Contract
2022 年 3 月 30 日
各 位 株式会社 三十三銀行
中央建設株式会社との「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約締結について
株式会社三十三銀行(頭取:xx xx)は、持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、中央建設株式会社(社長:xxx xx)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたのでお知らせいたします。
本件の取り組みにあたっては、株式会社三十三総研(社長:xx xx)がインパクト分析・特定のうえ評価書を作成し、株式会社日本格付研究所がポジティブ・インパクト金融原則との適合性を確認しました。今後も「三十三フィナンシャルグループSDGs宣言」のもと、企業活動を通じてSDGsの達成に貢献することで、持続可能な社会の実現に努めてまいります。
(※) 企業活動が「社会・経済・環境」のいずれかに与えるインパクトを包括的に分析・特定し、ポジティブインパクトが期待できる活動と、ネガティブインパクトを低減する活動を支援するもので、借入人様によるSDGs達成への貢献度合いを評価指標とし、借入人様から情報開示を受けながら当行がその過程を定期的にモニタリングするものです。
1. 融資概要
(1) | 契約日 | 2022年3月30日 |
(2) | 融資金額 | 100百万円 |
(3) | 期間 | 7年 |
(4) | 資金使途 | 運転資金 |
2. | 借入人概要 | |
(1) | 企業名 | 中央建設株式会社 |
(2) | 所在地 | xxxxxxxxxxx0000 |
(3) | 事業内容 | 土木工事業、建築工事業 |
1952年創業。東海エリアを中心に、道路や下水道など公共工事、宅地造成、大型施設の建設工事を行う建設業者である。 同社の事業部門は、コンクリート圧送・打設を行う打設部と、各種建設工事を行う工事部に分かれており、各部門が幅広いニーズに対応可能な設備、人材を備えている。 特に、コンクリート圧送・打設を得意とし、全国トップクラスの規模を誇る。 |
(4) 従業員数
(5) 資本金
(6) 売上高
( コンクリートポンプ車の作業状況 )
66名(2022年3月)
94百万円
2,448百万円(2021年7月期)
3. 特定インパクトと測定するKPI
(1) 経済面 経済収束(ポジティブ)
① 各種工事の施工を通じて、地域インフラの開発へ貢献
・2029年までに、元請工事を56件受注する
(過去7年実績:38件)
② 様々な地域の圧送業者と人材交流を行い、業界全体の技術力向上を図る
・2029年までに、他地域の人材を42名受け入れる
(過去4年実績:22名)
(2) 社会面 教育(ポジティブ)、雇用(ポジティブ)
① 業務に関連する資格について、過去問題や論文の添削などのサポートを行うことで資格者数を増加させる
・2029年までに、登録コンクリート圧送基幹技能者を5名増加させる
・2029年までに、1級コンクリート圧送施工技能士を10名増加させる
・2029年までに、1級土木施工管理技士を2名増加させる
・2029年までに、1級建設機械施工技士を2名増加させる保健・衛生(ネガティブ)、雇用(ネガティブ)
① 安全パトロールの実施や、安全具や空調服の支給を行うことで、職場の安全・衛生管理を徹底し労働災害を抑制する
・重大な労働災害を0件とする
(3) 環境面 大気(ネガティブ)
① 車両からの大気汚染物質の排出を抑制するため、クリーンディーゼル車両を導入する
・2029年までに、クリーンディーゼル車両を10台導入する
4. お問い合わせ先
(1) 三十三銀行 担当部署担当者 | ソリューション営業部xx | 営業企画部xx・松山 |
連絡先 | 059-354-7144 | 059-354-7120 |
(2) 三十三総研 | ||
担当部署 | 調査部 | コンサルティング部 |
担当者 | xx | 福井 |
連絡先 | 059-354-7102 | 059-351-7417 |
以 上 |
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
2022 年 3 月 30 日 株式会社三十三総研
三十三総研は、三十三銀行が、中央建設株式会社に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するにあたって、中央建設株式会社の活動が、環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響およびネガティブな影響)を分析・評価しました。
