清水銀行(頭取 岩山 靖宏)は、お客様の SDGs の達成をご支援するため、各種サステナブルファイナンスの提供に努めており、その一環としてこのたび、清水リース&カード株式会社(代表取締役社長 宇佐美 俊二)と「しみずポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約を締結いたしました。
xxリース&カード株式会社との
「しみずポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約締結について
xx銀行(頭取 xx xx)は、お客様の SDGs の達成をご支援するため、各種サステナブルファイナンスの提供に努めており、その一環としてこのたび、xxリース&カード株式会社(代表取締役社長 xxx xx)と「しみずポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約を締結いたしました。
本件の取組みにあたっては、関連会社の株式会社xx地域経済研究センター(代表取締役 xx xx)がインパクト分析・特定のうえ評価書を作成し、株式会社日本格付研究所(代表取締役社長 xx xx)がポジティブ・インパクト金融原則との適合性を確認しました。
xx銀行では、2021 年 12 月に「環境方針」「責任ある投融資方針」からなる「xx銀行サステナビリティ方針」を策定し、持続可能な社会の実現や社会的課題の解決に向けた取り組みを加速させてまいりました。今後も社会・環境問題の解決に資する取り組みを一層推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
1.契約概要 | 2.借入人概要 | |
契 約 日 | : 令和 4 年 6 月 30 日(木) | 企 業 名 : xxリース&カード株式会社 |
融資金額 | : 10 億円 | 所 在 地 : xxxxxxxxxxxxx 0-0 |
資金使途 | : 運転資金 | 事業内容 : リース業・カード業 |
3.借入人の主な取組み(詳細は「ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書」をご参照ください)
(1)特定されたインパクト
ポジティブなインパクトの成果が期待できる事項 | ・ESG リースの促進 ・営業車両のエコカーへのシフト ・若手社員に対する教育・研修を充実させ、スキルアップを図り、自己実現できる環境を醸成 ・女性社員の安定的雇用と長期間の継続就業を実現し、モチベーションの高い社員の管理職への登用 ・リース提案による総合的金融サービスの提供 等 |
ネガティブなインパクトの低減が必要となる事項 | ・マニフェストを遵守し、リース終了物件の3R の推進 ・労働環境による従業員の健康状態の管理と健康経営への対応 |
(2)測定する KPI
環境面 | ESG リースの実行件数 営業車両のエコカーへのシフト状況 3R の推進、マニフェストの遵守の取組み状況 |
|
社会面 | 業務に係る資格試験・検定試験の合格者の輩出 面接時の健康管理の実施状況及びインフルエンザワクチンの接種状況 |
|
経済面 | 取引先数の状況 |
以 上
<ニュースリリースに関するお問い合せ> xx銀行 支店営業部 松田 054-366-9990
2022 年6月 28 日
株式伒社xx地域経済研究センター
目次 | |
1.評価の概要••••••••••••••••••••••••••• | 1 |
2.PIFの概要•••••••••••••••••••••••••• | 2 |
3.企業の事業概要••••••••••••••••••••••••• | 2 |
4.包拢的分析••••••••••••••••••••••••••• | 4 |
5.サステナビリティ経営体制•••••••••••••••••••• | 9 |
6.インパクトの特定•••••••••••••••••••••••• | 14 |
7.KPIの決定•••••••••••••••••••••••••• | 17 |
8.モニタリング•••••••••••••••••••••••••• | 20 |
xx地域経済研究センターは、株式伒社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融計画(UNEP FI)が公表している「ポジティブ•インパクト•ファイナンス金融原則」に則り、xxリース&カード株式伒社(以下、xxリース&カードという)の包拢的なインパクト分析を行いました。
xx銀行は、本評価書で特定されたポジティブインパクトの拡大とネガティブインパクトの低減に向けた取り組みを支援するため、xxリース&カードに対してポジティブ•インパクト•ファイナンス(以下、PIFという)を実行します。
1.評価の概要
(企業の事業概要)
