(1)土木請負工事の特性‥‥p2 (2)発注者・受注者の留意事項‥‥p2 (3)適切な設計変更の必要性‥‥p2 (4)ガイドライン策定の目的‥‥p3 (5)設計変更ガイドラインの契約図書への位置づけ‥‥p3
工事請負契約における設計変更ガイドライン
(案)
平成29年9月改訂京都府建設交通部
目 次
1 設計変更ガイドライン策定の背景
(1)土木請負工事の特性‥‥p2
(2)発注者・受注者の留意事項‥‥p2
(3)適切な設計変更の必要性‥‥p2
(4)ガイドライン策定の目的‥‥p3
(5)設計変更ガイドラインの契約図書への位置づけ‥‥p3
2 設計変更が不可能なケース
○基本事項‥‥p3
3 設計変更が可能なケース
○基本事項及び留意事項‥‥p4
○工事打合簿への概算額の記載方法‥‥p5
(1)設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の手続き‥‥p5
(2)設計図書の表示が明確でない場合の手続き‥‥p6
(3)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合の手続き‥‥p6
(4)工事中止の場合の手続き‥‥p7
(5)「設計図書の照査」の範囲を超えるもの‥‥p8
(6)受注者からの請求による工期の延長‥‥p9
(7)発注者の請求による工期の短縮‥‥p9
4 設計変更手続きフロー‥‥p10
5 設計変更に関わる資料の作成‥‥p11
6 条件明示について‥‥p12
7 指定・任意の使い分け‥‥p14
8 関連事項
○工事打合簿の記載例‥‥p16
9 参考資料
○「公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律」抜粋‥‥p19
○「発注関係事務の運用に関する指針」抜粋‥‥p21
○「工事請負契約書」抜粋‥‥p21
○「土木工事共通仕様書(案)」抜粋‥‥p24
○「競争契約入札心得」抜粋‥‥p26
○ 工事打合簿様式‥‥p27
1 設計変更ガイドライン策定の背景
(1)土木請負工事の特性
○ 土木工事は、個別に設計された極めて多岐にわたる目的物を、多種多様な自然条件・環境条件の下で生産されるという特殊性を有している。
○ 当初積算時に予見できない事態、例えば土質・湧水等の変化に備え、その前提条件を明示して設計変更の円滑化を工夫する必要がある。
(2) 発注者・受注者の留意事項
◆ 発注者は・・・
○ 設計積算にあたって、各工事において必要となってくる条件明示については、
「6 条件明示」を参考に条件明示するよう努めること。
○ 工事に必要な関係機関との調整、住民合意、用地確保、法定手続などの進捗状
況を踏まえ、現場の実態に即した施工条件(自然条件を含む。)の明示等により、適切に設計図書を作成し、積算内容との整合を図るよう努める。
「9 参考資料」の『発注関係事務の運用に関する指針』抜粋参照
(平成 27 年 1 月 30 日 公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議)
◆ 受注者は・・・
○ 工事の着手にあたって設計図書を照査し、着手時点における疑義を明らかにするとともに、施工中に疑義が生じた場合には、発注者と「協議」し進めることが重要である。
(3)適切な設計変更の必要性
○ 平成 26 年6月に施行された「公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第56号)」(改正品確法)の基本理念に「請負契約の当事者が対等の立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負契約代金で締結」が示されているとともに、発注者の責務として、「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、必要があると認められたときは適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこと」が規定されている。
(4)ガイドライン策定の目的
○ 設計変更に係る業務の円滑化を図るためには、発注者と受注者がともに、設計変更が可能なケース・不可能なケース、手続きの流れ等について十分理解しておく必要がある。
(5)設計変更ガイドラインの契約図書への位置づけ
○ 契約の一事項として扱うこととし、特記仕様書へその旨記載する。
2 設計変更が不可能なケース
【基本事項】
◆ 下記のような場合においては、原則として設計変更できない。
1.設計図書に条件明示のない事項において、発注者と「協議」を行わず受注者が独自に判断して施工を実施した場合
2.発注者と「協議」をしているが、協議の回答がない時点で施工を実施した場合
3.「承諾」で施工した場合
4.工事請負契約書(第 18 条~24 条)、土木工事共通仕様書(案)(1-1-1-16~
1-1-1-18)に定められている所定の手続きを経ていない場合、
5.正式な書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
※契約書第 26 条(臨機の措置)については別途考慮する。
※「承諾」で施工した場合の事例
例1)基礎工において、砕石の代わりにコンクリートで施工することを承諾した場合
例2) コンクリート強度 18KN/mm2 の基準に対して、21KN/mm2 を使用することを承諾した場合
※正式な書面によらない事項の場合の事例
例1)「工事打合簿」等の書面がない場合
承諾: 受注者自らの都合により施工方法等について監督職員に同意を得るもの。設計変更不可
協議: 発注者と書面により対等な立場で合意して発注者の「指示」によるもの。設計変更可能
3 設計変更が可能なケース
【基本事項】
◆ 下記のような場合においては設計変更が可能である。
1.仮設(任意仮設を含む)において、条件明示の有無に係わらず当初発注時点で予期しえなかった土質条件や地下水位等が現地で確認された場合
(ただし、所定の手続きが必要。)
2.当初発注時点で想定している工事着手時期に、受注者の責によらず、工事着手出来ない場合
3.所定の手続き(「協議等」)を行い、発注者の「指示」によるもの。
(「協議」の結果として、軽微なものは金額の変更を行わない場合もある。)
4.受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合
5.受注者の責によらない工期の延期・短縮を行う場合で協議により必要があると認められるとき。
【留意事項】
◆ 設計変更にあたって、発注者は下記の事項に留意し受注者へ指示する。
1.当初設計の考え方や設計条件を再確認して、設計変更「協議」又は「指示」にあたる。
2.当該工事での変更の必要性を明確にし、設計変更は書面で行う。
3.設計変更に伴う契約変更の手続きは、協議に基づき適切な時期に行うものとする。
4.工事打合簿へ概算金額を記載する。ただし、以下の事項を条件とする。
