詳しくはP3へ
平成27年度 厚生労働省委託事業
一般社団法人 日本人材派遣協会
平成28年3月
概要版
派遣で働くということ
トラブルがおこったら、派遣会社(派遣元)や
派遣先の責任者(※)に相談しましょう。
例えば、賃金や社会保険などの相談先は、派遣元になります。
※「就業条件明示書」(派遣元が必ず通知することになって
います。)に「派遣元責任者」と「派遣先責任者」の記載が
ありますので、確認しましょう。
詳しくはP3へ
派遣元や派遣先に相談しても解決しない場合は?
等
● 賃金や労働条件に関することや職場でいじめや嫌がらせを受けたとき
→都道府県労働局 総合労働相談コーナー
● 違法な労働者派遣が行われているとき
→都道府県労働局 需給調整事業部・課・室
● 派遣業界への様々な相談や問い合わせ
→一般社団法人日本人材派遣協会
実際に働く会社
(派遣先)
詳しくはP3へ
派遣という働き方では、実際に働く派遣先ではなく、派遣会社(派遣元)が雇用主となります。また、派遣元と派遣先が分担して責任を果たします。
派遣会社
=雇用主
雇用関係(労働契約)
(派遣元)
派遣契約
派遣元
●賃金の支払い
●社会保険や労働保険の加入
●年次有給休暇の付与
●育児休業の付与
●教育訓練 等
派遣社員
派遣先
指揮命令関係
■仕事上の指揮命令
■勤務先施設の利用
(食堂、更衣xx)
■教育訓練への配慮
派遣先が派遣会社(派遣元)との派遣契約を途中で解除しても、派遣社員と派遣会社の労働契約は引き続き有効です。
労働契約の終了にはルールがあるので、ただちに「解雇」にはなりません。
詳しくはP5へ
派遣会社は、労働契約の期間中は、雇用を継続し、他の仕事の斡旋や休業手当を支払うなどの義務があります。
派遣は、一つの派遣先で、原則3年まで(※)となっています。
※「個人単位」と「派遣先事業所単位」の期間制限(3年)があります。
派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則、3年が限度です。(派遣先が事業所の過半数労働組合などから意見を聴いた場合は、3年を超えて派遣を受け入れることが可能です。)
また、同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる「課」などを想定)に対し派遣できる期間は、3年が限度です。
なお、派遣先が期間制限に違反して派遣を受け入れた場合、
「労働契約申し込みみなし制度」の対象となります。
詳しくはP7へ
3年の期間制限がきたら?
同一の組織単位(いわゆる「課」などを想定)に継続して3年間派遣される見込みがある派遣労働者が継続して就業することを希望する場合、派遣元は以下の措置(「雇用安定措置」といいます。)を義務付けられています(1年以上3年未満の見込みの方については、努力義務となります。)。
➊派遣先へ直接雇用の依頼
❷新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
➌派遣元での(派遣労働者以外としての)無期雇用
❹その他安定した雇用の継続を図るための措置(雇用を維持したままの教育訓練、紹介予定派遣など)
3年間派遣される見込みのある派遣労働者に、雇用安定措置として➊を講じた場合で、直接雇用に至らなかった場合には、別途❷~❹の措置が求められます。
働くことを通じたキャリアの形成
全ての派遣社員は、派遣会社(派遣元)から、教育訓練やキャリアコンサルティングを受けることができます。
詳しくはP9へ
派遣は、臨時的・一時的な働き方とされていますが、その場限りの仕事と考えることなく、自分自身の希望や志向を明確にして、キャリアの方向性(キャリアプラン)を定め、知識・資格の習得や派遣先の選択等を通じて、目標を実現していきましょう。
守秘義務・個人情報保護
派遣社員は、派遣会社(派遣元)の就業規則に基づき、就業中に知り得た情報について、秘密を守る義務があります。守秘義務が課せられた情報(秘密情報)は、家族や友人などを含め、第三者に漏らすことはできません。
詳しくはP17へ
秘密情報の取扱いは、必ず会社の規定や手順に従わなければなりません。また、派遣先のパソコンを使用する場合、その取扱いに注意しましょう。
秘密情報取扱いの原則
➊情報は、会社の規定や手順に定められた範囲内で利用。私的利用は禁止。
❷情報は適正に保管する。ID、パスワードは厳重に管理。
➌情報のコピー、加工、修正、持ち出しは、許可を得て行う。
❹情報は、適正な方法で破棄。
Ⓖ個人パソコンやUSB等の記憶媒体は、原則持ち込み禁止。
職場でのパソコン取扱いの原則
➊業務に関係ないインターネットの閲覧や私用メールの送受信、掲示板・ツイッターへの書き込みなどは行わない。
❷与えられたIDやパスワードは、ルールに従って第三者に知られないように管理する。
➌送信元が不明なメールなど不審なメールは、コンピュータウィルスが入っている場合があるので、開かずに管理者に相談する。
❹許可無く、ソフトウェアをダウンロードしたり、インストールしない。
Ⓖ業務上指示のない情報のコピー、加工、印刷はしない。
❻派遣先のパソコンに、自分のパソコンや個人のUSBなど記憶媒体を、許可無く接続しない。
❼仕事中に一時席を離れるときは、他の人が見たり、使用したりしないように、パスワードで保護されたスクリーンセーバーを起動する等の対策を講じる。
個人情報を取扱う事業者は、法律により厳しい義務が課されています。派遣社員としても、就業中に個人情報に接する可能性がありますので、個人情報保護についても一定の知識をもって、普段から慎重な対応に心がける必要があります。
詳しくはP18へ
安全衛生の心得
派遣社員については、派遣会社(派遣元)が健康診断を実施する義務を負いますが、派遣社員も健康診断を受ける義務があります。
また、事業者は、常時雇用する労働者に対して、年1回ストレ
スチェックを実施することが義務化されましたので、対象となるか派遣会社に確認しましょう。 詳しくはP16へ
派遣先のオフィスや職場において健康で怪我なく働くことは、前提条件です。油断やうっかりミス、手抜きは、事故の発生につながります。派遣先の職場のルールを守りましょう。
詳しくはP14へ
また、派遣先や派遣会社の行う安全衛生教育をしっかりと受けましょう。
社会保険・労働保険の知識
詳しくはP12へ
派遣社員も社会保険や労働保険が適用されます。加入基準を確認しましょう。
社会保険制度・労働保険制度の概要
保険の種類 | 制度の概要 | 加入基準 |
労災保険 | 業務上の原因により被った病気や怪我などに対して、治療費の給付や休業補償の給付を行うもので、身体に障害が残ったり、死亡した場合には、年金や一時金を支給。 | 派遣元事業場で全面適用 |
雇用保険 | 労働者が失業したときに、給付金を支給して労働者の生活の安定を図るもの。失業した場合の求職者給付のほか、教育訓練給付や育児休業給付、介護休業給付、雇用継続給付などがある。 | ①1週間の所定労働時間が 20時間以上であること ②31日以上の雇用見込みがあること |
健康保険 (被用者保険) | 病気やけがに備えて収入に応じた保険料を徴収して、医療を受けたときに保険から病院などの医療機関に医療費を払う制度。 | ①雇用契約期間が2か月を超えること ②1日又は1週間の所定労働時間及び 1か月の所定労働日数が雇用される 事業所の正社員の3/4以上であること |
厚生年金保険 | 老年になり働けなくなったり、病気や怪我で障害が残ったり、亡くなったりした場合に、年金や一時金を支給し、働く本人や家族の生活の安定を図る制度。 |
目 次
❶派遣で働くということ
基礎知識編
❺守秘義務・個人情報保護
❶ 守秘義務の徹底 17
❷ 個人情報保護 18
➌ 職場でのパソコンの取扱い 19
参考1
派遣労働に関する相談機関についてのQ&A 20
❶ 雇用主は派遣会社 3
❷ 派遣社員の法令上の責任は
派遣元と派遣先が分担します 3
➌ 労働契約の終了にはルールがあります 4
❹ 契約の途中解除 5
❺ 派遣で禁止されていること 5
➏ 派遣で働く前 6
❼ 派遣で働くとき 6
❽ 雇用の安定とキャリアアップ措置 7
❾ 労働契約申込みみなし制度 8
Ⓓ 紹介予定派遣 8
汎用スキル編
❶社会人としてのルール
❶ 出勤・退勤のルール 23
❷ 職務中のルール 24
➌ 報告・連絡・相談 24
❷基礎的なビジネスマナー
❹ 契約についての認識 26
❷働くことを通じたキャリアの形成
❶ キャリアの形成 9
❷ キャリアコンサルティング 11
❶ あいさつ 27
❷ 身だしなみ 28
➌ 姿勢とおじぎ 28
❹ 敬語・ことばづかい 29
❺ 電話応対のマナー・来客応対のマナー 30
➏ メールの対応 32
➌社会保険・労働保険の知識
❶ 労災保険制度 12
❷ 雇用保険制度 12
➌ 健康保険制度 13
❹ 公的年金制度 13
❹安全衛生の心得
❶ 製造現場の安全確保 14
❷ 運転業務における留意点 15
➌ VDT 作業 15
❹ 日頃の健康管理と健康診断の受診 16
❺ メンタルヘルスの確保 16
就業条件等の明示の例 34
参考3
参考2
派遣で働く力を支える「4つのチカラ」
❶ 現状のチカラを知る 37
❷ 伸ばすチカラを決める 39
➌ チカラを伸ばす行動に取り組む 39
❹ 行動をふりかえる・継続する 41
❺ まとめ 42
基礎知識編
1
派遣で働くということ
1
実際に働く会社
(派遣先)
雇用主は派遣会社
派遣労働は、実際に就労する派遣先でなく、派遣元と労働契約を結ぶ働き方です。したがって、雇用主は、派遣先ではなく、派遣元の派遣会社です。
派遣会社
=雇用主
雇用関係(労働契約)
(派遣元)
派遣契約
派遣元
●賃金の支払い
●社会保険や労働保険の加入
●年次有給休暇の付与
●育児休業の付与
●教育訓練 等
派遣社員
派遣先
指揮命令関係
■仕事上の指揮命令
■勤務先施設の利用
(食堂、更衣xx)
■教育訓練への配慮 等
2
派遣元
派遣先
派遣社員の法令上の責任は派遣元と派遣先が分担します
派遣元は、派遣社員と労働契約を結ぶ主体となりますので、雇用主としての責任は主として派遣元が負うことになりますが、一部は派遣先が分担して、派遣社員に対する責任を果たします。派遣労働は雇用者と指揮命令を行う者が分離する雇用形態ですので、労働基準法や労働安全衛生法などの適用も、派遣元が主となり派遣先が一部を分担して責任を果たします。
● 雇用主は(労働契約の相手)
● 賃金を払うのは
● 社会保険や労働保険は
勤務先は ■
仕事上の指揮命令を行うのは ■
● 年次有休休暇を付与するのは
● 休業手当を支払うのは
3
労働契約の終了にはルールがあります
労働契約の終了については、労働者と使用者の合意によって労働契約を解約する「合意解約」のほか、労働者からの一方的意思表示により解約する「退職」と、使用者からの一方的意思表示により解約する「解雇」があります。「退職」と「解雇」については次のようなルールがあり、派遣社員と派遣元との間の労働契約についても適用されます。
