Contract
工事請負契約における設計変更ガイドライン
平成31年1月
茨城県xx市
目 次
1.設計変更ガイドライン制定の背景 ・・・・・・・・・・・・・・・ | 1 |
2.設計変更の基本事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 2 |
3.設計変更に関する留意事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 3 |
4.設計変更が不可能なケース ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 4 |
5.設計変更が可能なケース ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 4 |
6.設計変更可能なケースの手続き ・・・・・・・・・・・・・・・・ | 5 |
7.設計変更手続きフロー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 12 |
8.設計変更に関わる資料の作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 14 |
9.条件明示について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 15 |
10.仮設・施工方法等の「指定」・「任意」について ・・・・・・・・・ | 18 |
11.工事請負契約書における発注者と受注者の関係 ・・・・・・・・・ | 20 |
1.設計変更ガイドライン制定の背景
(1)公共工事の特性
公共工事においては、個別に設計された極めて多岐にわたる目的物を多種多様な現地の自然条件・環境条件の中で完成させるという特殊性を有している。
また、工事の進捗と共に、当初発注時に予見できない施工条件や環境の変化などが発生し、設計変更や工事の一時中止が避けられない場合が起こり得る。
(2)適切な設計変更の必要性
公共工事の品質確保の促進に関する法律(以下「品確法」という。)の基本理念において「公共工事の品質確保に当たっては、公共工事における請負契約の当事者が 各々の対等な立場における合意に基づいてxxな契約を適正な額の請負契約代金で 締結し、xxに従って誠実にこれを履行するよう配慮されなければならない」(品確法第3条第10項)と示されているとともに、発注者の責務において「設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、必要があると認められるときは、適切に設計図 書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金の額又は工期の変更を行うこと」(品確法第7条第1項第5号)が規定されている。
また、xx市工事請負契約約款(以下「契約約款」という。)において、「発注者及び受注者は、この契約書に基づき、設計図書に従い、日本国の法令を遵守し、この 契約を履行しなければならない」(契約約款第1条第1項)と定められている。
(3)ガイドライン制定の目的
設計変更に係わる業務の円滑化を図るためには、発注者と受注者がともに、設計変更が可能なケース・不可能なケース、手続きの流れ等について十分理解しておく必要があることから、設計変更ガイドラインを制定する。
なお、この設計変更ガイドラインは、一般的な考え方を示すものである。また、設計変更ガイドラインの契約図書への位置付けを契約の一事項として扱うこととし、特記仕様書へその旨記載する。
※工事請負金額により、工事請負契約約款の条番号が異なる場合があるので注意する。
2.設計変更の基本事項
(1)用語の定義
① 「設計変更」とは、契約約款第18条又は第19条の規定により設計図書を変更することとなる場合において、契約変更の手続きの前に当該変更の内容をあらかじめ発注者が受注者に指示することをいう。
② 「契約変更」とは、契約約款第23条又は第24条の規定により協議し、工期又は請負代金額の変更の契約を締結することをいう。
③ 「軽微な設計変更」とは、次に掲げるもの以外のものをいう。ア. 構造、工法、位置、断面等の変更で重要なもの。
イ. 原則、新工種に係るもの。
ウ. 設計変更が予定されるもので、その変更見込金額又はこれまでの変更見込金額の合計額が請負代金額の20%を超えるもの。
(2)基本原則
① 公共工事の施工は、設計図書に従い施工されるべきであるが、設計図書に訂正又は変更が生じた場合、発注者は必要があると認められるときは適切に設計変更及び契約変更を行う。
② 設計表示単位に満たない設計変更は、契約変更の対象としないものとする。
(注)工事量の設計表示単位は、別に定めのある設計積算に関する基準において、工事の内容、規模等に応じて適正に定めるものとする。
③ 変更見込金額が請負代金額の30%を超える工事は、現に施工中の工事と分離して施工することが著しく困難なものを除き、原則として別途の契約とするものとする。(「設計変更に伴う契約変更の取り扱いについて」昭和44年3月
31日建設省xxx発第31号の2)
④ 一式工事については、受注者に設計図書において設計条件及び施工方法を明示した工事に限り、契約変更の対象とする。
