ガイドライン案概要から抜粋 https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201224007/20201224007.html
は じ め に
近年は就業形態の多様化が進み、パートタイマー・派遣労働者・契約社員などのいわゆる非xx労働者は、全労働者の4割近くになっています。かつては正社員を補う形で活用されていた非xx労働者は、いまでは職場に欠くことのできない人材となっています。
しかし一方で、雇止めや契約期間中の解雇などの非xx労働者に関わる労使間トラブルが増加の一途を辿るなど、多くの問題を抱えています。xxxでは、労働相談情報センターにおいて、非xx労働者の直面するトラブルに関する相談にも応じています。令和元年度の労働相談件数は 52,884 件となっており、その4割近くを、非xx労働者からの相談が占めています。
この冊子は、非xx労働者のうち、契約社員(有期雇用労働者)に関わる労働法の知識を、わかりやすくまとめたものです。特に、「働き方改革関連法」による法改正によって、令和2年4月からパートタイム労働者と有期雇用労働者についての法制度がほぼ統一されているため、パートタイム労働者にも共通する制度や考え方についてもできる限り記載しています。また逆に、派遣労働については別の法律に基づいた制度となっていますので、この冊子では最小限の記載にとどめています。
現在契約社員として働いている方、これから契約社員として働きたいと考えている方に、雇用に関するルールを理解していただき、また、働く上でのトラブルが未然に防止されることを願って作成しました。ご活用いただければ幸いです。
なお、本冊子の作成にあたりましては、法政大学のxxxx先生に多大なるご尽力を賜りました。この場を借りて御礼申し上げます。
令和3年3月
xxx産業労働局雇用就業部
目 | 次 | |
1 | 契約社員(有期雇用労働者)と労働法 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ | 1 |
2 | 均衡・均等待遇(同一労働同一賃金)・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ | 4 |
3 | 待遇についての説明義務・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ | 10 |
4 | 相談体制の整備等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 12 |
5 | 労働契約を結ぶとき・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ | 14 |
6 | 就業規則 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 18 |
7 | 賃金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 21 |
8 | 労働時間・時間外労働 ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ | 24 |
9 | 年次有給休暇 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 33 |
10 | 安全衛生・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 36 |
11 | ハラスメントの防止 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ | 38 |
12 | 働く女性に関する法律 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ | 41 |
13 | 育児休業、介護休業等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ | 42 |
14 | 労働契約の終了・更新 ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ | 47 |
15 | 労働保険(雇用保険・労災保険) ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ | 56 |
16 | 社会保険(健康保険・厚生年金保険)・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ | 59 |
17 | 税金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 62 |
18 | 労働組合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 64 |
相談窓口案内 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 65 |
※本冊子で説明している法律・制度などは、特に注のない限り、令和3年2月現在のものです。
この冊子の本文中で、下記の法令等について次の略称を用いることがあります。
・法 ・・・・・短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関す る法律
(またはパートタイム・有期雇用労働法)
・規則 ・・・・短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関す る法律施行規則
・指針 ・・・・事業主が講ずべき短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用 管理の改善等に関する措置等についての指針
・同一労働同一賃金ガイドライン ・・・短時間・有期雇用労働者及び派遣労働 者に
対する不合理な待遇の禁止等に関する指針
・労基法・・・労働基準法
・労xx・・・労働基準法施行規則
・均等法・・・雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法 律
・育介法・・・育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に 関する法律
・基 準・・・有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
・労xx・・・労働契約法
・働き方改革関連法 ・・・働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法 律
Ⅰ 契約社員と労働法
1.契約社員(有期雇用労働者)とは
この冊子の題名である「契約社員」とは、労働契約に期間の定めのある労働者(有期雇用労働者)のうち、フルタイムで働いている方の一般的な名称です。この冊子では、「契約社員」「準社員」「嘱託」など呼び名が違っていても、労働契約に期間の定めのある労働者(有期雇用労働者)を「契約社員」と総称して取り扱っています。また、「パートタイマー」「アルバイト」などと呼ばれているパートタイム(短時間)労働者であっても、労働契約に期間の定めがあれば、基本的にはこの冊子の記述があてはまります。
(この冊子では、有期雇用労働者と短時間労働者に共通してあてはまるルールを説明する場合には、「パートタイム・有期雇用労働者」と表記します。)
2.契約社員(有期雇用労働者)に関する法律
少子高齢化の進展や就業構造の変化などによって、有期雇用労働者やパートタイム労働者の果たす役割が大きくなっています。そこで、有期雇用労働者やパートタイム労働者について、適正な労働条件の確保、雇用管理の改善、通常の労働者(いわゆる「正社員」)への転換の推進、職業能力の開発及び向上などに関する措置を講ずることで、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保を図り、有期雇用労働者や短時間労働者が能力を発揮することができる環境を整備することが重要です。
「働き方改革関連法」により法改正がなされる前は、有期雇用労働者については労xxで、短時間労働者については、パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)でさまざまなルールが定められていました。しかし、有期雇用労働者とパートタイム労働者のルールは、微妙に異なっていたために、必ずしも分かりやすい制度とはなっていませんでした。
そこで、平成30年に公布された「働き方改革関連法」により、パートタイム労働法の改正が行われて「パートタイム・有期雇用労働法」(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)となり、有期雇用労働者とパートタイム労働者に関するルールの統一が図られるとともに、均衡・均等待遇(いわゆる同一労働同一賃金)の考え方が整備されました。また、この法改正に伴い、
「事業主が講ずべき短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針」の改正と、「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」(同一労働同一賃金ガイドライン)の新設が行われました。
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1
契約社員(有期雇用労働者)と労働法
Ⅰ 契約社員と労働法
なお、パートタイム・有期雇用労働法の施行は、令和2年4月1日ですが、中小企業(下表)については経過措置があり、パートタイム・有期契約労働者に関する均等待遇規定等の改正部分の適用が令和3年3月 31 日まで適用されず、旧
パートタイム労働法や労働契約法旧第 20 条の規定が効力を有していました。令和3年4月1日からは企業規模を問わずパートタイム・有期雇用労働法が全面適用になります。
※中小企業の範囲
① 資本金の額または出資の総額が ② 常時使用する労働者数が
小 売 業サービス業卸 売 業上 記 以 外
5,000万円以下
5,000万円以下
1億円以下
3億円以下
または
小 売 業サービス業卸 売 業上 記 以 外
50 人以下
100 人以下
100 人以下
300 人以下
3.契約社員(有期雇用労働者)にも労働法は適用されます(指針第2の1)
パートタイム・有期雇用労働者であっても、原則として通常の労働者と同じように労基法、最低賃金法、労働安全衛生法、労xx、労働者災害補償保険法、均等法などの法令が適用されます。
また、育児・介護休業法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法は、それぞれの制度の要件を満たしていれば、パートタイム・有期雇用労働者にも適用されます。
4.「業務請負契約」や「業務委託契約」に注意
労働関連の法令は、「労働者」に適用されます。「労働者」とは、①使用者に使用される者で、②賃金を支払われる者をいいます(労働基準法第9条、労働契約法第2条1項)。
「業務請負契約」や「業務委託契約」という名称の契約で働いている場合には、「労働者」にあたらない場合があり、そうすると労働関連法規が適用されない可能性があります。すなわち、請負契約や委任・準委任契約の当事者については、最低賃金法や労働基準法などによる労働条件の最低基準が適用されず、労災保険、雇用保険、社会保険も加入対象外となります。
ただし、「労働者」かどうかは、契約の名称ではなく、実態で判断されます。この判断においては、会社からの業務指示などを断ることができるか、業務の進め方について具体的な指揮命令を受けているか、報酬が一定時間働いたことへの
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Ⅰ 契約社員と労働法
対価として決められているか、機械器具や材料はだれが負担するのか、他社に従事することがあるのかなどが、重要な点といえます。
多様な働き方が広まる中で、「労働者」かどうかは判断が困難なケースもでてきます。トラブルが生じた場合には、xxxろうどう 110 番など、行政機関への相談をお勧めします。
国では、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を策定し、令和3年3月に公表予定です。フリーランスについては、多様な働き方の拡大、ギグ・エコノミー(インターネットを通じて短期・単 発の仕事を請け負い、個人で働く就業形態)の拡大による、社会保障の支え手・働き手の増加などに貢献することが期待されています。
今般、事業者とフリーランスとの取引について、私的独占の禁止及びxx取引の確保に関する法律、下請代金支払遅延等防止法、労働関係法令の適用関係を明らかにするとともに、これら法令に基づく問題行為を明確化するため、実効性があり、一覧性のあるガイドラインを策定しました。そこでは、フリーランスとして請負契約や準委任契約で仕事をする場合であっても、契約の形式や名称にかかわらず、個々の働き方に基づいて労働者かどうかを判断し、労基法上の労働者、労組法上の労働者に該当する場合には、労働法が適用されることが明記されます。
労 第5
働 現行法上「雇用」関 に該当する場合の係 判断基準
法
1 フリーランスに労働関係法令が適用される場合
○ フリーランスとして請負契約や準委任契約などの契約で仕事をする場合であっても、労働関係法令の適用 に当たっては、契約の形式や名称にかかわらず、個々の働き方の実態に基づいて、「労働者」かどうか判断。
〇 労基法上の「労働者」と認められる場合は、労働基準法の労働時間や賃金等に関するルールが適用される。
〇 労組法上の「労働者」と認められる場合は、団体交渉を正当な理由なく拒んだりすること等が禁止される。
2・3 労働基準法における「労働者性」の判断基準とその具体的な考え方
(1)「使用従属性」に関する判断基準
①「指揮監督下の労働」であること(労働が他人の指揮監督下において行われているか)
②「報酬の労務対償性」があること(報酬が「指揮監督下における労働」の対価として支払われているか)
(2)「労働者性」の判断を補強する要素
①事業者性の有無(仕事に必要な機械等を発注者等と受注者のどちらが負担しているか等)
②専属性の程度(特定の発注者等への専属性が高いと認められるか。)
4・5 労働組合法における「労働者性」の判断要素とその具体的な考え方
(1)基本的判断要素
①事業組織への組み入れ(業務の遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されているか)
②契約内容の一方的・定型的決定(労働条件や労務の内容を相手方が一方的・定型的に決定しているか)
③報酬の労務対価性(労務供給者の報酬が労務供給に対する対価などとしての性格を有するか)
(2)補充的判断要素
➃業務の依頼に応ずべき関係(相手方からの個々の業務の依頼に対し、基本的に応ずべき関係にあるか)
⑤広い意味での指揮監督下の労務提供(労務供給者が、相手方の指揮監督の下に労務の提供を行っていると広い意味で解することができるか等)
(3)消極的判断要素(この要素が肯定される場合には、労働組合法上の労働者性が弱まる場合がある)
⑥顕著な事業者性(恒常的に自己の才覚で利得する機会を有し自らリスクを引き受けて事業を行う者か)
ガイドライン案概要から抜粋 xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/0000/00/00000000000/00000000000.xxxx
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Ⅱ 均衡・均等待遇
「働き方改革関連法」によるパートタイム・有期雇用労働法の改正の中で、最も重要な部分です。
特に、均衡待遇規定と待遇についての説明義務 (10ページ参照 ) の部分が大幅に改正されています。事業主の方は、制度の趣旨を十分に理解した上で、社内制度の整備等を速やかに実施しましょう。
1.均衡待遇規定(不合理な待遇差の禁止:法第8条)
事業主が、雇用するパートタイム・有期雇用労働者と通常の労働者との間で待遇差を設ける場合は、①職務内容(業務の内容+責任の程度)、②職務内容・配置の変更の範囲、③その他の事情の内容を考慮して、個々の待遇ごとに、その性質・目的に照らして不合理と認められるものであってはなりません。
●同一労働同一賃金ガイドライン
均衡待遇を実現するためには、各企業の人事・給与等の制度の内容に基づいて待遇差の合理性を判断する必要がありますが、その実践はなかなか容易ではありません。
そこで、同一労働同一賃金ガイドラインが策定され、同一企業内における「通常の労働者」とパートタイム・有期雇用労働者等との間に待遇差が存在する場合に、いかなる待遇差が不合理なものであり、いかなる待遇差が不合理なものでないのかにつき、原則となる考え方及び具体例が示されています。
例えば、基本給、賞与、各種手当等の賃金に相違がある場合において、「将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」等の主観的・抽象的説明では足りず、賃金の決定基準・ルールの相違は、職務の内容、職務の内容・配置の変更の範囲、その他の事情のうち、その待遇の性質及び目的に照らして適切と認められる客観的・具体的な実態に照らして、不合理なものであってはならないとしています。
【均衡・均等待遇を実現するために参考となる厚生労働省発行資料】
① パートタイム・有期雇用労働法 対応のための取組手順書 xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/000000000.xxx
② 不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(業界別マニュアル) xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxx/xxxxxxx_00000.xxxx
③ 職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル
xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/000000000.xxx
➃ パートタイム・有期雇用労働法の解説動画(パート・有期労働ポータルサイ ト) xxxxx://xxxx-xxxxxxxx.xxxx.xx.xx/
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均衡・均等待遇(同一労働同一賃金)
Ⅱ 均衡・均等待遇
「同一労働同一賃金ガイドライン」の概要
(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)
このガイドライン(指針)は、正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非xx社員(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)との間で、待遇差が存在する場合に、いかなる待遇差が不合理なものであり、いかなる待遇差が不合理なものでないのか、原則となる考え方及び具体例を示したものです。原則となる考え方が示されていない待遇や具体例に該当しない場合については、各社の労使で個別具体の事情に応じて議論していくことが望まれます。
(詳しくはこちら) s
役職手当
給与明細書
基本給
基 本 給
円
円
労働者の「①能力又は経験に応じて」、「②業績又は成果に応じて」、「③勤続年数に応じて」支給する場合は、①、②、③に応じた部分について、同一であれば同一の支給を求め、一定の違いがあった場合には、その相違に応じた支給を求めている。
通勤手当
円
円
円
時間外手当
賞与
正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者の賃金の決定基準・ルールに違いがあるときは、「将来の役割期待が異なるため」という主観的・抽象的説明では足りず、賃金の決定基準・ルールの違いについて、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして不合理なものであってはならない。