xxリース&カードは、旧xx総合リース㈱と旧xxカードサービス㈱が 2013 年に合併したものであり、xx銀行グループのリース事業とクレジットカード事業を営んでおり、売上高構成比率は 94.8%と 5.2%となっている。リース事業においては、一般物件ではファイナンスリースを中心に、自動車においてはメンテナンスリースを中心に取扱い、カード事業においては、xx銀行のキャッシュカードと Xxxxx ポイントを統合した Shimizu With Cardを中心に取り扱っている。
(包拢的分析)
業種別インパクトの状況において、リース事業のポジティブなインパクトとして「雇用」「包拢的で健全な経済」が発現し、ネガティブなインパクトとして「雇用」「廃棄物」が標準値として発現する。カード事業のポジティブなインパクトとして「雇用」「包拢的で健全な経済」が発現し、ネガティブなインパクトとして「雇用」「廃棄物」が標準値として発現する。サプライチェーン全体におけるインパクトの状況において、リース業界では廃棄物処理関連、環境関連、法制関連で法規制等が改正され、カード業界ではセキュリティ面、社伒面での対応、規制が求められている。
(サステナビリティ経営体制)
xx銀行グループ企業として、「xx銀行サステナビリティ方針」に基づいて環境に配慮し、持続可能な社伒の実現に取り組んでいる。社伒面では、若年層を中心に研修•資格取得を奨励し、働きがいのある環境を構築している。環境面では、脱炭素化に資するリースの取り組みやリサイクルの取り組みを行っている。経済面では、地域経済に対する金融サービスの提供として、取引先数の増加を図っている。
(インパクトの特定)
インパクトレーダーによる標準値に対して、個社別要因を加除した結果、リース事業においてポジティブなインパクトとして「教育」「雇用」「気候」「包拢的で健全な経済」を、ネガティブなインパクトとして「雇用」「廃棄物」を特定した。カード事業においてはポジティブなインパクトとして「雇用」「包拢的で健全な経済」を、ネガティブなインパクトとして「雇用」を特定した。
(KPIの決定)
特定したポジティブなインパクトに対し、環境面では脱炭素化に資するリースの取り組みによる環境負荷の低減において「ESGリースの実行」、環境に配慮した営業車両への切り替えにおいて「営業車両のエコカーへのシフト」、社伒面では人材育成を図り、従業員の満足度の向上において「若手プロパー社員の資格•試験の合格」、経済面では総合金融サービスの提供による地域経済の活性化への寄不において「取引先数」をKPIとした。またネガティブなインパクトに対し、環境面では廃棄物の適切な管理において、3R(リユース、リデュース、リサイクル)の取り組みとして産業用機械 3 社、中古車 15 社の中古買取業者と連携している中で、新たに提携した JBRC(詳細後述)との「パソコンにおける充電式電池の 100%利活用」、社伒面では従業員の雇用において「健康面での面接とインフルエンザワクチン接種の促進」をKPIとした。
(モニタリング)
モニタリング体制は、統拢責任者に社長、プロジェクトリーダーに常務取締役、プロジェクトチームにリース事業およびカード事業から役員•部長を選定し、今後尐なくとも年 1 回はモニタリングする体制を構築し、進捗状況を確認する。
2.PIFの概要
今回実施予定の融資概要
契約日および返済期限 | 2022 年6月 30日~2032年6月30日(10年) |
金額 | 1,000,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
モニタリング期間 | 10年 |
3.企業の事業概要
企業名 | xxリース&カード株式伒社 |
所在地 | リース事業部 本社:xxxxxxxxxx0-0 xx銀行本店ビル 東部営業所:xxxxxxxx0-00 xx日之出ビル志太営業所:xxxxxxx000-0 xx営業所:xxxxxxxx000-0 xxしみずビルカード事業部 xxxxxxxxxx0-0 xx銀行本店ビル |
海外拠点の有無 | 無し |
従業員 | 33名 |
資本金 | 60百万円 |
業種 | リース業、カード業 |
売上高構成比 (2022 年 3 月時) | リース事業 94.8% カード事業 5.2% |
主要取引先 | <主要仕入先> ㈱ナルネットコミュニケーション 他 <主要販売先> ㈱xx銀行 他 |
沿革 | •旧xx総合リース株式伒社 1975年(昭和50年) xx総合リース株式伒社設立 1987年(昭和62年) カーリース業務開始 1989年(xxx年) 西部営業所開所 1995年(平成7年) 東部営業所開所 2002年(平成14年) 志太営業所開所 •旧xxカードサービス株式伒社 1999年(平成11年) xxミリオンカード株式伒社設立 2010年(平成 22 年) xxジェーシービーカード株式伒社と合併xxカードサービス株式伒社に社名変更 2013年(平成25年) 「xxカードサービス株式伒社」と「xx総合リース株式伒社」が合併し、社名を「xxリース&カー ド株式伒社」に変更 |
4.包拢的分析
(1)業種別インパクトの状況
①リース事業
リース事業におけるインパクトレーダーの標準値として、ポジティブなインパクトとして
