Contract
NHKの受信契約の解約手続等の周知
1 相談内容
日本放送協会(以下「NHK」という。)の放送受信契約の解約の手続等に関する行政相談が、全国の局所センターにおいて計 20 件(注)あった。
相談内容は、契約者本人や遺族等が、どのように解約手続を行ったらよいか分からないとしているものが多くみられる。
【行政相談 20 件の類型】
〇類型 1:死亡に関連するもの(5 件)
両親が死去し空き家となったが放送受信料を請求されるのは納得できない。
〇類型 2:受信機廃棄又は未設置等に関連するもの(5 件)
テレビが壊れたため受信契約を解約しようとしたが、リサイクルしたことを示す領収書がないと払い続けてもらうと言われ困っている。
〇類型 3:施設入居に関連するもの(5 件)
特別養護老人ホームに入居し、自宅を不在にしていた期間についてもNHKの放送受信料を納め続けてきたことに納得できない。
〇類型 4:転居に関連するもの(4 件)
引っ越す前の住所のNHK受信契約が解約できていなかったために受信料を払わなければいけないことに納得できない。
〇類型5:その他
解約手続が複雑すぎるので簡素化するよう指導してほしい(1 件)
(注)本相談は、平成 30 年 1 月 1 日から令和元年 5 月 31 日までの期間に、本省、管区行政評価局、事務所、センターが受け付けたものである。
2 制度概要
(1)放送法による受信契約及び受信料に関する規定
NHKの受信契約については、放送法(昭和 25 年法律第 132 号)第 64 条第 1項において、NHKの放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならないとされている。
また、受信料については、同法同条第 2 項において、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならないとされている。
受信料が免除となる対象は、NHK放送受信料免除基準により、公的扶助受給者、社会福祉施設等入所者、視覚・聴覚障害者、重度の身体障害者等とされており、対象ごとに全額または半額免除に区分される(詳細は、後述 2-(3)受信料の免除を参照。)。
【参考】放送法(昭和 25 年法律第 132 号)(抄)
(受信契約及び受信料)
第六十四条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、 協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
2 協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、 前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。
3 協会は、第一項の契約の条項については、あらかじめ、総務大臣の認可を
受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(2)放送受信規約による規定
NHKの受信契約及び受信料の支払いの実際については、NHK放送受信規約(昭和 25 年 6 月 1 日制定。平成 31 年 4 月 1 日最終改定。以下「受信規約」
という。参考資料 1 参照)により規定されている。
具体的には、放送受信契約は世帯ごとに行う(受信規約第 2 条)、受信機を設置した者は、遅滞なく、受信機の設置者の氏名等を記載した放送受信契約書を NHKの放送局に提出しなければならない(受信規約第 3 条)、放送受信契約者が放送局に届け出た氏名または住所を変更したときは、直ちに、その旨をNH Kの放送局に届け出なければならない(受信規約第 8 条)、放送受信契約者が受信機を廃止すること等により、放送受信契約を要しないこととなったときは、直ちに、受信契約者の氏名等を放送局に届け出なければならない(受信規約第 9条)、免除基準に該当する放送受信契約については、申請により、放送受信料を免除する(受信規約第 10 条)、受信規約及び受信規約の変更は、官報によって
周知する(受信規約第 15 条)などとなっている。
なお、平成 23 年7月1日の規約改正において、「受信機を廃止すること」を
「受信機を廃止すること等」とし、受信機の廃止以外にも解約の事由があることが規定されている。
また、受信規約は、令和元年 7 月 10 日に一部変更され、これまで受信料は受信機を設置した月から発生するとしていたものを、新たに受信機を設置した放送受信契約者の負担軽減を図るため、設置月は無料とされる(令和元年 10 月 1日施行)。
この外、NHKは、受信契約に際しての案内用として、「NHK放送受信料に関するご案内」(以下「パンフレット」という。)を配布しており、当該パンフレ
ットに受信規約が掲載されている。
【参考】NHK放送受信規約(平成 31 年 4 月 1 日最終改正)(抄)
(放送受信契約の単位)
第 2 条 放送受信契約は、世帯ごとに行うものとする。ただし、同一の世帯に属する 2 以上の住居に設置する受信機については、その受信機を設置する住居ごととする。
(放送受信契約書の提出)第 3 条 第 1 項
受信機を設置した者は、遅滞なく、次の事項を記載した放送受信 契約書を放送局(NHKの放送局をいう。以下同じ。)に提出しなければならない。ただし、新規に契約することを要しない場合を除く。
(1)受信機の設置者の氏名および住所
(2)受信機の設置の日
(3)放送受信契約の種別
(4)受信することのできる放送の種類および受信機の数
(5)受信機を住所以外の場所に設置した場合はその場所第 2 項
放送受信契約者がテレビジョン受信機を設置しまたはこれを廃 止すること等により、放送受信契約の種別を変更するときは、前項各号に掲げる事項のほか、変更前の放送受信契約の種別を記載した放送受信契約書を放送局に提出しなければならない。
第 3 項
第 1 項または第 2 項の放送受信契約書の提出は、書面に代えて 電話、インターネット等の通信手段を利用した所定の方法によることができる。この場合においても、第 1 項または第 2 項に規定する事項を届け出るものとする。
第 4 項
前項による放送受信契約書の提出があった場合、NHKは、書面の送付等により提出内容を確認するための通知を行うものとする。
(放送受信契約の成立)第 4 条 第1項
放送受信契約は、受信機の設置の日に成立するものとする。第 2 項
放送受信契約の種別の変更の日は、その変更にかかる受信機の設置の日、またはその廃止等に伴う前条第 2 項もしくは第 3 項の提出があった日(ただし、NHKにおいて提出された放送受信契約書の内容に該当する事実を確認できたときに限る。)とする。
(放送受信料支払いの義務)第5条 第 1 項
放送受信契約者は、受信機の設置の月から第9条第2項の規定により解約となった月の前月(受信機を設置した月に解約となった放送受信契約者については、当該月とする。)まで、1の放送受信契約につき、その種別および支払区分に従い、次の表に掲げる額の放送受信料(消費税および地方消費税を含む。)を支払わなければならない。
種別 | 支払区分 | 月額 | 6 か月 前払額 | 12 か月 前払額 |
地上契約 | 口座・クレジット | 1,260 円 | 7,190 円 | 13,990 円 |
継続振込等 | 1,310 円 | 7,475 円 | 14,545 円 | |
衛星契約 | 口座・クレジット | 2,230 円 | 12,730 円 | 24,770 円 |
継続振込等 | 2,280 円 | 13,015 円 | 25,320 円 |
(注)特別契約については、当局において記載を省略した。
(氏名、住所等の変更)
第 8 条 放送受信契約者が放送局に届け出た氏名または住所を変更したと きは、直ちに、その旨を放送局に届け出なければならない。
(放送受信契約の解約)第 9 条 第 1 項
放送受信契約者が受信機を廃止すること等により、放送受信契約 を要しないこととなったときは、直ちに、次の事項を放送局に届け出なければならない。
(1)受信契約者の氏名および住所
(2)放送受信契約を要しないこととなる受信機の数
(3)受信機を住所以外の場所に設置していた場合はその場所
(4)放送受信契約を要しないこととなった理由第 2 項
NHKにおいて前項各号に掲げる事項に該当する事実を確認できたときは、放送受信契約は、前項の届け出があった日に解約されたものとする。ただし、放送受信契約者が非常災害により前項の届け出をすることができなかったものと認めるときは、当該非常災害の発生の日に解約されたものとすることがある。
(放送受信料の免除)第 10 条 第 1 項
放送法第 64 条第 2 項の規定に基づき、免除基準に該当する放送受信契約については、申請により、放送受信料を免除する。
(放送受信料の精算)第 11 条 第1項
放送受信契約が解約となり、または放送受信料が免除された場 合において、すでに支払われた放送受信料に過払額があるときは、これを返れいする。この場合、第 5 条第 1 項または第 2 項に定める前払額による支払者に対し返れいする過払額は、次のとおりとする。
(1)経過期間が 6 か月に満たない場合には、支払額から経過期間に対する放送受信額を差し引いた残額
(2)経過期間が 6 か月以上である場合には、支払額から経
過期間に対し支払うべき額につき、第 5 条第 1 項または
第 2 項に定める前払額により支払ったものとみなして算出した額を差し引いた残額
(放送受信契約者の義務違反)
第 12 条 放送受信契約者が次の各号の 1 に該当するときは、所定の放
送受信料を支払うほか、その 2 倍に相当する額を割増料金として支払わなければならない
(1)放送受信料の支払いについて不正があったとき
(2)放送受信料の免除の事由が消滅したにもかかわらず、その届け出をしなかったとき
(規約の変更)
第 14 条 この規約は、総務大臣の認可を受けて変更することがある。
(規約の周知方法)
第 15 条 この規約およびこの規約の変更は、官報によって周知する。
(3)受信料の免除
受信料の免除については、放送法第 64 条第 2 項において「あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、(中略)契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない」、放送受信規約第 10 条において「免除基準に該当する放送受信契約については、申請により、放送受信契約を免除す
る」と規定されている。
また、免除基準等の詳細については、「日本放送協会放送受信料免除基準」(昭和 25 年 6 月 1 日制定。平成 31 年 2 月 1 日最終施行。以下「免除基準」という。
参考資料 2 参照)により、下表のとおり、全額免除と半額免除に 2 分される。 全額免除の例としては、ⅰ)社会福祉施設等において、入所者または利用者の
専用に供するため、その管理者が受信機を設置して締結する放送受信契約、ⅱ)
社会福祉事業を行う施設または事業所の入所者が、その施設内の住居に受信機を設置して締結する放送受信契約がある。
なお、免除基準は、平成 30 年 4 月 1 日に一部変更され、全額免除の対象が限定されていた社会福祉施設について、社会福祉法に規定されているすべての社会福祉事業を行う施設または事業所に拡大されている。
【参考】日本放送協会放送受信料免除基準(抄)
1 全額免除
・社会福祉施設等
(社会福祉施設等において、入所者または利用者の専用に供するため、その管理者が受信機を設置して締結する放送受信契約)
・学校
・公的扶助受給者
・市町村民税非課税の障害者
・社会福祉施設等入所者
(社会福祉法に規定する社会福祉事業を行う施設または事業所の入所者 が、その施設内の住居に受信機を設置して締結する放送受信契約)
・奨学金受給対象等の別住居の学生
・災害被災者
2 半額免除
・視覚、聴覚障害者
・重度の障害者
・重度の戦傷病者
3 調査結果
(1)行政相談の原因分析
当省が受け付けた相談の原因となる事象について分析した結果、いずれの類型でも、解約等の手続きが周知(明示)されていないことが一因となっているものと考えられる。
※行政相談の件数をみると、平成 28 年 8 月 1 日~29 年 12 月 31 日までの
17 か月の相談件数は 15 件で、本件で集計した平成 30 年 1 月 1 日~令和元
年 5 月 31 日までの 17 か月の相談件数は 20 件となっており、同じ月数の集計期間における件数は増加している状況にある。
一方、日本の 65 歳以上の高齢人口及び高齢者単独世帯は、ともに 2050 年に向
かって増加する傾向にあり、また、空き家数は 2018 年時点で 2003 年時点の約
1.3 倍となっており今後とも、特に契約者が高齢者であった場合の解約対応に関する相談が発生することが懸念される(参考資料 3 参照)。
① 類型 1:死亡に関連するもの
契約者が死亡した後でも放送受信料を請求されたなどの相談が下表のとおり
5 件みられた。
これらは契約者が死亡した場合の解約手続きをどのように行ったらよいか等について、遺族に十分、周知・浸透ししていないことが相談の一因と考えられる。
表 類型 1:死亡に関連する相談の内容等
件名 | 相談の要旨等 |
① 両親が死去し空き家となったが放送受信料を請求されている。 | 受信料が引き落としされる銀行口座が閉鎖されていたため、郵便受けに請求のはがきが溜まっていたというもの。 ※NHKのホームページでは、「放送受信契約の対象となるテレビがすべてなくなった場合は、 NHKにご連絡ください」と掲載されているものの、両親と同居していない場合、どのように解約手続きを行ったらよいのか分からないまま となってしまう可能性がある。 |
② 父が死亡した後も 4 か月間受信料を請求されている。 | 契約者本人(父)が死亡しており、それまで居住していたマンションも引き払っているのに受信料を請求され続けているというもの(な お、相談を受付けた事務所からNHKに連絡し た結果、受信料は返戻されることとなった)。 |
③ 母が死亡後にNHKの解約をし忘れていた場合、遺族が解約をし忘れていた期間の受信料を負担するのはおかし い。 | 母が死去した後に空き家となっていたところに、受信料支払いの督促状が届いていたというもの。 なお、相談者は特段の対応を求めていない。 |
④ 同居していた父が死亡してから 1 年後 に受信料の請求がきた。 | 父が死亡してから 1 年後に相談者宛に受信料 の請求がきたことに対する疑問。 |
⑤ 契約者であった母が死亡したため解約 しようとしたところ、名義変更しかできないとされた。 | 契約者が死亡した場合でも解約はできず世帯契約となることに対する疑問。 |
(注)本省、管区行政評価局、事務所、センターが受け付けた相談を基に当局が作成した。
② 類型 2:受信機廃棄又は未設置等に関連するもの(5 件)
受信機が壊れたため契約を解除しようとしたが、解約に応じてもらえないなどの相談が下表のとおり 5 件みられた。
これらは受信機の設置の有無等による契約の手続きをどのように行ったらよいか等について、十分に周知・浸透していないことが相談の一因と考えられ る。
一方、NHKのホームページ上では放送受信規約が掲載されているものの、受信機が壊れた場合等の具体的な解約手続についての掲載はされておらず、今後とも、同様な相談が発生することが懸念される。
表 類型 2:受信機廃棄又は未設置等に関連するもの(5 件)
件名 | 相談の要旨等 |
