倉庫業などがある。
国内の貨物輸送量は、長期的には減少傾向にあるものの、2010 年以降はほぼ横ばいで推移している。そのうち、自動車による輸送量がトンベースで約9割、輸送量に輸送距離をかけたトンキロべ―スで約5割を占める。大きく、短距離輸送ではトラックが、中・長距離輸送では海運の占める比率が高く、特に短距離輸送においては、トラック輸送が重要な役割を果たしている。
2017 年度の物流の市場規模は約 24 兆円、2018 年度の労働就業者数は約 258 万人と、全就業者数の約4%を占めるxx産業である。分野別の営業収入(2018 年度)では、トラック運送事業が 16 兆 3,571 億円と 6 割以上を占め、次いで、外航海運業3兆 3,360 億円(13%)、倉庫業 2 兆 2,448 億円(9%)が続き、ここでもトラック運送事業の占める比率が大きい。
資料:国土交通省「輸送機関別輸送量」
近年は、電子商取引市場の成長により、宅配便の重要が急激に伸びており、2020 年度の宅配便取扱個数は 48 億個と 10 年間で 1.5 倍に拡大している。一方で、構造的な人材 不足により、物量と担い手の需給パランスが崩れ、安定的なサービスの提供体制の構築が社会的に求められている。
深刻化する人材不足、労働環境の改善が急務
物流業界では現在、人手不足が深刻化している。
背景にあるのは、第一に、生産年齢人口の減少である。15~64 歳の生産年齢人口は、 1990 年に 8,590 万人だったのが、2018 年には 7,545 万人と、1,000 万人以上減少している。少子高齢化の流れは今後も続き、2065 年には 4,529 万人まで減少する見込みであり、労働集約的産業とされる物流業への影響は大きいと考えられる。
第二に、1990 年代からのトラック運送事業における規制緩和がある。1990 年から参入規制や運賃規制が緩和された結果、トラック運送事業への新規参入が急増し過当競争が発 生。トラック運送事業者は、顧客獲得のため低運賃や短納期を競うこととなり、ドライバーの低賃金や長時間労働に拍車がかかり、人を集めにくくなってしまった。
しかし、2017 年の大手宅配事業者による総量規制や運賃値上げなどが契機となり、物流事業者の労働環境の改善は、社会全体で取り組むべき課題であるとの認識が広まる。その結果、トラック事業者の取引改善や働き方改革のため、2017 年に標準貨物自動車運送約款の改正により、運賃の範囲等が明確化されたほか、2020 年 には標準的な運賃が告示さ れ、浸透が図られている。また、2018 年の働き方改革関連法成立により、2024 年度からトラックドライバーに対して時間外労働の上限規制が適用されることとなった。さらに、2019 年 には「ホワイト物流」推進運動が始まり、国土交通省、経済産業省、農林水産省もバックアップして、荷主企業と物流事業者が相互に協力し、連携してサプライチェーン全体の生産性向上を目指すとしている。
物流産業における労働力不足の問題は、国民生活に必要な社会インフラの機能不全に 直結する深刻な問題を引き起こす可能性があり、一刻も早く解決すべき課題として、国を挙げて改善に向けた取組みを強化している。
求められる環境負荷低減への取組み
2050 年のカーボンニュートラル実現を考える上で、物流業界の取組みは非常に重要である。 日本の二酸化炭素排出量のうち、運輸部門は 18.5%を占めており、そのうち 36.6%を自家用・営業用の貨物自動車が占める。運輸部門全体の二酸化炭素の排出量は、 1990 年度の 2 億 700 万トン-CO2 から 2001 年度の2億 6,200 万トン-CO2 へ増加したものの、2018 年度には 2 億 1,042 万トン-CO2 へ減少している。そのうち物流分野 は、1990 年度の1億 158 万トン-CO2 から 1996 年の 1 億 1,345 万トン-CO2 へ増加したものの、環境対応車の開発・普及等の取組みの結果、2018 年度には 8,565 万トン-
CO2へ減少している。
社会的にも環境負荷低減が求められる中、トラック運送事業者は、業界を挙げて様々な 取組みを進めている。具体的には、燃費の良い経済速度での走行やアイドリングストップ等のドライバー教育を推進するほか、デジタルタコグラフやドライブレコーダーの導入によるエコドライブの実践も推奨している。さらに、従来のディーゼルエンジンに比べて二酸化炭素排出量の少ない
低公害車の導入も推進している。一般的に低公害車には、CNG(圧縮天然ガス)車、メタノール車、ハイブリッド車、LPG 車などがあり、トラックとしては CNG 車やハイブリッド車が使われている。さらに、積載効率を上げる共同配送化など、荷主企業も巻き込んだ物流の仕組みの変革も進められている。
そして、こうした環境への対応状況を評価・認証する制度に、運輸事業者を対象とした「グリーン経営認証」がある。これは、交通エコロジー・モビリティ財団が認証機関となって、エコドライ ブの実施、低公害車の導入、効率的走行の推進などの項目について審査を行い、一定以上の取組みを行っている事業者に対して認証を与える制度である。2022 年 2 月末現在、認 証登録された運輸事業者は、登録件数 3,881 件、事業所数 6,301 所まで増加しており、環境負荷低減に向けた取り組みが、業界全体に浸透しつつある。
以上のように、タキグループの企業概要や特徴および同グループが属する業界動向を総合的に勘案した上で、UNEP FI のインパクト評価ツールを用いて網羅的なインパクト分析を実施 し、ポジティブ・ネガティブ両面のインパクトが発現するインパクトカテゴリーを確認した。そして、同社の活動が、環境・社会・経済に対して、ポジティブ・インパクトの増大やネガティブ・インパクトの低減に貢献すべきインパクトを次項のように特定した。
3. インパクトの特定および KPI の設定
(1) 包括的かつ多様な物流サービスの提供
<インパクトの別>
ポジティブ・インパクトの増大
<分類>経済
<インパクトレーダーとの関連性>経済の収れん
<SDGs との関連性>