① 受注者からの協議における変更の場合は、受発注者協議のうえ、必要と認めた場合に記載することとし、記載できない場合にはその理由を記載する。
② 受注者からの協議によらず発注者の指示による場合は、概算金額を工事打合簿に記載し指示することとし、記載できない場合にはその理由を記載する。
③ 記載する概算金額は、「参考値」であり、契約変更額を拘束するものではない。
※具体的な記載の運用については次に記載する。
(注) 「工事請負契約におけるガイドライン(総合版) Ⅳ 設計変更事例集」(国土交通省近畿地方整備局)を参考とする。
■工事打合簿への概算額の記載方法
○ 設計変更を行う為、契約変更に先だって指示を行う場合は、工事打合簿にその内容に伴う増減額の概算額(請負代金相当額)を記載する。ただし、受注者からの協議により変更する場合にあっては、受発注者協議のうえ、必要と認めた場合に記載する。
○ ここで記載する概算額は、「参考値」であり、契約変更額を拘束するものではない。
○ また、緊急的に行う場合または何らかの理由により概算額の算定に時間を要する場合は、「後日通知する」ことを添えて指示を行うものとする。
1.発注者からの指示や受発注者間の協議に基づき、契約変更手続きを行う前に受注者へ作業を行わせる場合は、必ず書面(工事打合簿)にて指示を行う。
2.工事打合簿には、変更内容による増減額の概算額(請負代金相当額)を記載することとし、記載できない場合にはその理由を記載する。
3.概算額については、類似する他工事の事例や設計業務等の成果、協会資料などを参考に記載することも可とする。また、必要に応じ記載した概算額の出典や算出条件等について明示する。
4.増減額の概算額(請負代金相当額)は、50 万円単位を基本(100 万円以下の
場合は 10 万円単位)とする。(端数切り捨て)なお、増減額が 10 万円未満の場合は記載しない。
(1)設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の手続き
(契約書第 18 条第1項の二) <設計変更可能なケース>
○ 受注者は、xxx上、設計図書が誤っていると思われる点を発注者に確認すべきであり、発注者は、それが本当に誤っている場合には設計図書を訂正する必要がある。また、設計図書に脱漏がある場合、受注者は、自分で勝手に補って施工を続けるのではなく、発注者に確認して、脱漏部分を訂正してもらうべきである。
受注者
発注者
「契約書第 18 条(条件変更等)第1項の二」に基づき、その旨を直ちに監督職員に通知
発注者は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書を訂正・変更
(当初積算の考え方に基づく条件明示)
受注者及び発注者は第 23 条、第 24 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める。
ex.
ア.条件明示する必要がある場合にも係わらず、土質に関する一切の条件明示がない場合
イ.条件明示する必要がある場合にも係わらず、地下水位に関する一切の条件明示がない場合ウ.条件明示する必要がある場合にも係わらず、交通整理員についての条件明示がない場合
(2)設計図書の表示が明確でない場合の手続き
「契約書第 18 条(条件変更等)第
1項の三」に基づき、条件明示が不明確な旨を直ちに監督職員に通知
受注者
(契約書第 18 条第1項の三) <設計変更可能なケース>
○ 設計図書の表示が明確でないことは、表示が不十分、不正確、不明確で実際の工事施工にあたってどのように施工してよいか判断がつかない場合などのことである。この場合においても、受注者が勝手に判断して、施工することは不適当である。
発注者は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書を訂正・変更
(当初積算の考え方に基づく条件明示)
発注者
受注者及び発注者は第 23 条、第 24 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める。
ex.
ア. 土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確な場合
イ. 水替工実施の記載はあるが、作業時もしくは常時排水などの運転条件等の明示がない場合
○ 自然的条件とは、例えば、掘削する地山の高さ、埋め立てるべき水面の深さ等の地表面の凹凸等の形状、地質、湧水の有無又は量、地下水の水位、xxxの除去すべき物の有無。また、人為的な施工条件の例としては、地下埋設物、地下工作物、xx(捨)場、工事用道路、通行道路、工事に関係する法令等が挙げられる。
(3) 設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合の手続き(契約書第 18 条第1項の四)<設計変更可能なケース>
受注者
発注者
受注者及び発注者は第 23 条、第 24 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める。
調査の結果、その事実が確認された場合、発注者は第4項・第5項に基づき、必要に応じて設計図書を訂正・変更
「契約書第 18 条(条件変更等)第1項の四」に基づき、設計図書の条件明示(当初積算の考え)と現地条件とが一致しないことを直ちに監督職員に通知
ex.
ア.設計図書に明示された土質が現地条件と一致しない場合
イ.設計図書に明示された地下水位が現地条件と一致しない場合
ウ.設計図書に明示された交通誘導員の人数等が規制図と一致しない場合
エ.前頁の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で、現地条件と一致しない場合オ.その他、新たな制約等が発生した場合
(4)工事中止の場合の手続き
(契約書第 20 条) <設計変更可能なケース>
○ 工事用地等の確保ができない等のため又は暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象であって、受注者の責に帰することができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められる場合の手続き。
受注者
発注者
地元調整や予期しない現場条件等のため、受注者が工事を施工することができない。
発注者より、一時中止の指示(契約上一時中止をかけることは発注者の義務)
受注者は、土木工事共通仕様書
(案)1-1-1-16 第3項に基づき、基本計画書を作成し、発注者の承諾を得る。
受注者からの中止事案の確認請求も可
「契約書第 20 条(工事の中止)第
1項」により、発注者は工事の全部又は一部の施工を原則として一時中止しなければならない。
承諾した基本計画書に基づき、施工監督及び設計変更を実施
基本計画書に基づいた施工の実施
不承諾の場合は、基本計画書を修正し、再度承諾を得る。
発注者は、現場管理上、最低限必要な施設・人数等を吟味し、基本計画書を承諾
ex.
