又は最寄の労働基準監督署(P48)へお問い合わせください。■■
ステップ2 基本編
労働条件について
賃 金
賃金は、給料・手当・賞与など名称に関係なく、「働いたことの対価として支払われるすべてのもの」をいいます。
賃金って、一体いくらもらえるの?
賞与(ボーナス)や退職金は?
こうしたことがらについては、「就業規則」で定められることになっています。
ちんぎんし は ら ご げんそく
また、賃金の支払いに関しては、「賃金支払いの5原則」と呼ばれる規定が設けられて
います。 【労働基準法第 24 条】
- 10 -
≪ここがポイント!≫
賃金支払いの5原則
1.通貨払いの原則(現金で)
※(例外)本人の希望又は同意により口座振込が可能
2.直接払いの原則(本人に)
3.全額支払の原則(全額を)
げんせんちょうしゅう ちんぎんxxxょきょうてい
※(例外)税金・社会保険料などの源泉徴 収 、賃金控除協定による控除等
4.毎月払いの原則(毎月1回以上)
5.一定期日払いの原則(一定の期日に)
【賃金とみなされるもの】
・使用者が任意的に恩恵的に支払う退職金や災害見舞金等のうち、労働協定、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給条件が明確になっているもの
・給与所得税額や社会保険料について、本人負担分を使用者が労働者に代わって支出する場合の税金補助金ないし保険料補助金
・通勤手当又はその現物支給としての通勤定期券
注目
さいていちんぎんせ い ど
≪ 最低賃金制度 ≫
パートやアルバイトに就いている人も含めて、すべての労働者を対象に、最低限
支払わなければならない賃金の額が最低賃金法に基づき定められています。
●最低賃金には、都道府県ごとに定められている地域別最低賃金と関係労使の申出に基づき最低賃金審議会の調査審議を経て、同審議会が地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めた産業について設定される特定
(産業別)最低賃金があります。
三重県では、4業種について特定(産業別)最低賃金が適用されています。
*三重県最低賃金(地域別最低賃金)は、原則として三重県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます。
み え ろうどうきょくちんぎんしつ
■■最低賃金に関する詳しいことは三重労働局賃金室(☎ 059-226-2108)
ろうどうきxxxかんとくしょ
又は最寄の労働基準監督署(P48)へお問い合わせください。■■
- 11 -
労 働 時 間
労働時間とは、仕事のはじまり(始業)から終わり(終業)までの時間から休憩時間
こうそくじ か ん
を除いた時間です。(始業から終業までの時間を拘束時間といいます。)
労働基準法では、労働時間について、1週間で 40 時間、1日あたりでは 8 時間を超
ほうていろうどうじ か ん
えてはならないと定めており、これを「法定労働時間」といいます。(一定期間の変形労
働時間制もあります。)
※ただし、一定の業種で常時 10 人未満の事業場では、1週間で 44 時間が特例措置として認められています。
≪ここがポイント!≫
休憩時間にはどんな決まりがあるの?
