Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
資料3-1
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
解除xxについて
1.解除権について
1
民法改正の内容
・建物その他の土地の工作物については、深刻な瑕疵があっても注文者は契約を解除することができないことが規定されていた(旧第635条ただし書)が今回この規定が削除され、「債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるとき」を除いて土地の工作物についても解除することができる(新第541条)こととされた。
・債務不履行による解除一般について、債務者の責めに帰することができない事由によるものであっても解除が可能であるとされた(新第541条、新第542条)。また、不履行が債権者の責めに帰すべき事由による場合には、解除はできないことが明文化された(新第543条)
○民法
旧第六xx十五条 仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。
(催告による解除)
第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
(催告によらない解除)
第五百四十xx xに掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。一 債務の一部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
(債権者の責めに帰すべき事由による場合)
第五百四十三条 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない。
2
○現行の標準約款においては、発注者は下記の場合に契約を解除することができるとされている。
公 | 甲 | 乙 | 下 | |
○ | ○ | ○ | ○ | 正当な理由なく、工事に着手すべき期日を過ぎても工事に着手しないとき |
○ | ○ | ○ | ○ | その責めに帰すべき事由により工期内に完成しないとき又は工期経過後相当の期間内に工事を完成する見込みが明らかにないとき |
○ | ○ | ○ | xx技術者又は監理技術者を設置しなかったとき | |
○ | ○ | ○ | ○ | その他契約に違反し、その違反によりこの契約の目的を達することができないと認められるとき |
○ | ○ | 受注者が建設業の許可を取り消されたとき又はその許可が効力を失ったとき | ||
○ | ○ | 資金不足による手形又は小切手の不渡りを出す等受注者が支払いを停止する等により、受注者が工事を続行できないおそれがあると認められるとき | ||
○ | ○ | ○ | ○ | 約款に規定された受注者の解除権の規定によらず、受注者が解除を申し出たとき |
○ | 受注者が暴力団関係者であったとき | |||
○ | ○ | ○ | ○ | 発注者は工事が完成するまでは、必要があるときはいつでも契約を解除することができる。(この場合、発注者は受注者に対して損害を賠償しなければならない。) |
※民法第635条ただし書があったため、工事の目的物に瑕疵があった場合の解除規定はない。
※逐条解説によれば、第47条の規定は、第49条第1項(受注者の解除権)の規定によらず受注者が解 除を申し出たとき及び暴力団関係者であった場合を除き、催告が必要と解されている。 3
○ 公共工事標準請負契約約款
(発注者の解除権)
第四十七条 発注者は、受注者が次の各号のいずれかに該当するときは、この契約を解除することができる。一 正当な理由なく、工事に着手すべき期日を過ぎても工事に着手しないとき。
二 その責めに帰すべき事由により工期内に完成しないとき又は工期経過後相当の期間内に工事を完成する見込みが明らかにないと認められるとき。
三 第十条第一項第二号に掲げる者を設置しなかったとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、契約に違反し、その違反によりこの契約の目的を達することができないと認められるとき。五 第四十九条第一項の規定によらないでこの契約の解除を申し出たとき。
六 受注者(受注者が共同企業体であるときは、その構成員のいずれかの者。以下この号において同じ。)が次のいずれかに該当するとき。
イ 役員等(受注者が個人である場合にはその者を、受注者が法人である場合にはその役員又はその支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務 所の代表者をいう。以下この号において同じ。)が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)であると認められるとき。