① テレビが壊れたため受信契約を解約しようとしたが、リサイクルしたことを示す領収書がないと払い続けてもらう と言われた。 | 本件については、リサイクルしたことを示す領収証がなく、テレビが設置されていないことを確認するため、NHK職員が自宅を訪問することとなった。 ※なお、本件に対応したNHKの地方局によれ ば同様な相談は多数あるとしている。 |
② 自宅にテレビを設置していなかった期間について、受信料を返金してほし い。 | 転居後の新住所地で契約を行ったが、転居前の住所地で解約手続きがなされていないとし て、口座振替で受信料が引き落とされていたことに対する苦情である。 NHKでは訪問員から受信料の解約手続きについて案内することはない、また、前住所地にテレビがないことの確認ができないとし、返金に至らなかった。 ※NHK営業局は、「受信契約締結時や受信料のお支払いをいただいた際には、解約について記載した「NHK放送受信料に関するご案内」を手交しており、NHKの方針として、「解約手続について案内することはない」ということはな いとしている。 |
③ 家の建替えで在宅していなかった月の受信料を請求されたことに納得できな い。 | 意見要望を述べたもの(相談者は特段の対応を求めていない)。 |
④ 別居中の父がテレビを廃棄し、NHKに受信契約の解約を申し出たところ、家に入ってテレビの破棄を確認してか ら解約すると言う。 | 法的に家に入って確認しなければ解約できないかという疑問。 |
⑤ 自宅のテレビが壊れているのでNHKに解約に関する書類の送付を求めてい るが対応してくれない。 | 認識の違いによる苦情(相談者のテレビは映りが悪くなっているものの壊れてはおらず、相 談者とNHKとの認識にも差異があったもの)。 |
(注)本省、管区行政評価局、事務所、センターが受け付けた相談を基に当局が作成した。
③ 類型 3:施設入居に関連するもの(5 件)
特別養護老人ホームに入居し、自宅を不在にしていた期間も受信料を納め続けてきたことに納得できないなどの相談が下表のとおり 5 件みられた。
これらは、施設入居により生活スタイルに変化が生じる場合に対応した契約の手続き等について、本人や家族に十分、周知・浸透していないことが相談の一因と考えられる。
表 類型 3:施設入居に関連するもの(5 件)
件名 | 相談の要旨等 |
① 特別養護老人ホームに入居し、自宅を不在にしていた期間についてもNHKの放送受信料を納め続けてきたことに 納得できない。 | 納得できないとする苦情(NHKに確認した結果、所定の手続きにより遡及して解約できることとなった)。 |
② 高齢の親が施設に入所し、自宅には誰もいないが受信料を支払わなければな らないか。 | 何故受信料を支払わなければならないのかについての疑問(NHKに照会した結果、遡及して 解約できる場合もあることがわかった)。 |
③ 老人ホームに入居しているがNHKの受信料を支払っている。届けを出せば 受信料は返還されるのか。 | 手続きについての疑問。 |
④ 一人暮らしの父親が特別養護老人ホームに入所した場合、NHKの受信料はどうなるか。 | 手続きについての疑問(社会福祉施設に入所した場合、全額免除となる)。 ※全額免除について、免除基準では、「社会福祉法に規定する社会福祉事業を行う施設または事業所の入所者が、その施設内の住居に受信機を設置して締結する放送受信契約」とされているが、本件は、入所者が所有のテレビを施設に持ち込んだ場合であって、受信規約からは、ど のような手続きをすればよいかは分からない。 |
⑤ 独居している母がグループホームに入居するので空き家となる実家の受信契 約を解除したいがどうすればよいか。 | 手続きについての照会(NHKに照会するよう案内した)。 |
(注)本省、管区行政評価局、事務所、センターが受け付けた相談を基に当局が作成した。
④ 類型 4:転居に関連するもの(4 件)
母を転居させたがこれまで受けていた受信料の免除が受けられなくなったなどの相談が下表のとおり 4 件みられた。
これらは転居に伴う契約の手続きをどのように行ったらよいか等について、十分に、周知・浸透していないことが相談の一因と考えられる。
表 類型 4:転居に関連するもの(4 件)
件名 | 相談の要旨等 |
① 母を転居させたがこれまで受けていた受信料の免除が受けられなくなった。 | 母は障害があったため、これまで受信料を免除されていたが、転居した後は免除されず受信料を請求されたというもの(転居後も免除の事由は変わらないはずだが、NHKからは事前説 明がなかったというもの)。 |
② 単身赴任だが、過去に遡って受信料を請求されている。 | 受信料の請求について納得できないとするも の(なお、受信契約時の対応が明確となっておらず、事実関係の把握が困難だった)。 |
③ 引っ越し前の住所地での受信契約が解約できていなかったが受信料を払わな ければいけないことに納得できない。 | 受信契約の解約ができないことについての苦情(NHKは解約届が出ていないとして支払い を求めている)。 |
④ 現在居住している家を壊し、xxに移転する予定であり、現在テレビはない が、NHKは解約に応じない。 | 解約手続きについての苦情(NHKはxxで解約手続きを行うよう求めている)。 |
(注)本省、管区行政評価局、事務所、センターが受け付けた相談を基に当局が作成した。
⑤ 類型 5:その他(1 件)
解約手続きが複雑すぎるので簡素化するよう指導してほしいとの等の相談が下表のとおり 1 件みられた。
これは、解約の手続き等について、十分、周知・浸透していないことが相談の一因と考えられる。
表 類型 5:その他(1 件)
件名 | 相談の要旨等 |
① NHKの解約手続きが複雑すぎるので簡素化してほしい。 | NHKのホームページでは解約手続きの文言はなく、解約するためには放送受信契約解除届が必要だが入手するための手続きが複雑なため 簡素化を求めるもの。 |
(注)本省、管区行政評価局、事務所、センターが受け付けた相談を基に当局が作成した。
(参考)(地方行政苦情救済推進会議におけるあっせん)
関東管区行政評価局は、住所変更届付転居届はがきによる受信料変更手続きのみでは解約ができなかったとの行政相談について、同局が設置する行政苦情救済推進会議に諮り、同会議の意見を踏まえ、平成 30 年 12 月 20 日、N HK(首都圏営業推進センター)に対し、住所変更届付転居届はがきの提出をもって受信契約の解約を可能とするなど、その運用を見直すことなどをあっせんしている。
NHKは、これに対して、当該はがきを提出した者に極力負担をかけないよう事務処理手順の見直しや住所変更届付転居届はがきの様式改定等を行っている。
(2)NHKにおける制度の周知状況と相談の原因分析との関係
① 放送受信規約及び免除基準における記載内容等
受信規約では、住所等の変更については第 8 条で、解約については第 9 条で
「放送局に届け出なければならない」としている。
また、免除基準では、「社会福祉施設等において、入所者または利用者の専用に供するため、その管理者が受信機を設置して契約する放送受信契約」、「社会福祉事業を行う施設または事業所の入所者がその施設内の住居に受信機を設置して締結する放送受信契約」は、いずれも全額免除としている。
しかし、下表(受信規約及び免除基準等と相談内容相談内容との対比)のとおり、受信規約等と前述 3-(1)の行政相談の原因分析(契約者の死亡、相続、施設入居及び転居等)を照らし合わせてみた場合、各相談の類型の一因を解消するためには、受信規約の内容では判然としないのが実態ではないかと考えられる。
また、ホームページやパンフレットとの関係(解約、施設等に入所する場合等)についてみても、同様の実態(下表:受信規約及び免除基準等と相談内容との対比)であり、放送受信契約の変更や解約に関する手続や問い合わせ先に関する情報について、契約者等に対し十分浸透することになっているのか疑問である。
表 受信規約及び免除基準等と相談内容との対比
相談の類型 | 受信規約 | 免除基準 | ホームページ | パンフレット | 説明が不足していると考えられる事項等 |
類型 1 | (第 3 条第 2 項)受信機を設置し | 該当の記 | 該当の記載なし。 | 同左(xxxxx | 「受信機を廃止すること等により」(受信規約) |
死亡に関連 | またはこれを廃止すること等によ | 載なし。 | ※NHK営業局は、直接的な記述で | ジに同じ) | では、廃止以外どのような場合に解約できるのが |
するもの | り、放送受信契約の種別を変更す | はないが、「住居に誰も居住しなくな | 分からない(死亡した場合や長期間不在となる場 | ||
るときは放送受信契約書を放送局 | る場合や、廃棄、故障などにより放送 | 合にも解約できる場合があるが現状では分からな | |||
に提出しなければならない。 | 受信契約の対象となるテレビがすべて | い。また、相続の場合、どのような手続きを採っ | |||
(第 9 条)受信機を廃止すること | なくなった場合は、NHKにご連絡く | たらよいか分からない)。 | |||
等により放送受信契約を要しない | ださい。こうした場合以外は解約はで | ||||
こととなったときは直ちに放送局 | きません。所定の届出書をご提出いた | ||||
に届け出なければならない。 | だきます。」が相当するとしている。 | ||||
類型 2 | 同上 | 該当の記 | 住居に誰も居住しなくなる場合や、廃 | 同左(ホームペー | 「受信機を廃止すること等により」(受信規約) |
受信機廃棄 | 載なし。 | 棄、故障などにより放送受信契約の対 | ジに同じ) | では、受信機が壊れた場合等、廃止以外どのよう | |
又は未設置 | 象となるテレビがすべてなくなった場 | な場合に解約できるのか分からない。 | |||
に関連する | 合は、NHKにご連絡ください。 | また、所定の届出書の様式が明示されておらず、 | |||
もの | こうした場合以外は解約はできませ | 具体的にどのような手続きを採ったらよいのか分 | |||
ん。 | からない。 | ||||
所定の届出書をご提出いただきます。 | ※NHK のホームページでは、「住居に誰も居住しな | ||||
くなる場合」とされているが、社会福祉施設に入 | |||||
居する等が該当するのか分からない。 | |||||
類型 3 | (第 10 条)免除基準に該当する放 | (全額免除) | これまでお住まい | 受信規約及び免除基準では、社会福祉施設に入所 | |
施設入居に | 送受信契約については、申請によ | ・社会福祉施設等において、入所者または利用者 | だった住居にどな | する者の住居の扱いを対象とした規定となってい | |
関連するも | り、放送受信料を免除する。 | の専用に供するため、その管理者が受信機を設置 | たもお住まいでな | ないため、入所の場合、解約することができるの | |
の | して締結する放送受信契約 | ければご住所変更 | か分からない。また、全額免除に該当する場合、 |
・社会福祉事業を行う施設または事業所の入所者 | の手続きとなりま | 入所者の住まいにおける受信料に関する家族割引 | |||
が、その施設内の住居に受信機を設置して締結す | す。 | の適用があるが、現状ではどのように手続きを採 | |||
る放送受信契約 | 全額免除のお手続 | ったらよいか分からない。 | |||
きは入所される施 | ※NHK のパンフレットでは、「どなたもお住まいで | ||||
設または事業所を | なければ住所変更の手続きとなります」とされて | ||||
通じて申請してい | いるが、社会福祉施設に入所する場合等の扱い | ||||
ただくことができ | や、解約ができるのかについては分からない。 | ||||
ます。 | |||||
類型 4 | (第 8 条)放送局に届け出た氏名 | 該当の記 | 住居に誰も居住しなくなる場合や、廃 | 同左(ホームペー | 受信規約、免除基準をはじめ、ホームページ及び |
転居に関連 | または住所を変更したときは、直 | 載なし。 | 棄、故障などにより放送受信契約の対 | ジに同じ) | パンフの現行の規定や案内では、単なる転居だけ |
するもの | ちに、その旨を放送局に届け出な | 象となるテレビがすべてなくなった場 | ではなく、障害者が転居する場合の免除や、死亡 | ||
ければならない。 | 合は、NHKにご連絡ください。 | の場合、社会福祉施設への入所により住居が変更 | |||
となる場合等、具体的な生活の変化に応じた対処 | |||||
方法が分からない。 | |||||
類型 5 | 手続きの詳細について記載なし。 | 該当の記 | 手続きの詳細について記載なし。 | (同上に加え)解 | 受信規約、免除基準をはじめ、ホームページ及び |
その他:解 | 載なし。 | 約にあたっては、 | パンフの現行の規定や案内では、死亡した場合や | ||
約手続きが | 所定の届出書をご | 長期間不在となる場合にも解約できるのか、相続 | |||
複雑 | 提出いただきま | の場合、社会福祉施設に入所する場合はどうなの | |||
す。 | かなど、どのような場合に、どのようにすれば解 | ||||
約できるのか分からない。 |
(注)1 NHKの受信規約、免除基準、ホームページ(よくある質問集含む)及びパンフレットを参考に当局が作成した。
2 NHKのホームページ及びパンフレットには、受信規約及び免除基準が掲載されている。
3 よくある質問集には、類型 1 から 5 に合致した内容の質問は記載されていない。
② NHKのホームページ
NHKのホームページ上(受信料の窓口)については、以下のとおり、解約に関する案内が十分とはなっていない状況がみられた。
ア 解約手続方法等について
NHKの「受信料の窓口」のトップページでは、下の図表のとおり、受信契約等に関して、「解約」、「死亡」、「相続」、「社会福祉施設への入居」等の文言は掲載されていない。
また、解約に関して記載されたページにたどり着くためには、「NHKは皆様の受信料で運営されています。」のカテゴリーに区分された「受信料・受信契約のご案内」(下の図表の赤枠の箇所)から入り込む必要があるが、 NHKのホームページから複数回(6 回)クリックしなければ掲載場所には到達できず、契約者等にとって非常に分かりづらいものとなっている。
解約について記載されたページは、下の図表のとおり、誰も居住しなくなる場合や、廃棄等によりテレビがなくなった場合は「NHKにご連絡ください」(下の図表の赤枠の箇所)とのみ記載され、具体的な解約手続方法や連絡先(電話番号やネットによるアドレス等)は記載されておらず、不案内なものとなっている。
イ よくある質問集について NHKのホームページでは、受信契約及び支払いに関して、下の図表のと
おり、「よくある質問集」として掲載している。
しかし、当該質問集では前述 3(1)の行政相談の原因分析における類型に該当するような、死亡、社会福祉施設への入居(入居した場合の全額免除含
む)、転居等については記載されておらず、このような相談の疑問解消にはつながらないのではないかと考えられる。
③ NHKのパンフレット
NHKのパンフレットでは、解約について、「放送受信料について」のページで、ホームページと同様に「誰も居住しなくなる場合や、廃棄、故障などによりテレビがすべてなくなった場合は、NHKにご連絡ください。こうした場合以外は、放送受信契約の解約はできません。」と記載され、死亡した場合や長期間不在となる場合にも解約できることや相続した場合等の具体的な対応については記載されておらず、契約者等にとって分かりづらいのではないかと考えられる。
また、社会福祉施設等に入居した場合の対応については、「よくあるご質
