Contract
令 和 4年 度 施 行
業 務 | 説 | 明 書 |
(公 | 示 | 用) |
業務名 令和4年度がけ地防災情報普及啓発検討業務
札幌市都市局市街地整備部宅地課
業務名 令和4年度がけ地防災情報普及啓発検討業務 業務委託費 円也 一金 業 務 価 格 円也 内訳 消 費 税 相 当 額 円也 業 務 説 明 |
1 . 業務の目的 |
本業務は、土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域(以下、「土砂災害警戒区域等」 |
という。)における土砂災害防止対策の推進に関する法律(以下、「土砂災害防止法」と |
いう。)にて指定された区域において、市民や関係者に対して、土砂災害におけるがけ地 |
の現状をわかりやすく周知できる仕組みを構築することにより、市民自らががけ崩れ発生 |
の予兆を発見し、発災前に自主避難へ繋げ、生命・身体を守ることを目的とする。 |
2 . 業務の概要 |
(1) 計画準備 一式 |
(2) 市民公表用カルテの作成 一式 |
(3) 打合せ協議 一式 |
(4) 報告書作成 一式 |
(5) 照査 一式 |
3 . 業務の期間 |
契約書に示す着手の日から、令和5年3月15日まで |
4 . 仕様書 |
札幌市地質・土質調査業務共通仕様書及び別記委託仕様書による |
札 x x
xx 0 年度 がけ地防災情報普及啓発検討業務 委託仕様書
1. 目的
本業務は、「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」にて指定された土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域(以下「土砂災害警戒区域等」という。)において、市民や関係者に対して、土砂災害におけるがけ地の現状をわかりやすく周知できる仕組みを構築することにより、市民自らががけ崩れ発生の予兆を発見し、発災前に自主避難へ繋げ、生命・身体を守ることを目的とする。
2. 履行期間
本業務の履行期間は、契約締結日から令和5年3月15日までとする。
3. 準拠法令等
本業務は、本仕様書及び下記の関係法令等に基づき実施するものとし、本仕様書に定めがない事項については、相互が別途協議により定めるものとする。
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成 13 年
4 月 1 日施行)
斜面カルテの作成要領、斜面カルテ作成要領の解説(平成 10 年 6 月財団法人砂防フロンティア整備推進機構)
その他関係法令及び規則等
4. 業務従事者
本業務の管理及び統括を行うxx技術者は、以下の資格要件を満たす者とする。
(1)本業務における検討のため、以下の資格のいずれかの資格を有するものとする。
1)技術士 総合技術監理部門 「建設―都市及び計画」
2)技術士 建設部門「都市及び地方計画」
3)RCCM 都市計画及び地方計画
5. 資料の貸与
本業務実施にあたり、発注者から貸与できる資料は以下のとおりとする。なお、貸与された資料は、本業務完了後複写した資料も含め発注者の指示によりすべて返却するものとする。
・令和 3 年度がけ地防災情報普及啓発検討業務成果品
・令和 3 年度がけ地防災情報調査業務成果品及び過年度がけ地対策調査検討業務成
果品(がけ地カルテ 509 箇所分を含む)
・土砂災害警戒区域等の基礎調査資料
6. 業務内容
(1)計画準備
本業務に着手するにあたり、業務内容を理解し工程を検討したうえで、目的が達成できるよう業務計画を立案、業務計画書を作成提出し、業務担当者の承諾を得ることとする。
(2)市民公表用カルテの作成
令和 3 年度がけ地防災情報普及啓発検討業務にて作成した市民公表用カルテ作成要領を基に、がけ地カルテを作成する。
〇既存がけ地カルテ作成箇所全 509 箇所のうち、254 箇所相当の市民公表用カルテを本業務にて作成する。急傾斜地の土砂災害警戒区域等を含めた範囲を作成対象とし、全市で土砂災害警戒区域の影響のある町内会の概ね半数を作業対象とする。
〇本業務にて作成する市民公表用カルテの対象箇所については、危険度などを考慮したうえで優先順位等を検討し選出する。
〇市民公表用カルテ作成単位として、土砂災害警戒区域等の規模及び町内会区域を勘案のうえ個別に決定する。
