Contract
建 不 第 380 号令和5年8月10日
各建設業関係団体の長 様
▇▇県県土整備部長
(公印省略)
下請契約及び下請代金支払の適正化並びに施工管理の徹底等について
このことについて、令和5年8月1日付け国不建推第27号及び国不専建第19号により、国土交通省不動産・建設経済局建設業課長及び建設市場整備課長から別添写しのとおり通知がありました。
つきましては、当該通知の趣旨を踏まえ、貴職におかれましても建設工事の施工業者に対し下請契約及び下請代金支払の適正化並びに施工管理の徹底、技能労働者の賃金水準の確保等に努めるよう御指導をお願いします。
担当
▇▇県県土整備部建設・不動産業課建設業班
TEL:043-223-3110
FAX:043-225-4012
国 不 建 推 第 2 6 号国 不 専 建 第 1 8 号令 和 5 年 8 月 1 日
建設業者団体の長 殿
国土交通省不動産・建設経済局長
( 公 印 省 略 )下請契約及び下請代金支払の適正化並びに施工管理の徹底等について
標記について、従前より貴団体傘下の建設企業等に対する指導方お願いしているところである。
今後、資材や原油の価格高騰等が続く中、資金需要の増大が予想される夏期を控え、とりわけ経営基盤の脆弱な中小企業が多数を占める下請建設企業に対する適切な代金支払等の確保について、その経営の安定・健全性を確保するため十分な配慮が必要である。
国土交通省においては、「建設業法令遵守推進本部」の設置による指導監督体制の強化、建設業法令違反行為の情報収集を目的とした「駆け込みホットライン」の開設、建設企業が守るべき下請取引上のルールを示した「建設業法令遵守ガイドライン」(平成19年6月
29日国総建第100号)の策定等を通じ、元請負人と下請負人との対等な関係の構築及び▇▇かつ透明な取引の推進に努めてきた。また、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」(令和元年法律第30号)の改正内容を反映した建設業法(昭和24年法律第100号。以下「建設業法」という。)では、建設業における働き方改革の促進を踏まえ、著しく短い工期による請負契約の締結を禁止する規定、労務費相当分を現金で支払うよう配慮する規定等が追加されているところである。しかしながら、元請負人と下請負人の間において赤伝処理等による一方的な代金の差し 引き、指値発注による不適切な下請取引、追加・変更契約の締結拒否、下請負人の責によらないやり直し工事の強制、正当な理由がない長期間にわたる支払保留等、下請負人へのしわ寄せが依然として存在するとの指摘がなされており、このような行為はダンピング受注や技能労働者の賃金水準の低下等につながりやすく、建設業における担い手の確保や育
成を困難にしている原因となりうるものである。
加えて、建設業者の施工不良に関する問題が社会的に注目されるなど、建設工事現場における品質管理や施工管理を徹底することの重要性がますます高まってきている。
ついては、貴団体傘下建設企業等に対し、関係法令、「工期に関する基準」(令和2年7月20日中央建設業審議会決定)、「建設業法令遵守ガイドライン」や企業として社会通念上守るべき企業倫理等を遵守するほか、建設業法及び「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」(平成28年法律第111号)に基づき変更された「建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画」(令和5年6月13日閣議決定)等の趣旨及び下記事項に十分留意し、下請契約における適正な工期の確保、請負代金の設定及び適切な代金の支払等、元請負人と下請負人の間の取引の適正化及び施工管理のより一層の
徹底等に努められるよう、会議や講習会の開催などにより下請負人の選定に関与する全ての者に対して指導されたい。
記
1.見積りについて
下請代金の設定については、施工責任範囲、施工条件等を反映した合理的なものとするため、書面(電磁的方法を含む。以下5.契約についてまで同じ。)による見積依頼及び建設業法施行令(昭和31年政令第273号)第6条で定める見積期間の設定、明確な経費内訳を示した見積書の書面による提出、それらを踏まえた双方の協議による適正な手順を徹底すること。見積条件は、下請契約の具体的内容を提示することとし、提示しなければならない事項は、建設業法第19条第1項により請負契約書に記載することが義務付けられている全ての事項(請負代金の額を除く。)となることに留意すること。また、工事現場における工程管理、品質管理及び安全管理等の施工管理が適切に行われるよう、労働災害防止対策の実施者及びその経費の負担者の区分を明確化するとともに、必要な経費に十分留意すること。