Contract
[事案 27-203]契約無効請求
・平成 28 年 6 月 9 日 和解成立
<事案の概要>
契約時、募集人から、いつ保険料を減らしてもリスクはない等の誤った説明を受けて契約したことを理由に、契約の無効を求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
平成 26 年 2 月に契約した 3 件の米国ドル建て養老保険について、募集人から「積立てができて、生命保険の役割もあり、いつ保険料を減らしてもリスクはない。また、払い込んだ保険料から(利息がかからずに)お金を使うことができる」との説明を受けたが、虚偽であったことから、契約を無効とし、既払込保険料を返還してほしい。
<保険会社の主張>
以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。
(1)募集人は、契約後早期に保険料の払込みを停止(払済保険へ変更)した場合のリスクを含めて正しく説明を行っている。なお、契約者貸付(払い込んだ保険料からお金を使うことができる)については、募集人に説明義務はない。
(2)申立人は、保険料の継続支払いについて意欲を示していたが、募集人は、途中で保険料負担を少なくしたい事情が生じる可能性を考慮し、分割して契約することを提案した。
<裁定の概要>
1.裁定手続
裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、申立人および募集人に対して、募集人の説明内容に不適切な点があったかどうかなど契約時の状況を把握するため事情聴取を行った。
2.裁定結果
上記手続の結果、契約後早期に保険料の払込みを停止した場合のリスクについて募集人が虚偽の説明を行ったとは認められず、契約者貸付の際に利息が生じないことから申立人が契約の申込みをしたとも認められず、契約の無効は認められないが、以下のとおり、本件は和解により解決を図るのが相当であると判断し、業務規程第 34 条第 1 項にもとづき、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、和解契約書の締結をもって解決した。
(1)保険会社において、申立人の収入や資産についての把握が十分になされなかった。
(2)募集人は、申立人が保険料支払いが継続できなくなる恐れを認識していたのであるから、その場合のデメリットについてより丁寧に説明することが望ましかった。
1