役職手当等
円
深夜出勤手当
労働者の役職の内容に対して支給するものについては、正社員と同一の役職に就くパートタイム労働者・有期雇用労働者には、同一の支給をしなければならない。
円
休日出勤手当
また、役職の内容に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。
円
家族手当
※同様の手当・・・特殊作業手当(同一の危険度又は作業環境の場合)特殊勤務手当(同一の勤務形態の場合)
精皆勤手当(同一の業務内容の場合) 等
住宅手当
円
家族手当・住宅手当等
家族手当、住宅手当等 はガイドラインには示 されていないが、均衡・均等待遇の対象となっ ており、各社の労使で 個別具体の事情に応じ て議論していくことが 望まれる。
時間外手当等
通勤手当等
パートタイム労働者・有期雇用労働者には正社員と同一の支給をしなければならない。
※ 同様の手当 単身赴任手当(同一の支給要件を満たす場合)等
賞 与
会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものについては、正社員と同一の貢献であるパートタイム労働者・有期雇用労働者には、貢献に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、貢献に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。
正社員と同一の時間外、休日、深夜労働を行ったパートタイム労働者・有期雇用労働者には、同一の割増率等で支給をしなければならない。
※待遇差が不合理か否かは、最終的に司法において判断されることにご留意ください。
厚生労働省発行「パートタイム・有期雇用労働法が施行されます」より
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Ⅱ 均衡・均等待遇
2.均等待遇規定(差別的取扱いの禁止:法第9条)
職務の内容が通常の労働者と同一であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、全雇用期間を通じて、職務の内容や、職務の内容・配置の変更の範囲が通常労働者と同一と見込まれる場合(通常の労働者と同視すべきパートタイム・有期雇用労働者)には、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはなりません。
3. 賃金決定時の努力義務(法第10条)
事業主は、パートタイム・有期雇用労働者の賃金を決定する際、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、職務の内容、成果、意欲、能力、経験等を勘案して決めるよう努めなければなりません。
4.教育訓練の実施(法第11条第1項・第2項)
事業主は、通常の労働者と職務が同じパートタイム・有期雇用労働者に対しては、職務遂行に必要な能力を付与する教育訓練を通常の労働者と同様に実施しなければなりません。
これ以外のパートタイム・有期雇用労働者に対しては、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、職務の内容、成果、意欲、能力、経験等に応じて教育訓練を行うよう努めなければなりません。
5.福利厚生施設の利用(法第12条)
事業主は、健康の保持や業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めた福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)について、パートタイム・有期雇用労働者に対しても利用機会を与えなければなりません。
健康の保持や業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定める給食施設(社員食堂等)、休憩室、更衣室(ロッカールーム等)については、通常の労働者が利用している場合には、これらをパートタイム・有期雇用労働者にも利用させなければなりません。
この規定は、以前は配慮義務であったものが、「働き方改革関連法」による法改正で義務に強化されていますので注意が必要です。
6. 通常の労働者への転換推進(法第13条)
事業主は、パートタイム・有期雇用労働者の通常の労働者への転換を推進するため、次のいずれかの措置を講じなければなりません。
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Ⅱ 均衡・均等待遇
① 通常の労働者の募集の際は、その募集内容を既に雇っているパートタイム・有期雇用労働者に周知する。
② 通常の労働者のポストを社内公募する際はパートタイム・有期雇用労働者に対しても応募機会を与える。
③ パートタイム・有期雇用労働者が正社員へ転換するための試験制度を設けるなど、その他転換を推進するための措置を講じる。
➃ その他の、通常の労働者への転換を推進するための措置を講じる。
パートタイム・有期雇用労働者の中には、通常の労働者として働く気とを希望しながらやむを得ずパートタイム・有期雇用労働者として働く方もいらっしゃいます。そこで、当初はパートタイム労働者について正社員転換のためのこの規定を適用していましたが、働き方改革関連法により、有期雇用労働者にも適用を拡大したものです。上記のいずれかの措置を 1 つ以上、就業規則等に定めて講じることが義務付けられます。
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Ⅱ 均衡・均等待遇
旧労働契約法第20条に関する最高裁7判決について
旧労xx第20条は、平成24年の労xx改正により、同一企業内における通常の労働者(いわゆるxx型の労働者及び事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているフルタイム労働者(以下「無期雇用フルタイム労働者」という。)を総称する。)と有期雇用労働者との間の不合理な待遇の差をなくし、期間の定めがある雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けられるようにすることで、多様で柔軟な働き方を選択できるようにすることを目的として規定されました。これが、令和2年4月1日、パートタイム・有期雇用労働法に統合されたことは、前述の通りです。
令和2年10月に旧労xx第20条に関する5つの最高裁判決があり、平成30年の
2判決と併せて注目されています。それぞれ事案毎の判断ですが、どのような処遇が争点となって、結論が導き出されたのか簡潔に紹介します。
①ハマキョウレックス事件(最二小判平30.6.1)では、トラック運転手の正社員と契約社員との間の処遇格差が争点となり、旧労xx第20条の最初の最高裁判決となりました。最高裁は、旧労xx第20条の趣旨を、有期契約労働者については、無期労働契約を締結している労働者と比較して合理的な労働条件の決定が行われにくく、両者の労働条件の格差が問題となっていたこと等を踏まえ、有期契約労働者のxxな処遇を図るため、その労働条件につき、期間の定めがあることにより不合理なものとすることを禁止したものであるとしました。そして、同条は、有期契約労働者と無期契約労働者との間で労働条件に相違があり得ることを前提に、職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた処遇を求める規定であると解されるとしました。判決は、同条の規定は私法上の効力を有するものと解するのが相当であり、同条に違反する労働条件の相違を設ける部分は無効となりますが、同条の効力により当該有期契約労働者の労働条件が比較の対象である無期契約労働者の労働条件と同一のものとなるものではないとしています。そして、手当のうち、無事故手当、作業手当、給食手当、皆勤手当、通勤手当の相違は不合理としつつ、家族手当、住宅手当、定期昇給、賞与、退職金の相違については、正社員と契約社員との間では昇進・転勤・出向の有無等に相違があることから、不合理とはいえないとしました。
②xx運輸事件(最二小判平30.6.1)は、正社員であったxxxxx等の運転手が、定年退職後に有期労働契約の嘱託乗務員として再雇用される際の処遇が、定年前と相違していたことが争点となりました。最高裁は、使用者が定年退職者を有期労働契約により再雇用する場合、定年後の継続雇用者である事情は、旧労xx第20条にいう「その他の事情」として考慮され得るとした上で、基本給、能率給、職務給、住宅手当、家族手当、役付手当、賞与の相違は不合理とはいえないとしましたが、精勤手当、超勤手当の相違は、それらの手当の支給の趣旨は定年後でも当てはまるので不合理な相違であるとしています。
③大阪医科薬科大学事件(最3小判令2.10.13)では、大学の教室事務員について正職員と有期労働契約のアルバイト職員との処遇の格差が争点となりました。高裁が、正職員に付与している夏期特別休暇をアルバイト職員に付与しないことは不合
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Ⅱ 均衡・均等待遇
理とし、賞与と病気欠勤中の賃金保障の相違は一部不合理としたものの、基本給、休日賃金、法定外年休、医療費補助措置については、不合理ではないとしました。最高裁では、賞与と病気欠勤中の賃金保障の相違のみが争点となりましたが、賞与について「他の労働条件の相違と同様に、当該使用者における賞与の性質やこれを支給することとされた目的を踏まえて同条所定の諸事情を考慮することにより、当該労働条件の相違が不合理と評価することができるものであるか否かを検討すべきものである。」として、正職員の賃金体系や求められる職務遂行能力及び責任の程度等と、アルバイト職員のそれとを比較の上で、大学が、正職員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から、正職員に対して賞与を支給することとしたものといえ、賞与の相違を不合理ではないと判断し、病気欠勤中の賃金保障等の相違も不合理ではないとしました。
➃メトロコマース事件(最3小判令 2.10.13)では、売店業務に従事する正社員と契約社員との処遇の相違が争点となり、東京高裁が本給、資格手当、賞与の相違は不合理でないとしつつ、住宅手当の相違、褒賞、早出残業手当の相違は不合理であり、不法行為を構成するとの判断が確定しました。他方、高裁が正職員への支給額の4分の1を下回る相違は不合理としていた退職金については、最高裁でその相違は不合理ではないとされています。その理由は、退職金の支給要件や支給内容等に照らせば,退職金は、職務遂行能力や責任の程度等を踏まえた労務の対価の後払いや継続的な勤務等に対する功労報償等の複合的な性質を有するものであり、会社は、正社員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から、様々な部署等で継続的に就労することが期待される正社員に対し退職金を支給することとしたものといえ、有期雇用契約の更新によって就業していた契約社員に対し退職金を支給しないことは、不合理とはいえないとしています。
⑤日本郵便(佐賀・東京・大阪)事件3判決(最一小判令 2.10.15)は、郵便事 業に従事する有期雇用労働者について、正社員に支給されている各種の手当、適用されている休暇等についての相違が争われました。これらについて、各手当、休暇の趣旨毎に判断され、年末年始勤務手当、住居手当、扶養手当、夏期冬期休暇、病気休暇の相違は不合理であるとされる一方、外務業務手当、早出勤務等手当、年末年始手当、夜間特別勤務手当、郵便内務外務業務精通手当、基本賃金、通勤費の相違は不合理ではないと判断されています。
このように旧労xx第20条の下において、通常の労働者と有期雇用労働者との間の処遇の相違は、各処遇毎に、その処遇の趣旨、目的に照らして、有期雇用労働者に適用しないことが不合理か否かが判断されており、パートタイム・有期雇用労働法に移行しても、その判断枠組みは維持されるものと考えられています。使用者としては、各処遇の趣旨、目的、内容、対象者について、労働者に説明できるよう備えておくことが重要です。また、令和2年の最高裁判決では、比較対象となる通常の労働者は、正社員全体との比較ではなく、訴えを起こした労働者側が示した同一の業務に従事する正社員を比較対象として判断している点も留意すべきです。
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Ⅲ 待遇についての説明義務
1.雇入れ時の待遇についての説明義務(法第14条第1項)
事業主は、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、賃金や教育訓練等に関する措置の内容について説明しなければなりません。
2.待遇についての説明義務(法第14条第2項)
パートタイム・有期雇用労働者から求めがあったときは、通常の労働者との間の待遇の相違の内容・理由や、待遇を決定するにあたって考慮した事項についても説明しなければなりません。
この説明にあたって比較する通常の労働者は、職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲が最も近いと事業主が判断する通常の労働者ですが、その選定方法や複数の該当者がいる場合の絞り込みの方法については、厚生労働省施行通達の示す考え方に従うことが必要です。また、説明する待遇差の内容と理由については、客観的・具体的でなければなりません。
【説明義務が課せられる事項】
雇入れ時 | |
○下記の規定により措置を講ずべきこととされている事項に関して、会社で講じている措置の内容 ・不合理な待遇差の禁止(法第8条) ・差別的取扱いの禁止(法第9条) ・賃金決定時の努力義務(法第 10 条) ・教育訓練の実施(法第 11 条) ・福利厚生施設の利用(法第 12 条) ・通常の労働者への転換推進(法第 13 条 ) | 【説明内容の例】 ・正社員も含めた会社の賃金制度の内容 ・どのような教育訓練があるか ・どの福利厚生施設が利用できるか ・どのような正社員転換推進措置があるか など |
パートタイム・有期雇用労働者から説明を求められたとき | |
①パートタイム・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容とその理由 ②下記の規定により措置を講ずべきこととされている事項に関して、会社で講じている措置の内容を決定するに当たって考慮した事項 ・労働条件の文書交付等(法第6条) ・就業規則作成の手続き(法第7条) ・法第8条~第 13 条 ※上記 | 【説明内容の例】 職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲が最も近い通常の労働者と比較して ・どの要素をどう勘案して賃金を決定したか ・どの教育訓練や福利厚生施設がなぜ使えるか(または、なぜ使えないか) ・正社員への転換推進措置の決定にあたり何を考慮したか など |
※ 下線部が法改正で追加された事項
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待遇についての説明義務
Ⅲ 待遇についての説明義務
厚生労働省発行「パートタイム・有期雇用労働法 対応のための取組手順書」より
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Ⅳ 相談体制の整備等
1.パートタイム・有期雇用労働者からの相談に対応するための体制整備
(法第16条)
事業主は、パートタイム・有期雇用労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととなっています。
【相談に対応するための体制整備の例】
・相談担当者を決めて対応させる
・事業主自身が相談担当者となり対応する
・外部専門機関に委託して対応する 等
2.短時間・有期雇用管理者の選任(法第17条、規第6条及び第7条、指針第3の5)
事業主は、常時パートタイム・有期雇用労働者を10 人以上雇用する事業所ご とに短時間・有期雇用管理者を選任し、以下 (1)(2) を担当させるように努めなければなりません。
(1)パートタイム・有期雇用労働法、指針に定める事項その他のパートタイム・有期雇用労働者の雇用管理改善等に関して、事業主の指示に基づき必要な措置を検討・実施すること
(2)パートタイム・有期雇用労働者の労働条件等に関し、パートタイム・有期雇用労働者からの相談に応じ・苦情処理に対応すること
また、選任したときはその氏名を事業所の見やすい場所に掲示する等により、周知させるように努めましょう。
短時間・有期雇用管理者は、事業所の人事労務管理責任者(例:人事部課長)が望ましいでしょう。
短時間・有期雇用管理者の選任及び変更の際には、厚生労働省東京労働局雇用環境・均等部に届け出るようにしましょう。
※様式は、厚生労働省公式インターネットサイトからダウンロードできます。 xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxx/0000/00/xx0000-0x.xxxx
3.パートタイム・有期雇用労働者からの苦情申出への対応
(法第22条、第24条、第25条)
パートタイム・有期雇用労働者から待遇等に関する苦情の申出を受けたときは 、事業所内で自主的な解決を図るように努めることとされています。また、紛争解決援助の仕組みとして、都道府県労働局長による助言、指導、勧告、均衡待遇調停会議による調停があります。
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相談体制の整備等
Ⅳ 相談体制の整備等
対象となる苦情・紛争
労働条件の明示、待遇に関する説明、差別的取扱い、教育訓練、福利厚生施設、通常の労働者への転換を推進するための措置、雇入れ時の説明義務
また、事業主はパートタイム・有期雇用労働者が紛争解決の援助を求めたことを理由に解雇その他の不利益な取扱いをすることはできません。
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Ⅴ 労働契約を結ぶとき
1.労働契約とは(労xx第5条、第6条、第8条)
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立します。
労働契約を結ぶことで、労働者には、決まった時間会社の指揮命令下で働く義務が生じますが、それだけでなく、仕事を誠実に行うことなども求められます。
同様に、使用者には、働いた労働者に対して賃金を払うだけでなく、労働者の生命・安全を確保するよう配慮したり、働きやすい職場環境を整えたりする義務も発生します。
また、労働契約は労働者と使用者の間の約束ですので、両者が合意することによって、労働契約の内容である労働条件を変更することができます。
2.労働条件の書面による確認・明示
(労xx第4条第2項、労基法第15条、労xx第5条、法第6条、規第2条)
労働契約法では、労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとされています。特に、労働基準法では、労働者を雇い入れるとき(契約更新時も含まれる)には、労働条件に関する下記 (1) ~ (6) の事項を文書交付等(電子メー
ルなどでも可)により明示しなければならないと定めています。また、下記 (7)
及び (8) は、パートタイム・有期雇用労働法により特定事項として追加されていることに注意が必要です。
ただし、これらの労働条件が、労働契約の締結を書面で行うことや就業規則を交付することによって明らかにされている場合は、重ねて労働条件通知書を交付する必要はありません。
パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れるときに書面で明示しなければならない事項
(1)労働契約の期間
(2)期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
(3)就業の場所及び従事すべき業務
(4)始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