(1)退職
期間の定めのない労働契約を締結している労働者は、2週間の予告期間をおけば、申出によりいつでも退職することができます(就業規則に退職手続が定められている場合はそれに従って退職の申出をする必要があります)。一方、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)を締結している労働者
(有期契約労働者)は、契約期間中はやむを得ない事情がない限り、途中で退職することは契約違反となり、損害賠償を求められる場合があります。
解雇が有効の場合
30日以上前に予告。また、解雇までの日数に応じた日数分の平均賃金を支払わなければならない
期間の定めのない契約と異ならない場合や、雇用継続への合理的期待が認められる場合
▼
更新の拒否(雇止め)には、客観的・合理的な理由が必要
契約期間中にやむを得ない事情がない場合
▼
使用者は有期契約労働者を途中で解雇できない
(2)解雇
労働基準法等において、業務上の傷病による休業期間及びその後30日間の解雇等、一定の場合使用者が解雇することは禁止されています。これに該当しない解雇であっても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして無効となります。
有期契約労働者については、契約期間中はやむを得ない事情がない限り、使用者は途中で解雇することはできません。また、有期労働契約の更新の拒否(雇止め)についても、実質的に期間の定めのない契約と異ならないといえる場合や、雇用継続への合理的期待が認められる場合には、解雇と同様に客観的・合理的な理由が必要です。
なお、たとえ解雇が有効であっても、使用者が解雇を行う場合、30日以上前に予告しなければなりません。 30日以上前に予告しない場合は、解雇までの日数に応じた日数分の平均賃金を支払わなければなりません。
(注)派遣元は、派遣先と締結した派遣契約の終了のみを理由として、派遣社員を解雇してはならないこととされています。
有期契約労働者
4
契約の途中解除
派遣元と派遣先が結ぶ「派遣契約」と派遣元と派遣社員が結ぶ「労働契約」は別の契約ですので、派遣契約が契約期間の途中で解除されても、労働契約は引き続き有効で、労働契約の期間中は、派遣会社が他の仕事を斡旋するか、所定の休業手当を支払う等の義務が生じます。
また、派遣社員にとっても、有期の労働契約を結んでいる場合は、やむを得ない理由がある場合を除いて、一方的な退職をすると契約違反となり、損害賠償を求められる場合があります。
派遣契約期間
途中で解除
派遣元
労働契約期間
派遣元は他の仕事を斡旋するか、所定の休業手当を支払う等が必要
派遣社員
派遣先
5
派遣で禁止されていること
(1)労働者派遣の禁止業務
建設業務、港湾運送業務、警備業務、医療関係業務(一部を除く)は派遣が禁止されています。
(2)事前面接の禁止
派遣先となる会社が、派遣社員を指名することはできません。
派遣開始前に面接を行うこと、履歴書を送付することは禁止されています(紹介予定派遣の場合や本人が希望して、派遣先として適当であるかどうかを確認するため、事業所訪問や履歴書の送付を行うことは認められています)。
(3)元の勤務先への派遣の禁止
正社員・契約社員・アルバイトなどとして前に働いていた会社では、離職後1年間は派遣社員として働くことはできません。
6
派遣で働く前
(1)マージン率や教育訓練などの確認
派遣会社のマージン(派遣料金から派遣社員に支払う賃金を差し引いたもので、福利厚生費・教育研修費を含む)率や教育研修への取組状況は情報提供することとされていますので、各派遣会社のホームページ等で確認できます。
(2)賃金見込額などの確認
派遣会社と労働契約を結ぶ前に、①賃金の見込額などの待遇に関する事項、②派遣会社の事業運営に関する事項、③労働者派遣制度の概要について説明があります。
7
派遣で働くとき
(1)労働条件、派遣料金額、就業条件の明示
労働契約を結ぶときには、派遣会社から労働条件の明示があります。
派遣就業を開始するときには、派遣料金額が明示されるとともに、この就業が派遣労働であることや派遣社員が従事する業務の内容、派遣先の名称・所在地、派遣先の派遣受入期間の制限の抵触日など派遣労働に係る就業条件等が明示されます。
(2)年次有給休暇、育児休業の取得
派遣労働には、正社員など他の働き方と同様に、労働基準法や男女雇用機会均等法等の労働関係法令の適用があります。これらの法律の責務は、派遣元と派遣先で分担しますが、年次有給休暇や育児休業の付与は、派遣会社の責務となります。
(3)期間制限
(平成27年9月30日施行の労働者派遣法改正により新たに規定された事項)
派遣先事業所単位の期間制限と派遣労働者個人単位の期間制限があります。
派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則、3年が限度です(派遣先が事業所の過半数労働組合などから意見を聴いた場合は、3年を超えて派遣を受け入れることが可能です)。
また、同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる「課」などを想定)に対し派遣できる期間は、3年が限度です。
(4)トラブル処理
派遣労働に関して何かトラブルが起こったら、派遣元と派遣先のそれぞれに相談を受ける責任者が配置されていますので、この責任者(就業条件明示書に記載されている派遣元責任者・派遣先責任者)に相談してください。
8
雇用の安定とキャリアアップ措置
(平成27年9月30日施行の労働者派遣法改正により新たに規定された事項)
(1)雇用安定措置
同一の組織単位(いわゆる「課」などを想定)に継続して3年間派遣される見込みがある派遣労働者が継続して就業することを希望する場合、派遣元は以下の措置を義務付けられています(1年以上3年未満の見込みの方については、努力義務となります)。
❶派遣先へ直接雇用の依頼
❷新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
➌派遣元での(派遣労働者以外としての)無期雇用
❹その他安定した雇用の継続を図るための措置(雇用を維持したままの教育訓練、紹介予定派遣など)
3年間派遣される見込みのある派遣労働者に、雇用安定措置として❶を講じた場合で、直接雇用に至らなかった場合には、別途❷~❹の措置が求められます。
(2)キャリアアップ措置
全ての派遣労働者は派遣元から教育訓練やキャリアコンサルティング(希望する場合)を受けることができます。特に、期間を定めないで雇用されている派遣労働者については、長期的なキャリア形成を視野に入れた教育訓練を受けることができます。
9
労働契約申込みみなし制度
派遣先が以下の違法な派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先から、派遣元との労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約が申し込まれたものとみなされます。派遣労働者が承諾をした時点で労働契約が成立します(派遣先が違法な派遣に該当することを知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかったときを除きます)。
❶労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
❷無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
➌事業所単位または個人単位の期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合
❹いわゆる偽装請負(労働者派遣法等の規定の適用を免れる目的で、請負やその他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、必要とされる事項を定めずに労働者派遣を受けること)の場合
(※)本制度は、平成24年労働者派遣改正法に基づき平成27年10月1日から施行されました。平成27年労働者派遣法改正法の施行日(平成27年9月30日)時点より前に締結された派遣契約により行われている労働者派遣については、改正前の期間制限が適用され、改正前の法律に基づく労働契約申込み義務の対象となり、労働契約申込みみなし制度の対象とはなりません。
10
紹介予定派遣
派遣会社が職業紹介事業の許可を受けている場合は、6か月以内の労働者派遣の期間を経て、直接雇用に移行する紹介予定派遣の制度を利用できます。直接雇用に結びつく可能性も高く、正社員を目指す有効な手段ですので、検討してみてください。
基礎知識編
2
働くことを通じたキャリアの形成
1
キャリアの形成
一般事務から専門事務への転換を通じたキャリアアップ支援の事例
キャリアコンサルティング等を通じ、経理事務でキャリアアップを目指していく場合。
❶第1段階として、PCxxxとヒューマン系のスキルを身に付けるための講座を受講させる。最初の就業先は、経理業務を分担して行っている、比較的大手の会社を紹介する。伝票整理等の補助的な業務から始まり、会計ソフトの操作やデータエントリー業務などを通じて、個別の経理業務を行う能力を身に付けていく。この間簿記3級の勉強を行い、資格を取得していく。
❷第2段階として、経理業務を分担せず、まとまりをもって行えるような、例えば比較的小さい非上場の会社へと派遣先を替えていく。ここで、月次、年次の決算ができるようスキルを向上させていく。これと並行して、簿記2級資格の取得を目指す。資格取得に必要であれば、提携スクールの対策講座を受講する。
➌第3段階として、上場企業のある程度高度な経理業務を行う派遣先を紹介していく。これがこなせればエキスパートである。これらの過程を通じて仕事の幅を広げ、専門性を向上させていく。
(「派遣労働におけるキャリアアップ支援事例集」より)
第1段階
第2段階
第3段階
キャリアコンサルティング
の支援
マッチングの支援
教育研修の支援
派遣会社の支援事例1
上場企業の 高度な経理業務
に就業
中小企業の経理業務を
まとまって行える業務に就業
比較的大手の経理業務を 分担している派遣先で就業
経理のエキスパート
簿記2級の資格取得
簿記3級の資格取得
PCxxx・xxxxxスキルの講習受講
派遣社員として働く場合、派遣という働き方を単にその場限りの一過性のものとして考えるのではなく、自身の職業生活全体の中で位置付け、意味付けをしていくことが重要です。自分自身の希望や志向を明確にして、キャリアの方向性(キャリアプラン)を定め、そのための知識・資格の習得や派遣先の選択等を通じて目標を実現していきます。そのためには、キャリアコンサルティングが有効な手段になります。キャリアコンサルティングによって自身のキャリアプランを明確にし、必要な知識・資格の習得や仕事の選択をしていくことが可能となります。
キャリアアップ!