ロ 暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第二号に規定する暴力団をいう。以下この号において同じ。)又は暴力団員が経営に実質的に関与していると認められるとき。
ハ 役員等が自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもって、暴力団又は暴力団員を利用するなどしたと認められるとき。
ニ 役員等が、暴力団又は暴力団員に対して資金等を供給し、又は便宜を供与するなど直接的あるいは積極的に暴力団の維持、運営に協力し、若しくは関与していると認められるとき。
ホ 役員等が暴力団又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有していると認められるとき。
ヘ 下請契約又は資材、原材料の購入契約その他の契約に当たり、その相手方がイからホまでのいずれかに該当することを知りながら、当該者と契約を締結したと認められるとき。
ト 受注者が、イからホまでのいずれかに該当する者を下請契約又は資材、原材料の購入契約その他の契約の相手方としていた場合(へに該当する場合を除く。)に、発注者が受注者に対して当該契約の解除を求め、受注者がこれに従わなかったとき。
(発注者の任意解除権)
第四十八条 発注者は、工事が完成するまでの間は、第四十七条の規定によるほか、必要があるときは、この契約を解除することができる。
2 発注者は、前項の規定によりこの契約を解除したことにより受注者に損害を及ぼしたときは、その損害を賠償しなければならない。
○ 民間工事標準請負契約約款(甲)
(発注者の中止権及び解除権)
第三十四条 発注者は、必要があると認めるときは、書面をもって受注者に通知して工事を中止し、又はこの契約を解除することができる。この場合、発注者は、これによって生じる受注者の損害を賠償する。
2 次の各号のいずれかに該当するときは、発注者は、書面をもって受注者に通知して工事を中止し、又はこの契約を解除することができる。 この場合において、第一号から第五号まで及び第七号のいずれかに該当するときは、発注者は、受注者に損害の賠償を請求することができる。一 受注者が正当な理由なく、着手期日を過ぎても工事に着手しないとき。
二 工事が正当な理由なく工程表より著しく遅れ、工期内又は期限後相当期間内に、受注者が工事を完成する見込がないと認められるとき。三 受注者が第五条又は第十七条第一項の規定に違反したとき。
四 前三号のほか、受注者がこの契約に違反し、その違反によってこの契約の目的を達することができないと認められるとき。五 受注者が建設業の許可を取り消されたとき又はその許可が効力を失ったとき。
六 資金不足による手形又は小切手の不渡りを出す等受注者が支払いを停止する等により、受注者が工事を続行できないおそれがあると認められるとき。
七 受注者が次条第四項各号のいずれかに規定する理由がないにもかかわらず、この契約の解除を申し出たとき。
3~5 (略)
○民間工事標準請負契約約款(乙)
(発注者の中止権及び解除権)
第二十四条 発注者は、必要があると認めるときは、書面をもって受注者に通知して工事を中止し、又はこの契約を解除することができる。この場合、発注者は、これによって生じる受注者の損害を賠償する。
2 次の各号のいずれかに該当するときは、発注者は、書面をもって受注者に通知して工事を中止し、又はこの契約を解除することができる。 この場合において、第一号から第五号まで及び第七号のいずれかに該当するときは、発注者は、受注者に損害の賠償を請求することができる。一 受注者が正当な理由なく、着手期日を過ぎても工事に着手しないとき。
二 工事が正当な理由なく工程表より著しく遅れ、工期内又は期限後相当期間内に、受注者が工事を完成する見込みがないと認められるとき。三 受注者が第三条又は第十条第一項の規定に違反したとき。
四 前三号のほか、受注者がこの契約に違反し、その違反によってこの契約の目的を達することができないと認められるとき。五 受注者が建設業の許可を取り消されたとき又はその許可が効力を失ったとき。
六 資金不足による手形又は小切手の不渡りを出す等受注者が支払いを停止する等により、受注者が工事を続行できないおそれがあると認められるとき。
七 受注者が次条第二項各号のいずれかに規定する理由がないにもかかわらず、この契約の解除を申し出たとき。
3~6 (略)
○ 建設工事標準下請契約約款
第三十xx x請負人は、下請負人が次の各号のいずれかに該当するときは、この契約を解除することができる。一 正当な理由がないのに、工事に着手すべき時期を過ぎても、工事に着手しないとき。