(3)打合せ協議
業務着手時、中間時(2 回)、業務完了時の計 4 回以上の打合せを実施するものとする。なお業務着手時及び完了時には、原則としてxx技術者が立ち会うものとする。
(4)報告書作成
本業務で行った作業内容について、内容を取りまとめ報告書を作成する。
7. 照査
業務の主要な区切り及び業務完了前に次の事項を照査する。
① 本仕様書及びその他の諸基準との整合
② 打合せ記録との整合
③ 成果品に対するxx技術者、照査技術者による検証
8. 資料及び成果品の取扱い
本業務において、発注者より貸与された各種資料について、受注者はその重要性を認識し、破損、紛失、盗難等の事故がないように取扱いには十分注意するものとする。また、本業務で得られた資料及び成果品は、発注者の許可なく第三者に漏えいしてはならない。
9. 成果品の構成
本業務の成果品は以下のとおりとする。報告書(A4 版)2部
本業務で作成した電子データ 一式
その他、発注者が特に必要としたもの 一式
10. 成果品の納入
成果品の納入場所は都市局市街地整備部宅地課とする。
11. 業務計画書等
書類に関する事項は以下のとおりとする。
・本業務委託に係る業務計画書及び業務工程表を作成し保存するとともに、契約の締結後速やかに提出すること。
・業務の進捗を報告するため、「業務報告書」(様式2)に業務月報(様式3)を添付し、翌月初めに担当職員に提出するものとする。
・受託者及び発注者は、指示、承諾、協議、検査及び確認などについては、打ち合せ簿(様式4)で行わなければならない。なお、打ち合わせ簿については、双方が署名又は押印した原本を発注者が保管し、複製を受託者が保管するものとする。
12. 資料及び成果品の扱い
発注者より貸与された各種資料について、受託者はその重要性を認識し、破損、紛失、盗難等の事故がないように取扱いには十分注意するものとする。また、本業務で得られた資料及び成果品は、発注者の許可なく第三者に漏えいしてはならない。
13. 電子納品
本業務は電子納品対象業務とする。電子納品とは、調査、設計、工事などの各業務段階の最終成果を電子データで納品することをいう。ここでいう電子データとは、「札幌市電子納品運用ガイドライン(案)[土木業務編](以下、「電子納品ガイドライン」という。)に示されたファイルフォーマットに基づいて作成されたものを指す。
成果品は「電子納品ガイドライン」に基づいて再生した電子データを電子媒体(CD- R 等)で提出する。「電子納品ガイドライン」で特に記載のない項目については、原則として電子データを提出する義務はないが、「電子納品ガイドライン」の解釈に疑義がある場合は発注者と協議のうえ、電子化の是非を決定する。
なお、電子納品の運用にあたっては、「電子納品ガイドライン」に基づいて行うものとする。成果品の提出の際には、電子納品チェックシステムによるチェックを行い、エラーがないことを確認した後、ウイルス対策を実施したうえで提出すること。
14. 著作権の帰属
本業務の成果物に関する著作権は本市に帰属するものとし、受託者は本業務の成果物に対する著作権(著作xx第 27 条及び第 28 条に規定する権利を含む)を本市に無償で譲渡するものとする。また、受託者は本業務の成果物に関する著作者人格権を本市又は本市が指定する第三者に対して行使しないものとする。また、受託者は本市に対し、本業務で制作したものが第三者の著作権、著作者人格権及びその他特許権、商標権を含むいかなる知的財産権を侵害するものではないことを保証する。本業務に関し、第三者から権利侵害の訴えその他の紛争が生じたときは、受託者は自己の費用及び責任においてこれを解決するものとし、かつ本市に何らかの損害を与えたときはその損害を賠償するものとする。
15. その他
・本業務に関する事項および作業上知り得た一切の事項について、これを外部に漏えいしてはならない。
・本業務調査結果並びに成果品については本市の同意なくして使用してはならない。
・業務内容について、不明な点、疑義が生じた場合には、発注者と協議すること。
・受託者は、この契約による業務を処理するに当って個人情報を取り扱う際には、別記「個人情報取扱注意事項」を守らなければならない。
・業務の履行に必要な用具及び資機材はすべて受託者の負担とする。
別記
「個人情報取扱注意事項」