問」のページで、下の図表のとおり、施設等に入所する場合の契約について、
「住所変更の手続きとなる」とし、また、受信料が免除される場合があることが記載されているが、解約できることについては記載されておらず、誤解を生じさせる可能性がある。
なお、同パンフレットには、放送法(抜粋)、受信規約及び免除基準が掲載されている。
④ その他
NHKは、受信規約及び免除基準の一部変更に際しての周知について、下表のとおり、ホームページや厚生労働省を通じた地方自治体への協力依頼により行っている状況がみられた(受信規約については予定を含む)。
表 受信規約及び免除基準の一部変更に係る周知状況
区 分 | 変更時期 | 変更内容 | 周知方法 |
受信規約 | 令和元年 7 月 10 日 (総務大臣認可) 令和元年 10 月 1 日 (施行) | これまで受信料は受信機を設置した月から発生するとしていた が、新たに受信機を設置した放送受信契約者の負担軽減を図るた め、設置月は無料とす る。 | ・NHKホームページ ・各種パンフレット ・その他 (なお、受信規約の変更は官報によって周知するとされている(受信規約第 15 条)。) |
免除基準 | 平成 30 年 4 月 1 日 | これまで社会福祉施設については、全額免除の対象を限定していたが、社会福祉法に規定されているすべての社会福祉事業を行う施設または事業所を全額 免除の対象とする。 | ・NHKホームページ ・厚生労働省を通じた地方自治体への周知の協力依頼 |
(注)当局の調査結果による。
(3)地方公共団体における周知状況
当室がNHKの受信契約に関して、地方公共団体のホームページ等における周知状況をインターネットの検索機能により調査した結果、以下のとおり、
ⅰ)死亡後に解約手続きが必要であることを周知しているもの 8 都道府県・市
町村、ⅱ)受信料の免除について周知しているもの 7 市町村(このうち社会福
祉施設等への入所により全額免除となることについて周知しているもの 2 市町村)がみられた。
しかし、受信規約によれば、受信機を廃止した場合等は解約となるとされているところ、死亡した場合、解約ではなく「名義変更等」としているものや、免除について、障害者のみに限定して周知しているものなど、解約手続き等について正しく周知されているのか判然としないものがみられた。
一方、周知内容の見直しについて、地方公共団体を抽出して意見聴取したと
ころ、NHKからの依頼があれば、「xx回の記載内容の見直しに併せてより具体的な記載は可能」(A市町村)、「掲載スペースの都合はあるが記載内容の見直しは可能」(B市町村)とし、いずれも掲載内容をより具体化できるのではないかとしている。
【掲載例】
・死亡後に手続きが必要であることの周知(A市町村)
・受信料の免除についての周知(B市町村)
4 関係機関の意見
(1) NHK
・受信規約及び免除基準の考え方等について
受信規約及び免除基準ともに、放送受信契約の骨子となるものであり、例えば、解約について、受信規約第 9 条では「受信機を廃止すること等により、放送受信契約を要しないこととなったとき」と記載しているが、これは、受信契約者が死亡した場合や社会福祉施設に入居した場合で、当該住居に誰も居住しなくなるケースも含まれると解される。
また、受信規約及び免除基準の見直しについては、受信料額や免除対象の変更があった場合等に実施している。最近では、テレビ等の受信設備を設置した月の受信料の無料化、社会福祉施設の免除対象拡大、奨学金受給対象などの学生への免除に際して変更した例がある。
・今後の対応について
NHK営業局は、解約等の手続については、受信設備や世帯構成員の状況を確認の上で受け付ける必要があることから、視聴者から電話をいただき、個々の状況に応じて、必要な手続をご案内しているのが現状であるが、今後、受信契約者の利便性に寄与するため、xx、ホームページやパンフレット等の掲載内容について、解約等に関してよりわかりやすく、詳しい情報を掲載するよう見直していくとしている。
(2) 地方公共団体
意見を聴取した地方公共団体では、NHKからの依頼があれば、解約に関する手続きや受信料免除について、ホームページや広報誌等において、より具体的に掲載することは可能であるとしている。
日本放送協会放送受信規約
全部改正 昭和43. 4. 1最終改定 平成31. 4. 1
放送法(昭和25年法律第132号)第64条第1項の規定により締結される放送の受信についての契約は、次の条項によるものとする。
(放送受信契約の種別)
第1条 日本放送協会(以下「NHK」という。)の行なう放送の受信についての契約(以下
「放送受信契約」という。)を分けて、次のとおりとする。
地 x x 約 …… 地上系によるテレビジョン放送のみの受信についての放送受信契約
衛 星 契 約 …… 衛星系および地上系によるテレビジョン放送の受信についての放送受信契約
特 別 契 約 …… 地上系によるテレビジョン放送の自然の地形による難視聴地域(以下「難視聴地域」という。)または列車、電車その他営業用の移動体において、衛星系によるテレビジョン放送のみの受信についての放送受信契約
2 受信機(家庭用受信機、携帯用受信機、自動車用受信機、共同受信用受信機等で、NH Kのテレビジョン放送を受信することのできる受信設備をいう。以下同じ。)のうち、地上 系によるテレビジョン放送のみを受信できるテレビジョン受信機を設置(使用できる状態 におくことをいう。以下同じ。)した者は地上契約、衛星系によるテレビジョン放送を受信 できるテレビジョン受信機を設置した者は衛星契約を締結しなければならない。ただし、 難視聴地域または列車、電車その他営業用の移動体において、衛星系によるテレビジョン 放送のみを受信できるテレビジョン受信機を設置した者は特別契約を締結するものとする。
(放送受信契約の単位)
第2条 放送受信契約は、世帯ごとに行なうものとする。ただし、同一の世帯に属する2以上の住居に設置する受信機については、その受信機を設置する住居ごととする。
2 事業所等住居以外の場所に設置する受信機についての放送受信契約は、前項本文の規定にかかわらず、受信機の設置場所ごとに行なうものとする。
3 第1項に規定する世帯とは、住居および生計をともにする者の集まりまたは独立して住居もしくは生計を維持する単身者をいい、世帯構成員の自家用自動車等営業用以外の移動体については住居の一部とみなす。
4 第2項に規定する受信機の設置場所の単位は、部屋、自動車またはこれらに準ずるものの単位による。
5 同一の世帯に属する1の住居または住居以外の同一の場所に2以上の受信機が設置される場合においては、その数にかかわらず、1の放送受信契約とする。この場合において、種類の異なる2以上のテレビジョン受信機を設置した者は、衛星契約を締結するものとする。
(放送受信契約書の提出)
第3条 受信機を設置した者は、遅滞なく、次の事項を記載した放送受信契約書を放送局(N HKの放送局をいう。以下同じ。)に提出しなければならない。ただし、新規に契約することを要しない場合を除く。
(1) 受信機の設置者の氏名および住所
(2) 受信機の設置の日
(3) 放送受信契約の種別
(4) 受信することのできる放送の種類および受信機の数
(5) 受信機を住所以外の場所に設置した場合はその場所
2 放送受信契約者がテレビジョン受信機を設置しまたはこれを廃止すること等により、放送受信契約の種別を変更するときは、前項各号に掲げる事項のほか、変更前の放送受信契約の種別を記載した放送受信契約書を放送局に提出しなければならない。
3 第1項または第2項の放送受信契約書の提出は、書面に代えて電話、インターネット等の通信手段を利用した所定の方法により行なうことができる。この場合においても、第1項または第2項に規定する事項を届け出るものとする。
4 前項による放送受信契約書の提出があった場合、NHKは、書面の送付等により提出内容を確認するための通知を行なうものとする。
(放送受信契約の成立)
第4条 放送受信契約は、受信機の設置の日に成立するものとする。
2 放送受信契約の種別の変更の日は、その変更にかかる受信機の設置の日、またはその廃止等に伴う前条第2項もしくは第3項の提出があった日(ただし、NHKにおいて提出された放送受信契約書の内容に該当する事実を確認できたときに限る。)とする。
3 NHKは、受信機の廃止等に伴う前条第2項または第3項の放送受信契約書の内容に虚偽があることが判明した場合、その放送受信契約書の提出時に遡り、放送受信契約の種別の変更がされないものとすることができる。
(放送受信料支払いの義務)
第5条 放送受信契約者は、受信機の設置の月から第9条第2項の規定により解約となった月の前月(受信機を設置した月に解約となった放送受信契約者については、当該月とする。)まで、1の放送受信契約につき、その種別および支払区分に従い、次の表に掲げる額の放送受信料(消費税および地方消費税を含む。)を支払わなければならない。
種別 | 支払区分 | 月 額 | 6か月前払額 | 12 か月前払額 |
地上契約 | 口座・クレジット | 1,260 円 | 7,190 円 | 13,990 円 |
継続振込等 | 1,310 円 | 7,475 円 | 14,545 円 | |
衛星契約 | 口座・クレジット | 2,230 円 | 12,730 円 | 24,770 円 |
継続振込等 | 2,280 円 | 13,015 円 | 25,320 円 | |
特別契約 | 口座・クレジット | 985 円 | 5,620 円 | 10,940 円 |
継続振込等 | 1,035 円 | 5,905 円 | 11,490 円 |
この表において「口座・クレジット」とは第6条第3項に定める口座振替またはクレジットカード等継続払をいい、「継続振込等」とは同条同項に定める継続振込または同条第4項に定めるその他の支払方法をいう。
2 特別契約を除く放送受信契約について沖縄県の区域に居住する者の支払うべき放送受信料額(消費税および地方消費税を含む。)は、前項の規定にかかわらず、当分の間、別表1に掲げる額とする。
3 放送受信契約の種別に変更があったときの当該月分の放送受信料は、変更後の契約種別の料額とする。ただし、当該月に2回以上の契約種別の変更があったときの放送受信料は、各変更前および各変更後の契約種別のうち、次の順位で適用した契約種別の料額とする。
(1) 衛星契約
(2) 地上契約
(多数契約一括支払に関する特例(多数一括割引))
第5条の2 衛星契約または特別契約の契約件数の合計が、別に定める放送受信料免除の基準(以下「免除基準」という。)の「全額免除」が適用される放送受信契約を除き、10件以上である1の放送受信契約者が、支払期間を同じくして第6条第3項に定める口座振替もしくは継続振込または第6条第4項に定めるその他の支払方法のうちNHKの指定する方法により一括して放送受信料を支払う場合は、前条第1項および第2項の規定にかかわらず、これらの契約種別である全契約を対象に、支払区分が継続振込等の放送受信料額から、1件あたりその契約種別に応じて次表に定める月額を減じて支払うものとする。
契約種別ごとの契約件数 | 契約種別ごとの全契約を対象に1件あたり減ずる月額 | |
衛星契約 | 特別契約 | |
10件以上 | 300円 | 90円 |
2 前項において、衛星契約または特別契約の契約件数の合計が10件に満たない場合であっても、衛星契約の契約件数が9件である1の放送受信契約者については、衛星契約の契約件数を10件として算定した放送受信料額を支払うものとする。
3 第1項の多数契約一括支払に関する特例を第5条の4に定める同一生計支払に関する特例または第5条の5に定める事業所契約に関する特例と重ねて適用する場合、対象となる放送受信契約者が支払う放送受信料について、支払区分が継続振込等の放送受信料額から、
1件あたりその契約種別に応じて減ずる月額は、本条第1項に定める額に第5条の4または第5条の5に定める減額分を加算したものとする。
4 前項において、衛星契約または特別契約の契約件数の合計が10件に満たない場合であ っても、次の各号のいずれかに該当する1の放送受信契約者については、その衛星契約また は特別契約の契約件数を10件として算定した放送受信料額を支払うものとする。この場合、契約件数が10件に不足する当該不足件数分の衛星契約または特別契約については、前項の 定めによる減額後の放送受信料額を用いるものとする。
(1) 衛星契約の契約件数が8件または9件(沖縄県の区域に居住する放送受信契約者にあっては、7件(12か月前払額である場合に限る。)、8件または9件とする。)であるとき
(2) 特別契約の契約件数が9件であるとき
5 前4項の多数契約一括支払に関する特例は、次条に定める団体一括支払に関する特例と重ねて適用することはしない。
(団体一括支払に関する特例(団体一括割引))
第5条の3 別に定める要件を備えた団体の構成員で、衛星契約または特別契約を締結している放送受信契約者が、免除基準の「全額免除」が適用される者を除いて15名以上まとまり、団体としてその代表者を通じ、第6条第3項に定める口座振替または継続振込により一括して放送受信料を支払う場合は、第5条第1項および第2項の規定にかかわらず、支払区分が継続振込等の放送受信料額から、1件あたり月額200円を減じて支払うものとする。
2 前項の団体一括支払に関する特例を次条に定める同一生計支払に関する特例と重ねて適用する場合、対象となる放送受信契約者が代表者を通じ支払う放送受信料について、支払区分が継続振込等の放送受信料額から、その契約種別に応じて減ずる月額は、前項に定める額に次条に定める減額分を加算したものとする。
3 第1項の団体一括支払に関する特例は、第5条の5に定める事業所契約に関する特例と
重ねて適用することはしない。
(同一生計支払に関する特例(家族割引))
第5条の4 住居に設置した受信機についての放送受信契約を締結している者が、本条の特例を受けることなく放送受信料を支払う場合で、その放送受信契約者またはその者と生計をともにする者が別の住居に設置した受信機について放送受信契約を締結し、当該契約について所定の手続きを行なうときは、当該契約について、放送受信料額から、第5条に定める放送受信料額の半額を減じて支払うものとする。ただし、本条の特例は、いずれの放送受信契約についても第6条第3項に定める支払方法により放送受信料を支払う場合にのみ適用する。
2 NHKは、前項の所定の手続きにあたり、申込書記載の内容を確認できる資料の提出を放送受信契約者に求めることができる。放送受信契約者が要求された資料を提出しない場合、もしくは当該資料によって申込書記載の内容を確認できない場合には、NHKは、前項に定める特例を適用しないことができる。
3 第1項に定める特例を適用された放送受信契約者は、申込書記載の内容に変更が生じたときは、直ちに、その旨を放送局に届け出なければならない。
4 NHKは、申込書記載の内容に虚偽があることまたは前項の届け出がないことが判明した場合、申込書の提出時または申込書記載の内容に変更が生じたと認められる時に遡り、第1項に定める特例を適用しないことができる。
(事業所契約に関する特例(事業所割引))
第5条の5 事業所等住居以外の場所に設置する受信機について放送受信契約を締結する場合において、1の者が、同一敷地内に設置した受信機すべてについて必要な放送受信契約を締結しており、その契約件数が免除基準の「全額免除」が適用される放送受信契約を除き合計2件以上であり、支払期間を同じくして一括して放送受信料を支払う場合は、所定の手続きを行なうことにより、同一敷地内に設置した受信機についての放送受信契約のうち 1 件を除外した残りのそれぞれについて、支払区分が継続振込等の放送受信料額から、その半額を減じて支払うものとする。この場合、除外する1件については、放送受信契約のうち、衛星契約、地上契約、特別契約の順位で適用し、支払区分が継続振込等の放送受信料額を支払うものとする。