派遣社員として働く当初から、自身のキャリア形成について考え、検討しておけば、専門性の向上や職務の幅の拡大などのキャリアアップにつなげていくことが可能となります。将来的に正社員を目指す場合には、直接雇用化の有効な手段である紹介予定派遣を活用する方法もありま
教育研修マッチング
キャリアコンサルティング
す。派遣会社には、「キャリアアップに資する教育訓練の
実施」、「キャリアコンサルティングの実施」、「キャリア形成を念頭に置いた派遣先の提供」が義務付けられています。派遣社員としても、派遣会社の行うこれらの支援を有効に活用し、自身の望むキャリアアップを実現していくことが求められます。
派遣会社の支援事例2 | 未経験者へのキャリアアップ支援の事例 |
❶例えば、ある求職者が全くの未経験で住宅業界に興味があるとする。グループ会社に住宅建設会社があるが、営業職ならば(多少の適性はあるが)商品知識を覚えて未経験でも派遣することができる。 ❷そのうちインテリアコ-ディネーターに興味が出てきたとすると、提携している専門学校を紹介して勉強してもらいインテリアコ-ディネーターとして就労してもらう。そして経験を積みながら今度はプランナーに転換してもらう。 ➌その後結婚等の理由で退職されても、在宅ワークに就いてもらうスキームも選択可能であるし、子育て等が終わりもう一度就労したいということであれば職場復帰してもらい、紹介予定派遣という手順でどこかに直接雇用してもらうことも可能である。 (「派遣労働におけるキャリアアップ支援事例集」より) |
派遣会社の支援事例3 | 製造派遣における「キャリアマップ」を活用した支援の事例 |
リーダーシップの養成や資格取得の支援、社員への登用などを、より計画的な教育研修やキャリアコンサルティングまで踏み込んだキャリアアップ支援制度にするため、「キャリアパス制度」として開始した。スタッフの入社後、最初はトレーニング期間があり、そこから独り立ちしていくステップがあり、スペシャリストを目指すコースや、リーダーを目指すコースへと別れていく。「キャリアパス制度」においては、働く中での選択肢を示した「キャリアマップ」を展開し、各段階での必要な要件を可視化する。そこに示された要件をクリアすることを目指せば、目標に近付いていく。 (「派遣労働におけるキャリアアップ支援事例集」より) |
2
キャリアコンサルティング
派遣会社は、雇用している派遣社員のキャリアアップを図るため、希望者に対してキャリアコンサルティングを実施する義務があります。「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業生活の設計に関する相談その他の援助を行うことをいいます。
「キャリアコンサルティング」の中心となる個別相談は、おおむね以下のような流れで実施されています。
●
●
●
●
1 自己理解
2 仕事理解
興味・適性・能力等の明確化職業経験の棚卸
労働市場、企業等に関する情報提供
3 啓発的経験
職務に求められる能力、キャリアルート等の理解
●
●
●
4 今後の職業生活設計・
目標の明確化等に係る
意思決定
キャリアプランの作成
中長期的目標及び短期的目標の設定 能力開発・教育訓練等に関する情報提供
5 職業選択・求職活動・
能力開発等の
方策の実行
方策の実行(活動)状況を把握しつつ、必要に応じてサポート
6
新たな仕事への
適応
異動、昇進、就職、転職
キャリア形成
職務経験や教育訓練の受講等を積み重ねていくことによる、段階的な職業能力の形成
キャリアコンサルティングを受けることによって、自分の適正や能力、関心などに気づき、自己理解を深めるとともに、社会や企業内にある仕事について理解し、その中から自身に合った仕事を主体的に選択できるようになることが期待されます。つまり、自分自身が希望するキャリアの道筋を実現していくための有力な手段がキャリアコンサルティングということになります。
派遣会社の提供するキャリアコンサルティングの機会を積極的に活用して自分自身の能力を開発し、やりがいのある職業生活の実現につなげていきましょう。
基礎知識編
3
社会保険・労働保険の知識
職業生活を安心して送るためには、不慮の災害や傷病、失業などに備えて、社会保険や労働保険に加入することが必要です。これらの保険制度は国や地方自治体が法律に基づいて運営しているもので、一定の要件を満たす場合には強制加入になります。加入の要件を満たしているかは、それぞれの制度によって異なりますので、自身の就業形態が保険加入の要件を満たしているか、必ず確認するようにしましょう。以下、仕事をする上で特に重要ないくつかの保険制度について、その概要を説明します。
1
労災保険制度
労災保険は、労働者が業務上の原因により被った病気や怪我などに対して、治療費の給付や休業補償の給付を行うもので、身体に障害が残ったり、不幸にして死亡した場合には、年金や一時金が支給されます。また、通勤途上の事故による病気や怪我、死亡についても労災保険から同様の給付が行われます。
労災保険の保険料は、使用者が負担する保険料から賄われ、労働者からは徴収されませんが、一人でも労働者を雇用していれば、一部の例外を除いて全ての事業所が強制適用となります。
2
雇用保険制度
雇用保険は、労働者が失業したときに、給付金を支給して労働者の生活の安定を図るとともに、求職活動を容易にし、就職を促進することを目的としています。労働者を一人でも雇用している事業所は必ず加入し、その事業所に雇用される労働者は原則として被保険者になります。給付の内容は、失業状態にある方に対する求職者給付が基本になりますが、教育訓練の費用を補助する教育訓練給付や育児休業給付、介護休業給付、雇用継続給付など労働者を支援するための各種給付制度が整備されています。
雇用保険制度の適用要件としては、①1週間の所定労働時間が20時間以上であること、②31日以上
の雇用見込みがあることを満たす必要がありますが、適用要件を満たしている場合は、事業所規模に関わりなく、原則として、全て雇用保険の被保険者となりますので注意が必要です。
基礎知識編
3
社会保険・労働保険の知識
3
健康保険制度
健康保険とは、病気やけがに備えて収入に応じた保険料を徴収して、医療を受けたときに保険から病院などの医療機関に医療費を払うしくみです。健康保険は、すべての人が加入する必要がありますが、会社員が加入する被用者保険(職域保険)と、自営業者・サラリーマンの退職者などが加入する国民健康保険(地域保険)、75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度に大別されます。さらに被用者保険は職業によって種類があり、企業の会社員が加入する健保組合や協会けんぽ、公務員が加入する共済組合などに分かれています。
4
公的年金制度
公的年金には、2種類あり、日本国内に住所のあるすべての人が加入を義務づけられています。その人の働き方により加入する年金制度が決まっており、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人を対象とする国民年金制度、会社や国・自治体、学校などに雇われており、一定時間数以上の労働時間の人を対象とする厚生年金制度に分かれています。
社会保険制度・労働保険制度の概要
加入基準
労災保険
業務上の原因により被った病気や怪我などに対して、治療費の給付や休業補償の給付を行うもので、身体に障害が残ったり、死亡した場合には、年金や一時金を支給。
加入基準
雇用保険
労働者が失業したときに、給付金を支給して労働者の生活の安定を図るもの。失業した場合の求職者給付のほか、教育訓練給付や育児休業給付、介護休業給付、雇用継続給付などがある。
健康保険(被用者保険)
病気やけがに備えて収入に応じた保険料を徴収して、医療を受けたときに保険から病院などの医療機関に医療費を払う制度。
厚生年金保険
老年になり働けなくなったり、病気や怪我で障害が残ったり、亡くなったりした場合に、年金や一時金を支給し、働く本人や家族の生活の安定を図る制度。
● 派遣元事業場で全面適用
❶ 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
❷31日以上の雇用見込みがあること
加入基準
❶ 雇用契約期間が2か月を超えること
❷ 1日又は1週間の所定労働時間及び 1か月の所定労働日数が雇用される事業所の正社員の3/4以上であること
基礎知識編
4
安全衛生の心得
1
製造現場の安全確保
職場において健康で怪我なく働くことは、最低限確保しなければならない前提条件です。油断やうっかりミス、手抜きは、事故の発生につながります。
特に製造現場などにおいて怪我をしないためには、次の原則を守る必要があります。
①職場のルールを守る。
職場で決められたルールを守ることが全ての基本です。面倒だ、時間がかかるといったルールであっても、事故を防ぐために積み重ねられたルールですから、とにかくルールにxxに作業することが大事です。慣れてくると、手抜きをしたり、近道をしたりしがちですが、そのことで事故が起きた例はたくさんあります。事故は心の油断から生まれます。常に基本にxxに作業することが大切です。
②動いているものには手をださない。
ベルトコンベアやプレス機など動いているものには、決して手出しをしてはいけません。手袋がローラーに巻き込まれて指を切断したり、場合によっては死亡事故につながることもあります。
③あわてて動かない。
作業開始に遅れそうになって、構内を走ったり、あわてて体勢を変えたりすることは、転倒や接触事故につながります。常に時間にゆとりをもって行動しましょう。毎朝の通勤についても同様です。
安全管理の用語
「安全第一」
工場や建設現場などの職場において生産や品質を第一とするのではなく、安全を何よりも重要に考えるという意味のスローガン。
「5S」
5Sとは職場の管理の基盤づくりの活動で、「整理」、「整頓」、「清掃」、「清潔」、「しつけ」の頭文字の5つの「S」をとったもの。職場環境の美化、従業員のモラル向上だけでなく、業務の効率化、不具合流出の未然防止、職場の安全性向上などの効果が期待できます。
「ヒヤリハット」
ヒヤリとしたり、ハッとしたり、危ないことが起こったが、幸い災害には至らなかった事象のこと。重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例を発見し、こうした事例について検討、改善を積み重ねることによって、事故の防止につながります。
「KYT」
危険予知トレーニングのこと。起こりうる事故を想定し、あらかじめそれに備える訓練を行うものです。
「リスクアセスメント」
x x 第 一
Check!