ア.設計図書に工事着工時期が定められた場合、その期日までに受注者の責によらず施工できない場合イ.警察、河川・鉄道管理者等の管理者間協議が未了の場合
ウ.管理者間協議の結果、施工できない期間が設定された場合
エ.受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合
オ.設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため、施工できない場合カ.予見できない事態が発生した(地中障害物の発見等)場合
キ.工事用地の確保が出来ない等のため工事を施工できない場合
ク.設計図書と実際の施工条件の相違又は設計図書の不備が発見されたため施工を続けることが困難な場合
ケ.埋蔵文化財の発掘又は調査、その他の事由により工事を施工できない場合
(注) 工事中止の手続きに当たっては、「工事請負契約におけるガイドライン(総合版) Ⅱ工事一時中止に係るガイドライン(案)」(国土交通省近畿地方整備局)を参考とする。
(5)「設計図書の照査」の範囲を超えるもの
○ 受注者は、工事請負契約書第 18 条(条件変更等)及び土木工事共通仕様書(案) 1-1-1-3 設計図書の照査等に基づいて、設計照査を行うこととなる。
○ 土木工事共通仕様書(案)1-1-1-3 第2項設計図書の照査に記載のあるとおり、照査結果から工事請負契約書第 18 条にある、現場と設計図書が一致しないことの事実を監督職員が確認できる資料(現地地形図、設計図との対比図、取り合図、施工図等)の作成は、受注者の負担により作成を行う。
○ また、照査結果により、計画の見直し、図面の再作成、構造計算の再計算、追加調査等が生じた場合、それらに要する費用の負担は発注者の責任において行うものとする。
<「設計図書の照査」の範囲を超える業務>
1.現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
2.施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要となるもの。ただし、当初横断図の推定岩盤線の変更は「設計図書の照査」に含まれる。
3.現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。又は、土工の縦横断計画の見直しが必要となるもの。
4.構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
5.構造物の載荷高さが変更となり、構造計算の再計算が必要となるもの。
6.現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるもの。
7.構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
8.基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成
9.土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成
10.「設計要領」・「各種示方書」等との対比設計
11.構造物の応力計算書の計算入力条件の確認や構造物の応力計算を伴う照査
12.設計根拠まで遡る見直し、必要とする工費の算出
13.舗装維持・修繕工事の縦横断設計(当初の設計図書において縦横断面図が示されており、その修正を行う場合とする。なお、設計図書で縦横断図が示されておらず土木工事共通仕様書(案)「10-14-4-3 路面切削工」「10-14-4-5 切削オーバーレイ工」
「10-14-4-6 オーバーレイ工」等に該当し縦横断設計を行うものは設計照査に含まれる。)
14.新たな工種追加や設計変更による構造計算及び図面作成
15.概算(数量)発注工事における構造計算及び図面作成
16.「設計便覧」「各種示方書」等の変更に伴う構造計算及び図面作成
17.照査の結果、必要となった追加調査の実施。
〈例〉 ・ボーリング調査、杭打・大型重機による施工を行う際の近隣の家屋調査
・トンネル漏水補修工(裏込め注入工)の施工に際し、周辺地域への影響調査
(注) 設計図書の照査に当たっては、「工事請負契約におけるガイドライン(総合版) Ⅲ 設計図書の照査ガイドライン(案)」(国土交通省近畿地方整備局)を参考とする。なお、適正な設計図書に基づく数量の算出及び完成図の作成は、受注者の費用負担とする。
(6)受注者からの請求による工期の延長
(契約書第21条) <設計変更可能なケース>
○ 受注者は、天候の不良、関連工事の調整協力、その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができない場合は、発注者へその理由を明示した書面により工期延長変更を請求することができる。
受注者
発注者
受注者及び発注者は第 23 条、第 24 条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める。
発注者は第2項に基づき、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。請負代金についても必要と認められるときは変更を行う。
「契約書第21条(受注者の請求による工期の延長)第1項」に基づき、その理由を明示した書面により監督職員に通知
ex.
ア.天候不良の日が例年に比べ多いと判断でき、工期の延長が生じた場合
イ.設計図書に明示された関連工事との調整に変更があり、工期の延長が生じた場合ウ.その他受注者の責めに帰することができない事由により工期の延長が生じた場合
(7)発注者の請求による工期の短縮
発注者は、「契約書第22条(発注者の請求による工期の短縮等)第1項」に基づき、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を書面により受注者に請求
受注者は発注者からの請求に基づき、工期短縮を図るための施工計画を発注者に提出し、承諾を得る。
(契約書第22条) <設計変更可能なケース>
○ 発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に書面にて請求することができる。
受注者
発注者
受注者及び発注者は第 23 条に基づき、「協議」により工期を定める。
ex.