⑤ 設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものとする。ただし、軽微な設計変更に伴うものは、工期の末(債務負担行為に基づく工事にあっては、各会計年度の末及び工期の末)に行うことをもって足りるものとする。
3.設計変更に関する留意事項
(1)発注者の留意事項
① 工事に必要な関係機関との調整、住民合意、用地確保、法定手続などの進捗状況を踏まえ、現場の実態に即した施工条件(自然条件を含む。)の明示等により、適切に設計図書を作成し、積算内容との整合を図る。
② 発注者は契約約款18条第2項に基づく調査を行った場合、第3項によりその結果を取りまとめ、調査終了後14日以内に受注者に通知する。
③ 調査結果に対してとるべき措置を指示する必要があるときは、速やかに書面による指示・協議等を行う。
④ 当初設計の考え方や設計条件を再確認して、設計変更の「協議」にあたる。
⑤ 当該事業(工事)における設計変更の必要性を明確にする。
【規格の妥当性、変更対応の妥当性(別途発注ではないか)を明確にする。】
⑥ 変更見込金額が請負代金額の30%を超える場合においても、一体施工の必要性から分離発注できないものについては、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金の額又は工期の変更を行うこととし、この場合において特に指示等で実施が決定し、施工が進められているにも関わらず、変更見込金額が 請負代金額の30%を超えたことのみをもって設計変更に応じない、もしくは、設計変更に伴って必要と認められる請負代金の額や工期の変更を行わないことはあってはならない。
⑦ 一つの工事現場において、複数の契約に基づく工事が実施される場合には、一工事の設計変更を行う際には、関連するその他の工事の設計変更についても検討する。
(2)受注者の留意事項
① 受注者は、工事の着手にあたって設計図書を照査(結果を書面により監督職員に報告するものとする。)し、着手時点における疑義を明らかにするとともに、監督職員と協議し進めることが重要である。
② 受注者は、契約約款第18条第1項に該当する事項等を発見した時は、その事実が確認できる資料を書面により監督職員に通知し確認を求める。
③ 受注者は、施工中設計図書等に疑義が生じた際には書面により監督職員との協議を行うが、発注者は協議内容によっては各種検討・関係機関調整等が必要となるなど、受注者の意見を聴いたうえで回答までの期間をやむを得ず延長せざるを
得ない場合もあるため、受注者はその協議すべき事実が判明次第出来るだけ早い段階で協議を行うことが重要である。
④ 受注者は、指示書等の書面による回答を得てから施工する。
4.設計変更が不可能なケース
下記のような場合においては、原則として設計変更できない。ただし、契約約款第26条(臨機の措置)については別途考慮する。
① 設計図書に条件明示のない事項において、発注者と「協議」を行わず受注者が独自に判断して施工を実施した場合。
② 発注者と「協議」をしているが、協議の回答がない時点で施工を実施した場合。
③ 「承諾」で施工した場合。
④ 契約約款及び仕様書等に定められている所定の手続きを経ていない場合。
⑤ 正式な書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合。
♦承諾:受注者自らの都合により施工方法等について監督員に同意を得るもの。
⇒ 設計変更不可
♦協議:発注者と書面により対等な立場で合意して発注者の「指示」によるもの。
⇒ 設計変更可能
5.設計変更が可能なケース
(1)下記のような場合においては、設計変更が可能である。
① 仮設(任意仮設を含む)において、条件明示の有無に係わらず当初発注時点で予期しえなかった土質条件や地下水位等が現地で確認された場合。(ただし、所定の手続きが必要。)
② 当初発注時点で想定している工事着手時期に、受注者の責によらず工事着手出来ない場合。
③ 所定の手続き(「協議等」)を行い、発注者の「指示」によるもの。
(「協議」の結果として、軽微なものは金額の変更を行わない場合もある。)
④ 受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合。
⑤ 受注者の責によらない工期の延期・短縮を行う場合で協議により必要があると認められるとき。
(2)発注者からの先行指示の留意点
受発注者間の協議に基づき、契約変更手続きを行う前に受注者へ作業を行わせる場合は、必ず書面(指示書等)にて指示を行う。
(3)受発注者間の協議により変更する指示書の留意事項
受発注者間の協議に基づき、契約変更手続きを行う前に受注者へ作業を行わせる場合は、必ず書面(指示書等)にて指示を行う。
6.設計変更可能なケースの手続き
ごびゅう だつろう
(1)設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の手続き(契約約款第18条第1項第2号)
受注者は、xxxx、設計図書が誤っていると思われる点を発注者に確認すべきであり、発注者はそれが本当に誤っている場合には設計図書を訂正する必要がある。