17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
<KPI(指標と目標)>
• タキ倉庫において、2027 年までに倉庫機能を高度化し、サービスの付加価値を高めて、顧客基盤を拡充する。
• タキ倉庫において、2030 年までに、自社の倉庫管理システムと連携するサプライヤーを現状より 10%以上増やし、業務効率化を図るとともに、サプライチェーンを強化する。
<インパクトの内容>
物流業界では近年、輸送、保管、荷役、流通加工といった複合的な機能を組み合わせて物流サービスを提供する「3PL」ビジネスのニーズが高まっている。タキ倉庫は、保管・荷役業務に 加え、包装・検査といった流通加工業務を行うほか、タキトラフィックが運送業務を、タキ電装が組立加工業務を担うことで、顧客の求めるサービスを包括的に提供している。
タキグループの物流サービスの最大の特徴は、製造事業者に対し、必要な時に必要な量を確実に納める“代行納入”を担える点にある。これは、タキグループが自動車部品メーカーとの取引を通じて、JIT方式に対応できるサービス体制を構築したことが背景にある。自動車部品メーカーは不要な在庫を持たないため、資材や部品のサプライヤーは、出荷指示に従い、定刻に指定の量の商材を確実に納入する必要がある。タキ倉庫は、グループで保管と運送の両方の機能を有することから、サプライヤーにとって最もコストの低い頻度と量での集荷方法を提案できる。そこで、タキ倉庫が、約130社ものサプライヤーから集荷した資材を一時的に自社倉庫に保管し、メーカーからの指示通りに納入する業務を代行することで、サプライヤーとメーカーのコスト削減を可能にし、サプライチェーン全体の効率化に貢献しているのである。
グループで配送を担当するタキトラフィックでは、顧客のニーズに応じてJIT方式に対応できるよう、様々な配送方法を提供している。たとえば、複数のサプライヤーを巡回・集荷してそのまま納入するミルクラン方式や、ミルクランで集荷した荷物をいったん預かり、出荷指示に応じて納入するドッキング方式など(次頁図表参照)、顧客の求めるタイミング、頻度で必要な商材を提供することで、製造業の効率的な生産活動を支えている。
そして、事業者間の複雑な物流を支えるのが、EDIに代表されるシステムである。タキグループではIT技術を積極的に導入しており、納入先との連携はもちろん、倉庫管理システムを独自にカスタマイズし、一部のサプライヤーと接続を開始した。約130社にも上るサプライヤーとの間では、在庫管理や請求・支払等の膨大な事務処理が発生することから、システムの連携により、商材の入出庫などを一気通貫で自動処理することで、業務の効率化を進めていく予定である。また、社内についても、各事業所をVPN(仮想の専用ネットワーク)で接続し、倉庫管理システムを全社で共有できるようにしたほか、電子帳票システムを導入して過去の受払履歴や在庫情報をすべて電子化し、ペーパーレス化を実現している。さらに現場でも、システムと接続できるハンディターミナルを導入し、バーコードやQRコードの読み取りで入出庫時の照合を行うことで、出荷ミスの防止も図っている。
このように、タキグループでは、顧客の要望に応じて、代行納入サービスに代表される高度なサービスを提供することで、高いレベルの経済の収れんに貢献している。
静岡銀行は、タキ倉庫の包括的かつ多様な物流サービスの提供体制を定量的にモニタリングするために、倉庫機能の高度化などの進捗状況をモニタリングしていく方針である。
(2) 厳格な品質管理体制の構築と運用
<インパクトの別>
ポジティブ・インパクトの増大
<分類>経済
<インパクトレーダーとの関連性>経済の収れん
<SDGs との関連性>
8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。
<KPI(指標と目標)>
• タキ電装において、ISO9001 認証を更新し、高水準の品質マネジメントシステムを運用することで、社外不適合品発生ゼロを目指す。
• タキ倉庫において、改善提案活動を継続し、毎月の品質会議で改善策を検討し実行することで、生産性を向上し、毎期、年間の一人当たり総労働時間の前期比削減を目指す。
<インパクトの内容>
タキグループでは、保管や配送をはじめ、流通加工や組立加工など、取引先のサプライチェーンを支える重要な役割を担うことから、「品質で奉仕、創造と挑戦、和で共栄」を社是に掲げ、厳格な品質管理を行い、顧客の求める高水準なサービスを提供している。
タキ電装は、自動車用照明器具、住宅用電動雨戸シャッター電装部品、交通信号保安機器などの組立加工を行っており、自動車部品メーカーをはじめ顧客の大手メーカーからは、徹底した品質・納期管理を求められる。そこで、2002年にISO9001の認証を取得し、品質マネジメントシステムを厳格に運用することで、厳しい顧客ニーズに耐えうる管理体制を構築している。
具体的には、毎年度、会社全体の「品質方針」、「品質年度目標」を決定し、それに基づい て、各部門が「部門品質目標」を策定し、「品質目標実施計画書」を作成し実行している。 2021年度は、「品質は創意工夫の積み重ね、今日の品質、明日の信頼」の品質方針のもと、
「標準ルールと、1加工1チェックを徹底し、不良‘0’を達成する」、「異常処置ルール・変化点管理を順守し、工程内不良の撲滅を図る」を目標に掲げ、自動車照明器具部門、住宅用電動雨戸シャッター電装品部門といった部門ごとに、得意先クレームの低減や工程内の不良率低減を目標に設定し、日々目標達成に向けて取り組んでいる。
品質管理責任者や工場長、部長などで構成される品質会議を毎月開催し、目標の達成状況を確認するとともに、班長以上が出席する品質フォロー会議を毎月開催し、目標の進捗や問題点への対応状況を確認するとともに、議事録を食堂に掲示して全従業員に周知している。さらに、取引先に対しても、毎月の取引先の品質会議への参加などを通じ、自社の品質管理の取組み状況について報告し、必要な際は指導を受けることで、さらなる品質改善に繋げている。
