gooddaysホールディングス株式会社経済産業大臣(事業所管)
資料③-1
電子契約システムを用いたマンスリーマンション事業に係る定期建物賃貸借契約書面の作成に関する実証
主務大臣
申請者
gooddaysホールディングス株式会社経済産業大臣(事業所管)
法務大臣(規制所管)
認定日等 認定:2020年8月6日
(申請:同年7月21日)
実証目的
借地借家法(以下「法」という。)において、書面によって契約しなければならないこととされている定期建物賃貸借契約(以下「定借契約」という。)を、電子的な手段を用いて作成し印刷した書面を用いて行った場合でも、同法により保護される賃借人の利益が損なわれることがないかを実証する
実証計画 (実証期間:認定日から認定日の3ヶ月後の日が属する月の末日)
申請者
※契約当事者が入居者とマンスリーマンション事業者との定借契約、対象物件は申請者のグループ会社が 運営するマンスリーマンションに限る。
① 申請者はマンスリーマンション事業者(以下、MM事業者)
に電子契約システムを提供
② MM事業者は入居者に対し、法第38条第2項に定める書面
(事前説明書)をあらかじめ送付する。
③ MM事業者は入居者に対して、テレビ会議等のITを活用して同項に定める説明(事前説明)を行う。
➃ MM事業者は、電子契約システムに契約書をアップロードし、
電子契約システムを提供
マンスリーマンション事業者(賃貸人)
①事前説明
契約書にアクセスできるパスワードが、電子メール等により入居者に通知される。
⑤ 入居者は、契約書の内容を確認し、表示される電子署名のボタンを押すことにより電子署名を行う。双方の署名が完了すると、電子署名が付された契約データ(PDFファイ
定借 (書面交付、テレビ会議等)契約 ②書面での契約
(電子契約システム、印刷、送付)
入居者
ル)を印刷することができる。
MM事業者は、2部印刷した契約書面のうち1
部を入居者に
(賃借人)
送付する。(入居者が印刷することもできる。) 1
課題となった規制について
サンドボックス実証を申請する背景
⚫ 現在、様々な分野・場面においてITによる非対面でのサービス提供や書面の電子化が進んできており、不動産事業においても、従来よりオフィスに来社せずに契約手続きを進めたいという入居者のニーズは高く、それに応じる形でIT技術を活用した重要事項説明(IT重説)を活用した手続きを実施している。
⚫ 一方で、法第38条で定めのあるとおり、定借契約は、形式や体裁は問わないが、書面での契約が必要とされている。現在、IT技術を活用した宅地建物取引業法上の重要事項説明は一部の会社において増加がみられているが、定借契約においては、この書面での契約が必要であることが運用上の制約ともなっており、ITを活用した形の契約締結形態が普及し始めている中、ITを活用した生産性向上から取り残され始めている。
⚫ IT活用による事前説明等や契約書作成手続が完結するサービスが普及・促進されることが期待されることにより、短期的・中長期的に以下のようなメリットが考えられる。また、こうした効果を踏まえて、将来に向けて、書面の電子化が実現することが期待される。
✓ 定借契約の締結に関する時間的負担の軽減による入居者の利便性の向上
✓ 入居者負担の軽減、マンスリーマンション事業者の業務負荷の軽減
✓ 定借契約活用による不動産賃貸市場の活性化
✓ IT投資による不動産業界の更なる発展
課題となった規制について
新技術等関係規定に違反しないことの考え方
⚫ 法第38条第1項及び第2項に定める定借契約の成立要件は、
①書面による契約
②期間の定め
③更新がないことの合意
➃事前説明
とされており、①書面による契約については、条文xxx証書が例示されているが、必ずしもxx証書による必要はなく、いかなる形式・体裁のものを問わず、書面によれば足りると解釈されている
(「実務解説 借地借家法〔改訂版〕 青林書院」、「新基本法コンメンタール 借地借家法 日本評論社」)。
⚫ また、➃の事前説明については、一定の条件のもと、テレビ会議等のITを活用した説明については対面による事前説明と同様に扱うことが可能であるとされている(「定期建物賃貸借に係る事前説明におけるITの活用等について」平成30年2月28日国土動第133号・国住賃第23号)
⚫ 本実証においては、マンスリーマンション事業者があらかじめ送付した事前説明書に基づきテレビ 会議等のITを活用して入居者に対する事前説明を行った上で、契約データの作成ならびに契約当事者双方の同データへの署名を電子契約システムを活用して行い、同データを2部印刷して書面化(以下、同データを書面化したものを「契約書面」という。)する。マンスリーマンション事業者は、そのう ちの1部を入居者に送付する。
⚫ マンスリーマンション事業者が入居者に送付した契約書面が入居者の下に到達した時点で、書面による定借契約が成立したものと考えられる。
※このことから、借地借家法に定める定借契約の成立要件(上記①~➃)を満たしていると考えられる。
(参考)関係法令等
借地借家法(抄)
第三十八条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、xx証書による等書面によって契約をするときに限 り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
「定期建物賃貸借に係る事前説明におけるITの活用等について」(平成30年2月28日国土動第133号・国住賃第23号)
空き家等の有効活用やIT利活用の裾野拡大等の観点から、今般、定期建物賃貸借に係る事前説明におけるテレビ会議等のITの活用等について、下記のとおり整理したので、貴団体におかれても、貴団体加盟の会員に対する周知及び指導を行われたい。(中略) また、本件については、法務省民事局と協議済みであることを申し添える。
1 事前説明におけるITの活用について
テレビ会議等のITを活用した借地借家法(略)第38条第2項の規定に基づく事前説明(以下、「事前説明」という。)については、次に掲げるすべての事項を満たしている場合、対面による事前説明と同様に取り扱うことが可能である。
なお、賃貸人は、ITを活用した事前説明を開始した後、映像を視認できない又は音声を聞き取ることができない状況が生じた場合には、直ちに説明を中断し、当該状況が解消された後に説明を再開するものとする。
(1)賃貸人及び賃借人が、事前説明に係る書面(以下、「事前説明書」という。)及び説明の内容について十分理解できる程度に映像を視認でき、かつ、双方が発する音声を十分に聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境において実施していること
(2)事前説明書を、賃借人にあらかじめ送付していること
(3)賃借人が、事前説明書を確認しながら説明を受けることができる状態にあること並びに映像及び音声の状況について、賃貸人が事前説明を開始する前に確認していること
(4)賃貸人の代理人が事前説明を行う場合には、委任状等の代理権の授与を証する書面を提示し、賃借人が、当該書面 を画面上で視認できたことを確認していること 4