ア.工事一時中止にともない工期延長が予想され、工期短縮が必要な場合イ.関連工事等の影響により、工期短縮が必要な場合
ウ.その他の事由(地元調整、関係機関調整など)により工期の短縮が必要な場合
受注者:立会
発注者:直ちに調査実施
【第 18 条第2項】
※ 受注者からの確認請求を受領後概ね 7 日以内を目処に調査終了
4 設計変更手続きフロー
発注者
受注者
契約書第 18 条第1項第1号~5号に該当する事実を発見
意見
先行承認決裁:重要な事項については所属長まで(原則 14 日以内)
調査結果のとりまとめ
通知し確認を請求
【第 18 条第1項】
【第 18 条第3項】
受理
調査終了後、原則 14 日以内にその結果を通知(とるべき措置がある場合当該指示を含む)
必要があると認められるときは設計図書の訂正又は変更
<発注者と受注者とが協議して発注者が行う>
・工事目的物の変更を伴わない設計図書の変更【第3号】
必要があると認められるときは設計図書の訂正又は変更
<発注者が行う>
・設計図書の訂正【第1号】
・工事目的物の変更を伴う設計図書の変更
【第2号】
【第 18 条第4項】
変更内容・変更根拠の明確化、変更図面、変更数量計算書等の変更設計図書の作成
変更設計決裁
必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更【第 18 条第5項】
協議 ①工期の変更【第 23 条】②請負代金額の変更【第 24 条】
5 設計変更に関わる資料の作成
○ 設計変更に関わる資料の作成についての具体的対応方法
1)設計照査に必要な資料作成
受注者は、当初設計等に対して「工事請負契約書」第 18 条第1項に該当する事実が発見された場合、監督職員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。
なお、これらの資料作成に必要な費用については契約変更の対象としない。
2)設計変更に必要な資料作成
「工事請負契約書」第 18 条第1項に基づき設計変更するために必要な資料の作成に
ついては、「工事請負契約書」第 18 条第4項に基づき発注者が行うものであるが、受注者に依頼する場合は、以下の手続きによるものとする。
① 設計照査に基づき設計変更が必要な内容については、受発注者間で確認する。
② 設計変更するために必要な資料の作成について書面により協議し、合意を図った後、発注者が具体的な指示を行うものとする。
③ 発注者は、書面による指示に基づき受注者が設計変更に関わり作成した資料を確認する。
④ 書面による指示に基づいた設計変更に関わる資料の作成業務については、契約変更の対象とする。
⑤ 増加費用の算定は、設計業務等標準積算基準書を基本とする。
6 条件明示について
○ 施工条件は、契約条件となるものであることから、特記仕様書等の設計図書に明示するものとする。また、明示された条件に変更が生じた場合は、契約図書の関連する条項に基づき、適切に対応するものとする。
○ なお、条件明示等に不足が生じないよう、下記の項目に該当するものについて、記載漏れのないようにする。
○ 明示されない施工条件、明示事項が不明確な施工条件についても、契約書の関連する条項に基づき受発注者が協議できるものとする。
明示項目 | 明示事項 |
工程関係 | 1.他の工事の開始又は完了の時期により、当該工事の施工時期、全体工事等に影響がある場合は、影響箇所及び他の工事の内容、開始又は完了の時期 2.施工時期、施工時間及び施工方法が制限される場合は、制限される施工内容、施工時期、施工時間及び施工方法 3.当該工事の関係機関等との協議に未成立のものがある場合は、制約を受ける内容及びその協議内容、成立見込み時期 4.関係機関、自治体等との協議の結果、特定された条件が付され当該工事の工程に影響がある場合は、その項目及び影響範囲 5.余裕工期を設定して発注する工事については、工事の着手時期 6.工事着手前に地下埋設物及び埋蔵文化財等の事前調査を必要とする場合は、その項目及び調査期間。又、地下埋設物等の移設が予定されている場合は、その移設期間 7.設計工程上見込んでいる休日日数等作業不能日数 |
用地関係 | 1.工事用地等に未処理部分がある場合は、その場所、範囲及び処理の見込み時期 2.工事用地等の使用終了後における復旧内容 3.工事用仮設道路・資機材置き場用の借地をさせる場合、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等 4.施工者に、消波ブロック、桁製作等の仮設ヤードとして官xxx及び発注者が借り上げた土地を使用させる場合は、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等 |
公害関係 | 1.工事に伴う公害防止(騒音、振動、粉塵、排出ガス等)のため、施工方法、建設機械・設備、作業時間等を指定する必要がある場合は、その内容 2.水替・流入防止施設が必要な場合は、その内容、期間 3.濁水、湧水等の処理で特別の対策を必要とする場合は、その内容(処理施設、処理条件等) 4.工事の施工に伴って発生する騒音、振動、地盤沈下、地下水の枯渇等、電波障害等に起因する事業損失が懸念される場合は、事前・事後調査の区分とその調査時期、未然に防止するために必要な調査方法、範囲等 |
安全対策関係 | 1.交通安全施設等を指定する場合は、その内容、期間 2.鉄道、ガス、電気、電話、水道等の施設と近接する工事での施工方法、作業時間等に制限がある場合は、その内容 3.落石、雪崩、土砂崩落等に対する防護施設が必要な場合は、その内容 4.交通誘導警備員、警戒船及び発破作業等の保全設備、保安要員の配置を指定する場合又は発破作業等に制限がある場合は、その内容 5.有毒ガス及び酸素欠乏等の対策として、換気設備等が必要な場合は、その内容 |
工事用道路関係 | 1.一般道路を搬入路として使用する場合 (1) 工事用資機材等の搬入経路、使用期間、使用時間帯等に制限がある場合は、その経路、期間、時間帯等 (2) 搬入路の使用中及び使用後の処置が必要である場合は、その処置内容 2.仮道路を設置する場合 (1) 仮道路に関する安全施設等が必要である場合は、その内容、期間 (2) 仮道路の工事終了後の処置(存置又は撤去) (3) 仮道路の維持補修が必要である場合は、その内容 |
仮設備関係 | 1.仮土留、仮橋、足場等の仮設物を他の工事に引き渡す場合及び引き継いで使用する場合は、その内容、期間、条件等 2.仮設備の構造及びその施工方法を指定する場合は、その構造及びその施工方法 3.仮設備の設計条件を指定する場合は、その内容 |
建設副産物関係 | 1.建設発生土が発生する場合は、残土の受入場所及び仮置き場所までの距離、時間等の処分及び保管条件 2.建設副産物の現場内での再利用及び減量化が必要な場合は、その内容 3.建設副産物及び建設廃棄物が発生する場合は、その処理方法、処理場等の処理 条件。なお、再資源化処理施設又は最終処分場を指定する場合は、その受入場所、距離、時間等の処分条件 |
