(1)株式会社国際協力銀行法(以下「JBIC法」という。)において、当行は、我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進、我が国の産業の国際競争力 の維持及び向上、地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業の促進、並びに国際金融秩序の混乱の防止又はその被害への対処に係るものといった、我 が国の対外政策上重要な業務を行うことが明定されており、我が国の経済安全保障の観点から政策的必要性が高い。
令和3年8月31日
令和4年度の財政投融資計画要求書
(機関名:株式会社国際協力銀行(総括))
1.令和4年度の財政投融資計画要求額
区 分 | 令和4年度 要 求 額 | 令和3年度 計 画 額 | 対前年度比 | ||
金額 | 伸率 | ||||
(1)財政融資 | 4,010 | 2,150 | 1,860 | 86.5 | |
(2)産業投資 | 1,100 | 600 | 500 | 83.3 | |
うち x x | 1,100 | 600 | 500 | 83.3 | |
うち 融 資 | - | - | - | - | |
(3)政府保証 | 11,200 | 8,900 | 2,300 | 25.8 | |
うち 国内債 | - | - | - | - | |
うち 外 債 | 10,800 | 8,500 | 2,300 | 27.1 | |
うち 外貨借入金 | 400 | 400 | - | 0.0 | |
合 計 | 16,310 | 11,650 | 4,660 | 40.0 |
(単位:億円、%)
2.財政投融資計画残高
区 分 | 令和4年度末残高(見込) | 令和3年度末残高(見込) | 対前年度比 | ||
金額 | 伸率 | ||||
(1)財政融資 | 21,702 | 20,711 | 991 | 4.8 | |
(2)産業投資 | 19,638 | 18,538 | 1,100 | 5.9 | |
うち x x | 19,638 | 18,538 | 1,100 | 5.9 | |
うち 融 資 | - | - | - | - | |
(3)政府保証 | 51,277 | 44,667 | 6,610 | 14.8 | |
うち 国内債 | - | - | - | - | |
うち 外 債 | 50,477 | 44,267 | 6,210 | 14.0 | |
うち 外貨借入金 | 800 | 400 | 400 | 100.0 | |
合 計 | 92,617 | 83,916 | 8,701 | 10.4 |
(単位:億円、%)
3.事業計画及び資金計画
区 分 | 令和4年度 要 求 額 | 令和3年度 計 画 額 | 増 減 | ||
事業計画の合計額 | 23,000 | 27,000 | △4,000 | ||
(内訳) | 輸出 | 3,380 | 3,080 | 300 | |
プラント | 2,380 | 2,780 | △400 | ||
船舶 | 1,000 | 300 | 700 | ||
輸入・投資 | 15,050 | 17,000 | △1,950 | ||
資源開発 | 2,550 | 4,200 | △1,650 | ||
一般投資 | 12,500 | 12,800 | △300 | ||
事業開発等 | 3,020 | 5,870 | △2,850 | ||
出資 | 1,550 | 1,050 | 500 |
事業計画 (単位:億円)
区 分 | 令和4年度 要 求 額 | 令和3年度 計 画 額 | 増 減 | ||
事業計画実施に必要な資金の合計額 | 23,000 | 27,000 | △4,000 | ||
(財源) | 財政投融資 | 16,310 | 11,650 | 4,660 | |
財政融資 | 4,010 | 2,150 | 1,860 | ||
産業投資 | 1,100 | 600 | 500 | ||
政府保証 | 11,200 | 8,900 | 2,300 | ||
自己資金等 | 6,690 | 15,350 | △8,660 | ||
政府保証(5年未満) | 7,560 | 11,325 | △3,765 | ||
財投機関債 | 200 | 200 | - | ||
貸付回収金 | 14,335 | 13,956 | 379 | ||
(うち繰上償還) | 1,500 | 1,500 | - | ||
財投借入金償還 | △3,019 | △1,918 | △1,101 | ||
社債償還金 | △8,500 | △4,860 | △3,640 | ||
外国為替資金借入金償還 | △6,317 | △5,420 | △897 | ||
その他 | 2,431 | 2,067 | 363 |
資金計画 (単位:億円)
令和4年度の財政投融資計画要求書
(機関名:株式会社国際協力銀行(一般業務勘定))
1.令和4年度の財政投融資計画要求額
区 分 | 令和4年度 要 求 額 | 令和3年度 計 画 額 | 対前年度比 | ||
金額 | 伸率 | ||||
(1)財政融資 | 3,400 | 1,540 | 1,860 | 120.8 | |
(2)産業投資 | 1,000 | 500 | 500 | 100.0 | |
うち x x | 1,000 | 500 | 500 | 100.0 | |
うち 融 資 | - | - | - | - | |
(3)政府保証 | 11,000 | 8,700 | 2,300 | 26.4 | |
うち 国内債 | - | - | - | - | |
うち 外 債 | 10,800 | 8,500 | 2,300 | 27.1 | |
うち 外貨借入金 | 200 | 200 | - | 0.0 | |
合 計 | 15,400 | 10,740 | 4,660 | 43.4 |
(単位:億円、%)
2.財政投融資計画残高
区 分 | 令和4年度末残高(見込) | 令和3年度末残高(見込) | 対前年度比 | ||
金額 | 伸率 | ||||
(1)財政融資 | 20,440 | 20,059 | 381 | 1.9 | |
(2)産業投資 | 17,905 | 16,905 | 1,000 | 5.9 | |
うち x x | 17,905 | 16,905 | 1,000 | 5.9 | |
うち 融 資 | - | - | - | - | |
(3)政府保証 | 50,877 | 44,467 | 6,410 | 14.4 | |
うち 国内債 | - | - | - | - | |
うち 外 債 | 50,477 | 44,267 | 6,210 | 14.0 | |
うち 外貨借入金 | 400 | 200 | 200 | 100.0 | |
合 計 | 89,222 | 81,431 | 7,791 | 9.6 |
(単位:億円、%)
3.事業計画及び資金計画
区 分 | 令和4年度 要 求 額 | 令和3年度 計 画 額 | 増 減 | ||
事業計画の合計額 | 22,000 | 26,000 | △4,000 | ||
(内訳) | 輸出 | 3,000 | 2,700 | 300 | |
プラント | 2,000 | 2,400 | △400 | ||
船舶 | 1,000 | 300 | 700 | ||
輸入・投資 | 14,500 | 16,450 | △1,950 | ||
資源開発 | 2,500 | 4,150 | △1,650 | ||
一般投資 | 12,000 | 12,300 | △300 | ||
事業開発等 | 3,000 | 5,850 | △2,850 | ||
出資 | 1,500 | 1,000 | 500 |
事業計画 (単位:億円)
区 分 | 令和4年度 要 求 額 | 令和3年度 計 画 額 | 増 減 | ||
事業計画実施に必要な資金の合計額 | 22,000 | 26,000 | △4,000 | ||
(財源) | 財政投融資 | 15,400 | 10,740 | 4,660 | |