リスク アセスメント
職場の潜在的な危険性又は有害性を見つけ出し、これを除去、低減するため手法。あらかじめ把握された労働災害の重大性、可能性を見積もり、優先度の高いものから措置を講じていき、それを評価してさらに改善につなげます。
2
運転業務における留意点
トラック輸送などの業務に従事する場合には、安全運転を心がけることはもちろんですが、重大な事故につながらないよう、時間管理、健康管理、飲酒管理に努めることが必要です。
時間管理
時間管理を行う基本的な責任は輸送事業者にありますが、実際に働くドライバーとしても、時間に余裕をもって行動すること、安全・確実に運転することが求められます。
健康管理
日頃から自己管理に努める必要があります。体が健康であってこそ、的確な判断や正確な仕事が行えます。暴飲暴食を避け、睡眠時間を十分に取るなど自己管理に努める必要があります。
飲酒管理
飲酒が原因となって事故を起こした場合は、その社会的責任を厳しく問われることになります。摂取したアルコールはなかなか体内から排泄されません。運転の前日はお酒を控え、翌日の業務に支障がでないよう注意しましょう。運転の前には、確実にアルコールチェックを行うことも必要です。
3
VDT作業
VDT作業(ビジュアル・ディスプレイターミナル機器を使用して、データの入力・検索・照合や文章・画像の作成・編集・修正、プログラミング、監視等を行う作業)については、次のような点に留意して仕事をする必要があります。なお、VDT作業を行う作業者には定期的に健康診断を行うことが義務付けられていますので、積極的に受診するようにしましょう。
(1)作業時間
作業者が心身の負担が少なく作業を行うことができるよう、1連続作業は1時間を超えないように
すること、連続作業と連続作業の間に10 ~ 15分の作業休止時間を設け、他の作業をすることなどに注意する必要があります。
(2)作業姿勢
ディスプレイの位置明るさの調整
ブラインドで明るさの調整
疲労等を軽減しながら支障なく作業を行うことができるよう、作業姿勢、照明、採光等について、注意して作業する必要があります。
作業姿勢については、ディスプレイの位置、キーボード、マウス、椅子の座高等を調整し、なるべく楽な姿勢で作業できるようにしましょう。ディスプレイ画面の位置、前後の傾き、左右の向き等も適切に調整して、作業負担を軽減する姿勢をとれるようにしましょう。
作業姿勢の調整
ディスプレイ画面の明るさはまぶしくないようにし、書類、キーボード面の明るさと周辺の明るさの差は なるべく小さくすることが必要です。ディスプレイ画面にxxx等が入射する場合は、ブラインド、カーテン等で調節し、適切な明るさとなるようにしましょう。
4
日頃の健康管理と健康診断の受診
健康に仕事をするためには、日頃からの健康管理に注意することが重要です。暴飲・暴食を避け、睡眠時間を十分にとるよう心がけましょう。睡眠不足だったり、疲労が蓄積していると注意力が散漫になり、思わぬ事故につながることがあります。食事についても、バランスのよい食事を3食ととるようにしましょう。
また、労働安全衛生法では、事業者は、医師による労働者の健康診断を行わなければならないと定めており、従業員が1人でもいる場合は、規模の大小に関係なく健康診断を受診させなければならないことになっています。派遣社員については、派遣元が健康診断を実施する義務を負いますが、派遣社員も健康診断を受ける義務があります。受診の対象者は、「常時使用する労働者」で、パートタイム労働者でも通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上であれば、「常時使用する労働者」に該当し、健康診断を受診しなければなりません。
健康診断の種類としては、入職時の雇入時健康診断、1年に1回の定期健康診断があり、深夜業や有害な環境で働く労働者に対する特定業務従事者の健康診断などがあります。健康診断の費用については、事業者が負担することになります。
健康診断は、健康に職業生活を送る上で大切な機会ですので、是非積極的に受診しましょう。
5
メンタルヘルスの確保
近年、職場において精神の不調を訴える労働者が増加しており、労災保険における精神障害の認定件数も年々増加しています。xxxの病気もからだの病気と同じように、早期発見、早期対処が大事で、早めに適切な治療や社会的なサポートを受けるほど、回復しやすいことが分かっています。
xxxの病気は、自分では症状に気づきにくいのも大きな特徴です。xxxの病気は、プライバシーに深く関わる問題なので、慎重になりがちですが、気になる症状が長く続いたり、生活面での支障が出てきている場合には、症状について調べたり、早めに専門家に相談する必要があります。
各都道府県・政令指定都市が実施している「心の健康電話相談」等の公的な電話相談事業に全国共通の電話番号を設定しています。全国どこからでも共通の電話番号に電話すれば、電話をかけた所在地の公的な相談機関に接続されます。
お こ な お う
ま も ろ う よ こ こ ろ
xxxの健康相談統一ダイヤル
0570 - 064 - 556
※PHS電話、IP電話、プリペイド式携帯電話、列車公衆電話、海外からは接続できません。
職業性ストレス簡易調査票
また、労働安全衛生法の改正により、事業者は、常時雇用する労働者に対して年1回ストレスチェックを実施することが義務化されました。ストレスチェックとは、仕事上の心理的な負担の程度を把握するための自己診断テストです。高ストレスと診断された労働者から申出が
あった場合には、医師による面接指導や必要な就業上の措置を講じることが事業者の義務となります。これらの制度を活用することにより、自分の症状にできるだけ早く気づき、専門家に相談するようにすることが大切です。
基礎知識編
5
守秘義務・個人情報保護
1
守秘義務の徹底
(1)守秘義務とは
派遣先の会社には、第三者に知られたくない秘密情報があります。会社に勤務する際には、様々な企業秘密に接触する可能性がありますが、派遣社員は、派遣元の就業規則に基づき、就業中に知り得た情報について秘密を守る義務があります。守秘義務が課せられた情報は、家族や友人などを含め、第三者に漏らすことはできません。
秘密情報は、派遣先の会社が厳重に保護していますが、紙や電子ファイルなど目に見えるもののほか、聞いた情報など目に見えないものも含まれます。業務で使用する資料やデータも守秘義務の対象になりますので、十分注意することが必要です。
具体的な守るべき秘密情報とは、例えば、以下のような情報です。
守るべき秘密情報
❶ 企業情報(人事、組織、技術、開発情報、取引先名、売上、売掛金、取引状況等)
❷ 営業情報(営業戦略・戦術、新商品、M&A等営業上の戦略情報等)
➌ 個人情報(特定の個人を識別できる情報:氏名、自宅住所、電話番号、学歴、職歴、既婚・未婚等)
❹ 企業の取引先情報(企業情報、営業情報、個人情報)
❺ 他の派遣社員の個人情報
➏ 派遣会社の情報(企業情報、営業情報、個人情報)
守秘義務に関しては、派遣元から得た情報や取引先の情報も同様です。もし知り得たとしても、退職後を含め、決して第三者に漏らしてはいけません。
派遣先のファイルで見たんだけど、○○さんが引っ越したようなんだよ
(2)秘密情報の取扱い
これらの秘密情報の取扱いは、必ず会社の規定や手順に従わなければなりません。秘密情報には、許可を受けて業務の範囲内でアクセスするもので、私的に興味本位で閲覧したりすることは許されません。与えられたIDやパスワードは厳重に管理する必要がありますし、書面上の情報は、鍵の付いたキャビネットや机の引き出しなど適切に保管し、パソコン内に保存する場合は、パスワードで保護することも必要です。
こうした情報をコピーしたり、外部に持ち出す場合も許可が必要になります。修正したり、廃棄したりする場合も同様です。個人パソコンの持ち込み、USB等の記憶媒体の持ち込みも会社の規定に従ってください。
秘密情報取扱いの原則
❶ 情報は、会社の規定や手順に定められた範囲内で利用する。私的利用は禁止。
❷ 情報は適正に保管する。ID、パスワードは厳重に管理。
➌ 情報のコピー、加工、修正、持ち出しは、許可を得て行う。
❹ 情報は、適正な方法で破棄。
❺ 個人パソコンやUSB等の記憶媒体は、原則持ち込み禁止。
守秘義務についての認識が十分でないと、何気ない会話やちょっとした不注意から、重大な情報漏洩を引き起こすことにつながります。最近は、SNSに関連した情報漏洩が問題になることが増えてきました。何気ない「つぶやき」が社会的な大問題になることがありますので、業務時間内だけでなく、個人の時間においても、慎重な情報管理が求められます。
違法に情報を取得し、外部に販売するようなケースは、犯罪行為として罰せられることになりますが、こちらに悪意がない場合でも、派遣先に重大な損害を及ぼすような場合は、損害賠償を請求されるケースもありますので、十分な注意が必要です。
2
個人情報保護
個人情報を取扱う事業者は、個人情報保護法によって厳しい義務が課せられています。
❶ 利用目的を特定し、利用目的の達成に必要な範囲内でのみ個人情報を取り扱うこと
❷ 個人データについては安全管理措置を講じ、従業者等を監督すること
➌ あらかじめ本人の同意を得なければ第三者に個人データを提供してはならないこと
❹ 個人データは利用目的など本人の知り得る状態に置き、本人の求めに応じて開示等を行うこと
❺ 苦情の処理に努め、相談体制を整備すること
などです。
派遣社員としても、就業中に個人情報に接する可能性がありますので、個人情報保護についても一定の知識をもって、普段から慎重な対応を心がける必要があります。
3
職場でのパソコンの取扱い
派遣先で使用するパソコンは、業務のために派遣先から貸与されているものです。その取扱いについては、次の点に注意しましょう。
職場でのパソコン取扱いの原則
❶ 業務に関係ないインターネットの閲覧や私用メールの送受信、掲示板・ツイッターへの書き込みなどは行わない。
❷ 与えられたIDやパスワードは、ルールに従って第三者に知られないように管理する。
➌ 送信元が不明なメールなど不審なメールは、コンピュータウィルスが入っている場合があるので、開かずに管理者に相談する。