(個人情報を取り扱う際の基本的事項)
第1 受託者は、この契約による業務を処理するに当たって、個人情報を取り扱う際には、個人の権利利益を侵害することのないように努めなければならない。
(秘密の保持)
第2 受託者は、この契約による業務を処理するに当たって知り得た個人情報を他に漏らしてはならない。
2 受託者は、その使用する者がこの契約による業務を処理するに当たって知り得た個人情報を、他に漏らさないようにしなければならない。
3 前2項の規定は、この契約が終了し、又は解除された後においても、また同様とする。
(再委託等の禁止)
第3 受託者は、この契約による業務を第三者に委託し、又は請け負わせてはならない。ただし、あらかじめ、委託者が書面により承諾した場合は、この限りではない。
(複写、複製の禁止)
第4 受託者は、この契約による業務を処理するに当たって、委託者から提供された個人情報が記録された資料等を、委託者の承諾を得ることなく複写し、又は複製をしてはならない。
(目的外使用の禁止)
第5 受託者は、この契約による業務を処理するに当たって、委託者から提供された個人情報を目的外に使用し、又は第三者に提供してはならない。
(資料等の返還)
第6 受託者は、この契約による業務を処理するに当たって、委託者から提供された個人情報が記録された資料等を、業務完了後速やかに委託者に返還するものとする。ただ し、委託者が別に指示したときは、その方法によるものとする。
(事故の場合の措置)
第7 受託者は、個人情報取扱注意事項に違反する事態が生じ、又は生ずるおそれのあることを知ったときは、速やかに委託者に報告し、委託者の指示に従うものとする。
(契約解除及び損害賠償)
第8 委託者は、受託者が個人情報取扱注意事項に違反していると認めたときは、契約の解除及び損害賠償の請求をすることができる。
様式2
課長 | 係長 | 係 |
業務月報報告書
委託業務番号
業 務 名
受 託 者 (住所)
(氏名)
履行期間 令和 年 月 日 ~ 令和 年 月 日
上記業務にともなう業務月報を別紙のとおり提出いたします、
業務月報提出期間
自 : 令和 年 月 日
至 : 令和 年 月 日
【受託者】 xx技術者
様式3
委託業務番号業 務 名
業 務 月 報
業務累積日数 日
期 x | xx技術者 氏 名 | ||||||
作 業 x x | 作 | 業 | 量 | 作 業 x x | 作業量 | 作 業 状 況 | |
当月 | % | 当月 | % | ||||
累計 | % | 累計 | % | ||||
当月 | % | 当月 | % | ||||
累計 | % | 累計 | % | ||||
当月 | % | 当月 | % | ||||
累計 | % | 累計 | % | ||||
当月 | % | 当月 | % | ||||
累計 | % | 累計 | % | ||||
当月 | % | 当月 | % | ||||
累計 | % | 累計 | % | ||||
当月 | % | 当月 | % | ||||
累計 | % | 累計 | % | ||||
当月 | % | 当月 | % | ||||
累計 | % | 累計 | % | ||||
当月 | % | 当月 | % | ||||
累計 | % | 累計 | % | ||||
当月 | % | 当月 | % | ||||
累計 | % | 累計 | % |
※1 A4版(縦長)とする。
※2 当該業務における主要作業項目を全て記載し、当月に作業を行った項目について当月・累計を記入し、それ以外については累計のみ記入する。
様式4
打ち合わせ簿
[確認・指示・承諾・協議]
業務名 | 担当職員 | 業務xx | 業務員 | ||
署名 | |||||
受託者名 | |||||
役職名 | xx技術者 | 担当技術者等 | |||
署名 | |||||
協議年月日 | 令和 年 月 日 | ||||
記載者 | |||||
協議事項 | |||||
合意事項 | |||||
協議簿最終取交し日 | 令和 年 月 日 | 協議簿通し番号 No. |
がけ地防災市民カルテ作成要領
令和4年(2022 年)6 月
札幌市 都市局 市街地整備部 宅地課
目 次
第1章 がけ地防災市民カルテ作成の目的 1
第2章 がけ地防災市民カルテの基本的な構成 1