工事支障物件等 | 1.地上、地下等の占用物件の有無及び占用物件等で工事支障物が存在する場合は、支障物件名、管理者、位置、移設時期、工事方法、防護等 2.地上、地下等の占用物件工事と重複して施工する場合は、その工事内容及び期 xx |
薬液注入関係 | 1.薬液注入を行う場合は、設計条件、工法区分、材料種類、施工範囲、削孔数量、削孔延長及び注入量、注入圧等 2.周辺環境への調査が必要な場合は、その内容 |
その他 | 1.工事用資機材の保管及び仮置きが必要である場合は、その保管及び仮置き場所、期間、保管方法等 2.工事現場発生品がある場合は、その品名、数量、現場内での再使用の有無、引き渡し場所等 3.支給材料及び貸与品がある場合は、その品名、数量、品質、規格又は性能、引渡場所、引渡期間等 4.関係機関・自治体等との近接協議に係る条件等その内容 5.架設工法を指定する場合は、その施工方法及び施工条件 6.工事用電力等を指定する場合は、その内容 7.新技術・新工法・特許工法を指定する場合は、その内容 8.部分使用を行う必要がある場合は、その箇所及び使用時期 9.給水の必要のある場合は、取水箇所・方法等 |
7 指定・任意の使い分け
【基本事項】
◆ 指定・任意については、工事請負契約書第1条第3項に定められているとおり、適切に扱う必要がある。
1.任意については、その仮設、施工方法の一切の手段の選択は受注者の責任で行う。
2.任意については、その仮設、施工方法に変更があっても原則として設計変更の対象としない。
3.ただし、指定・任意ともに当初積算時の想定と現地条件が異なることによる変更は行う。
【留意事項】
◆ 指定・任意の使い分けにおいては下記の事項に留意する。
1.仮設、施工方法等には、指定と任意があり、発注においては、指定と任意の部分を明確にする必要がある。
2.発注者(監督者)は、任意の趣旨を踏まえ、適切な対応をするように注意が必要
ただし、任意であっても、当初積算時の条件と現地条件に変更がある場合は、設計変更を行う。
※任意における下記のような対応は不適切
・ ○○工法で積算しているので、「○○工法以外での施工は不可」との対応
・ 標準積算基準ではバックホウで施工となっているので、「クラムシェルでの施工は不可」との対応
・ 新技術の活用について受注者から申し出があった場合に、「積算上の工法で施工」するよう対応
◎ 発注者の指定事項以外は受注者の裁量の範囲
■自主施工の原則
契約書第1条第3項により、設計図書に指定されていなければ、工事実施の手段、仮設物等は受注者の裁量の範囲
【契約書第1条第3項】
仮設、施工方法その他の工事目的物を完成するために必要な一切の手段については、契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責
任において定める。
【指定と任意の考え方】
x x | 任 意 | |
設計図書 | 施工方法等について具体的に指定する。 | 施工方法等について具体的には指定しない。 |
施工方法等の変更 | 発注者の指示又は承諾が必要 | 受注者の任意(施工計画書等の修正、提出は必要) |
施工方法の変更がある場合の設 計変更 | 設計変更の対象とする。 | 設計変更の対象としない。 |
条件明示の変更に対応した設計変更 | 設計変更の対象とする。 | 設計変更の対象とする。 |
その他 | <指定仮設とすべき事項> ・ 河川堤防と同等の機能を有する仮締切のある場合 ・ 仮設構造物を一般交通に供する場合 ・ 関係官公署との協議により制約条件のある場合 ・ 特許工法又は特殊工法を採用する場合 ・ その他、第三者に特に配慮する必要がある場合 ・ 他工事等に使用するため、工事完成後も存置される必要のある仮設 |
8 関連事項
◆工事打合簿の記載例
(1)「指示」の記載例
(2)「協議」の記載例
(3)「承諾」の記載例
9 参考資料
◆「公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律」抜粋
(基本理念)
第三条 公共工事の品質は、公共工事が現在及び将来における国民生活及び経済活動の基盤となる社会資本を整備するものとして社会経済上重要な意義を有することに鑑み、国及び地方公共団体並びに公共工事の発注者及び受注者がそれぞれの役割を果たすことにより、現在及び将来の国民のために確保されなければならない。
2 公共工事の品質は、建設工事が、目的物が使用されて初めてその品質を確認できること、その品質が受注者の技術的能力に負うところが大きいこと、個別の工事により条件が異なること等の特性を有することに鑑み、経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮し、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならない。
3 公共工事の品質は、施工技術の維持向上が図られ、並びにそれを有する者等が公共工事の品質確保の担い手として中長期的に育成され、及び確保されることにより、将来にわたり確保されなければならない。
4 公共工事の品質は、公共工事の発注者(第二十四条を除き、以下「発注者」という。)の能力及び体制を考慮しつつ、工事の性格、地域の実情等に応じて多様な入札及び契約の方法の中から適切な方法が選択されることにより、確保されなければならない。
5 公共工事の品質は、これを確保する上で工事の効率性、安全性、環境への影響等が重要な意義を有することに鑑み、より適切な技術又は工夫により、確保されなければならない。
6 公共工事の品質は、完成後の適切な点検、診断、維持、修繕その他の維持管理により、将来にわたり確保されなければならない。
7 公共工事の品質は、地域において災害時における対応を含む社会資本の維持管理が適切に行われるよう、地域の実情を踏まえ地域における公共工事の品質確保の担い手の育成及び確保について配慮がなされることにより、将来にわたり確保されなければならない。
8 公共工事の品質確保に当たっては、入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性並びに競争のxx性が確保されること、談合、入札談合等関与行為その他の不正行為の排除が徹底されること、その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結が防止されること並びに契約された公共工事の適正な施工が確保されることにより、受注者としての適格性を有しない建設業者が排除されること等の入札及び契約の適正化が図られるように配慮されなければならない。
9 公共工事の品質確保に当たっては、民間事業者の能力が適切に評価され、並びに入札及び契約に適切に反映されること、民間事業者の積極的な技術提案(公共工事に関する技術又は工夫についての提案をいう。以下同じ。)及び創意工夫が活用されること等により民間事業者の能力が活用されるように配慮されなければならない。
