令和3年6月以降、「1日の作業時間 10 分」の簡単な作業をするだけで稼ぐことができるなどというLINE 1のメッセージをきっかけに、最初に副業のガイドブック を購入させられた後、電話勧誘により高額なサポートプランを契約させられたという相談が各地の消費生活センター等に数多く寄せられています。
令和4年9月 15 日
1日の作業時間が10 分程度の簡単な作業で稼ぐことができるなどと勧誘し副業のガイドブックを消費者に購入させ、その後、電話勧誘により高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起
令和3年6月以降、「1日の作業時間 10 分」の簡単な作業をするだけで稼ぐことができるなどというLINE 1のメッセージをきっかけに、最初に副業のガイドブックを購入させられた後、電話勧誘により高額なサポートプランを契約させられたという相談が各地の消費生活センター等に数多く寄せられています。
消費者庁が調査を行ったところ、株式会社レイズ(以下「レイズ」といいます。)及び株式会社ゼニス(以下「ゼニス」といい、2社を併せて「本件2事業者」といいます。)が、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(虚偽・誇大な広告・表示及び断定的判断の提供)を行っていたことを確認したため、消費者安全法(平成 21 年法律第 50
号)第 38 条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。
また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。
1 事業者の概要
本件2事業者の概要は下表のとおりです。
№ | 事業者名 | 所在地 |
1 | 株式会社レイズ (代表者 xx xx) (法人番号 7010001210375) | 大阪府大阪市浪速区幸町ニ丁目3番7号AX ISLIFESAKURAGAWA901号 |
2 | 株式会社ゼニス (代表者 xx xx) (法人番号 8120001226277) | xxxxx区xxx丁目10番12-305号 |
注1 同名の別会社と間違えないように御注意ください。なお、本件2事業者の法人番号等の情報は、令和4年9月8日時点のものです。
注2 本件2事業者のガイドブックの販売には株式会社サポート 2が関与していました。
2 具体的な事例の内容
本件2事業者は、消費者に対し、自社でノウハウを考案した「Wake(ウェイク)」、
「STELLA(ステラ)」、「cast(キャスト)」等 3の名称の副業(以下「本件副業」とい
1 登録された利用者同士が交流できるインターネット上の会員制サービスである「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)」の一つ。
2 代表者:xxxx、法人番号:7013301043247、所在地:xxxxx区西池袋五丁目2番 13 号菱和パレス立教通り2F(令和4年9月8日時点)
3 レイズがガイドブックの販売等を行っていた副業の名称は、「Wake(ウェイク)」、「Stella(ステラ)」、
「Carry(キャリー)」及び「Alto(アルト)」であり、xxxについては同様に、「cast(キャスト)」、
「MOVE(ムーブ)」、「Days(デイズ)」及び「roomy(ルーミー)」です。
います。)を行うためのガイドブックを購入させた後、高額なサポートプランを契約させ、多額の金銭を支払わせていました。その手口は次のとおりです。
(1) 「副業の紹介サイト」や「副業のランキングサイト」等から育児中の母親と称する者等の LINE アカウントとのトークへ誘導します。
消費者がスマホやパソコンを用いて、検索サイトで「副業」、「簡単」などと検索すると、本件副業を紹介する「副業の紹介サイト」や「副業のランキングサイト」等が表示されます。
これらのウェブサイトには、本件副業について「カンタン作業」、「スキマ時間で稼げる」などと表示されているものの、具体的な作業内容は一切説明されておらず、本件副業の作業内容を知るためには、これらのウェブサイトから LINE アカウントの友だち登録をする必要があります。
消費者が、LINE アカウントの友だち登録をすると、育児中の母親と称する者等の LINE アカウント(以下「勧誘アカウント」といいます。)とのトークに誘導され、勧誘アカウントからメッセージが送信されてきます。
(2) 勧誘アカウントから本件副業のガイドブックの勧誘を受けます。
勧誘アカウントからは、「この副業は初めに一回だけ 10 分の設定を行うことで、
全自動で報酬が入り続ける夢のようなお仕事です」、「10 分の設定だけで毎日 5,000円~10,000 円程の報酬で即日即収益となります」などと本件副業を紹介するメッセージ(別紙1)が送信されてきます。
本件副業に興味を持った消費者に対しては、本件副業を行うためには、ガイドブックを購入する必要があると伝え、2万円前後の代金を支払わせるよう仕向けます。
消費者が、これらのメッセージによる勧誘に興味を持ち、ガイドブックを購入し代金を支払う手続をすると、勧誘アカウントから、本件2事業者のウェブサイト(以下「本件ウェブサイト」といいます。)の URL が送信され、本件ウェブサイトから本件副業を始めるための申込手続を行うよう促されます。
(3) 本件ウェブサイトには、本件副業の作業内容は「テンプレートをコピー貼り付け」するものであり、「返金保証」があるなどと表示されています。