第3章 がけ地防災市民カルテの内容 2
第4章 わかりやすい資料の作成 5
第5章 必要情報の収集・整理 6
第6章 がけ地防災市民カルテの作成・更新 7
第1章 がけ地防災市民カルテ作成の目的
土砂災害警戒区域付近に住んでいる一般住民が、土砂災害に関する専門的な知識がなくても、がけ地の危険性や注意すべき箇所及び出現しやすい土砂災害の前兆現象を把握できる内容を網羅したがけ地防災市民カルテ(以降、市民カルテ)を作成する。
市民カルテ作成の目的は、平時からがけ地の特徴や特に危険な箇所や注意すべき箇所の状況を理解し、大雨等の災害発生直前の緊急時において、地域住民自らが状況の変化等の異変に気づき、早めの避難行動が行えるためのサポートツールとして活用することを目的としている。
第2章 がけ地防災市民カルテの基本的な構成
市民カルテは、「がけ地対策調査検討業務」等にて作成した「がけ地カルテ」の情報を基礎データとし、がけ地に潜む危険性を判断できるような指標(前兆現象、注意箇所)の位置や状況を一般市民に伝えるとともに、土砂災害に関する危険性や特性などの基礎的な情報を伝えることを基本として作成する。
市民カルテは、大別して2部構成で作成し、土砂災害に関する基本的な情報や注意点などがけ地に関連する共通資料と地域毎の危険箇所の位置や状況が判別できるマップ(全体図、拡大図)から構成している。
本作成要領は、資料概要の説明及び資料の作成・更新に向けた基本的な手順を示したものである。
以下に市民カルテの構成イメージを示す。
+
【マップ(全体図)】
【共通資料】
【マップ(拡大図)】
図 1 市民カルテの構成
第3章 がけ地防災市民カルテの内容
市民カルテを構成する共通資料及びマップ(全体図、拡大図)の概要を以下に示す。
(1) がけ地防災市民カルテ(共通資料)
土砂災害に関連する地域住民の理解度や認識を高めるため、土砂災害に関する基礎知識や注意事項、前兆現象の内容、避難時の判断等、4ページで構成しています。
①1/4ページ目
・ここでは、土砂災害の特徴を掲載しています。
・土砂災害は一瞬で甚大な被害が発生することから、難を逃れる上でも前兆現象に気づくことが重要であることをここで示しています。
・グラフは土砂災害警戒区域内と区域外での犠牲者数の比較を示しており、その中でも、土砂災害警戒区域内での発生が 80%と高 い確率となっていることから、自然災害に おいても、特に注意が必要な自然災害の一 つであることの理解を促しています。
②2/4ページ目
・土砂災害の種類毎に、土砂災害警戒区域の指定基準や土砂災害の現象をイラストで紹介しています。
・普段から心がけたいこととして、災害発生前の予兆にすぐ気づくためにも、平時の段階から、がけ地の状況を定期的に把握しておくことの重要性を示しています。
・普段からの土砂災害に関する知識を深めたり、異変に気づいた際に土砂災害に関連する基本情報を確認できるようにホームページアドレスを載せています。
③3/4ページ目
・前兆現象出現と土砂災害の発生時期との関連性について、国内での事象発生データを元にからグラフとして示しています。前兆現象の発生を確認した場合はすぐに、避難の必要性が高い状況になっている事を認識させるねらいがあります。
・大雨が降った際に確認すべきことや避難準備について示しています。
・土砂災害発生前に必ず前兆現象が出現するとは限らないため、前兆現象を待たずに、危険な状況が近づいている場合は早めに避難行動がとれるようにイラストで行動の流れを示しています。
④4/4ページ目
・がけ地の地形や地質によって、前兆現象の現れ方が異なるため、住んでいる地域の地形や特性を予め理解し、どのような場所でどのような前兆現象が起こるか住民自らが認識することの重要性を示しています。
・一般的な前兆現象の状況を表で示し、前兆現象の状況について理解を促しています。
・前兆現象などの異常を発見した際の今後の避難行動等の相談や行政機関側での迅速な対応がとれるように連絡先を掲載しています。
(2) がけ地防災市民カルテ(マップ)
最終版に差替必要
①全体図
・警戒区域や避難所の位置等全体の位置関係がわかるようにしています。
•警戒区域には前兆現象が出やすい場所や注意が必要な場所を示しています。
・利用者が全体図を見た際に、自宅位置やよく通る道路の状況、避難する際のルートや注意すべき場所への確認を想定して作成しています。
