Contract
議案第1号
加西市公契約条例の制定について
加西市公契約条例を、別紙のとおり制定する。
平成27年2月27日提出
加西市長 x x x x
加西市公契約条例
(目的)
第1条 この条例は、加西市(以下「市」という。)が締結する請負契約に基づく業務及び市が指定管理者に行わせる公の施設の管理業務において、当該業務に従事する者の適正な労働条件等を確保し、もって労働者等の生活の安定を図り、公共工事及び公共サービスの質の向上に資するとともに、地域経済及び地域社会の活性化に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 公契約 市が締結する工事、製造その他の請負契約及び業務委託契約又は加西市公の施設に係る指定管理者の指定手続等に関する条例(平成 17 年加西市条例第 28 号)第6条の規定により締結する協定(以下「指定管理協定」という。)をいう。
(2) 発注者 市及び公契約に関し受注関係者と契約等を締結する者をいう。 (3) 受注者 市と公契約を締結する者をいう。
(4) 下請負者 下請(最終下請まで含む。)、再委託その他いかなる名義によるかを問わず、受注者その他の市以外の者との間で、公契約に係る業務の一部について従事するための契約を締結した者をいう。
(5) 受注関係者 次に掲げる者をいう。ア 下請負者
イ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和 60 年法律第 88 号。以下「労働者派遣法」という。)の規定により受注者又は下請負者へ労働者を派遣する者
(6) 労働者等 次に掲げる者をいう。
ア 受注者又は下請負者(同居の親族のみを使用する者を除く。)に雇用され、公契約に係る業務に従事する労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号)第9条に規定する労働者(家事使用人を除く。)
イ 労働者派遣法の規定により公契約に係る業務に派遣される者
ウ 自らが提供する労務の対価を得るため、受注者又は下請負者との請負の契約により公契約に係る業務に従事する者
(7) 賃金等 公契約に係る労務の対価で、次に掲げるものをいう。ア 前号ア又はイに該当する者がその雇用する者から得る賃金
イ 前号ウに該当する者が当該請負契約により得る収入
(市の責務)
第3条 市は、この条例の目的を達成するため、公契約に関する施策を総合的に策定し、実施する責務を有する。
(受注者の責務)
第4条 受注者は、公契約を締結した社会的責任を自覚して、その公契約等の適正な履行を通じて、市民の福祉の増進に努めなければならない。
2 受注者は、障害者雇用、男女共同参画を推進することにより、労働者の仕事と生活の調和の実現に努めなければならない。
3 受注者は、その業務に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に努めなければならない。
4 受注者は、地域経済及び地域社会の活性化に寄与するため、加西市に事業所等を有する受注関係者を下請負者及び資材等の購入先として使用するよう努めなければならない。
5 受注者は、継続性のある業務に関する公契約を締結する場合は、当該業務に従事する労働者等の雇用の安定並びに当該業務の質の維持及び継続性の確保に配慮し、当該公契約の締結前から当該業務に従事していた労働者のうち希望する者を特段の事情がない限り雇用するように努めなければならない。
(適用範囲)
第5条 この条例は、次に掲げる公契約に適用する。
(1) 予定価格が5千万円以上の工事又は製造の請負契約
(2) 予定価格が1千万円以上の工事及び製造以外の業務委託契約のうち、加西市長
(以下「市長」という。)が別に定めるもの
(3) 予定価格が 1 千万円以上の指定管理協定のうち、市長が必要であると認めるもの (4) 前3号に定めるもののほか、適正な賃金等の水準を確保するため、市長が特に必要
であると認めるもの
(労働者等の賃金等)
第6条 市長は、公契約において、受注者及び受注関係者が、労働者等(最低賃金法(昭和 34 年法律第 137 号)第7条に規定する者を除く。)に対し、市長が定める1時間当たりの賃金額(以下「労務報酬下限額」という。)以上の賃金等を支払わなければならないことを定めるものとする。
2 労務報酬下限額には、工事又は製造以外の請負契約における最低賃金法第4条第3項各号に掲げる賃金は算入しない。
3 賃金等が時間以外の期間又は出来高払制その他の請負制によって定められている者の労務報酬下限額は、最低賃金法施行規則(昭和 34 年労働省令第 16 号)第2条の規定を準用する。
(労務報酬下限額)
第7条 市長は、労務報酬下限額を定めるときは、次の各号に掲げる労働者等に応じ、当該各号に定める額その他の事情を勘案するものとする。
(1) 工事又は製造の請負契約に係る業務に従事する労働者等 国土交通省及び農林水産省が公共工事の積算に用いるため、毎年度決定する公共工事設計労務単価(兵庫県の基準額)に規定する職種ごとに定められた額(労務単価に規定されていない職種又は兵庫県において額が定められていない職種にあっては、労務単価を勘案して市長が別に定める額)
(2) 前号以外の労働者等 一般職の職員の給与に関する規則(昭和 42 年加西市規則第 13 号)第4条及び別表第4に定める額並びに市内の同種の労働者の賃金等を勘案して市長が別に定める額
2 市長は、労務報酬下限額を定めようとする場合は、加西市公契約審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、労務報酬下限額を定めたときは、これを告示する。
(公契約に係る労働条件等)