財政融資 | 3,400 | 1,540 | 1,860 | ||
産業投資 | 1,000 | 500 | 500 | ||
政府保証 | 11,000 | 8,700 | 2,300 | ||
自己資金等 | 6,600 | 15,260 | △8,660 | ||
政府保証(5年未満) | 7,560 | 11,325 | △3,765 | ||
財投機関債 | 200 | 200 | - | ||
貸付回収金 | 14,272 | 13,944 | 327 | ||
(うち繰上償還) | 1,500 | 1,500 | - | ||
財投借入金償還 | △3,019 | △1,918 | △1,101 | ||
社債償還金 | △8,500 | △4,860 | △3,640 | ||
外国為替資金借入金償還 | △6,317 | △5,420 | △897 | ||
その他 | 2,405 | 1,989 | 416 |
資金計画 (単位:億円)
財政投融資を要求するに当たっての基本的考え方
(機関名:株式会社国際協力銀行(一般業務勘定))
<官民の役割分担・リスク分担>
1.政策目的の実現に必要な範囲内で、金融・資本市場に関与するに際し、官民の適切な役割分担がなされているか。
(1)株式会社国際協力銀行法(以下「JBIC法」という。)において、当行は、我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進、我が国の産業の国際競争力の維持及び向上、地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業の促進、並びに国際金融秩序の混乱の防止又はその被害への対処に係るものといった、我が国の対外政策上重要な業務を行うことが明定されており、我が国の経済安全保障の観点から政策的必要性が高い。
(2)具体的には、安定的かつ安価な資源・エネルギー確保、インフラ分野における我が国企業の海外展開及び海外の成長の取込みに向けた我が国企業の海外進出などの支援に際し、長期資金、外貨資金、リスクマネーといった民間金融機関では量的・質的に十分に賄えない資金の供給が求められている。特に政治的・経済的リスクのある出融資等を行うに際しては、公的機関としてのステイタスを活用し、一般に民間金融機関のみでは収集困難な情報を収集・分析することによって適切なリスクコントロールを実施し、民間では担えないリスクを負担するとともに、受入国政府や国際機関等との協議を通じた関係強化によって、当該国における法制度の変更リスク、プロジェクトの接収リスク等のリスクを緩和するといった民間金融機関では果しえない役割も担うことが求められている。
2.官民が適切にリスク分担し、民間企業のモラルハザードを防止しつつ、適度な支援を行っているか。
JBIC法第1条において、当行の業務の目的は、「一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、(中略)もって我が国及び国際経済社会の健全な発展に寄与すること」とされていることを踏まえ、当行業務は、政策意義が高く、民間金融機関のみでは量的・質的制約から十分な対応が困難な場合に限定されている。また、当行業務は、民間資金動員・活用を積極的に図るべく、民間金融機関と共に融資することを原則としており、要望に応じ、民間金融機関に対する融資・保証供与や民間金融機関による優先的な資金回収等を行うほか、同法に明定された保証機能等を活用しつつ、民間資金の動員・活用を積極的に図っている。さらに、対象プロジェクトの完工後等にリスクテイクのニーズがある地銀等の民間金融機関に当行保有債権等の流動化を行うことを通じて、当該民間金融機関の融資機会の創出に取り組んでいる。
<対象事業の重点化・効率化>
3.「民間にできることは民間に委ねる」という民業補完性を確保する観点から、対象事業の重点化や効率化をどのように図っているか。
(1)対象事業を重要な資源の海外における開発及び取得の促進、我が国の産業の国際競争力の維持及び向上、地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業の促進、並びに国際金融秩序の混乱の防止又はその被害への対処に係るものに限定している。
(2)令和2年1月、「安心と成長のxxを拓く総合経済対策(令和元年12月5日閣議決定)」に基づき、日本企業の海外M&Aやグローバル・バリューチェーンの再編等の海外展開支援及び質の高いインフラ整備支援のため、当行に成長投資ファシリティを創設。令和2年4月には、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策(令和
2年4月7日閣議決定)」に基づき、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた日本企業の海外事業支援のため、同ファシリティに新型コロナ危機対応緊急ウインドウを追加。令和3年1月には、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策(令和2年12月8日閣議決定)」に基づき、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図るため、当行にポストコロナ成長ファシリティを創設
(これに伴い、成長投資ファシリティのうち、質高インフラ環境成長ウインドウ及び海外展開支援ウインドウは廃止)。ポストコロナ成長ファシリティ及び成長投資ファシリティ(新型コロナ危機対応緊急ウインドウ)の下での支援は民間金融機関との協調融資を原則としており、民業補完の徹底に努めている。
<財投計画の運用状況等の反映>
4.財投編成におけるPDCAサイクルを強化する観点から、財投計画の運用状況を財政投融資の要求内容にどのように反映しているか。
令和2年度の当行一般業務勘定における財政投融資は11,525億円(うち財政融資資金2,200億円)を予定していたが、事業主の手続きの遅延等により出融資が翌年度以降に持ち越されたこと並びに成長投資ファシリティ及びポストコロナ成長ファシリティの貸付原資として一部外国為替資金特別会計からの借入を活用したこと等により、運用残を6,154億円計上した。
令和4年度の事業規模については、(1)我が国のエネルギー需給を踏まえた我が国企業による資源・エネルギー確保及び供給源の分散化等の事業活動、M&A支援を含む我が国企業の国際競争力維持及び向上に向けた国際的事業展開、地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外事業並びに国際金融秩序安定化に係る当行への資金需要に加え、(2)質の高いインフラ輸出拡大やポストコロナ成長ファシリティの活用といった「経済財政運営と改革の基本方針2021」・「成長戦略実行計画・成長戦略フォローアップ」・「第5次エネルギー基本計画」・「インフラシステム海外展開戦略2025」・「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」・「統合イノベーション戦略2021」・「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」等の政府方針を踏まえた対応、更には(3)第4期中期経営計画(2021~2023年度)に基づく国際経済社会の持続可能な発展に向けた地球規模の課題への対処等の重点取組課題での取り組み、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた金融支援の実施等を勘案しつつ、JBIC法を踏まえた民業補完に徹した上で、真に政策的に必要と考えられる資金需要について実需を厳しく精査した結果、必要最小限の規模として、22,000億円
(そのほか保証3,356億円を計画)としている。