労働基準法により、次の時間が原則、一斉に与えられることが定められています。
・1日の労働時間が6時間を超えて8時間以内の場合(1日あたり)45 分以上
・1日の労働時間が8時間を超える場合(1日あたり)1時間以上
【労働基準法第 34 条】
休憩の3原則
・労働時間の途中に与えなければなりません
・一斉に与えなければなりません
・自由に利用させなければなりません
(例)一般的な会社の 1 日の労働時間、休憩、残業の図
拘束時間(始業から就業までの全時間)
所定労働時間 | 休憩 | 所定労働時間 |
始業 終業
休 日
労働基準法では、毎週少なくとも1日または4週間に4日以上の休日を与えることが義務づけられています。 【労働基準法第 35 条】
ただし、何曜日を休日にするかは、それぞれの会社(事業場)で自由に決めることができます。(会社(事業場)によっては、土曜日や日曜日が休日にならないこともあります。)
- 12 -
ね ん じゆうきゅうきゅうか
年次有給休暇
年次有給休暇は、会社(使用者)から賃金が支払われる休暇日のことです。原則として労働者が希望する日に取ることができますが、例外的に、事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者は他の時季に与えることができます。
また、2018 年の法改正により、年次有給休暇日数の法定付与日数が 10 日以上である労働者に対して、その日数のうち最低でも年5日の休暇を取得できるように、会社(使用者)は、労働者ごとにその時季を指定して与えることが義務付けられています。
? 皆さんは、何日間、休みを取ることができるのでしょうか ? ・労働基準法では、最初に雇用されてから6か月間継続勤務し、その間、すべての労働日の8割以上出勤すれば、年次有給休暇を原則として 10 日取得することができます。
さらに、勤続年数に応じて、表1 の日数が年間の休暇として保障されています。(所定労働日数の8割以上の出勤が必要)【労働基準法第 39 条】
表1 一般の労働者の年次有給休暇日数
勤続年数 | 6 か月 | 1年 6か月 | 2年 6か月 | 3年 6か月 | 4年 6か月 | 5年 6か月 | 6年 6か月以 上 |
年次有給休暇日 数 | 10 日 | 11 日 | 12 日 | 14 日 | 16 日 | 18 日 | 20 日 |
年次有給休暇は、いきいきと働き続けるために労働者に認められた大切な権利です。
注目
≪年次有給休暇 年5日の取得を企業に義務付け!≫
すべての使用者は、労働者(※)に年5日の年次有給休暇を与えなければなりません。
※ 1.雇入れの日から6か月継続して雇われていること
2.全労働日の8割以上出勤していることこの2点を満たす必要があります。
- 13 -
しょていろうどうにっすう
パートタイム労働者の方も、所定労働日数に応じて、表2 のとおり年次有給休暇が保障
されています。
表2 パートタイム労働者(週 30 時間未満)の年次有給休暇日数
週所定労働日数 | 年間所定労働日数 | 勤 | 続 | 年 | 数 | ||||
6か月 | 1年 6か月 | 2年 6か月 | 3年 6か月 | 4年 6か月 | 5年 6か月 | 6年 6か月 以上 | |||
4日 | 169~216 日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 | |
3日 | 121~168 日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | |
2日 | 73~120 日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | |
1日 | 48~72 日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
※1週間の所定労働時間が 30 時間以上又は所定労働日数が5日(年間 217 日)以上のパートタイム労働者は、表1 の日数が適用されます。
時間外労働・休日労働・深夜労働 【労働基準法第 37 条】
〇時間外労働(残業)
法定労働時間(1日8時間、1週 40(44)時間)を超えて働くことで、割増された賃
金が支払われることとなります。なお、法定労働時間内で、所定労働時間(会社が決め
ほうないざんぎょう
た労働時間)を超えて働いた場合(法内残業)は、通常賃金の支払いは必要ですが、割
増は義務ではありません。
また、会社が労働者を時間外労働させる場合は、事前に「時間外労働・休日に関す