最終版に差替必要
②拡大図
・特に注意が必要な警戒区域を拡大図 として作成しています。
・代表的ながけ地斜面の角度と高さの 断面図を北海道で調査を行った資料を参考に掲載しています。
・特に注意や監視が必要な箇所として、注意が必要な場所(黄)と、前兆現象 (紫)とで分けて記載しています。
・普段の様子として、がけ地調査実施 時に撮影した写真を載せています。
第4章 わかりやすい資料の作成
市民カルテ作成におけるコンセプトは、市民が「理解しやすく」「見やすい」点に配慮し、令和3年度に実施した試行研修会での住民意見を踏まえて、以下の書式及び記載内容として作成している。
今後の資料作成・更新時においても、以下の設定を踏まえた点に留意が必要となる。
表 1 市民カルテの設定や書式
項目 | 作成時の留意事項 |
資料の構成•レイアウト | •直観的にわかりやすいレイアウトである事を踏まえたイラストや文字、写真等を配置 •地域による差異が生じない普段からの学習や基礎知識を学ぶための共通資料と地域の危険箇所や状 況、避難時の行動に関わる情報をマップで作成 |
優しいことば、写真、イラスト等による表記 | •「がけ地カルテ」の専門用語や分かりにくい表現は、住民の馴染みのある言葉に置き換えて表現 •現地の状況をすぐにイメージできるように「がけ地カルテ」から特にお知らせしたい写真を抜粋 •特に注視してほしい箇所を直観的に伝わるマーク で記載 前兆現象 注意喚起 避難所 |
読みやすく重要箇所はフォントの種類で 強弱を設定 | •資料の文書にはユニバーサルデザインフォント (BIZ UDP ゴシック、等)を使用 •強調等、メリハリを付けたい表題等には太字のフォント(HGP 創英角ゴシック UB、等)を使用 |
色覚多様性へ配慮した 配色バランス | •資料作成後、共通資料の内容や警戒区域、避難所 等、色弱者が判別可能となることに留意する |
地元の方に馴染みのある情報を記載 | •マップには警戒区域位置、町内会境界線や避難所、方位•縮尺のほかに、ランドマークとなるような有名な建物の施設名、橋梁名、道路名、河川名称、 住所等の情報をマップに記載 |
第5章 必要情報の収集・整理 (1)基本情報(GIS データ)
全体図作成においては、ベースとする地図情報を札幌市で定期的に更新している GIS データを引用・活用している。
GIS データは、最新の情報を入手する必要があるため、作成・更新前に下表に示す必要データを入手する必要がある。(札幌市へ依頼)
項目 | 必要なデータ |
①基本地図情報 札幌市都市計画課 | •建物、道路、河川•湖沼、等高線、公園•緑地 |
②土砂災害警戒区域 北海道 HP 土砂災害警戒情報システム | •急傾斜地警戒区域(Y)、土石流警戒区域(Y)、 •地すべり危険区域 |
(2)連合町内会・町内会の情報
連合町内会及び町内会の名称や境界は、適宜、更新されていくため、市民カルテの記載情報が最新となっていないことがある。
そのため、作業を実施する際に最新の名称及び境界を確認するため最新の町内会区域図(区役所の地域振興課で作成)またはハザードマップにて確認する。
項目 | 必要なデータ |
連合町内会名•町内会名 | •札幌市土砂災害避難地図(ハザードマップ) •エリアマップ等、町内会区域図(各区) •町内会及び連合町内会リスト(最新版) |
連合町内会境界•町内会境界 |
(3)がけ地カルテ調査結果資料
市民カルテ作成の基本情報となるがけ地のうち作業に必要な箇所の資料を入手する。(札幌市宅地課より貸与)
項目 | 必要なデータ | |
様式S-1 | 警戒区域の基本情報 | |
がけ地カルテ | 様式S-3 | 警戒区域周辺の平面図等 |
(H19 以降に毎年作成) | 様式S-3 | 調査結果及びスケッチ等 |
様式S-4 | 調査時の写真•コメント |
(4)急傾斜地の崩壊区域調書(代表断面図)
北海道で調査を行っている土砂災害防止に関する基礎調査から該当する様式 4-2に記載している定規図及びコメント等、作業に必要な箇所分の情報を収集する。(札幌市宅地課より貸与)
(5)マップ補足情報
マップを見やすくわかりやすくするため、関連する資料や情報を収集する。
項目 | 必要なデータ |
マップ補足 情報 | •学校、公民館、警察、消防、有名な民間施設、道路(国道、都 市計画道路)、河川名称、公園名称、橋梁名称、住所(条丁目) |