2 前項において敷地とは、1の建築物または用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地をいう。
3 NHKは、第1項の所定の手続きにあたり、申込書記載の内容を確認できる資料の提出を放送受信契約者に求めることができる。放送受信契約者が要求された資料を提出しない場合、もしくは当該資料によって申込書記載の内容を確認できない場合には、NHKは、第1項に定める特例を適用しないことができる。
4 第1項に定める特例を適用された放送受信契約者は、申込書記載の内容に変更が生じたときは、直ちに、その旨を放送局に届け出なければならない。
5 NHKは、申込書記載の内容に虚偽があることまたは前項の届け出がないことが判明した場合、申込書の提出時または申込書記載の内容に変更が生じたと認められる時に遡り、第1項に定める特例を適用しないことができる。放送受信契約者が特例の適用された放送受信料を別に定める期限までに支払わない場合は、NHKは、当該請求期間および当該請求期間後の放送受信料に関して第1項に定める特例を適用しないことができる。
(放送受信料の支払方法)
第6条 放送受信料の支払いは、次の各期に、当該期分を一括して行なわなければならない。第1期 (4月および5月)
第2期 (6月および7月)
第3期 (8月および9月)
第4期 (10月および11月)第5期 (12月および1月) 第6期 (2月および3月)
2 放送受信契約者は、前項によるほか、当該期の翌期以降の期分の放送受信料を支払うことができる。ただし、当該期以降6か月分または 12 か月分の放送受信料を一括して前払するときは、期別の支払いによらないことができる。
3 放送受信料は、次に定める口座振替、クレジットカード等継続払または継続振込により支払うものとする。この場合の手数料はNHKが負担する。
(1) 口座振替 NHKの指定する金融機関に設定する預金口座等から、NHKの指定日に自動振替によって行なう支払いをいう。
(2) クレジットカード等継続払 NHKの指定するクレジットカード会社等との契約に基づき、クレジットカード会社等に継続して立て替えさせることによって行なう支払いをいう。
(3) 継続振込 NHKの指定する金融機関、郵便局またはコンビニエンスストア等において、NHKが定期的に送付する払込用紙を用いて、NHKの指定する支払期日までに継続して払込むことによって行なう支払いをいう。
4 前項に定めるほか、放送受信料は、NHKの指定する金融機関等を通じてまたはNHKの指定する場所で支払うことができる。また、重度の障害により継続振込による支払いが困難な者等、別に定める要件を備えた放送受信契約者は、その者の住所またはその者があらかじめ放送局に申し出た場所で支払うことができる。(これらの支払い方法を「その他の支払方法」という。)
5 放送受信契約者が口座振替により放送受信料を支払おうとする場合は、NHKが定める放送受信料口座振替利用届をあらかじめNHKに提出しなければならない。
6 口座振替による支払いは、前項または第11項に定める放送受信料口座振替利用届をN HKが受け付けた月の属する期の翌期以降の期分(放送受信料が前払されている場合においては、当該前払の期間が終了する月の翌月以降分)の放送受信料について取り扱うものとする。
7 口座振替の指定日において、所定の放送受信料額を請求したにもかかわらず振り替えることができなかったとき(次項の場合を除く。)は、放送受信契約者は、当該請求期間分は支払区分が継続振込等の放送受信料額をその他の支払方法により支払わねばならず、当該請求期間後の放送受信料については支払区分が継続振込等の放送受信料額を継続振込により支払うものとする。
8 口座振替の指定日において、残高の不足により所定の放送受信料額を振り替えることができなかった場合は、次の期の指定日に一括して請求するものとし、なお振り替えることができなかったときは、放送受信契約者は、当該請求期間分について、支払区分が継続振込等の放送受信料額をその他の支払方法により支払わなければならない。当該請求期間後の放送受信料については、別に定める場合を除き、口座振替による支払いを継続する。
9 放送受信料を継続振込により支払う放送受信契約者は、金融機関、郵便局またはコンビニエンスストア等において払込む方法に代えて、クレジットカード会社等に立て替えさせることによって支払うことができる。
10 放送受信契約者がクレジットカード等継続払により放送受信料を支払おうとする場合は、NHKが定める放送受信料クレジットカード等継続払利用申込書をあらかじめNHKに提出しなければならない。NHKは、その放送受信料クレジットカード等継続払利用申込書に記載された内容により立替払いが可能であることをクレジットカード会社等に確認した上で受理する。
11 第5項の放送受信料口座振替利用届および前項の放送受信料クレジットカード等継続払利用申込書の提出は、書面に代えて電話、インターネット等の通信手段を利用した所定
の方法により行なうことができる。
12 クレジットカード等継続払による支払いは、第10項または前項に定める放送受信料クレジットカード等継続払利用申込書をNHKが受理した月の属する期の翌期以降の期分
(放送受信料が前払されている場合においては、当該前払の期間が終了する月の翌月以降分)の放送受信料について取り扱うものとする。
13 NHKがクレジットカード会社等に所定の放送受信料額を請求したにもかかわらず立替払いが行なわれなかったとき、または、NHKが所定の放送受信料額を請求する前に、クレジットカード会社等から放送受信料を請求されても立替払いができないと通知を受けたときは、放送受信契約者は、当該請求期間分は支払区分が継続振込等の放送受信料額をその他の支払方法により支払わなければならず、当該請求期間後の放送受信料については支払区分が継続振込等の放送受信料額を継続振込により支払うものとする。
(メッセージの表示)
第7条 NHKは、受信機(衛星系によるテレビジョン放送を受信できるものに限る。以下この条において同じ。)を設置した者にその設置の旨をNHKに連絡するよう促す文字(以下
「設置確認メッセージ」という。)を当該受信機の画面に表示する措置をとることができる。
2 NHKは、受信機を設置した者から以下の各号に掲げる事項の連絡を受けた場合には、当該受信機の画面に設置確認メッセージを表示しない措置をとるものとする。
(1) 受信機の設置者の氏名および住所
(2) 受信機の画面にB-CASカード番号またはACAS番号として表示される識別番号
(以下「ID番号」という。)
(3) 受信機を第1号の住所以外の場所に設置した場合はその場所
3 前項の規定にかかわらず、以下の各号のいずれかに掲げる理由により、NHKにおいて前項各号に掲げる事項の1に該当する事実を確認できない場合には、NHKは第1項の措置をとることができるものとする。
(1) 前項の連絡を受けた事項の内容が事実に相違すること
(2) 前項の連絡の後、前項第2号のID番号を変更したこと
(3) 前項の連絡の後、放送受信契約を締結するまでの間において、同項第1号の住所または同項第3号の場所に変更が生じたこと
4 第1項および前項の措置は、第3条第1項ただし書に規定する場合および放送受信契約が解約となった者が再び受信機を設置した場合についても、とることができるものとする。
5 NHKは、第2項の措置をとった受信機を設置した者が、この規約に定める放送受信契約を締結しない場合には、放送受信契約の締結を案内する文字(以下「契約案内メッセージ」という。)を当該受信機の画面に表示する措置をとることができる。
6 NHKは、前項の措置をとった受信機を設置した者が、この規約に定める放送受信契約を締結した場合には、契約案内メッセージを表示しない措置をとるものとする。
(氏名、住所等の変更)
第8条 放送受信契約者が放送局に届け出た氏名または住所を変更したときは、直ちに、その旨を放送局に届け出なければならない。受信機設置の場所を変更したときも、同様とする。
2 前項の届け出が行なわれない場合において、NHKが公共機関への調査等により放送受信契約者が放送局に届け出た住所等の変更を確認できたときは、NHKは、当該放送受信契約者が変更後の住所等を放送局に届け出たものとして取り扱うことができるものとする。この取り扱いをした場合、NHKは、当該放送受信契約者にその旨を通知するものとする。
(放送受信契約の解約)
第9条 放送受信契約者が受信機を廃止すること等により、放送受信契約を要しないことと
なったときは、直ちに、次の事項を放送局に届け出なければならない。
(1) 放送受信契約者の氏名および住所
(2) 放送受信契約を要しないこととなる受信機の数
(3) 受信機を住所以外の場所に設置していた場合はその場所
(4) 放送受信契約を要しないこととなった事由
2 NHKにおいて前項各号に掲げる事項に該当する事実を確認できたときは、放送受信契約は、前項の届け出があった日に解約されたものとする。ただし、放送受信契約者が非常災害により前項の届け出をすることができなかったものと認めるときは、当該非常災害の発生の日に解約されたものとすることがある。
3 NHKは、第1項の届け出の内容に虚偽があることが判明した場合、届け出時に遡り、放送受信契約は解約されないものとすることができる。
(放送受信料の免除)
第10条 放送法第64条第2項の規定に基づき、免除基準に該当する放送受信契約については、申請により、放送受信料を免除する。ただし、災害被災者の放送受信契約については、申請がなくても、期間を定めて免除することがある。
2 前項本文による免除の申請をしようとする者は、免除を受けようとする理由、放送受信契約の種別ならびにテレビジョン受信機の数およびその設置の場所を記載した放送受信料免除の申請書に、理由の証明書および受信機の設置見取図を添えて、放送局に提出しなければならない。
3 第1項本文により、放送受信料の免除を受けている者は、免除の事由が消滅したときは、遅滞なく、その旨を放送局に届け出なければならない。
4 NHKは、免除基準に定めるところにより、定期的に、第2項に定める免除を受けようとする理由の証明書を発行する者への照会等により、第1項本文により放送受信料の免除を受けている者にかかる免除の事由が存続していることを調査するものとする。
5 NHKは、免除の事由が存続していることを確認するため、第1項本文により放送受信料の免除を受けている者に対し、免除の理由の証明書の提出を求めることができる。
6 NHKは、第4項または前項によっても免除の事由が存続していることを確認できない場合、その者の放送受信契約については、放送受信料を免除しないものとする。
(放送受信料の精算)
第11条 放送受信契約が解約となり、または放送受信料が免除された場合において、すでに支払われた放送受信料に過払額があるときは、これを返れいする。この場合、第5条第
1項または第2項に定める前払額による支払者に対し返れいする過払額は、次のとおりとする。
(1) 経過期間が6か月に満たない場合には、支払額から経過期間に対する放送受信料額を差し引いた残額
(2) 経過期間が6か月以上である場合には、支払額から経過期間に対し支払うべき額につき、第5条第1項または第2項に定める前払額により支払ったものとみなして算出した額を差し引いた残額
2 放送受信契約の種別、前条の適用または第5条の2から第5条の5までの特例の適用に変更があった場合において、すでに支払われた放送受信料に過払額または不足額があるときは、精算して、返れいしまたは追徴する。
3 放送受信料が支払われた期間の放送受信料について、その料額の改定があったときは、改定額により精算して、返れいしまたは追徴する。
4 本条第1項から第3項までの返れいについて、NHKは、その額を翌期以降の期分の放送受信料(第5条第1項または第2項に定める前払額による支払者については、次回以降の前払期間分の放送受信料)の支払いに充当することができる。
(放送受信契約者の義務違反)
第12条 放送受信契約者が次の各号の1に該当するときは、所定の放送受信料を支払うほか、その2倍に相当する額を割増金として支払わなければならない。
(1) 放送受信料の支払いについて不正があったとき
(2) 放送受信料の免除の事由が消滅したにもかかわらず、その届け出をしなかったとき
(支払いの延滞)
第12条の2 放送受信契約者が放送受信料の支払いを3期分以上延滞したときは、所定の放送受信料を支払うほか、1期あたり 2.0%の割合で計算した延滞利息を支払わなくてはならない。
(NHKの免責事項および責任事項)
第13条 放送の受信について事故を生じた場合があっても、NHKは、その責任を負わない。
2 地上系によるテレビジョン放送を月のうち半分以上行なうことがなかった場合は、特別契約を除く放送受信契約について当該月分の放送受信料は徴収しない。
3 衛星系によるテレビジョン放送を月のうち半分以上行なうことがなかった場合の当該月分の放送受信料は、衛星契約のときは地上契約の料額とし、特別契約については、当該月分の放送受信料は徴収しない。
(放送受信者等の個人情報の取り扱い)
第13条の2 NHKは、放送受信契約の事務に関し保有する放送受信者等(放送受信者等の個人情報保護に関するガイドライン(平成 29 年4月 27 日総務省告示第 159 号。以下「ガイドライン」という。)第3条第2号に規定する放送受信者等をいう。)の氏名および住所等の情報(以下「個人情報」という。)については、個人情報の保護に関する法律(平成 15
年法律第 57 号)、個人情報の保護に関する基本方針(平成 16 年4月2日閣議決定)およびガイドラインに基づくほか、別に定めるNHK個人情報保護方針およびNHK個人情報保護規程に基づき、これを適正に取り扱うとともに、その取り扱いの全部または一部の委託先に対し、必要かつ適切な監督を行なう。
2 前項の個人情報の取り扱いについては、放送受信契約の締結と放送受信料の収納のほか、免除基準の適用、放送の受信に関する相談業務、NHK共同受信施設の維持運営、放送やイベントのお知らせ、放送に関する調査への協力依頼をその利用の目的とする。
(規約の変更)
第14条 この規約は、総務大臣の認可を受けて変更することがある。
(規約の周知方法)
第15条 この規約およびこの規約の変更は、官報によって周知する。
x x
(施行期日)
1 この規約は、平成31年4月1日から施行する。
(アナログ放送の終了に関する措置)
2 第9条の規定にかかわらず、放送受信契約者がNHKのテレビジョン放送のうちアナロ
グ方式の放送(以下「アナログ放送」という。)の終了に伴い、NHKのテレビジョン放送を受信することができなくなり、第1条第2項に定める受信機の設置がないこととなったときは、アナログ放送の終了日(以下「アナログ放送終了日」という。)から1年以内に、次の事項を放送局に届け出なければならない。
(1) 放送受信契約者の氏名および住所
(2) 設置がないこととなった受信機の数
(3) 受信機を住所以外の場所に設置していた場合はその場所
(4) NHKのテレビジョン放送のうちデジタル方式の放送を受信することができない事情
3 NHKにおいて前項各号に掲げる事項に該当する事実を確認できたときは、放送受信契約は、アナログ放送終了日に終了したものとする。
4 NHKは、付則第2項の届け出の内容に虚偽があることが判明した場合、アナログ放送終了日に遡り、放送受信契約が終了しないものとすることができる。