❹ 許可無く、ソフトウェアをダウンロードしたり、インストールしない。
❺ 業務上指示のない情報のコピー、加工、印刷はしない。
➏ 派遣先のパソコンに、自分のパソコンや個人のUSBなど記憶媒体を、許可無く接続しない。
❼ 仕事中に一時席を離れるときは、他の人が見たり、使用したりしないように、パスワードで保護されたスクリーンセーバーを起動する等の対策を講じる。
IDやパスワードを記した付箋
個人の記録媒体
許可のない 情報のコピー、プリント
明日の食事の件
私用メール
参考1
派遣労働に関する相談機関についての
Q&A
Q. 派遣会社(派遣元)を所管する役所はどこですか。
労働者派遣事業を所管するのは、労働局の職業安定部にある需給調整事業部(課・室)です。派遣事業の許認可・届出等派遣会社の事業に関することについての相談はこちらが窓口になります。
●都道府県労働局 職業安定部連絡先一覧
xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/xxxxx/xxxxx/xxxxxxxx/x00.xxxx
Q. 賃金や労働条件に関する問合せや職場でいじめや嫌がらせを受けたときにはどちらに相談すればよいのでしょうか。
都道府県労働局や労働基準監督署には総合労働相談コーナーが設置されており、労働条件、いじめ・嫌がらせ、募集・採用など、労働問題に関するあらゆる分野についての労働者、事業主からの相談を、専門の相談員が、面談あるいは電話で受け付けています。
●都道府県労働局 総合労働相談コーナー
xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/xxxxx/xxxxxx/xxxxxxx/xxxxxx.xxxx
Q. 労働問題全般についての相談はどちらで受け付けてくれますか。
都道府県労働局は、労働基準、雇用均等、雇用安定、労働保険などを所管している厚生労働省の出先機関です。幅広い労働問題について相談に応じています。
●都道府県労働局 所在地一覧
xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxxxxxxxxxxx/xxxxxxxxxxx/xxxxxxxxxxx/
Q. 民間の相談機関はありませんか。
一般社団法人日本人材派遣協会の「相談センター」では、派遣社員や派遣元、派遣先など、派遣労働に関するさまざまな問題について相談・情報提供を行っています。
また、キャリアコンサルティングの窓口も開設し、キャリアコンサルタント資格を持った専門家が、派遣社員の方々のキャリアプランや仕事上のご相談も受け付けています。
●一般社団法人 日本人材派遣協会 相談センター
xxxx://xxx.xxxxx.xx/xxxxxxxxxxx/xxxxxx/
汎用スキル編
1
社会人としてのルール
1
出勤・退勤のルール
(1)基本的なルール
会社では勤務時間が定められており、始業時間、終業時間が決まっています。始業時間は、仕事の準備を始める時間ではなく、仕事を始める時間です。したがって、始業時間には、着替えなどの準備をして席に着いていなくてはなりません。時間どおりに仕事が始められるよう、余裕をもって出勤するようにしましょう。終業時間も同様です。定刻までは仕事をする時間です。帰り支度は退勤時間が過ぎてから始めるようにしましょう。
(2)遅刻や欠勤をする場合
病気や交通障害などやむを得ない理由で遅刻や欠勤をする場合は、必ず始業前に連絡をする必要があります。派遣会社と派遣先の担当者に電話で連絡をするようにしてください。メールでの連絡も可能ですが、相手に確実に伝わったことを確認するためには、電話で直接相手と話をするほうが良いと考えられます。遅刻の場合は、どの程度遅れるかも連絡するようにしましょう。
(3)無断欠勤は厳禁
無断欠勤は、懲戒処分につながったり、何度も繰り返すと解雇されることがありますし、賃金もカットされます。自分自身の不利益だけでなく、派遣先に重大な迷惑をかけることになりますので、必ず連絡するようにしましょう。
2
職務中のルール
(1)職務に専念する
職務時間中は、職務に専念する義務があり、私事に使用することは許されません。席を離れるときも、用件を上司(派遣先の指揮命令担当者や責任者)に伝え許可を得る必要があります。公私の区別を明確にし、常に節度ある態度を心がけることが重要です。
(2)残業をする場合
残業は、上司の命令を受ける必要がありますので、勝手に自分の判断で行ってはいけません。必ず上司の許可を得て行うようにしましょう。
(3)職場で心がけること
職場では、派遣会社を代表しているという意識をもつようにし、公共の場で大声を出したり、よけいなおしゃべりは慎むようにしましょう。また、出勤時や退勤時には、周囲の人にはっきりとした声であいさつをするようにしましょう。あいさつは、好印象を得るための基本です。職場においては、周りの意見に耳を傾け、協調性をもって行動することが重要になります。
3
報告・連絡・相談
報告
連絡
相談
(1)「報・連・相」の大切さ
いわゆる「報・連・相」(ほうれんそう)は、会社において仕事を行う上で、常日頃からきちんと行わなければならない行動原則です。
上司は仕事の進捗管理を行う義務がありますので、仕事がうまくいっているのか、何か問題があるのか、常に状況を把握する必要があります。特に、問題が起きたときには、出来るだけ早くその事実を承知し、対応策を講じる必要があります。自分がミスをしたときとか、状況が変わってしまったとき、何か問題が生じて行き詰まっているときなどは、往々にして報告が遅れることになります。不都合な事実は知らせたくないという心理が働きがちになるものです。しかし、こういうときこそ、上司は正確な事実を掌握する必要が最も高いのです。
日頃から、業務の進捗状況を上司にこまめに報告し、必要な部署に連絡を取り、重要なことは必ず早めに相談するようにしましょう。
(2)派遣先での留意事項
派遣社員の場合、特に報告が重要になります。自分に与えられた仕事の状況を報告しないと、上司は仕事の指示ができなかったり、遅れたりすることになります。仕事が終了してもそのことを上司に報告しないと終了したことにならないのです。
早めに相談することも重要です。できれば対応策についての自分の考えを準備して、相談します。あらかじめ相談していれば、仕事の状況について、上司と認識を共有することになりますから、責任も共有することになります。抱え込んでいてうまくいかなかったときは全てあなたの責任になってしまうことになります。相談はあなた自身の身を守ることにもつながるのです。
(3)仕事の指示の受け方
仕事の指示を受けるときは、自分の行うべき仕事の範囲を必ず確認しましょう。指示が曖昧な場合は、どこまでが自分の業務なのか、自分で判断せず、上司に確認することが必要です。指示内容を復唱したり、期限を確認することも重要です。
(4)計画的に仕事をする
業務の実施に当たっては、優先順位を考慮した計画を立て、進捗状況を定期的に確認することが大事です。その状況に応じて期限どおりに終わらないと予測されるような場合は、早めにそのことを上司に報告し、相談することが重要です。
(5)派遣会社にも「報・連・相」を
派遣会社との間の「報・連・相」も派遣先と同様に重要です。遅刻や欠勤の連絡はもちろんですが、職場での悩みや労働条件、契約の問題など遠慮無く派遣会社の担当者に相談しましょう。
4
契約についての認識
(1)契約をすることの意味
労働者としての個人は、会社と労働契約を結んで働き、給与をもらっていますし、派遣会社も派遣先の会社と派遣契約を結んで労働者派遣を行い、派遣料金をもらっています。常に、契約に基づいて働いているという意識をもつことが必要です。そのことはあなたが契約に基づいた権利を主張するためにも重要なことですが、一方、契約に基づいた義務を果たすという側面を意識することにもなります。
(2)派遣契約と労働契約は別の契約
派遣契約と労働契約は別のものです。労働契約は派遣会社とあなたとの間に結ばれているものであり、派遣契約は派遣会社と派遣先との間で結ばれているものです。派遣先は派遣契約に基づいて、あなたに業務に関する指揮命令を行います。派遣という働き方は、雇用者と指揮命令を行う者が分離しているという特別な形態ですので、この仕組みを十分に理解した上で働く必要があります。
(3)契約内容を確認する
派遣会社は、労働契約の締結時に、派遣社員に対し労働契約の内容である労働条件を明示しなければならないこととされています。また、派遣会社は、労働者派遣をしようとする時に、派遣社員に対し派遣契約の内容のうち就業条件(派遣先における派遣労働者の処遇)等を明示しなければならないこととされています。
なお、派遣社員に適用される一般的な労働条件は、派遣会社の就業規則に規定されていますので、必ず確認するようにしましょう。就業規則には、人事や労働時間・賃金等勤務に関する規定、退職・解雇に関する規定、年次有給休暇、育児休業など休暇に関する規定、服務規律・懲戒に関する規定、守秘義務に関する規定、安全衛生に関する規定など働く上で重要なことが書かれています。研修などでポイントは説明されますが、必ず細かいところまで読んで、理解するようにしましょう。
このように、契約で仕事が成り立っていることを十分に意識し、そこから生じる権利と義務を正確に理解することが働くことの基本になります
就業条件
明示書
就業条件明示の例はP.38を参照
汎用スキル編
2
基礎的なビジネスマナー
1
あいさつ
(1)あいさつであなたの印象は良くなる
あいさつは職場のビジネスマナーの基本です。朝、あなたが上司と無言ですれ違ったとすれば、上司はあなたを、失礼だと思うでしょう。逆に、元気な声で「おはようございます」とあいさつしたとしたら、あなたの好感度はアップすることになります。あいさつは、簡単なことですが、毎日のことですので、その積み重ねの効果は極めて大きいものです。特に、初めての職場では、新人から率先してあいさつすることが重要です。あいさつで印象を良くすることは、スムーズに仕事を進めるためにも必要なことです。
(2)あいさつのポイント
