Contract
(総合評価落札方式-ランプサム型)導入について
2022年11月
国際協力機構 調達・派遣業務部
目 次
1. 背景・目的
2. 試行の実施
3. メリット
4. ランプサム方式の概要
5. 価格競争を加味した調達方式の比較
6. 変更点(入札説明書)
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1.背景・目的
2018年度財務省予算執行調査(こちら)では、若手の登用や精算業務の効率化等を促すため、契約手続管理から成果報酬(ランプサム)契約に移行すべき、という指摘がなされました。これを受けて、一部の詳細設計業務を対象に「ランプサム方式」を取り入れています。
2021年度に上記調査のFU調査(こちら)が実施され、詳細設計業務以外の業務種別においても「ランプサム方式」の導入検討することが求められました。
これを踏まえ、「ランプサム方式」の拡大可能性を検討したところ、コンサルタント等契約のうち、「総合評価落札方式」は、業務の内容の確度が高く成果が明確であるため、実質的には現状でも「ランプサム方式」に近い契約となっており、総合評価落札方式案件をランプサム方式とすることにより、契約管理の合理化や契約手続管理から成果管理への移行がより一層促進されることが期待できる、という検討結果となりました。
<現行>
契約手続管理型
<改正後>成果管理型
<備考>
◼ ランプサム契約とは:業務従事実績に基づく報酬確定方式ではなく、当該業務に対する成果品完成に対して確定額を支払う契約
◼ コンサルタント等契約における一般競争入札(総合評価落札方式)とは:
10人月以下の小規模な調査ものに適用。技術点:価格点は70:30もしくは80:20。入札を行うため、予定価格の上限拘束性がある(予定価格を超えた入札額の場合、落札できない)。
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2.試行の実施
成果が明確であり、業務内容の確度が高い事後評価の1案件をランプサム方式にて公示し、運用の詳細を整理しました。
3.メリット
参考: 9月7日公示「全世界2022年度案件別外部事後評価パッケージIV-3 (ラオス、パプアニューギニア、パキスタン)(一般競争入札(総合評価落札方式-ランプサム型))」
コンサルタント | ・要員貼り付けの自由度増により応札・応募できる案件の増(「従事計画 /実績表」のバーチャート表管理不要) ・事務管理コスト減(受注者裁量の増、費目間流用に係る打合簿不要) ・精算簡素化および早期支払い |
JICA | ・事務管理コスト減(費目間流用に係る打合簿不要、予算管理軽減) ・成果管理に集中 ・応札/応募増、一者応札低減可能性 ・合意単価作成不要 ・支払い時の確認事項簡素化 |
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成果管理の契約 | |
定義 | 成果品完成に対して確定額を支払う契約 <成果重視> |
特記仕様書 | • 特記仕様書の内容を可能な限り明確化し双方の認識に齟齬が生じないようにする。 • 競争の条件を揃えるため、代替案の提案は求めない。 • 仕様書の不明点等の質問を受けた場合は、質問回答で明確化し、その結果を契約時に特記仕 様書に反映させる、又はゼロ号打合簿に記載する。 • 質問受領/質問回答については、回数及び期間とも現行の総合評価落札方式から変更なし。 |
要員 (業務従事者) | • 要員計画の提出は不要 • 格付の評価及び経験年数の確認不要(ランプサム用の業務従事者名簿有 <従事者管理不要> • 業務従事者の人月管理は不要 • 「従事計画/実績表」のバーチャート表管理不要(ランプサム用の様式有) • 他案件(例:企画競争案件)とのダブルアサイン可 |
作業計画 | 作業ごとの投入量(人月)及び担当業務従事者の分野名を記入(ランプサム用の様式追加) |
支払い | 実費精算金額以外は、ランプサム金額となるため実績確認は不要。また、合意単価も作成不要。 |
契約管理 (打合簿) | • ゼロ号 • 業務計画書 • 成果品提出延長 • 業務従事者(評価対象者)交代 • 定額計上分(現地再委託の選定経緯と契約内容の確認、調達機材の確定を含む)の確定 • 不可抗力 |
実績評価 | 現行通り、業務結果(業務内容/成果品の質)及び業務管理(業務のプロセス)の両面から行う。 |
企画競争(QCBS方式) | ||||
現行型 | ランプサム型 (一括確定額請負) | |||
内容 | 対象案件 | 以下の調査・契約種別の中で求め る成果が明確であり、10人月未満のもの • 基礎情報収集・確認調査 • 詳細設計業務 • 事後評価 | ・現行の総合評価落札方式の案件で 行っているもの | • 基礎情報収集・確認調査 • 協力準備調査(有償/無償) • 詳細設計業務 • 事後評価 |
選定 | 評価割合 | 技術70: | 価格30 | 技術80:価格20 技術90:価格10(無償資金協力準備調査) |
予定価格の上限拘束性 | あり | なし | ||
要員評価 | • 提案部分の評価割合を高くする配点(10:50:40) • 評価対象者3人以上の場合、少なくとも1人は対象国・地域、語学力の「評価なし」 | • 提案部分の評価割合を高くする配点(10:50:40) • 評価対象者3人(2人)以上の場合、2人以上を対象国・地域、語 学力の「評価なし」とすることも有 | • 提案部分の評価割合を高くする配点(10:50:40) (案件によって変更可) • 評価対象者3人以上の場合、少なくとも1人は対象国・地域、語学力の「評価なし」 |
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企画競争 (QCBS方式) | ||||
現行型 | ランプサム型 (一括確定額請負) | |||