令和4年度の財政投融資の規模については、かかる事業規模を前提とし、約定されている元利受払いに加え、不確定要素の大きい繰上償還についても可能な範囲において織り込む等、自己資金の精査に努めている。具体的には、令和4年度は、事業規模が4,000億円減を見込んでいる一方、令和3年度当初計画比で貸付回収金は微増するも、xx借入金償還等の既往債務の償還の増加等により自己資金等が大きく減少(同 8,660億円減)するため、財政投融資で手当てすべき金額が増加することから、必要
30年度 | 元年度 | 2年度 | |
運用残額 | 3,084億円 | 5,967億円 | 6,154億円 |
運用残率 | 29.4% | 50.1% | 53.4% |
と見込まれる15,400億円(同4,660億円増)を要求する。このうち、産業投資は、足
許の自己資本比率の維持・向上に加え、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた金融支援等を行っていく上で必要なリスクバッファーを確保する必要性を踏まえ、計 1,000億円(同500億円増)を要求する。なお、自己資金の一部として、200億円の財投機関債発行を予定している。
(参考:過去3カ年の財政投融資の運用残額)
<その他>
5.上記以外の特記事項
特になし。
(注)「運用残率」は、改定後現額(改定後計画+前年度繰越)に対する運用残額の割合(%)。
産 業 投 資 に つ い て
(機関名:株式会社国際協力銀行(一般業務勘定))
(事業名:一般業務勘定)
1.産投事業の内容
(1)具体的な事業内容
第4期中期経営計画(2021~2023年度)に基づき次の注力分野に取り組む。
① SDGs・脱炭素社会の実現を見据え、我が国企業による脱炭素型イノベーションの普及に向けたエコシステムの形成、ホスト国の実効性あるエネルギー移行や社会的課題の解決など、地球規模の課題に対処。
② グローバル・サプライチェーンの見直し・最適化、デジタル変革を見据えた新たなグローバル・アライアンスの構築を行う我が国企業の海外ビジネスを積極的に支援。
③ 米国や豪州との連携に代表されるとおり、他国政府機関及び国際機関等との国際的な連携も意識しつつ、開放性・透明性・経済性・債務持続可能性に配慮した質の高いインフラ投資を推進するための戦略的取組を推進。
④ 長期化するコロナ禍に起因する被害への対処、及びポスト・コロナを見据えた新たな海外事業機会の創出、リスクテイク機能の発揮、民間資金動員の促進を含む政策金融機能の発揮。
(2)必要とする金額の考え方
当行が日本政府の方針の下、出融資保証機能を活用して支援を行う場合、エクスポージャーの増大等に対応するためのリスクバッファーや出資の原資としての自己資本が必要となるが、利益剰余金の積み上げによる自己資本増強には限界がある。足許の自己資本比率の維持・向上に加え、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた金融支援等を行っていく上で必要なリスクバッファーを確保する観点から、計 1,000億円の産投出資を要求する。
(3)見込まれる収益
JBIC法第13条第1項第1号及び同第2号で規定する償還確実性の原則及び収支相償の原則に基づき、一般業務勘定においては償還確実性及び収支相償の確保を出融資保証供与の要件としており、営業部門と審査・リスク管理部門によるチェック・アンド・バランス体制をとっている他、収支相償を満たす条件を付している。出融資保証の実施後も、不断のモニタリングに基づき所要の対応を講じており、相応の収益可能性が確保される。
(4)民間資金の動員の蓋然性
想定される案件は、いずれも当行の出融資保証機能を活用し、民間資金の動員や他国公的機関との連携等により、日本企業の海外展開に加え、日本企業による地球規模の課題対処等の更なる推進を図ることを目指すもの。また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた日本企業支援も、民間金融機関との協調融資を前提に支援を行っていく方針。
2.リスク管理体制
個別与信決定においては、与信担当部門(営業部門)及び審査・リスク管理部門により、与信先の信用力、与信対象取引の確実性、与信対象プロジェクトの実行可能性等に関する情報の収集・分析が行われる。両部門が相互に牽制関係を維持しながら与信の適否に関する検討を行い、最終的にはマネジメントによる与信決定の判断がなされる体制をとっている。
残高管理においては、金融機関として適切なリスク管理を行うことの重要性を認識し、リスクの種類に応じたリスク管理及び統合的なリスク管理を行うための組織体制を構築している。信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスク等の各種リスクの管理に関する責任者及びリスク管理を統括する部署を置くと共に、リスク管理を有効に機能させるための審議・検討等を行うため、統合リスク管理委員会及びALM委員会を設置している。
モニタリング体制については、前述の個別与信管理の一環として、個別案件に対し、半期ごとの資産自己査定や行内信用格付の随時見直しを実施している。また、前述の残高管理の分析をふまえ、発現した場合に当行にとって影響の大きいリスク事象の特定を行い、それらの状況について、統合リスク管理委員会を通じて経営全体に対して定期的に報告・共有している。
政 府 保 証 に つ い て
(機関名:株式会社国際協力銀行(一般業務勘定))
1.政府保証の考え方
(1)政府保証国内債該当なし。
(2)政府保証外債
「財政投融資を巡る課題と今後の在り方について」(平成26年6月)における
「政府保証債に係る4類型の見直し」及び平成29年12月20日の財政投融資分科会補足説明資料1の「今後の運用」を踏まえると、当行は類型ⅲに該当し、政府保証外債の発行は、(1)外貨調達の必要性が認められること、(2)償還が十分に確実であると見込まれること、(3)起債する市場において、同等な信用力を有する他の債券の発行条件等を比較して、遜色のない条件で起債できること、という3つの審査基準に合致する場合に限って認められる。
(1)について、当行は、我が国企業等が実施する国際的事業展開、海外投資事業等における為替変動リスク回避、我が国企業等の国際プラント商談等における国際競争力確保への支援の観点から、外貨貸付を実施しており、政府保証外債の発行により調達した外貨資金を一切円転せず、すべて当該外貨貸付の原資として活用する。また、JBIC法に定める当行業務を効率的に実施していくためには、長期・安定的な外貨資金の貸付は効果的かつ不可欠な手段であり、そのための原資として外貨の調達が不可欠である。(2)について、当行はJBIC法第13条第1項第1号で規定する償還確実性の原則に基づき、一般業務勘定においては償還確実性の確保を出融資保証供与の要件としており、営業部門と審査・リスク管理部門によるチェック・アンド・バランス体制等によりこれを確保している。出融資保証の実施後も、不断のモニタリングに基づき所要の債権保全措置を講じており、こうした出融資保証の償還確実性の確保を通じて財務の健全性が確保される。
(3)については、各市場の個別事情を勘案し、当行債券発行に先立ち同等な信用力を有する他の債券の発行条件等の存在を確認・比較して、遜色のない条件で起債できる環境にあることを確認する。
(3)政府保証外貨借入金
米ドル以外の現地通貨建て資金の供給が期待されているインフラ事業等に対する現地通貨建て融資を行うに当たっては、社債発行等との比較において金額・期間の観点から柔軟な資金調達がしやすく、かつ機動的な対応が可能な外国通貨長期借入が補完的な外貨調達手段となり得る。JBIC法改正(「株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律」(平成28年5月公布))により、かかる外国通貨長期借入が可能となったところ、当該借入を円滑かつ低コストで行うためには、政府保証により日本政府の信用力に依拠した調達とする必要があるもの。
2.必要とする金額の考え方
(1)政府保証国内債該当なし。
(2)政府保証外債
近年の国際資本市場においては、多くの投資家は投資判断に際して、債券の利回りに加え、①明示的な政府保証の有無など「発行体/保証人の信用力の高さ」、