二 その責めに帰すべき理由により工期内又は工期経過後相当期間内に工事を完成する見込がないと明らかに認められるとき。 三 前二号に掲げる場合のほか、この契約に違反し、その違反によりこの契約の目的を達することができないと認められるとき。四 第三十七条(下請負人の解除権)第一項の規定によらないでこの契約の解除を申し出たとき。
2~5 (略)
(元請負人の解除権)
第三十六条
2・3 (略)
元請負人は、工事が完成しない間は、前条第一項に規定する場合のほか必要があるときは、この契約を解除することができる。
論点
① 解除に関する規定について、民法改正を踏まえ、約款においてどのように規定するか
② 目的物の引き渡し後においても契約が解除できることとされたことを踏まえ、これを約款にどう反映させるか
③ その他約定解除権として規定することがあるか。
① 解除に関する規定について、民法改正を踏まえ、約款においても催告解除と無催告解除を分けて規定する。
① 改正民法において列記されている解除事由は約款においても列記する。
① 列記された改正民法の規定を踏まえ、現行の解除事由について文言の修正等を検討した上で、催告解除と無催告解除のどちらにあたるかを精査し、それぞれ規定する。
① 改正民法の規定を踏まえ、発注者の責めに帰すべき事由があるときは解除ができないことを明記する。
② 目的物の引き渡し後においても契約が解除できることとされたことを踏まえ、民法で規定する法定解除権について契約不適合に起因する不履行を明示して規定する。
→履行の追完がなされないときに催告解除の対象となる。
○民法
(催告による解除)
第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
(催告によらない解除)
第五百四十xx xに掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。一 債務の一部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
(債権者の責めに帰すべき事由による場合)
第五百四十三条 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない。
○公共工事標準請負契約約款
(発注者の催告による解除権)
第四十七条 発注者は、受注者が次の各号のいずれかに該当するときは、相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、この契約を解除することができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がこの契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
一 正当な理由なく、工事に着手すべき期日を過ぎても工事に着手しないとき
二 工期内に完成しないとき又は工期経過後相当の期間内に工事を完成する見込みがないと認められるとき
三 第十条第一項第二号に掲げる者を設置しなかったとき
四 正当な理由なく、第四十四条第一項の履行の追完がなされないとき五 前各号に掲げる場合のほか、この契約に違反したとき。
(発注者の催告によらない解除権)
第四十七条の二 発注者は、受注者が次の各号のいずれかに該当するときは、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 受注者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は受注者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、受注者が履行をしないでその時期を経過したとき。 五 前各号に掲げる場合のほか、受注者がその債務の履行をせず、発注者が前条の催告をしても契約を
した目的を達するのに足りる履行がされる見込みが明らかであるとき。六 第四十九条第一項の規定によらないでこの契約の解除を申し出たとき。
七 受注者(受注者が共同企業体であるときは、その構成員のいずれかの者。以下この号において同じ。)が次のいずれかに該当するとき。
イ 役員等(受注者が個人である場合にはその者を、受注者が法人である場合にはその役員又はその支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所の代表者をいう。以下この号において同 じ。)が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第 六号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)であると認められるとき。