10 公共工事の品質確保に当たっては、公共工事の受注者のみならず下請負人及びこれらの者に使用される技術者、技能労働者等がそれぞれ公共工事の品質確保において重要な役割を果たすことに鑑み、公共工事における請負契約(下請契約を含む。)の当事者が各々の対等な立場にお ける合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負代金で締結し、その請負代金をできる限り速やかに支払う等xxに従って誠実にこれを履行するとともに、公共工事に従事する者の賃金その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境が改善されるように配慮されなければならない。
11 公共工事の品質確保に当たっては、公共工事に関する調査(点検及び診断を含む。以下同じ。)及び設計の品質が公共工事の品質確保を図る上で重要な役割を果たすものであることに鑑み、前各項の趣旨を踏まえ、公共工事に準じ、その業務の内容に応じて必要な知識又は技術を有
する者の能力がその者の有する資格等により適切に評価され、及びそれらの者が十分に活用され ること等により、公共工事に関する調査及び設計の品質が確保されるようにしなければならない。
~省略~
(発注者の責務)
第七条 発注者は、基本理念にのっとり、現在及び将来の公共工事の品質が確保されるよう、公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成及び確保に配慮しつつ、仕様書及び設計書の作成、予定価格の作成、入札及び契約の方法の選択、契約の相手方の決定、工事の監督及び検査並びに工事中及び完成時の施工状況の確認及び評価その他の事務(以下「発注関係事務」という。)を、次に定めるところによる等適切に実施しなければならない。
一 公共工事を施工する者が、公共工事の品質確保の担い手が中長期的に育成され及び確保されるための適正な利潤を確保することができるよう、適切に作成された仕様書及び設計書に基づき、経済社会情勢の変化を勘案し、市場における労務及び資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めること。
二 入札に付しても定められた予定価格に起因して入札者又は落札者がなかったと認める場合において更に入札に付するときその他必要があると認めるときは、当該入札に参加する者から当該入札に係る工事の全部又は一部の見積書を徴することその他の方法により積算を行うことにより、適正な予定価格を定め、できる限り速やかに契約を締結するよう努めること。
三 その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結を防止するため、その入札金額によっては当該公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約となるおそれがあると認められる場合の基準又は最低制限価格の設定その他の必要な措置を講ずること。
四 計画的に発注を行うとともに、適切な工期を設定するよう努めること。
五 設計図書(仕様書、設計書及び図面をいう。以下この号において同じ。)に適切に施工条件を 明示するとともに、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合、設計図書に示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じた場合その他の場合において必要があると認められるときは、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金の額又は工期の変更を行うこと。
六 必要に応じて完成後の一定期間を経過した後において施工状況の確認及び評価を実施するよう努めること。
2 発注者は、公共工事の施工状況の評価に関する資料その他の資料が将来における自らの発注に、及び発注者間においてその発注に相互に、有効に活用されるよう、その評価の標準化のための措 置並びにこれらの資料の保存のためのデータベースの整備及び更新その他の必要な措置を講じ なければならない。
3 発注者は、発注関係事務を適切に実施するため、必要な職員の配置その他の体制の整備に努め るとともに、他の発注者と情報交換を行うこと等により連携を図るように努めなければならない。
(xx六法五六・旧第六条繰下・一部改正)
◆「発注関係事務の運用に関する指針」抜粋
(平成 27 年1月 30 日 公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議)
Ⅱ.発注関係事務の適切な実施について
1.発注関係事務の適切な実施
~(省略)~
(2)工事発注準備段階
(工事の性格等に応じた入札契約方式の選択)
工事の発注に当たっては、本指針を踏まえ、工事の性格や地域の実情等に応じた適切な入札契約方式を選択するよう努める。1)自らの発注体制や地域の実情等により、適切な入札契約方式の選択・活用の実施が困難と認められる場合は、国、都道府県や外部の支援体制の活用に努める。
(予算、工程計画等を考慮した工事発注計画の作成)
地域の実情等を踏まえ、予算、工程計画、工事費等を考慮した工区割りや発注ロットを適切に設定し、工事の計画的な発注に努める。
(現場条件等を踏まえた適切な設計図書の作成)
工事に必要な関係機関との調整、住民合意、用地確保、法定手続などの進捗状況を踏まえ、現場の実態に即した施工条件(自然条件を含む。)の明示等により、適切に設計図書を作成し、積算内容との整合を図る。
~(省略)~
(4)工事施工段階
(施工条件の変化等に応じた適切な設計変更)
施工条件を適切に設計図書に明示し、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合、設計図書に明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じた場合その他の場合において、必要と認められるときは、適切に設計図書の変更及びこれに伴って必要となる請負代金の額や工期の適切な変更を行う。
また、労務、資材等の価格変動を注視し、賃金水準又は物価水準の変動により受注者から請負代金額の変更(いわゆる全体スライド条項、単品スライド条項又はインフレスライド条項)について請求があった場合は、変更の可否について迅速かつ適切に判断した上で、請負代金額の変更を行う。
◆「工事請負契約書」抜粋
(総則)
第1条 発注者及び受注者は、この契約書に基づき、設計図書(別冊の図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書をいう。以下同じ。)に従い、日本国の法令を遵守し、この契約(この契約書及び設計図書を内容とする工事の請負契約をいう。以下同じ。)を履行しなければならない。
2 受注者は、契約書記載の工事を契約書記載の工期内に完成し、工事目的物を発注者に引き渡すものとし、発注者は、その請負代金を支払うものとする。
3 仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(以下「施工方法等」という。)については、この契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める。