さらに、労務費、法定福利費、一般管理費、建設副産物(建設発生土等の再生資源及び産業廃棄物)の運搬及び処理に要する費用等の必要な諸経費を適切に考慮すること。なお、労務費については、建設業法第20条の規定により、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費や労務費その他の経費の内訳を明らかにして建設工事の見積りを行うよう努めなければならないこととされていることから、この趣旨を踏まえ、各業種の実情に応じて、労務費の総額や、可能な場合においてその根拠となる想定人工の積上げによる積算を明示することが望ましい。さらに、今後建設キャリアアップシステムの普及により、建設技能者の能力評価が進展することを見据え、建設技能者の地位や技能を反映した具体的な労務費の見積りとすることが望ましい。
また、建設業法第20条の2の規定により、建設工事の注文者(元請負人又は直近上位の下請負人)は、当該建設工事に関し、地盤の沈下等の工期又は請負代金の額に影響を及ぼす事象が発生するおそれがあると認めるときは、請負契約を締結するまでに、建設業者に対して、必要な情報を提供しなければならないことにも留意すること。
併せて、下請代金の決定に当たって公共工事設計労務単価を参考資料として取り扱う場合の留意事項について別途通知したので、その内容についても周知徹底を図ること。
2.原材料費等の高騰を踏まえた適正な請負代金の設定と適正な工期の確保について
今般、「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」(令和4年4月26日原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議決定)」において、現下の労務費、原材料費、エネルギーコスト等(以下「原材料費等」という。)の高騰を踏まえ、建設業における適正な請負代金の設定や適切な工期の確保等について、政府全体で取り組むこととされた。原材料費等については、市場の実勢を適切に反映した価格設定となるよう十分留意するとともに、納期の長期化が見られる場合には、過発注や買い占めといった仮
需を抑制し、工期設定や工程管理においても十分配慮すること。原材料費等の取引価格を反映した適正な請負代金の設定や納期の実態を踏まえた適正な工期の確保のため、請負契約の締結に当たっては、建設工事標準下請契約約款又はこれに準拠した内容による請負契約書の請負代金の変更に関する規定(いわゆるスライド条項等)及び工期の変更に関する規定を適切に設定・運用することに留意するとともに、原材料費等の変動により工期又は請負代金の額が不適当となり、これを変更する必要があると認められるときは、元請負人と下請負人の協議による適正な手順により、書面による変更契約を徹底すること。また、元請負人が請け負った建設工事について、原材料費等の変動を理由にして請負代金の額が変更されたときは、元請負人又は下請負人は、相手方に対し協議を求めることができることにも留意すること。なお、下請契約の適正化確保の観点から、発注者と元請負人の関係においても、昨今の原材料費等の価格高騰を踏まえ、適切に協議することが重要であることに留意すること。
また、▇▇取引委員会では、独占禁止法上の優越的地位の濫用の要件の1つに該当するおそれがある行為について、原材料費等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと、また、原材料費等のコストが上昇したため、取引の相手方が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を書面等で取引の相手方に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くことの2つを挙げており、この点についても留意すること。
3.社会保険加入の徹底について
建設業法により、建設業の許可・更新申請に際して、社会保険に加入していることが 許可要件とされている点に留意すること。さらに、施工体制台帳の記載事項として、工 事に従事する者の社会保険の加入状況等も記載事項とされている点に留意すること。加 えて、元請負人は下請負人を選定する際に、登録時に社会保険加入確認を行っている建 設キャリアアップシステムに登録している事業者を選定することが推奨されるとともに、元請負人による社会保険の加入状況の確認及び指導については、建設キャリアアップシ ステムの登録情報の活用を原則とする方針を周知徹底すること。なお、建設キャリアア ップシステムを使用せず、社会保険の加入確認を行う場合は、社会保険に加入している ことを証する関係資料のコピー(電子データ可)を提示させるなど、情報の真正性の確 保に向けた措置を講ずること。