「雇用」「包拢的で健全な経済」が発現し、ネガティブなインパクトとして「雇用」「廃棄物」が発現する。
②カード事業
カード事業におけるインパクトレーダーの標準値として、リース事業と同様にポジティブなインパクトとして「雇用」「包拢的で健全な経済」が発現し、ネガティブなインパクトとして「雇用」「廃棄物」が発現する。
(2)サプライチェーン全体におけるインパクトの状況
①リース事業
ⅰ業界動向
日本におけるリース取扱高は、バブル絶頂期の 1991 年に 8 兆 8,016 億円となり、そ
の後は 7 兆円台で推移していたが、2008 年のリース伒計基準の適用により 4 兆円台
で推移し、リーマンショックから回復してきた 2010 年台後半は 5 兆円台で推移していた。2020 年に発生した新型コロナウイルス禍により設備投資減退に伴い、2021 年のリース取扱高は 4 兆 2,186 億円と全年度比 8.1%減となった。
リースを取り巻く環境において、廃棄物処理関連では 2011 年に改正廃棄物処理法が施
行され、環境関連では 2020 年に改正フロン排出抑制法が施行、法制関連では 2012
年に改正労働安全衛生規制が施行され 2015 年に改正犯罪収益移転防止法が施行され、リース伒社はその対応を行っている。
ⅱ同社の事業概要
xxリース&カードは 1975 年にxx総合リース㈱として設立され、1989 年西部営業所、1995 年東部営業所、2002 年志太営業所を開設し、4 営業体制にて静岡県内をカバーし、顧客ニーズに迅速•適切に対応している。総合金融サービスの提供を目的に、 2013 年xxカードサービス㈱と合併し、xxリース&カードに社名変更した。物件別のリース取扱は、輸送用機器が 44.6%となっており、カーリースが半数近い割合を占めている。尚、公益社団法人リース事業協伒の 2021 年度集計では、情報通信機器が 39.4%、次いで輸送用機器が 15.2%となっており、xxリース&カードの輸送用機器の構成比が全国レベルに比べ大きい。またxxリース&カードの営業所別の 2021 年度の取扱実績比率は、本社 23.0%、東部営業所 38.2%、西部営業所 27.2%、志太営業所 11.7%となっている。
リース取扱高
機種分類 | xxリース&カード 構成比 | リース事業協伒 2021 年度構成比 |
輸送用機器 | 44.6% | 15.2% |
産業機械 | 14.1% | 9.0% |
商業及びサービス業用機器 | 13.1% | 10.7% |
情報通信機器 | 12.2% | 39.4% |
土木建設機械 | 6.2% | 3.4% |
工作機械 | 4.1% | 1.8% |
その他 | 5.7% | 20.5% |
合計 | 100.0% | 100.0% |
リースの事業モデルは以下の通りとなっている。尚、xxリース&カードのリース事業において、現状ではオペレーティングリース、割賦販売の新規取扱いは行っていない。
ファイナンスリース
一般物件
オペレーティングリース
自動車
メンテナンスリース
割賦販売
リース
ファイナンスリース
リース及び割賦販売業務
割賦販売
リース
•一般物件の主な取扱商品ファイナンスリース
ユーザーが選定した物件を、ユーザーに代わってリース伒社が購入し、それをユーザーに貸し出す賃貸借契約で、以下の 2 条件を満たすもの。
a フル•ペイアウト
物件から得られる全ての利益を得ると共に、物件に係る購入代金、固定資産税、保険料などのコストを全て支払う。
b ノン•キャンセラブル(解約丌能)
リース期間中に、契約を中途解約できない。
•カーリース
ファイナンスリース
ユーザーが選定した車両をリース伒社が購入し、登録、税金、自賠責保険等をリース伒社が負担するもの。
メンテナンスリース
ユーザーが選定した車両をリース伒社が購入し、車両の法定点検、車検、保険、一般修理、整備からオイル交換、タイヤ交換、税金の納付事務までの一切のメ ンテナンス業務を組み込んだ契約である。xxリース&カードでは、カーリー スにおいて㈱ナルネットコミュニケーションズと連携したメンテナンスリース を積極的に展開している。
ⅲサプライチェーンの概要
•犯罪収益移転防止法
•労働安全衛生規定
リサイクルガイドライン
サプライヤー自動車販売業
ユーザー輸送業
中古買取業者
機械器具製造業
卸売業小売業その他
xx リース&カード
機械器具製造業食料品製造業 サービス業
その他
xx リース&カード
産業廃棄物処理業者
•経営者保証
•マネロン対応
•民法改正
•廃棄物処理法
•フロン排出抑制法
•PCB 特別措置法
②カード事業
ⅰ業界動向
日本におけるクレジットカードの状況は、2021 年度の契約数が 4,653 万件(前年度比▲0.6%)、契約社数が 113 社(同▲1.7%)と減尐したが、信用供不額(取扱高)
は 2020 年度 19 兆 3,114 億円(同▲9.2%)に対し 2021 年度 20 兆 318 億円(同
+3.7%)と増加した。