また、設計図書に脱漏がある場合には、受注者として自分で勝手に補って施工をつづけるのではなく、発注者に確認して脱漏部分を訂正してもらうべきである。
受注者
発注者
「契約約款第18条(条件変更等)第1項第2号」に基づき、その旨を直ちに監督職員に通知
発注者は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更(当初積算の考え方に基づく条件明示)
受注者及び発注者は第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
(2)設計図書の標示が明確でない場合の手続き(契約約款第18条第1項第3号) 設計図書の表示が明確でないことは、表示が不十分、不正確、不明確で実際の工事施工にあたってどのように施工してよいか判断がつかない場合などのことである。この場合においても、受注者が勝手に判断して施工することは不適当である。
受注者
発注者
「契約約款第18条(条件変更等)第1項第3号」に基づき、条件明示が不明確な旨を直ちに監督職員に通知
発注者は第4項、第5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更(当初積算の考え方に基づく条件明示)
受注者及び発注者は第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
(3)設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合の手続き(契約約款第18条第1項第4号)
自然的条件とは、例えば掘削する地山の高さ、埋め立てるべき水面の深さ等の地表面の凹凸等の形状、地質、湧水の有無又は量、地下水の水位、xxxの除去すべき 物の有無等である。また、人為的な施工条件の例としては、地下埋設物、地下工作、xx(捨)場、工事用道路、通行道路、工事に関係する法令等が挙げられる。
受注者
発注者
「契約約款第18条(条件変更等)第1項第4号」に基づき、設計図書の条件明示(当初積算の考え)と現地条件が一致しないことを直ちに監督職員に通知
調査の結果、その事実が確認された場合、発注者は第4項、第
5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
受注者及び発注者は第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
※ 施工条件と実際の工事現場が一致しない場合とは?
ア.設計図書に明示された土質や想定支持地盤と実際の現地条件とが一致しない場合。
イ.設計図書に明示された地下水位が現地条件と一致しない場合。
ウ.設計図書に明示された交通誘導員の人数等が規制図と一致しない場合。
エ.設計図書に明示された配管等と実際の工事現場における配管等が大きく異なる場合。
オ.その他、新たな制約等が発生した場合。
(4)設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じた場合の手続き(契約約款第18条第1項第5号)
設計図書に施工条件として明示されていないが、工事実施の前提となる事項について、契約後に予期することのできない特別な事情が生じた場合は、監督職員に発生 事項を通知し、当該事実の確認を請求する。
「契約約款第18条(条件変更等)第1項第5号」に基づき、設計図書の条件明示のない予期することのできない特別な事情が生じたことを直ちに監督職員に通知
調査の結果、その事実が確認された場合、発注者は第4項、第
5項に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
この場合においても、受注者が勝手に判断して施工することは不適当である。
受注者
発注者
受注者及び発注者は第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
※ 予期することのできない特別な事情が生じた場合とは?
ア.施工中に地中障害物を発見し、撤去等が必要となった場合。イ.施工中に埋蔵文化財を発見し、調査等が必要となった場合。
ウ.工事範囲の一部に軟弱地盤があり、地盤改良等が必要となった場合。
(5)工事中止の場合の手続き(契約約款第20条)
受注者
発注者
受注者の責に帰することができないものにより、工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められる場合の手続き。
地元調整や予期しない現場条件等のため、受注者が工事を施工することができない
「契約約款第20条(工事の中止)第1項」により、発注者は工事の全部又は一部の施工を原則として一時中止しなければならない
受注者は、共通仕様書等に基づき、基本計画書を作成し、発注者の承諾を得る
発注者より、一時中止の指示
(契約上一時中止をかけることは発注者の義務)
発注者からの中止事案の確認請求も可。
発注者は、現場管理上、最低限
必要な施設・人数等を吟味し、基本計画書を承諾
承諾した基本計画書に基づき、
施工監督及び設計変更を実施
不承諾の場合は、基本計画書を修正し、再度承諾を得る
基本計画書に基づいた施工の実施
※ 受注者の責に帰することができないものとは?
