Contract
賃金等の変動に対する長崎市工事標準請負契約書第 26 条第 6 項(インフレスライド条項)の運用基準
1.適用対象工事
(1) 契約書第 26 条(令和2年 9 月 30 日以前に契約締結したものについては、第 25 条とする。以下同じ。)第6項の請求は、2.(3)に定める残工期が2.(2)に定める基準日から2ヶ月以上あること。
(2) 発注者及び受注者によるスライドの適用対象工事の確認時期は、賃金水準の変更がなされた時とする。
2.請求日及び基準日等について
請求日及び基準日等の定義は、以下のとおりとする。
(1)請求日:スライド変更の可能性があるため、発注者又は受注者が請負代金額の変更の協議(以下「スライド協議」という。)を請求した日とする。
(2)基準日:請求があった日から起算して、14 日以内で発注者と受注者とが協議して定める日とし、請求日とすることを基本とする。
(3)残工期:基準日以降の工事期間とする。
3.スライド協議の請求
発注者又は受注者からのスライド協議の請求は、書面により行うこととし、その期限は直近の賃金水準の変更から、次の賃金水準の変更がなされるまでとする。
4.請負代金額の変更
(1) 賃金水準又は物価水準の変動による請負代金額の変更額(以下「スライド額」という。)は、当該工事に係る変動額のうち請負代金額から基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額の 100 分の1に相当する金額を超える額とする。
(2) 増額スライド額については、次式により行う。 S増=[P2-P1-(P1×1/100)]
この式において、S増、P1及びP2は、それぞれ次の額を表すものとする。 S増:増額スライド額
P1:請負代金額から基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額 P2:変動後(基準日)の賃金又は物価を基礎として算出したP1に相当する額
(P=Σ(α×Z)、α:請負比率(落札率)、Z:市積算額)
(3) 減額スライド額については、次式により行う。 S減=[P2-P1+(P1×1/100)]
この式において、S減、P1及びP2は、それぞれ次の額を表すものとする。 S減:減額スライド額
P1:請負代金額から基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額 P2:変動後(基準日)の賃金又は物価を基礎として算出したP1に相当する額
(P=Σ(α×Z)、α:請負比率(落札率)、Z:市積算額)
(4) スライド額は、労務単価、材料単価、機械器具損料並びにこれらに伴う共通仮設費、現場管理費及び一般管理費等の変更について行われるものであり、歩掛の変更については考慮するものではない。
5.残工事量の算定
(1) 基準日における残工事量を算定するために行う出来形数量の確認は、数量総括表に対応して出来高確認を行うものとすること。
(2) 基準日までに変更契約を行っていないが先行指示されている設計量についても、基準日以降の残工事量についてはスライドの対象とすること。
(3) 現場搬入材料については、認定したものは出来形数量として取り扱うこと。また、下記の材料等についても出来形数量として取り扱う。
・工場製作品については、工場での確認又はミルシート等で在庫確保が証明できる材料は出来形数量として取り扱う。
・基準日以前に配置済みの現地据付型の建設機械及び仮設材料等(架設用クレーン、仮設鋼材など)も出来形の対象とする。
・契約書にて工事材料契約の完了が確認でき、近隣のストックヤード等で在庫確認が可能な材料は出来形数量として取り扱う。
(4) 数量総括表で一式明示した仮設工についても出来形数量の対象とできる。
(5) 出来形数量の計上方法については、発注者側に換算数量がない場合は、受注者側の当該工種に対する構成比率により出来形数量を算出してもよい。
(6) 受注者の責めに帰すべき事由により遅延していると認められる工事量は、増額スライド額の場合、出来形部分に含めるものとする。
6.物価指数
発注者は、積算に使用する単価を用いた変動率を物価指数とすることを基本とする。なお、受注者の協議資料等に基づき双方で合意した場合は別途の物価指数を用いることができる。
7.変更契約の時期
スライド額に係る契約変更は、精算変更時点で行うことができる。
ただし、予算が確保されていないなどの事情がない限りすみやかに変更契約を行うこと。
8.全体スライド及び単品スライド条項の併用
(1) 契約書第 26 条第1項から第4項までに規定する全体スライド条項に基づく請負代金額の変更を実施した後であっても、本通知によるスライドを請求することができる。
(2) 本通知に基づき請負代金額の変更を実施した後であっても、契約書第 26 条第5項に
規定する単品スライド条項に基づく請負代金額の変更を請求することができる。
9.単価契約における準用
単価契約による工事請負契約書第 18 条第 2 項(インフレスライド条項)の運用についても本基準を準用する。
残工事に対する変動前後の差額(A)
請 負 代 金 額
(変動前残工事額(B))
出来高
残工事
契約日
賃金水準
の変更日
請求日
基準日
工期末
次の賃金水準の
変更日まで
14 日以内
残工事 2 ヶ月以上
スライド額(増額)
A-B×1.0%
受注者の負担(1.0%)
10.スライド額(増額)算定のイメージ図
11.インフレスライド請求のフロー図
期間 | 等 | 手続き項目 | 備考 | |
請 求 日 | ・発注者又は受注 者から請求 | |||
・発注者から通知 | ||||
7 日以内 | スライド額協議開始日の通知 | |||
14 日以内 | ||||
基 準 日 | ||||
・出来高確認 ・残工事量算定 ・スライド額算定 | ||||
スライド額協議開始 | ||||
残工事 2ヶ月以上 | 14 日以内 | スライド額確定 | ・発注者及び受注者で協議書取り交わし | |
・精算変更時点で行うこ とができる | ||||
スライド変更契約 | ||||
工 期 末 |