また、適切な品質管理を行うため、年度ごとに教育訓練計画を策定して実施している。新入社員向けの品質保証に関する講習をはじめ、技能員向けの品質マニュアル教育、検査員向けの品質検査のポンイントの教育など、対象者の段階別にきめ細かなカリキュラムを策定し、必要な知識や技能を確実に習得できるようにしている。
タキ倉庫では、3年前に本社に「品質安全改善指導室」を設置し、全社xxとなって品質の向上に取り組んでいる。自動車部品メーカーのOBを複数名招聘し、定期的に品質・安全パトロールを実施して改善点を洗い出し、品質会議、安全衛生委員会で具体策を討議し、実行して改善につなげている。
改善を進める上で重要となるのが、社員一人ひとりが“自分達の職場を自分達で改善する”との当事者意識を持って取り組むことである。そこで同社では、積極的な改善提案を全社員に呼び掛けた結果、現在では毎月約50件の提案がなされるようになっている。提案はすべて上席者が目を通し、着想や効果といった項目ごとに評価して報奨金を出している。実際に、提案書自体の電子化によるペーパーレス化、倉庫内のハザードマップの作成、窓あき封筒の活用による事務の効率化・厳正化などの提案がなされており、こうした小さな改善を積み重ねることで、業務の品質や生産性向上につなげている。
また、保管、荷役、検査、梱包などの業務ごとに、業務フロー表や作業手順書などを作成し、それらを基に業務指導を行うことで、高い作業品質を維持している。たとえば、「業務フロー」は、入庫処理、入庫、かんばん仕分け、包装資材の準備、出庫等の作業順に、物の流れを図示するとともに、作業内容や納期等の確認すべきポイントを記載している。また、「作業手順書」は、たとえば梱包であれば、封入、密封、印字、計量といった作業順に、製品の向きやパレットへの積 み方などの詳細を記載し、作業内容や手順を明確にしている。また、「ワンポイントレッスン」を作成し、製品を包装する際の向きや印字内容など、業務のポイントをわかりやすく記載し、実施後に作業者がサインするほか、「注意書」を作成して作業場の見える場所に掲示することで、守るべき事項を作業者がきちんと理解できるようにしている。さらに、作業者一人ひとりに「私の品質x x点」を工程ごとに作成してもらい、主体的に品質向上に取り組む意識を醸成している。
そして、新たに作業に就く人がいたり工程を変更する場合は、これらの資料を使って作業内容を説明した上で、作業手順書をもとに、指導者が説明をしながら作業を実演した上で、指導者が横について指導をしながら作業者に作業をしてもらう。そして、作業内容の理解度を確認した上で、必要な都度指導者がフォローを行う。さらに、指導者が、1週間から1カ月程度の間は、毎日の巡回時に、指導通りに標準作業ができているかを確認するほか、作業リーダーも日々作業確認を行い、高品質を維持している。
このように、タキグループでは、品質マネジメントシステムの厳格な運用などにより、顧客のニーズを満たす高品質な製品やサービスを提供することで、経済の収れんに貢献している。
静岡銀行は、タキグループが、適切な品質管理を継続して行うことを確認するとともに、社外不適合品の発生状況などをモニタリングしていく方針である。
(3) 働きやすい就労環境の整備
<インパクトの別>
ポジティブ・インパクトの増大
<分類>社会
<インパクトレーダーとの関連性> 雇用、教育、包摂的で健全な経済
<SDGs との関連性>
4.4 2030 年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。
5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。
8.5 2030 年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する。
<KPI(指標と目標)>
• タキ倉庫において、2026 年度までに、年間の所定休日を2日以上増やす。
• タキ倉庫において、2026 年度までに、女性正社員の平均勤続年数を5年以上とする。
• タキ倉庫において、新入社員、若手社員のほか、中堅社員、幹部社員も含めた研修カリキュラムを拡充し、全社的な人財育成を強化する。
<インパクトの内容>
タキ倉庫では、従業員教育の充実や各種制度の拡充などにより、従業員の働きやすい環境づくりに積極的に取り組んでいる。
教育体制の充実
タキ倉庫では、xxを担う人財育成こそが企業の礎であるとのxxx社長の信念のもと、xxにわたり人財育成に力を注いできた。新入社員研修はもちろん、幹部社員、中堅社員、若手社員向けの階層別研修など、社員がそれぞれの立場で力を発揮できるよう、きめ細かなカリキュ ラムを組んでいる。
たとえば新入社員教育では、倉庫管理部、業務部など社内の担当者のほか、コンサルティング会社などの外部講師も活用し、入社時に延べ2週間ほどの充実した研修を行っている。内容は、ビジネスマナーや書類の作成方法のほか、物流業界の基礎知識、品質管理、安全衛生といった実務的な講義に加え、自社の倉庫見学や6S パトロールへの参加なども盛り込んだ、非常に充実した内容となっている。また、若手社員、管理職などの階層別では、外部講師を招い て、若手・中堅社員向けに、グループディスカッションを行う参加型の「問題解決向上研修」(全
4回)や、管理職向けに、経営目線で財務を見る力を習得する財務研修や、会社の方針や重要事項などを学ぶ方針管理研修などを行っている。
ワークライフバランスの実現、ダイバーシティの推進
タキ倉庫では、従業員がワークライフバランスを実現できるよう、就労環境の改善にも取り組んでいる。2020 年4月に、次世代育成支援対策法に基づく一般事業主行動計画を策定し、 所定外労働時間の削減と有給休暇の取得促進に取り組んできた。具体的には、管理職に対して時間管理についての教育を行い意識の向上を図るとともに、不要な居残りをせず、業務終了後に速やかに帰宅するよう指導するようにした。さらに、年次有給休暇の取得を促進するため、 管理職が、取得状況の確認や未取得者への声掛けなどを行った。その結果、新型コロナウイル ス感染症の拡大といった外部環境の影響はあるものの、2020 年度の1人当たり所定外労働時間が前年度比2割以上減少したほか、有給休暇も1人当たり平均取得日数が 10 日以 上となるなど、一定の成果が出ている。