②一般に発行規模が大きく、セカンダリー市場での売買も容易な「流動性の高さ」、及び③起債が継続的に行われる「継続性/発行頻度」を考慮している。
かかる状況下、上記②の流動性の観点を踏まえるに、投資家が投資対象として前向きに検討可能な個別債券の発行額は10~25億米ドル程度と考えられ、複数トランシェでの起債を同時に行い幅広い投資家に訴求したとしても、一度の起債で調達可能な金額は、5年以上の年限において20~30億米ドル程度と見込まれること、時期的制約により発行可能なタイミングが年間最大でも数回程度と見込まれること、及び財政投融資を通じた15,000億円規模の外貨資金需要がある中、上記のとおり政府保証外債の特性にも鑑み、10,800億円について5年以上の政府保証外債を要求するもの。
(3)政府保証外貨借入金
外国通貨長期借入について、現地通貨建て融資の資金需要等に鑑み200億円の政府保証を要求するもの。なお、非居住者たる当行による現地通貨借入及び貸付については、現地法制上の制約等によっては、認められない可能性がある他、期間や金額に上限が課される可能性がある点につき留意が必要。
財 投 機 関 債 に つ い て
(機関名:株式会社国際協力銀行(一般業務勘定))
1.令和4年度における財投機関債の発行内容
(1)令和4年度発行予定額は200億円。
(2)発行形態は、原則として普通社債(SB)型。
2.要求の考え方
財投改革の趣旨を踏まえ、投資家、市場関係者との対話を通じて財投機関債の継続的かつ安定的な発行に努めながら、我が国の対外経済政策を担う政策金融機関として様々な政策ニーズへの機動的かつ確実な対処及び安定的かつ円滑な業務運営を期すためには、財投機関債の市場環境等も踏まえつつ、財投機関債と財政投融資とのバランスを考慮した安定的な資金調達が不可欠と認識。
成長戦略等に盛り込まれた事項について
(機関名:株式会社国際協力銀行(一般業務勘定))
「経済財政運営と改革の基本方針2021」及び「成長戦略実行計画・成長戦略フォローアップ」に盛り込まれた事項に関する要求内容
「経済財政運営と改革の基本方針2021」及び「成長戦略実行計画・成長戦略フォローアップ」等では、世界的に、グリーン投資やデジタル投資の加速とそれに対応した経済・産業構造の急速な変化、感染症のようなグローバルショックに対しても強靱な経済構造の追求、経済安全保障の視点を重視したサプライチェーンの見直しなど、これまでの延長線上にない変化が生じている中、従来とは異なる新たなビジネス環境に柔軟に対応していく必要があると謳われており、当行も当該政府方針に対応した業務推進が求められる。
当行は、国際経済社会の持続可能な発展に向けた地球規模の課題への対処(脱炭素対応、社会的課題の解決)、産業・社会構造の変革下における我が国産業の国際競争力強化支援(サプライチェーンの強靱化・再構築、デジタル変革対応)、他国政府機関及び国際機関等との国際的な連携も意識しつつ、開放性・透明性・経済性・債務持続可能性に配慮した質の高いインフラ投資を推進するための戦略的取組推進、並びに新型コロナウイルス感染症拡大の影響も踏まえつつ、これに十分応えていくため、令和3年1月に創設されたポストコロナ成長ファシリティ等を活用し、必要な支援を行っていく方針。これらの支援に必要な原資及び財務基盤を確保する観点から、一般業務勘定として産投出資1,000億円、政府保証外債
(5年以上)10,800億円を含む財政投融資を計15,400億円要求している。
【参考】
「経済財政運営と改革の基本方針2021」(抄)
第2x xなる時代をリードする新たな成長の源泉~4つの原動力と基盤づくり~
5.4つの原動力を支える基盤づくり
(6)経済安全保障の確保等
安全保障の裾野が経済・技術分野に急速に拡大するとともに、コロナ禍によりサプライチェーン上の脆弱性が国民の生命や生活を脅かすリスクが明らかになる中、国際連携の充実も図りつつ、経済安全保障の取組を強化・推進する。このため、経済安全保障に係る戦略的な方向性として、基本的価値やルールに基づく国際秩序の下で、同志国との協力の拡大・深化を図りつつ、我が国の自律性の確保・優位性の獲得を実現することとし、こうした観点から重要技術を特定し、保全・育成する取組を強化するとともに、基幹的な産業を強靱化するため、今後、その具体化と施策の実施を進める。
(7)戦略的な経済連携の強化
(グリーン・デジタルを始めとする戦略的国際連携)
グリーン化やデジタル化を軸とした世界経済の構造変化に戦略的に対応し、官民がより効果的に連携して、国際的なルール作りに指導力を発揮する。
本年4月の日米首脳会談で立ち上げられた「日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップ」に基づき、①半導体等のサプライチェーン強靱化を含む競争力・イノベーション、②感染症対策・グローバルヘルス・健康安全保障、③グリーン成長・気候変動、の3つの分野を中心に、米国との連携・取組を強化する。
本年4月の気候サミットで各国が示した排出削減目標の引上げや気候変動対策の強化等の国際的な動向を踏まえ、国内の2050 年カーボンニュートラルに向けた取組とともに、我が国が誇る技術を最大限活用した世界の脱炭素移行への支援等を通じ、COP26及びその先に向け、脱炭素化のリーダーシップをとる。
デジタル時代の「信頼性のある自由なデータ流通」のためのルール作りに向け、我が国が共同議長国を務めるWTO電子商取引交渉等を通じリーダーシップを発揮する。
デジタル経済に対応した国際課税上の対応について、解決策の国際的な合意に向け積極的に貢献するとともに、国際的議論等も踏まえ、我が国企業の競争力強化、経済活性化に資するxxな課税の在り方を検討する。
質の高いインフラ投資を推進し、ポストコロナを見据えた「インフラシステム海外展開戦略2025」に基づく施策を着実に進める。
SDGsについては、我が国として官民が連携して社会全体の行動変容に取り組み、国際ルールづくりを主導し、イノベーションや関連投資・事業を強化する。
「成長戦略フォローアップ」(抄)
14.新たな国際競争環境下における活力ある日本経済の実現
(3)日本企業の国際展開支援 i)インフラシステム海外展開
これまでインフラシステム輸出による経済成長の実現のため、2013年に策定した「インフラシステム輸出戦略」(旧戦略)に基づき各種施策を推進してきた。昨今のインフラ海外展開を取り巻く環境の変化を踏まえ、インフラ海外展開の目的をa)カーボンニュートラル、デジタル変革への対応を通じた経済成長の実現、b)展開国の社会課題解決・SDGs達成への貢献、c)「自由で開かれたインド太平洋」の実現等外交課題への対応を3本柱とする「インフラシステム海外展開戦略2025」(新戦略、2020年12月)及び「ポストコロナを見据えた新戦略の着実な推進に向けた取組方針」
(2021年6月)に基づき各種施策を推進していく。
(具体的な対応)
・新型コロナウイルス感染症による環境変化に迅速に対応する。公的金融機関・国際開発金融機関等の各機能も活用しながら、引き続き中断案件等への対応を継続する他、展開国のニーズに応じた医療・保健・公衆衛生分野での国際協力やサプライチェーンの強靱化に向けた支援に取り組む。
・2050年カーボンニュートラルの実現に向け、脱炭素移行政策誘導型インフラ輸出支援も推進しながら、日本の優れた技術の活用に向けた共同開発・実証や海外インフラプロジェクトの組成支援を通じて海外市場の獲得に取り組む。また、JBICポストコロナ成長ファシリティや ODAも活用しつつ、脱炭素技術を有する日本企業の国際競争力強化や販路開拓について支援する。あわせて、防災・気象xxxのインフラシステムの海外展開を推進する。
・デジタル技術によるインフラの整備・維持管理・運営の高度化、インフラからの取得データを活用するサービスを含むデジタルソリューションの展開等を図る案件形成やこれを支えるFS・実証の積極的な活用、「デジタ
ル海外展開プラットフォーム」を活用する日本企業への支援の拡充、我が国技術・制度の国際標準化の取組等パートナー国と連携した5Gをはじめ安全・安心で信頼性の高いICTインフラの戦略的な海外展開に取り組み、スマートシティやMaaSなどの交通ソフトインフラ、医療健康・防災・農業等の分野におけるICT利活用モデルのインフラシステムの海外展開を推進する。