ア.設計図書に工事着工時期が定められた場合、その期日までに受注者の責によらず施工できない場合。
イ.警察、河川・鉄道管理者等の管理者間協議が未了の場合。 ウ.管理者間協議の結果、施工できない期間が設定された場合。
エ.受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合。
オ.設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため、施工できない場合。カ.予見できない事態が発生した(地中障害物の発見等)場合。
キ.工事用地の確保が出来ない等のため工事を施工できない場合。
ク.設計図書と実際の施工条件の相違又は設計図書の不備が発見されたため、施工を続けることが困難な場合。
ケ.埋蔵文化財の発掘又は調査、その他の事由により工事を施工できない場合。
(6)「設計図書の照査」の範囲を超えるもの <設計変更可能なケース>
① 現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
② 施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成が必要となるもの。ただし、当初横断図の推定岩盤線の変更は「設計図書の照査」に含まれる。
③ 現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。
④ 構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
⑤ 構造物の載荷高さが変更となり、構造計算の再計算が必要となるもの。
⑥ 現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるもの。(標準設計で修正可能なものであっても照査の範囲を超えるものとして扱う)。
⑦ 構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
⑧ 基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成。
⑨ 土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。
⑩「設計要領」・「各種示方書」等との対比設計。
⑪ 設計根拠まで遡る見直し、必要とする工費の算出。
⑫ 舗装修繕工事の縦横断設計(当初の設計図書において縦横断面図が示されており、その修正を行う場合とする。なお、設計図書で縦横断図が示されておらず共通仕様書「路面切削工」「切削オーバーレイ工」「オーバーレイ工」等に該当し縦横断設計を行うものは設計照査に含まれる)。
(注)なお、適正な設計図書に基づく数量の算出、工事施工のための詳細図及び完成図(完成図書)については、受注者の費用負担によるものとする。
(7)受注者からの請求による工期の延長(契約約款第21条)
発注者
受注者は、天候の不良(天災等)、関連工事の調整協力、その他受注者の責に帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができない場合は、発注者へその理由を明示した書面により工期延長変更を請求することができる。
受注者
「契約約款第21条(受注者の請求による工期の延長)第1 項」に基づき、その理由を明示した書面により発注者に請求
発注者は第2項に基づき、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。請負代金についても必要と認められるときは変更を行う
協議
受注者及び発注者は第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
※ 受注者が工期延長変更を請求できる事例は?
ア.天候不良の日が例年に比べ多いと判断でき、工期の延長が生じた場合。
イ.設計図書に明示された関連工事等との調整に変更があり、工期の延長が生じた場合。
ウ.その他受注者の責に帰することができない事由により工期の延長が生じた場合。
(8)発注者の請求による工期の短縮(契約約款第22条)
発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に書面にて請求することができる。
受注者
発注者
受注者は発注者からの請求に基づき、工期短縮を図るための施工計画書を発注者に提出し、承諾を得る
発注者は、「契約約款第22条
(発注者の請求による工期の短縮等)第1項」に基づき、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を書面により受注者に請求
協議
受注者及び発注者は第23条、第24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
※ 発注者が工期短縮変更を請求できる特別な理由とは?