また、女性活躍推進については、2022 年度から 2026 年度までの5年間を計画期間として、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画において、女性社員の平均勤続年数を5年以上とする目標を設定している(2021 年9月末時点の平均勤続年数 4.5 年)。具体的には、OJT やセミナー等の教育の拡充により、女性社員の専門能力の強化を図るほか、育 児・介護休業規定に則り、出産後の女性社員に育児休業制度の利用を促し、勤続年数の長期化を図る計画である。
さらに、高齢者については、2020 年4月に再雇用規定を制定し、60 歳の定年到達者に対し、1年ごとに 65 歳までの再雇用契約を締結することで、経験豊富で就労意欲のあるシニア 人財が活躍できる環境を整備した。2022 年3月末時点で、6名の社員が同制度を利用して就労している。
また、2017 年 9 月より、中国から外国人技能実習生を受け入れ、現在、6 期生目、延べ 24 名の実習生が、現場での保管や荷役作業に従事している。現在は、感染症の拡大で新規の実習生が入国できない厳しい状況が続いているが、今後も継続して受け入れていく方針である。
このように、タキ倉庫では、教育の拡充や行動計画の策定を通じた働きやすい環境の整備により、地域に優れた雇用の場を創出し、雇用、教育、包摂的で健全な経済の実現に貢献してい る。
静岡銀行は、タキ倉庫における、人財育成や就労環境の整備状況を確認するために、所定休日数などをモニタリングしていく方針である。
(4) 防災対策の実施
<インパクトの別>
ポジティブ・インパクトの増大
<分類>社会
<インパクトレーダーとの関連性>健康と衛生
<SDGs との関連性>
11.5 2030 年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
13.1 全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。
<KPI(指標と目標)>
• タキ倉庫において、2023 年度中に、事業継続計画と初動対応マニュアルを策定する。
• タキ倉庫において、2025 年度中に、策定した事業継続計画と初動対応マニュアルを基に、全社的な総合防災訓練を実施する。
<インパクトの内容>
近年、全国各地で大規模洪水など自然災害が多発しているほか、静岡県では将来的に南 海トラフ巨大地震の発生が予想されることから、タキグループにおいても、有事の際の安全確保や事業存続に備えて様々な対策を講じている。
タキ倉庫では、自然災害や非常事態に備え、日頃から様々な対策を行っている。
まず、毎年欠かさず防災訓練を実施している。事前に、各職場の防災組織図の確認、防災対策組織図の掲示、ヘルメット常備位置の確認、避難経路図の見直し等を行った上で、訓練当日に、大地震の発生を想定した避難訓練を実施している。当日は、対策本部を設置し、各拠点に配備している衛星電話を立ち上げて、地域間の情報交換等を行うほか、従業員の安否確認メールのテストを行い、受信状況等も確認している。
また、タキ倉庫では災害発生に備え、ハード面でも様々な備えをしている。防災倉庫を設置 し、非常食や非常用水、毛布などの災害用備品を準備しているほか、営業用倉庫においては、電子部品を扱う倉庫に落下防止柵を設置したり、金型を保管する倉庫にはチェーンを設置するなど、落下や転倒防止のための方策を講じている。また、地域ごとに非常用発電設備を設置し ており、xx地区では、空調用の大型機を1台、本社サーバー用の中型機を1台、本社OA 機器用の小型機を3台、防災倉庫に備えているほか、榛南地区では小型機を2台備えてい る。また、非常用発電機用の軽油もドラム缶で備蓄をしているが、劣化防止のため、ディーゼルのフォークリフトを1台導入し、一定期間で備蓄を循環させるようにしている。その他にも、水害に備
えて9カ所の倉庫に止水板を設置しているほか、非常用電源として、プラグインハイブリッド車を、xxに4台、榛南に1台、xxに1台配備している。
また、同社では2021年度から3年間をかけ、BCP計画の策定に取り組んでいる。BCP計画はこれまでに、緊急時の対応体制と指揮命令系統、事業所からの避難要領、安否確認方法、被害の想定、業務継続に必要な要素や資源、BCP発動から復旧までのフローなどを策定している。今後は、事前対策計画の策定と実行、従業員への周知・教育・訓練、維持管理計画の策定、見直し体制の整備等を進め、2023年度中の完成を目指す計画である。
タキ商事は、消防・防災用品の販売事業を通じて、地域の災害への備えをサポートしている。同社は、水、アルファ米、カンパンなどの備蓄食料や、ブルーシート、発電機、投光器、非常用トイレ、防災倉庫などの防災用品を、自治体や自治会などへ提供している。また、消火器、消火器格納箱、消火栓ホースなどの消防用品を取り扱うほか、消防設備点検や消防整備の改修 工事も請け負っている。このように、自治体や自治会、企業などへ非常時に必要な備品や設備を提供することで、地域の防災に寄与している。
このようにタキグループは、防災対策の実施や防災用品の提供などを通じて、健康と衛生に貢献している。
静岡銀行は、タキグループが防災対策を継続して実施していることを確認するとともに、BCPの策定・運用状況をモニタリングしていく方針である。
タキ倉庫 防災訓練の様子
(5) 安全衛生管理の徹底
<インパクトの別>
ネガティブ・インパクトの低減
<分類>社会
<インパクトレーダーとの関連性>
雇用、健康と衛生、包摂的で健全な経済
<SDGs との関連性>
8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、全ての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
<KPI(指標と目標)>
