Vol. 41
Vol. 41
税務・法律相談室
書類作成の重要性
ゆあ法律事務所
弁護士
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私は、海産物を卸す会社の代表者です。当社は、取引先と契約書を交わすことなく取引を行っています。取引先が信頼できる友人の経営する会社であったり、そもそも契約書を交わすのが面倒だったりするからです。契約書を交わさなくても問題はないでしょうか。
契約の成立
契約は、合意によって成立します。売買契約を例にとれば、当事者の「海産物を1 キロ○○円で売ります。海産物を1 キロ○○円で買います。」という合意によって売買契約は成立します。
よく耳にする「契約は口頭でも成立する。」という話はこのことを意味しており、一部の契約を除き、契約書等の書類を作成することは契約の成立には必要ありません。
契約書作成の必要性
ではなぜ契約書を作成する必要があるのでしょうか。
それは契約した内容を証拠化するためです。契約後にその内容について当事者の認識に食い違いが生じるなどして紛争となる場合があります。その際、契約内容を契約書という形で証拠化しておけば、後の紛争を防止することができます。紛争は最終的に訴訟において解決されますが、そこでも契約書等の書類は重視されます。
しかし、実際には契約書を作成していないケースが少なからず存在します。
契約書作成の際の注意点
契約書を作成することは後の紛争を防止するために必要なことですが、契約書を作成しさえすればよいのかといえば、そうではありません。
当事者の合意内容を正確にかつ分かりやすく記載しなければ、契約書を作成した意味はありません。冒頭の会社を例にとれば、モズクを卸す契約をする際、契約書に卸す対象として単に「海産物」
や「海藻」と記載するだけでは卸す対象の特定ができません。後に卸す対象がモズクだったのか海ぶどうだったのかといった紛争になったとき、契約書の記載からそれがモズクであったことを確認することはできません。
契約書を作成する際には、内容を特定できるように記載する必要があります。
印鑑の重要性
契約書に個人や会社の印鑑による押印がされていると、個人や会社がその意思に基づいて押印したものとされ、その契約書が正しく作成されたものとされてしまいます。(これを「契約書が真正に成立したものと推定される」といいます。)印鑑を権限のない人が勝手に使用し、契約書が作成されてしまったような場合には、その推定を覆す必要がありますが、これは非常に困難です。
印鑑は非常に重要なものですので、その保管や使用には細心の注意をはらう必要があります。 最後に
以上、契約書作成の意味や注意点等を簡単にお話しましたが、これは書類作成一般に当てはまります。書類作成は、手間がかかる一方で行わなくても紛争とならないこともあるので、積極的に行おうという意識は持ちにくいかもしれません。
しかし、将来起こりうる紛争(紛争が一度起こるとさまざまな負担を強いられます。)を未然に防ぐためにぜひ書類作成を積極的にしていただきたいと思います。
14 かいぎん Vol. 114 2014年 9月号
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