・地域内の連結性のxxxに資する港湾、空港、鉄道等の整備・運営、これら港湾等にアクセスする道路の整備、官公庁船の海外展開等を推進する。
・開放性、透明性、経済性、債務持続可能性等を含む「質の高いインフラ投資に関するG20原則」等の普及・実践のため、公的金融機関・国際開発金融機関等も活用し、質の高い案件の組成に取り組むほか、人材育成の取組を強化する。また、在外公館でインフラプロジェクト専門官による現地プロジェクトの情報収集・集約・分析を行い、専門性強化のため、アドバイザー、弁護士等を活用する。さらに、各国の法制度の構築や運用・改善及び人材育成を支える法務人材派遣を含む各国の法制度整備支援を進める。
・PPPを含む日本企業の海外展開、脱炭素を含む環境対応、外国政府等とのパートナーシップ構築、SDGs達成等のため、公的金融機関・国際開発金融機関、官民ファンド等を利活用する。XXXXはLEADイニシアティブを通じて積極的な案件組成を促す。
ii)SDGsの推進や友好国・地域の経済社会開発促進を通じた日本企業のビジネス展開
(「自由で開かれたインド太平洋」の実現に資する連結性強化)
・インド太平洋地域で質の高いインフラ整備により連結性を強化し、自由で開かれた同地域の開発を促進するとともに、同地域での日本企業の事業展開を後押しする。具体的には、ASEAN地域については、「日ASEAN連結性イニシアティブ」、「対ASEAN海外投融資イニシアティブ」、「メコンSDGs出融資パートナーシップ」、「日ASEAN経済強靱化アクションプラン」等により、地域内外の結節点となる主要な道路、鉄道、港湾、空港等のインフラ整備を推進し、経済発展を支える人材の育成やネットワークの強化を図るとともに、危機に強い経済構築のための産業協力を実施する。太平洋島しょ国についても、第9回太平洋・島サミットで議論される予定の気候変動やインフラ整備等の取組を推進する。インドについては、「日印産業競争力パートナーシップ」を通じて、日本企業の展開を後押しし、産業競争力強化を図る。これらの取組の基盤となる在外公館を含む外交実施体制の整備を推進する。
財政投融資の要求に伴う政策評価(基本的事項)
(機関名:株式会社国際協力銀行(一般業務勘定))
1.政策的必要性
(1)JBIC法において、当行は、我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進、我が国の産業の国際競争力の維持及び向上、地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業の促進、並びに国際金融秩序の混乱の防止又はその被害への対処に係るものといった、我が国の対外政策上重要な業務を行うことが明定されており、我が国の経済安全保障の観点から政策的必要性が高い。
(2)対外的な公共政策機能の遂行に関しては、①民間金融機関では対応困難な政治的・経済的リスクのある出融資等を行う際に、公的機関としてのステイタスを活用し、一般に民間金融機関のみでは収集困難な情報を収集・分析することによって適切なリスクコントロールを実施していく必要がある場合があること、②アジア通貨危機及びリーマン・ショック、更には新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延に端を発した国際金融危機のように緊急的に、大量かつ長期の資金供給を迅速かつ機動的に実行する必要がある場合があること等から、公的関与が必要不可欠である。また、当行は安定的かつ安価な資源・エネルギー確保、インフラ分野における我が国企業の海外展開及び海外の成長の取込みに向けた我が国企業の海外進出などの支援において、公的機関としてのステイタスを背景とし、受入国政府や国際機関等との協議を通じた関係強化によって、当該国における法制度等の変更リスク、プロジェクトの接収等のリスクを緩和するといった民間金融機関では果し得ない役割を担うことが求められている。
(3)なお、諸外国においても、政府の関与の下、類似の事業が行われている。
2.民業補完性
当行は、日本政府の対外経済政策の適切な実施を担う政策金融機関として、これまで培ったネットワーク及び知見を活かし、国際機関や国内外の金融機関とも連携しつつ、海外に特化した事業展開を行ってきている。
また、JBIC法第1条において、当行の業務の目的は、「一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、(中略)もって我が国及び国際経済社会の健全な発展に寄与すること」とされていることを踏まえ、当行の業務は政策意義が高く、民間金融機関のみでは量的・質的制約から十分な対応が困難な場合に限定されている。
さらに、当行業務は、民間資金の動員・活用を積極的に図るべく、民間金融機関と共に融資することを原則としており、要望に応じ、民間金融機関に対する融資・保証供与や民間金融機関による優先的な資金回収等を行うほか、同法に明定された保証機能等を活用しつつ、民間資金の動員・活用を積極的に図っている。
令和2年4月に成長投資ファシリティに追加された新型コロナ危機対応緊急ウインドウ及び令和3年1月に創設されたポストコロナ成長ファシリティにおいても、これらの民業補完の徹底に向けた取り組みを継続している。
3.有効性
効果的かつ効率的に業務を行うことができるよう中期経営計画及び中期経営計画に基づく事業運営計画を定め、その達成状況について、社外取締役及び外部委員により構成される経営諮問・評価委員会による評価を受けることによって、中期目標と年度目標の評価を行う体制を整備している。
4.その他
営業部門と審査・リスク管理部門によるチェック・アンド・バランス体制等により、償還確実性を確保するとともに、貸付等の実施後も、不断のリスク管理に基づき所要の債権保全措置を講じている。
2 年 度 決 算 に 対 す る 評 価
(機関名:株式会社国際協力銀行(一般業務勘定))
1.決算についての総合的な評価
(1)概況
令和2年度の当期純利益は、437億円となった。国庫納付については、JBIC法第31条及びJBIC法施行令第6条等に基づき、219億円を納付済。
(2)残高状況
① 令和2年度末の貸出金残高は、外貨貸付金の増加等により、前年度末比4,106億円増の135,252億円となった。
② 令和2年度末の財政融資資金借入金残高は、新規借入額107億円に対し、償還額346億円となり、前年度末比239億円減の20,437億円となった。外国為替資金借入金残高は、新規借入額20,511億円に対し、償還額22,375億円となり、前年度末比1,155億円減の46,034億円となった。
③ 令和2年度末の社債残高は、新規発行額8,311億円に対し、償還額8,475億円となり、前年度末比783億円増の49,650億円となった。
2.決算の状況
(1)資産・負債・資本の状況
令和2年度末の資産の部残高は、現金預け金の減少等により、前年度末4,716億円減の165,661億円となった。また、負債の部残高は、支払承諾の減少等により、前年度末比3,960億円減の138,257億円となった。純資産の部残高は、前年度末比756億円減の27,404億円となった。
(2)費用・収益の状況
令和2年度の損益状況については、2,828億円の経常収益、2,390億円の経常費用等を計上した結果、当期純利益は437億円となった。
令和4年度の財政投融資計画要求書
(機関名:株式会社国際協力銀行(特別業務勘定))
1.令和4年度の財政投融資計画要求額
区 分 | 令和4年度 要 求 額 | 令和3年度 計 画 額 | 対前年度比 | ||
金額 | 伸率 | ||||
(1)財政融資 | 610 | 610 | - | 0.0 | |
(2)産業投資 | 100 | 100 | - | 0.0 | |
うち x x | 100 | 100 | - | 0.0 | |
うち 融 資 | - | - | - | - | |