分析・評価にあたっては、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」及びESGハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブ・インパクト・ファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、中小企業※1に対するファイナンスに適用しています。
※1 IFC(国際金融公社)または中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業
目次
1.評価対象の概要 2
2.中央建設株式会社の概要 2
2-1.基本情報
2-2.事業内容
2-3.経営方針 事業活動
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性 12
3-1.経済面のインパクト
3-2.社会面のインパクト
3-3.環境面のインパクト
4.測定するKPIとSDGsとの関連性 15
4-1.経済面(ポジティブ)
4-2.社会面(ポジティブ)
4-3.社会面(ネガティブ)
4-4.環境面(ネガティブ)
4-5.その他KPIを設定しないインパクトについてSDGsとの関連性
5.サスティナビリティ管理体制 19
6.モニタリング 19
7.総合評価 19
1.評価対象の概要
企業名 | 中央建設株式会社 |
借入金額 | 100,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
契約日及び返済期限 | 2022 年3月 30 日 ~ 2029 年3月 30 日 |
2.中央建設株式会社の概要
2-1.基本情報
本社所在地 | xxxxxxxxxxx 0000 |
営業所 | 名古屋営業所(愛知県xx市)、伊勢営業所(三重県伊勢市) |
従業員数 | 66 名(2022 年3月) |
資本金 | 94 百万円 |
業種 | 土木工事業、建築工事業 |
主要取引先 | 【主な工事受注先】 国、都道府県、市町村等の官公庁、㈱大林組、鹿島建設㈱、㈱xx工務店、xx建設㈱、xx建設㈱、㈱フジタ、五洋建設㈱、飛島建設㈱ 他 |
沿革 | 昭和 27 年 四日市市xx町に中央建設株式会社を設立代表取締役にxxx xxxが就任 昭和 38 年 代表取締役にxx xxxが就任(xxxxと共同代表)xxx年 代表取締役にxx xxが就任 平成 2 年 代表取締役にxxx 員xxが就任 平成 16 年 本社を現在の四日市市xx部町へ移転 名古屋市緑区に名古屋営業所を開設平成 18 年 伊勢市xx町に伊勢営業所を開設 平成 25 年 xxx xxxが代表取締役社長に就任xxx 員xxが代表取締役会長に就任 平成 29 年 名古屋中小企業投資育成株式会社より出資を受ける令和 3 年 名古屋営業所を現在のxx市莪原町へ移転 |
2-2.事業内容
イオン津南 新築工事 (三重県津市)
JPタワー 新築工事 (愛知県名古屋市)
中央新幹線 非常口新設工事
北陸新幹線 各所上部工事
新東名高速道路 各所上下部工事
中央建設株式会社(以下、中央建設)は三重県四日市市に本社を置き、東海エリアを中心
に、道路や下水道など公共工事、宅地造成、大型施設の建設工事を行う建設業者である。
同社の事業部門は、コンクリート圧送・打設を行う打設部と、各種建設工事を行う工事部に分かれており、各部門が幅広いニーズに対応可能な設備、人材を備えている。
特に、コンクリート圧送・打設を得意とし、全国トップクラスの規模を誇っている。同社は、多様なコンクリートポンプ車、コンクリートディストリビューターを保有しており、高強度コンクリート、高層圧送、長距離圧送施工など幅広いニーズに対応している。
業界内の知名度も高く、前会長が(一社)全国コンクリート圧送事業団体連合会会長を務めるなど、リーディングカンパニーとして業界をけん引する役割を担っており、全国の圧送業者と
の人材交流も積極的に行っている。
打設部
打設部では、小型 4t車から大型 47mブーム車、長距離配管用の高圧ポンプ車など多数のポンプ車を保有しており、突貫工事、大型ショッピングセンターや高層ビル工事等を行っている。
【施工実績】
<建築工事>
三井住友不動産ららぽーとxx 新築工事
(xxxxxxxxx)
xxxxxxxxxxx 新築工事
(三重県四日市市)
グローバルゲートタワー
<土木工事>
新築工事
(愛知県名古屋市)
武豊火力発電所
土木工事
(愛知県知多郡武豊町)
東海環状自動車道 各所上下部工事
新名神高速道路
各所上下部工事
【保有機器】
<コンクリートポンプ車> 全 35 台
メーカー | 台数 | ブームの 長さ(m) | 排出量 (㎥/h) | 排出圧 (Mpa) |