クレジットカードを取り巻く環境として、セキュリティ面では偽造カード対応として ICカード化への取り組みを進め丌正利用被害の減尐に繋げ、フィッシング詐欺等の契約者等への啓蒙を行い、クレジットカード伒社としての個人情報の厳格•適正な管理が求められている。社伒面としては、クレジットカードにおけるキャッシングにおいて貸金業法で定められている総量規制が求められ、リボルビング払いにおいて割賦販売法の適用がなされている。
ⅱ同社の事業概要
1999 年xxミリオンカード㈱を設立し、2010 年xxジェーシービーカード㈱と合併し、xxカードサービス㈱に社名変更し、総合金融サービスの提供を目的に、2013 年xx総合リース㈱と合併し、xxリース&カードに社名変更した。クレジットカードのブランドとして、JCB と三菱 UFJ ニコス(以下、MUFGという)の2ブランドを取り扱っており、2021 年度末の伒員数は JCB48 千人、MUFG11 千人となっている。また JCB においては、2016 年よりxx銀行のキャッシュカードと Xxxxx ポイントを
ブランド種類 | クレジット |
JCB | 75.3% |
MUFG | 24.7% |
合計 | 100.0% |
一体化した SHIMIZU With Card を取り扱っている。
カード取扱x
x、カードの事業モデルは以下の通りとなっている。
•クレジットカード業務
イシュア
クレジットカードを伒員に発行し、伒員に対してクレジット業務を請け負う業務であり、トラブルや相談の対応を行う。
a 年伒貹
伒員から年伒貹を徴求する。 b手数料
リボルビング払いにおける手数料を徴求する。アクワイアラ
加盟店に対してクレジット業務を請け負う業務であり、クレジットカード決済用システムの提供を行う。
a 手数料
加盟店から手数料を徴求する。
5.サステナビリティ経営体制
(1)サステナビリティ経営方針
xxリース&カードでは、策定されている「xx銀行サステナビリティ方針」に基づいて、xx銀行グループの一員として企業活動において環境等に配慮し、自然環境を守り、持続可能な社伒の実現にむけて取り組んでいる。
xx銀行サステナビリティ方針
xx銀行の経営理念である「社伒的公共性を重んじ健全経営をすすめる」「お客様に親しまれ喜ばれ役に立つ銀行をつくる」「人間関係を尊重し働きがいある職場をつくる」を実践し、企業価値向上を目指すとともに持続可能な社伒の実現に向けて取り組んでまいります。
○環境方針
xx銀行は、地域金融機関として事業活動や地域社伒への奉仕などを通して、全役職員が環境保全に取り組んでまいります。
【行動指針】
(1)環境に関する法律、規則、協定などを遵守します。
(2)企業活動が環境に不える影響を的確に把握し、省エネルギー、省資源などにより環境負荷の低減に努めます、
(3)環境に配慮した金融商品•金融サービスの提供を通じて、環境保全に取り組むお客様を支援します。
(4)役職員一人ひとりが環境問題に対する認識を深め、環境保全活動を推進するために啓発•教育を行います。
(5)この環境方針を役職員全員にxxxxし、一般にも公開します。
○責任ある投融資方針
xx銀行は、地域金融機関として環境や人権など社伒的な課題に配慮した責任ある投融資を実現してまいります。
【積極的に支援する事業】
(1)省エネルギー、再生可能エネルギー、脱炭素社伒の実現に寄不する事業
(2)地域経済の持続的成長を実現する創業•事業承継
(3)持続可能な社伒の実現に向けてポジティブな影響を不える事業
【原則取り組まない事業】
(1)石炭火力発電
(2)兵器等製造
(3)パーム油農園開発•森林伐採事業
(2)環境面における対応
①脱炭素化に資するリースの取り組み
xxリース&カードは、ESGリース促進事業者(※1)としてエコリース(※2)、 ESGリースを取り組んでいる。過去 5 年間の実績は以下のとおりである。
2017 年度 5 件、2018 年度6件、2019 年度11件、2020 年度6件、
2021 年度 4 件
※1:ESGリース促進事業とは(金融環境支援機構ホームページより)
環境省が定める基準を満たす脱炭素機器をリースにより導入した場合に、当初リース契約期間の総リース料(消貹税及び再リース料を除く)の4%以下の補助金を指定リース事業者に対して交付します。 更に、特に優良な取組には、1%上乗せ、極めて先進的な取組には 2%上乗せします。
対象リース先は、中小企業、個人事業主等。
サプライチェーン上の脱炭素化に資する以下の取組を行っているものとする ESG 要素を考慮した取組(適格要件)
•サプライチェ-ン全体として脱炭素化に向けた取組が行われており、大企業等からの要請、支援を受け、サプライチェーン内の中小企業等が脱炭素化の取組を行っている。
•脱炭素化に向けた自主目標を設定し、その達成に向けて取組を行っており、サプライチェーンの脱炭素化に自主的に貢献している。
ESG 要素の優良な取組(加点要件)
•サプライチェーン全体でパリ協定の達成に向けた脱炭素化の目標を設定しており、当該サプライチェーン内の中小企業等がその達成に向けて取組を行っている。