平成24年以降、社会保険加入の促進に向けた様々な取組を進めており、社会保険の保険料は、建設業者が義務的に負担しなければならない法定福利費であることから、平成30年6月からは、国土交通省直轄工事において、元請建設企業から提出された請負代金内訳書に記載された法定福利費の額を確認する取組を行ってきたところであるが、
「公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律(」令和元年法律第35号)の改正内容を反映した「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(平成17年法律第18号。以下「品確法」という。)及び「公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針」(令和元年10月18日付け閣議決定、同月21日
付け国土交通省告示第721号。以下「品確法基本方針」という。)において、元請負人に限らず全ての下請負人を含む公共工事等を実施する者は、法定福利費を的確に反映した適正な額の請負代金を定める下請契約を締結しなければならないこととされているところである。
社会保険加入対策や労働関係法令規則の強化の一方で、法定福利費等の労働関係諸経費の削減を意図した技能者の一人親方化が進んでいることに留意し、元請負人は下請負人に対して、一人親方との関係を記載した請負通知書及び請負契約書の提出を求め、請負契約書の内容が適切であるかどうかを確認すること。また、働き方自己診断チェックリストを活用し一人親方が現場作業に従事する際の実態を確認し、労働者に当てはまる働き方になっている場合は、雇用関係へ誘導していくこと。
4.適正な法定福利費及び労務費の確保について
建設業法第19条の3に規定する「通常必要と認められる原価」には、建設業者が義務的に負担しなければならない法定福利費が含まれると同時に、法定福利費の算出元である労務費においても「通常必要と認められる原価」に含まれているものであることから、法定福利費と労務費は必要経費として適正に確保することが必要である。
これらを踏まえ、元請負人においては、受注時における社会保険料の事業主負担分及び本人負担分を含んだ適正な法定福利費及び労務費の確保に努めること。なお、国土交通省が実施した社会保険の加入及び賃金の状況等に関する調査(以下「実態調査」という。)によると、一定の改善は見られたものの、▇▇▇▇▇の下請負人ほど十分に法定福利費を受け取れていない工事の割合が多い傾向が見られたことを踏まえ、必要な法定福利費及び労務費が確実に確保されるよう、下請負人に対し、見積条件に明示すること等により、法定福利費に加え、労務費の総額、またその根拠となる想定人工を内訳明示した見積書(各専門工事業団体において、法定福利費の内訳を明示するために作成された標準見積書を含む。以下同じ。)の提出を促すこと。さらに、提出された見積書を尊重して法定福利費及び労務費を適正に含んだ額により下請契約を締結すること。併せて、下請契約の締結にあたっては、社会保険料の本人負担分についても適切に請負代金に反映すること。
下請負人においては、注文者に対し、法定福利費に加え、労務費の総額、また可能な場合においてその根拠となる想定人工を内訳明示した見積書を提出するとともに、再下請負人に対し、法定福利費に加え、労務費の総額、また可能な場合においてその根拠となる想定人工を内訳明示した見積書の提出を促し、提出された見積書を尊重すること。併せて、自ら雇用する技能労働者に対し、社会保険料の本人負担分を適切に含んだ額の賃金を支払い、法令が求める社会保険に加入させること。
加えて、建設工事標準請負契約約款に、受注者が作成し発注者に提出する請負代金内訳書に法定福利費を明示することとされていることに留意すること。公共工事においては特に二次・三次以下の下請負人間で導入が進んでいない状況にある。公共工事、民間工事を問わず、受発注者間・元▇▇の各段階において、法定福利費が内訳明示された請負代金内訳書の活用徹底に向けて、公共発注者及び民間発注者の請負契約約款の改正に
的確に対応するとともに、建設工事標準下請契約約款を速やかに採用する等、建設工事標準請負契約約款の活用を周知徹底すること。
5.契約について
建設工事の契約の締結については、建設業法第19条に基づき、当該建設工事の着工前の書面による契約の締結を徹底すること。建設工事標準下請契約約款又はこれに準拠した内容による請負契約書を用いて、具体的な工事内容、請負代金の額及び着工及び完工の時期等の建設業法第19条第1項各号に掲げる事項を明示すること。
特に、下請代金の支払時に建設副産物の運搬及び処理に要する費用や一方的に提供・貸与した安全衛生保護具等の労働災害防止対策に要する費用等を相殺する(いわゆる赤伝処理)場合には、当該事項の具体的内容を、請負契約の両当事者の対等な立場における合意に基づき、請負契約書に明記すること。