ア.工事一時中止にともない工期延長が予想され、工期短縮が必要な場合。イ.関連工事等の影響により、工期短縮が必要な場合。
ウ.その他の事由(地元調整、関係機関調整など)により工期の短縮が必要な場合。
7.設計変更手続きフロー
【全体フロー】
請負工事の
契約成立
【19条】
設計図書の変更に伴うもの(発注者が設計 図書の変更を必要と 認めた時)
【20条】
工事の中止に伴うもの
必要な場合
【18条】
条件変更等に伴うもの
必要な場合
調査、協議等
(※18条関係フローへ)
「工事一時中止に係る
ガイドライン」による
①
②
発注者が契約用の設計
図書を作成
設計図書の変更
発注者と受注者の協議
①工期の変更
②請負代金額の変更
契約締結
(協議の成立)
【留意事項】
■設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた都度、延滞なく行うものとする。
■軽微な設計変更に伴うものは、工期の末(債務負担行為に基づく工事にあ
っては、各会計年度の末及び工期の末)に行うことをもって足りるものとする。
【23条、24条】
【18条関係フロー】
【契約約款第 18 条第 1 項】
(1) 図面,仕様書,現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと
(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
(2) 設計図書に誤謬又は脱漏があること。
(3) 設計図書の表示が明確でないこと。
(4) 工事現場の形状,地質,湧水等の状態,施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
(5) 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状
態が生じたこと。
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8.設計変更に関わる資料の作成
設計変更に関わる資料の作成についての具体的対応方法
(1)設計照査に必要な資料作成
受注者は、当初設計等に対して契約約款第18条第1項に該当する事実が発見された場合、監督職員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。なお、これらの資料作成に必要な費用については契約変更の対象としない。
受注者
発注者
第18条第1項に該当する事実を発見
現地と設計内容の違いについ て、確認できる資料を書面で提出
資料を確認(この資料の作成費用は契約変更の対象としない)
(2)設計変更に必要な資料作成
契約約款第18条第1項に基づき、設計変更するために必要な資料の作成については、契約約款第18条第4項に基づき発注者が行うものであるが、受注者に行わせる場合 は、以下の手続きによるものとする。
① 設計照査に基づき設計変更が必要な内容については、受発注者間で確認する。
② 設計変更するために必要な資料の作成について書面により協議し、合意を図った後、発注者が具体的な指示を行うものとする。
③ 発注者は、書面による指示に基づき受注者が設計変更に関わり作成した資料を確認する。
④ 書面による指示に基づいた設計変更に関わる資料の作成業務については、契約変更の対象とする。
⑤ 増加費用の算定は、設計業務等標準積算基準書を基本とする。
設計変更するために必要な資料の作成を依頼するときは、下記のとおりとする。
受注者
発注者
設計変更が必要な内容について、受発注者間で確認する。必要な資料の作成について協議し、発注者が受注者に具体的な作業を指示
設計変更に関わる資料を作成し提出
資料を確認(この資料の作成費用は契約変更の対象としない)
9.条件明示について
施工条件は契約条件となるものであることから、設計図書の中で明示するものとする。 また、明示された条件に変更が生じた場合は、契約図書の関連する条項に基づき、適切に対応するものとする。
条件明示等に不足が生じないよう、「条件明示について」(平成14年3月28日国官技第
369号通知)等を参考として活用するなど記載漏れがないようチェックすること。
明示項目 | 明示事項 |