サブロクきょうてい
る協定(通称36 協定※)」を労働基準監督署に届け出る必要があります。
ただし、「36 協定」があるからといって、無制限に働かせていいというわけではなく限度時間(1 か月 45 時間・1年間 360 時間)が設けられ、臨時的な特別の事情がある例
外的な場合であっても、上回ることができない時間外労働の上限(年 720 時間、休日労
働を含めて複数月平均 80 時間、月 100 時間未満)が設けられています。(2024 年 3 月 31日まで適用が猶予・除外となる事業・業務(建設事業・自動車運転の業務・医師など)があります。)
※ 36 協定は、労働者の過半数で組織する労働組合または過半数を代表する者と会社との間で締結。
〇休日労働
法定休日(週1回又は4週に4回以上)に働くことで、割増された賃金が支払われることとなります。
〇深夜労働
午後 10 時~午前5時までの間に働くことで、割増された賃金が支払われることとなります。
- 14 -
①資本金の額又は出資の総額が | ②常時使用する労働者数が | |
小売業 5,000 万円以下 | 小売業 50 人以下 | |
サービス業 5,000 万円以下 | 又は | サービス業 100 人以下 |
卸売業 1億円以下 | 卸売業 100 人以下 | |
上記以外 3億円以下 | 上記以外 300 人以下 |
≪ここがポイント!≫
残業や休日出勤した時の割増金
労働者が時間外・休日・深夜労働をした場合、事業主は法律で定められた次の割増率の賃金を労働者に支払わなければならないとされています。
【労働基準法第 37 条】
◎(法定労働時間を超えて)時間外労働した場合時間外労働時間が
1か月 60 時間までの場合… 25%以上
*ただし 45 時間を超え 60 時間以下の場合には 25%を超える率とするよう努力義務が定められています。
1か月 60 時間を超える場合… 50%以上(※)
(※)中小企業については猶予されています。(2023 年 3 月 31 日まで)
猶予される中小企業
(注)各事業場単位ではなく、会社(法人または個人事業主)単位で判断する。
◎・法定休日に労働した場合… 35%以上
◎・深夜労働をした場合… 25%以上
安全衛生教育・健康診断・ストレスチェック
〇安全衛生教育
事業者は労働者を雇い入れたとき、又は作業内容を変更したときには、労働者が従事する業務に関する安全衛生のための教育を行わなければなりません。【労働安全衛生規則第 35 条】
〇健康診断
事業者は健康診断を、雇い入れの際及び1年以内ごとに1回(有害な業務や深夜業務等に従事する労働者については、その業務の配置換えの際及び6か月以内ごとに1回)定期に実施しなければなりません。 【労働安全衛生規則第 43 ~ 45 条】
〇ストレスチェック
ストレスチェックとは、心理的な負担の程度を把握するための検査で、常時 50 人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に医師、保健師等により実施しなければなりません。(50 人未満の事業場については努力義務)【労働安全衛生法第 66条の 10】
《参考サイト》 「xxxの耳」(xxxxx://xxxxxx.xxxx.xx.xx/)
国が開設している、働く人のメンタルヘルス対策(心の健康確保と自殺などの予防)及び過重労働対策のためのポータルサイトで働く人、その家族、事業者、上司・同僚、また支援する人向けの相談先、関係法令、取組事例、各種ツールなどの情報が一元化されて分かりやすく提供されています。
- 15 -
社会保険制度・税金について
(※1)この部分は、会社によって内容は異なります。
(※2)この部分は、会社によって特定保険料、基本保険料に区分されている場合があります。
(※3)この部分は、賃金控除協定を締結して控除されます。
- 16 -
通常、毎月の賃金(給料)からは、
社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)と 税金(所得税、住民税)が一定額ずつ差し引かれて、事業場を通じてそれぞれ納められます。
ほうていxxxょがく
これらは≪法定控除額≫と呼ばれています。
働いて得た賃金から税金を納めることは社会人としての大切な義務であり、また、社会保険制度へ加入することは、これから安心して暮らしていくための大切な支えを得ることです。
では、社会保険制度と税金について、順に説明します。
社会保険制度
社会保険制度とは、国民が生活するうえでの事故等に備えて、事前に強制加入の保険