消費者が、本件ウェブサイトにアクセスすると、そこには、本件副業について以下のように表示されています(別紙2、別紙3)。
・作業は1日 10 分
・あとは全自動
・仕事内容はたったのこれだけ STEP1 提供されたシステムを設定する STEP2 稼ぐ為のテンプレートをコピー貼り付け STEP3 放置している間に収益が発生 受け取ります
・さらに安心の返金保証制度を導入
ガイドブックの購入者は、本件ウェブサイトから本件副業の申込手続を行い、手続を完了すると、勧誘アカウントからサポート専用の LINE アカウント(以下「サポートアカウント」といいます。)を友だち登録するよう促されます。
ガイドブックの購入者が、サポートアカウントの友だち登録をすると、サポート
アカウントから、仕事内容について電話で説明するため、電話対応可能な日について教えてほしいとのメッセージが送信されてきます。
(4) 電話で消費者を勧誘し、高額なサポートプランを契約させ多額の金銭を支払わせます。
本件2事業者は、消費者に対し電話で、本件副業の具体的な内容が、消費者自身でブログを作成し、そこにアフィリエイト広告を掲載し広告収入を得るものであると説明してきます。
消費者が購入したガイドブックは、この電話の直前(又は電話の最中)にサポートアカウントから URL が送信されてくるので、消費者は、この電話で初めて本件副業の具体的な作業内容を知ることとなります。
その後、本件2事業者は、本件副業を消費者が行うに当たって、本件2事業者が LINE や電話による個別相談に対応するといった有料のサポートプランの勧誘を行ってきます。この有料のサポートプランには、サポートを受けた上で本件副業を行った際に見込まれる収益である「目標収益」が申込料金に応じて設定されており、本件2事業者は、電話勧誘の際、
「目標収益については必ず達成できます」
「1カ月あればサポートプランの申込料金分は確実に稼ぐことができます」
「稼ぐことができなかった場合は、全額返金します」
などと説明して消費者を勧誘し、有料のサポートプランを契約させていました。有料のサポートプランの申込料金は、最も安価なプランで約 10 万円、最も高額
なプランだと約 180 万円であったところ、本件2事業者は、申込料金を支払えないとする消費者に対しては消費者金融から借り入れることを提案したり、料金の一部については収益を得た後の後払いでよいと提案するなどし、有料のサポートプランの申込料金を支払わせることもありました。
(5) 「解約同意書」の提出を求めてきます。
本件2事業者は、有料のサポートプランを契約した消費者に対し、後払いとした有料のサポートプランの申込料金の残額については支払わなくてよいので、最初に契約した有料のサポートプランを「形だけ」解約してほしいなどと持ち掛け、この手続を行うための書類として「解約同意書」を提出するよう求めてくることもありました。
この解約同意書には、消費者が支払った有料のサポートプランの申込料金を返金しない又は一部を返金する旨、さらに同意書を取り交わした後はサポートプランの契約に関して一切返金を求めることができない旨などが定められていました。
3 消費者庁が確認した事実
(1) 虚偽・誇大な広告・表示
本件2事業者は、本件副業の内容について、本件ウェブサイトにおいて、前記2
(3)のとおり、あたかも、テンプレートをコピーアンドペーストするだけの作業を
1日 10 分程度行うだけで稼ぐことができ、稼げなかった場合でも、支払の名目を問わず「返金保証」により支払った料金が返金されるかのように表示していました。
しかし、本件副業の実際の作業内容は、消費者自身でブログを作成し、そこにアフィリエイト広告を掲載し広告収入を得るものであり、本件ウェブサイトの説明と全く異なるものでした。
また、「返金保証」の対象となるのはガイドブック代金のみであるにもかかわらず、その旨を表示しておらず、そのために有料のサポートプランの申込料金も返金保証の対象となると誤認し有料のサポートプランを契約してしまった消費者、自身による交渉では返金を受けられなかった消費者や、そのような制度はないとの説明を受けた消費者もいました。さらに、前記2(5)のとおり、本件2事業者は、消費者に「解約同意書」を提出させることで、消費者からの有料のサポートプランの申込料金の返金の申出を妨げようとしていました。
(2) 断定的判断の提供
本件2事業者は、有料のサポートプランの電話勧誘の際、前記2(4)のとおり、有料のサポートプランの「目標収益」は必ず達成できるなどと説明していましたが、本件副業によって当該収益を稼げるかどうかは、アフィリエイト広告を掲載するブログの内容等の事情によって左右されるものであって不確実なものでした。
また、「目標収益」の金額については、明確な根拠により設定されたものではありませんでした。
なお、消費者庁が行った調査では、目標収益を達成した消費者は一人も確認できませんでした。
(3) 本件2事業者のガイドブックの販売に関与する会社について
本件2事業者が販売していたガイドブックの販売について、前記2(1)の副業のランキングサイトへの掲載など、ウェブサイトを利用した広告は、株式会社サポート 4という会社が行っていました。
4 消費者庁が行った「簡単な作業をするだけで『誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる』などの勧誘により『副業』の『マニュアル』を消費者に購入させた事業者に関する注意喚起(令和4年4月 13日)」の注意喚起の対象となった行為を行っていた事業者の1社。