4 受注者は、この契約の履行に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
5 この契約書に定める請求、通知、報告、申出、承諾及び解除は、書面により行わなければならない。
6 この契約の履行に関して発注者と受注者との間で用いる言語は、日本語とする。
7 この契約書に定める金銭の支払いに用いる通貨は、日本円とする。
8 この契約書の履行に関して発注者と受注者との間で用いる計量単位は、設計図書に特別の定めがある場合を除き、計量法(平成4年法律第51号)に定めるものとする。
9 この契約書及び設計図書における期間の定めについては、民法(明治29年法律第89号)及び商法(明治32年法律第48号)の定めるところによるものとする。
10 この契約は、日本国の法令に準拠するものとする。
11 この契約に係る訴訟については、日本国の裁判所をもって合意による専属的管轄裁判所とする。
12 受注者が共同企業体を結成している場合においては、発注者は、この契約に基づくすべての行為を共同企業体の代表者に対して行うものとし、発注者が当該代表者に対して行ったこの契約に基づくすべての行為は、当該企業体のすべての構成員に対して行ったものとみなし、また、受注者は、発注者に対して行うこの契約に基づくすべての行為について当該代表者を通じて行わなければならない。
(条件変更等)
第18条 受注者は、工事の施工に当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに監督職員に通知し、その確認を請求しなければならない。
(1) 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
(2) 設計図書に誤謬又は脱漏があること。
(3) 設計図書の表示が明確でないこと。
(4) 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
(5) 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
2 監督職員は、前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら同項各号に掲げる事実を発見したときは、受注者の立会いの上、直ちに調査を行わなければならない。ただし、受注者が立会いに応じない場合には、受注者の立会いを得ずに行うことができる。
3 発注者は、受注者の意見を聴いて、調査の結果(これに対してとるべき措置を指示する必要があるときは、当該指示を含む。)をとりまとめ、調査の終了後14日以内に、その結果を受注者に通知しなければならない。ただし、その期間内に通知できないやむを得ない理由があるときは、あらかじめ受注者の意見を聴いた上、当該期間を延長することができる。
4 前項の調査の結果において第1項の事実が確認された場合において、必要があると認められ るときは、次の各号に掲げるところにより、設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
(1) 第1項第1号から第3号までのいずれかに該当し設計図書を訂正する必要があるもの
発注者が行う。
(2) 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴うもの
発注者が行う。
(3) 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴わないもの
発注者と受注者とが協議して発注者が行う。
5 前項の規定により設計図書の訂正又は変更が行われた場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(設計図書の変更)
第19条 発注者は、前条第4項の規定によるほか、必要があると認めるときは、設計図書の変更
内容を受注者に通知して、設計図書を変更することができる。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(工事の中止)
第20条 工事用地等の確保ができない等のため又は暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象(以下「天災等」という。)であって受注者の責めに帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められるときは、発注者は、工事の中止内容を直ちに受注者に通知して、工事の全部又は一部の施工を一時中止させなければならない。
2 発注者は、前項の規定によるほか、必要があると認めるときは、工事の中止内容を受注者に通知して、工事の全部又は一部の施工を一時中止させることができる。
3 発注者は、前2項の規定により工事の施工を一時中止させた場合において、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者が工事の続行に備え工事現場を維持し若しくは労働者、建設機械器具等を保持するための費用その他の工事の施工の一部中止に伴う増加費用を必要とし若しくは受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(受注者の請求による工期の延長)
第21条 受注者は、天候の不良、第2条の規定に基づく関連工事の調整への協力その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができないときは、その理由を明示した書面により、発注者に工期の延長変更を請求することができる。
2 発注者は、前項の規定による請求があった場合において、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。発注者は、その工期の延長が発注者の責めに帰すべき事由による場合においては、請負代金額について必要と認められる変更を行い、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(発注者の請求による工期の短縮等)
第22条 発注者は、特別の理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に請求することができる。
2 発注者は、この契約書の他の条項の規定により工期を延長すべき場合において、特別の理由があるときは、延長する工期について、通常必要とされる工期に満たない工期への変更を請求することができる。
3 発注者は、前2項の場合において、必要があると認められるときは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(工期の変更方法)
第23条 工期の変更については、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