そ う ご ふ じ ょ
に入ることによって、事故等が起こったときに生活を保障する相互扶助のしくみです。
社会保険には、「医療保険」(健康保険、国民健康保険、共済組合(短期給付)等)、
「年金保険」(厚生年金、国民年金、共済組合(長期給付)等)、「介護保険」、「雇用保険」及び「労働者災害補償保険」(労災保険)の5種類があります。
ここでは、民間企業で働く人を対象とする①健康保険、②厚生年金、③雇用保険、
④労災保険について説明します。
① 健康保険
目 的: 健康保険とは、業務外での一般生活における病気やケガ等に対して給付が行われるものです。(風邪や虫歯の治療等のために病院に支払った費用等)
費用負担: 保険料は、賃金に応じて、労働者(被保険者といいます)と事業主が半額ずつ負担します。
② 厚生年金
目 的: 厚生年金とは、労働者(被保険者といいます)の老後の生活保障を主な目的に、労働者本人や家族の生活の安定を図るための制度です。また障がい者になったときや亡くなった場合などにも年金や一時金が支給されます。
費用負担: 保険料は、賃金に応じて、労働者と事業主が半額ずつ負担します。
- 17 -
~公的年金制度のしくみ~
国民年金( 基礎年金
すべての 20 歳以上 60 歳未満の人が加入する
厚生年金
っており、その上に民間企業の労働者や公務員等が加入するされています。
つまり2階建ての仕組みになっているのです。
≪国民年金≫
)がベースとなが乗る形で構成
*第1号被保険者…・日本国内に住んでいる 20 歳以上 60 歳未満の農業・漁業・商業等の自営業の人及び学生等
*第2号被保険者…・厚生年金、共済組合の加入者(民間企業サラリーマン、公務員等)
*第3号被保険者…・厚生年金、共済組合の加入者に扶養されている 20 歳以上
60 歳未満の配偶者
【資料出所】厚生労働省年金局HP「年金財政ホームページ」
(xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxx/xxxxxx/xxxxxx/)
ねんきんじ む し ょ
■■社会保険に関する詳しいことは、最寄りの年金事務所(P58)にお問い合わせください■■
③ 雇用保険
雇用保険とは、労働者が失業した場合などに給付される保険であり、事業主は原則として1人でも従業員を雇用していれば保険に加入する必要があります。
保険料については、労働者自身も一定の割合で負担する必要があります。(負担額は事業の種類によって異なります)
み えろうどうきょくしょくぎょうあんていか
■■ 雇用保険に関する詳しいことは、三重労働局職 業 安定課(☎ 059-226-2305)又は最寄の
こうきょうしょくぎょうあんていじょ
公共 職 業 安定所(P50)にお問い合わせください ■■
ろうどうしゃさいがいほしょうほ け ん
④ 労災保険(労働者災害補償保険)
これから働き続けると、どんなに注意していても業務上や通勤途中に事故や災害に遭ってケガや病気をしてしまうことも考えられます。
ろうどうしゃさいがいほしょうほけんほう
このような場合に労働者を守るための制度として労働者災害補償保険法という法律に基づき、治療費等のための保険給付が受けられます。
労災保険はケガや病気の程度によって給付内容が異なります。
* 労災保険は、すべての労働者が対象となります。
* 給付を受けるための保険料は全額、会社(事業主)が負担し、労働者自身の賃金から差し引かれることはありません。
- 18 -
注目 ≪ 労 災 保 険 ≫
[主な給付]
・ケガや病気になり、診察を受ける場合
労災保険の指定病院にかかれば、診察費(治療・入院)は原則無料となります。
・ケガや病気により、仕事を休み、賃金が受けられない場合休業4日目から給付基礎日額の8割が給付されます。
み え ろうどうきょくろうさいほしょうか
労災保険に関する詳しいことは、三重労働局労災補償課(☎ 059-226-2109)
ろうどうきxxxかんとくしょ
又は最寄の労働基準監督署(P48)にお問い合わせください。
注目 ≪ 長期間の過重業務について≫
恒常的な長時間労働等の負荷が長期間にわたって作用した場合には、「疲労の蓄積」が生じ、これが血管病変等をその自然経過を超えて著しく増悪させ、その結果、脳・心臓疾患を発症させることがあります。
このことから、発症との関連性において、業務の過重性を評価するに当たっては、発症前の一定期間の就労実態等を考察し、発症時における疲労の蓄積がどの程度であったかという観点から判断します。
労働時間の評価の目安
1か月あたりの時間外労働時間 | 業務と発症との関連性 |