工程関係 | 1.他の工事の開始又は完了の時期により、当該工事の施工時期、全体工事等に影響がある場合は、影響箇所及び他の工事の内容、開始又は完了の時期。 2.施工時期、施工時間及び施工方法が制限される場合は、制限される施工内容、施工時期、施工時間及び施工方法。 3.当該工事の関係機関等との協議に未成立のものがある場合は、制約を受ける内容及びその協議内容成立見込み時期。 4.関係機関、自治体等との協議の結果、特定された条件が付され当該工事の工程に影響がある場合はその項目及び影響範囲。 5.余裕工期を設定して発注する工事については、工事の着手時期。 6.工事着手前に地下埋設物及び埋蔵文化財等の事前調査を必要とする場合は、その項目及び調査期間。また、地下埋設物等の移設が予定されている場合は、その移設期間。 7.設計工程上見込んでいる休日日数等作業不能日数。 |
明示項目 | 明示事項 |
用地関係 | 1.工事用地等に未処理部分がある場合は、その場所、範囲及び処理の見込み時期。 2.工事用地等の使用終了後における復旧内容。 3.工事用仮設道路・資機材置き場用の借地をさせる場合、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等。 4.施工者に消波ブロック、桁製作等の仮設ヤードとして官xxx及び発注者が借り上げた土地を使用させる場合は、その場所、範囲、 時期、期間、使用条件、復旧方法等。 |
公害関係 | 1.工事に伴う公害防止(騒音、振動、粉塵、排出ガス等)のため、施工方法、建設機械・設備、作業時間等を指定する必要がある場合は、その内容。 2.水替・流入防止施設が必要な場合は、その内容及び期間。 3.濁水、湧水等の処理で特別の対策を必要とする場合は、その内容 (処理施設、処理条件等)。 4.工事の施工に伴って発生する騒音、振動、地盤沈下、地下水の枯渇等、電波障害等に起因する事業損失が懸念される場合は、事前・事後調査の区分とその調査時期、未然に防止するために必要な調査方法、範囲等。 |
安全対策関係 | 1.交通安全施設等を指定する場合は、その内容及び期間。 2.鉄道、ガス、電気、電話、水道等の施設と近接する工事での施工方法、作業時間等に制限がある場合は、その内容。 3.落石、雪崩、土砂崩落等に対する防護施設が必要な場合は、その内容。 4.交通誘導員、警戒船及び発破作業等の保全設備、保安要員の配置を指定する場合又は発破作業等に制限がある場合は、その内容。 5.有毒ガス及び酸素欠乏等の対策として、換気設備等が必要な場合 は、その内容。 |
工事用道路関係 | 1.一般道路を搬入路として使用する場合 (1)工事用資機材等の搬入経路、使用期間、使用時間帯等に制限がある場合は、その経路、期間、時間帯等。 (2)搬入路の使用中及び使用後の処置が必要である場合は、その処置内容。 2.仮道路を設置する場合 (1)仮道路に関する安全施設等が必要である場合は、その内容、期間。 (2)仮道路の工事終了後の処置(存置又は撤去)。 (3)仮道路の維持補修が必要である場合は、その内容。 |
明示項目 | 明示事項 |
仮設備関係 | 1.仮土留、仮橋、足場等の仮設物を他の工事に引き渡す場合及び引き継いで使用する場合は、その内容、期間、条件等。 2.仮設備の構造及びその施工方法を指定する場合は、その構造及びその施工方法。 3.仮設備の設計条件を指定する場合は、その内容。 |
建設副産物関係 | 1.建設発生土が発生する場合は、残土の受入場所及び仮置き場所までの距離、時間等の処分及び保管条件。 2.建設副産物の現場内での再利用及び減量化が必要な場合は、その内容。 3.建設副産物及び建設廃棄物が発生する場合は、その処理方法、処理場等の処理条件。なお、再資源化処理施設又は最終処分場を指定 する場合は、その受入場所、距離、時間等の処分条件。 |
工事支障物件等 | 1.地上、地下等の占用物件の有無及び占用物件等で工事支障物が存在する場合は、支障物件名、管理者、位置、移設時期、工事方法、防護等。 2.地上、地下等の占用物件工事と重複して施工する場合は、その工 事内容及び期間等。 |
地盤改良関係 | 1.設計条件、工法区分、材料種類、施工範囲、数量、延長及び改良材の選定や添加量等。 2.周辺環境への調査が必要な場合は、その内容。 |
その他 | 1.工事用資機材の保管及び仮置きが必要である場合は、その保管及び仮置き場所、期間、保管方法等。 2.工事現場発生品がある場合は、その品名、数量、現場内での再使用の有無、引き渡し場所等。 3.支給材料及び貸与品がある場合は、その品名、数量、品質、規格又は性能、引渡場所、引渡期間等。 4.関係機関・自治体等との近接協議に係る条件等その内容。 5.仮設工法を指定する場合は、その施工方法及び施工条件。 6.工事用電力等を指定する場合は、その内容。 7.新技術・新工法・特許工法を指定する場合は、その内容。 8.部分使用を行う必要がある場合は、その箇所及び使用時期。 9.給水の必要のある場合は、取水箇所・方法等。 |