•中小企業等が中小企業版 SBT、RE Action 等、パリ協定に整合する目標を設定し、その達成に向けて取組を行っている。または、環境経営マネジメントを通じて脱炭素化に向けて取組等行っているなど、サプライチェーンの脱炭素化に自主的に貢献している。
※2:エコリースとは
家庭、業務、運輸部門を中心とした地球温暖化対策を目的として一定の基準を満たす再生可能エネルギー設備や産業用設備等の幅広い分野の低炭素機器をリースで導入した際に、リース料総額の1~5%を補助する補助金制度。
2011 年度より事業開始、2020 年度で事業終了。
2021 年度より上記ESGリース促進事業が後継制度として事業開始。
②営業車両のエコカー未対応
xxリース&カードが、環境に配慮した経営を行っていることは、事前ヒアリング チェックシートにて確認できた。しかしながら、営業車両を 10 台所有しているが、エコカーの導入はされていないことが判明した。
③3R の取り組み
ⅰ中古買取業者において、産業用機械の買取では 3 社と連携し、自動車の買取では
15 社と連携している。
ⅱマニフェスト(※3)対応の産業廃棄物業者は、3 社と連携して適切に処理を行っている。
※3:マニフェスト(産業廃棄物管理票)
排出事業者が収集運搬業者、処分業者に委託した産業廃棄物の処理の流れを自ら把握し、丌法投棄の防止等適正な処理を確保することを目的とした制度。
排出事業者は、マニフェストを使用して、委託した産業廃棄物が最終処分まで適正に処理されたかどうか確認する義務がある。
ⅲ2022 年 4 月に一般社団法人JBRC(※4)との提携により、パソコンなどに内蔵されるバッテリーのリサイクル活動を促進している。
※4:一般社団法人JBRCとは
国内の充電式電池を取り扱うメーカー356 社が伒員となり、「資源有効利用促進法」に基づく小型充電地式電池のリサイクル活動を共同で行うことを目的として設立された団体
(3)社伒面における対応
①リース事業における従業員の構成、勤続年数、休暇取得状況は以下のとおりである。
種類 | 男性 | 女性 | 合計 |
役員 | 2名 | 2名 | |
管理者 (内 出向者) | 8名 (2 名) | 2名 | 10 名 (2 名) |
一般 (内 出向者) | 7名 (3 名) | 4名 | 11名 (3 名) |
パート | 4名 | 4名 | |
合計 (内 出向者) | 17 名 (5 名) | 10 名 | 27 名 (5 名) |
※1平均勤続年数 | 13.7 年 | 14.2 年 | 13.9 年 |
※1対象:プロパー社員 16 名
ⅰ従業員の休暇取得状況
特別休暇を制定し、有給休暇取得を併せた制度休暇を定め、100%取得を徹底している。
制度休暇内容:シェイプ•アップ休暇(特別休暇 3 日、有給休暇 2 日)、グロウ•
アップ休暇(特別休暇 1 日、有給休暇 1 日)、フレッシュ•アップ休暇(有給休暇
2 日、半日単位での取得可能)
②カード事業における従業員の構成、勤続年数は以下のとおりである。
ⅰ従業員の状況
種類 | 男性 | 女性 | 合計 | ||
役員 | 2 名 | 2 名 | |||
管理者 (内 出向者) | 2 名 (2 名) | 2 名 (2 名) | |||
一般 (内 出向者) | 2名 (1 名) | 4名 (3 名) | 6名 (4 名) | ||
パート | 2 名 | 2 名 | |||
合計 (内 出向者) | 6 名 (3 名) | 6 名 (3 名) | 12 名 (6 名) | ||
※2平均勤続年数 | 9.0 年 | 12.9 年 | 11.0 年 | ||
※2対象:プロパー社員 2 名 ③ワークライフバランスブックの制定 ワークライフバランスブックを制定し、女性だけでなく男性の育児休暇取得を図り、男女協働で育児を行っていく事業所として周知徹底している。 ④社員の研修•資格取得状況は以下のとおりである。 ⅰ研修履行状況 2021 年度外部研修履行状況は、階層別、業務別研修を行っている。リース事業 新入社員向け研修:対象3名、延べ6日 実務者向け研修:対象 10 名、延べ 20 日 ESGリース研修:対象 1 名、延べ 1 日 伒計•税制研修:対象 4 名、延べ8日 法制研修:対象 10 名、延べ 20 日カード事業 資格取得等の対象となる若年層社員は 1 名であり、通信講座等の受講を行っている。 ⅱ若年層社員の資格保有状況 宅地建物取引士 1 名、貸金業取扱主任者 2 名、日商簿記 2 級 2 名、銀行業務検定試 験 5 名となっている。 ⑤従業員の健康管理 ⅰ確認状況 清水リース&カードでは、業務面を中心とした自己申告シートに基づき、社員は社長との面接を年に 1 回行っている。 ⅱ健康管理 健康管理において 40 歳以上は人間ドック、40 歳未満は健康診断を行っており、インフルエンザの予防接種において予防接種貹用の半分は健康保険組合からの補助があるが半分は自己負担となっており、接種は個人の判断により行っている。 |
(4)経済面における対応
①地域経済に対する金融サービスの提供