あいさつのポイントは、こちらから率先して、相手の目を見て、明るく元気な声で行うことです。上司や同僚だけでなく、外部の方も含めて誰にでも行いましょう。
職場でのあいさつの例
おはようございます
ありがとうございます
行ってらっしゃい
行ってまいります
かしこまりました
ただ今帰りました
お疲れ様です
お先に失礼します
いらっしゃいませ
2
身だしなみ
(1)清潔で仕事がしやすいこと
髪型や身に付ける服装は、清潔でさっぱりとしており、仕事がし易いことが大切ですが、派遣先の職場にふさわしい身だしなみにも気を付けることも必要です。
派遣先に制服があれば制服を身に付けますが、ドレスコードが決められている場合は、それに従いましょう。女性の場合、メイクや身に付けるアクセサリーもあまりxxなものでなく、職場にふさわしいものを選ぶ必要があります。
男性の事務職であれば、スーツにネクタイが原則ですが、クールビズなどの季節による基準が定められている場合がありますので、派遣先の決まりに従った服装にしましょう。
(2)安全な服装を
製造現場の仕事であれば、清潔で安全であることが優先されます。それぞれの職場にふさわしい服装を心がけましょう。
3
姿勢とおじぎ
(1)正しい姿勢
正しい姿勢ができることは、正しい立ち居振る舞いにつながり、外からの見栄えが良くなります。立ち姿は、顎を引いて胸を張り、お腹を引っ込めます。椅子に座る場合は、背中と背もたれとの間にこぶし1個くらいの空間を空
け、胸を張り、背筋を伸ばします。膝が90度に曲がるように足を揃えます。
(2)おじぎの仕方
おじぎは、正しい立ち位置から、相手の目を見て腰を折ります。頭だけ下がらないよう注意しましょう。
おじぎの種類
会釈
15度
敬礼
30度
最敬礼
45度
会釈は、目上の方やお客さまとすれ違うときなどに使うものです。おじぎの角度は15度で、相手の顔を見ます。
敬礼は、人のお迎えをするときなどに使います。
おじぎの角度は30度で、相手の胸元を見ます。
最敬礼は、お礼や謝罪などを行うときに使います。
おじぎの角度は45度で、相手の足下を見ます。
4
敬語・ことばづかい
(1)敬語の種類
敬語には、尊敬語、謙譲語、丁寧語の3種類があります。相手や場所によって正しく使い分けましょう。
尊敬語
相手に敬意を表し、高めて表現することば
謙譲語
自分をへりくだり、自分や 会社を謙遜して表現することば
丁寧語
丁寧に伝える場合に使うことば
する なさる、される いたす します会う お会いになる お会いする、お目にかかる 会います言う おっしゃる 申す、申し上げる 言います見る ご覧になる 拝見する 見ます
聞く お聞きになる 伺う、承る 聞きます食べる 召し上がる いただく、ちょうだいする 食べます来る いらっしゃる、おいでになる 参る 来ます
行く いらっしゃる 伺う 行きます
知る ご存じ 存じ上げる 知ります
(2)丁寧なことばづかいを
ビジネスの場面においては、正しい敬語であっても適切でない場合があります。例えば、名前を名乗らないお客様に対して、「どちら様でしょうか」と聞くことは、文法的には間違いではありませんが、適切ではありません。「失礼ですが、お名前をお伺いできますか」などと表現することが大切です。「すみません」も日常よく使うことばですが、ビジネスの場面に応じて、「申し訳ございません」や「ありがとうございます」に置き換えましょう。同様に、「分かりました」は「かしこまりました」に、
「話しておきます」は「申し伝えます」に、「ちょっと待ってください」は「少々おまちください」に、「どうですか」は「いかがでしょうか」などに置き換えて表現しましょう。
好感のもてる丁寧なことばづかい
❶クッション言葉を入れる
例: 「申し訳ございませんが」、「恐れ入りますが」、「失礼ですが」、「もし、よろしければ」、
「お手数ですが」など
❷丁寧なことばに置き換える
例: 「いらっしゃいませ」、「ありがとうございました」、「かしこまりました」、「申し伝えます」、
「少々お待ちください」、「いかがでしょうか」、「失礼いたします」など
5
電話応対のマナー・来客応対のマナー
お客様は、あなたの応対で会社を評価します。常に職場を代表するという意識をもって応対しましょう。
(1)電話にでる
電話での応対では、お待たせしないことが基本です。着信音を3回以上鳴らしてしまったら、「大変お待たせしました。」と最初にお詫びしましょう。明るくはっきりした声で、なおかつ正確、簡潔に応対することが必要です。
電話に出る際には、必ずメモを用意し、内容を書き留めます。相手の会社名・名前を復唱し、聞き取れなかったことや、聞き漏らしたことは、丁寧に再確認します。特に、日にちや時間などは間違えないよう復唱することが必要です。
いつもお世話になっております
かしこまりました、少々お待ちください
恐れ入りますが、
どちら様でいらっしゃいますか
あいにく○○は
席を外しております。 戻りしだいこちらから お電話いたしましょうか
(2)電話をかける
電話をかける場合は、事前の準備として、話す内容、会社名、役職名、氏名を確認します。相手が出たら、社名、所属、氏名を名乗り、「いつもお世話になっております」とあいさつをし、「恐れ入りますが、○○課の△△様をお願いいたします」と先方を呼び出しましょう。先方に用件を話す前に「今お時間は大丈夫でしょうか」など相手の都合を伺います。そして、用件は的確に簡潔に話します。ポイントになることは丁寧に確認しましょう。最後に「ありがとうございました」、「失礼いたします」などあいさつをして、相手が電話を切るのを確認してから静かに受話器を置きます。
(3)来客の案内
お客様が来たらすぐ立ち上がり、「いらっしゃいませ」とおじぎをします。相手の会社名、肩書き、名前を聞き、用件を確認します。予約がある場合は、「少々お待ちください」と告げて、担当部署に取り次ぎます。予約がない場合は、用件を確認し、担当部署に対応を確認します。
お客様を応接室などに案内する場合は、お客様の2~3
歩前を歩きます。エレベーターには自分が先に乗り、ボタンを押してお客様に乗っていただきますが、降りるときは、お客様に降りていただき、後から降りて案内します。部屋のドアは必ずノックし、手が交差しないようにドアを開け、お客様を先に室内に案内します。「奥の席をどうぞ」と上席を勧め、お客様が着席するのを確認してから「少々お待ちください」とおじぎをして、退室します。
(4)見送り
席次の優先順位
出入口
3 1 2 4
7 5 6 8
テーブル
会議室
応接室
4 5
1 2 3
テーブル
1
2
4
3
ド ア
↑出入口
操作パネル
エレベーター
タクシー
4
運転手
1 3 2
お客様を見送る場合は、応接室の前ではなく、エレベーターの前まで見送るようにします。エレベーターのドアが閉まるまで、おじぎをして見送るようにしましょう。
玄関での見送りは、姿が見えなくなるまで見送ります。車の場合は、車が見えなくなるまで見送りましょう。
(5)会社訪問
□□□□□
○○○○
コートは建物に入る前に脱ぎ、手に持ちます。受付で、「○○時に○○部の○○様とお約束しております、○○社の○○と申します」と名乗ります。案内された部屋では、指示された椅子に座るのが原則ですが、そうでない場合は、下座に座ります。面会者が入室したら立ち上がりあいさつします。飲み物は勧められてから飲みましょう。用件が終わったら「本日はお時間をいただきありがとうございました」などとあいさつをしてから部屋を出ます。
(6)名刺交換
名刺交換は、必ず立ち上がって相手に正対し、胸の位置でやり取りします。相手の名刺を受け取る場合は、「頂戴いたします」と告げ、両手で受取ります。名刺入れをお盆代わりにして交換します。交換は目下の者から先に差し出しますが、訪問した場合は、訪問した側から差し出します。
名刺を渡す場合は、会社名と名前を名乗りながら、右手で差し出します。いただいた名刺は名刺入れの上に置き、そのままテーブルに置いて話しを進めます。
6
CC
カーボンコピーのことで、受取人は他の誰にメールを送ったかが分かります。
BCC
ブラインドカーボンコピーのことで、受信者には、同時に送った宛先のアドレスが表示されません。念のため、内部の者に内容を見せておきたいときなどに使います。
メールの対応
(1)メールアドレス
まず、メールアドレスを入力しますが、毎回手入
力すると間違える確率が高くなりますので、アド
レス帳を使う、他の名簿からコピーする、返信するなど安全で効率的な方法で行いましょう。
同じ内容を複数の人に送信したい場合は、CC又
はBCCにアドレスを入力します。
(2)件名
件名は、短く、メール内容の概要を簡潔に表現するよう工夫しましょう。
(3)本文
本文の冒頭に相手の所属、氏名を記載します。末尾には自身の所属、名前、住所、電話番号、メールアドレスなどを記載しますが、あらかじめ差出人を署名登録しておくのが便利でしょう。
最初に「いつもお世話になっております」などのあいさつをいれましょう。メールは簡潔であり、読みやすいことが求められます。読み始めてすぐ用件が分かるよう最初にメールの趣旨を要約します。具体的な説明は、その後に書いていきます。あまり長文にならないよう簡潔に記載します。
(4)添付ファイル
添付ファイルを付ける場合は、ファイルの容量があまり大きくなると送受信できないことがあります。概ね1メガバイト以下を目安として、それを超えるような場合は、分割や圧縮をして送信するようにします。
(5)送信
メールの送信を行う前には、必ず内容、誤字脱字を確認してから送信するようにしましょう。メールの宛先は、誤送信とならないよう、送信前にはもう一度確認します。
メールを受信したら早めに返信するようにします。全く返信しないと、相手はメールが到達したことを確認できません。すぐに受信したメールの内容に回答ができない場合でも、受け取ったことを報告するため「承知しました」、「受信しました」など簡単な文章で、返信をしましょう。メールは基本的に受信日時から24時間以内に返信するのがマナーです。
また、メールは私信ですので、発信者の了解なしに安易に転送するのは避けましょう。
(6)誤送信の防止
(7)ウィルスへの注意
この宛先で大丈夫?
このメールは誰から??