• タキ倉庫において、安全衛生教育、安全パトロールを拡充し、荷役作業におけるフォークリフト関連の事故件数について、毎期、前期比マイナスを目指す。
• タキトラフィックにおいて、「G マーク」認定のもととなる 38 の評価項目を遵守し、「G マーク」認定を継続する。
<インパクトの内容>
タキグループでは、労働安全衛生法に則り、適切な安全衛生管理を実施している。
タキ倉庫においては、統括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者を選任し、本社の業務第一、第二、第三グループ、榛南営業所、xx営業所のグループごとに、正副6名ずつの安全衛生委員を選任し、毎月、安全衛生委員会を開催し、巡視や安全教育を通じて、安全・衛生環境の整備に取り組んでいる。
安全衛生委員会では主に、保管や荷役などの業務を安全に行う上での基本となる、6S
(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ、習慣)や、倉庫内の環境整備について、各グループの活動状況を確認している。そして、安全衛生教育についても、階層別にきめ細かな内容で実施している。たとえば、新入社員には、品質安全改善指導室による交通安全研修、外部の 安全衛生研修などを行う。また、入社2~3年目の若手社員を対象に、危険な作業をクイズ形式で学ぶ危険予知教育を年2回行うほか、近隣の自動車学校で安全運転講習を実 施する。さらに、倉庫業務に必須のフォークリフトの操作については、現場ごとに、フォークリフトの安全作業に関する DVD を視聴するほか、年に一度、販売会社から講師を招き、座学・実技での講習を開催し、安全意識の向上を図っている(次頁 写真)。
そして、災害防止のための具体的な取組みとしては、品質安全改善指導室が現場の朝礼に参加し、安全に関する呼びかけを行うほか、定期的に安全パトロールを実施し、危険箇所や安全でない行動を抽出し、安全対策の指導をしている。さらに、6S パトロールを実施し、「通路と作業域をきちんと区分しているか」、「無理な作業を行っていないか」、「保管方法は適正 か」といった項目をチェックし、改善が必要な場合はすみやかに担当者に指示し、対策を講じて
いる。
そして、タキトラフィックとタキ電装も同様に、労働安全衛生法に沿って安全衛生管理を行っている。両社は毎年、安全衛生管理計画と月別の安全衛生活動計画表を作成し、労働基準監督署に届け出を行い、毎月、計画の進捗に漏れがないよう確認している。
推進体制としては、安全衛生管理者、安全衛生推進者等を選任し、安全衛生委員会を毎月開催している。タキトラフィックでは、安全衛生委員会で、機械・設備の改善や点検、安全衛生教育などに関する取組み状況を確認するほか、タキ電装では、6S の点検巡視結果や、交通安全、リスクアセスメントに関する取組み状況を確認している。
また、安全衛生教育については、運送業のタキトラフィックでは、車両の運転の際の安全確保が重要であることから、運転者の採用時の教育、安全運転実施訓練等を確実に実施している。また、タキトラフィック、タキ電装ともに、フォークリフトの運転、有機溶剤の取扱いといった法定の危険有害業務について、当該従事者への特別教育等も漏れなく実施している。
さらに、労働災害防止のための取組みとしては、タキトラフィックにおいて、荷役作業におけるフォークリフトやクレーン、コンベア操作時の事故防止策を安全衛生管理規定で定め、実施している。また、すべてのトラックにドライブレコーダーを設置し、1台の車両を5台のカメラで全方位録画し、万一の事態に備えるほか、エンジン停止後も録画を継続することで、フォークリフトの荷役作業の状況も確認できるようにしている。タキ電装では、毎月6S 点検を行うほか、設備についても、技術係が安全装置などのメンテナンスを行うほか、フォークリフトの運転時には出荷場への立入を禁止し、災害防止に努めている。
タキトラフィックは、2011 年1月に安全優良事業所として「G マーク」の認定を受けてい る。これは、安全性に関する法令の遵守状況、事故や違反の状況、安全性に対する取組みの積極性に関する 38 の評価項目について、要件を満たす事業所のみが認定を受けられる制
度であり、同社は 10 年以上にわたり認定を継続し、安全性を維持している。
以上のような取組みの結果、タキ倉庫、タキトラフィック、タキ電装において、過去3年以上重篤な労働災害は発生しておらず、安全な職場環境の整備を通じて、雇用、健康と衛生、包摂的で健全な経済に貢献している。静岡銀行は、安全衛生管理に関する取組みの継続を確認するととともに、G マークの認定状況などをモニタリングしていく方針である。
若手社員向け フォークリフト安全講習会の様子
(6) エネルギー使用量の削減などによる環境負荷の低減
<インパクトの別>
ネガティブ・インパクトの低減
<分類>環境
<インパクトレーダーとの関連性>
① エネルギー、大気、水、気候変動、資源効率・資源安全確保、廃棄物
② エネルギー、大気、気候変動
③ 資源効率・資源安全確保、廃棄物
<SDGs との関連性>
12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
<KPI(指標と目標)>
①
• タキ電装において、今後も定期的監査を受けて「ECO アクション 21」の認証登録を継続するとともに、事業活動に伴う 17 の環境負荷項目について、削減目標を定めて実行する活動を継続していく。
②
• タキトラフィックにおいて、2030 年までに EV トラックの導入率 50%以上を目指す。
• タキトラフィックにおいて、「グリーン経営」認証登録を継続し、環境行動計画に基づく定期的な目標の設定、実行を継続していく。
• タキ倉庫において、2025 年までに CO2排出量の算定を開始し、削減を目指す。
③
• タキ倉庫において、今後も、輸入品等から発生する大量の段ボールやプラスチックについて、発生量の9割以上を廃棄せずに専用の業者へ引き渡し、資源として再利用する。
<インパクトの内容>
タキグループでは、それぞれの事業活動を通じ、環境負荷低減に向けて様々な取組みを実施している。