(5)賃金の決定、計算・支払の方法、賃金の締切り・支払の時期
(6)退職(解雇の事由を含む。)
(7)昇給・退職手当・賞与の有無
(8)相談窓口
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労働契約を結ぶとき
Ⅴ 労働契約を結ぶとき
上記 (2) の「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項」につき、具体的には、事業主は、有期労働契約を結ぶ労働者に対し、契約の締結時にその契約の更新の有無を明示しなければなりません。
具体的参考例
●自動的に更新する
●更新する場合があり得る
●契約の更新はしない 等
また、事業主が、有期労働契約を更新する場合があると明示したときは、労働者に対して、契約を更新する場合、またはしない場合の判断基準を明示しなければなりません。
具体的参考例
●契約期間満了時の業務量により判断する
●労働者の勤務成績、態度により判断する
●労働者の能力により判断する
●会社の経営状況により判断する
●従事している業務の進捗状況により判断する 等
使用者が更新の基準(あるいは雇止めの基準)を変更する場合には、労働者との合意等により変更する必要があります。また、事業主は、有期労働契約の締結後に (1) 又は (2) の判断基準を変更する場合には、労働者に対して、速やかにそ
の内容を明示しなければなりません。(平成24 年10 月26 日付基発1026 第2号)
次ページの労働条件通知書の様式は厚生労働省公式インターネットサイトからダウンロードできます。
xxxxx://xxxxx.xxxx.xx.xx/xxxxx-xxxxxxxxxxx/xxxxxx_xxxxx_xxxxxxxxx/ hourei_youshikishu/youshikishu_zenkoku.html
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○労働条件通知書
Ⅴ 労働契約を結ぶとき
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※ 以上のほかは、当社就業規則による。
※ 本通知書の交付は、労働基準法第15条に基づく労働条件の明示及び「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」第6条に基づく文書の交付を兼ねるものであること。
※ 労働条件通知書については、労使間の紛争の未然防止のため、保存しておくことをお勧めします。
○網掛けの部分は、パートタイム・有期雇用労働法により、明示が義務つけられている事項です。
Ⅴ 労働契約を結ぶとき
3.労働契約期間の制限(労基法第14条・附則第137条、労xx第17条第2項)
有期労働契約は、その期間中、原則的に労働者又は使用者の一方だけの都合で解約することができません。その結果、非常に長い労働契約を結ぶことにより、労働者が長期にわたって拘束され、職業選択の自由を妨げる可能性が出てきます。そこで労基法第14条は、労働契約の期間の上限を原則3年と定めています。ただし、一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約(有期の建設工事等)はこれを超えることが許容されています。
さらに例外として、厚生労働大臣が定める基準に該当する、高度な専門的な知識、技術又は経験を有する労働者が、それを必要とする業務に就く場合や、満 60歳以上の労働者との間に締結される労働契約等について、3年を超える労働契約を締結することができます(上限5年)。
労働契約期間の上限の特例
上限5年 | 専門的な知識、技術又は経験であって高度なものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約 【例】博士号取得者、公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、 技術士又は弁理士のいずれかの資格を有する者、システムアナリスト試験又はアクチュアリー試験に合格している者、特許発明の発明 者など |
上限5年 | 満 60 歳以上の労働者との間に締結される労働契約 |
必要な期間 | 一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約(有期の建設工事等) |
なお、表に記載した労働契約期間の上限の特例に該当せずに1年を超える有期労働契約を結んだ場合、労働契約の初日から1年を経過した日以降は、労働者は使用者に申し出ることで、いつでも退職することができます。
4.契約期間についての配慮(労xx17条第2項、基準3条)
事業者は、有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、有期労働契約を反復して更新することのないように配慮しなければなりません。
また、事業者は、一定の有期労働契約(当該契約を1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るもの)を更新しようとする場合、契約の実態や労働者の希望に応じ、契約期間をできる限り長くするように努めなければなりません。
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Ⅵ 就業規則
1.就業規則の作成・変更(労基法第89条・第90条、
労xx第6条の2第1項、労基法第106条1項、労xx第52条の2)
事業場ごとに常時 10 人以上の労働者(いわゆる正社員だけではなく、契約社員やパートタイム労働者なども含まれます)を使用する事業主は、就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出なければなりません。また、就業規則を変更したときも、労働基準監督署長への届出が必要です。
就業規則の届出は事業場ごとに行うのが原則ですが、一定の条件を満たしていれば、本社が一括して労働基準監督署長に届け出ることも認められています。
なお、従業員が 10 人未満の職場でも、労働条件を明確にするためには、就業規則を作成することが望ましいとされています。
就業規則に記載しなければならない事項
(1)必ず記載しなければならない事項
・ 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替勤務をさせる場合の 就業時転換に関する事項
・ 賃金及び退職に関する事項(解雇の事由を含む)
(2)定めがある場合には記載しなければならない事項
・ 退職手当が適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払い 方法等
・ 臨時の賃金(賞与等)に関すること
・ 安全衛生や災害補償に関すること
・ 表彰や制裁に関すること
就業規則を作成又は変更するとき、使用者は、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合、それがないときには労働者の過半数を代表する者(就業規則の作成等についての意見聴取の対象者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等により選出された者であり、監督又は管理の地位にある者でないことが要件)の意見を聴かなければなりません。
作成した就業規則を労働基準監督署長に届け出るときには、労働者側の意見書を添付しなければなりません。
また、就業規則のほか労働基準法等の要旨及び労働基準法に基づく全ての労使協定等を、次のいずれかの方法によって労働者に周知しなければなりません。
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6
就業規則
Ⅵ 就業規則
就業規則の周知義務(労基法第106条1項、労xx第52条の2)
事業主は、以下のいずれかの方法で就業規則を労働者に周知しなければなりません。
(1)常に各作業場の見やすい場所に掲示又は備え付ける。
(2)書面を労働者に交付する。
(3)磁気ディスク等に記録し、かつ各作業場に労働者が記録の内容を常に確認できる機器を設置する。
2.パートタイム・有期雇用労働者についての就業規則を作成・変更する場合(法第7条)
就業規則は通常の労働者ばかりでなく、パートタイム・有期雇用労働者も含む全ての労働者に適用されますので、パートタイム・有期雇用労働者についてだけ他の労働者と異なる労働条件を定めるのであれば、就業規則の中に特別な規定を盛り込むか、パートタイム・有期雇用労働者用の就業規則を作成する必要があります。
パートタイム・有期雇用労働者に係る事項について就業規則を作成または変更する場合は、パートタイム・有期雇用労働者の過半数を代表する者の意見を聴くように努めなければなりません。
また、事業主はパートタイム・有期雇用労働者が過半数を代表する者であること若しくは代表になろうとしたこと又は代表者として正当な行為をしたことを理由に不利益な取扱いをしてはなりません。
3.就業規則と労働契約や労働協約との関係(労xx第12条・第13条)
労使の間で個別に結んだ労働契約の内容が、就業規則で定めた基準を下回っているときには、その部分については無効であり、無効になった部分は就業規則の基準によります。また、使用者と労働組合とが団体交渉で合意して労働協約を締結した場合、就業規則は労働協約に反してはなりません。
4.就業規則の不利益変更(労xx第9条・第10条)
就業規則の内容を労働者の不利益になるように変更する場合には、労働者との合意が必要です。
一方、就業規則は職場全体に統一的に適用されるものであり、会社の経営や全ての労働者の生活設計等にも影響を及ぼしかねないものであるため、必ずしも労働者全員の合意が得られない場合に変更が可能かどうかについて(就業規則の合理的変更法理)、判例が積み重ねられてきました(例えば第四銀行事件 最二小判平成9・2・28)。
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Ⅵ 就業規則
それらを受け、労xx第10条では、変更後の就業規則の周知と変更内容の合理性を条件に、就業規則の変更による労働条件の変更を例外的に認めています。
就業規則の変更によって労働条件を変更するには
① 変更後の就業規則を労働者に周知すること。
② 就業規則の変更が、以下の事情などに照らして合理的なものであること。
・労働者が受ける不利益の程度
個々の労働者が被る不利益の程度
・労働条件の変更の必要性
会社にとって現在の労働条件を維持することが困難であるという事情
・変更後の就業規則の内容の相当性
変更後の就業規則の内容自体の相当性経過措置の有無や内容
代償措置
関連する他の労働条件の改善状況変更内容の社会的相当性など
・労働組合との交渉の状況
就業規則の変更に際して、労働者側との間できちんと協議等を行ったか
【ご注意ください!】
「働き方改革関連法」への対応として、通常の労働者(いわゆる「正社員」等)の労働条件を単純に引き下げる方法で均衡・均等待遇への対応を進めようとすると、上記の労働条件の不利益変更の問題を招くおそれがあります。
(指針第2の3)
今後、各企業において、職務や能力等の内容の明確化と、それに基づくxxな評価を推進し、それに則った賃金制度を含めた処遇体系全体を労使の話合いにより構築していくことが望まれます。
厚生労働省公式インターネットサイト「スタートアップ労働条件」に
「就業規則作成支援ツール」もありますので、ご活用ください。 xxxxx://xxx.xxxxxxx-xxxxxx.xxxx.xx.xx/
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Ⅶ 賃金
1.「賃金」とは
労働基準法第11条では、「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と定義されています。
月給、時給、日給のみならず、各種手当(通勤手当、家族手当等)や一時金(賞与、ボーナス等)、退職金も支給条件が明確に定められていれば、労働基準法上の「賃金」となります。
2.賃金の支払いに関する原則
「賃金」に該当する場合には、賃金の支払いに関して定めた労働基準法第24条が適用されます。この条文では、以下のような賃金支払の原則が定められています。
①通貨払いの原則
賃金は、法令又は労働協約で別に定めがある場合を除き、通貨で支払われなければなりません。口座振込みによって賃金を支払う場合には、一定の要件(労働者の同意を得ること、労働者の指定する本人名義の口座に振り込むこと、賃金の全額が所定の支払日の午前 10 時頃までには引き出せることなど)を満たしていなければなりません。
②直接払いの原則
賃金は、労働者本人に支払わなければなりません。労働者が未xx者の場合も、親や後見人に支払ったり、代理人に支払ったりすることはできません。
③全額払いの原則
賃金は、その全額を支払わなければなりません。賃金から、所得税や社会保険料など、法令で定められているもの以外を控除する場合には、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、これがない場合は労働者の過半数を代表する者との間に、労使協定を結んでおくことが必要です。
➃毎月一回以上払いの原則と、⑤一定期日払いの原則
賞与などの臨時的に支払われるものを除き、賃金は毎月1回以上、一定の期日に支払日を決めて支払わなければなりません。
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7
賃金
Ⅶ 賃金
3.休業手当
使用者の責に帰すべき事由により労働者を休業させた場合には、使用者は平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければなりません(労働基準法第26条)。
この規定は、契約社員にも適用されます。
休業手当の支払い義務のある「使用者の責に帰すべき事由」には、使用者として不可抗力を主張し得ないあらゆる事由が含まれ、使用者の故意・過失はもちろんのこと、景気悪化や資金難、受注減少といった経営障害の場合にも休業手当の支払義務が生じます。
他方、不可抗力による休業の場合は、使用者の責に帰すべき事由にあたらず、使用者に休業手当の支払義務はありません。ここでいう不可抗力とは、① その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であること、という2つの要素をいずれも満たす必要があります。
4.最低賃金
事業主は、最低賃金法に基づいて定められた地域別・産業別の最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。
令和3年3月現在、xxxの最低賃金は 1,013 円です(最低賃金は毎年改定されることが多いため、最新の金額をご確認ください。)。
xxxで設定されている産業別最低賃金は、全てxxxの地域別最低賃金を下回っているため、産業別最低賃金の対象事業場についても、この金額が適用されます。
★最低賃金は「時間額」で表示されています。月給制、日給制、時間給制等すべての給与形態に「時間額」が適用されます。
★次のものは最低賃金額に算入されません。
① 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
② 時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して支払われる手当
③ 臨時に支払われる賃金
➃ 賞与など、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
★派遣労働者については、派遣先の事業場に適用される地域・産業の最低賃金が適用されます。
5.年俸制
(1)年俸制とは
年俸制とは、1年間の総賃金(年俸)を契約で決めてしまう賃金形態です。一
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Ⅶ 賃金
般に、年俸制は個人の能力や仕事の成果を反映させる賃金形態といわれており、定型的業務・単純業務より、専門的・技術的業務や管理的業務に就く労働者に適用されることが多くなっています。
(2)年俸制と時間外・休日労働
年俸制をめぐるトラブルの原因として、「年俸制を採用すれば、残業代を支払わなくてもすむ」と考えている会社が多いことが挙げられます。しかし、労基法第41条各号の該当者(例えば、2号の管理監督者)や、同法第41条の2の高度プロフェッショナル制度該当者でなければ、年俸制といえども、法定労働時間が適用され、時間外労働・休日労働等の割増賃金については、年俸とは別に支払わなければなりません(P24参照)。
あらかじめ一定の金額を割増賃金分として含んだ金額を年俸額とするのであれば、その内訳(例えば年俸○○円、うち××円は○△時間分の時間外労働の割増賃金相当等)を明らかにしておかなければなりません。また、このように定めていても実際に働いてみた結果、事前に決められた割増賃金分を超過した場合には、割増賃金の不足分を追加して支払うことが必要になります。
割増賃金の算定の基礎となる時間単価を計算する際には、原則として賃金(年俸額)を下図のとおり計算して、1時間あたりの賃金を算出します。
「賞与」は原則として、割増賃金の算定基礎から除外されますが、年俸制で賞与扱いをしているものは、算定基礎から除外される「賞与」とはみなされない場合があります。年俸制の場合、「年俸の16分の1を例月給与として支給し、16分の4を二分割して6月と12月に賞与として支給する」といった取り決めをする場合が多いようです。このように、毎月の給与と賞与とを合計してあらかじめ支給額が確定している場合、この賞与として扱われている部分は、労働者の勤務成績などに応じて臨時に支給されるものではなく、「賞与」とは みなされません。したがって、賞与部分を含めて決定された年俸額を算定基礎として割増賃金を支払う必要があります(労働省通達平成 12.3.8 基収第78号)。
【割増賃❹の算出基礎額】年俸額480万円
(例年給与 30万円、賞与相当分 xx合計120万円)
4 | 5 | 6 | 賞 | 与 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 賞 | 与 | 1 | 2 | 3 |
30万円
(1/16)
60万円
60万円
割増賃❹算定基礎額は
40万円
(1/12)
算定基礎となる月給額(年俸額の 12 分の1)÷
1か月の所定労働時間(月によって所定労働時間が異なる場合には、1か月平均所定労働時間)=算定基礎額(時間額)
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Ⅷ 労働時間・時間外労働
1.法定労働時間(労基法第32条、労xx第25条の2)
事業主は、労働者を原則として1週40 時間、1日8時間を超えて働かせてはなりません。ただし、商業、映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)、保健衛生業及び接客娯楽業で、常時10 人未満の労働者を使用する事業場については、特例措置事業場として、1日8時間、1週44 時間とする特例措置が認められています。労働契約や就業規則等で定める所定労働時間は、法定労働時間を超えることはできません。
2.休憩時間(労基法第 34 条)
使用者は、労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に、労働者に一斉に与えなければなりません。なお、運輸交通業、商業、通信業、接客娯楽業等については、業務の性質上、休憩時間を一斉に与えなくても良いことになっています。その他の業種では、労働者の範囲と休憩時間の与え方を労使協定で定めておけば、一斉に与えないことが可能です。
また、いわゆる「手待ち時間」(実際に作業していないけれども、業務の指示を受けたときにはすぐ就労できるようにするための待機時間)や電話番の「昼休み当番」などは、労働者が自由に休憩時間を利用することができないことから、休憩時間を与えたことにはなりませんので注意が必要です。
3.休日(労基法第35条)
労働契約上、労働者が労働しなくても良い日を休日といいます。