最近はメールに忍び込ませたウィルス送付が頻発しており、これへの対応が不十分だったため、重要な個人情報が盗まれるという事件が発生しています。送られたメールは何でも開くのではなく、不審なメールは開封せず、直ちに管理者に相談するようにしましょう。
社外メールの例
○○株式会社
事業部 ○○ 様
いつもお世話になっております。
先般、ご連絡いただきました打合せ会議の件ですが、下記により開催いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
なお、当日は、弊社より○○部長と私が出席いたしますので、申し添えます。
1 日時
○月○日 10:00~12:00
2 場所
弊社会議室(xxx港区赤坂○-○-○ ○○ビル3階)
3 議題
第2四半期の○○について
株式会社△△ 営業部
xx xx
〒100-0000 xxxxxx区△△○-○-○
℡ 00-000-0000 Fax 00-000-0000
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参考2
就業条件等の明示の例
次の条件で労働者派遣を行います。
1 従事する業務の内容 営業課内における事務の補助、電話応対、郵便物の仕分・発送の業務
2 就業の場所 □□□□株式会社本社 国内マーケティング部営業課総務係
(〒100-0000 xxxxxxx0-0-0xxx00x XXX 3593-****内線 5745)
3 組織単位 国内マーケティング部営業課
4 指揮命令者 国内マーケティング部営業課総務係長 △△△△△
5 派遣期間 平成27年10月1日から平成28年9月30日まで
(派遣先の事業所における期間制限に抵触する最初の日 平成30年10月1日)
(組織単位における期間制限に抵触する最初の日 平成30年10月1日)
※派遣先の事業所における期間制限の抵触日は延長されることがあるが、組織単位における期間制限の抵触日は延長されることはない。 なお、派遣先の事業所における派遣可能期間の延長について、当該手続を適正に行っていない場合や派遣労働者個人単位の期間制限の抵触日を超えて労働者派遣の役務の提供を受けた場合は、派遣先は労働契約申込みみなし制度の対象となる。
6 就業日 土、日を除く毎日
7 就業時間 9時から18時まで
8 休憩時間 12時から13時まで
9 安全及び衛生
次の事項のうち、派遣労働者が派遣先において業務を遂行するに当たって、当該派遣労働者の安全、衛生を確保するために必要な事項に関し、就業条件を記載する
○危険又は健康障害を防止するための措置に関する事項
○健康診断の実施等健康管理に関する事項
○換気、採光、照明等作業環境管理に関する事項
○安全衛生教育に関する事項
○免許の取得、技能講習の終了の有無等就業制限に関する事項
○安全衛生管理体制に関する事項
○その他派遣労働者の安全及び衛生を確保するために必要な事項
10 派遣労働者からの苦情の処理
(1)苦情の申出を受ける者
派遣元においては、派遣事業運営係xx ☆☆☆☆☆ TEL 3597-**** 内線101派遣先においては、総務部秘書課人事係xx ※※※ 内線5721
(2)苦情処理方法、連携体制等
① 派遣元における(1)記載の者が苦情の申出を受けたときは、ただちに派遣元責任者の◎◎◎へ連絡することとし、当該派遣元責任者が中心となって、誠意をもって、遅滞なく、当該苦情の適切かつ迅速な処理を図ることとし、その結果について必ず派遣労働者に通知することとする。
② 派遣先における(1)記載の者が苦情の申出を受けたときは、ただちに派遣先責任者の●●●へ連絡することとし、当該派遣先責任者が中心となって、誠意をもって、遅滞なく、当該苦情の適切かつ迅速な処理を図ることとし、その結果について必ず派遣労働者に通知することとする。
③ 派遣元事業主及び派遣先は、自らでその解決が容易であり、即時に処理した苦情の他は、相互に遅滞なく通知するとともに、密接に連絡調整を行いつつ、その解決を図ることとする。
11 労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るための措置
派遣元事業主は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該労働者派遣契約に係る派遣先と連携して、当該派遣先からその関連会社での就業のあっせんを受けること、当該派遣元事業主において他の派遣先を確保すること等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとする。また、当該派遣元事業主は、当該労働者派遣契約の解除に当たって、新たな就業機会の確保ができない場合は、まず休業等を行い、当該派遣労働者の雇用の維持を図るようにするとともに、休業手当の支払の労働基準法等に基づく責任を果たすこととする。さらに、やむを得ない事由によりこれができない場合において、当該派遣労働者を解雇しようとするときであっても、労働契約法の規定を遵守することはもとより、少なくとも30日前に予告することとし、30日前に予告しないときは労働基準法第20条第1項に基づく解雇予告手当を支払うこと、休業させる場合には労働基準法第26条に基づく休業手当を支払うこと等、雇用主に係る労働基準法等の責任を負うこととする。
12 派遣元責任者
○○株式会社 派遣事業運営係長◎◎◎ TEL 3597-**** 内線100
13 派遣先責任者
総務部秘書課人事係長 ●●● 内線5720
14 就業日外労働
5の就業日以外の日の労働は1月に2日の範囲で命ずることができるものとする。
15 時間外労働
6の就業時間外の労働は1日4時間、1か月45時間、1年360時間の範囲で命ぜられることがある。
16 □□株式会社内の診療所、職員食堂、職員休憩室の利用可。制服の貸与あり。
17 労働者派遣に関する料金
日額 *****円(労働契約時に明示しており、変更がない場合は不要)
18 派遣先が派遣労働者を雇用する場合の紛争防止措置
労働者派遣の役務の提供の終了後、当該派遣労働者を派遣先が雇用する場合には、職業紹介を経由して行うこととし、手数料として、派遣先は派遣元事業主に対して、支払われた賃金額の●●分の●●に相当する額を支払うものとする。ただし、引き続き6箇月を超えて雇用された場合にあっては、6箇月間の雇用に係る賃金として支払われた賃金額の●分の●に相当する額とする
--------------------------------------- 紹介予定派遣に係る契約である場合は下記の項目例を記載 --------------------------------------
19 紹介予定派遣に関する事項
(1)派遣先が雇用する場合に予定される労働条件等契約期間 期間の定めなし
業務内容 営業課内における事務の補助、電話応対、郵便物の仕分・発送の 業務就業場所 □□株式会社本社 国内マーケティング部営業課総務係
(〒100-0000 xxxxxxx0-0-0xxx00x XXX 3593-****内線 5745)
始業・就業 始業:9時 終業:18時休憩時間 12時から13時まで
所定時間外労働 有(1日4時間、1か月45時間、1年360時間の範囲内)
休日 毎週土、日、祝日、年末年始(12月29日から1月3日)、xx休業(8月13日から8月16日)休暇 年次有給休暇:10日(6 ヶ月継続勤務後)その他:有給(慶弔休暇)
賃金 基本賃金 月給 180,000~240,000円(毎月15日締切、毎月20日支払)通勤手当:通勤定期券代の実費相当(上限月額35,000円)
所定時間外、休日又は深夜労働に対して支払われる割増賃金率
・所定時間外:法定超 25%、休日:法定休日 35%、深夜:25%昇給:有(0~3,000円/月)賞与:有(年2回、計1 ヶ月分)
社会保険の加入状況 厚生年金、健康保険、雇用保険、労災保険 有
(2) その他
●紹介予定派遣を受けた派遣先が、職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた者を雇用しなかった場合には、それぞれのその理由を、派遣労働者の求めに応じ、書面、ファクシミリ又は電子メールにより明示する。
●紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に、年次有給休暇及び退職金の取扱いについて、労働者派遣の期間を勤務期間に含めて算入する。
参考3
派遣で働く力を支える
「4つのチカラ」
「4つのチカラ」は一般社団法人人材サービス産業協議会(JHR)の著作物です。以下の資料は、 JHRの許可を受けて転載したものであり、「4つのチカラ」の利用を希望される場合は、JHRにお問 合せくださるようお願いします。 xxxx://xxx.x-xx.xx.xx/
派遣先で仕事をする時に必要なのは、その仕事に関する知識や技能・技術などだけではありません。職場の中で仕事をうまく進めるために必要なコミュニケーション能力や仕事に対する姿勢などが十分に備わっていることで、存分に知識や技能を発揮することができ、評価につながります。これを「就業基礎力」といいます。「4つのチカラ」は、この就業基礎力の中でも特に派遣社員に必要な4種類の力に着目した能力診断の指標です。この「4つのチカラ」を向上させることで、派遣先でより働きやすくなったり、任される仕事のレベルを上げたりすることが期待できます。
テクニカルスキルを支える「就業基礎力」
テクニカルスキル
就業基礎x
xx仕事を行うために必要となる知識や技能・技術
どんな職場でも求められる一般的なスキルや態度
「4つのチカラ」の種類
聴くチカラ
傾聴共感力
人の話に耳を傾け、
相手の考えや言いたいことを理解する力
遂げるxxx
役割遂行力
自分の役割を意識して、割り当てられたことに責任をもち、遂行する力
4つのチカラ
伝えるチカラ
情報発信力
報告・連絡・相談をし、 有用な情報は周囲に伝える力
律するチカラ
感情管理力
仕事上での自分の感情の上下を認識し、冷静になることができる力
「4つのチカラ」は、それを意識しながら仕事に取り組むことで力を向上させることができます。今の自分のチカラを知るところから初めてみましょう。
1
現状のチカラを知る
この診断表を使い、職場での自分に近いものを選んでチェックしてみましょう。
1 | 他人に興味がなく、人の話を聞かない □ |
2 | 1と3の間のレベル ■ |
3 | 人の話を聞いて、話の内容を理解する □ |
4 | 3と5の間のレベル ■ |
5 | 人の話に耳を傾け、相手の考えや言いた □いことを理解する |
6 | 5と7の間のレベル ■ |
7 | 人の話に耳を傾け、相手の感情や発言の □背景にも理解や共感を示すことができる |
8 | 7と9の間のレベル ■ |
9 | 人の話を聞き、相手の考えや感情、背景 を理解し共感を示すだけでなく、それに □対する自分の考えを伝えることができる |
聴くチカラ(傾聴共感力)
遂げるチカラ(役割遂行力)
伝えるチカラ(情報発信力)
1 | 報告・連絡や相談をすることは少ない □ |
2 | 1と3の間のレベル ■ |
3 | 求められれば、報告・連絡・相談ができる □ |
4 | 3と5の間のレベル ■ |
5 | 自ら進んで報告・連絡・相談をすること □ができる |
6 | 5と7の間のレベル ■ |
7 | 自ら進んで報告・連絡・相談をするだけ □でなく、有用な情報を周囲に伝えている |
8 | 7と9の間のレベル ■ |
9 | 自分の業務に関する情報の発信だけでな く、外部や周囲からも有用な情報をつか □んでくることができる |