また、請負代金の額を決定する際、下請負人からの見積りを十分に尊重して、双方が合意して契約することが必要である。下請負人と十分な協議をせず、又は下請負人の協議に応じることなく、元請負人が一方的に決めた請負代金の額を下請負人に提示し、その額で下請負人に契約を締結させる行為(いわゆる指値発注)を行うことがないよう留意すること。
当初の契約どおり工事が進行せず、工事内容に変更が生じ、工期又は請負代金の額に変更が生じる場合には、双方の協議による適正な手順により、追加工事又は変更工事(以下「追加工事等」という。)の着工前に書面による変更契約を徹底すること。工事状況により追加工事等の全体数量等が直ちに確定できない場合には、元請負人は、①下請負人に追加工事等として施工を依頼する工事の具体的な作業内容、②当該追加工事等が契約変更の対象になること及び契約変更等を行う時期、③追加工事等に係る契約単価の額を記載した書面を追加工事等の着手前に下請負人と取り交わすこととし、契約変更等の手続きについては、追加工事等の全体数量等の内容が確定した時点で遅滞なく行うこと。また、建設業法第19条の5において規定されている、著しく短い工期による請負契 約の締結の禁止は、発注者と受注者の間のみならず、元請負人と下請負人の間でも適用
されることに留意すること。
なお、建設工事が「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(平成12年法律第104号)の対象建設工事の場合は、分別解体等の方法、解体工事に要する費用、再資源化等をするための施設の名称及び所在地、再資源化等に要する費用について書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならないことに留意すること。
6.建設業の働き方改革に向けた適正な工期設定や週休2日の推進等について
平成31年に施行された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」
(平成30年法律第71号)において、建設業については、平成31年4月より、年5日の年次有給休暇の取得が義務化され、令和6年4月より、罰則付きの時間外労働規制の一般則を適用することとされている。時間外労働の上限規制の適用まで約半年と迫っていることを踏まえ、週休2日の確保や長時間労働の是正、適正な賃金水準の確保等、
関係者と連携しながら建設業の働き方改革を強力に推進することが急務である。そのため、建設業法・建設業法令遵守ガイドライン・工期に関する基準・品確法・品確法基本方針等の趣旨を踏まえ、下請契約の場合においても、適正な工期の確保や適正な請負代金の設定、工事の進捗状況の共有、予定された工期で工事を完了することが困難な場合における適切な工期変更を行い、下請建設企業を含めた週休2日の確保や長時間労働の是正などに努めること。
また、建設業法第19条第1項第4号においては、建設業における週休2日の推進等の観点から、契約書に「工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容」を記載することとされているところである。ただし、この記載は、その内容について契約当事者間で定めない場合には契約書への記載を要しない。例えば、週休2日工事であっても特定の曜日を休日として定めることが困難である場合や、他律的な要因により施工日や時間帯が決まるため、あらかじめ契約当事者間で合意ができない場合などがこれに該当する。
「工事を施工しない日又は時間帯」を定める場合には、あらかじめ自然要因等を考慮する必要があるが、実際には天候等の影響により工程に予期せぬ遅れ等が生じ、あらかじめ定めた「工事を施工しない日又は時間帯」にも施工を行わざるを得ない場合も想定される。このため、必要に応じ、契約書に、『天候等の影響によっては、元請負人と下請負人で協議の上、あらかじめ定めた「工事を施工しない日又は時間帯」にも施工することができる』旨の記載をすること等により柔軟に対応すること。なお、この場合にも、週休2日の確保や長時間労働の是正など働き方改革の必要性に留意すること。
7.施工管理の徹底について
公衆災害や労働災害の防止及び建設生産物の安全性や品質を確保するため、見積・契約時における労働災害防止対策の実施者及びその経費の負担者の明確化、適切な施工計画の作成、工事現場における施工体制の十分な確保、工事全体の工程管理、工事目的物・工事用資材等の品質管理及び工事現場における安全管理等の施工管理のより一層の徹底に努め、発注者の信頼に応えうる適正な施工を確保すること。。