(3)政府保証 | 200 | 200 | - | 0.0 | |
うち 国内債 | - | - | - | - | |
うち 外 債 | - | - | - | - | |
うち 外貨借入金 | 200 | 200 | - | 0.0 | |
合 計 | 910 | 910 | - | 0.0 |
(単位:億円、%)
2.財政投融資計画残高
区 分 | 令和4年度末残高(見込) | 令和3年度末残高(見込) | 対前年度比 | ||
金額 | 伸率 | ||||
(1)財政融資 | 1,262 | 652 | 610 | 93.6 | |
(2)産業投資 | 1,733 | 1,633 | 100 | 6.1 | |
うち x x | 1,733 | 1,633 | 100 | 6.1 | |
うち 融 資 | - | - | - | - | |
(3)政府保証 | 400 | 200 | 200 | 100.0 | |
うち 国内債 | - | - | - | - | |
うち 外 債 | - | - | - | - | |
うち 外貨借入金 | 400 | 200 | 200 | 100.0 | |
合 計 | 3,395 | 2,485 | 910 | 36.6 |
(単位:億円、%)
3.事業計画及び資金計画
区 分 | 令和4年度 要 求 額 | 令和3年度 計 画 額 | 増 減 | ||
事業計画の合計額 | 1,000 | 1,000 | - | ||
(内訳) | 輸出 | 380 | 380 | - | |
プラント | 380 | 380 | - | ||
船舶 | - | - | - | ||
輸入・投資 | 550 | 550 | - | ||
資源開発 | 50 | 50 | - | ||
一般投資 | 500 | 500 | - | ||
事業開発等 | 20 | 20 | - | ||
出資 | 50 | 50 | - |
事業計画 (単位:億円)
区 分 | 令和4年度 要 求 額 | 令和3年度 計 画 額 | 増 減 | ||
事業計画実施に必要な資金の合計額 | 1,000 | 1,000 | - | ||
(財源) | 財政投融資 | 910 | 910 | - | |
財政融資 | 610 | 610 | - | ||
産業投資 | 100 | 100 | - | ||
政府保証 | 200 | 200 | - | ||
自己資金等 | 90 | 90 | - | ||
貸付回収金 | 64 | 11 | 52 | ||
その他 | 26 | 79 | △52 |
資金計画 (単位:億円)
財政投融資を要求するに当たっての基本的考え方
(機関名:株式会社国際協力銀行(特別業務勘定))
<官民の役割分担・リスク分担>
1.政策目的の実現に必要な範囲内で、金融・資本市場に関与するに際し、官民の適切な役割分担がなされているか。
(1)JBIC法において、当行は、我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進、我が国の産業の国際競争力の維持及び向上、地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業の促進、並びに国際金融秩序の混乱の防止又はその被害への対処に係るものといった、我が国の対外政策上重要な業務を行うことが明定されており、我が国の経済安全保障の観点から政策的必要性が高い。
(2)特別業務は、「質の高いインフラパートナーシップ」(平成27年5月公表)等の政府の施策を踏まえ、我が国の民間企業等に蓄積された優れた技術、知識及び経験を活用しつつ、新興国をはじめとした世界全体の膨大な社会資本整備に係る投資需要に十分応えていくため、JBIC法を改正(「株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律」(平成28年5月公布))し追加された。
(3)当行は、公的機関としてのステイタスを活用し、一般に民間金融機関のみでは収集困難な情報を収集・分析することによって適切なリスクコントロールを実施し、民間だけでは担えないリスクを負担するとともに、受入国政府や国際機関等との協議を通じた関係強化によって、当該国における法制度の変更リスク、プロジェクトの接収リスク等のリスクの緩和を求めるといった民間金融機関では果しえない役割も担うことが求められている上、インフラ分野における我が国企業の海外展開などの支援に際し、更なるリスクテイクを行いつつ、長期資金、外貨資金、リスクマネーといった民間金融機関では量的・質的に十分に賄えない資金の供給が求められている。
2.官民が適切にリスク分担し、民間企業のモラルハザードを防止しつつ、適度な支援を行っているか。
JBIC法第1条において、当行の業務の目的は、「一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、(中略)もって我が国及び国際経済社会の健全な発展に寄与すること」とされていることを踏まえ、当行業務は、政策意義が高く、民間金融機関のみでは量的・質的制約から十分な対応が困難な場合に限定されている。また、「特別業務指針(平成28年財務省告示第285号)」において、「一般の金融機関が行う金融の補完に徹するよう留意することとし、民間からの資金の動員を図ることとする」と規定されていることを踏まえ、信用補完その他の措置を通じ、民間資金の動員を図っていく。
<対象事業の重点化・効率化>
3.「民間にできることは民間に委ねる」という民業補完性を確保する観点から、対象事業の重点化や効率化をどのように図っているか。
(1)特別業務の対象事業は、重要な資源の海外における開発及び取得の促進、我が国の産業の国際競争力の維持及び向上、地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業の促進、並びに国際金融秩序の混乱の防止又はその被害への対処に係るもののうち海外における社会資本の整備に関する事業に限定している。
(2)「成長戦略実行計画・成長戦略フォローアップ」等を踏まえ、国内外の経済状況及び我が国企業の事業環境に応じた果敢な対応を適時適切に行うための事業規模を出融資計画に反映している。具体的には、更なるリスクテイクを行いつつ「質の高いインフラ投資」を始めとしたインフラ分野における我が国企業の海外展開支援等を実施する。
<財投計画の運用状況等の反映>
4.財投編成におけるPDCAサイクルを強化する観点から、財投計画の運用状況を財政投融資の要求内容にどのように反映しているか。
令和2年度の当行特別業務勘定における財政投融資は910億円(うち財政融資資金 610億円)を予定していたが、大型インフラ案件における事業主(外国政府含む)の検討に時間を要しており出融資が翌年度以降に持ち越されたことにより、財政投融資 768億円の運用残を計上した。
令和4年度の事業規模については、特別業務勘定では社会資本の整備に関する事業に係る更なるリスクテイクを行っており、当行を含む政府機関を通じた「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」の推進を織り込む「経済財政運営と改革の基本方針 2021」・「成長戦略実行計画・成長戦略フォローアップ」・「インフラシステム海外展開戦略2025」・「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」・「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」等の政府方針及び第4期中期経営計画
(2021~2023年度)を踏まえ、民間資金を含む多様な資金を動員することも勘案し、 1,000億円(そのほか保証144億円を計画)としている。
令和4年度の財政投融資の規模については、かかる事業規模に対して、自助努力による資金調達として円貨余裕金の一部を活用することを想定し、910億円(令和3年度当初計画比同額)を財政投融資として要求する。このうち、産業投資は、特別業務勘定の創設のためのJBIC法改正時、衆参両院の附帯決議において、政府に対して、特別業務勘定において十分な資本が機動的に確保されるよう、必要な財政上の措置を講ずるよう述べられているところ、特別業務勘定におけるリスクバッファーとして十分な自己資本を中長期に亘り計画的に確保するため、100億円(令和3年度当初計画比同額)を要求する。