5 付則第3項の規定により放送受信契約が終了した放送受信契約者における第5条第1項の適用については、同項中「第9条第2項の規定により解約となった月」とあるのは「アナログ放送終了日の属する月」と、「受信機を設置した月に解約となった」とあるのは「受信機を設置した月にアナログ放送終了により放送受信契約が終了した」とし、付則第3項の規定により放送受信契約が終了した場合における放送受信料の精算については、第11条第1項を準用する。この場合において、「解約」とあるのは「終了」と読み替えるものとする。
6 第3条第2項の規定にかかわらず、衛星契約を締結している放送受信契約者が、アナログ放送終了により、地上系によるテレビジョン放送のみを受信できることとなったときは、アナログ放送終了日から1年以内に、次の事項を記載した放送受信契約書を放送局に提出しなければならない。
(1) 放送受信契約者の氏名および住所
(2) 変更にかかる受信機の数
(3) 受信機を住所以外の場所に設置していた場合はその場所
(4) 受信できる放送の種類に変更が生じた事由
7 付則第3項および第4項の定めは、前項の規定による放送受信契約種別変更の場合について準用する。この場合において、「前項各号」とあるのは「付則第6項各号」と、「終了し」とあるのは「衛星契約から地上契約に種別変更され」と、「付則第2項の届け出」とあるのは「付則第6項の提出」と読み替えるものとする。
別表1 沖縄県の区域内に居住する者の支払うべき放送受信料額(第5条第2項関係)
種別 | 支払区分 | 月 額 | 6か月前払額 | 12 か月前払額 |
地上契約 | 口座・クレジット | 1,105 円 | 6,300 円 | 12,255 円 |
継続振込等 | 1,155 円 | 6,585 円 | 12,810 円 | |
衛星契約 | 口座・クレジット | 2,075 円 | 11,840 円 | 23,030 円 |
継続振込等 | 2,125 円 | 12,125 円 | 23,585 円 |
平成31年2月1日から施行
日本放送協会放送受信料免除基準
日本放送協会放送受信規約における放送受信料免除の基準(以下「基準」という。)は、次のとおりとする。
1 全額免除
(社会福祉施設等)
(1) 別表1に掲げる社会福祉施設等において、入所者または利用者の専用に供するため、その管理者が受信機を設置して締結する放送受信契約
(学 校)
(2) 別表2に掲げる学校において、児童、生徒または幼児の専用に供するため、その管理者が受信機を設置して締結する放送受信契約
(公的扶助受給者)
(3) 生活保護法(昭和25 年法律第144 号)に規定する扶助、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律(平成20 年法律第82 号)に規定する入所者に対する療養もしくは親族に対する援護、または中国残留xx等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留xx等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成 6 年法律第 30 号)に規定する支援給付を受けている者が受信機を設置して締結する放送受信契約
(市町村民税非課税の障害者)
(4) 別表3に掲げる障害者を構成員とする世帯で、その構成員の全員が市町村民税(特別区民税を含む。)非課税の措置を受けている場合、当該世帯の構成員のいずれかの者がその住居に受信機を設置して締結する放送受信契約
(社会福祉施設等入所者)
(5) 社会福祉法(昭和 26 年法律第 45 号)に規定する社会福祉事業を行なう施設または事業所の入所者が、その施設内の住居に受信機を設置して締結する放送受信契約
(奨学金受給対象等の別住居の学生)
(6) 学校教育法(昭和 22 年法律第 26 号)第1条に規定する学校、第124条に規定する専修学校または第134条に規定する各種学校(修業年限が1年以上あるものに限る。)(別表4において「学校等」と総称する。)に在学する別表4に掲げる学生が生計をともにする者の住居とは別の住居に受信機を設置して締結する放送受信契約。なお、当該学生について、生計をともにする者がいない場合は、当該学生が住居に受信機を設置して締結する放送受信契約も含む。
(災害被災者)
(7) 災害救助法(昭和22 年法律第118 号)による救助が行われた区域内において、当該救助に係る災害により半壊、半焼又は床上浸水以上の程度の被害を受けた建物に受信機を設置して締結さ
れている放送受信契約。この場合において、免除の期間は、当該救助の期間の初日の属する月およびその翌月の2か月間とする。
(8) (7)によるもののほか、非常災害があった場合において、免除すべき放送受信契約の範囲および免除の期間につき、あらかじめ総務大臣の承認を受けたもの
2 半 額 免 除
(視覚、聴覚障害者)
(1) 身体障害者福祉法(昭和24 年法律第283 号)に規定する身体障害者手帳を所持する視覚障害者または聴覚障害者で住民基本台帳法(昭和42 年法律第81 号)にいう世帯主である者がその住居に受信機を設置して締結する放送受信契約
(重度の障害者)
(2) 別表5に掲げる重度の障害者((1)に該当する者を除く。)で、住民基本台帳法にいう世帯主である者がその住居に受信機を設置して締結する放送受信契約
(重度の戦傷病者)
(3) 戦傷病者特別援護法(昭和38 年法律第168 号)に規定する戦傷病者手帳を所持する者のうち、障害の程度が恩給法(大正12 年法律第48 号)に規定する特別項症から第1款症に相当する重度の戦傷病者で住民基本台帳法にいう世帯主である者がその住居に受信機を設置して締結する放送受信契約
3 免除事由の調査
日本放送協会放送受信規約第10条第4項の調査は、基準第1項(3)および(4)による免除については1年ごと、基準第1項(1)、(2)および(5)ならびに基準第2項による免除については2年ごとに行なうものとする。
基準第1項(6)による免除については、日本放送協会放送受信規約第10条第5項の調査によることとし、学生の修業年限の最終年度に行なうものとする。
x x
(施行期日)
1 この基準は、平成31年2月1日から施行する。
(経過措置)
2 平成20年9月30日に、その日まで施行された基準第1項(4)により放送受信料が免除されている放送受信契約で、この基準第1項(4)によれば放送受信料の免除を受けられないものは、当分の間、なお従前の例による。
別表1
社会福祉施設等 | 社会福祉法に規定する社会福祉事業を行なう施設もしくは事業所または更生保護事業法(平成7 年法律第86 号)に規定する更生保護事業を行なう施設もしくは事業所 |
(注)社会福祉法第2 条第4 項第4 号に規定する事業のうち、生活保護法または児童福祉法(昭和22 年法律第164 号)に規定する事業を行なう施設もしくは事業所については、上記に含める。
別表2
学 校 | 学校教育法に規定する学校のうち、小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校(前期課程に係るものに限る。)、特別支援学校および幼稚園 |
別表3
障 害 者 | (身体障害者) 1 身体障害者福祉法に規定する身体障害者手帳を所持する身体障害者 (知的障害者) 2 所得税法(昭和40 年法律第33 号)または地方税法(昭和25 年法律第226 号)に規定する障害者のうち、児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センターまたは精神保健指定医により知的障害者と判定された者 (精神障害者) 3 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25 年法律第123 号)に規定する精神障害者保健福祉手帳を所持する精神障害者 |
別表4
学 生 | (奨学金受給対象の学生) 1 独立行政法人日本学生支援機構、地方公共団体、基準第1項(6)に規定する在学先の学校等および教育の機会均等に寄与するための奨学金事業を実施することを目的とする公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18 年法律第49 号)に基づく公益法人が設ける奨学金制度のうち、経済的理由の選考基準がある奨学金制度の奨学金を受給している学生 2 別に定めるところにより、経済的理由の選考基準があり、1の奨学金制度と趣旨目的が一致するとNHKが認める奨学金制度の奨学金を受給している学生 (授業料免除対象の学生) 3 基準第1項(6)に規定する在学先の学校等が設ける授業料免除制度のうち、経済的理由の選考基準がある授業料免除制度の適用を受けている学生 (市町村民税非課税世帯の学生) 4 世帯の構成員の全員が市町村民税(特別区民税を含む。)非課税の措置を受けている場合で、当該世帯の構成員と生計をともにする学生 (公的扶助受給世帯の学生) 5 世帯が基準第1項(3)に規定する公的扶助を受けている場合で、当該世帯の構成員と生計をともにする学生 |
(注)本表における「学生」とは、学校教育法上の学生または生徒を意味するが、聴講生、科目等履修生は含まない。
別表5
重度の障害者 | (重度の身体障害者) 1 身体障害者福祉法に規定する身体障害者手帳を所持する者のうち、障害等級が1級または2級である重度の身体障害者 (重度の知的障害者) 2 所得税法または地方税法に規定する特別障害者のうち、児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センターまたは精神保健指定医により重度の知的障害者と判定された者 (重度の精神障害者) 3 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する精神障害者保健福祉手帳を所持する者のうち、障害等級が 1級である重度の精神障害者 |
参考資料 3
関連データ等関連データ等
① 人口の推移
人口の推移は、国土交通省の「国土の長期展望」中間とりまとめ概要(平成 23 年 2 月)によれば、表のとおり、総人口は、2005 年を境に 2050 年に向かって一貫して減少傾向となるとしている。
区分 | 2005 年時点 | 2050 年時点 |
若年(0~14 歳)人口 | 1,759 万人 (13.8%) | 821 万人 (8.6%) |
生産年齢(15~64 歳)人口 | 8,442 万人 (66.1%) | 4,930 万人 (51.8%) |
高齢(65 歳以上)人口 | 2,576 万人 (20.2%) | 3,764 万人 (39.6%) |
総人口 | 12,777 万人 (100.1%) | 9,515 万人 (100.0%) |
ただし、65 歳以上の高齢人口は増加するとされている。表 人口の推移
(注)国土の長期展望中間とりまとめ概要(平成 23 年 2 月)(国土交通省)に基づき当局が作成した(数値は端数処理のため 100%にならない場合がある。)
② 世帯類型の推移
世帯類型の推移は、国土交通省の「国土の長期展望」中間とりまとめ概要
(平成 23 年 2 月)によれば、表のとおり、2005 年を境に 2050 年に向かって
ⅰ)高齢者単独世帯は増加傾向に、ⅱ)その他単独世帯は一旦増加した後に減少傾向になるとしている。
表 世帯類型の推移
区分 | 2005 年時点 | 2025 年時点 | 2050 年時点 |
高齢者単独世帯 | 386 万世帯 (7.9%) | 673 万世帯 (13.5%) | 982 万世帯 (23.3%) |
その他単独世帯 | 1,059 万世帯 (21.6%) | 1,119 万世帯 (22.5%) | 805 万世帯 (19.1%) |
夫婦のみ世帯 | 964 万世帯 (19.6%) | 976 万世帯 (19.6%) | 779 万世帯 (18.5%) |
夫婦と子の世帯 | 1,465 万世帯 (29.9%) | 1,152 万世帯 (23.1%) | 745 万世帯 (17.7%) |
ひとり親と子の世帯 | 411 万世帯 (8.4%) | 507 万世帯 (10.2%) | 440 万世帯 (10.5%) |
その他世帯 | 621 万世帯 (12.7%) | 556 万世帯 (11.2%) | 455 万世帯 (10.8%) |
総世帯 | 4,906 万世帯 (100.1%) | 4,983 万世帯 (100.1%) | 4,206 万世帯 (99.9%) |
(注)国土の長期展望中間とりまとめ概要(平成 23 年 2 月)(国土交通省)に基づき当局が作成した(数値は端数処理のため 100%にならない場合がある。)。
③ 空き家数及び空き家割合の推移
空き家数及び空き家割合は、総務省統計局の「住宅・土地統計調査」によれば、下表のとおり、2003 以降、2018 年まで一貫して増加傾向にある。
空き家数は、2018 年時点で 846 万戸となっており、2003 年時点の 659 万戸の約 1.3 倍となっている。
表 空き家数及び空き家割合の推移
区分 | 2003 年時点 (平成 15 年) | 2013 年時点 (平成 25 年) | 2018 年時点 (平成 30 年) |
空き家数 | 659 万戸 | 820 万世帯 | 846 万世帯 |
空き家割合 | 12.2% | 13.5% | 13.6% |
(注)「住宅・土地統計調査」(平成 30 年 10 月 1 日現在)(総務省統計局)に基づき当局が作成した。
空き家割合とは、総住宅数に占める割合である。
④ 空き家の種類別割合の推移
空き家の種類別割合は、総務省統計局の「住宅・土地統計調査」によれ
ば、下表のとおり、2003 以降、2018 年まで「その他の住宅」の空き家の割合が一貫して増加傾向にあり、「その他の住宅」以外の割合は低下傾向にある。なお、「その他の住宅」とは、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長
期に渡って不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅のほか空き家の区分の判断が困難な住宅などを含む。
表 空き家の種類別割合の推移
区分 | 2003 年時点 (平成 15 年) | 2013 年時点 (平成 25 年) | 2018 年時点 (平成 30 年) |
賃貸用の住宅 | 55.7% | 52.4% | 50.9% |
売却用の住宅 | 4.6% | 3.8% | 3.5% |
二次的住宅(別荘等) | 7.6% | 5.0% | 4.5% |
その他の住宅 | 32.1% | 38.8% | 41.1% |
合計 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
(注)「住宅・土地統計調査」(平成 30 年 10 月 1 日現在)(総務省統計局)に基づき当局が作成した。
金融機関におけるxx被後見人の本人確認書類の統一
1 相談内容
私はxx後見人(以下「後見人」という。)として後見事務を行っているが、xx被後見人(以下「被後見人」という。)の預金の引出し等口座の管理を行う場合、金融機関から被後見人の口座に「後見の設定」を行うことを求められる。
新規で口座を開設する場合、被後見人の本人確認書類として、運転免許証や健康保険被保険者証(以下「健康保険証」という。)などの提示を求められることがあるが、金融機関へ提出したxx後見に係る登記事項証明書(以下「登記事項証明書」という。)には、被後見人の住所、氏名、生年月日等が記載されているため、当該登記事項証明書でも被後見人の本人確認はできると思われる。他方、登記事項証明書のみでも手続ができる金融機関もある。