発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、公共工事においては下請契約を締結したとき、民間工事においては下請契約の請負代金の額が4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上となるときは、請負契約書等の写しなど定められた書類を添付した施工体制台帳及び施工体系図の作成、工事現場ごとの備え置き等を徹底すること。また、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(平成12年法律第
127号)において、公共工事の受注者は、施工体制台帳の写しを発注者に提出すること、施工体系図を工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所に掲げることとされているので、併せて徹底すること。さらに、「施工体制台帳の作成等について」(平成
7年6月20日建設省経建発第147号、令和3年3月2日国不建第404~405号改正)においても、現場の施工体制の確認の更なる徹底が求められていることも踏まえ、より一層の下請契約の適正化に努めること。
また、建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)のにより、建設工事の従事
者の適切な処遇改善を図る観点から、建設工事の従事者の氏名や有する資格等の情報を施工体制台帳に記載する点に留意すること。なお、施工体制台帳への記載に代えて、建設キャリアアップシステムに当該情報を登録し、必要に応じて書面に打ち出せるようにすることにより代替できることから、建設キャリアアップシステムを積極的に活用されたい。
加えて、デジタルサイネージ等ICT機器を活用した施工体系図の掲示については、一定の要件を満たす場合、書面による掲示と同等の役割を果たしていると考えられ、建設業法第24 条の8第4項の規定による掲示義務を果たすものと考えて差し支えない。
なお、建設工事の主任技術者の専任等に係る取扱いについては、「建設工事の技術者の専任等に係る取扱いについて」(平成26年2月3日国土建第272号)や「主任技術者又は監理技術者の「専任」の明確化について」(平成30年12月3日国土建第309号)に十分留意すること。
8.検査及び引渡しについて
元請負人は、下請負人から建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、当該通知を受けた日から20日以内で、できる限り短い期間内に検査を完了すること。
また、検査によって建設工事の完成を確認した後、下請負人からの申し出があったときは、特約がされている場合を除いて、直ちに当該建設工事の目的物の引渡しを受けること。
9.下請代金の支払について
建設業法第24条の3において、労働者の雇用の安定を図る観点から、元請負人は、下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切に配慮をしなければならないこととされている。これを踏まえ、少なくとも労務費相当分(社会保険料の本人負担分を含む。)については現金払とするよう支払条件を設定することとし、手形等による支払は慎むこと。労務費相当分(社会保険料の本人負担分を含む。)以外の支払において現金払と手形払を併用する場合には、支払代金に占める現金の比率を高めることに留意すること。
「下請中小企業振興法(昭和45年法律第145号。経済産業省、業所管省庁共管。)第3条第1項の規定に基づく振興基準」(昭和46年3月12日通商産業省告示第82号。以下「振興基準」という。)及び「下請代金の支払手段について」(令和3年3月31日 20210322 中庁第2号・公取企第25号。以下「手形通達」という。)において、下請取 引の適正化に努めるよう要請されているため、元請負人は下請負人に対し、下請代金の 支払をできる限り現金払により行う必要があるとされていることに留意すること。また、手形等で支払う場合には、当該手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて、下 請負人の負担とすることのないよう、これを勘案した下請代金の額を元請負人と下請負 人で十分協議して決定するとされていることに留意すること。当該協議を行う際、元請 負人と下請負人の双方が、手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて具体的に 検討できるように、元請負人は、支払期日に現金により支払う場合の下請代金の額並び
に支払期日に手形等により支払う場合の下請代金の額及び当該手形等の現金化にかかる割引料等のコストを示すこととされていることに留意すること。なお、割引料等のコストについては、実際に下請負人が近時に割引をした場合の割引料等の実績等を聞くなどの方法により把握することが考えられる。加えて、手形期間については60日以内とされていることに留意すること。