契約管理 | 契約金額内訳書 | • あり(応札時:落札者から、入札金額内訳書を提出) • コロナ下での現地再渡航に当たって の経費(以下「コロナ関連経費」) を認めている期間はコロナ関連経費 を計上して契約金額内訳書を作成し、契約書の附属書Ⅲとする。 • コロナ関連経費の計上の有無を問わず、契約締結後に「契約金額詳細内訳書」打合簿0号に添付する。 | • 現行型と同じ。 • 理由:支払は原則一括確定払で支払時の確認用としての内訳は不要だが、急激な状況変化による契約金額変更等の場合に備え、当初想定を確認し文書にて残しておく必要があるため。 | あり (応募時) |
従事・計画実績表 | 現地渡航ありの場合は必要(精算時の数量確認のため) | • なし(ただし、精算時はコロナ関連経 費の実績確認のため提出) | あり |
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企画競争 (QCBS方式) | ||||
現行型 | ランプサム型 (一括確定額請負) | |||
契約管理 | 契約変更 | 不可抗力、契約当初から大きな状況変化があった場合は契約変更可 (契約当初からの状況変化の程度については個別確認) | ||
• 変更契約が必要となった場合でも、業 務従事者の従事実績の確認は行わない。本来の追加業務に必要な人月を計上す る。 |
【参考 】
うち変更契約数
2018年度(18a~)~2022年5月までの総合評価件数248(コロナ禍による暫定対応を含む。コロナ前は年間20件程度)
うちコロナ以外の変更契約数:27件(10%)
:54件(21%)
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一般競争入札(総合評価落札方式) | 企画競争 (QCBS方式) | |||
現行型 | ランプサム型 (一括確定額請負) | |||
支払 | 部分払 | 可(契約金相当額計算書) | ||
精算 | • 旅費、現地関連費(現地人月もしくは総人月に応じた合意単価)は、従事者の渡航回数や国内外における従事人月実績を確認して支払いを実施。 • 機材購入費は購入した機材内容を確認。それ以外は契約金額を支払。 | • コロナ関連費以外は支出根拠確認不要(現地関連費 の合意単価不要)で契約金額を支払う。 • コロナ関連費のうち、現地一時隔離期間及び海外旅行保険料については「従事計画/実績表(渡航回 数・日数のみ記載)」及び加入保険のxx期間にて実績確認。それ以外のコロナ関連費は実支出に基づき精算確定。 • 実費精算がある場合は「経費確定(精算)報告書」 及び「従事計画/実績表」を提出する(コロナ関連費の扱いは上述のとおり、ランプサム契約金額分は契約金額内訳書の金額をそのまま記載)。 | • 合意単価を設定したものは、実績(回数)のみ確認。金額妥当性にかかる根拠書類の確認不要。 • 合意単価以外の「直接経費」については実支出に基づき精算確定を行う。 | |
留意点 | 安全管理の観点から、海外渡航時の渡航者情報はいずれの場合でも要提出。 | |||
• 業務進捗管理は業務計画書、中間成果物、月報で行う。 • 「従事計画/実績表」は提出(JICA事業全体での集 計に要するため渡航回数のみを記載。バーチャートは不要) |
3.競争に付する事項
• ランプサム(一括確定額請負)型契約:成果品完成に対して確定額の支払を行うランプサム型で 行うことを追記
13.契約書作成及び締結
• 契約書附属書Ⅲ「契約金額内訳書」について、入札金額内訳書に基づき、コロナ関連費等も両者協議・確認して設定することを追記
【第2章:特記仕様書】
別紙.技術提案書にて特に具体的な提案を求める事項
• 競争の条件を揃えるため、代替案の提案を認める記載を削除
【第3章:技術提案書作成要領】
• 成果管理であることから、要員計画の提出を削除
2.技術提案書作成に係る要件
• (4)業務従事予定者の経験、能力:成果重視型のため、評価対象者について2人以上を対象国・地域及び語学の「評価なし」とすることも可(JICAにて判断し、入札説明書にて記載)。
3 技術提案書作成に係る留意事項
(2)業務の実施方針等
• 追加すべき調査事項などの提案に関する記載を削除
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6.変更点:入札説明書(一般競争入札(総合評価落札方式ーランプサム型))
• 要員計画を削除し、作業計画のみを作成する。作業計画へ作業ごとの投入量(人月)及び担当業務従事者の分野名を記述する。
• 評価表 :
✓ 成果重視型の配点表(10,50,40)を用いる。
✓ 業務従事者の配置と作業計画の整合性は評価せず、作業全体に対する業務従事者の配置や担当分野の構成を評価する。
✓ 格付の評価や経験年数の確認なし。
4. 経費積算に係る留意事項
• 別見積「新型コロナウイルス感染対策に関連する経費について」以下の説明を追記
✓ 「海外旅行保険の一部費用、PCR検査代及び隔離期間中の待機費用等については、入札金額には含めず、別見積書として作成し、「8.(2)提出方法」に基づき提出してください。」
• ランプサム(一括確定額請負)型の対象業務の説明を追記
✓ 「本業務においては、「第2章 特記仕様書」で指示したすべての業務を対象としてランプサム(一括確定額請負)型の対象業務とします。」
【第4章:契約書案】
• 報酬及び直接経費については、契約金額内訳の額をもって金額を確定
• 現地一時隔離日当・宿泊代、緊急移送保険料日当加算分、新型コロナウイルス感染症対策経費、定額計上した経費は実費精算のため、ランプサム契約金額も含めて「経費確定(精算)報告書」を提出する。
• 第4条(共通仕様書の変更)第6条(業務計画書)第1項(2)⑤要員計画を削除する。 8
6.変更点:入札説明書(一般競争入札(総合評価落札方式ーランプサム型))