① ECO アクション 21 を活用した環境マネジメントシステムの運用
タキ電装は、2010 年、環境省が策定した総合的な環境マネジメントシステム「ECO アクション 21」の認証登録を受け、以降 12 年にわたり定期的な更新審査を受け、環境パフォーマンスの向上に継続的に取り組んでいる。
具体的には、環境経営方針を策定し、環境負荷の低減を通じて環境保全活動を推進する姿勢を明確にした上で、自社の環境負荷を把握し、環境経営目標と環境経営計画を策定している。そして、環境経営システムを運用・実施するための社内体制を構築し、環境関連教育・訓練等を実施しながら、計画達成に向けて活動している。
同社では、事業活動に伴う環境負荷を、二酸化炭素排出量、廃棄物排出量、水使用量、化学物質排出量といった項目ごとに算出し、毎年度の削減目標を設定して活動を行っている。たとえば、二酸化炭素排出量については、2017 年度の基準年の排出量 683,520Kg-CO2に対し、2021 年度(2020 年 10 月~2021 年 9 月)は4%削減を目標に設定しており、実際には 28%と大幅な削減を実現している。削減に向けては、電力消費量、ガソリン消費量、軽油消費量、ガス消費量に分類し、たとえば電力消費量については、エアコンの運転や温度設定、不用照明の消灯といった具体的な行動計画を設定している。その他にも、廃棄物について は、段ボールや紙類のリサイクル、廃プラスチック、汚泥、廃アルカリ、水については上水使用量、化学物質排出量についてはキシレン、トルエンなど、細目にわたる削減目標を設定している。そして、各項目について月次で集計して進捗管理し、進捗度を把握しやすいようグラフを作成して専用の掲示板に掲示し、社員全員が状況を把握できるようにしている。こうした取組みの結果、 2021 年度は、設定した 17 の目標のうち 16 項目で目標を達成しており、着実に環境負荷低減を推進している。
このように、タキ電装では、ECO アクション 21 を活用し環境マネジメントシステムを運用することで、エネルギー、大気、水、気候変動、資源効率・資源安全確保、廃棄物といった環境負荷低減に寄与している。静岡銀行は、環境負荷低減への寄与度を確認するために、ECO アクション 21 に基づく環境負荷項目の削減状況をモニタリングしていく方針である。
② グリーン経営認証登録などを通じた省エネや CO2 削減
タキトラフィックは、2004 年、「グリーン経営」の認証登録を通じて、環境保全に向けた取組みを行っている。グリーン経営とは、公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団が、環境保全に取り組む事業者を審査し、認証取得する制度である。これは、グリーン経営推進チェックリストを もとに現状を把握し、改善策を検討した上で行動計画を策定し、計画の達成に向けた PDCA を回していくという手順で進める。
具体的には、環境方針・環境行動計画を策定し、管理責任者を選任し、従業員に対して 環境に関わる法規制等の伝達などを行っている。また、燃費について定量的な目標を設定し、エコドライブ推進のための計画を策定しているほか、すべての車両にデジタルタコグラフを設置し、社内勉強会を開催したりマニュアルを配布し、エコドライブの実施を促している。自動車の点検・整備については、点検・整備に関する責任者を決め、運転手を対象に教育を行っている。また、走行距離や使用期間に関する基準を設定し、エンジンオイルやエンジンオイルフィルタ、エアフィルタの交換を行うほか、黒鉛が増加していないか、目視で月に2回チェックを行っている。このように、タキトラフィックでは、事業活動による環境負荷を低減するよう、長期にわたり継続的な取組みを実施している。
またタキ倉庫においても、フォークリフト 61 台のうち、30 台を電動フォークリフトに、30 台を燃費効率の高い LP ガス車に切り替えることで、CO、NOX などの排出削減を図っている。
このように、タキグループでは、CO₂排出量の削減などに積極的に取り組むことで、エネルギー、大気、気候変動といった環境負荷低減に寄与している。静岡銀行は、タキグループの環境負荷低減への寄与度を確認するために、グリーン経営の認証状況などをモニタリングしていく方針である。
③ 資源の再利用、廃棄物の削減・適正処理
タキ倉庫では、資源の有効活用や、廃棄物の適正処理を行っている。事業活動を通じて排出される物については、再生可能なものは、紙、プラスチックなど素材ごとに分別し、それぞれ専門のリサイクル事業者へ引き渡し、再利用している。たとえば、海外から輸入した部品を、段ボール箱から顧客指定の専用箱に入れ替える業務を行っており、毎回パッカー車2~3台分の大量 の段ボールが発生する。そのため、これらを廃棄せず、古紙として専用業者へ引き渡し、再利用 している。また、荷物の梱包に使用するラップも大量に発生するため、プラスチックとして再利用するため専用業者へ引き渡し、資源の有効活用に繋げている。
同社では、可能な限り廃棄物を削減するよう努めているが、再生できない廃棄物については、運搬・処理の資格を有する専門の処理業者へ引き渡し、適切に処理している。引き渡した産業廃棄物は、廃棄物処理法に基づき適切に管理されていることを確認している。
このように、タキ倉庫では、資源の再利用や廃棄物の適正処理に積極的に取り組むことで、資源効率・資源安全確保、廃棄物といった環境負荷低減に寄与している。
静岡銀行は、タキ倉庫の環境負荷低減への寄与度を確認するために、ダンボールやプラスチックの再利用状況をモニタリングしていく方針である。
タキ電装 2021 年度年間環境目標および実績
4. 地域課題との関連性
タキ倉庫は、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスの KPI を達成することによって、5年後の売上高を 30 億円に、従業員数を現状より5%増加させることを目標とする。
「平成 27 年静岡県産業連関表」を用いて、静岡県経済に与える波及効果を試算すると、