休日の最低基準として、使用者は、労働者に毎週少なくとも1回、あるいは4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。ただし4週4日制はあくまで例外であり、「4週間」の起算日については就業規則等により明らかにする必要があります。
4.時間外労働・休日労働(労基法第36条1項、4~6項)
法定労働時間を超えて労働させたり、休日に労働させたりする場合には、使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は過半数を代表する労働者と協定を結び、労働基準監督署長に届け出なければなりません。(この労使協定のことを、36 協定(サブロク協定)などといいます。)
働き方改革関連法に伴う労働基準法の改正により、時間外労働の上限や、臨時的な特別の事情がある場合に労使協定で定められる労働時間の上限等について法律で定められ、罰則も設けられました。
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労働時間・時間外労働
Ⅷ 労働時間・時間外労働
時間外労働の上限規制
時間外労働の上限は原則として月 45 時間、年 360 時間です。
臨時的な特別な事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、以下を守らなければなりません。
① 時間外労働が年 720 時間以内
② 時間外労働と休日労働の合計が月 100 時間未満
③ 時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」
「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月あたり80時間以内
➃ 時間外労働が月 45 時間を超えることができるのは、年6か月が限度
(注)特別条項の有無に関わらず、時間外労働と休日労働の合計は、1年を通して常に、月100時間未満、2~6か月平均80時間以内にしなければなりません。なお、時間外労働が月45時間、年360時間以内であれば特別条項の締結・届出の必要はありません。
中小企業における上限規制の適用は令和2年4月1日ですが、同年3月 31日までの期間を含んだ36協定については、協定の初日から1年間は引き続き有効となり、上限規制は適用されませんでした。(中小企業の範囲は、2ページを参照してください。)しかし、中小企業においても有効期間の始期が令和2年4月 1 日以降の36協定を締結する際は 、 上記の上限が適用されます。また所轄労働基準監督署への届出様式も変更されていますのでご留意ください。
また、建設事業・自動車運転の業務・医師等については、令和6年3月31日までの5年間、一部又は全ての適用が猶予されます(猶予後の取扱いはそれぞれ異なります)。新技術・新商品等の研究開発業務については、適用除外となりますが 、一定以上の労働時間となった場合には、医師の面接指導が義務付けられました
(P37参照)。
厚生労働省発行「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」より
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Ⅷ 労働時間・時間外労働
5.割増賃金(労基法第37条)
法定労働時間を超えて労働させる場合、①月60時間までの時間外労働については通常の賃金の2割5分以上(月45時間超から60時間までは25%を超える割増率で支払う努力)、②月60時間を超える時間外労働については5割以上の割増賃金を支払わなければなりません。(※中小企業については、②は適用を猶予されていましたが、令和5年4月1日から適用されます。)なお、②の部分については、労使協定により、割増賃金の支払いに代えて代替休暇を付与することもできます。
また、法定休日に労働させる場合には3割5分以上、深夜労働(午後10時から午前5時まで)の場合には2割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。
【一般的な時間外労働・休日労働の割増率】
(1日の所定労働時間が7時間、時給 1,500 円の場合)
《労働日》
22:00
翌日 5:00
18:00 | 深夜労働 25%以上 | ||
9:00 17:00 | 時間外労働 25%以上 | 時間外労働 25%以上 | |
所定労働時間 7時間 (休憩1時間) | 所定時間外労働時間1時間 (割増分の支払は任意) |
法定労働時間(8時間)時給 1,500円以上
時給 1,875円以上 時給 2,250円以上
《休 日》
22:00 24:00
翌日 5:00
9:00 | 深夜労働 25%以上 | 深夜労働 25%以上 |
休日労働 35%以上 | 休日労働 35%以上 | 時間外労働 25%以上 |
時給 2,025 円以上 時給 2,400 円以上 時給 2,250 円以上
なお、労働時間の計算は、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」とされ、この「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含む(昭和23年基発第769号)とされています。近年、副業や兼業など、複数の事業場で労働する労働者が増え、副業・兼業の促進に関するガイドラインが策定されていますが、同一の事業主の下で複数の事業場で働く場合も、異なる事業主の下で働く場合でも、労働時間の算定は通算とされ、法定労働時間を超えた部分には割増賃金を支払わなければなりません。詳しくは通達(副業・兼業の場合における労働時間管理に係る労働基準法第 38条第1項の解釈等について(令和2年基発0901第3号))をご確認ください。 xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxx/xxx/xxxxxx/X000000X0000.xxx
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Ⅷ 労働時間・時間外労働
6.労働時間と労働日はパートタイム・有期雇用労働者の事情を十分に考慮して
(指針第3の1)
パートタイム・有期雇用労働者の多くは、仕事と家庭を両立させるため、自分の都合に合う時間等を考え勤務しています。したがって、労働時間や労働日を定めたり、または変更したりする時は、そのパートタイム・有期雇用労働者の事情を十分に考慮するように努めましょう。
また、できる限り所定労働時間を超えたり、所定労働日以外の日に労働をさせたりしないように努めましょう。例外的に所定外に労働をさせることがある場合には、雇入れの際に、所定労働時間を超えて、または所定労働日以外の日に労働させることがあることやその程度について明示するように努めましょう。
7.変形労働時間制
労働時間1週40時間、1日8時間の原則には、例外があります。変形労働時間制は、使用者と労働者が、自らの工夫で労働時間 を弾力化し、業務の繁閑に応じた労働時間の配分等を行うことによって、労働時間を短縮することを目的とする制度です。
基本的には、業務量に繁閑の波があり、ある程度、繁忙期と閑散期の周期を予測できる事業場を想定しています。
(1)1か月単位の変形労働時間制
(労働基準法第 32 条の2、同法施行規則第 12 条の2の2第2項)
1か月以内の一定期間を平均し、1週間の労働時間が40時間(特例措置事業場は44時間)以下であれば、特定の日や週に、1日及び1週間の法定労働時間を上回る所定労働時間を設定することができる制度です。
この制度は、労使協定を締結し労働基準監督署長に届け出るか、就業規則等に定め周知することなどによって導入できます。労働時間のxxx、始業・終業時刻 、起算日等については、具体的かつ明確に定める必要があります。
(2)フレックスタイム制
(労働基準法第 32 条の3、同条の3の2、同法施行規則第 12 条の3)
一定の期間(清算期間)の総労働時間をあらかじめ定めておき、労働者がその範囲内で、各日の始業及び終業の時刻を自らの意思で決めて働く制度です。
導入にあたっては、就業規則等において、始業・終業時刻を労働者の決定に委ねることを定めることと、対象となる労働者の範囲、清算期間、清算期間中の総労働時間、標準となる1日の労働時間などについて定めた労使協定を締結する必要があります。また、フレキシブルタイム(いつ出社又は退社しても良い時間帯)とコアタイム(必ず勤務しなければならない時間帯)を設ける場合には、その開始・終了時刻を定めておかなければなりません。
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Ⅷ 労働時間・時間外労働
清算期間については、3か月以内となります。ただし、清算期間が1か月を超える場合には、①清算期間全体の労働時間が週平均40時間を超えないこと、②1か月ごとの労働時間が週平均50時間を超えないことの両方が必要となり、それを超えた場合は時間外労働となります。また、1か月を超えるフレックスタイム制は、締結した労使協定は、労働基準監督署長に届け出なければなりません。
(3)1年単位の変形労働時間制
(労働基準法第32 条の4、同法施行規則第12条の4)
1か月を超え1年以内の一定期間を平均して1週間の労働時間が40時間以下であれば、特定の日や週について、1日10時間、1週52時間を限度に働かせることができる制度です。ただし、対象期間を平均した1週間あたりの労働時間は 40時間を超えないこと(特例措置事業場においても同様)、連続して労働する日数は原則として最長6日までとするなどの制限があります。
また、変形労働時間の対象期間が3か月を超える場合には、週48時間を超える所定労働時間を特定した週が連続3週以内、3か月ごとに区切った対象期間内に週48時間を超える所定労働時間を特定した週が3つ以内となるようにしなければならず、対象期間における労働日数の限度は1年あたり280日(下記計算式参照)、時間外労働の上限は年間320時間とされています。
〈対象期間が3ヵ月を超える場合の労働日数の限度〉
対象期間の歴日数
280 日
365
(4)1週間単位の非定型的変形労働時間制
(労働基準法第32条の5、同法施行規則第12条の5)
日によって業務に著しい繁閑が生じることが多く、しかも直前になるまで状況がわからないため、就業規則等に労働時間を定めておくことができない場合、30人未満の小売業、旅館、料理店及び飲食店のみ、1週間の労働時間が40時間以下の範囲内であれば、1日10時間まで働かせることができる制度です。
制度の導入にあたっては、労使協定を締結して労働基準監督署長に届け出ること、就業規則等に定めること、前の週までに各日の労働時間を書面で労働者に通知することが必要です。
8.みなし労働時間制
社外で活動することがほとんどである営業担当者や、仕事の進行管理を自分で行っている研究員のように、仕事の内容によっては、使用者による労働時間の把握が困難な場合があります。
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Ⅷ 労働時間・時間外労働
そこで、労働基準法では、このような労働者を対象に、ある一定の時間だけ働いたものとみなす、みなし労働時間制の適用を認めています。
(1)事業場外労働のみなし労働時間制(労働基準法第 38 条の2)
事業場外労働のみなし労働時間制とは、労働者が、営業など会社の外で仕事をするために労働時間の算定をすることが困難な業務について、通常の所定労働時間だけ働いたものとみなすという制度です。
その業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」働いたものとみなされます。この場合に、労使協定で「当該業務の遂行に必要となる時間」を定めた場合には、その時間労働したものとみなされます(労働基準法38条の2第1項ただし書き、第2項)。
ただし、事業場外で働く場合であっても、以下のように労働時間の算定が可能な場合は「みなし労働時間」の適用はありません。
・グループで業務に従事しており、その中に労働時間管理者がいる場合。
・携帯電話等により、随時使用者の指示を受けながら労働している場合。
・訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を事業場で受けた後、事業場外で指示どおりに労働し、その後事業場にもどる場合。
(2)裁量労働制
裁量労働制とは、業務の遂行手段や時間配分について、使用者が細かく指示するのではなく、労働者本人の裁量にまかせ、実際の労働時間数とは関係なく、労使の合意で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。裁量労働制には、次の2つのタイプがあります。
① 専門業務型裁量労働制(労働基準法第38条の3、同法施行規則第24条の2の2)専門性が高く、業務遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、
その業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関して使用者が具体的に指示をすることが難しい業務について導入が認められています。具体的には、19の専門業務に限って認められます。
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Ⅷ 労働時間・時間外労働
【厚生労働省令で定める業務】
①新商品、新技術の研究開発又は人文科学、自然科学に関する研究の業務
②情報処理システムの分析又は設計の業務
③新聞、出版、放送における取材、編集の業務
➃衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザイン考案の業務
⑤放送番組、映画等におけるプロデューサー、ディレクターの業務
【厚生労働大臣告示で定める業務】
⑥コピーライターの業務
⑦システムコンサルタントの業務
⑧インテリアコーディネーターの業務
⑨ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
⑩証券アナリストの業務
⑪金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
⑫大学における教授研究の業務
⑬公認会計士の業務
⑭弁護士の業務
⑮建築士(一級 ・ 二級建築士及び木造建築士)の業務
⑯不動産鑑定士の業務
⑰弁理士の業務
⑱税理士の業務
⑲中小企業診断士の業務
② 企画業務型裁量労働制(労働基準法第38 条の4、同法施行規則第24 条の2の3)事業の運営についての企画、立案などについての業務であり、業務遂行のため
にその遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、その業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、使用者が具体的な指示をしないこととする業務について導入し得る制度になっています。
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Ⅷ 労働時間・時間外労働
専門業務型裁量労働制 | 企画業務型裁量労働制 | |
根 拠 規 定 | 労働基準法第38条の3 | 労働基準法第38条の4 |
採 用 条 件 | 労使協定の締結、労働基準監督署への届出 | 労使委員会における委員の5分の4以上の多数議決による決議と労働基準監督署への届出 |
対象事業場 | 制限なし | 対象業務が存在する事業場 |
対 象 業 務 | 専門性が高く、業務の遂行の手段や時間配分に関する具体的な指示をすることが難しい業務 ⑴研究開発、⑵情報処理システムの分析・設計、⑶取材・編集、⑷デザイナー、⑸プロデューサー・ディレクター、⑹コピーライター、⑺システムコンサルタント、⑻インテリアコーディネーター、⑼ゲーム用ソフトウェア創作、⑽証券アナリスト、 ⑾金融商品の開発、⑿大学における教授研究、⒀公認会計士、⒁弁護士、⒂建築士、⒃不動産鑑定士、⒄弁理士、⒅税理士、⒆中小企業診断 士 | 次の4つの要件すべてを満たす業務 ⑴事業の運営に関するものであること ⑵企画、立案、調査及び分析の業務であること ⑶業務遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があると、業務の性質に照らして客観的に判断される業務であること ⑷企画・立案・調査・分析という相互に関連しあう作業を、いつ、どのように行うか等について、使用者が具体的な指示をせず、xxな裁量が労働者に認められている業務である こと |
協定・決議事 項 | ①対象業務の特定 ②当該業務の遂行の手段及び時間配分等に関し、労働者に対し具体的な指示をしないこと ③労働したものとみなす時間 ➃対象業務に従事する労働者の健康及び福祉を確保するための措置の具体的内容 ⑤対象業務に従事する労働者からの苦情の処理のため実施する措置の具体的内容 ⑥協定の有効期間 ※3年以内とすることが望ましい ⑦記録の保存 ※協定の有効期間中及びその満了後 3年間 | ①対象業務の範囲 ②対象労働者の具体的な範囲 (例:大学の学部を卒業して5年以上の職務経験、xx(職能資格○級)以上の労働者など) ③労働したものとみなす時間 ➃対象業務に従事する労働者の健康及び福祉を確保するための措置の具体的内容 ⑤対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置の具体的内容 ⑥制度の適用について労働者本人の同意を得なければならないこと及び同意しなかった労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと ⑦決議の有効期間 ※3年以内とすることが望ましい ⑧記録の保存 ※決議の有効期間中及びその満了後 3年間 |
導 入 効 果 | 実際の労働時間と関係なく、労使協定で定めた時間、労働したものとみなす | 実際の労働時間と関係なく、労使委員会で定めた時間、労働したものとみなす |
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Ⅷ 労働時間・時間外労働
(3)深夜業・休日に関する規定は適用されることに注意
なお、みなし労働時間を設定しても、労働基準法の休憩、深夜業、休日(P24参照)に関する規定が適用されますので注意が必要です。したがって、深夜や休日労働については、割増賃金を支払う必要があります。
また、近年、長時間労働を原因とする労働者の健康障害が問題となっています。たとえ裁量労働制の適用者であっても、客観的な方法により労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません(労働安全衛生法第66条の8の3、安衛則第 52条の7の3)。
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Ⅸ 年次有給休暇
1.パートタイム・有期雇用労働者の年次有給休暇
(労基法第39条第1項~第6項、労xx第24条の3及び第24条の4)
パートタイム・有期雇用労働者であっても、6か月間継続勤務し、決められた労働日数の8割以上出勤すれば、年次有給休暇を与えなければなりません。1回の労働契約期間は短くても、労働契約を更新して通算6か月以上継続して働くようになった場合も同様です。また、事業主は、労働者が請求した時季に年次有給休暇を与えなければなりません。
ただし、会社の事業の正常な運営が妨げられる場合に限り、年次有給休暇を他の時季に変更することができます(時季変更権)。ここでいう「事業の正常な運営を妨げる」というのは、「客観的にみて、そのときに労働者に会社を休まれたら、会社が正常に運営できない」という具体的な事情があるときです。単に忙しいという理由だけで、労働者が休みたい日に休ませないことはできません。
年次有給休暇の付与日数は、週所定労働時間や週または年間の所定労働日数により、次のように定められています。
年次有給休暇の付与日数
週所定労働時間 | 週所定労働日数 | 1年間の所定労働日数 (週以外の期間によって労働日数が定められている場合) | 雇入れの日から起算した継続勤務期間の区分に応ずる年次有給休暇の日数 | ||||||
6か月 | 1年 6か月 | 2年 6か月 | 3年 6か月 | 4年 6か月 | 5年 6か月 | 6年 6か月 以上 | |||