第8条 発注者、受注者及び受注関係者は、第2条第6号ア又はイに該当する労働者の労働条件等に関して、次に掲げる法令等を遵守しなければならない。
(1) 労働基準法
(2) 労働組合法(昭和 24 年法律第 174 号)
(3) 労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)
(4) 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和 47 年法律第 113 号)
(5) 労働契約法(平成 19 年法律第 128 号)
(6) 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第 76 号)第2条に規定する短時間労働者にあっては、同法第5条第1項に規定する短時間労働者対策基本方針
2 発注者及び受注者は、第2条第6号ウに該当する者と公契約を締結するに当たっては、前項に掲げる関係法令の趣旨を尊重した契約条件としなければならない。
(労働者等への周知)
第9条 受注者は、次の各号に掲げる事項を、作業所等の労働者等が見やすい場所に掲示し、又は書面を交付しなければならない。
(1) この条例が適用される契約であること。 (2) 労務報酬下限額
(3) 第 12 条の申し出をする場合の連絡先
(4) 第 12 条の申し出をしたことを理由として、解雇、請負契約の解除その他不利益な取り扱いを受けないこと。
(受注者の連帯責任)
第 10 条 受注者は、受注関係者が労働者等に対して支払った賃金等の額が労務報酬下限額を下回ったときは、その差額分の賃金等について、当該受注関係者と連帯して支払う義務を負う。
2 受注者は、公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働条件及び当該業務の質の確保が下請負者の安定した経営に基づいて成り立つことを十分考慮し、下請負者との契約を締結するに当たっては、次の各号に掲げる法令を遵守し、各々の対等な立場における合意に基づいたxxな契約としなければならない。
(1) 建設業法(昭和 24 年法律第 100 号)
(2) 公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成 17 年法律第 18 号)
(3) 公共サービス基本法(平成 21 年法律第 40 号)
(4) 下請代金支払遅延等防止法(昭和 31 年法律第 120 号)
(台帳の整備)
第 11 条 受注者は、労働者等の氏名、従事する職種、従事した時間、賃金等を支払われるべき日その他規則等で定める事項を記載した台帳を、当該対象労働者の同意を得て作成し、作業所等に備え、その記載事項について、市長が指定する期日までに報告しなければならない。
(対象労働者の申し出)
第 12 条 労働者等(労働者等であった者を含む。第 14 条において同じ。)は、受注者又は受注関係者が当該労働者等に対して負う義務を履行していないと認められるときは、市長又は受注者若しくは受注関係者に申し出ることができる。
(不利益取扱いの禁止)
第 13 条 受注者及び受注関係者は、前条の申し出をしたことを理由として、その労働者等に対し、解雇、請負契約の解除その他の不利益な取り扱いをしてはならない。
(報告及び立入検査)
第 14 条 市長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、受注者及び受注関係者に対して必 要な報告を求め、又は市職員に、当該事業所に立ち入り、労働者等の労働条件若しくは契 約条件がわかる書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。 (1) 労働者等から第 12 条の申し出があった場合
(2) この条例に定める事項の遵守状況を確認するために必要があると認める場合
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(是正措置)
第 15 条 市長は、前条第1項の報告又は立入検査の結果、受注者又は受注関係者がこの条例の規定に違反していると認めるときは、当該受注者に対し、速やかに当該違反を是正するために必要な措置を講ずることを命じなければならない。
2 受注者は、前項の規定により違反を是正するために必要な措置を講ずることを命じられた場合には、速やかに是正の措置を講じ、市長が定める期日までに、市長に報告しなければならない。
(公契約の解除)
第 16 条 市長は、受注者又は受注関係者が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該公契約を解除する(当該公契約が指定管理協定であるときは、当該指定管理協定に関する公の施設の管理の指定を取消し、又は期間を定めて当該業務の全部若しくは一部の停止を命ずる。)ことができる。
(1) 第 14 条第1項の報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第 14 条第1項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
(2) 前条第1項の命令に従わないとき。
(3) 前条第2項の報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
2 前項の規定により公契約を解除又は指定管理協定に関して指定を取消し若しくは業務の停止を命令(以下「解除等」という。)した場合において、受注者及び受注関係者に損害が生じても、市長はその損害を賠償する責任を負わない。
(公表)