また、既存口座に後見の設定を行う場合、登記事項証明書のみで届出ができることもあるが、その他の本人確認書類の提示を求められる場合がある等、本人確認書類の取扱いが金融機関によって区々となっているのではないかと思われる。
後見の設定に当たって、登記事項証明書のみで被後見人の本人確認ができるよ う、取扱いを統一してほしい。
(注)本件は、行政相談委員法(昭和 41 年法律第 99 号)第 4 条に基づき、センターの行政相談委員から総務大臣に提出された意見である。
2 制度概要
⑴ 後見開始の概要
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、家庭裁判所は、本人、配偶者、検察官等の請求により、後見開始の審判をすることができる(民法(明治 29 年法律第 89 号)第 7 条)。
また、後見登記等に関する法律(平成 11 年法律第 152 号。以下「後見登記法」という。)に基づいて、家庭裁判所からの嘱託により、東京法務局において、後見の登記がされる。後見の開始後は、被後見人の住所や氏名、後見人の住所や氏名等を変更した場合は変更登記を、被後見人が死亡した場合は終了登記を、それぞれ行う必要がある。
また、後見人は、選任後 1 か月以内に被後見人の財産目録及び年間収支予定表
を作成し、家庭裁判所に対して提出しなければならない(民法第 853 条及び第
861 条)。財産目録の提出に当たって、記載されている金融機関の通帳の写し等
を添えて提出することとなっており、当該提出後、原則年 1 回定められた報告時期に、後見等事務報告書と財産目録等を提出することとなっている(xx後見人・保佐人・補助人ハンドブック(東京家庭裁判所後見センター))。
〇 xx後見制度の利用状況等
xx後見制度の利用者数は増加しており、平成 30 年 12 月末時点におけるxx後見の利用者数は 169,583 人で、前年に比べて約 2.6%の増加となっている(図
1)。また、被後見人の認容件数も増加しており(図2)、今後も一定の利用が見込まれる。
(注)1 当該グラフは、「xx後見関係事件の概況(最高裁判所事務総局家庭局)」に基づき当省が作成した。
2 各年の数値は、各年 12 月末時点における利用者数である。
3 「総数」は、現にxx後見人、保佐人及び補助人(以下、「xx後見人等」とい う。)による支援を受けている被後見人、被保佐人及び被補助人並びに現に任意後見契約が生じている本人の合計である。
(注)1 当該グラフは、「xx後見関係事件の概況(最高裁判所事務総局家庭局)」に基づき当省が作成した。
2 各年の数値は、1 月から 12 月までに認容で終局した件数である。
3 「合計」は、認容で終局した件数のうち、後見開始、保佐開始及び補助開始の合計である。
xx後見人等と本人との関係別の割合の推移をみると、弁護士等を含む「親族以外」の割合は年々増加している。平成 30 年における「親族以外」の割合は 76.8%となっており、「親族」の約 3 倍となっている(図3)。
(注)1 当該グラフは、「xx後見関係事件の概況(最高裁判所事務総局家庭局)」に基づき当省が作成した。
2 当該割合における母数は、認容で終局した後見開始、保佐開始及び補助開始の事件におけるxx後見人等について、本人との関係別に合計したものであり、xx後見人等が複数選任される場合があるため、図2の「総数」とは異なる。
⑵ 後見の登記の概要
後見の登記は、後見登記法第 4 条に規定された登記事項(被後見人の氏名、住所、生年月日等、後見人の氏名、住所等)を後見登記等ファイルに記録することによって行う。また、登記記録に記載されている者等(後見人を含む。)は、登記官に対し、当該ファイルに記録されている事項を証明した登記事項証明書を請求することができる(同法第 10 条)(参考資料1参照)。
なお、平成 30 年におけるxx後見に係る登記事項証明書の交付件数は、約 154
xxとなっている(登記統計(法務省))。
⑶ 金融機関における後見の設定
後見人は、被後見人の財産を管理するために、金融機関等に「後見の設定」を 届け出ることとなっているが、当該届出は法令によって定められたものではない。
当該届出について、一般社団法人全国銀行協会(以下「全銀協」という。)は、
「民法第 121 条の規定に基づく被後見人に対する払戻しを未然に防止するため、後見人から後見が開始されたことを銀行に届け出てもらうこととしている」としている。
なお、金融庁及び全銀協において、銀行口座における後見の設定に係るデータは把握しておらず、後見の届出がされている口座数等は把握していない。
(参考)民法第 121 条「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。」
⑷ 犯罪収益移転防止法における本人確認書類
マネー・ローンダリング等犯罪による収益の移転の防止を図り、経済活動の健全な発展に寄与することを目的として制定された犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成 19 年法律第 22 号。以下「犯収法」という。平成 26 年改正犯
収法は、平成 28 年 10 月 1 日に施行。)及び犯罪による収益の移転防止に関する
法律施行令(平成 20 年政令第 20 号。以下「犯収法施行令」という。)において、銀行等の金融機関は、顧客との間で預貯金契約(預金又は貯金の受入れを内容とする契約)の締結等の際に、本人特定事項の確認(以下「本人確認」という。)を行わなければならない旨を規定しており、犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(平成 20 年内閣府等令第 1 号。以下「犯収法施行規則」という。)において、顧客及び現に取引の任に当たっている者(以下「顧客等」という。)の本人確認方法及び本人確認書類について規定している。
顧客等の本人確認方法については、官公庁から発行・発給された写真が貼付された証明書(運転免許証等)は 1 枚のみの提示で足りるが、写真が貼付されていない証明書(健康保険証等)を提示する場合は、預金通帳等の取引関係文書を書留郵便等により転送不要郵便物等として当該証明書に記載されている当該顧客の住居に宛てて送付する、又は、証明書をもう 1 枚提示することとされている
(参考資料2参照)。
登記事項証明書は、犯収法施行規則第 7 条第 1 項第 1 号ホ「官公庁から発行・発給された書類等で自然人の氏名、住居及び生年月日の記載があり、本人の写真が貼付されていないもの」にあたるため、登記事項証明書の提示のみでは、本人確認方法としては認められていない。
なお、犯収法施行令における本人確認を行わなければならないとされる取引業務のうち、既に開設されている口座に後見の設定を行う場合の規定はない。
⑸ 被後見人宛て郵便の転送
施設に入所している等の被後見人宛ての郵便物は、郵便局へ転居届を提出することにより、自宅から入所施設等へ転送されることとなる(ただし、「転送不要」とされる郵便物は転送されない。)。
また、平成 28 年 10 月の民法改正により、家庭裁判所は、後見人が後見事務を行うに当たって必要があると認めるときは、後見人の請求により、被後見人宛ての郵便物等を、期間を定めて、被後見人宛ての郵便物等を後見人に配達すべき旨を嘱託することができる(民法第 860 条の 2)(これにより、転送不要郵便も後見人に転送できる。)。
3 調査結果
⑴ 銀行等における本人確認書類の取扱状況(15 行の調査結果)
① 新規口座開設に当たって求められる本人確認書類 a 登記事項証明書と他の身分証明書 8 行
b 登記事項証明書と転送不要郵便送付(他の身分証明書不要) 3 行
(a) 被後見人宛てに送付 1 行
(b) 後見人宛てに送付 2 行
c 登記事項証明書のみ(他の身分証明書不要) 2 行
d 登記事項証明書以外に身分証明書(写真有 1 枚又は無 2 枚) 1 行 e 登記事項証明書以外に身分証明書及び転送不要郵便送付 1 行
(注)波線は、犯収法に定める取扱いと異なる。二重線は、同法に定める取扱いより厳格に確認を行っている。
② 既存口座に後見の設定を行う際に求められる本人確認書類 a 登記事項証明書のみ(他の身分証明書不要) 11 行
b 過去に本人確認を行っていない場合のみ新規と同様に実施 3 行 c 新規と同様に実施 1 行
(注)二重線は、犯収法に定める取扱いより厳格に確認を行っている。
③ 金融機関の意見
金融機関 | 取扱い状況注 | 意見 |
A 銀行 | 新:①a既:②b | 後見人は、被後見人の代理権を有していることから、被後見人に係る本人特定事項の確認書類については登記事項証明書のみに簡素化しても、特段の支障はない ものと思われる。 |
B 銀行 | 新:①a既:②c | 後見人が、登記事項証明書以外の本人確認書類を所持していない場合、その場で新規口座の開設手続ができないこともあるので、本委員意見のように登記事項証明書のみの提示により本人確認を行えるようになれば、後見人に二度手間を掛けずに済むことになりあり がたい。 |
C 銀行 (D 店) | 新:①b(b)既:②a | 後見開始前に口座があり、当該口座に後見の設定をする場合は、登記事項証明書に記載された被後見人の氏名、住所、生年月日等を既に保有している口座名義人の情報と照合することで、本人であるかどうかを確認するが、不一致の情報があれば、被後見人に係る他の本 人確認書類の提示を求めることはある。 |
C 銀行 (E 店) | 新:①a既:②b | 既存の口座については、平成 15 年以前に開設された口座の場合、金融機関等本人確認法(いわば犯収法の前身)による本人確認がされていないため、新規と同様の本人確認資料を求めることとしており、同年以降に開設された口座についても、可能な限り本人確認書類を 求めることとしている。 |
F 銀行 | 新:①c既:②a | 新規で口座開設する場合、既存口座の場合のいずれも、登記事項証明書以外、被後見人の本人確認書類を求 めることを内規では定めていない。 |
(注) 「取扱い状況」欄は、新規口座開設時及び既存口座に後見設定時における本人確認方法として、上記3(1)の各項目に対応していることを示す。
⑵ 全銀協による会員銀行への周知
全銀協では、平成 23 年に、同協会の会員銀行に対して、次のとおり周知している。
〇 登記事項証明書により被後見人の本人確認を行う方法が考えられるが、犯収法関係法令上、かかる場合には被後見人等の住所宛に取引書類を転送不要かつ簡易書留郵便等で郵送する必要がある。
通帳等を後見人等に送付するよう申出がされた場合、事情を聞いた上、特段問題がないのであれば、そのように対応することも考えられる。
⑶ 銀行口座に後見の設定を行う際の対応に係る金融庁から金融機関への周知
金融庁は、平成 28 年 4 月 26 日付け金監第 1112 号「xx後見制度に係る利便向上に向けた取組について」において、全銀協に対して、今後、xx後見制度の利用者増加が見込まれることから、傘下金融機関に対して過去に周知した内容について、改めて周知すること等を通知している。
なお、金融庁は、その後に全銀協、金融機関等に向けた通知は行っていない。
⑷ 規制改革ホットライン(内閣府)における被後見人の本人確認方法に係る警察庁の回答
一般社団法人全国地方銀行協会(以下「地銀協」という。)は、規制改革ホットラインに平成 26 年、29 年及び 30 年に本件に係る要望を出しており、警察庁は、次のとおり回答している(参考資料3参照)。
地銀協要望 | 警察庁回答 | |
26 | 後見人を、犯収法施行規則第 4 条 第 1 項第 13 号ロに規定する「(破産管財人又は)これに準ずる者」に該当する者にあたり、犯収法施行規則第 7 条第 1 項に規定する「簡素な顧客管理を行うことが許容される取引」として本人確認は不要とすることはできないか。 | 後見人は、破産管財人や特別清算人に比して裁判所の監督が限定的であるため、簡素な顧客管理を行うことが許容される取引を行う者として規定される犯収法施行規則第 4 条第 1 項第 13 号ロの「(破産管財人又は)これに準ずる者」に当たらない。 |
29 30 | 家庭裁判所が代理権を付与することが適当だと認めた者が後見人等に選定されているため、郵送による追加の本人確認は不要 | ・ 特定事業者に対し、特定取引を行うに際し特定取引(預貯金の契約時)とは別の時点で行われた後見人等の選任手続をもって、取引時確認に代えることはできない。 ・ 家庭裁判所による後見人等の選任手続は、法令上の定めはなく、家庭裁判所の運用に任されているものである。 ・ 登記事項証明書は一を限り発行又は発給された本人確認書類ではなく、代理人(後見人)からの提示のみでは証明力が不足すること、かつ、後見人等が被後見人の名前を利用して取引を行おうとする場合が想定し得ることから、顧客等の住所に宛てて行う転送不要郵便等による取引関係文書の送付 等を義務付けている。 |
平成
年
平成
年、
年
4 関係機関の意見
⑴ 関連団体の意見
ア 公益社団法人xx後見センター・リーガルサポート
新規で被後見人等の口座を開設する場合は、被後見人の本人確認書類として、登記事項証明書や「審判書の銀行届出用抄本写し及び確定証明書」以外にも提 出を求められるが、被後見人等の多くは顔写真付きの証明書類を所持していな いため、健康保険証等の証明書と、その他の証明書類を提示しても、本人確認 書類の記載住所宛てに取引関係書類を転送不要郵便で送付する等、犯収法で求
められている以上の本人確認を要求する場合がある。
犯収法における本人確認の目的からしても、後見人等が代理権を持つ口座をマネー・ローンダリングなどに利用されるとは考えにくいため、必要以上の証明書類の提出を求めないでもらいたい。
なお、既に被後見人名義の口座がある場合のxx後見の届出を行うに当たって、登記事項証明書や「審判書の銀行届出用抄本写し及び確定証明書」以外に被後見人の本人確認書類を求められることは少なくなったと感じている。
イ 日本弁護士連合会事務局
既存口座については、新たな取引の開始ではないため、あらためて被後見人について本人確認をする理由はない。他方、新規に口座を開設する場合についても、被後見人の存在は、既に家庭裁判所の審判において確認されており、登記事項証明書により証明されていることから、被後見人の実在性は明らかであり、後見人について本人確認すれば足りるものと考える。
xx後見制度の仕組みを勘案すると、新規口座開設の場合と既存の口座に届 出をする場合において、手続の差異を設ける必要性は乏しいというべきである。
なお、当連合会は、平成 21 年 10 月 30 日付けで、金融庁に対し、「金融機
関におけるxx後見制度に関する取扱いについて(依頼)」において、平成 20年に当連合会が実施した金融機関を対象としたアンケートの結果を踏まえ、後見人等がその職務を円滑に遂行するために金融機関との取引実務ができるだけ統一的かつ合理的なものであることが望ましいことから、同庁及び関係機関との懇談会を開催したいとしている。
〇 当連合会の高齢者・障害者の支援等を所管する委員会の委員から、①xx後見制度が犯罪収益の移転等のために利用されることは想定しがたい、
②実在性の確認のために登記事項証明書のみで足りることから、金融機関における被後見人の本人確認方法としては、被後見人の登記事項証明書をもって足りるというべきである旨の意見があった。
加えて、同委員は、被後見人宛てに転送不要郵便を送付する本人確認方法に限定することについては、被後見人が住民票の住所地に住んでいない場合があること、在宅で一人暮らしの被後見人は書留郵便等の受領が困難な場合があること、同居親族が郵便物を受領することで被後見人と後見人との間でトラブルが生じる場合があること等、大きな支障が懸念されるため、強く反対するとしている。