ロ 暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第二号に規定する暴力団をいう。以下この号において同じ。)又は暴力団員が経営に実質的に関与していると認められるとき。
ハ 役員等が自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもって、暴力団又は暴力団員を利用するなどしたと認められるとき。
ニ 役員等が、暴力団又は暴力団員に対して資金等を供給し、又は便宜を供与するなど直接的あるいは積極的に暴力団の維持、運営に協力し、若しくは関与していると認められるとき。
ホ 役員等が暴力団又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有していると認められるとき。 ヘ 下請契約又は資材、原材料の購入契約その他の契約に当たり、その相手方がイからホまでのいず
れかに該当することを知りながら、当該者と契約を締結したと認められるとき。
ト 受注者が、イからホまでのいずれかに該当する者を下請契約又は資材、原材料の購入契約その他の契約の相手方としていた場合(へに該当する場合を除く。)に、発注者が受注者に対して当該契約の解除を求め、受注者がこれに従わなかったとき。
※上記に加え譲渡制限特約に違反した場合の解除を規定
(発注者の責めに帰すべき事由による場合の解除の制限)
第四十七条の三 前二条各号に定める事由が発注者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、発注者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない。
2.解除に伴う措置(報酬請求権)について
・ 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、この場合において、請負人は注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができることとされた。
① 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
② 請負が仕事の完成前に解除されたとき。
○民法
(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)
第六xx十xx xに掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。
<現行の公共約款の規定>
○ 契約が解除された場合の一般的効果については、民法545条に規定がなされており、 契約当事者は、原状回復義務及び相手方に与えた損害賠償義務を負うこととされている。
○ しかし、建設工事にあっては、契約の解除に伴う原状回復について、出来形部分の取 壊しにより被る両当事者の時間的、経済的損失は莫大なものとなるなど、出来形部分の 取壊し、支給材料の返還、貸与品の返還、工事用地等の整地等といった点で問題があり、原状回復は極めて不経済かつ不合理である。
○ 判例・通説においても工事の完成部分においては解除をなし得ないとか、建設工事の請負契約の解除には遡及効がないとされているところである。
○ このため、公共約款第50条において、出来形部分を検査し合格した部分については発注者が引き受けるものとし、引き受けた部分に相応する請負代金を支払うこととされている。
○ 第1項から第3項までは、出来形部分の取扱い、第4項は、支給材料の取扱い、第5項は、貸与品の取扱い、第6項及び第7項は、工事用地等の取扱い、第8項は、全体に共通する取扱いについて規定している。
<民間約款(甲・乙)、下請約款の規定>
○ 民間約款及び下請約款においては、工事が解除された場合においては発注者が出来形を引き受け、受発注者で協議して清算することとされている。
○ 下請約款においては、その出来形部分が設計図書に適合しない場合は、その引渡しを受けないことができることとされている。
○公共工事標準請負契約約款
(解除に伴う措置)
第五十条 発注者は、この契約が解除された場合においては、出来形部分を検査の上、当該検査に合格した部分及び部分払の対象となった工事材料の引渡しを受けるものとし、当該引渡しを受けたときは、当該引渡しを受けた出来形部分に相応する請負代金を受注者に支払わなければならない。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは、その理由を受注者に通知して、出来形部分を最小限度破壊して検査することができる。
2 前項の場合において、検査又は復旧に直接要する費用は、受注者の負担とする。