発症前1~6か月間にわたり概ね 45 時間以内 | 関連性が弱い |
発症前1~6か月間にわたり概ね 45 時間を超える | 関連性が徐々に強まる |
発症前1か月間に概ね 100 時間を超える、又は発症前2~6か月にわたって1か 月当たり概ね 80 時間を超える | 関連性が強い |
過重負荷の有無の判断
著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したと認められるか否かは、業務量、業務内容、作業環境等を考慮し、同僚等にとっても、特に過重な身体的、精神的負荷を認められる業務であるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断します。
業務の過重性の具体的な評価をするには、疲労の蓄積の観点から、労働時間のほか、労働時間以外の負荷要因(①勤務時間の不規則性 ②事業場外における移動を伴う業務 ③心理的負荷を伴う業務 ④身体的負荷を伴う業務 ⑤作業環境)について十分検討します。
- 19 -
- 20 -
税金
税金は、国や地方公共団体が様々な行政サービスを行うための費用であり、納税は国民の義務とされています。
納税の義務…国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
【日本国憲法第 30 条】
しょとくぜい
① 所得税
所得税とは国に納める税金の一つです。
1 年間(1月 1 日から 12 月 31 日)に得た個人の所得(賃金等)に対してかかる税金であり、会社等から賃金の支払いを受ける労働者(サラリーマン)の所得税は、毎月
げんせんちょうしゅう
の賃金やボーナスから引かれることとなっています。このことを「源泉徴 収 」と呼ん
でいます。
て ん び
毎月、「給料引き」(「天引き」ともいいます)される税金の額はあくまで見込額であ
り、その年の給料の総額が確定する 12 月の最後の賃金の支払い時に、生命保険料等所
ねんまつちょうせい
得から控除される額を差し引いて、精算されます。これが「年末調整」と言われるもの
です。
② 住民税
住民税の種類(次の2種類)
*「県民税」と呼ばれる県に納める税金
*「市(又は町)民税」と呼ばれる市又は町に納める税金
住民税は前年の所得が課税対象となっていますから、学校を卒業してはじめて働いた方は、働いた年の翌年 6 月から「給料引き」の対象となります。
- 21 -
か い こ
退職・解雇について
退職
退職とは、労働者自身の意思や事業主との合意に基づいて労働契約を終了させることをいいます。
退職の種類には、次のようなものがあります。
に ん いたいしょく
*任意退職・・・・・労働者の意思に基づくもの(自己都合退職)
ご う いたいしょく
*合意退職・・・・・労働者と使用者が合意したもの
*その他の退職・・・労働者の死亡、定年、契約期間の満了等によるもの
なお、任意退職する場合は、就業規則などで退職手続きを決めている会社がほとんどですからよく確認しましょう。
解雇
解雇とは、会社(使用者)の意思による一方的な労働契約の解除のことです。しか し、使用者は解雇を自由勝手にできるものではなく、法律では次のとおり規定されています。
≪ここがポイント!≫
解雇は、どんな場合であっても、それが客観的に合理的な理由があり、常識的にみ
だ と う
て妥当であると認められるような場合でなければ行うことができません!
【労働契約法 第 16 条(解雇権の濫用)】
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合
らんよう
は、その権利を濫用した(一定の基準や限度を超えてむやみに使った)ものとして、
無効とする。
- 22 -
[解雇予告]
会社は労働者を解雇しようとする場合は、少なくとも 30 日以上前にその旨を予告
か い こ よ こ く て あ て
するか 30 日分以上の平均賃金を「解雇予告手当」として支払わなければなりません。
【労働基準法第 20 条】
解雇の種類には、つぎのようなものがあります
*普通解雇・・・・病気やケガによって仕事への復帰が不可能な場合や、業務を遂行させるのに必要となる平均的な職務能力が不足しており、改善する見込みがないと判断された場合などに行われる解雇
*整理解雇・・・・会社の業績不振による業務の縮小、事業所の廃止等、会社の経営上の理由による人員削減を目的とする場合に行われる解雇
ちょうかい
* 懲戒解雇・・・・労働者が、就業規則に定められた懲戒事項に該当する不正行為や
不当な解雇じゃないですか?