30 時間以上 | 10 日 | 11 日 | 12 日 | 14 日 | 16 日 | 18 日 | 20 日 | ||
30 時間未満 | 5日以上 | 217 日以上 | |||||||
4日 | 169 日~ 216 日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10 日 | 12 日 | 13 日 | 15 日 | |
3日 | 121 日~ 168 日 | 5日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10 日 | 11 日 | ||
2日 | 73 日~ 120 日 | 3日 | 4日 | 5日 | 6日 | 7日 | |||
1日 | 48 日~ 72 日 | 1日 | 2日 | 3日 |
労働者は、年次有給休暇を、一日ずつばらばらに取得しても、数日間まとめて取得してもかまいません。事業場で労使協定を締結すれば、1年に5日を限度として、時間単位で年次有給休暇を取得することもできます。
半日単位の休暇は、労使協定が結ばれていなくても、就業規則等に規定があれば取得できます。
なお、あらかじめ労使で協定を結び、休暇の計画的付与を行うこともできます
(計画年休)。ただし、計画年休の対象とすることができるのは、各労働者の持っている年次有給休暇の日数のうち、5日を超える部分に限ります。
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9
年次有給休暇
Ⅸ 年次有給休暇
年次有給休暇の時効は、付与日から起算して2年です。年次有給休暇をその年度内に全部取得しなかった場合、残りの休暇は翌年度に限り取得することができます。ただし、退職日以降に取得することはできません。
2.年5日の年次有給休暇の確実な取得
(労基法第39条第7項及び第8項、労xx第24条の5及び第24条の6)
「働き方改革関連法」による労働基準法改正により、全ての企業において、年 10 日以上の年次有給休暇(P33の図の太線内)が付与される労働者(管理監督者等を含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち、年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。
使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。また、時季指定にあたっては、労働者の意見を聴取し、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、その意見を尊重するよう努めなければなりません。
ただし、既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては 、使用者が時季指定をする必要はなく、また、することもできません。加えて、労働者が自ら請求・取得した年次有給休暇の日数や、計画年休については、その日数分を時季指定義務が課される年5日から控除する必要があります。
2020/10/1 ~ 2021/9/30 までの1年間に
5日年休を取得させなければなりません。
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(例)入社日:2020/4/1 休暇付与日:2020/10/1(10 日付与)
10日付与 ( 基準日 )
2020/4/1
入社
2020/10/1
2021/9/30
Ⅸ 年次有給休暇
3.年次有給休暇管理簿(労xx第 24 条の7)
使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。管理簿は、労働者ごとに年次有給休暇を取得した時季(日付)及び日数と基準日(年次有給休暇の付与日)を記載しなければなりません。
管理簿は、労働者名簿又は賃金台帳とあわせて作成してもよく、また、必要なときにいつでも出力できる仕組みとした上で、システム上で管理しても差し支えありません。
厚生労働省発行「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」より
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Ⅹ 安全衛生
1.健康診断の実施(労働安全衛生法第 66 条)
事業主は、労働者に対し、労働安全衛生法の定めるところにより健康診断を実施しなければなりません。パートタイム•有期雇用労働者についても、次の2つの要件を満たす者には一般健康診断を実施することが必要です。
(1)期間の定めのない労働契約により雇用される者、または期間の定めのある労働契約により雇用される者であって、契約期間が1年以上(特定業務に従事する場合は6か月以上)である者、契約更新により1年以上雇用されることが予定されている者•雇用されている者
(2)1週間の所定労働時間が同じ事業所において同種の業務に従事する通常の労働者に比べて4分の3以上である者(所定労働時間が通常の労働者の4分の
3未満であっても概ね2分の1以上であれば一般健康診断を実施することが望ましいものとされています。)
実施しなければならない主な健康診断
①常時雇用するパートタイム•有期雇用労働者に対する雇入時健康診断、定期健康診断(1年以内ごとに1回)
②深夜業等に常時従事するパートタイム•有期雇用労働者に対する健康診断
(配置転換時及び6か月以内ごとに1回の定期健康診断)
③一定の有害業務に常時従事するパートタイム•有期雇用労働者に対する特殊健康診断
➃その他必要な健康診断
健康診断で何らかの異常が見つかった者については、健康保持のために必要な措置について医師等の意見を聴き、労働者の実情を考慮した上で適切な措置を講じなければなりません。また、長時間労働者については、労働者からの申出があれば、医師による面接指導を行う必要があります。対象となる労働者の要件については、時間外•休日労働時間が1月あたり80 時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者となっています(同法第66 条の8第1項、労働安全衛生規則第52 条の2)。
2.ストレスチェック制度(労働安全衛生法第66条の10)
パートタイム•有期雇用労働者であっても、一般定期健康診断の対象者には、ストレスチェックの実施が事業者に義務付けられています。(50 人未満の事業場は当分の間努力義務。)ストレスチェックの結果、一定の要件に該当する労働者から申出があった場合にも、医師による面接指導を行わなければなりません。
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10
安全衛生
Ⅹ 安全衛生
※ 制度の詳細は厚生労働省公式インターネットサイトをご覧ください。 xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/xxxxxxxxxxx/xxxxxxxxxx00/xxxxx.xxxx
3.長時間労働者等に対する医師による面接指導
① 時間外労働が月 80 時間を超え疲労の蓄積が認められる長時間労働者ついて、使用者は、本人の申出により、医師の面接指導を実施しなければなりません(安衛法第66条の8、安衛則52条の2第1項)。使用者は、時間外労働が月 80 時間を超えた労働者に対し、その超えた時間についての通知を行わなければなりません(xxx52条の2第3項)。この通知は、疲労の蓄積が認められる労働者の面接指導の申出を促すものであり、労働時間に関する情報のほか、面接指導の実施方法•時期等の案内を併せて行うことが望ましいとされています(平
30.12.28 基発1228第16号)。
② 新技術•新商品•新役務の研究開発業務従事者については、時間外•休日労働時間が1月当たり100時間を超えたものに対して、当該労働者の申出なしに面接指導を行わなければなりません(安衛法第66条の8の2、安衛則第52条の7の2)。時間外•休日労働時間が1月当たり100時間を超えた場合に、事業者は、対象労働者に対して、労働時間に関する情報を、面接指導の案内と併せて通知する必要があります(安衛則第52条の7の2第2項)。
また、時間外•休日労働時間が1月当たり100時間を超えない場合であっても、当該超えた時間が80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められた場合には、上記の安衛法第66条の8第1項の規定により、面接指導の対象となるため、当該労働者から面接指導の申出があれば、事業者は、面接指導を行わなければなりません(平30.12.28基発1228第16号)。
③ 高度プロフェッショナル制度の適用対象者について、週40時間超えの健康管理時間が月100時間を超えた場合、使用者は医師による面接指導を実施しなければなりません(安衛法第66条の8の4)。
➃ また、①から③に該当しなくても、事業者は、長時間にわたる労働により疲労の蓄積が認められ又は労働者自身が健康に不安を感じた労働者であって申出を行った労働者及び事業場で定めた基準に該当する労働者に対して、面接指導に準ずる措置等必要な措置を行うよう努めなければなりません(安衛法第66条の9)。
4.高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン
近年、高年齢者が、短時間労働者や有期契約労働者として稼働する例がも増えています。しかし、労働災害のうち60歳以上の労働者が占める割合は1/4以上 (2019 年は27%)で、労働災害発生率は、若年層に比べ高年齢層で高いことから、
厚生労働省は、令和 2 年 3 月16日に、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)(令和2年3月16日付けxx発0316第1号)を策定しています。 xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxx/xxxxxxx_00000.xxxx
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Ⅺ ハラスメントの防止
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1.職場におけるパワーハラスメント(労働施策総合推進法第30条の2)
職場におけるパワーハラスメントとは、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものをいいます。
雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)では、パワーハラスメントを下記の類型に整理し、それぞれについて典型的な例を挙げています。
【6つの類型】
① 身体的な攻撃(暴行•傷害)
② 精神的な攻撃(脅迫•名誉毀損•侮辱•ひどい暴言)
③ 人間関係からの切り離し(隔離•仲間外し•無視)
➃ 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
⑤ 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
⑥ 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
2.職場におけるセクシュアルハラスメント(均等法第11条)
職場におけるセクシュアルハラスメントとは、職場における性的な言動によって、労働者が仕事をするうえで一定の不利益を被ったり、就業環境が悪化したりすることをいいます。
性的な言動を行う者は、事業主、上司、同僚に限らず、取引先の事業主や労働者、顧客、患者又はその家族、学校における生徒等もなり得ます。
また、異性に対するものだけでなく、同性に対するものも該当します。
さらに、被害者の性的思考や性自認にかかわらず、性的な言動であれば該当します。
3.職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント
(均等法第 11 条の2、育介法第 25 条)
職場におけるいわゆる「マタニティハラスメント」とは、妊娠•出産、育児休業、介護休業等に関する言動により、労働者の就業環境が害されることをいいます。
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ハラスメントの防止
Ⅺ ハラスメントの防止
4.ハラスメントに関して事業主が雇用管理上講ずべき措置
職場におけるパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠•出産•育児休業等に関するハラスメントを防止するために、事業主の雇用管理上講ずべき措置が義務付けられており、その具体的な内容は厚生労働省の指針に定められています。(パワーハラスメントについては令和2年厚生労働省告示第5号、セクシュアルハラスメントについては平成18年厚生労働省告示第615号、マタニティハラスメントについては平成28年厚生労働省告示第312号)
事業主が雇用管理上講ずべき措置(概要)
1 事業主の方針の明確化及びその周知•啓発
(1)ハラスメントの内容、ハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知•啓発すること。
(注)「職場における妊娠•出産•育児休業等に関するハラスメントを防止するために講ずべき措置」は上記に加えて、妊娠•出産•育児休業等に関する否定的な言動が職場における妊娠•出産•育児休業等に関するハラスメントの発生の原因や背景になり得ることと、制度等の利用ができることを明確化すること。
(2)ハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針•対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知•啓発すること。
2 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 (3)相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。
(4)相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。ハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、発生のおそれがある場合や、ハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応すること。
3 職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応 (5)事実関係を迅速かつ正確に確認すること。 (6)事実関係の確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮のための措置
を適正に行うこと。 (7)事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。 (8)再発防止に向けた措置を講ずること。
(注)「セクシュアルハラスメントを防止するために講ずべき措置」に関しては、行為者が他の事業主が雇用する労働者や他の事業主である場合、他の事業主に措置への協力を求めることも含まれます。
4 併せて講ずべき措置 (9)相談者•行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者
に周知すること。
(10)事業主に相談したこと、事実関係の確認に協力したこと、都道府県労働局の援助制度を利用したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知•啓発すること。
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Ⅺ ハラスメントの防止
5 マタニティハラスメントの原因や背景となる要因解消のための措置
業務体制の整備など、事業主や妊娠等した労働者その他の労働者の実情に応じ、必要な措置を講ずること(派遣労働者にあっては派遣元事業主に限る)。
また、事業主の望ましい取組みとして、①各種ハラスメントのxx的な相談体制の整備、②自らの雇用する労働者以外の者に対する言動に関して行うことが望ましい取組みとして、他の事業主が雇用する労働者、就職活動中の学生等の求職者、個人事業主などのフリーランス•インターンシップ中の者、教育実習生などの労働以外の者に対しても、同様の方針を示すこと、③他の事業主の雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為に関する相談体制の整備、被害者への配慮のための取組み、被害防止のための取組みなどもあります。
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Ⅻ 働く女性に関する法律
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1.女性労働者に関する規定
女性労働者に関して、労基法•男女雇用機会均等法は母性保護等のための規定を設けています。この規定はパートタイム•有期雇用労働者であっても適用されます。
(1)産前産後休 (労基法第65条)
(2)育児時間(労基法第67条)
(3)生理休暇(労基法第68条)
(4)妊産婦等の危険有害 務の就 制限(労基法第64条の3)
(5)妊産婦の変形労働時間制•時間外•休日労働•深夜 の制限(労基法第66条)
(6)妊産婦の通院時間確保、通勤緩和など(均等法第12条、第13条)
2.性別を理由とする差別の禁止
募集、採用から定年、退職に至るまでのさまざまな場面において、労働者が性別によって差別されることなく、均等な機会や処遇の確保を図ることを目的に、下記の既定があります。
(1)性別を理由とする差別の禁止(均等法第5条、第6条)
事 主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければなりません。また、事 主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として差別的取扱いをしてはなりません。
1 配置( 務の配分•権限の付与を含む)、昇進、降格、教育訓練
2 福利厚生(例:住宅資金や生活資金の貸与、住宅の貸与など)
3 職種•雇用形態の変更
4 退職の勧奨、定年、解雇、労働契約の更新
(2)間接差別の禁止(均等法第7条)
形式的な理由が性別以外であっても、次の3つの措置については、実質的に性別を理由とする差別となるおそれがあることから、 務遂行上特に必要であるなどの合理的な理由がない場合には、間接差別として禁止されます。
1 募集又は採用にあたって、身長、体重又は体力を要件とすること
2 労働者の募集•採用•昇進•職種変更にあたって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること
3 昇進にあたり、転勤経験があることを要件とすること
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働く女性に関する法律
ⅩⅢ 育児休 、介護休 等
1
パートタイム•有期雇用労働者にも、育児•介護休 法の定めるところにより、
次の措置を講じなければなりません。全ての措置について、男女両方の労働者が対象となります。また、一定範囲の有期契約労働者も育児•介護休 の対象となり、子の看護休暇や介護休暇についても対象です(日々雇用されるものを除く)。ただし、労使協定を締結することにより、該当する労働者が除外されることがあります。
1.育児休業
育児休 は、労働者が事 主に申し出ることにより、子(特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子等も含む。)が1歳に達するまで(両親ともに育児休 を取得する場合は、子が1歳2か月に達するまでの間に1年間)の間、育児休 をすることができます(育介法第5条、第9条、第9条の2【パパ•ママ育休プラス】)。
また、xが1歳を超えても休 が必要と認められる一定の場合には、子が1歳