第6章 がけ地防災市民カルテの作成・更新 (1)共通資料
・共通資料を更新する際は、以下の点を確認の上、必要箇所を更新する。
<共通資料更新時における留意点>
・国土交通省や国の方針等において、土砂災害に関する避難基準や考え方の変更状況に留意して情報を更新する。
・既存資料に記載している連絡先の電話番号やホームページ掲載アドレスの変更有無を確認し必要に応じて更新する。
・その他、札幌市からの指示に応じて、追記加筆等の修正を行う。
(2)マップ
①全体図の作成・更新
マップは、土砂災害に関わる連合町内会全域を示した全体図と警戒区域の中で注意や監視が必要な箇所を抽出・明示した拡大図で構成している。
それぞれのマップ作成における手順フロー及び確認や留意点を以降に示した。
1)全体図のレイアウト設定
・連合町内会の作成対象範囲が確保すべき縮尺(1/8,000)内の大きさに入るかや対象範囲からの除外範囲の検討、分割で表記する際の記載内容の確認など、必要に応じてレイアウト検討を行い、全体図の記載範囲を設定する。
A4横1/8000内に連合
町内会が収まるか
NO
YES
YES
除外範囲の削除でA4横1
枚に入るか
NO
YES
全体図分割で、各々の図に
必要情報が入っているか
NO
全体図の縮尺を変更して、必要情報を含める(特例措置)
全体図作成の構成検討
全体図作成の流れ
全体図の設定範囲確定
図 2 全体図作成の流れ
<全体図レイアウト調整の考え方>
連合町内会境界線
全体図作成範囲
(1/8000)
避難所
住居あり
•用紙内に入らない場合不要な範囲(住居が無く、がけ地が存在しないエリア等)の除外で収まるかを確認
不要な範囲(住居とがけ地が存在しないエリ
ア)を除外した後も、必須情報が含まれていることを確認する
住居なし
住居あり
住居あり
•居住地から避難所が離れている等で、必須情報が範囲内に含まれない場合は例外的な措置として、縮尺を調整し必須情報が含まれる範囲を調整する。
必須情報が含まれるように
全体図作成範囲の縮尺を調整する
例:縮尺 1/8000 → 1/10000
2)全体図の基本的な仕様
全体図作成においては、以下に記載する基本事項の留意内容を踏まえて作成する。
表 2 全体図作成における基本項目及び留意する内容
基本 事項 | 留意する内容 |
地図範囲 | •連合町内会の境界線が入る範囲を基本とする •連合町内会の範囲は、A4 用紙1枚に 1/8,000 の縮尺以上となるように設定する •範囲内に入らない場合は、住居や避難路、警戒区域等が無い等、住民等が特に必要としない範囲を除外して、上記の設定範囲を再 検討する |
縮尺 | •図面の範囲や形状により、適宜、縮尺の変更は可能。ただし、文字の大きさ等の見やすさを考慮し、少なくとも縮尺は 1/8,000 以上を確保する |
サイズ | •印刷や配布•維持管理の容易性を考慮し、A4 サイズで作成する |
向き | •北を上に横向きを基本として作成する。ただし、連合町内会の区域が縦長となる場合は、方位マークを90度回転させて作成する。 •図面の向きは、資料の見やすさを考慮し、90度単位で方位を設 定する |
必要情報 | •全体図では、地域を平面的に捉えた際に、警戒区域のどこが特に危険であるかや避難場所、避難ルートなどが空間的に認識できるように情報(マーク、引き出し文字、凡例、等)を記載する箇所に配慮する •警戒区域の危険箇所の詳細は、別途、拡大図にて詳細を示すため、 全体図には拡大図の範囲と番号を記載する |
配色等 | •地図上での配色は一般的なイメージカラーを基調とした配色で設定する •配色は既存で作成しているマップから基本的に大きく変更しないことが望ましいが、作成時のソフトウェア等で再現が難しい場合は、できるだけ近い配色とし、作成後は全体の色彩バランスを確認すること •配色を再設定した場合は、色弱者の見え方において問題が生じていないかを必ず確認し、見えにくい場合は隣接する色彩の濃淡や配色などを調整する •色の調整を行う場合は、「広報に関する色のガイドライン」(札幌市総務局広報部広報課 発行)を参考に調整すること |
3)全体図の作成の記載例
全体図作成の記載例として、全体図及び項目毎の記載内容を以下に示す。
①
②
⑬
⑦
⑥
⑧
⑤
⑩
③
⑨
④
⑫
⑮
⑪