次の理由での解雇は法律で禁止されています。
*仕事上のけがや病気、産前産後休暇期間及びその復帰後 30 日以内の解雇
【労働基準法第 19 条】
*国籍、社会的身分、信条を理由とする解雇 【労働基準法第3条】
*使用者の法令違反の事実を労働基準監督署に訴えたことを理由とする解雇
【労働基準法第 104 条第2項】
*労働組合に入ったり正当な活動をしたことを理由とする解雇
【労働組合法第7条第1項】
*女性が結婚・妊娠・出産したこと、産前産後休業を取ったことを理由とする解雇 【男女雇用機会均等法第9条】
*育児・介護休業を取ったことを理由とする解雇
【育児・介護休業法第 10 条等】
*労働者が個別労働紛争の援助を求めたことを理由とする解雇
【個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条第3項】
*内部告発を理由とする解雇 【公益通報者保護法第3条】
職場規律の違反行為などを行った場合に対して、会社(使用者)が労働者を制裁する目的で行う解雇(こうしたケースでは労働者は退職金などを受け取れない場合が多い。)
- 23 -
注目
≪ 退職・解雇≫
ます。
家族の方や職場の先輩、仲間又は相談機関などに相談しましょう!
ここにも注目!
~採用内定取消しについて~
新規学校卒業者に対しての事業主の一方的な都合による採用内定取消し及び入職時期の繰下げは、その円滑な就職を妨げるものであり、特に、採用内定取消しについては対象となった学生及び生徒本人並びに家族に計り知れないほどの打撃と失望を与えるとともに、社会全体に対しても大きな不安を与えるものであり、決してあってはならない重大な問題です。
[厚生労働省/新規学校卒業者の採用に関する指針より]
このため、採用内定者について労働契約が成立したと認められる場合には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定取消しは無効とされます。
もし、皆さんが採用内定取消し、入職時期繰下げ等の通知を受けた場合は、学校またはハローワークに相談するようにしてください。
- 24 -
やといど
雇止め
あらかじめ労働者と使用者との間で合意した雇用期間が満了したときに、契約を更新せずに終了させることをいいます。
契約である以上、期間満了により契約が終了するのが原則ですが、次のような条件が定められています。
〔雇止めをする場合の条件〕
① 雇止めの予告
使用者は、有期契約労働者を
イ 1年を超えて継続雇用している場合 ロ 3回以上労働契約を更新している場合
には、少なくとも契約の期間が満了する日の 30 日前までにその予告をすること。
② 雇止めの理由の明示
使用者は、雇止めの予告後、労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、速やかに交付すること。
≪ここがポイント!≫
期間に定めがある労働契約のルール
む き
「労働契約」には、・正社員として働く場合等の「期間の定めのない契約(無期
ろうどうけいやく
労働契約)」とパートタイム労働者やアルバイトのような「期間の定めのある契約
ゆ う きろうどうけいやく
(有期労働契約)」に分けられます。
◎有期労働契約の期間
・ 一定の業務が終わるまでとされている場合を除いて、原則としては 3 年以内です。
・ また、特例として、高度な専門的知識を持っている人や満 60 歳以上の人が新たに雇用される場合には 5 年以内です。 【労働基準法第 14 条】
◎有期労働契約の場合の労働条件の明示
*労働契約の期間
*有期労働契約を更新する場合の基準 【労働基準法第 15 条】ほか労働条件を書面などで明示する必要があります。
- 25 -
注目
≪ もう一歩進んで ≫
有期労働契約について、3つのルールがあります。
① 「雇止め法理」の法定化 : 最高裁判決で確立した「雇止め法理」が、そのままの内容で法律に規定されました。一定の場合には、使用者による雇止めが認められません。
② 不合理な労働条件の禁止 : 有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることは禁止されます。
③ 無期労働契約への転換 : 2013 年4月1日以降有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込により、無期
労働契約に転換できます。
契約期間が1年の場合の例
締結
更新
更新
更新
更新
転換
申込み
更新
無期労働契約
1年
- 26 -