(参考:過去3カ年の財政投融資の運用残額)
30年度 | 元年度 | 2年度 | |
運用残額 | 1,223億円 | 1,093億円 | 768億円 |
運用残率 | 100.0% | 72.1% | 84.4% |
<その他>
5.上記以外の特記事項特になし。
(注)「運用残率」は、改定後現額(改定後計画+前年度繰越)に対する運用残額の割合(%)。
産 業 投 資 に つ い て
(機関名:株式会社国際協力銀行(特別業務勘定))
(事業名:特別業務勘定)
1.産投事業の内容
(1)具体的な事業内容
海外での社会資本の整備に関する事業において、我が国企業の事業展開を一層後押しする観点から、更なるリスクテイクを通じ、出融資保証を実施していく。
(2)必要とする金額の考え方
特別業務を通じたリスクマネー供給強化に対するニーズは高く、特別業務勘定の創設のためのJBIC法改正時、衆参両院の附帯決議において、政府に対して、特別業務勘定において十分な資本が機動的に確保されるよう、必要な財政上の措置を講ずるよう述べられているところ、特別業務勘定におけるリスクバッファーとして十分な自己資本を中長期に亘り計画的に確保するため、令和4年度においては100億円の産投出資を要求する。
(3)見込まれる収益
特別業務指針の二(3)②及び同(5)に基づき、公的機関としてのステイタスの活用等を通じたリスクコントロールにより長期収益性の確保を目指すものであり、当該業務勘定全体での収益実現を見込む。
(4)民間資金の動員の蓋然性
特別業務については、「特別業務指針(平成28年財務省告示第285号)」において、「一般の金融機関が行う金融の補完に徹するよう留意することとし、民間からの資金の動員を図ることとする」と規定されていることを踏まえ、信用補完その他の措置を通じ、民間資金の動員を図っていく。
2.リスク管理体制
個別与信決定においては、与信担当部門(営業部門)及び審査・リスク管理部門により、与信先の信用力、与信対象取引の確実性、与信対象プロジェクトの実行可能性等に関する情報の収集・分析が行われる。両部門が相互に牽制関係を維持しながら与信の適否に関する検討を行い、最終的にはマネジメントによる与信決定の判断がなされる体制をとっている。
残高管理においては、金融機関として適切なリスク管理を行うことの重要性を認識し、リスクの種類に応じたリスク管理及び統合的なリスク管理を行うための
組織体制を構築している。信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスク等の各種リスクの管理に関する責任者及びリスク管理を統括する部署を置くと共に、リスク管理を有効に機能させるための審議・検討等を行うため、統合リスク管理委員会及びALM委員会を設置している。
特別業務においては、上記体制を基本としつつ、特別業務の対象事業の性質を踏まえ、社外の有識者及び社外取締役で構成されるリスク・アドバイザリー委員会において特別業務勘定に係るリスク管理態勢について助言を受けながら、適切にリスク管理を行っている。
政 府 保 証 に つ い て
(機関名:株式会社国際協力銀行(特別業務勘定))
1.政府保証の考え方
(1)政府保証国内債該当なし。
(2)政府保証外債該当なし。
(3)政府保証外貨借入金
特別業務では、米ドル以外の現地通貨建て資金の供給が期待されている海外インフラ事業を対象としており、当行が現地通貨建て融資を行うに当たっては、社債発行等との比較において、金額・期間の観点から柔軟な資金調達がしやすく、かつ機動的な対応が可能な外国通貨長期借入が補完的な外貨調達手段となり得る。JBIC法改正(「株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律」(平成28年5月公布))により、かかる外国通貨長期借入が可能となったところ、当該借入を円滑かつ低コストで行うためには、政府保証により日本政府の信用力に依拠した調達とする必要があるもの。
2.必要とする金額の考え方
(1)政府保証国内債該当なし。
(2)政府保証外債該当なし。
(3)政府保証外貨借入金
外国通貨長期借入について、現地通貨建て融資の資金需要等に鑑み200億円の政府保証を要求するもの。なお、非居住者たる当行による現地通貨借入及び貸付については、現地法制上の制約等によっては、認められない可能性がある他、期間や金額に上限が課される可能性がある点につき留意が必要。
成長戦略等に盛り込まれた事項について
(機関名:株式会社国際協力銀行(特別業務勘定))
「経済財政運営と改革の基本方針2021」及び「成長戦略実行計画・成長戦略フォローアップ」に盛り込まれた事項に関する要求内容
「経済財政運営と改革の基本方針2021」及び「成長戦略実行計画・成長戦略フォローアップ」等では、世界的に、グリーン投資やデジタル投資の加速とそれに対応した経済・産業構造の急速な変化、感染症のようなグローバルショックに対しても強靱な経済構造の追求、経済安全保障の視点を重視したサプライチェーンの見直しなど、これまでの延長線上にない変化が生じている中、従来とは異なる新たなビジネス環境に柔軟に対応していく必要があると謳われており、当行は、これに十分応えていくため、特別業務も活用しながら必要な支援を行っていく方針。これらの支援に必要な原資の確保に加え、特別業務勘定におけるリスクバッファーとして十分な自己資本を中長期に亘り計画的に確保するべく、特別業務勘定として財政融資資金610億円、産投出資100億円、政府保証外貨借入金200億円からなる財政投融資を計910億円要求している。
【参考】
「経済財政運営と改革の基本方針2021」(抄)
第2x xなる時代をリードする新たな成長の源泉~4つの原動力と基盤づくり~
5.4つの原動力を支える基盤づくり
(6)経済安全保障の確保等
安全保障の裾野が経済・技術分野に急速に拡大するとともに、コロナ禍によりサプライチェーン上の脆弱性が国民の生命や生活を脅かすリスクが明らかになる中、国際連携の充実も図りつつ、経済安全保障の取組を強化・推進する。このため、経済安全保障に係る戦略的な方向性として、基本的価値やルールに基づく国際秩序の下で、同志国との協力の拡大・深化を図りつつ、我が国の自律性の確保・優位性の獲得を実現することとし、こうした観点から重要技術を特定し、保全・育成する取組を強化するとともに、基幹的な産業を強靱化するため、今後、その具体化と施策の実施を進める。
(7)戦略的な経済連携の強化
(グリーン・デジタルを始めとする戦略的国際連携)
グリーン化やデジタル化を軸とした世界経済の構造変化に戦略的に対応し、官民がより効果的に連携して、国際的なルール作りに指導力を発揮する。
本年4月の日米首脳会談で立ち上げられた「日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップ」に基づき、①半導体等のサプライチェーン強靱化を含む競争力・イノベーション、②感染症対策・グローバルヘルス・健康安全保障、③グリーン成長・気候変動、の3つの分野を中心に、米国との連携・取組を強化する。
本年4月の気候サミットで各国が示した排出削減目標の引上げや気候変動対
策の強化等の国際的な動向を踏まえ、国内の2050 年カーボンニュートラルに向けた取組とともに、我が国が誇る技術を最大限活用した世界の脱炭素移行への支援等を通じ、COP26及びその先に向け、脱炭素化のリーダーシップをとる。
デジタル時代の「信頼性のある自由なデータ流通」のためのルール作りに向け、我が国が共同議長国を務めるWTO電子商取引交渉等を通じリーダーシップを発揮する。
デジタル経済に対応した国際課税上の対応について、解決策の国際的な合意に向け積極的に貢献するとともに、国際的議論等も踏まえ、我が国企業の競争力強化、経済活性化に資するxxな課税の在り方を検討する。