⑭
図 3 全体図の作成例
表 3 全体図に掲載する項目の概要
①注意喚起の見出しを表示(標準で左上に記載)
②対象とする連合町内会名及びページ数(標準で右上に記載)
③道路名•河川名等
④公園名(都市計画公園、緑地等)
⑤土砂災害警戒区域(箇所番号も記載)
⑥町内会の境界線(濃いピンクで記載)
⑦連合町内会境界線(濃い👉で記載)
⑧前兆現象が出現しやすい箇所(マークで表示)
➃大雨時に注意が必要な箇所(マークで表示)
⑩指定緊急避難場所(JIS Z 8210 6.1.5 を簡略化したマーク)
➃地域住民の認識が高い施設等(ランドマーク)
⑫斜面全体の前兆現象の特徴
➃地図上に記載している凡例
⑭スケールバー
⑮方位
記載内容
②拡大図の作成・更新 1)拡大図作成の流れ
拡大図は、警戒区域内の前兆現象及び注意喚起が必要な箇所を抽出し、詳細に写真や説明等を加えた資料として作成する。
抽出選定の際は、該当する警戒区域内で前兆現象と注意喚起が必要となる箇所を全て抽出し、その後、箇所や種類、優先表記等を考慮して、作成する箇所や資料内容等のバランスを考慮する。
警戒区域内においても、前兆現象が出現しない箇所や、平時から特段の注意が必要とならない箇所及び対応策等により地盤が十分に安定している等の場所に限っては、地元住民へ伝えるべき重要箇所の判別が難しく、混乱する要因となるため、その際は拡大図作成の対象外とする。
拡大図作成の流れ
拡大図作成候補の選定
抽出した前兆現象及び注意喚起が必要な箇所が連続している場合は代表で記載したり、前兆現象の出現場所と注意が必要な箇所が同じ警戒区域内に複数見られる場合は、前兆現象を優先して記載する。
NO
前兆現象が発現しやすい箇
所が存在するか
YES
注意を必要とする箇所が
存在するか
YES
NO
拡大図作成候補としない
拡大図作成候補から、全体構成を調整し作図対象箇所を整理
拡大図作成候補として抽出
図 4 拡大図作成の流れ
2)拡大図として抽出する状況・条件
拡大図は、前兆現象が発生する可能性がある箇所で、現地調査時の写真から市民目線でその現象が理解できる箇所を抽出対象とする。
また、同様に平時からがけ地への注意が必要な箇所についても、条件に該当する場合は、抽出対象とする。
下表は既存の研究論文等からがけ地の特性を整理し、抽出対象の状況を整理した表であり、下表の条件1及び条件2に該当し、それを証明する写真がある場合、抽出対象となる。
表 4 前兆現象及び危険箇所等の抽出条件設定表
条件1 | 条件2 | 区分 | 変化後の状況 |
転石・角礫・玉石あり | ・斜面下に転がっている ・斜面中に浮石として存在する ・浸食を受けやすい状態 ・土砂が流出しやすい状態 ・斜面が脆弱になっている | 注意 | 落石に注意 |
・石が移動した形跡がない場合(苔が生えている等) | - | ||
露岩している | ・浸食を受けやすい状態 ・土砂が流出しやすい状態 ・斜面が脆弱になっている | 前兆 | 斜面からxxがポロポロと落ちる |
・上記以外の場合 | 注意 | 落石に注意 | |
オーバーハングしている | ・植生がなく(下草が乏しく)裸地である ・浸食を受けやすい状態 ・土砂が流出しやすい状態 ・斜面が脆弱になっている | 前兆 | 斜面からxxがポロポロと落ちる |
・上記以外の場合 | - | ||
浸食が進行している 斜面移動している(経年) | ・場所が図面及び写真から読み取れる場合 | 前兆 | 斜面からxxがポロポロと落ちる |
崩壊跡がある | ・場所が図面及び写真から読み取れる場合 | 前兆 | 斜面からxxが ポロポロと落ちる |
表土流出している | ・場所が図面及び写真から読み取れる場合 | 前兆 | 斜面からxxがポロポロと落ちる |
風化している又は進んでいる | ・植生がなく(下草が乏しく)裸地である ・浸食を受けやすい状態 ・土砂が流出しやすい状態 ・斜面が脆弱になっている | 前兆 | 斜面からxxがポロポロと落ちる |
・上記以外の場合 | - | ||
斜面中に段差が生じている | ・植生がなく(下草が乏しく)裸地である ・浸食を受けやすい状態 ・土砂が流出しやすい状態 ・斜面が脆弱になっている | 前兆 | 斜面からxxがポロポロと落ちる |
・上記以外の場合 | - | ||