ウ 全銀協
被後見人の本人確認書類の取扱いについて、健康保険証等を用いない場合の対応として、登記事項証明書を利用する場合について記載しているが、特
定の方法を推奨しているものではない。
なお、当会は、銀行を会員とする業界団体であり、銀行を指導する権限はなく、また、法令等に基づき自主規制等を行う組織でもないため、各銀行に対して、本人確認方法について指導することはできない。
⑵ 金融庁
開設済の口座に対する後見の設定については、顧客の財産保護等の観点か ら、被後見人の口座への後見設定手続きを行うものが、真正な後見人であることを確認するため、各金融機関が自ら必要と認める範囲・方法により本人確認を行っているものと考える。
また、新規で被後見人名義の口座を開設する際に、犯収法施行規則第 6 条第
1 項に列挙されているいずれの方法で行うかを当庁が限定するものではなく、犯収法の規定等を遵守しつつ、顧客の利便性を考慮し、各金融機関の判断で行われるものと考えている。
なお、本件に係る本人確認方法について、上記3⑷以外に金融機関からの要望等として承知しているものはない。
⑶ 警察庁
ア 犯収法に基づく本人確認方法について
金融機関等の特定事業者は、顧客等と取引を行う際、犯収法第 4 条に基づき、顧客等の本人確認を行わなければならないとされている。この場合、顧客とは被後見人を指すこととなる。
また、登記事項証明書は、代理権の有無を表す書類であるとともに、犯収法施行規則第 7 条第 1 項第 1 号ホに該当するため、被後見人の本人確認書類として認められており、健康保険証等の他の本人確認書類とともに提示すれば本人確認は完了し、登記事項証明書のみの提示の場合には、金融機関等の特定事業者が、当該登記事項証明書に記載されている当該顧客の住居に宛てて、取引関係文書を転送不要郵便物等として送付することが必要となる。
一般に、顧客等の本人確認は、①「本人確認書類に提示された氏名等を有する人間(被証明者)が実在する特定の人間であることの確認」と②「現に取引を行おうとする者が当該被証明者であることの確認」の 2 段階で構成さ
れるところ、犯収法施行規則第 7 条第 1 項第 1 号イ(一を限り発行され、写真付きの証明書)を除く自然人に係る本人確認書類は、作成後の事情変更等を反映していない場合や被証明者以外の者にも交付される場合があるため、当該本人確認書類の提示に加え、別の種類の本人確認書類を提示することや当該本人確認書類に記載されている当該顧客の住居に宛てて、取引関係文書を転送不要郵便物等として送付すること等により、上記①及び②に係る事実の確認を担保するものである。
なお、特定事業者・顧客等の間において、犯収法に定める特定の本人確認方法に限定することについては、法令上特段の制約はない。
イ 犯収法施行規則第 4 条第 1 項第 13 号ロ「これに準ずる者」について
破産管財人等については、①破産管財人等が破産者の有する預金等の債権の支払いを受ける場合に、支払いを受けた財産が破産者の管理下に置かれることなく、破産財団に組み込まれ平等な弁済手続に付されること、②その手続きは常に裁判所、債権者等による監督を受けること等の特殊な事情があることから、例外的な取扱いを認めたものである。
これに対し、後見人については、裁判所が選任等を行い、また、調査や指示を通して財産状況の管理について関与し得るものの、裁判所の許可が必要な居住用不動産の売却を除き、財産の処分に一定の裁量を与えられ、常に裁判所等の監督を受けているとは言い難いことから、「裁判所による監督が限定的である」ため、例外的な取扱いは認められない。
ウ 被後見人の本人確認に係る規制の緩和の余地
被後見人の審判に際して裁判所が選任した後見人が、被後見人の財産管理業務として被後見人の口座を開設するに当たって、マネー・ローンダリングを防止するために被後見人の本人確認を徹底することに関して、現行の犯収法施行規則による規定を緩和する余地はないかということについては、次のとおり、現行の規制は維持されるべきである。
〇 犯罪による収益の移転を防止するためには、これに利用されるおそれのある事業者が適正な顧客管理措置を講ずることにより、そのリスクを抑制するとともに、これらの犯罪が行われた場合における資金トレースを可能とし、犯罪の実態解明や検挙に資する仕組みを構築する必要があり、こうした措置は、FATF 勧告においても求められているところである。
上記犯罪収益の移転防止のリスク抑制と事後の資金トレースの可能性確保の要請を満たすため、上記アのとおり 2 段階の確認が求められている。登記事項証明書が、交付後の事情変更を反映していない場合があり得る ことを勘案すれば、依然として顧客と現に取引の任に当たっている者双方
の本人確認を行う必要があると考える。
⑷ 法務省
登記事項証明書は、被後見人等の氏名、住所等の登記された内容を証明するものであり、その用途は、例えば、後見人が被後見人に代わって介護サービス等の契約を結ぶ際に、取引相手に対して登記事項証明書を提示することによって、その権限を確認してもらうといった取引の安全の保護を図るために利用されるものである。
登記事項証明書を、犯収法施行規則第 7 条第 1 項第 1 号イ又はロに該当する本人確認書類とするために、被後見人の写真を貼付する様式に変更することについては、被後見人の容姿は登記事項とされておらず、自己を被後見人等とする記録は、プライバシーに深く関わる事項であり、プライバシー保護の観点から、写真を貼付して容姿を明らかにすることを求めることは相当ではないと考える。
また、今までに被後見人の本人確認書類に係る要望を受けたことはなく、仮に様式を変更するには、xx後見登記システムの機能改修が必要となるが、改修の費用対効果を考えると、様式を変更する必要はないと考える。
〔1〕登記事項証明書 【後見】
※印の欄は注釈・説明です。実際の証明書にはありません。
(後見開始と併せてxx後見人及びxx後見監督人が一人ずつ選任された後,xx後見人が住所の変更をし,xx後見監督人が辞任した場合)
後 見
登 記 事 項 証 明 書
後見開始の裁判
【裁 判 所】○○家庭裁判所
【事件の表示】平成 29 年(家)第××××号
※ xx被後見人がした法律行為は,取り消すことができます。ただし,日用品の購入その他日常生活に関する行為(民法 9 条)や婚姻(民法 738条)などの身分行為は取消しの対象となりません。
【裁判の確定日】平成 29年 1 月 2 0 日
【登記年月日】平成 29年 1 月 2 6 日
【登記番号】第 2017-××××号
xx被後見人
【氏 名】xxxx
【生年月日】昭和 20 年 12 月 29 日
【住 所】xxxxxx区九段南 1 丁目 1 番 15 号
※ xx後見人はxx被後見人の財産を管理し,財産上の法律行為についてxx被後見人を代表します(民法 859 条1項)。
また,xx被後見人がした法律行為を取り消し,または追認することができます(民法 120 条,122 条)。
【本 籍】xxxxxx区九段南 1 丁目 2 番地
xx後見人
【氏 名】xxxx
号
【住 所】xxxxxx区九段南 1 丁目 1 番 10
【選任の裁判確定日】平成 29年 1 月 2 0 日
【登記年月日】平成 29年 1 月 2 6 日
【従前の記録】
【住所変更日】平成 29年 4 月 3 日
【登記年月日】平成 29年 4 月 7 日
【変更前住所】xxxxxx区九段南 1 丁目 1 番 4 号
xx後見監督人であった者
【氏 名】xxxx
【住 所】xxxxxx区九段南 1 丁目 1 番 8 号
【選任の裁判確定日】平成 29年 1 月 2 0 日
※xx後見人等がxx選任されている場合で,事務を分掌するとき又は共同して権限を行使するときは「権限行使の定め目録」が添付されます。
【登記年月日】平成 29年 1 月 2 6 日
【辞任許可の裁判確定日】平成 29年 5 月 1 0 日
【登記年月日】平成 29年 5 月 1 2 日
※印の欄は注釈・説明です。実際の証明書にはありません。
上記のとおり後見登記等ファイルに記録されていることを証明する。平成 29 年5 月 19 日
東京法務局 登記官 法 務 太 郎 □印
[証明書番号] 2017-0100-00001(1/1)
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受付印 | |
貼用収入印紙 円 | |
予納郵便切手 円 | |
予納収入印紙 円 |
準口頭 | 関連事件番号 | 平成 | 年(家 | ) 第 | 号 |
平成 | 年 | 家 庭 裁 判 所 御 中 月 日 | 申記 | 立名 | 人押 | の印 | 印 |
(同じ書類は 1 通で足ります。審理のために必要な場合は,追加書類の提出をお願いすることがあります。)
添付書類
□ 本人の戸籍謄本(全部事項証明書)
□ 本人の登記されていないことの証明書
□ 本人の財産に関する資料
□
□ 本人の住民票又は戸籍附票
□ 本人の診断書(家庭裁判所が定める様式のもの)
□ xx後見人候補者の住民票又は戸籍附票
申立人 | 住 所 | 〒 | - 電話 ( ) ( 方) | |
フリガナ 氏 名 | 大正 昭和 年 月 日生平成 ( 歳) | |||
職 業 | ||||
本 人 との 関 係 | ※ | 1 4 6 8 | 本人 2 配偶者 3 四親等内の親族( )未xx後見人・未xx後見監督人 5 保佐人・保佐監督人 補助人・補助監督人 7 任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人 市区xxx 9 その他( ) | |
本 人 | 本 籍 | x x | ||
(国 籍) | 府 県 | |||
住 所 | 〒 | - 電話 ( ) ( 方) | ||
フリガナ | 明治 大正 年 月 日生昭和 平成 ( 歳) | |||
氏 名 | ||||
職 業 |
(注意)登記手数料としての収入印紙は,貼らずにそのまま提出してください。
この欄に申立手数料としての収入印紙800円分を貼ってください(貼った印紙に押印しないでください)。
後 見 x x x x 書
(注) 太枠の中だけ記入してください。 ※の部分は当てはまる番号を○で囲み,3又は9を選んだ場合には,
( )内に具体的に記入してください。
本 人 に つ い て 後 見 を x x す る と の 審 判 を 求 め る。
旨
趣
の
て
立
申
申 | 立 | て | の | 理 | 由 | |||||||
(申立ての動機,本人の生活状況などを具体的に記入してください。) | ||||||||||||
xx後見人候補者 適当な人がいる場合に記載してください。 | いずれかを ○で囲んでください。 1.申立人と同じ(右欄の 記 載 は 不要) 2.申立人以外(右欄に記載) | 住 | 所 | 〒 | - | 電話 | ( ) ( 方) | |||||
フリガナ 氏 名 | 大正 昭和平成 | 年 ( | 月 | 日生歳) | ||||||||
職 | 業 | 本の | 人関 | と係 | ||||||||
勤 務 先 | 電話 | ( ) |
(注) 太枠の中だけ記入してください。
犯収法施行規則に規定されている金融機関等における顧客等の本人確認方法及び本人確認書類
本人確認方法 (同規則第 6 条第 1 項第 1 号) | 本人確認書類 (同規則第 7 条第 1 項第 1 号) | |
イ 顧客等から、同規則第 7 条第 1 項第 1 号イ又はロの本人確認書類の提示を受ける。 | イ 運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、旅券等 ※官公庁が発行した本人の写真が貼付された書類 | |
ロ 顧客等から、同規則第 7 条第 1 項第 1 号イ以外の本人確認書類の提示を受けるとともに、当該書類に記載されている顧客の住居宛てに取引関係文書(預金通帳等)を書留郵便等により、 転送不要郵便物等として送付する。 | ロ イに掲げるもののほか、官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに類するもので、当該自然人の氏名、住居及び生年月日の記載があり、かつ、当該官公庁が当該自然人の写真を貼り付けたも の | |
ハ 顧客等から、同規則第 7 条第 1 項第 1 号ハの本人確認書類二つの提示を受ける。 または、顧客等から、同規則第 7 条第 1 項第 1 号ハの本人確認書類及び同号ロ、ニ又はホの本人確認書類若しくは現在の住居の記載がある補完書類の提示を受ける。 | ハ 国民健康保険、健康保険、船員保険、後期高齢者医療若しくは介護保険の被保険者証、健康保険日雇特例被保険者手帳、国家公務員共済組合若しくは地方公務員共済組合の組合員証、私立学校教職員共済制度の加入者証、国民年金法第十三条第一項に規定する国民年金手帳、児童扶養手当証書、特別児童扶養手当証書若しくは母子健康手帳又は特定取引等を行うための申込み若しくは承諾に係る書類に顧客等が押印した印鑑に係る印鑑登録証明書 ※官公庁が本人に一つ限り発行した、本人の写真 が貼付されていない書類 | |
ニ 顧客等から、同規則第 7 条第 1 項第 1 号ハの本人確認書類の提示を受け、かつ、当該本人確認書類以外の本人確認書類若しくは現在の住居の記載がある補完書類又はその写しの送付を受ける。 | ||
ニ 印鑑登録証明書、戸籍謄本等、住民票の写し等 ※官公庁が本人等に複数発行できる、本人の写真 が貼付されていない書類 | ||
ホ 同号イ~ニ以外で、官公庁から発行・発給された書類等で自然人の氏名、住居及び生年月日の記載があり、本人の写真が貼付されていないもの ※登記事項証明書等 | ||
同規則第 6 条第 2 項 補完書類 同規則第 7 条に規定する本人確認書類以外で、領収日付の押印又は発行年月日の記載があるもので、その日が特定事業者が提示又は送付を受ける日前六月以内のもの 1 国税又は地方税の領収証書又は納税証明書 2 社会保険料の領収証書 3 公共料金(日本国内で供給される電気、ガス、水道等)の領収証書 等 |
(注)1 犯収法施行規則に基づいて、当省が作成。xxの下線斜体文字は、当省補足コメント。黄色着色部分は、登記事項証明書が該当することを示す。
2 同規則第 7 条第 1 項ただし書きにおいて、同項第 1 号イ及びハ並びに有効期間又は有効期限のある同号ロ及びホの本人確認書類については、提示を受ける日において有効なもの、同号のその他の本人確認書類については、提示又は送付を受ける日前 6 か月以内に作成されたものに限るとされている。
3 「確認記録」とは、犯収法第 6 条において、取引時確認を行った場合には、直ちに、主務省令で定める方法により、当該取引時確認に係る事項、当該取引時確認のためにとった措置その他の主務省令で定める事項に関する記録を作成しなければならないとされているものである。
15
後期高齢者医療制度の被保険者への保険料徴収 第 114 回行政苦情救済推進会議の結果を踏まえた検討状況
第 114 回行政苦情救済推進会議の結果 | 行政苦情救済推進会議の結果を踏まえた検討状況(C) | |||
考えられる改善方策の可能性(A) | 行政苦情救済推進会議での意見(B) | |||