質の高いインフラ投資を推進し、ポストコロナを見据えた「インフラシステム海外展開戦略2025」に基づく施策を着実に進める。
SDGsについては、我が国として官民が連携して社会全体の行動変容に取り組み、国際ルールづくりを主導し、イノベーションや関連投資・事業を強化する。
「成長戦略フォローアップ」(抄)
14.新たな国際競争環境下における活力ある日本経済の実現
(3)日本企業の国際展開支援 i)インフラシステム海外展開
これまでインフラシステム輸出による経済成長の実現のため、2013年に策定した「インフラシステム輸出戦略」(旧戦略)に基づき各種施策を推進してきた。昨今のインフラ海外展開を取り巻く環境の変化を踏まえ、インフラ海外展開の目的をa)カーボンニュートラル、デジタル変革への対応を通じた経済成長の実現、b)展開国の社会課題解決・SDGs達成への貢献、c)「自由で開かれたインド太平洋」の実現等外交課題への対応を3本柱とする「インフラシステム海外展開戦略2025」(新戦略、2020年12月)及び「ポストコロナを見据えた新戦略の着実な推進に向けた取組方針」
(2021年6月)に基づき各種施策を推進していく。
(具体的な対応)
・新型コロナウイルス感染症による環境変化に迅速に対応する。公的金融機関・国際開発金融機関等の各機能も活用しながら、引き続き中断案件等への対応を継続する他、展開国のニーズに応じた医療・保健・公衆衛生分野での国際協力やサプライチェーンの強靱化に向けた支援に取り組む。
・2050年カーボンニュートラルの実現に向け、脱炭素移行政策誘導型インフラ輸出支援も推進しながら、日本の優れた技術の活用に向けた共同開発・実証や海外インフラプロジェクトの組成支援を通じて海外市場の獲得に取り組む。また、JBICポストコロナ成長ファシリティや ODAも活用しつつ、脱炭素技術を有する日本企業の国際競争力強化や販路開拓について支援する。あわせて、防災・気象xxxのインフラシステムの海外展開を推進する。
・デジタル技術によるインフラの整備・維持管理・運営の高度化、インフラからの取得データを活用するサービスを含むデジタルソリューションの展開等を図る案件形成やこれを支えるFS・実証の積極的な活用、「デジタル海外展開プラットフォーム」を活用する日本企業への支援の拡充、我が国技術・制度の国際標準化の取組等パートナー国と連携した5Gをはじめ安全・安心で信頼性の高いICTインフラの戦略的な海外展開に取り組み、スマートシティやMaaSなどの交通ソフトインフラ、医療健康・防災・農業等の分野におけるICT利活用モデルのインフラシステムの海外展開を推進する。
・地域内の連結性のxxxに資する港湾、空港、鉄道等の整備・運営、これら港湾等にアクセスする道路の整備、官公庁船の海外展開等を推進する。
・開放性、透明性、経済性、債務持続可能性等を含む「質の高いインフラ投資に関するG20原則」等の普及・実践のため、公的金融機関・国際開発金融機関等も活用し、質の高い案件の組成に取り組むほか、人材育成の取組を強化する。また、在外公館でインフラプロジェクト専門官による現地プロジェクトの情報収集・集約・分析を行い、専門性強化のため、アドバイザー、弁護士等を活用する。さらに、各国の法制度の構築や運用・改善及び人材育成を支える法務人材派遣を含む各国の法制度整備支援を進める。
・PPPを含む日本企業の海外展開、脱炭素を含む環境対応、外国政府等とのパートナーシップ構築、SDGs達成等のため、公的金融機関・国際開発金融機関、官民ファンド等を利活用する。XXXXはLEADイニシアティブを通じて積極的な案件組成を促す。
ii)SDGsの推進や友好国・地域の経済社会開発促進を通じた日本企業のビジネス展開
(「自由で開かれたインド太平洋」の実現に資する連結性強化)
・インド太平洋地域で質の高いインフラ整備により連結性を強化し、自由で開かれた同地域の開発を促進するとともに、同地域での日本企業の事業展開を後押しする。具体的には、ASEAN地域については、「日ASEAN連結性イニシアティブ」、「対ASEAN海外投融資イニシアティブ」、「メコンSDGs出融資パートナーシップ」、「日ASEAN経済強靱化アクションプラン」等により、地域内外の結節点となる主要な道路、鉄道、港湾、空港等のインフラ整備を推進し、経済発展を支える人材の育成やネットワークの強化を図るとともに、危機に強い経済構築のための産業協力を実施する。太平洋島しょ国についても、第9回太平洋・島サミットで議論される予定の気候変動やインフラ整備等の取組を推進する。インドについては、「日印産業競争力パートナーシップ」を通じて、日本企業の展開を後押しし、産業競争力強化を図る。これらの取組の基盤となる在外公館を含む外交実施体制の整備を推進する。
財政投融資の要求に伴う政策評価(基本的事項)
(機関名:株式会社国際協力銀行(特別業務勘定))
1.政策的必要性
世界のインフラ需要に日本の官民の力を総動員して対応し、我が国のインフラ開発の特長であるライフサイクルコストの抑制や環境・防災等への配慮、現地人材の育成等につながる「質の高いインフラ投資」を現地の官民とも協力して実現していくといった政策目的達成のためには、公的資金に加え、民間部門の資金・ノウハウの動員により、「質・量」の双方を追求する必要がある。
具体的には、当行が公的機関としてのステイタスを活用し、①民間では取得困難な情報の収集・分析や、②受入国政府との関係強化や国際機関等との連携による法制度変更・接収リスクの緩和等、民間のみでは対応困難なリスクコントロール策を実施することで、インフラ分野における我が国企業の海外展開を促進することが期待されている。また、当行が中心となって長期・外貨建のリスクマネーを供給することで、民間金融機関参画の呼び水となり、更なる民間資金の動員が可能となる。
2.民業補完性
特別業務を含む当行業務は、政策意義が高く、民間金融機関のみでは量的・質的制約から十分な対応が困難な場合に限定されている。また、「特別業務指針(平成 28年財務省告示第285号)」において、「一般の金融機関が行う金融の補完に徹するよう留意することとし、民間からの資金の動員を図ることとする」と規定されており、民業補完に徹していく方針に変わりはない。また、世界のインフラ投資需要に「質・量」の双方の観点から応えていくため、特別業務についても、民間部門の資金・ノウハウの動員を図っていく。
3.有効性
効果的かつ効率的に業務を行うことができるよう中期経営計画及び中期経営計画に基づく事業運営計画を定め、その達成状況について、社外取締役及び外部委員により構成される経営諮問・評価委員会による評価を受けることによって、中期目標と年度目標の評価を行う体制を整備している。
4.その他
「特別業務指針(平成28年財務省告示第285号)」に基づき、公的機関としてのステイタスの活用等を通じたリスクコントロールが可能な案件を対象とし、長期収益性の確保を目指すものであり、当該業務勘定全体での収益可能性を見込む。
2 年 度 決 算 に 対 す る 評 価
(機関名:株式会社国際協力銀行(特別業務勘定))
1.決算についての総合的な評価
(1)概況
令和2年度は5億円の当期純利益となった。なお、同年度の剰余金の額が零を下回ったことから、JBIC法第31条に基づき、国庫納付は実施していない。
(2)残高状況
① 令和2年度末の貸出金残高は、外貨貸付及び円貨貸付の増加等により、前年度末比122億円増の316億円となった。
② 令和2年度末の財政融資資金借入金残高は、新規借入額42億円となり、前年度末比42億円増の42億円となった。
③ 令和2年度は社債の発行を行わなかったため、同年度末の社債残高はなし。
2.決算の状況
(1)資産・負債・資本の状況
令和2度末の資産の部残高は、貸出金の増加等により、前年度末比158億円増の 3,088億円となった。また、負債の部残高は、借入金の増加等により、前年度末比
50億円増の67億円となった。純資産の部残高は、前年度末比109億円増の3,021億円となった。
(2)費用・収益の状況
令和2年度の損益状況については、14億円の経常収益、9億円の経常費用を計上した結果、5億円の当期純利益となった。