急な斜面・遷急線が明瞭・勾配が急である | ・浸食を受けやすい状態 ・土砂が流出しやすい状態 ・斜面が脆弱になっている | 前兆 | 斜面からxxがポロポロと落ちる |
・上記以外の場合 | - | ||
樹木が前傾・枯死・変形している | ・浸食を受けやすい状態 ・土砂が流出しやすい状態 ・斜面が脆弱になっている ・樹根が露出・曲がり・寝返りを起こしている | 注意 | 倒木に注意 |
・上記以外の場合 | - | ||
斜面中に倒木あり(低木含む) | ・浸食を受けやすい状態 ・土砂が流出しやすい状態 ・斜面が脆弱になっている | 注意 | 倒木に注意 |
・上記以外の場合 | - | ||
湧水あり | ・場所が図面及び写真から読み取れる場合 | 前兆 | 水が濁る・増える・とまる |
湧水跡あり | ・場所が図面及び写真から読み取れる場合 | 前兆 | 水が噴き出す |
水が常に流れている | ・場所が図面及び写真から読み取れる場合 | 前兆 | 水が濁る・増える・とまる |
斜面中・下が常時湿っている斜面中・下が湿地又は湿地状 | ・場所が図面及び写真から読み取れる場合 | 前兆 | 水が濁る・増える・とまる |
3)拡大図の基本的な仕様
拡大図作成においては、以下に記載する基本事項の留意内容を踏まえて作成する。
表 5 拡大図作成における基本項目及び留意する内容
基本 事項 | 留意する内容 |
地図範囲 | ・警戒区域内で前兆現象や注意が必要な箇所などを抽出し、対象とする警戒区域が入るように表示範囲を設定する ・他にも抽出する箇所とのバランスを考慮し、できるだけ同じ縮尺となるように抽出範囲を設定する ・警戒区域が密接する場合など、抽出する場所が集中する場合もあ るため、その場合は対象範囲の輻輳を避けるなど見やすさを考慮して設定する |
縮尺 | ・縮尺の制限はないが、できるだけ同じ縮尺となるように配慮する |
サイズ | ・印刷や配布、維持管理の容易性を考慮し、A4 サイズで作成する |
向き | ・全体図の向きと同じ向きで作成することを基本とする (全体図の左が北の場合は拡大図も左が北向きで作成) |
必要情報 | ・全体図に比べて拡大図では、目印となるような施設名称等のランドマークの情報が記載しにくい場合があるが、その際でも、最低 1つは目印となりそうな情報の記載に留意する ・拡大図には対象とする警戒区域を代表する断面図を追記する ・代表断面は北海道で調査・作成している「土砂災害防止に関する基礎調査」資料の急傾斜地の崩壊区域調書 様式4-2に記載している断面図を参考に記載し、測定している断面の記載箇所を警戒区域内に記載する ・前兆現象や注意箇所は、ピンポイントの場所となる場合や広い範囲となる場合もあるため、地質の状況に応じて対象となる場所の範囲を記載する ・記載する場所は、がけ地カルテ様式の記載内容やコメント及び写真を参考に記載する ・市民が前兆現象や注意箇所について普段の状況からどのように変化するかを理解や認識させるため、前後の状況の変化がわかるようにコメントを記載する ・写真の撮影日をテキストで追記する(右下に白文字で記載) ・写真に住民のプライバシーに関わる情報が写っている場合は、ぼかし等による加工を行い、個人情報保護を実施する |
配色等 | ・全体図と同じ配色とするが、警戒区域の範囲は下図の情報を見えるようにするため、拡大図では区域境界を線で記載する ・フォントの大きxx線の太さなどは見やすさを考慮した上で設定 する(フォントの大きさは全体図よりも大きくする) |
4)拡大図の作成の記載例
拡大図作成の記載例として、拡大図及び項目毎の記載内容を以下に示す。
④
①
⑦
③
②
⑤
⑨
⑪
大雨後に想定される状況を記載
がけ地カルテの状況から普段の状況を記載
がけ地カルテ作成時の調査で撮影した写真を掲載
場所はがけ地カルテの情報や写真を確認して記載する
⑥
⑩
図 5 拡大図の作成例
表 6 拡大図に掲載する項目の概要
①拡大図の番号(標準で右上に記載)
②道路名・河川名等
③土砂災害警戒区域(境界部を線で記載、箇所番号も記載)
④警戒区域の代表断面図
⑤住所
⑥地域住民の認識が高い施設等(ランドマーク)
⑦町内会の境界線(濃いピンクで記載)
⑧連合町内会境界線(濃い👉で記載)※事例では範囲外のため表記無し
➃スケールバー
⑩方位
➃前兆現象出現箇所や大雨時に注意が必要な箇所の写真や状況
記載内容