6か月に達するまで、さらに、子が1歳6か月に達した時点で、保育所に入れない等の場合に、再度申し出ることにより、育児休 期間を最長2歳まで延長できます(下図)。
出産後8週間以内に父親が育児休 を取得した場合、2度目の育児休 取得が可能になります(育介法第5条2項)。
※期間を定めて雇用されていても、申出時点において①、②の要件をいずれも満たす場合については育児休 を取得できます。
① 過去1年以上継続し雇用されていること
② 子が1歳6か月になるまで(2歳までの延長を申し出る場合は、2歳になるまで)の間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと
(育児休 の延長)
0歳 1歳
延長①
1 歳6か月 2歳
延長②
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3
育児休業、介護休業等
ⅩⅢ 育児休 、介護休 等
2.子の看護休暇(育介法第16 条の2)
小学校就学前の子を養育する労働者は、事 主に申し出ることにより、小学校就学前の子が1人であれば年5日まで、2人以上であれば年10 日まで、病気•けがをした子の世話のためのみならず、子に予防接種または健康診断を受けさせるためにも、休暇を取得することができます。
パートタイム•有期雇用労働者についても子の看護休暇の対象となります。
子の看護休暇は、1日単位又は時間単位で取得することができます(時間単位取得は、令和3年1月1日に追加された制度です。)。子の看護休暇の時間単位の取得は、始 の時刻から連続し、又は終 の時刻まで連続する時間単位での子の看護休暇の取得を可能とすることを求めており(育児介護休 法施行規則 40 条第1項)、いわゆる中抜けを許容することを事 主に求めているものではありません(事 主が中抜けを許容することも可とされています。)。
なお、子の看護休暇制度は、日々雇い入れられる者には適用されません。
また、次のような労働者について子の看護休暇を取得することができないこととする労使協定があるときは、事 主は子の看護休暇の申出を拒むことができます。
①その事 主に継続して雇用された期間が6か月に満たない労働者
②1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
③時間単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる 務に従事する労働者(ただし、③の労働者については、1日単位で子の看護休暇を取得することはできます。)
3.育児のための勤務時間短縮等の措置(育介法第23 条)
事 主は、3歳に満たない子を養育する労働者で、育児休 をしない者(育児休 取得済みで現在育児休 をしていない者も含む)について、労働者の申出に基づき、短時間勤務(1日原則6時間)の措置を講じなければなりません。
4.育児のための所定外労働の制限(育介法第 16 条の8)
事 主は、3歳に満たない子を養育する労働者が請求した場合は、所定労働時間を超えて労働させてはなりません。
5.育児目的休暇(育介法第 24 条)
事 主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が、育児に関する目的で利用できる休暇制度の措置を設けることに努めなければなりません。
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ⅩⅢ 育児休 、介護休 等
6.介護休業(育介法第 11 条・第 15 条)
介護休 は、労働者が事 主に申し出ることにより、要介護状態にある家族(配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹及び孫)1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回、通算して93 日まで介護休 を取得することができます。
また、対象家族1人につき通算93 日まで、3回を上限として、介護休 を分割して取得することが可能です。
※ 介護休 についても、育児休 と同様の考え方でパートタイム•有期雇用労働者も対象となります。期間を定めて雇用されていても、申出時点において①、
②の要件をいずれも満たす場合については対象となります。
① 過去1年以上継続して雇用されていること
② 介護休 を取得予定日から起算して93 日経過する日から6か月を経過する日までに、雇用契約がなくなることが明らかでないこと
7.介護休暇(育介法第16 条の5)
要介護状態にある家族の介護を行う労働者は、その事 主に申し出ることにより、要介護状態にある家族が1人であれば年5日まで、2人以上であれば年10 日まで、介護休暇を取得できます。
介護休暇は、1日単位又は時間単位で取得することができます(時間単位取得は、令和3年1月1日に追加された制度です。)。介護休暇の時間単位の取得は、子の看護休暇と同様に、始 の時刻から連続し、又は終 の時刻まで連続する時間単位での介護休暇の取得を可能とすることとされています。
介護休暇は、日々雇い入れられる者には適用されません。また、次のような労働者について介護休暇を取得することができないこととする労使協定があるときは、事 主は介護休暇の申出を拒むことができます。
①その事 主に継続して雇用された期間が6か月に満たない労働者
②1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
③時間単位で介護休暇を取得することが困難と認められる 務に従事する労働者
(ただし、③の労働者については、1日単位で介護休暇を取得することはできます。)
8.介護のための勤務時間短縮等の措置(育介法第23 条)
事 主は、常時介護を必要とする状態にある家族の介護を行う労働者で介護休をしていないものについて、次のいずれかの措置を講じなければなりません。
①短時間勤務制度、②フレックスタイム制、③始•終 時刻の繰り上げ繰り下げ、
➃介護費用の援助措置介護のための所定労働時間の短縮措置等については、介護休 とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能です。
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ⅩⅢ 育児休 、介護休 等
9.介護のための所定外労働の制限(育介法第16 条の9)
要介護状態にある対象家族を介護する労働者(労使協定で定めた者を除く)が、当該家族を介護するために請求した場合には、事 の正常な運営を妨げる場合を除き、事 主は、所定労働時間を超えて労働させてはなりません。
10.時間外・深夜業の制限(育介法第17条~第20条)
事 主は、小学校就学前の子を養育し、又は要介護状態にある家族を介護する労働者が請求した場合は、時間外労働を制限(上限:月24時間、年150時間)しなければならず、また深夜において労働させてはなりません。パートタイム•有期雇用労働者についても期間の定めの有無にかかわらず対象となります。
※ 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者は対象外(育介則 52 条、56 条、61 条、 66 条)。
11.不利益取扱いの禁止(育介法第10条、第16条、第16条の4、
第16条の7、第16条の10、第18条の2、第20条の2、第23条の2)
事 主は、労働者が前記 (1) ~ (4) 及び (6) ~ (10) の申出等をしたこと等を理由として、解雇その他の不利益な取扱いをしてはなりません。
12.育児休業等制度の個別周知(育介法第21 条)
事 主は、労働者又はその配偶者が妊娠•出産した場合、家族を介護していることを知った場合に、当該労働者に対して個別に育児休•介護休 等に関する定めを周知するように努めなければなりません。
13.法の実効性の確保
① 紛争解決援助、調停制度(育介法第52 条の4、第52 条の5、第52 条の6)育児•介護休 法に定める事項についての紛争に関し、紛争の当事者である
労働者、事 主の双方又は一方からその解決について援助を求められた場合、都道府県労働局長による解決援助及び両立支援調停会議による調停制度があります。
② 企 名公表制度(育介法第56 条の2)
育児•介護休 法の規定に違反している事 主に対して、厚生労働大臣が法違反の是正についての勧告をした場合に、勧告に従わないときは、その旨を公表できることとされています。
③ 過料(育介法第66 条)
厚生労働大臣及びその委任を受けた都道府県労働局長は、同法の施行に関し必要があると認めるときは、事 主に対して報告を求めることができることとされていますが、この報告の求めに対して、報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、20 万円以下の過料に処することとされています。
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ⅩⅢ 育児休 、介護休 等
育児・介護休業法改正の動き
令和3年の第204回通常国会に、育児•介護休 法等の改正法案が提出されました。この改正法案は、出産•育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため、子の出生直後の時期における柔軟な育児休 の枠組みの創設し、事 主に育児休 を取得しやすい雇用環境整備及び労働者に対する個別の周知•意向確認の措置の義務付け、これらに関連して雇用保険の育児休 給付の改正を行うものです。改正案では、有期雇用労働者の育児休 及び介護休 の取得要件のうち「事 主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」であることという要件を廃止します。ただし、労使協定を締結した場合には、事 主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することを可能とします。この改正部分の施行期日は2022(令和4)年4月1日が予定されています。
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ⅩⅣ 労働契約の終了•更新
1
1.法律上認められない解雇があります
法律で、以下のような解雇は禁止されています。
•労働者の国籍、信条などを理由とする解雇(労基法第3条)
•労働者が 務上災害で療養中の期間とその後 30 日間にする解雇、女性労働者が産前産後休 中の期間とその後30 日間にする解雇(労基法第19 条1項)
•不当労働行為にあたる解雇(労働組合法第7条第1号、第4号)
•性別を理由とする解雇(均等法第6条第4号)
•女性労働者の結婚•妊娠•産前産後休 を申し出たこと、取得したことを理由とする解雇(均等法第9条第2項及び第3項)
•育児•介護休 を申し出たこと、取得したことを理由とする解雇(育介法第 10
条、第16 条)
•パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントについての相談を行ったことや、雇用管理上の措置に協力して事実を述べたことを理由とする解雇(労働施策総合推進法第 30 条の2第2項、均等法第 11 条第
2項•第11 条の3第2項、育介法第25 条第2項)
•公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇(公益通報者保護法第3条)
2.解雇は自由にできるわけではありません
上記に当てはまらない解雇の場合でも、解雇は自由にできるわけではありません。以下の点に注意が必要です。
(1)合理的な理由のない解雇は無効(労xx第16条及び第17条)
① 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効です。
特に、会社の経営状態が悪くなり人員整理をする場合、判例において次ページの4要件が満たされていることが必要とされています。
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4
労働契約の終了・更新
ⅩⅣ 労働契約の終了•更新
①整理解雇の必要性
会社の維持•存続を図るために、整理解雇が必要かつ最も有効な方法であること。
②解雇回避の努力
新規採用の中止、希望退職の募集、一時帰休の実施など解雇回避のために努力をしたこと。
③整理基準と人選の合理性
整理解雇の対象者を決める基準が合理的かつxxで、その運用も合理的であること。
➃労働者との協議
解雇の必要性や規模•方法•整理基準などについて十分説明し納得してもらう努力をしたこと。
② 期間の定めのある労働契約の場合は、やむを得ない事由がない限り、原則として契約期間中に解雇することはできません(労xx第17条第1項)。
(2)解雇予告(労基法第20条及び第21条)
労働者を解雇する場合には、原則として30日以上前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。試用期間中であっても、14日を超えて雇用した場合には、この手続きが必要です。
なお、次の場合は、解雇予告の対象から除外されます。
•雇用期間が引き続いて1か月を超えない日雇いの労働者
•雇用期間が2か月以内に定められ、かつ働いた期間がその期間を超えていない労働者
•雇用期間が4か月以内に定められた季節的 務で働き、かつ働いた期間が所定の期間(契約期間)を超えていない労働者
•試用期間中で、かつ働き始めて14日以内の労働
(3)解雇理由証明書(労基法第22条)
労働者が、使用期間、 務の種類、その事 における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合は、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。
また、証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはなりません。
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ⅩⅣ 労働契約の終了•更新
3.雇止め法理
(1)雇止め法理(労働契約法第19条1号、2号)
有期労働契約は、有期労働契約の期間満了時に、新たな契約を結び直さなければ、そこで労働契約は解消されることになります。使用者が契約更新を拒否することを「雇止め」と呼んでいますが、有期雇用労働者の雇用を保護する観点から、一定の制限が設けられています。
下記の1~3の条件を満たす場合には、雇止めは認められず、それまでの労働条件と同一の条件の労働条件が締結されたこととされます。
1 以下の①または②のいずれかにあたる。
① 過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
② 労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に、その有期労働契約が更新されるものと期待されることについて合理的な理由があると認められるもの
2 以下の①または②のいずれかにあたる。
① 労働者が契約満了日までに契約更新の申込みをした
② 労働者が契約期間満了後、遅滞なく有期労働契約締結の申込みをした
3 使用者が労働者の申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないこと。
雇止めに関する裁判例の傾向は、下表のとおりです。
(「有期労働契約の反復更新に関する調査研究会報告」(平成12年9月)を参考にしたものです。厚生労働省ホームページ xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxx0/xxxxx/00000000_xxxxx/00_x/00000000_00_x.xxxx参照)
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ⅩⅣ 労働契約の終了•更新
判断要素 | 具体的な内容 |
業務の客観的内容 | 性・臨時性、業務内容についての正社員との同一性の有無等) |
契約上の地位の性格 | 等は地位の臨時性が認められる。) |
当事者の主観的態様 | (採用に際しての雇用契約の期間や、更新ないし継続雇用の見込み等についての雇主側からの説明等) |
更新の手続・実態 | 時期・方法、更新の可否の判断方法等) |
他の労働者の更新状況 | |
その他 |
契約関係の状況 | 事案の特徴 | 雇止めの可否 |
1 実質的に無期契約と異ならないとも、雇用継続への合理的な期待があるとも認められないもの (以下の2~4以外の者) | れるものがあるほか、契約上の地位が臨時的なものが多い。 ることを明確に認識しているものが多い。 | 原則どおり契約期間の満了によって当然に契約関係が終了する。 |
ているものが多い。 | ||
ついて過去に雇止めの例があるものが多い。 | ||
2 | 業務内容が恒常的、更新手続 | ほとんどの事案で雇止めは認 |
期間の定めのない契約と実質 | が形式的であるものが多い。 | められていない。 |
的に異ならない状態に至って | 雇用継続を期待させる使用者 | |
いると認められたもの | の言動がみられるもの、同様 | |
の地位にある労働者に雇止め | ||
の例がほとんどないものが多 | ||
い。 | ||
3 | 更新回数は多いが、業務内容 | 経済的事情による雇止めにつ |
雇用継続への合理的な期待は | が正社員と同一でないものも | いて、正社員の整理解雇とは |
認められる契約であるとさ | 多く、同種の労働者に対する | 判断基準が異なるとの理由 |
れ、その理由として相当程度 | 雇止めの例もある。 | で、当該雇止めを認めた事案 |
の反復更新の実態が挙げられ | がかなりみられる。 | |
ているもの | ||
4 | 更新回数は概して少なく、契 | 当該契約に特殊な事情等の存 |
雇用継続への合理的な期待 | 約締結の経緯等が特殊な事案 | 在を理由として雇止めを認め |
が、当初の契約締結時等から | が多い。 | ない事案が多い。 |
生じていると認められる契約 | ||
であるとされたもの |
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ⅩⅣ 労働契約の終了•更新
(2)雇止めの予告等
雇止めをめぐるトラブルの防止や解決を図り、有期労働契約の適正な運用を確保するため、次のような定めがあります。
① 雇止めの予告(基準1条)
事 主は、契約締結時に、その契約を更新する又は更新する場合がある旨明示していた有期労働契約を更新しない場合には、少なくとも契約期間が満了する日の30日前に、その予告をしなければなりません。
対象となる有期労働契約
次のいずれかに該当する場合に予告義務が生じます。
•労働契約を3回以上更新している場合
•1年以下の契約期間の労働契約が更新又は反復更新され、最初に労働契約を締結してから継続して通算1年を超える場合
•1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合
② 雇止め理由の明示(基準2条)
事 主は、雇止めの予告をする場合に労働者が雇止めの理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければなりません。また、雇止めの後に労働者が請求したときも同様です。
4.有期労働契約から無期労働契約への転換(労xx第18条)
有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換させなければなりません。
なお、原則として、有期労働契約とその次の有期労働契約の間に6か月以上の空白期間(クーリング期間)があるときは、前の契約期間を通算しません。
また、別段の定めのない限り、無期転換後の労働条件は従前と同一の労働条件となります。
※制度の詳細などについては、厚生労働省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト(xxxxx://xxxx.xxxx.xx.xx)」をご覧ください。
(1)無期転換の申込みができる場合