手形通達によって要請されている取組に加えて、令和4年7月29日に改正された振興基準において、約束手形をできる限り利用しないよう努めること、サプライチェーン全体で約束手形の利用の廃止等に向けた取組を進めることとされていること、また、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画フォローアップ(令和4年6月7日閣議決定)」において、令和8年の約束手形の利用の廃止等に向けた取組を促進する旨閣議決定されていること、金融業界に対し、令和8年に手形交換所における約束手形の取扱いを廃止することの可否について検討するよう要請されていることを踏まえ、建設業界においても、発注者も含めて関係者全体で、手形の利用廃止等に向けて、前金払等の充実、振込払及び電子記録債権への移行、支払期間の短縮等の取組を進めていくよう努めることが重要であることについても留意すること。
特定建設業者については、下請契約における代金の支払を一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付してはならないことにも留意すること。また、手形等のサイトの短縮について(令和4年2月16日20211206中庁第1号・公取企第131号)において、公正取引委員会及び中小企業庁が、概ね令和6年までに、60日を超えるサイトの約束手形、一括決済方式及び電子記録債権を、下請代金支払遅延等防止法上「割引困難な手形」等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とすることを前提として、同法の運用の見直しの検討を行うこととしていることに留意すること。
下請契約における代金の支払は、請求書提出締切日から支払日(手形の場合は手形振出日)までの期間をできる限り短くすること。また、元請負人が注文者から部分払(出来高払)や完成払を受けた時は、出来形に対して注文者から支払を受けた金額の割合に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から一月以内で、できる限り短い期間内に支払わなければならないことにも留意すること。なお、特定建設業者においては、注文者から支払を受けたか否かにかかわらず、建設工事の完成を確認した後、下請負人が工事目的物の引渡しの申し出を行った日から起算して50日以内で、できる限り短い期間内に下請代金を支払わなければならないと定められている。そのため、特定建設業者の下請代金の支払期限については、注文者から部分払(出来高払)や完成払を受けた日から一月を経過する日か、下請負人が工事目的物の引渡しの申し出を行った日から起算して
50日以内で定めた支払期日のいずれか早い期日となることに留意すること。
なお、前払金を受領した場合には、建設業法第24条の3第3項に基づき、下請負人に対して必要な費用を前払金として適正に支払うよう配慮すること。
また、公共工事に係る前払金については、下請負人、資材業者等に対する前払金の適正かつ確実な支払を確保するため、保証事業会社と保証契約を締結した元請負人は、前払金支払時においては、下請負人、資材業者等の口座への直接振込の方法が基本とされ
ていることを踏まえ、直接振込の実施の徹底を図ること。加えて、中間前金払制度の適用対象工事については、同制度を積極的に活用することにより下請代金が適切に支払われるよう配慮すること。
また、工事が完成し、元請負人の検査及び引渡しが完了した後に、正当な理由なく長期間にわたり下請代金の一部を保留金とすることがないよう徹底すること。
10.下請負人への配慮等について
発注者から直接工事を請け負った元請負人は、全ての下請負人に対し、建設工事の請負代金・賃金の不払等、不測の損害を与えることのないよう十分配慮すること。
また、公共工事等については、「下請セーフティネット債務保証事業」及び「地域建設業経営強化融資制度」を利用した資金調達も可能となっており、その活用による下請負人への支払の適正化に配慮すること。建設工事に従事する建設技能者がその能力や経験に応じた適切な処遇を受けられるようにする建設キャリアアップシステムの活用について、来年4月から原則として建設キャリアアップシステムに蓄積された就業履歴によらなければ建設キャリアアップシステムの能力評価の年数に加算されなくなることも踏まえ、建設キャリアアップカードを保有している建設技能者が適切かつ確実に就業履歴の蓄積ができるよう、元請負人は事業者登録を行った上、現場・契約情報の登録、施工体制登録、カードリーダーの設置等の就業履歴の蓄積が可能な環境整備を図ること。その工事に従事する下請負人に対して、事業者登録及び施工体制への登録、所属技能者の登録を適切に指導するとともに、一人一人の建設技能者が各現場においてカードタッチ等により就業履歴を蓄積するよう適切に指導すること。