3 第一項の場合において、第三十四条(第四十条において準用する場合を含む。)の規定による前払金[又は中間前払金]があったときは、当該前払金の額[及び中間前払金の額](第三十七条及び第四十一条の規定による部分払をしているときは、その部分払において償却し
た前払金[及び中間前払金]の額を控除した額)を同項前段の出来形部分に相応する請負代金額から控除する。この場合において、受領済みの前払金額[及び中間前払金額]になお余剰があるときは、受注者は、解除が第四十七条又は第四十七条の二第二項の規定によるときにあっては、その余剰額に前払金[又は中間前払金]の支払いの日から返還の日までの日数に応じ年〇パーセントの割合で計算した額の利息を付した額を、解除が前二条の規定によるときにあっては、その余剰額を発注者に返還しなければならない。
注 [ ]の部分は、第三十四条(B)を使用する場合には削除する。〇の部分には、たとえば、政府契約の支払遅延防止等に関する法律第八条の規定により財務大臣が定める率を記入する。
4 受注者は、この契約が解除された場合において、支給材料があるときは、第一項の出来形部分の検査に合格した部分に使用されてい
るものを除き、発注者に返還しなければならない。この場合において、当該支給材料が受注者の故意若しくは過失により滅失若しくはき損したとき、又は出来形部分の検査に合格しなかった部分に使用されているときは、代品を納め、若しくは原状に復して返還し、又は返還に代えてその損害を賠償しなければならない。
5 受注者は、この契約が解除された場合において、貸与品があるときは、当該貸与品を発注者に返還しなければならない。この場合において、当該貸与品が受注者の故意又は過失により滅失又はき損したときは、代品を納め、若しくは原状に復して返還し、又は返還に代えてその損害を賠償しなければならない。
6 受注者は、この契約が解除された場合において、工事用地等に受注者が所有又は管理する工事材料、建設機械器具、仮設物その他の物件(下請負人の所有又は管理するこれらの物件を含む。)があるときは、受注者は、当該物件を撤去するとともに、工事用地等を修復し、取り片付けて、発注者に明け渡さなければならない。
7 前項の場合において、受注者が正当な理由なく、相当の期間内に当該物件を撤去せず、又は工事用地等の修復若しくは取片付けを行わないときは、発注者は、受注者に代わって当該物件を処分し、工事用地等を修復若しくは取片付けを行うことができる。この場合においては、受注者は、発注者の処分又は修復若しくは取片付けについて異議を申し出ることができず、また、発注者の処分又は修復若しくは取片付けに要した費用を負担しなければならない。
8 第四項前段及び第五項前段に規定する受注者のとるべき措置の期限、方法等については、この契約の解除が第四十七条又は第四十七条の二第二項の規定によるときは発注者が定め、前二条の規定によるときは受注者が発注者の意見を聴いて定めるものとし、第四項後段、第五項後段及び第六項に規定する受注者のとるべき措置の期限、方法等については、発注者が受注者の意見を聴いて定めるものと
する。 17
○民間工事標準請負契約約款(甲)
(解除に伴う措置)
第三十六条 この契約を解除したときは、発注者が工事の出来形部分並びに検査済の工事材料及び建築設備の機器(有償支給材料を含む。)を引き受けるものとして、発注者、受注者及び監理者が協議して清算する。
2 発注者が第三十四条第二項によってこの契約を解除し、清算の結果過払いがあるときは、受注者は、過払額について、その支払いを受けた日から法定利率による利息を付けて発注者に返還する。
3 この契約を解除したときは、発注者、受注者及び監理者が協議して発注者又は受注者に属する物件について、期間を定めてその引取り、後片付け等の処置を行う。
4 前項の処置が遅れている場合において、催告しても正当な理由なくなお行われないときは、相手方は、代わってこれを行い、その費用を請求することができる。
○民間工事標準請負契約約款(乙)
(発注者の中止権及び解除権)第二十四条 (略)
2~5 (略)
6 この契約を解除したとき工事の出来形部分は発注者の所有とし、発注者、受注者及び監理者が協議の上清算する。このとき前払金額に残額のあるときは、受注者はその残額について前払金額受領の日からxxを付けてこれを発注者に返す。
○下請工事標準請負契約約款
(元請負人の解除権)第三十五条 (略)
2 元請負人は、前項の規定によりこの契約を解除したときは、工事の出来形部分及び部分払の対象となった工事材料の引渡しを受ける。ただし、その出来形部分が設計図書に適合しない場合は、その引渡しを受けないことができる。
3 元請負人は前項の引渡しを受けたときは、その引渡しを受けた出来形部分及び工事材料に相応する請負代金を下請負人に支払う。