有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合、その契約期間の初日から末日までの間に、無期転換の申込みをすることができます。
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ⅩⅣ 労働契約の終了•更新
【契約期間が1年の場合の例】
5年
↑更新
↑締結
1年 1年
①申込み
↑更新
↑更新
↑更新
↑更新
1年 1年 1年 1年
↑②転換
③無期労働契約
通算 5 年を超えて契約更新した労働者が、その契約期間中に無期転換の申込みをしなかったときは、次の更新以降でも無期転換の申込みができます。
↑更新
▲
1年 1年
↑②転換
①申込み
③無期労働契約
【契約期間が3年の場合の例】
5年
①申込み
↑更新
↑締結
3年
3年
↑②転換
③無期労働契約
(2)通算契約期間の計算について(クーリングの考え方)
空白期間の前はカウントに含めず
1年 1年 1年
5年
1年 1年 1年 1年 1年 1年
申込み
可能
↑更新
↑更新
↑更新
↑更新
↑更新
↑更新
↑更新
↑締結
6か月以上の空白期間
(3)無期転換ルールの特例について
以下の(1)、(2)に該当する労働者については、事 主が「雇用管理措置に関する計画」を作成し、認定を受けた場合、無期転換申込権は発生しません。
①高度専門職
1年間当たりの賃金の額に換算した額が、1,075万円以上で、高度な専門的知識等を有し、5年を超える一定の期間内に完了する 務に従事する有期雇用労働者
②継続雇用の高齢者
定年に達した後、引き続いて雇用される有期雇用労働者
※ 計画の認定申請は、厚生労働省東京労働局労働基準部監督課で受け付けています(管轄の労働基準監督署を経由して申請することも可能です)。
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ⅩⅣ 労働契約の終了•更新
制度の詳細や計画の提出様式は、厚生労働省「高度専門職•継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について」をご覧ください。 xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxx/00-Xxxxxxxxxxxxx-00000000-Xxxxxxxxxxxxxxxx/ 0000075676.pdf
(4)大学等及び研究開発法人の研究者、教員等の特例
大学等及び研究開発法人の研究者、教員等については、無期転換申込権発生までの期間が10年とされています。
制度の詳細については、厚生労働省•文部科学省「大学等及び研究開発法人の研究者、教員等に対する労働契約法の特例について」をご覧ください。 xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxx/00-Xxxxxxxxxxxxx-00000000-Xxxxxxxxxxxxxxxx/ 0000043387.pdf
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ⅩⅣ 労働契約の終了•更新
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ⅩⅣ 労働契約の終了•更新
(5)無期転換申込みをした場合の効果
①申込み時点で契約は成立
有効に無期転換申込みをした場合、その時点で、有期労働契約期間満了日の翌日から労務提供がされる無期労働契約が成立します。たとえば、3月末日までの有期労働契約で、3月15日に申込みをした場合、4月からの無期労働契約が、3月15日の時点で成立していることになります。
したがって、申込みをしたにもかかわらず、契約期間満了日に契約関係を終了することは、無期労働契約を解約(解雇)することを意味します。そのため、使用者側から有効に契約を終了するためには、客観的に合理的な理由と社会通念上相当であることや、解雇予告(労働基準法20条)が必要となります。
②労働条件は、直前の有期労働契約と同一
申込みによって成立する無期労働契約の給与や待遇等の労働条件は、労働協約•就 規則•個々の労働契約で別段の定めがある部分を除き、直前の有期労働契約と同一の条件となります。必ずしも正社員と全く同じになるわけではありません。
ただし、無期転換に当たり、職務の内容などが変更されないにもかかわらず、無期転換後の労働条件を低下させることは、無期転換を円滑に進める観点から望ましいものではありません。
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ⅩⅤ 労働保険(雇用保険•労災保険)
1.雇用保険
(1)雇用保険の適用要件
雇用保険は、原則的として労働者を一人でも雇用する事 に適用されます。次の2つの要件を満たす場合には、パートタイム•有期雇用労働者についても雇用保険の被保険者になります。
雇用保険の適用基準
●1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること
● 31 日以上引き続き雇用されることが見込まれること
平成 29 年1月1日以降は、65 歳以降に新たに雇い入れられる者についても、上記の要件を満たす場合には、高年齢被保険者として雇用保険の被保険者になっています(保険料の徴収は平成 31 年度分(令和2年3月分)まで免除されていましたが、令和2年4月分から徴収対象になりました。)。
(2)適用区分
65 歳未満 | 65 歳以上 |
一般被保険者 | 高年齢被保険者 |
(3)雇用保険料率
•一般の事 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19/1000(事 主負担 6/1000、労働者負担 3/1000)
•農林水産•清酒製造事 ・・・11/1000(事 主負担 7/1000、労働者負担 4/1000)
•建設の事 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/1000(事 主負担 8/1000、労働者負担 4/1000)
(令和3年度概算保険料の計算に使用)
(4)失業給付を受けられる日数(基本手当の所定給付日数)
① 一般の離職者(定年•自己都合•懲戒解雇等による離職)
被保険者であった期間 | 1年以上 10 年未満 | 10 年以上 20 年未満 | 20 年以上 |
全年齢共通 | 90 日 | 120 日 | 150 日 |
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15
労働保険(雇用保険・労災保険)
ⅩⅤ 労働保険(雇用保険•労災保険)
② 特定受給資格者(倒産、解雇等による離職)(※1)及び特定理由離職者(※2)
被保険者であった 期間 離職時の年齢 | 1 年未満 | 1 年以上 5年未満 | 5年以上 10 年未満 | 10 年以上 20 年未満 | 20 年以上 |
30 歳未満 | 90 日 | 90 日 | 120 日 | 180 日 | - |
30 歳以上 35 歳未満 | 120日(90 日) ※3 | 180 日 | 210 日 | 240 日 | |
35 歳以上 45 歳未満 | 150日(90 日) ※3 | 240 日 | 270 日 | ||
45 歳以上 60 歳未満 | 180 日 | 240 日 | 270 日 | 330 日 | |
60 歳以上 65 歳未満 | 150 日 | 180 日 | 210 日 | 240 日 |
※1「倒産、解雇等による離職者」(特定受給資格者)にあたるかどうかの判断は、ハローワークが行います。
※2 期間の定めのある労働契約の時期が満了し、かつ当該労働契約の更新がないことにより離職した者(更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立しなかった場合に限定)について該当する場合があります。該当するかどうかの判断はハローワークが行います。
※3( )内は受給資格に係る離職日が平成 29 年3月 31 日以前の場合の日数。
③ 障害者、高年齢者(65 歳以上で離職)は別に定められています。
(5)給付を受けるための雇用保険加入期間
離職日以前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上または80時間以上ある月 が通算12か月以上あり、かつ、雇用保険加入期間が通算12か月以上あることです。被保険者期間は、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある期間を1か月
として計算しますが、令和2年8月1日以降に離職した者については、前述の条件を満たさない場合、補完的に賃金支払いの基礎となった時間が 80 時間以上であるものを1か月として計算することとされました(雇用保険法第13~14 条)。
倒産•解雇等により離職した場合は、離職日以前の1年間に賃金支払基礎日数 11日以上または80時間以上の月が6か月以上あることです(労働契約が更新されなかったために離職した有期契約労働者についても、こちらに該当する場合があります。)。
(6)基本手当日額
雇用保険で受給できる1日あたりの金額を「基本手当日額」といいます。この「基本手当日額」は原則として離職した日の直前6か月に毎月きまって支払われていた賃金(賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます。)のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。
基本手当日額の上限値
(令和2年 8 月1日現在 )
30 歳未満 | 6,845 円 |
30 歳以上 45 歳未満 | 7,605 円 |
45 歳以上 60 歳未満 | 8,370 円 |
60 歳以上 65 歳未満 | 7,186 円 |
基本手当日額は、年齢区分ごとにその上限値が定められています。
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ⅩⅤ 労働保険(雇用保険•労災保険)
2.労災保険
労災保険とは労働者が 務上の災害や通勤による災害をうけた場合に被災労働者や遺族を保護するために必要な保険給付を行うものです。この労災保険と雇用保険をあわせて労働保険といいます。一般的にはこの二つの保険にかかる保険料の申告•納付等は一括しておこなわれています。
労災保険は、契約社員にも適用されます。
務災害に係る保険給付の種類としては、① 療養補償給付、② 休 補償給付、
③ 障害補償給付、➃ 遺族補償給付、⑤ 葬祭料、⑥ 傷病補償年金、⑦ 介護補償給付があります。 ※ 労災保険料率 全額事 主負担 2.5/1000 ~ 88/1000
(種等により異なります。最終改定は平成 30 年4月1日で、令和3年度もこれを維持)
詳しくは、東京労働局労働保険徴収部 電話 03(3512)1627
または、労働基準監督署(労災保険)、ハローワーク(雇用保険)へお問い合わせ下さい。(「相談窓口案内」のページ参照)
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ⅩⅥ 社会保険(健康保険•厚生年金保険)
1.社会保険の適用事業所
全ての法人事 所と、農林水産 など一定の 種を除き常時5人以上の労働者を雇用する個人事 所は強制適用事 所となり、原則としてそこで働く労働者は、被保険者となります。
健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所
•全ての法人の事 所
•製造、土木建築、鉱、電気ガス、運送、貨物積卸し、清掃、物品販売 、金融保険 、保管賃貸 、媒介斡旋 、集金案内広告 、教育研究調査 、医療保健事 、通信報道 、社会福祉事 を行い、常時5人以上の従 員を使用する事 所
2.被保険者の範囲
パートタイム労働者にかかる社会保険の被保険者資格の取得基準は、以下のとおりです。
被保険者資格取得の基準
「1週の所定労働時間」及び「1月の所定労働日数」が、同一の事 所に使用される通常の労働者の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上(以下「4分の3基準」という。)であること。
また、上記の4分の3基準を満たさない場合であっても、以下の①から⑤までの5つの要件(以下、「5要件」という。)すべてを満たすパートタイム労働者については、社会保険の被保険者となります。
① 1週の所定労働時間が、20時間以上であること。
② 雇用期間が継続して1年以上見込まれること。
③ 月額賃金が8.8万円以上であること。
➃ 学生でないこと。
⑤ 常時501人以上(※)の被保険者を使用する企(特定適用事 所)に勤めていること。
※同一事 主の適用事 所の厚生年金保険の被保険者数の合計が、1年で6か月以上、500人を超えることが見込まれる場合を指します。
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社会保険(健康保険・厚生年金保険)
ⅩⅥ 社会保険(健康保険•厚生年金保険)
また、被保険者数が500人以下の事 所であっても、(ア)労使合意に基づき申出をする法人•個人の事 所、(イ)地方公共団体に属する事 所については、上記①から➃までを満たせば、健康保険•厚生年金保険の被保険者となります。
なお、被保険者が産前産後休、育児休 を取得する場合は、年金事務所に申請することで、本人分•事 主分共に休 中の社会保険料が免除されます。
なお、被保険者の範囲は今後、段階的に拡大される予定です。すなわち、多様な就労を年金制度に反映するため、被用者保険の適用拡大が令和4年10月に実施されます。
具体的には、パートタイム労働者を被用者保険の適用対象とすべき事 所の企規模要件(現行、従 員数500人超)を段階的に引き下げ、令和4年10月に 100人超規模、令和6年10月に50人超規模とします。賃金要件(月額 8.8 万円以上)、労働時間要件(週労働時間20時間以上)、学生除外要件については現行のままとし、勤務期間要件(現行、1年以上)については実務上の取扱いの現状も踏まえて撤廃し、フルタイムの被保険者と同様の2か月超の要件を適用することとします。さらに、強制適用の対象となる5人以上の個人事 所の適用 種に、弁
護士、税理士等の士 が追加されます。
短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大の概要
働きたい人が働きやすい環境を整えるとともに、短時間労働者について、年金等の保障を厚くする観点から、被用者保険(年金・医療)の適用拡大を進めていくことが重要。
① (2016年10月~)500人超の企業で、月収8.8万円以上等の要件を満たす短時間労働者に適用拡大。
② (2017年4月~)500人以下の企業で、労使の合意に基づき、企業単位で、短時間労働者への適用拡大を可能とする。(国・地方公
共団体は、規模にかかわらず適用とする)
③ 今回の改正では、50人超規模の企業まで適用範囲を拡大。(500人超(現行)→100人超(2022年10月)→50人超(2024年10月))
(適用拡大前)
週30時間
以上
① 2016年10月~
(1) 週労働時間20時間以上
(2) 月額賃金8.8万円以上(年収換算で約106万円以上)
(所定労働時間や所定内賃金で判断し、残業時間(代)等を含まない)
(3) 勤務期間1年以上見込み
(4) 学生は適用除外
(5) 従業員500人超の企業等
(適用拡大前の基準で適用対象となる労働者の数で算定)
② 2017年4月~
500人以下の企業等について、
・民間企業は、労使合意に基づき、適用拡大を可能に
・国・地方公共団体は、適用
③ 今回の改正
(3) 勤務期間1年以上見込み
→ 実務上の取扱いの現状も踏まえて撤廃
(フルタイムの被保険者と同様の2ヶ月超の要件を適用)
※ 2022年10月施行
(5) 従業員 500人超の企業等
→ 50人超規模の企業まで適用範囲を拡大
(2022年10月)100人超規模の企業まで適用
(2024年10月)50人超規模の企業まで適用
<被用者保険の適用拡大のイメージ>
※ その他 の要件は現状維持
(
週 30時間
の所定労働時
間 20時間
)
➁ 労使合意に基づく
任意の適用
適用拡大以前からの被用者保険適用対象
(義務的適用)
③ 50人超規模の企業まで適用範囲を拡大
(対象者数約65万人と推計)
➀ 2016年10月からの 適用拡大の対象(約46万人)
(義務的適用)
※ 人数は2019年11月末時点
※ 適用拡大前の基準で適用対象となる労働者の数で算定
21
(従業員数)
引用:厚生労働省ホームページ
50人
500人
(xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxx/xxxxxxxxxxxxxxx/xxxxx/0000000000_00000.xxxx)
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ⅩⅥ 社会保険(健康保険•厚生年金保険)
3.「4分の3基準」を満たさない場合
パートタイム労働者が社会保険の被保険者とならず、かつその配偶者が被保険者となっている場合、原則として、労働者の年収が130万円未満であれば、健康保険は被扶養者扱い、国民年金は第3号被保険者(本人負担なし)となります。
年収が130万円以上であれば、国民健康保険の被保険者となり、かつ20歳以上 60歳未満であれば国民年金の第1号被保険者になります。
社会保険の適用要件(パートタイム労働者の配偶者が雇用されている場合)
資格要件 | 所定労働時間 | 4分の3基準を満たす者又は 5要件全てを満たす者 | 4分の3基準満たさない者であり、かつ5要件を満たさない者 | ||
年 収 | 原則として年収が 130 万円[180 万円 ( 注1)]未満 | 原則として年収が 130 万円 [180 万円(注 1)]以上 | |||
適 用 | 医療保険 | 健康保険等被用者保険の被保険者 | (家族が健康保険等被用者保険に加入している場合)健康保険等被用者保険の被扶養者 | (家族が健康保険等被用者保険に加入していない場合)国民健康保険の被保険者 | 国民健康保険の被保険者 |
年 x | xx年金保険等被用者年金保険の被保険者 (国民年金の第2号被保険者)(注2) | (配偶者が厚生年金保険等被用者年金保険の被保険者の場合) 厚生年金保険等被用者年金保険の被扶養配偶者(国民年金の第3号被保険者)(注2) | (配偶者が厚生年金保険等被用者年金保険の被保険者でない場合)国民年金の第1号被保険者(注2) | 国民年金の第 1号被保険者 (注2) |
(注1)認定対象者が 60 歳以上の者である場合(医療保険のみ)、または、おおむね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合。
(注2)対象となるのは、第1号被保険者が20歳以上60歳未満、第2号被保険者が70歳未満(厚生年金の場合)、第3号被保険者が20歳以上60歳未満の者です。
※ 健康保険料[全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)](令和2年9月分~)
標準報酬月額の 9.87%(労使折半)[介護保険第2号被保険者(40 歳以上 65 歳未満の方)は、介護保険料率(1.79%)が加わり、11.66% となります。]
月額
(xxx)
※ 厚生年金保険料(令和2年9月分~)
保険料月額(一般被保険者) | 標準報酬月額の 18.300%(労使折半) |
賞与に係る保険料(一般被保険者) | 標準賞与額の 18.300%(労使折半) |
詳しくは、最寄りの年金事務所、加入している健康保険組合、
全国健康保険協会(協会けんぽ)東京支部(00-0000-0000)へお問い合わせください。
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ⅩⅦ 税金
1.パートタイム・有期雇用労働者と税金
通常、パートタイム•有期雇用労働者の収入は給与所得となります。そのため、一定の金額を超える収入があると、所得税と住民税がかかります。
(1)所得税:年収が103万円を超えると、超えた額に対して所得税が課税されます。