また、能力評価制度については、技能労働者の能力や経験に応じた賃金の支払いに向けた取組として、標準見積書の活用による能力や経験に応じた賃金が支払われる環境の促進や、能力評価等を反映した手当の支給が進められているところである。さらに、建設業における技能者の処遇改善に向けた取組として、「CCUSレベル別年収」を公表したことも踏まえ、より一層能力評価の周知・普及を行い技能労働者が能力評価を受けられるよう促すこと。また、蓄積した就業履歴と保有する資格によって適切な処遇を受けられるよう、現場でのカードリーダー等の設置を進め、技能者が就業履歴を蓄積できる環境整備を推進すること。加えて、建設業退職金共済制度(以下「建退共制度」という。)について、建退共制度の加入事業者、すなわち共済契約者は、中小企業退職金共済法の規定に基づき、その雇用する者すべてに対して賃金を支払う都度、掛金を納付しなければならない義務があり、その掛金は工事の施工に直接従事する建設労働者に係る必要経費であることに鑑み、建設業法第
19条の3に規定する「通常必要と認められる原価」に含まれるものとして、元請負人及び下請負人において必要経費として適正に確保されるべきものと解される。公共工事においては、積算上、掛金納付に係る事業主負担額が予定価格に反映され、かつ、発注の条件となっている等により普及が進んではいるが、現場の技能労働者一人ひとりに掛金の充当が徹底されるよう、元請負人と下請負人との間における建退共制度関係事務を適切に行うとともに、改めて、元請負人は、下請負人が他の退職金制度を活用している場合等に慣用的に用いられてきた辞退届を使用せず、下請負人から提出される建設業退
職金共済制度加入労働者数報告書を踏まえ、工事に従事する予定の労働者数、対象労働者数及びその就労予定日数の把握に努めること。また、民間工事においては、公共工事に比べて建退共制度の普及が進んでいないことから、元請負人は、掛金納付に係る額を適切に見込んだ工事の見積りを行い、発注者に適切に請求することで事業主負担額分を確保する取組を推進する等、建設技能者が民間工事に従事する場合でも、公共工事と同様に退職金が受取れるような環境の整備に努め、下請負人の資金繰りや雇用確保に十分配慮すること。さらに、元請負人においては、公共工事、民間工事の別を問わず建退共制度の掛金納付を一括して代行しこれを適切に下請負人に交付等を行うことが、合理的かつ効率的な事務処理のみならず、建設労働者の福祉の増進と雇用労働条件の向上に資するものであるので、適切な運用を行えるように努めなければならないことに留意すること。
建退共制度の手続きについては、令和3年4月より、電子申請方式の本格実施及び証紙方式の履行確認強化の運用を開始しており、令和4年8月からは、電子申請方式において元請負人又は一次の下請負人が下位事業者の掛金納付をまとめて実施する、一括作業方式の利用も開始されたところである。元請負人は、建設キャリアアップシステムの積極的な活用に努めるとともに、建退共制度関係事務を受託する場合、工事ごとに電子申請方式と証紙貼付方式のいずれかを選択した上で、下請契約を締結し、又は再下請通知を受ける際に、全ての下請負人に対して当該元請負人が選択した方式によって行うよう求めるなど、建退共制度の適切な運用を行うことに特に留意すること。また、下請負人は元請負人と連携し、建設技能者の就労実績の把握と掛金充当の徹底に努めること。なお、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、下請負人が建設業法第
19条、第24条の3、第24条の5等の規定及び労働基準法等の建設工事に従事する 労働者の使用に関する法令のうち一定の規定等に違反しないよう指導に努めるとともに、建設業法第41条第2項及び第3項の適用があることも踏まえ、下請負人による技能労 働者への賃金不払の防止に努めるなど下請契約の関係者保護に特に配慮すること。
11.技能労働者への適切な賃金の支払について
建設業の高齢化が進行する中、担い手の確保のためには、技能労働者の処遇改善、特に適切な賃金水準を確保することが重要である。品確法及び品確法基本方針においては、市場における労務の取引価格を的確に反映した適正な額の請負代金を定める下請契約の締結や技術者・技能労働者に係る賃金等の労働環境の改善が、元請負人に限らず全ての下請負人も含めた受注者等の責務とされているところである。
また、官民一体となって取り組んできた結果から、平成25年4月以降これまで11度にわたり公共工事設計労務単価が上昇したところであり、その都度、建設業団体あてに「技能労働者への適切な賃金水準の確保について」を通知してきたところである。また、本年3月29日に国土交通大臣と建設業4団体の意見交換会において、今後の担い手確保のため、本年は技能労働者の賃金が概ね5%上昇することを目指して、全ての関係者が可能な取組を進めることとされた。さらに、若い世代が、建設業の技能者として入職し、技能・経験を重ねていけるよう、将来の処遇面でのキャリアパスを示すととも