この目標を達成することによって、タキ倉庫は、静岡県経済全体に年間 49 億円の波及効果を与える企業となることが期待される。
【静岡県産業成長戦略 2022】
静岡県は、2022 年2月に「静岡県産業成長戦略 2022」を公表した。新型コロナにより顕 在化した東京一極集中の弊害やデジタル対応、脱炭素社会の急速な進展への対応、人口減少・少子高齢化の進行、激甚化する災害対応といった静岡県が直面する課題に対して、「東京時代から静岡時代へ~新しい生産と消費の循環で SDGs を達成~」を基本理念とし、需要面では「生活空間の拡大と新しい物流網の構築」を、供給面では「DX と脱炭素への積極的な投資」を目指す姿として施策を展開していく方針である。
この中で静岡県は、 「フジノミクス」を核とする生産と消費の新しい循環の創出として、8つの施策の柱を設定している。第一に、新たな広域経済圏「山の洲」の形成である。「バイ・山の洲」の展開、新たな物流・商流・情報流の構築、観光分野における「ふじのくに経済圏」づくりを通じて、個人消費の喚起と取り込みに注力する。第二に、リーディング産業への重点投資である。ヘルスケアや輸送機器xxxのプラットフォームの構築、医薬品や観光などのリーディングセクターの競争力強化、デジタル人材の確保・育成により、リーディング産業育成に注力する。第三に、企業誘致と県内への定着である。マザー工場・研究所の立地推進、工業用地の確保、実証フィールドの形成促進、首都圏 ICT 企業の誘致等を推進する。第四に、新たな生活様式を踏まえた個人消費の拡大である。テレワークなどの新しい働き方の実践、移住などの生活空間の拡大、 人々を惹きつける豊かな地域資源の新結合により、個人消費を喚起する。第五に、環境と経済成長が両立した循環型社会への移行である。脱炭素型産業構造への転換、中小企業の脱炭素化への支援、サーキュラーエコノミーへの対応により、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル化や循環経済への対応を県内経済全体で促進する。第六に、成長分野・領域への投資促進である。オープンイノベーションの推進、研究開発の推進、人材への投資、継続的な設備投資の促進を進める。第七に、中小・小規模企業の事業再構築・再生による経営の強靭化である。事業の付加価値向上、事業継続の支援により、地域企業の経営力や生産性xxxを促進 する。第八に、中小企業の事業継続に向けた強靭化である。人材の確保・育成、BCP 策定促進等により、企業実態に即したきめ細かな支援を実施するとしている。
タキグループの取組みの多くは、これら8つの柱に沿っており、地域の課題の解決に貢献している。
【SDGs xx都市】
静岡県は、「SDGs のフロントランナー」を標榜しており、県内5市(静岡市、浜松市、富士市、xx市、富士宮市)が内閣府の「SDGs xx都市」に選定されるなど、県内自治体は SDGs を積極的に推進している。
xxxx、xxxx 0 次総合計画の中で、歴史文化の拠点づくり、海洋文化の拠点づく り、教育文化の拠点づくり、『健康長寿のまち』の推進、『まちは劇場』の推進の 5 大構想への SDGs の組込みを進めている。SDGs が目指す国際社会の姿は、静岡市が目指す「市民の安心や幸せ」を実現する都市の姿と重なることから、本市がワールドクラスの都市の仲間入りをするためには、より視野を広げ て、より視点を高くすることが必要であるとする。そこで、SDGs という世界共通のものさしで設定された大きな 目標を第 3 次総合計画に組み込み、「世界に輝く静岡」の実現に向けた推進力として活用することを目指している。
さらに、静岡市の SDGs 推進に関する基本的な考え方と必要な事項を定めるため、2019 年 3 月に「静岡市 SDGs 実施指針~持続可能なまちづくりのために~」を、2021 年 4 月に は「静岡市 SDGs 実施指針の運用基準」を策定し、今後も全庁をあげて更なる SDGs 推進を図るとしている。
タキグループの事業活動を通じた様々な取組みは、静岡市の推進する SDGs 推進の一環と評価でき、同社の取組みが波及し、地域全体の SDGs が進むことが期待される。
5. マネジメント体制
タキ倉庫では、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、瀧社長が陣頭指揮を執り、管理本部長が中心となって、社内の制度や計画、日々の業務や諸活動等を棚卸しすることで、自社の事業活動とインパクトレーダーや SDGs との関連性、KPI の設定について検討を重ねた。
本ポジティブ・インパクト・ファイナンス実行後においても、瀧社長を最高責任者とし、管理本部内に設置されたプロジェクトチームを中心として、全従業員がxxとなって、KPI の達成に向けた活動を推進していく。
最高責任者 | 代表取締役社長 x xx |
xx責任者 | 取締役 管理本部長 xx xx |
担当部署 | 管理部 |
6. モニタリングの頻度と方法
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した KPI の達成および進捗状況については、静岡銀行とタキ倉庫の担当者が定期的に会合の場を設け、共有する。会合は少なくとも年に1回実施するほか、日頃の情報交換や営業活動の場等を通じて実施する。
静岡銀行は、KPI 達成に必要な資金およびその他ノウハウの提供、あるいは静岡銀行の持つネットワークから外部資源とマッチングすることで、KPI 達成をサポートする。
モニタリング期間中に達成した KPI に関しては、達成後もその水準を維持していることを確認する。なお、経営環境の変化などにより KPI を変更する必要がある場合は、静岡銀行とタキ倉庫が協議の上、再設定を検討する。
以 x
x評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、静岡経済研究所が、静岡銀行から委託を受けて実施したもので、静岡経済研究所が静岡銀行に対して提出するものです。