(2)住民税:年収が100万円を超えると、超えた額に応じて住民税(所得割)が課税されます。住民税(均等割)については、非課税の範囲が地域によって異なりますので、お住まいの区市町村へお問合せください。
交通機関等を利用する者の通勤手当は月額15万円まで非課税扱いとなり、社会保険料(全額)や生命保険料•損害保険料(一定額まで)は所得から控除できます。
2.配偶者控除と配偶者特別控除
(1)配偶者控除:労働者の年収が103万円以下のとき、配偶者の所得から配偶者控除(所得税38万円、住民税33万円)が受けられます。
(2)配偶者特別控除:労働者の年収が103万円を超えると配偶者控除は受けられなくなりますが、家計全体としての税負担が急激に増すことのないように配偶者特別控除が設けられています。この控除が受けられるのは、労働者の年収が103万円超201.6万円未満の場合です。控除額は、年収に応じて調整されるもので、一律ではありません。
※なお、配偶者の年間の合計所得金額が1,000万円を超える(その年収が給与収入のみの方の場合は、年収で1,195万円を超える)場合は、配偶者控除、配偶者特別控除とも受けることができません。
パートタイム労働者の年収と税金
パートタイム労働者の年収額 | 本人に税金がかかるかどうか | 配偶者の所得から控除が 受けられるか(所得税•住民税)※ | ||
所得税 | 住民税(所得割) | 配偶者控除 | 配偶者特別控除 | |
100 万円以下 | ×かからない | ×かからない | ○受けられる | ×受られない |
100 万円を超えて 103 万円以下 | ×かからない | ○かかる | ○受けられる | ×受られない |
103 万円を超えて 201.6 万円未満 | ○かかる | ○かかる | ×受られない | ○受けられる |
201.6 万円以上 | ○かかる | ○かかる | ×受られない | ×受られない |
※ただし、配偶者が適用を受けることのできる控除は、その配偶者の年間の合計所得金額が 1,000 万円
(収入が給与等のみである場合は、その収入金額が 1,220 万円)以下の場合に限られます。
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税金
ⅩⅦ 税金
パートタイム労働者の年収と配偶者控除•配偶者特別控除の額
制度の種類 | パートタイム労働者の給与年収 | 配偶者の給与年収 | ||
1,095 万円以下 | 1,095 万円超 1,145 万円以下 | 1,145 万円超 | ||
1,195 万円以下 | ||||
配偶者控除 (A) | ~ 103 万円以下 | 38 万円 | 26 万円 | 13 万円 |
配偶者特別控除 (B) | 103 万円超~ 150 万円以下 | 38 万円 | 26 万円 | 13 万円 |
150 万円超~ 155 万円以下 | 36 万円 | 24 万円 | 12 万円 | |
155 万円超~ 160 万円以下 | 31 万円 | 21 万円 | 11 万円 | |
160 万円超~ 166.8 万円未満 | 26 万円 | 18 万円 | 9 万円 | |
166.8 万円以上~ 175.2 万円未満 | 21 万円 | 14 万円 | 7 万円 | |
175.2 万円以上~ 183.2 万円未満 | 16 万円 | 11 万円 | 6 万円 | |
183.2 万円以上~ 190.4 万円未満 | 11 万円 | 8 万円 | 4 万円 | |
190.4 万円以上~ 197.2 万円未満 | 6 万円 | 4 万円 | 2 万円 | |
197.2 万円以上~ 201.6 万円未満 | 3 万円 | 2 万円 | 1 万円 |
※令和2年分以降の所得税について適用されます。
子育て世帯等に該当する場合は、上記の表の下線部の金額に15 万円を加算します。
(参考)税制改正による配偶者控除•配偶者特別控除の考え方(所得税の場合)
配偶者特別控除
(B)
配偶者控除
(38 万円)
(A)
配偶者の所得控除額
103 万円 150 万円 201.6 万円パートタイム労働者本人の給与年収額
(参照:厚生労働省発行「パートタイム・有期雇用労働法のあらまし」より)
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ⅩⅧ 労働組合
1.契約社員にも、労働組合を結成する権利や、労働組合に加入する権利があります
契約社員も正社員と同様、労働組合をつくること、労働組合に加入すること、労働組合として会社と団体交渉(労働組合と会社との話し合い)をすること、要求内容を実現するためにストライキなどを行う権利が憲法で保障されています
(憲法第28条)。
2. 労働組合と組合員の権利は法律で保護されています
労働組合には、使用者と対等に交渉する権利があります。労働組合法では、使用者が正当な理由もないのに、労働組合との団体交渉を拒否する行為を不当労働行為にあたるとして禁止しています(労働組合法第7条2号)。また、使用者には、労働組合の代表者と形式的に交渉するだけではなく、誠意を持って団体交渉に当たることが求められます。
また、労働組合員であること、労働組合に加入したこと、労働組合を結成しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたことを理由に、使用者が、その労働者を解雇したり、賃金や賞与などを他の人よりも少なくしたりするというような、不利益な取扱いをすることは、不当労働行為として禁止されています(労働組合法第7条1号)。
3.どこに相談するか
労働問題に直面したときに、労働者が個人的に雇い主と交渉する正社員が多数を占める職場においては、異なった労働条件で働く契約社員の場合、組合に加入できず、たとえ加入しても労働条件の交渉も難しいと思われるかもしれません。しかし、契約社員も同じ会社で働く労働者なのですから、まずは、会社にある組合に相談してみるのもよいでしょう。最近は、契約社員やパートタイム労働者などの正社員以外の労働者を組織化する労働組合も増えているようです。
また、ローカルセンター(労働組合の地域的組織)には非xx労働者のための労働相談の窓口がありますし、個人でも加入できる労働組合(コミュニティユニオン、地域合同労組、一般労組など)もあります。
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18
労働組合
相談窓口案内
相談窓口案内
労働基準関係法令に基づく監督、指導、許認可などの事務を行っています。
署 名 | 所在地 | 電話番号 |
x x | 文京区後楽 1-9-20 | 03(5803)7381 |
x x | 台東区池之端 1-2-22 | 03(6872)1230 |
x x | 港区芝 5-35-2 | 03(3452)5473 |
品 川 | xxxxxx 0-00-00 | 03(3443)5742 |
x x | xxxxx 0-00-0 | 03(3732)0174 |
x x | xxxxx 0-0-0 | 03(3780)6527 |
新 宿 | xxxxxx 0-0-0 xxxxxxxx 0・0 x | 03(3361)3949 |
池 袋 | xxxxx 0-00-00 | 03(3971)1257 |
王 子 | 北区xx 2-8-5 | 03(6679)0183 |
署 名 | 所在地 | 電話番号 |
xx | xxxxxxx 0-00 | 03(3882)1188 |
向島 | xxxxxx 0-00-00 | 03(5630)1031 |
亀戸 | xxxxx 0-00-0 | 03(3637)8130 |
江戸川 | xxxxxx 0-0-00 | 03(6681)8212 |
八王子 | xxxxxxx 0-0-00 | 042(680)8752 |
立川 | xxxxx 0-0 | 042(523)4472 |
青梅 | xxxxxx 0-0-0 | 0428(28)0058 |
三鷹 | xxxxxxx 0-0-0 | 0422(67)0651 |
町田 | xxxxx 0-00-00 | 042(718)8610 |
x x 原 総合事務所 | xxx村父島字東町 152 | 04998(2)2102 |
職 紹介、雇用保険の加入や雇用保険の給付手続きなどを行っています。詳しくは事務所の所在地を管轄するハローワークにお問合わせください。
所 | 名 | 所在地 | 電話番号 | 管轄区域 |
飯田橋 | x 000-0000 xxxxx 0-0-00 | 03(3812)8609 | xxx区、中央区、文京区、島しょ | |
x | x | x 000-0000 xxxxxx 0-0-0 | 03(3847)8609 | 台東区 |
品 | 川 | 〒 000-0000 xxx 0-00-0 | 03(5419)8609 | 港区、品川区 |
x | x | x 000-0000 xxxxxx 0-00-0 | 03(5493)8609 | xx区 |
渋 | 谷 | x 000-0000 xxxxx 0-0-0 | 03(3476)8609 | xxx、xxxx、xxx |
x | x | 〔xxxxxx〕 x 000-0000 xxxxxxx 0-00-00 | 03(3200)8609 | 新宿区、xx区、杉並区 |
〔西新宿庁舎〕 x 000-0000 xxxxxx 0-0-0 xxxxxxxxx 00 x | 03(5325)9580 | |||
池 | 袋 | 〔池袋庁舎〕 x 000-0000 xxxxxx 0-0-00 | 03(3987)8609 | xxx、xxx、xxx |
〔xxxxxxxx〕 x 000-0000 xxxxxx 0-0-0 xxxxxx 00 0 x | 03(5958)8609 |
- 65 -
1
労働基準監督署
2
公共職業安定所(ハローワーク)
相談窓口案内
所 名 | 所在地 | 電話番号 | 管轄区域 |
王 子 | 〒 000-0000 xxxx 0-0-00 | 03(5390)8609 | 北区 |
x x | x 000-0000 xxxxx 0-0-0 | 03(3870)8609 | xx区、xx区 |
墨 田 | 〒 000-0000 xxxxxx 0-00-00 | 03(5669)8609 | 墨田区、葛飾区 |
木 場 | x 000-0000 xxxxx 0-00-00 | 03(3643)8609 | 江戸川区、xx区 |
八王子 | x 000-0000 xxxxxxx 0-00-0 | 042(648)8609 | 八王子市、日野市 |
立 川 | x 000-0000 xxxxx 0-0 | 042(525)8609 | 立川市、国立市、小金井市、昭島市、xx市、東村山市、国分寺市、東大xx、武蔵xx市 |
青 梅 | x 000-0000 xxxxxx 0-00-00 | 0428(24)8609 | 青梅市、福生市、あきる野市、羽村市、西多摩郡 |
三 鷹 | x 000-0000 xxxxxx 0-00-00 | 0422(47)8609 | 三鷹市、武蔵野市、西東京市、xx市、東久留米市 |
町 田 | x 000-0000 xxxxx 0-00-00 | 042(732)8609 | xx市 |
府 中 | x 000-0000 xxxxxx 0-0-0 | 042(336)8609 | 府中市、調布市、狛江市、多摩市、稲城市 |
雇用保険を含め雇用主に対する種々の支援の問合せ東京労働局職 安定部雇用保険課
x 000-0000 xxxxxxx 0-0-0 ☎ 03(3512)1670
パートタイム•有期雇用労働法、男女雇用機会均等法、育児•介護休 法、職場におけるパワーハラスメント等に関する相談、助言、調停に関することなどを行っています。
また、短時間雇用管理者選任•変更届の提出先もこちらです。
所名 | 所在地 | 電話番号 | 最寄駅 |
東京労働局雇用環境・均等部 | xxxxxxx 0-0-0 xxx0xxxx 00 x | 03(3512)1611 | 九段下 |
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3
東京労働局雇用環境・均等部
相談窓口案内
特に中小企•小規模事 者における働き方改革関連法の円滑な実行に向けて、労務管理の専門家による電話•メール•来所相談、xxxx等を実施しています。
所在地:新宿区西新宿1- 22 -2 新宿サンエービル1階電 話:0120(232)865
健康保険の給付や任意継続被保険者等に関する手続•問合せに応じています。
所在地:xx区xx4-10-2 xxセントラルパークサウス7階電 話:03(6853)6111
健康保険、厚生年金の加入や保険料の納付及び年金全般に関する手続き•相談•問合せに応じています。
所 名 | 所在地 | 電話番号 |
千代田 | xxxxxxx 00 | 03(3265)4381 |
x x | 中央区銀座 7-13-8 | 03(3543)1411 |
港 | 港区浜松町 1-10-14 | 03(5401)3211 |
新 宿 | xxxxxx 0-00-0 | 03(5285)8611 |
杉 並 | xxxxxxx 0-00-0 | 03(3312)1511 |
x x | xxxxx 0-0-00 | 03(3380)6111 |
x x | 台東区池之端 1-2-18 | 03(3824)2511 |
文 京 | 文京区xx 1-6-15 | 03(3945)1141 |
墨 田 | xxxxx 0-0-00 | 03(3631)3111 |
x x | xxxxx 0-00-0 | 03(3683)1231 |
江戸川 | xxxxxx 0-0-00 | 03(3652)5106 |
品 川 | xxxxx 0-0-0 | 03(3494)7831 |
x x | xxxxxx 0-00-0 | 03(3733)4141 |
x x | xxxxx 0-00-0 | 03(3462)1241 |
所 名 | 所在地 | 電話番号 |
x x | xxxxxx 0-00-0 | 03(3770)6421 |
世田谷 | xxxxxx 0-00-0 | 03(6880)3456 |
池 袋 | xxxxxx 0-00-00 | 03(3988)6011 |
北 | 北区上十条 1-1-10 | 03(3905)1011 |
板 橋 | xxxxx 0-00-0 | 03(3962)1481 |
練 馬 | xxxxxxx 0-00-00 | 03(3904)5491 |
x x | xxxxx 0-00-0 | 03(3604)0111 |
x x | xxxxxx 0-00-0 | 03(3800)9151 |
x 飾 | xxxxx 0-0-0 | 03(3695)2181 |
立 川 | xxxxx 0-00-00 | 042(523)0352 |
八王子 | xxxxxxx 0-0 | 042(626)3511 |
武蔵野 | xxxxxxxxx 0-00-00 | 0422(56)1411 |
府 中 | xxxxxx 0-00-0 | 042(361)1011 |
青 梅 | xxxxx 0-0-0 | 0428(30)3410 |
- 67 -
4
働き方改革推進支援センター(東京)
5
全国健康保険協会(協会けんぽ)東京支部
6
年金事務所
相談窓口案内
労働相談情報センターでは、労働者や事 主の方々から寄せられる労働問題全般について相談に応じています。
また、パートタイム労働者をはじめとする非xx雇用労働者について適正な雇用管理を行うため、非xx雇用アドバイザーが事 所等を巡回して、助言•普及•啓発活動を行っています。
◆電話相談(費用無料・秘密厳守)
xxxろうどう110番 | ろうどう110番 電話 0570(00)6 110 | 月~金曜 9時~ 20 時(終了時間)土曜 9時~ 17 時(終了時間) ※祝日及び 12 月 29 日~1月3日を除く。 土曜相談は祝日および 12 月 28 日~1月4日を除く。 |
◆労働相談情報センター(予約制)
事務所 | 所在地 | 電話番号 | 担当地域 | 夜間相談 | |||
労働相談情報センター (飯田橋) | xxxxxxx 0-00-0xxxxxxxxx 0X | 03(3265)6110 | xxx区、中央区、新宿区、xx区、xx区、杉並区、 島しょ | 月曜•金曜 | |||
大事 | 務 | 崎所 | xxxxx 0-00-0xxxxxxxxxxxxxxx 0X | 03(3495)6110 | 港区、品川区、xx区、xx区、世田谷区 | 火曜 | |
池事 | 務 | 袋所 | xxxxxx 0-00-0 | 03(5954)6110 | 文京区、xx区、北区、xx区、xx区、練馬区 | 木曜 | |
亀事 | 務 | 戸所 | xxxxx 0-00-0xxxxxxx 0X | 03(3637)6110 | 台東区、墨田区、xx区、xx区、葛飾区、江戸川区 | 火曜 | |
国事 | 分務 | 寺所 | xxxxxx 0-00-00 | 042(321)6110 | 立川市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、昭島市、小金井市、xx市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、東大xx、xx市、東久留米市、武蔵xx市、羽村市、あきる野市、西東京市、西多摩郡 | 月曜 | |
八事 | 王務 | 子所 | xxxxxxx 0-0-0 | 042(645)6110 | 八王子市、府中市、調布市、xx市、xx市、狛江市、 多摩市、稲城市 | 水曜 |
※1 各担当地域に応じて、各事務所が、月~金曜日の9時~17時(終了時間)まで実施しています。
(祝日及び12月29日~1月3日を除く)
※2 夜間来所相談(予約制)は、各事務所が担当曜日に20時(終了時間)まで実施しています。
※3 土曜日は、飯田橋で9時~17時(終了時間)まで実施しています。
※4 土曜日の相談は、祝日及び12月28日~1月4日は実施していません。
※5 来所相談は、予約制になります。ご相談にあたっては、会社所在地を担当する事務所をご利用ください。
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xxx労働相談情報センター
相談窓口案内
◆心の健康相談(事前予約制)
カウンセラーが、職場における心の悩みに関する相談に応じています。
事務所 | 曜日 | 相談時間 | 電話番号 |
x x 橋 | 第1~第4火曜日第1~第4水曜日 | 午後2時~5時 | 03(3265)6110 |
x x | 第1•第3水曜日第2•第4金曜日 | 03(3495)6110 | |
池 袋 | 第2•第4水曜日 | 03(5954)6110 | |
亀 戸 | 第2•第4木曜日 | 03(3637)6110 | |
x x 寺 | 第1~第4金曜日 | 042(321)6110 | |
八 王 子 | 第2•第4木曜日 | 042(645)6110 |
◆弁護士労働相談(事前予約制•無料)
労働相談情報センターでは、弁護士が労働問題にかかる高度な法律解釈や判例等の相談(裁判所で係争中の案件を除く)に応じています。1人1回限りで30分までとなります。
事務所 | 曜日 | 相談時間 | 電話番号 |
x x x | x•x•金曜日 (祝日及び年末年始は除く) | 午後2時~4時 | 03(3265)6110 |
労働相談情報センターホームページ
xxxxx://xxx.xxxxxxxx.xxxxx.xxxxx.xx.xx/xxxxxx-x/xxxxxx/xxxxx.xxxx
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~xxな採用選考のために~
xxxでは、就職の機会均等を確保するために、応募者本人の適性や能力に基づくxxな採用選考を推進しています。
詳細は、TOKYO はたらくネットをご覧ください。
令和3年3月発行 登録番号 2(214) 編集•発行/xxx 産 労働局 雇用就 部 労働環境課
TEL.03(5320)4649
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古紙パルプ配合率 70%再生紙を使用しています