4 消費者庁から皆様へのアドバイス
〇 次のような特徴を持つ副業には注意してください
興味を持った副業に次のような特徴を見つけた場合には、インターネット等で積極的に情報収集を行うなど慎重に行動しましょう。
・金銭(ガイドブック代金等)を支払う前に具体的な作業内容を一切説明しない
・稼げなかった場合でも返金保証があるため「リスクはない」、「損をしない」などと説明してくる
・副業のガイドブック等の「勧誘者」(LINE メッセージの送信者等)と、副業の「提供者」との関係が不透明(副業のガイドブック等の勧誘者が、自分はボランティアで副業を紹介している、などと言ってくる場合は注意が必要です。)
・副業の紹介サイト等において具体的な作業内容が一切記載されていないにもかかわらず、「儲かる」と紹介されている
・「初期費用0円」などと紹介されているにもかかわらず、副業のガイドブック等を購入させようとする
・「募集枠は残り〇枠」といったように、副業のガイドブック等の購入等を急かしてくる
・副業の名称が定期的に変更される
〇 副業を始めるために「借金」を背負うことには慎重になりましょう
副業のガイドブックやマニュアル等を販売している事業者には、最初に比較的低額のガイドブック等を購入させた後、電話などで高額のサポートプランを勧誘してくる事業者が多くいます。
このような事業者は、消費者がサポートプランの申込料金を支払えないと言った場合でも、消費者金融での借入れを提案してくることや、申込料金の一部は副業を行って得た収益による後払いでも構わない(申込料金を後払いとすることは、収益を得られなかった場合でもこの後払いの申込料金を当該事業者から請求される可能性があり、実質的には「借金」といえます。)と言ってくることがあります。
消費者庁の調査では、上記のような特徴を持つ副業を始めた場合、作業を行っても全く儲からず、結局、「借金」だけが残ってしまうということがほとんどです。お金を稼ぐために「借金」をして、結局、稼げず「借金」だけ増えることは本末 転倒ですので、副業を始めるために「借金」を背負うことには慎重になりましょう。
○ 副業に関して被害に遭ったらあきらめずにすぐに「188(いやや!)」へ電話して みましょう
本件では、消費者が消費生活センターに相談し、消費生活センターのあっせんに
より、本件副業についての広告や勧誘の内容と実際の作業内容が異なっていたことなどを理由に有料のサポートプランの申込料金の一部が返金された事例が複数確認されています。
高額な有料のサポートプランを申し込んでしまった場合でも、代金を取り戻すことができる可能性があるので、金額の多寡にかかわらず、あきらめずに「188(いやや!)」へ電話して相談してみましょう(最寄りの消費生活センターにつながります。)。
【本件に関連する最近の注意喚起情報】
発信者 | 件名(公表日) | URL |
消費者庁 | 簡単な作業をするだけで「誰でも1日当たり数 万円を稼ぐことができる」などの勧誘により「副業」の「マニュアル」を消費者に購入させた事業者に関する注意喚起(令和4年4月 13 日) | xxxxx://xxx.xxx.xx.xx/xxxxx e/entry/028350/ |
消費者庁 | 写真を貼り付けるだけの簡単な作業で儲かる副 業ビジネスを紹介するとして 7,000 円程度のテキスト教材を消費者に購入させ、その後に電話勧誘により著しく高額な金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起(令和3年 11 月 19 日) | xxxxx://xxx.xxx.xx.xx/xxxxx e/entry/026603/ |
消費者庁 | 無在庫での転売ビジネスのノウハウを提供する などとうたい、多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起(令和3年4月 28 日) | xxxxx://xxx.xxx.xx.xx/xxxxx e/entry/024011/ |
独立行政法人国民生活センター | 「転売ビジネス」で稼ぐつもりが…簡単には儲 からない!-ネット広告や SNS の情報、友人からのうまい話をうのみにしないで-(令和3年 2月 10 日) | xxxx://xxx.xxxxxxx.xx.xx/xx ws/data/n-20210210_1.html |
消費者庁 | 「在宅スマホ副業で7日で 20 万円稼げる人x x中!」などとうたい、多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起(平成 31 年2月 13日) | ies/policy/consumer_policy/ release/2018/pdf/release_20 18_190213_0001.pdf |
相談窓口のご案内
◆ 消費者ホットライン(最寄りの消費生活センターなどをご案内します。)電話番号 188(いやや!)
◆
警察相談専用電話
電話番号 #9110
※いずれも局番なし
公表内容に関する問合せ先
消費者庁 消費者政策課財産被害対策室
TEL:00-0000-0000 FAX:00-0000-0000
別紙1
ガイドブックの勧誘(LINE メッセージ)の例
別紙2
レイズのウェブサイトの表示(抜粋)
別紙3
ゼニスのウェブサイトの表示(抜粋)