2.静岡経済研究所は、依頼者である静岡銀行および静岡銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するタキ倉庫から供与された情報と、静岡経済研究所が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書の提供を受けています。
<評価書作成者および本件問合せ先>
一般財団法人静岡経済研究所
調査グループ xx研究員 xxxxx
〒400-0000
xxxxxxxx 0-00 xxxxx 0 x XXX:000-000-0000 FAX:000-000-0000
第三者意見書
2022 年 3 月 30 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 株式会社タキ倉庫に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社静岡銀行 |
評価者:一般財団法人静岡経済研究所 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、静岡銀行が株式会社タキ倉庫(「タキ倉庫」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、静岡経済研究所による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定した PIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシアティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、インパクト分析ツールを開発した。静岡銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際し静岡経済研究所と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、静岡銀行及び静岡経済研究所にそれを提示している。なお、静岡銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義を、PIF 原則等で参照している IFC の定義に拠っている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえで PIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とした中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では
52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
静岡銀行及び静岡経済研究所は、本ファイナンスを通じ、タキ倉庫の持ちうるインパクトを、UEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
この結果、タキ倉庫がポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、静岡銀行が PIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 静岡銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
①PIFの申込み | ②PIF評価依頼 | レビュー依頼 | ||||
③インパクトの | ||||||
包括分析・特定 | ||||||
お客さま | ⑤目標・KPI等の協議 | 当行 | ④インパクトの還元 | 静岡経済研究所 | コメントバック | JCR |
⑥目標・KPI等の報告 | レビュー依頼 | |||||
⑨融資実行 | ⑦目標・KPI等の | |||||
PIF評価書交付 | 評価 | |||||
⑧PIF評価書作成 | コメントバック |
(出所:静岡銀行提供資料)
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(2) 実施プロセスについて、静岡銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、静岡銀行からの委託を受けて、静岡経済研究所が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めた PIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本 PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て静岡経済研究所が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、静岡経済研究所が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及び ESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人であるタキ倉庫から貸付人である静岡銀行及び評価者である静岡経済研究所に対して開示がなされることとし、可能な範囲で
対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
Japan Credit Rating Agency, Ltd.
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・xxな立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候変動イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:00-0000-0000 FAX:00-0000-0000
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