10.仮設・施工方法等の「指定」・「任意」について
【自主施工の原則】
仮設・施工方法その他工事目的物を完成させるために必要な一切の手段については、
その責任の所在を明らかにする必要から、原則として受注者が定めるものとされている。(契約約款第1条第3項)
【指定】
工事目的物を施工するための施工条件として仮設・施工方法等を発注者が予め決定
する必要がある場合に、設計図書に条件として明示した仮設・施工方法等は「指定」と言う。
【任意】
工事目的物を施工するための仮設・施工方法等は,「自主施工の原則」により、受注者の責任で実施しなければならない。「指定」以外は「任意」と言う。
① 任意については、その仮設施工方法その他工事目的物を完成させるために必要な一切の手段の選択は受注者の責任で行う。
② 任意については、その仮設施工方法等に変更があっても原則として設計変更の対 象としない。ただし、指定・任意ともに当初積算時の想定と現地条件が異なることによる変更は行う。
【留意事項】
① 仮設施工方法等には、指定と任意があり、発注においては指定と任意の部分を明確にする必要がある。
② 発注者(監督職員)は、任意の趣旨を踏まえ適切な対応をするように注意が必要。
※ 任意における下記のような対応は不適切
・○○工法で積算しているので、「○○工法以外での施工は不可」との対応。
・標準歩掛かりではバックホウで施工となっているので、「クラムシェルでの施工は不可」との対応。
・新技術の活用について受注者から申し出があった場合に、「積算上の工法で施
工」するよう対応。ただし、任意であっても当初積算時の条件と現地条件に変更がある場合は、設計変更を行う。
【指定と任意の考え方】
x x | 任 意 | |
設計図書 | 施工方法等について具体的に指定 する。 | 施工方法等について具体的に指定 しない。 |
施工方法等の変 更 | 発注者の指示又は承諾が必要。 | 受注者の任意(施工計画書等のx x及び提出は必要)。 |
施工方法の変更 がある場合の設計変更 | 設計変更の対象とする。 | 設計変更の対象としない。 |
条件明示の変更 に対応した設計変更 | 設計変更の対象とする。 | 設計変更の対象とする。 |
その他 | <指定仮設とすべき事項> ・河川堤防と同等の機能を有する仮締切のある場合。 ・仮設構造物を一般交通に供する場合。 ・関係官公署との協議により制約条件のある場合。 ・特許工法又は特殊工法を採用する場合。 ・その他、第三者に対し、特に配慮する必要がある場合。 ・他工事等に使用するため、工事完成後も存置される必要のある仮設。 |
11.工事請負契約書における発注者と受注者の関係
契約書においては、監督職員は発注者権限の一部を行使し(伝達C)、加えて受注者に対する発注者組織の接点としての役割が与えられている(伝達B)。
監督職員を経由
工事請負契約における発注者
工事主管課等
・契約関係
伝達A
・請負代金内訳書及び工程表
監督職員の権限
・瑕疵担保 等
伝達B
・設計図書の変更
・工事の中止
・工期の延長、短縮等
・関連工事の調整
報告・提出・
請求・通知等
・賃金または、物価の変動に基
づく請負代金額の変更
・履行報告書
・工事材料の品質及び検査等
工事請負契約における受注者
・不可抗力による損害
報告・提出・
請求・通知等
・検査及び引渡
等
・立会及び工事記録の整備等
・改造義務及び破壊検査等
伝達C
・条件変更等
専門的な知識等を要する業務(工事監
理業務等)発注される場合がある
伝達A:受注者と発注者等が書面を直接伝達するもの等。
伝達B:受注者と発注者等が書面にて、監督職員を経由して伝達するもの等。伝達C:受注者と監督職員が書面を直接伝達するもの等。
※ この「伝達」とは、契約に基づく指示・承諾・協議・報告・提出・請求・通知・立会等の発注者と受注者間の意図伝達を総称するものである。
改訂履歴
平成30年4月 初版
平成31年4月 第1回改訂
改訂内容
7.設計変更手続きフロー P.12中段「工事一時中止に係るガイドライン」によるに変更。
発行日 平成30年3月改訂日 平成31年1月発行者 茨城県xx市
編 集 xx市総務部契約検査課
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