に、技能・経験に応じた賃金支払いについて目指すべき具体的なイメージを業界全体で共有することを通じて、官民一体となって、賃上げや適正価格での受発注の促進を目指す観点から、本年6月15日には、建設キャリアアップシステム処遇改善推進協議会において、「CCUSレベル別年収」を公表したところである。以上のことを十分に踏まえ、各団体及び建設企業においては、11年続いている好循環の流れが途切れないよう、発注者からの適切な価格での受注、見積依頼・提出を踏まえた双方の協議による適正な手順を経た適切な価格での下請契約の締結、適切な水準の賃金の支払に関する下請負人や再下請負人への要請、重層下請構造の改善などの具体的な取組を展開するとともに、公共工事設計労務単価の上昇を十分に踏まえ、現場を支える技能労働者の隅々まで適切な水準の賃金が支払われるよう最大限努めること。また、技能労働者の能力や経験に応じた賃金の支払いに向けた取組として、一部の元請建設企業においては、建設キャリアアップシステムの能力評価等を反映した手当の支給が進められているところであり、元請建設企業におかれては、このような取組も適宜参考とすること。
また、平成27年3月から「建設業フォローアップ相談ダイヤル」を開設しており、品確法に基づく「発注関係事務の運用に関する指針」(平成27年1月30日公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議申合せ、令和2年1月30日改正)に関する情報、公共工事設計労務単価改定後の請負契約に係る情報、社会保険加入対策に係る情報、受発注者間や元請下請間での価格転嫁に関する相談等、建設業に関する様々な生の声を受け付けているので、当該相談窓口を活用するとともに、引き続きその周知に努めること。
12.消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)の施行について
消費税の軽減税率制度の実施に伴い、令和5年10月1日から消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)が施行されることを踏まえ、国土交通省では、財務省等関係省庁とともに、「消費税の適格請求書等保存方式の導入に関する周知等について」(令和2年7月31日)、「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ
&A」(令和4年1月19日)(以下「Q&A」という。)等により通知してきたところである(インボイスの交付を行うために必要な「適格請求書発行事業者」の登録申請等の手続きについては、国税庁ホームページの「インボイス制度特設サイト」内に掲載されているので参照されたい。
インボイス制度の施行後、元請負人と免税事業者である下請負人との取引については、自己の取引上の地位を不当に利用した行為や優越した地位を濫用した行為は、建設業法や独占禁止法の規定に違反する行為として問題となるため十分留意するとともに、具体の行為はQ&Aに掲載されているので周知に努め、消費税法のほか、独占禁止法及び建設業法といった関係法令の不知による法令違反を防ぎ、元請負人と免税事業者である下請負人との対等な関係の構築及び公正かつ透明な取引の実現を図ること。
また、建設業法違反が疑われる不適切な取引については、各地方整備局等に設置された「駆け込みホットライン」において相談を受け付けているので、当該窓口を活用するとともに、引き続きその周知に努めること。
13.国土交通大臣等への通報を理由とする不利益取扱いの禁止について
改正建設業法第24条の5の規定により、不当に低い請負代金での請負契約の締結、不当な使用資材等の購入強制、正当な理由がない長期の支払い保留など、建設業法上の義務違反行為を元請負人が行ったという事実を下請負人が国土交通大臣等に通報したことを理由として、当該下請負人に対して、取引の停止その他の不利益な取扱いをしてはならないことに留意すること。
14.関係者への配慮について
下請中小企業振興法は、下請中小企業を育成・振興する支援法としての性格を有する法律であり、広く下請振興を図る観点から、全ての取引が対象となっており、建設工事の請負契約の元請・下請間だけでなく、建設工事に関係する、資材業者、建設機械又は仮設機材の賃貸業者、警備業者、運送事業者及び建設関連業者等との取引においても、振興基準に示す、対価の決定の方法の改善、下請代金の支払方法の改善及び働き方改革の促進を阻害する取引慣行の改善等の配慮を徹底し、下請中小企業を含むサプライチェーン全体で付加価値向上を目指すことができるような、親事業者と下請事業者の相互理解と信頼によって支えられる互恵的な取引関係を構築すること。また、上記1から13までの事項に準じた配慮をすること。