共通事項 | ○ 高齢者が、納付書により金融機関に出向き保険料を納付するこ とが大変であることを踏まえると、行政相談委員としてこのような意見を提出することは十分理解できる。 また、口座振替による保険料納付は可能であるものの、口座振 替による保険料納付を申し込むため金融機関まで出向かなければならないことも高齢者にとっては負担であり、高齢者は(手続きな く)引き続き保険料を引き落としてもらいたいと思うだろう。 まずは、出来ることからやっていく、ということが必要ではないかと実感している。 ○ 過疎地域に住む高齢者にとっては、保険料を納付するために納付書を持って納付できる場所まで出向くことも負担である。本件は、このような国民の立場に寄り添って検討してもらいたいと思 う。 | ○ 考えられる改善方策の可能性(A 欄)及び行政苦情救済推進会議での意見 (B 欄)を踏まえ、実行可能な方策や必要な対応を図ることができないか。 | ||
1 特別徴収の開始時期の早期化 【考えられる改善方策】 特別徴収の開始に必要な現行事務の期間を短縮し、特別徴収の開始時期を少しでも早める方策を検討すること。 | ○ 現在の事務の流れでは、市町村は日本年金機構から年金情報を提供される流れとなっているが、市町村から日本年金機構に 75 歳到達者の年金情報を照会する流れとすることにより、事務の早期化を図る余地があるように感じる。 ○ 国民健康保険も後期高齢者医療制度も、徴収事務は市町村の事務である。その徴収事務の軽減や確実な徴収のために、保険料を年金から天引きしているものであるということを踏まえると、特別徴収は特例的なやり方という位置づけになるのではないかと思う。 また、事務の前倒しを図ったことにより、その後に所得の変更や死亡などがあると、保険料の変更などで事務負担が増加することになり、その負担増はどこに負わせるのか(日本年金機構か、徴収事務者である市町村か)という問題も出てくるかもしれない。 一方、マイナンバーの情報連携を使えば、改善できる余地もあるかもしれない。 本件については、介護保険など、他制度にも波及する問題ではないだろうか。現実的に何が出来て何が出来ないか、中立的な立場で丁寧に検討することが必要であると考えられ、丁寧な調査、議論を行っていくことが必要ではないかと思う。 | ○ 現行の特別徴収の開始に係る事務フローを見直すこと等により、早期化を 図ることができないか。 | ||
例えば、以下の見直しにより、早期化を図ることができないか。 ① 年金情報の提供の流れについて、市町村から日本年金機構に 75 歳到達者の年金情報を照会する流れとする。 ② 後期高齢者医療広域連合が、被保険者の所得情報を速やかに入手することにより、事務に要する期間の短縮を図る。 また、マイナンバーの情報連携を活用することにより、改善を図ることができないか。 【留意点】 ○ 事務フローの見直しの際、介護保険など、同様に特別徴収を行っている他制度や、特別徴収の開始に係る事務に生じる影響や事務負担に留意し、実現可能な事務フローの見直しを図る必要がある。 【厚生労働省における検討状況】 現行の後期高齢者医療制度において、特別徴収を開始するには、制度加入後、日本年金機構及び市町村等における事務手続により約6か月程度要するところ、この6か月程度という期間を短縮するには、日本年金機構、共済組合、国保中央会、国保連合会、市町村、広域連合等において、大幅な人員増を実施することや大規模なシステム改修を行うこと等が必要であり、一定程度の予算を要すると見込まれ、費用対効果の点から慎重な検討が必要である。 |
【検討結果】
厚生労働省における検討状況を踏まえると、特別徴収の開始時期の早期化を
図るようあっせんすることまでは困難と考えられる。
2 普通徴収における口座振替に関する事務の効率化について
【考えられる改善方策】
○ 事務の期間として一定の期間を要すること、また、事務の期間の短縮のためにシステム改修を要した場合に費用がかかり、費用対効果の問題が出てくることは分かる。
国民健康保険の保険料を普通徴収
(口座振替)により納付している者については、新たな手続なしで引続き同一口座の利用を可能とできないか検討すること。
また、国民健康保険料を特別徴収により納付している者が、後期高齢者医療制度の保険料を普通徴収により納付することを選択する場合や、普通徴収による納付しか選択できない一定の期間において、速やかに口座振替による保険料納付を利用でき
ないか検討すること。
一方、現在、普通徴収期間が生じることに起因する国民の負担や、このことにより国民から寄せられる相談に市町村職員が対応しなければならないこともコストと考えると、何らかの対応策がとれないものだろうかと思う
○ 普通徴収は市町村の事務だと思うが、より簡便な納付方法が取れないかといった視点からも、検討してもらいたい。
○ 普通徴収であっても、より簡便な納付方法を採用できないか。
また、先駆的な取組があれば、横展開の方策について、周知を図ることはできないか。
① 国民健康保険所管部局と後期高齢者医療制度所管部局間で、口座情報を共有(情報連携)することにより、国民健康保険から後期高齢者医療制度への切り替え時においても口座振替による保険料徴収を手続なしに切れ間なく実施できないか。
② 納付書により保険料を徴収する場合であっても、多様な納付方法(注)を認めることにより、被保険者の保険料納付負担を軽減できないか。
(注)調査した地方公共団体では、金融機関、役場窓口、コンビニのほか、インター
ネットを通じた納付(モバイルレジの利用)も可能としている事例がみられた。
【厚生労働省における検討状況】
普通徴収(口座振替、納付書による納付)に係る事務の効率化・簡便化については、既に各市町村において、地域の実情に応じて、被保険者の利便性の向上、徴収率の向上の双方の観点から、総合的に検討された結果として様々な取組が導入・実践されており、こうした取組を推進することは重要であると考える。
国民健康保険で普通徴収を選択し、口座振替により保険料を納付してきた者について、後期高齢者医療制度への移行時において、同一口座からの口座振替を手続きなしに実施することは、主に次の点で課題があると考える。
・ 国民健康保険と後期高齢者医療制度では、納付義務者が異なる(国民健康保険:世帯主、後期高齢者医療制度:被保険者本人)ことに加えて、納付義務者と実際の納付者は同一でないことから、後期高齢者医療制度への移行時において、国民健康保険及び後期高齢者医療制度の納付義務者と実際の納付者から同意を取る必要が生じるなど、市町村における事務手続きが煩雑になること
・ 口座振替の申込書の提出を省略する場合であっても、後期高齢者医療制度への移行時において口座振替を継続するためには、本人同意書の提出はなおも必要であり、書面での手続きが必要という点では、必ずしも被保険者の負担軽減は図れないこと。また、書類の不備等があった場合には被保険者本人にとっても負担が増えること
【補足調査(結果)】
① 調査した 2 地方公共団体(C 市及び D 区)の意見
ⅰ)郵送による口座振替の申込書の提出を認めることについて
・ 市区町村が郵送により申込書を受け付け、市区町村から振替口座を保有する金融機関に申込書を送付する取扱とすれば実施可能(※)。
※ なお、D 区からは、人口規模が多い(令和元年 8 月 1 日現在の 75 歳の人口は 7,993 人、なお、人口総数は 915,833 人、)ため、同取扱により増加する事務負担に対応が可能か懸念されるとの意見が聞かれた。
ⅱ)国民健康保険所管部局と後期高齢者医療制度所管部局間で、保険料の振替元の口座情報を共有(情報連携)できるようにすることについて
・ 本人同意があれば、個人情報を目的外利用することは可能であることを踏まえると、国民健康保険所管部局と後期高齢者医療制度所管部局間 で、保険料の振替元の口座情報を共有(情報連携)することについては、被保険者の同意があれば、個人情報保護上の問題は無いと考えられる。
・ 国民健康保険料の口座振替と後期高齢者医療保険料の口座振替を切れ間なく繋げるには、金融機関に対し、国民健康保険料の口座振替停止及び後期高齢者医療保険料の口座振替開始の依頼を速やかに行うことができる環境の整備が必要ではないか。
・ ただし、市(区)において、保険者等の同意取得や金融機関への手続を行う必要が生じ、これら事務の負担に対応が可能か懸念される。
② 郵送による口座振替の申込書の提出を認めている地方公共団体(E 市)の意見
・ 平成 24 年度から、口座振替の利用率向上により保険料収納率の一層の向上を図るため、申込書を郵送で受け付ける取扱(※)を開始している。
※ 市役所において郵送により申込書を受け付け、市役所が振替口座を保有する金融機関に申込書を送付。
・ 当市では、75 歳に到達する 1 か月前に、被保険者への被保険者証を送付する際に、全ての被保険者に申込書を同封している。
郵送による口座振替の申込から概ね 1 か月半程度の期間があれば、口座振替の開始が可能である。このため、申込書が届いた後、すぐに申込書に 必要事項を記入等のうえ郵送してもらえれば、初回の保険料徴収から口座振替による徴収が可能である。
・ 国民健康保険の保険料を普通徴収(口座振替)により納付している者について、新たな手続なしで後期高齢者医療制度の保険料を引続き同一口座から普通徴収(口座振替)できるようにすることについては、住民からも同取扱を希望する意見が寄せられており、市としても、被保険者等の同意取得や金融機関への手続は必要となるが、一方で、被保険者が新たな手続を行うことなく同一口座から保険料を口座振替できることにより保険料の滞納が抑制され、滞納整理事務も縮減されることを考えると、徴収事務全体で見ると事務負担が軽減するため、実現できればありがたい。
しかし、金融機関側が、被保険者側からの手続なしに市役所の依頼のみをもって後期高齢者医療保険料の口座振替開始することに応じてもらえるか疑問である。
③ (一社)日本銀行協会の意見
・ 口座振替の依頼を受ける金融機関の立場で意見を述べると、金融機関は、収納機関(市区町村)からの依頼に基づき口座から保険料を徴収するものである。
このため、収納機関(市区町村)側で、保険料の納付者の同意を得てもらえるのであれば、改めて保険料の納付者からの申込がなくても、収納機関(市区町村)側の要請のみをもって口座振替を開始することは問題ないのではないか。
【検討可能な改善方策(案)=xxxx(案)】
厚生労働省は、後期高齢者医療制度の被保険者が、普通徴収により保険料を納付する場合に生じる負担の軽減を図る観点から、地方公共団体に対し、既に一部の地方公共団体が実施している「被保険者が 75 歳に到達する前に、あらかじめ被保険者に口座振替の申込書を郵送するとともに、郵送により口座振替の申込書を提出する」取扱を、他の地方公共団体に周知するための通知を発出する(横展開を図る)ことについて検討すること。
【あっせんに当たっての留意点】
○ あっせんにより、地方公共団体における負担への影響(市町村の事務負担の増加など)にも配意する必要がある。
※ 上記あっせん(案)により、以下の改善効果が考えられる。
「被保険者が 75 歳に到達する前に、あらかじめ被保険者に口座振替の申込書を郵送するとともに、郵送による口座振替の申込書を提出する」取扱を行う地方公共団体が増加する。
このことにより、国民健康保険を特別徴収及び普通徴収(口座振替)している者は、保険料を納付書により納付しなければならない期間(1~2 か月程度)も口座振替により保険料が納付できるようになる。
また郵送で口座振替の申込書が提出できるため、申込のため市町村役場や金融機関の窓口に出向く必要が無くなり、口座振込の申込手続の負担が軽減
する。
(参考)
1 あっせん(案)による改善効果のイメージ
① 国民健康保険料を特別徴収で納付していた者
特別徴収
(普通徴収(口座振替))
(普通徴収(納付書)(1~2 か月))
後期高齢者医療制度
国民健康保険
(特別徴収)
75 歳到達
75 歳到達から概ね 6 か月後
【改善前】
口座振替の申込手続のため、金融機関や市町村の窓口に出向むくことが必要
口座振替の開始には 1~2 か月かかり、その間は納付書による納付が必要
原則(※)として特別徴収に移行(以下の図も同じ)
※ 年金受給額が少ない等により特別徴収ができない場合や、被保険者が口座振替を希望する場合を除く。
75 歳到達
75 歳到達から概ね 6 か月後
【改善後】
国民健康保険
(特別徴収)
後期高齢者医療制度
(普通徴収(口座振替))
特別徴収
あらかじめ、郵送で口座振替の申込書を提出することにより、金融機関や市町村の窓口 に出向く必要がなくなる。
概ね 1 か月前
特別徴収に切り替わるまでの間、あらかじめ郵送で口座振替の申込書を提出しておくことにより、納付書で納付する必要がなくなる。
② 国民健康保険料を普通徴収(口座振替)で納付していた者
【改善前】
【改善後】
概ね 1 か月前
あらかじめ、郵送で口座振替の申込書を提出することにより、金融機関や市町
村の窓口に出向く必要がなくなる。
特別徴収に切り替わるまでの間、あらかじめ郵送で口座振替の申込書を提出しておくことにより、納付書で納付する必要がなくなる。
特別徴収
(普通徴収(口座振替))
後期高齢者医療制度
国民健康保険
(普通徴収(口座振替))
75 歳到達
75 歳到達から概ね 6 か月後
特別徴収
(普通徴収(口座振替))
(普通徴収(納付書)(1~2 か月))
後期高齢者医療制度
国民健康保険
(普通徴収(口座振替))
75 歳到達
75 歳到達から概ね 6 か月後
口座振替の開始には 1~2 か月かかり、その間は納付書による納付が必要
口座振替の申込手続のため、金融機関や市町村の窓口に出向くことが必要
3 個人情報の情報共有に関する疑義への対応について ※ 情報共有上の改善方策 【考えられる改善方策】 (1)及び(2)の改善方策に関連し、市町村と後期高齢者医療広域連合の間における被保険者の住民基本台帳情報の共有、市町村の国民健康保険所管部局と後期高齢者医療制度所管部局間における口座情報の共有を可能とする方策を検討すること。 | ○ 一方、マイナンバーの情報連携を使えば、改善できる余地もあるかもしれない。【再掲】 | ○ 前述 1 及び 2 に記載した事項を実現するために、関係機関間で個人情報を 共有するための方策を検討できないか。 | ||
○ 平成 29 年 11 月 13 日から、マイナンバーによる情報連携の本格運用が開始されている。 このことを踏まえ、市町村や後期高齢者医療広域連合におけるマイナンバーによる情報連携(注 1)の利用を促進(注 2)することにより、事務の早期化を図ることができないか。 (注)1 後期高齢者医療制度において、市町村と後期高齢者医療広域連合との情報共有 (所得情報、xx情報)や、市町村と年金保険者(日本年金機構等)との情報共有 (年金情報、特別徴収する保険料額)は、いずれもマイナンバーによる情報連携の対象とされている。 一方、被保険者の口座情報については、情報連携の対象には含まれていない。 2 調査した市町村では、マイナンバーによる情報連携のシステムにおいて、エラーが生じるなど十分に稼動しない状況にあり、併せて、紙媒体での情報共有を行っているとの実態もみられた。 また、調査した後期高齢者医療広域連合からは、マイナンバーの情報連携において、所得情報に係るデータ項目の一部(被保険者の課税標準額や被扶養者人数)が情報提供される仕様となっていないことから、当該データ項目を情報提供できるようなシステムの仕様としてほしいとの意見が聴かれた。 【厚生労働省における検討状況】 マイナンバーの情報連携を活用し、市町村から日本年金機構に 75 歳到達者の年金情報を照会する流れとする場合には、市町村が照会することによる市町村側の負荷の増加や市町村及び年金機構等のシステム改修、業務体制の見直し等が必要であり、一定程度の予算を要することも見込まれ、費用対効果の点から慎重な検討が必要である。 【検討結果】 厚生労働省における検討状況を踏まえると、仮にマイナンバーによる情報連携の利用促進によっても、特別徴収の開始時期の早期化の実現に結びつくことまでは困難と考えられる。 |