第 17 条 市長は、前条第1項の規定により公契約の解除等をしたとき、又は公契約の終了後に受注者若しくは受注関係者がこの条例の規定に違反したことが判明したときは、別に定めるところにより公表するものとする。
(損害賠償)
第 18 条 受注者は、第 16 条第1項の規定による解除等によって市に損害が生じたときは、 市長がやむを得ない理由があると認めるときを除き、その損害を賠償しなければならない。
(違約金)
第 19 条 受注者がこの条例の規定に違反し、市長が公契約を解除したときは、違約金を徴収することができる。
(加西市公契約審議会の設置)
第 20 条 第7条第1項に定めるもののほか、この条例に係る重要事項について、市長の諮問に応じ、調査審議し、その結果を答申し、又は意見を建議するため、加西市公契約審議会
(以下「審議会」という。)を置く。
(構成)
第 21 条 審議会は、委員5人以内をもって構成する。
2 委員は、事業者、労働者及び学識経験を有する者のうちから市長が委嘱する。
3 委員のほか、特別な事項を調査審議させるため必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。
4 臨時委員は、学識経験を有する者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。
(任期)
第 22 条 委員の任期は、委嘱の日から2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における後任の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 臨時委員の任期は、委嘱の日から市長が必要と認める期間とする。
(組織及び運営)
第 23 条 前2条に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(委任)
第 24 条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。附 則
この条例は、公布の日から施行し、第3条から第 19 条までの規定は、平成 27 年9月1日以後に締結する公契約について適用する。
(審議資料)
公契約に係る基本方針等を定め、発注する工事請負契約等において一定の労務報酬下限額を確保することで従事する労働者の労働意欲を高めるとともに、事務及び事業の品質を確保し、市民が安心して心豊かに暮らせる市民生活の実現を目指そうとするもの。 (後掲の政策等の形成過程説明資料参照)
政策等の形成過程説明資料 | 平成27年3月定例会 | ||||||
議案等の件名 | 議案第1号 | 政策等の区分 | 計画 その他( | ・ | 事業 | ・ 条例 | ) |
加西市公契約条例の制定について | |||||||
①【政策等を必要とする理由】 | |||||||
近年、行財政改革や公の事業の民間委託化の流れの中、市の公共工事や業務委託の入札における、行き過ぎた競争主義により、これらの公共サービスの担い手(民間委託労働者)の賃金、労働環境が悪化し、同時に公共サービスの質に不安をもたらしている。過当競争による労働者の賃金の低下は、労働意欲の減退や労働力不足を招き、ひいては地域産業の衰退を招く恐れがあることから、早急な対策が喫緊の課題となっているため条例を制定しようとするもの。 | |||||||
②【検討した他の政策等の内容】 | |||||||
③【他の自治体の類似する政策との比較】 | |||||||
平成21年9月xx県xx市で全国初の公契約条例が制定されて以降、昨年度末までに全国で10の自治体で条例が制定されている。関西では、平成26年3月にxx市において、県下で初の公契約条例が制定された。 | |||||||
④【総合計画における位置づけ】 | |||||||
基本方向 | |||||||
基本計画 | |||||||
○その他の計画(該当する場合にのみ記載) | |||||||
計画名称 | |||||||
策定年度 | |||||||
計画期間 | |||||||
⑤【関連する法令及び条例、規則】 | |||||||
・公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成17年法律第18号) ・公共サービス基本法(平成21年法律第40号) | |||||||
⑥【政策実現に係る事業費及び財源】 | (単位:千円) | ||||||
総事業費 | 国・県支出金 | 市債 | その他特財 | 一般財源 | |||
(注)事業が複数年に渡る場合は、総事業費ベースで記入 | |||||||
⑦【将来にわたる政策実施に係るコスト計算】 | |||||||
⑧【市民参加の状況】 | 有 | ・ | 無 | (パブリックコメントを実施した場合は、その結果も含む) | |||
加西市公契約条例策定審議会にて条例案について審議し取りまとめを行った。(平成26年10月~平成27年1月まで、延べ5回開催) パブリックコメントを1月16日から2月10日までの間実施し、10件17項目の意見があったが、概ね肯定的な意見であったため、当初の提案から見直しは行っていない。 | |||||||
⑨【政策の効果予測】 | |||||||
公契約に係る基本方針等を定めるとともに、市が発注する工事請負契約等において、一定の労務報酬下限額を確保することで、従事する労働者の生活安定と労働意欲の向上を図り、市の公共工事及び公共サービスの品質を確保し、地域経済の活性化につなげるとともに、最終的には市民が安全で心豊かに暮らせる市民生活の実現を目指す。 | |||||||
担当部局 | 担当課 | 添付資料の有無 | |||||
財務部 | 管財課 | 有 ・ 無 |