4 前項の場合において、第二十九条(前金払)の規定による前払金があったときは、その前払金の額(第三十条(部分払)の規定による部分払をしているときは、その部分払において償却した前払金の額を控除した額)を同項の出来形部分及び工事材料に相応する請負代金額から控除する。この場合において、受領済みの前払金額になお余剰があるときは、下請負人は、その余剰額に前払金の支払の日から返還の日までの日数に応じ、年〇パーセントの割合で計算した額の利息を付して元請負人に返還する。
5 元請負人は、第一項の規定によりこの契約を解除した場合において、下請負人に対してその解除により生じた損害の賠償を求めることができる。この場合における賠償額は、元請負人と下請負人とが協議して定める。
(解除に伴う措置)
第三十八条 この契約が解除された場合においては、元請負人及び下請負人は前xxによるほか、相手方を原状に回復する。 18
論点
・ 工事完成前の契約解除については現行のとおりの措置でよいか。
→民法改正により受注者に帰責事由がない場合であっても契約を解除することができることとなったがこれに伴って見直す点はないか。
・ 今回、工事の完成後に契約を解除することが可能となったが、工事完成後の解除の場合の取扱いをどうするか。
(全体)
○ 工事の完成後においても契約を解除できるようになることを踏まえ、工事の完成前と完成後を分けて規定する。
(個別の論点)
(公共約款)
○ すでに、解除に伴う措置については規定されているため、完成前の解除については現行の規定を維持し、完成後の取扱いについて、完成前の規定に準じて規定をしてはどうか。
(民間(甲・乙))
○ 現行の規定を維持し、工事の出来形部分については発注者が引き受けるとした上で、利益に応じた請負代金の支払い義務を明示し、その他の事項については受発注者及び監理者で協議することとしてはどうか。また、完成後の取扱いについて、完成前の規定に準じて規定をしてはどうか。
(下請約款)
○ 公共約款同様、解除に伴う措置については規定されているため、完成前の解除については現行の規定を維持し、完成後の取扱いについて、別途規定をしてはどうか。
<工事完成前の解除に伴う措置>
○公共工事標準請負契約約款(修正無し)
(工事の完成前の解除に伴う措置)
第五十条 発注者は、この契約が解除された場合においては、出来形部分を検査の上、当該検査に合格した部分及び部分払の対象となった工事材料の引渡しを受けるものとし、当該引渡しを受けたときは、当該引渡しを受けた出来形部分に相応する請負代金を受注者に支払わなければならない。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは、その理由を受注者に通知して、出来形部分を最小限度破壊して検査することができる。
2~8 (略)
○民間工事標準請負契約約款(甲)
(工事の完成前の解除に伴う措置)
第三十六条 工事の完成前にこの契約を解除したときは、発注者が工事の出来形部分並びに検査済の工事材料及び建築設備の機器(有償支給材料を含む。)を引き受けるものとし、受ける利益の割合に応じて受注者に請負代金を支払わなければならない。
2 前項に規定する場合において、同項の規定の他解除に伴い生じる事項の処理については受注者及び監理者が民法の規定に従って協議して決める。
3・4 (略)
○民間工事標準請負契約約款(乙)
(工事の完成前の解除に伴う措置)
第二十四条の四 工事の完成前にこの契約を解除したときは、発注者が工事の出来形部分並びに検査済の工事材料及び建築設備の機器(有償支給材料を含む。)を引き受けるものとし、受ける利益の割合に応じて受注者に請負代金を支払わなければならない。
2 前項に規定する場合において、同項の規定の他解除に伴い生じる事項の処理については受注者及び監
理者が民法の規定に従って協議して決める。 21
○下請工事標準請負契約約款(修正無し)
(工事の完成前の解除に伴う措置)
第三十七条の二 元請負人は、工事の完成前に契約が解除されたときは、工事の出来形部分及び部分払の対象となった工事材料の引渡しを受ける。ただし、その出来形部分が設計図書に適合しない場合は、その引渡しを受けないことができる。
2 元請負人は前項の引渡しを受けたときは、その引渡しを受けた出来形部分及び工事材料に相応する請負代金を下請負人に支払う。
<工事完成後の解除に伴う措置>
○公共工事標準請負契約約款、民間工事標準請負契約約款(甲)、民間工事標準請負契約約款(乙)、下請工事標準請負契約約款
(工事の完成後の解除に伴う措置)
第X条 発注者は、工事の完成後にこの契約が解除された場合において、引き渡された完成物のうち可分な部分によって利益を受けるときは、当該利益に応じて請負代金を受注者に支払わなければならない。
2 前項に規定する場合において、同項の規定の他解除に伴い生じる事項の処理については受注者及び監理者が民法の規定に従って協議して決める。
22