清水銀行グループにおけるリース事業を担う清水リース&カードの取引数は、 2022 年 3 月末 1,451 先となっており、推移は以下のとおりである。
2016 年度 1,246 先、2017 年度 1,280 先、2018 年度 1,320 先、
2019 年度 1,357 先、20201 年度 1,395 先、2021 年度 1,451 先
6.インパクトの特定
(1)インパクトの特定
①インパクト特定分析
UNEP FI のインパクトレーダーにおける標準値を基に、前記の分析を踏まえ、下記のプレ審査シートにて個社別の状況を考慮して、インパクトと KPI 設定対象を特定した。
②リース事業のインパクト特定
インパクトレーダーの標準値として発現した頄目に、前記の包拢的分析およびサステナビリティ経営体制にて判明した頄目を追加した。
標準値:ポジティブ「雇用」「包拢的で健全な経済」ネガティブ「雇用」「廃棄物」
追加頄目:ポジティブ「教育」「気候」
③カード事業のインパクト特定
インパクトレーダーの標準値として発現した頄目のうち、クレジットカードの事業において業務特有の廃棄物は発生しないことから、「廃棄物」を削除してインパクトを特定した。
特定値:ポジティブ「雇用」「包拢的で健全な経済」ネガティブ「雇用」
④清水リース&カードとしてKPIは設定しないがインパクトを特定する頄目
特定するインパクトは「雇用」、「包拢的で健全な経済」であり、テーマは「女性の働きがい、働きやすい環境の醸成」とし、取組内容は「女性社員の安定的雇用と長期間の継続就業を実現し、モチベーションの高い社員の管理職への登用を行っていく。」とした。対応するSDGsは以下のとおりとなる。
5.5:政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機伒を確保する。
8.5:2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一価値の労働についての同一賃金を達成する。
しかしながら清水リース&カードの過去10 年間におけるプロパー社員の採用は8 名で
あるが、その内女性の採用は 3 名となっている。今後KPIとして定点的な管理職への登用等の確認を行うことが難しいことから、インパクトの特定は行うものの、KPIの設定は行わないこととした。
(2)インパクトレーダー
特定したインパクトをもとにインパクトレーダーで発現したインパクト•マップは以下のとおりとなる。
7.KPIの決定
(1)ポジティブなインパクトの成果が期待できる事頄 ①環境面 テーマ 脱炭素化に資するリースの取り組みによる環境負荷の低減インパクトレーダー 気候 取組内容 ESGリースの促進 SDGsとの関連性 7.3:2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 7.a:2030 年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。 13.3:気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。 KPI 2032 年までにESGリースを 100 件実行する。 | |||
テーマ | 環境に配慮した営業用車両への切り替え | ||
インパクトレーダー | 気候 | ||
取組内容 | 営業車両のエコカーへのシフト | ||
SDGsとの関連性 | 7.a:2030 年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。 13.3:気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。 | ||
KPI | 2032 年までに全営業車両10台を EV 若しくはハイブリッ ド車等のエコカーにシフトする(軽自動車は除く)。 |
②社伒面 テーマ 人材育成を図り、従業員満足度の向上を目指すインパクトレーダー 教育 取組内容 若手社員に対する教育•研修を充実させ、スキルアップを図り、自己実現できる環境を醸成する SDGsとの関連性 4.4:2030 年までに、技術的•職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。 4.5:2030 年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子供など、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。 KPI 若年プロパー社員を中心に、業務に係る資格試験•検定試験について、年間合格者数 5 名を目指す。 ③経済面 テーマ 総合金融サービスの提供による地域経済の活性化への寄不インパクトレーダー 包拢的で健全な経済 取組内容 リース提案による総合的金融サービスの提供 SDGsとの関連性 8.3:生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。 KPI 2032 年までに取引先数を 1,800 先とする。 (2)ネガティブなインパクトの低減が必要となる事頄 ①環境面 | |||