2 前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知するものとする。ただし、発注者が工期の変更事由が生じた日(第21条の場合にあっては、発注者が工期変更の請求を受けた日、前条の場合にあっては、受注者が工期変更の請求を受けた日)から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
(請負代金額の変更方法等)
第24条 請負代金額の変更については、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
2 前項の協議開始の日については、発注者が受注者の意見を聴いて定め、受注者に通知する
ものとする。ただし、請負代金額の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、受注者は、協議開始の日を定め、発注者に通知することができる。
3 この契約書の規定により、受注者が増加費用を必要とした場合又は損害を受けた場合に発注者が負担する必要な費用の額については、発注者と受注者とが協議して定める。
◆「土木工事共通仕様書(案)」抜粋
1-1-1-3 設計図書の照査等
1.図面原図の貸与
受注者からの要求があり、監督職員が必要と認めた場合、受注者に図面の原図を貸与することができる。ただし、共通仕様書等市販または公開されているものについては、受注者が備えなければならない。
2.設計図書の照査
受注者は、施工前および施工途中において、自らの負担により契約書第 18 条第 1 項第 1 号
から第 5 号に係る設計図書の照査を行い、該当する事実がある場合は、監督職員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。
なお、確認できる資料とは、現地地形図、設計図との対比図、取合い図、施工図等を含むものとする。また、受注者は、監督職員から更に詳細な説明または書面の追加の要求があった場合は従わなければならない。
3.契約図書等の使用制限
受注者は、契約の目的のために必要とする以外は、契約図書及びその他の図書を監督職員の承諾なくして第三者に使用させ、または伝達してはならない。
1-1-1-16 工事の一時中止
1.一般事項
発注者は、契約書第 20 条の規定に基づき以下の各号に該当する場合においては、あらかじめ受注者に対して通知した上で、必要とする期間、工事の全部または一部の施工について一時中止をさせることができる。
なお、暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他自然的または人為的な事象による工事の中断については、1-1-1-44 臨機の措置により、受注者は、適切に対応しなければならない。
(1) 埋蔵文化財の調査、発掘の遅延及び埋蔵文化財が新たに発見され、工事の続行が不適当または不可能となった場合
(2) 関連する他の工事の進捗が遅れたため工事の続行を不適当と認めた場合
(3) 工事着手後、環境問題等の発生により工事の続行が不適当または不可能となった場合 2.発注者の中止権
発注者は、受注者が契約図書に違反しまたは監督職員の指示に従わない場合等、監督職員が必要と認めた場合には、工事の中止内容を受注者に通知し、工事の全部または一部の施工について一時中止させることができる。
3.基本計画書の作成
前 2 項の場合において、受注者は施工を一時中止する場合は、中止期間中の維持・管理に関する基本計画書を監督職員に提出し、承諾を得るものとする。また、受注者は工事の再開に備え工事現場を保全しなければならない。
1-1-1-17 設計図書の変更
設計図書の変更とは、入札に際して発注者が示した設計図書を、発注者が指示した内容及び設計変更の対象となることを認めた協議内容に基づき、発注者が修正することをいう。
なお、工事請負契約書第 1 条第 3 項に規定する契約書及び設計図書に特別の定めのない施工方
法等については、本工事の数量変更による場合を除き設計変更の対象としない。 1-1-1-18 工期変更
1.一般事項
契約書第 15 条第 7 項、第 17 条第 1 項、第 18 条第 5 項、第 19 条、第 20 条第 3 項、第 21 条
及び第 42 条第 2 項の規定に基づく工期の変更について、契約書第 23 条の工期変更協議の対象であるか否かを監督職員と受注者との間で確認する(本条において以下「事前協議」という。)ものとし、監督職員はその結果を受注者に通知するものとする。
2.設計図書の変更等
受注者は、契約書第 18 条第 5 項及び第 19 条に基づき設計図書の変更または訂正が行われた
場合、第 1 項に示す事前協議において工期変更協議の対象であると確認された事項について、
必要とする変更日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付の上、契約書第 23 条第 2項に定める協議開始の日までに工期変更について監督職員と協議しなければならない。
3.工事の一時中止
受注者は、契約書第 20 条に基づく工事の全部もしくは一部の施工が一時中止となった場合、
第 1 項に示す事前協議において工期変更協議の対象であると確認された事項について、必要と
する変更日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付の上、契約書第 23 条第 2 項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督職員と協議しなければならない。
4.工期の延長
受注者は、契約書第 21 条に基づき工期の延長を求める場合、第 1 項に示す事前協議において工期変更協議の対象であると確認された事項について、必要とする延長日数の算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付の上、契約書第 23 条第 2 項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督職員と協議しなければならない。
5.工期の短縮
受注者は、契約書第 22 条第 1 項に基づき工期の短縮を求められた場合、可能な短縮日数の
算出根拠、変更工程表その他必要な資料を添付し、契約書第 23 条第 2 項に定める協議開始の日までに工期変更に関して監督職員と協議しなければならない。
◆「競争契約入札心得」抜粋
◆工事打合簿様式
様式-6
工 事 打 合 簿
発 議 者 | □ 発注者 □ 受注者 | 発議年月日 | 平成 年 月 | 日 | ||||
発議事項 | □指示 □協議 □通知 | □承諾 | □報告 | □提出 □その他( | ) | |||
工事名及び 工事番号 | ||||||||
( x x ) 添付図 葉、その他添付図書 | ||||||||
処理 ・回答 | 発注者 | 上記について □指示 □承諾 □その他( | ) | □協議 | □提出 | □受理 します。 平成 年 | 月 | 日 |
受注者 | 上記について □承諾 □協議 □その他( | ) | □提出 | □報告 | □受理 します。 平成 年 | 月 | 日 |
総 括 監督員 | x x 監督員 | 現 場 代理人 | xx(監理) 技術者 | ||||