律するチカラ(感情管理力)
1 | 自分から進んで行動するより、細xxx とでも人から指示されるのを待って行動 □することが多い |
2 | 1と3の間のレベル ■ |
3 | 任されたことは、最後まで自分の責任で 行うよりも、途中で人から判断してもら □いながら進めることが多い |
4 | 3と5の間のレベル ■ |
5 | 任されたことは、細かな指示を仰がなく ても、自分の責任で判断しながら進める □ことができる |
6 | 5と7の間のレベル ■ |
7 | 自分の役割を意識し、最良の結果が出る ように工夫しながら行動に移すことがで □きる |
8 | 7と9の間のレベル ■ |
9 | 自分の役割が周囲にどんな影響を及ぼす かを考え、期待されるレベル以上のこと □を周囲と協力しながら行うことができる |
1 | 感情的な言動が多い □ |
2 | 1と3の間のレベル ■ |
3 | 感情的になることもあるが、あとで冷静 □になることができる |
4 | 3と5の間のレベル ■ |
5 | 感情が高 ったり落ち込んだりしそうな ときに、自分の感情がどのような状態か □を把握し、冷静になることができる |
6 | 5と7の間のレベル ■ |
7 | 感情を常にコントロールし、その時々の □状況に応じて行動することができる |
8 | 7と9の間のレベル ■ |
9 | 自分の感情の変化に伴う態度・行動・思 考のパターンをつかみ、その原因を取り □除けるように行動することができる |
(※)就業先の上長やリーダーなど、同じ職場の人はあなたのことをどう見ているでしょうか?自分以外の人に行ってもらった診断と比べることで、「4つのチカラ」を効果的に伸ばすことができます。派遣会社の担当者に依頼してみましょう。
2
伸ばすチカラを決める
自分で診断した「4つのチカラ」の点数の目盛に〇をつけて、線で結んでみます。自分以外の人がつけた点数があれば、☆印など異なる記号にすると分かりやすいでしょう。結果をみて、伸ばしたいチカラを1つか2つ選び、どのレベルまで伸ばしたいかを決めましょう。
※5よりも低い点数のものがあったらそれを優先的に伸ばすようにするとよいでしょう。
聴くチカラ 伝えるチカラ遂げるチカラ律するチカラ
0 2 3 4 5 6 7 8 9
伸ばしたいチカラ
目標のレベル
3
チカラを伸ばす行動に取り組む
(1)取り組む行動を決める
日々の仕事をしながら、「4つのチカラ」を意識した行動をすることで、チカラを伸ばすことができます。まず、どんな行動に取り組むかを決めます。下の表からこれならできると思える行動を1つ選んでみましょう。
チカラを伸ばす行動例
聴くチカラ
(傾聴共感力)
●相手の話の腰を折らずに、最後まで聞く
●うなずく、あいづちをうつ、目を見る、身をのりだすなど、話を聞いているという姿勢をみせる
●相手がなぜその話をしているのか、相手の気持ちや状況を考えながら、話を聞く
伝えるチカラ
(情報発信力)
●一日の仕事が終わる時に、今日あったことや感じたことを上司や、リーダーに報告する
●仕事の中で改善したほうがいいと思うことを見つけ、上司やリーダーに伝える
●自分を見てくれている上司やリーダーに、報告・連絡・相談をこまめに行う
遂げるチカラ
(役割遂行力)
●自分と同じ仕事を上手に行っている人に、仕事の仕方や気をつけていることを聞いて、まねをする
●困っている人がいないか、自分にできる仕事はないか、意識して周りを観察し、できることがあれば手伝う
●自分に期待されている役割を上司に聞き、必要に応じて行動を修正する
律するチカラ
(感情管理力)
●仕事上で、動揺したり落ち込んだりした経験を思い出し、原因となったことと、自分個人の価値は別、と整理してみる
●動揺したり落ち込んだりすることが、自分や周りの人にとって、どんな価値や意味のあることか考えてみる
●自分のストレスへの対処の仕方について、 改善点がないか上司や周りの人に聞いてみる
(2)職場で実践する
取り組む行動を決めたら、「実践のヒント」を参考に職場で実践してみます。
聴くチカラ
伝えるチカラ
遂げるチカラ
律するチカラ
相手の話の腰を折らずに、最後まで聞く |
うなずく、あいづちをうつ、目を見る、身をのりだすなど、話を聞いているという姿勢をみせる |
相手がなぜその話をしているのか、 相手の気持ちや状況を考えながら、話を聞く |
話の内容がおおよそ分かっても、話は最後まで聞きましょう。話の内容を理解することよりも、「存在を認めていますよ」「話 |
を聞いていますよ」、という姿勢を示すことが重要です。 |
「無反応」は、相手の話す意欲をそいでしまう行為です。「うなずく」は単純な行為ですが、「相手の言葉を受け止めてい |
る」、「相手に興味を持っている」ということを強く示すことができます。 |
思ったことを口にする、表現することは意外にできないものです。相手の発言内容や「しぐさ」から、本当に考え |
ていること、思っていることを想像してみると、対応も変えられるかもしれません。 |
現場の声は、上司にとってはとても助かる情報です。日 |
頃感じていることをちゅうちょせずに言ってみましょう。 |
上司やリーダーは、あなたが「事前の相談」「途中経過の連絡」 「結果や業務上知りえた情報の報告」などをすることで、あな |
たの状況を理解し、仕事のサポートがしやすくなります。 |
自分と周りの人との役割分担で、チームの目標は達成さ |
れます。周りの人を手伝うことで、あらためて自分の役割 がはっきり見えてくることもあります。 |
自分の行動が正しいかどうかを客観的に見てもらうことで、自分では気づかなかったことや、具体的に注意すべき |
ポイントなどが明確になってきます。 |
誰でも動揺したり、落ち込んだりすることはあります。しかし、その時間が長ければ長いほど周りに良くない影響を与えてしまい |
ます。周りの人にあなたの動揺や落ち込みはどう見えているか考えてみましょう。 |
自分の対処方法について、周りからどう見えているかを知 |
ることで、新たな対処の観点が得られることもあります。 |
チカラを伸ばす行動 実践のヒント
一日の仕事が終わる時に、今日あったことや感じたことを上司やリーダーに報告する |
仕事の中で改善したほうがいいと思うことを見つけ、上司やリーダーに伝える |
自分を見てくれている上司やリーダーに、報告・連絡・相談をこまめに行う |
報告は、仕事をするうえでとても重要なことです。あなた |
しか知らない情報や考えを共有することで、組織の生産 性が飛躍的に上がることもあります。 |
自分と同じ仕事を上手に行っている人に、 仕事の仕方や気をつけていることを聞いて、まねをする |
困っている人がいないか、自分にできる仕事はないか、意識して周りを観察し、できることがあれば手伝う |
自分に期待されている役割を上司に聞き、必要に応じて行動を修正する |
「学ぶ」という言葉の語源は「真似ぶ」であるように、うまくできている人のやり方を聞き、良い面を取り入れてまねを |
することはチカラを向上するうえでとても有効な方法です。 |
仕事上で、動揺したり落ち込んだりした経験を 思い出し、原因となったことと、自分個人の価値は別、と整理してみる |
動揺したり落ち込んだりすることが、自分や周りの人にとって、どんな価値や意味のあるものか考えてみる |
自分のストレスへの対処の仕方について、 改善点がないか上司や周りの人に聞いてみる |
注意された時、「自分ではできない」「自分はダメな人間だ」と考えるのは間違っています。「やったことがダメ」で |
あり、「それをやった人間がダメ」なのではありません。コトとヒト を分けて考えましょう。 |
4
行動をふりかえる・継続する
チカラを伸ばす行動を実践したら、「実践後の問い」を参考にして、自分の行動を振り返ってみます。取り組んだこと、その結果気づいたことを記録しておきましょう。
聴くチカラ
伝えるチカラ
遂げるチカラ
相手の話の腰を折らずに、最後まで聞く |
うなずく、あいづちをうつ、目を見る、 身をのりだすなど、話を聞いているという姿勢をみせる |
相手がなぜ、その話をしているのか、 相手の気持ちや状況を考えながら、話を聞く |
話を最後まで聞くことで、あなたの気持ちや相手の反応 |
に変化がありましたか? |
あなたが話を聞いているという姿勢をとることで、相手 |
はどう感じたと思いますか? |
会話だけで相手の気持ちや状況を全て察するのには限 |
界があります。普段からどんなことに気をつけておくと いいと思いますか? |
どのようなことを伝えてみましたか?改善点を伝えることは、 |
周りの人にとってどんないい影響を与えると思いますか? |
報告・連絡・相談をしたことで、あなたの気持ちや周りの |
人の反応にどのような変化がありましたか? |
チカラを伸ばす行動 実践後の問い
一日の仕事が終わる時に、今日あったことや感じたことを上司や、リーダーに報告する |
仕事の中で改善したほうがいいと思うことを見つけ、上司やリーダーに伝える |
自分を見てくれている上司やリーダーに、報告・連絡・相談をこまめに行う |
報告したことで、あなたの気持ちや周りの人の反応に変 |
化がありましたか? |
自分と同じ仕事を上手に行っている人に、 仕事の仕方や気をつけていることを聞いて、まねをする |
困っている人がいないか、自分にできる仕事はないか、意識して周りを観察し、できることがあれば手伝う |
自分に期待されている役割を上司に聞き、必要に応じて行動を修正する |
何をマネしてみましたか?あなたの気持ちや周りの人の |
反応に変化がありましたか? |
仕事上で、動揺したり落ち込んだりした経験を思い出し、原因となったことと、自分個人の価値は別、と整理してみる |
動揺したり落ち込んだりすることが、自分や周りの人にとって、 どんな価値や意味のあることか考えてみる |
自分のストレスへの対処の仕方について、 改善点がないか上司や周りの人に聞いてみる |
考え方を変えて、何か発見はありましたか? |
律するチカラ
手伝ってみることで、あなたの気持ちや周りの人の反応 |
に変化がありましたか? |
上司に自分の役割をあらためて確認することのいい点は |
何だと思いますか? |
あなたの落ち込みは周りの人にとってどういう意味があ |
りましたか? |
改善点は見つかりましたか? |
ここまでのプロセスを1か月続けてみます。それができたら、3か月間続けます。そして、再度、自分のチカラのレベル診断をして、自分のチカラの変化を確認してみましょう。
5
まとめ
「4つのチカラ」を伸ばすには順序があります。まずは、現状を知り、その後、チカラを伸ばす行動をして、そしてそれを継続することでチカラを身につけます。
これまで無意識に行っていたことを、意識して実践することで気づきが生まれて自分の成長を実感することができます。
自分の力を知る
無意識に行動できる
=成長
伸ばす力を決める
意識して 行動することを
継続する
最初は、どれか1つのチカラについて、1つの「チカラを伸ばす行動」に取り組んでみることから始めるとよいでしょう。1日に1回以上実践するのが目安です。最初は大変ですが、だんだん周りの人たちの反応が変わっていくと、チカラが身についているのが実感できるでしょう。行動ができたら、
「実践後の問い」に自分で答えてみることが大切です。そのときに、自分自身の変化や成長、気づきが得られているかどうかを確認してみましょう。
また、様々な職場で実践することで、自分のチカラを伸ばしやすい派遣先はどのような職場なのかということも分かるようになります。そのような気づきが得られたら、自分に合った派遣先を見つけやすくすることもできるでしょう。