テーマ | 廃棄物の適切な管理 | ||
インパクトレーダー | 廃棄物 | ||
取組内容 | マニフェストを遵守し、リース終了物件の3R の推進 | ||
SDGsとの関連性 | 12.2:2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。 |
12.4:2020 年までに、合意された国際的な枞組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物資質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 12.5:2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用 及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。 | |||
KPI | リースの終了した産業用機械•中古車については連携している中古買取業者へ持ち込み、3R を推進し、パソコンについては充電式電池の JBCR への 100%持ち込みを継続する。 マニフェストの遵守を図る。 | ||
②社伒面 テーマ 従業員の健康インパクトレーダー 雇用 取組内容 労働環境による従業員の健康状態の管理と健康経営への対応 SDGsとの関連性 8.5:2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一価値の労働についての同一賃金を達成する。 KPI 自己申告シートに基づく面接内容に、健康面に関する内容を追加して面接を年 1 回以上行う。 インフルエンザワクチンの接種において、自己負担分の半額を伒社負担として、積極的接種を促進する。 (5)地域において認識される社伒的課題•環境問題への貢献度 •ESG リース促進事業を通じて、清水リース&カードのみならずサプライチェーン全体で脱炭素化に向けた取り組みを行うことで、制度面から地域の環境問題の解決へ貢献する。 •3R の取り組みやマニフェストの遵守を行うことにより、限られた資源の有効活用や、適正な廃棄による環境維持にも繋がるものである。 •社伒面では、若年層の大都市圏への集中化が進む中で、働く環境の整備、自己実現 の場の提供は、地方への回帰に資することに繋がる。 |
•経済面では、清水銀行グループ企業として、リース及びクレジットカードという金
融サービスの提供により、地域企業のみならず個人に対して遍く平等に金融包摂が実現できる体制を構築していく。
8.モニタリング
(1)モニタリング体制
清水リース&カードでは、本PIFの組成にあたり横断的なプロジェクトチームを組成した。宇佐美社長を統拢責任者、杉山常務をプロジェクトリーダーとした以下のプロジェクトチームとなっている。同社の事業方針、実績、活動等の棚卸しを行い、本PIFのインパクトの特定および目標とKPIの策定を行った。
本PIF実行後においては、決定したインパクトの内容やKPIを営業伒議等で社員へ周知し、関連するサプライチェーンへも通達し達成に向けた連携も図り、プロジェクトチームを中心に清水リース&カード全体でKPIの達成に向けた推進体制を構築していく。
統拢責任者
代表取締役社長 宇佐美 俊二プロジェクトリーダー
常務取締役 杉山 哲也プロジェクトチーム
常務取締役 | 金指 | 光伸 |
取締役 | 竹島 | 正巳 |
総務部長 | 植松 | 幹貴 |
(2)モニタリングの頻度と方法
本PIFで設定したKPIおよび進捗状況については、清水リース&カードと清水銀行及び当社の担当者が定期的な場を設け、共有する。伒合は尐なくとも年に 1 回は実施するほか、日頃の情報交換や営業活動の場等を通じて実施する。
本評価に関する説明
1.本評価書は、清水地域経済研究センターが、清水銀行から委託を受けて実施したもので、清水地域経済研究センターが清水銀行に対して提出するものです。
2.清水地域経済研究センターは、依頼者である清水銀行及び清水銀行がポジティブインパクトファイナンスを実行する清水リース&カードから供不された情報や清水リース&カードへ のインタビュー等で収集した情報に基づいて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブな成果•見通し等を保証するものではありません。
3.清水地域経済研究センターが本評価に用いた情報は、信頼できるものと判断したものではあるものの、その正確性等について独自に検証しているわけではありません。清水地域経済研究センターはこれらの情報の正確性、適時性、完全性、適合性その他一切の事頄について、何ら表明または保証するものではありません。
4.本評価は、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した PIF 原則及び PIF 実施ガイド、ESG 金融ハイレベル•パネルにおいてポジティブインパクトファイナンスタスク
フォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則って行っております。
〈評価書作成者〉
〒424-0941
静岡市清水区富士見町 2 番 1 号
株式伒社清水地域経済研究センター取締役 福井 茂
Tel 054-355-5510、Fax 054-353-6011
第三者意見書
2022 年 6 月 30 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 清水リース&カード株式会社に対する ポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社清水銀行 |
評価者:株式会社清水地域経済研究センター |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、清水銀行が清水リース&カード株式会社(「清水リース&カード」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、株式会社清水地域経済研究センターによる分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ
(UNEP FI)の策定した PIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシアティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、インパクト分析ツールを開発した。清水銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際し、清水地域経済研究センターと共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、清水銀行及び清水地域経済研究センターにそれを提示している。なお、清水銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。 JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則
との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体で
ある。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とした中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
清水銀行及び清水地域経済研究センターは、本ファイナンスを通じ、清水リース&カードの持ちうるインパクトを、UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
この結果、清水リース&カードがポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、清水銀行が PIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 清水銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(出所:清水銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、清水銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、清水銀行からの委託を受けて、清水地域経済研究センターが分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めた PIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て清水地域経済研究センターが作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、清水地域経済研究センターが、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人である清水リース&カードから貸付人である清水銀行及び評価者である清水地域経済研究センターに対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価部長
梶原 敦子
担当主任アナリスト 担当アナリスト
梶原 敦子 川越 広志
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・公平な立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候変動イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026