EVERDIGM | 15 台 | 26~47 | 110~160 | 7~22 |
べトンスター | 1 台 | 37 | 140 | 8.1 |
プツマイスター | 3 台 | 36 | 68~160 | 8.5~22 |
極東開発工業 | 16 台 | 17~28 | 50~135 | 1.8~13 |
<コンクリートディストリビューター> 全 3 台
メーカー | 台数 | ブームの長さ(m) |
ブームマキナ | 2 台 | 18~32 |
プツマイスター | 1 台 | 13 |
<定置式コンクリートポンプ>
メーカー | 台数 | 排出量 | コンクリート 圧力 |
EVERDIGM | 1 台 | 100 ㎥/h | 150bar |
コンクリートポンプ車
コンクリートディストリビューター
工事部
工事部では、各種建設工事に対応できる重機・車両を保有し、道路建設工事、護岸工事、橋梁下部工事、造成工事、上下水道工事の様々な施工管理・施工を行っている。
【施工実績】
<元請工事>
川越取水所施設撤去工事
西xx汚水管渠布設工事
三重xx緑地災害復旧工事 垂坂汚水管渠布設工事
xx 8 号線舗装整備工事
東垂坂汚水管渠布設工事
xxx圧水槽耐震補強工事 xxxxx中央線舗装整備工事
道路路面清掃業務委託
吉崎ポンプ場土木下部工事
新名神高速道路
菰野工区・四日市北工区・xx工区
<下請工事>
雲出xxxx津下流部高潮堤防工事
xx地区海岸高潮対策工事
xxx耐震補強工事
名二環xxxx交差点南基礎工事
松阪多気BPxxx地区道路建設工事xxBP鈴鹿地区道路建設工事
1 号xx橋耐震補強工事新xx開発工事
【保有機器】
<重機>
機種 | メーカー | 仕様 | バケット容量 | 台数 |
油圧ショベル | CAT | クレーン仕様 | 0.2~0.7 ㎥ | 6 台 |
解体仕様 | 0.18~0.2 ㎥ | 2 台 | ||
標準機 | 0.12 ㎥ | 1 台 | ||
コマツ | 標準機 | 0.1 ㎥ | 1 台 | |
ブルドーザー | CAT | 湿地仕様 | ― | 1 台 |
ホイルローダー | CAT | ― | 0.4、2.7 | 2 台 |
破砕機 | CAT | ― | BH0.4 ベース | 1 台 |
機種 | 台数 | 機種 | 台数 |
10tダンプトラック | 4 台 | 11tユニック車 | 1 台 |
4tダンプトラック | 2 台 | 4tユニック車 | 2 台 |
3tダンプトラック | 1 台 | 道路清掃車 | 1 台 |
2tダンプトラック | 2 台 | 散水車 | 1 台 |
<工事用車両>
2-3.経営方針 事業活動
【企業理念】
1 環境にやさしく、高品質で高付加価値な製品/サービスを提供する。
2 地域社会の発展に貢献する。
3 社員の「個」を尊重して、自主性を発揮できる職場環境を目指す。
同社は上記の企業理念にもとづき、人と、街と、暮らしの環境づくりを目指し、三重県四日市市を中心とし、快適でゆとりある生活を送るために、時代の要請に応え、生コンクリートの圧送工事から一般土木工事を中心に幅広く地域開発に貢献する企業として事業を展開している。
【従業員教育の充実】
コンクリート打設工事は、品質の変わりやすい生コンクリートをポンプ車によって圧送するため、十分な経験・知識、高度な技術が求められる。同社では、人員配置などを工夫することで、技能実習生を含めた若手従業員に対して入社5年目以上の従業員が教育することができる体制を構築している。加えて、圧送技能士については、年に一度全国生コンクリート圧送事業団体連合会(全圧連)が行う「全国統一安全・技術講習会」に参加している。コンクリート圧送作業における新しい安全管理や技術について学ぶことで従業員のレベルアップを図っている。
また、業務に関連する資格の取得に対するサポートも行っている。試験の過去問題や論文の添削を行うほか、合格者に対しては会社が受験料を全額負担している。こうした取り組みの結果、打設部では「1級コンクリート圧送施工技能士」や「登録コンクリート圧送基幹技能者」、工事部では「1級土木施工管理技士」や「1級建設機械施工技士」など専門的な資格取得者を多く有しており、技術力の向上に繋がっている。
〈各種資格取得者数(一部抜粋)〉
部門 | 資格 | 人数 |
打設部 | 登録コンクリート圧送基幹技能者 1級コンクリート圧送施工技能士 | 19 25 |
工事部 | 1級土木施工管理技士 1級建設機械施工技士 | 8 4 |
【他地域の圧送業者との交流】
同社は、他地域のコンクリート圧送業者との人材交流を積極的に行っている。背景には、前会長が全圧連の会長を務めていたことや関連会社の㈲べトンテックがコンクリートポンプ車の販売を全国で行っていることによる各地の業者との繋がりがある。2019 年より同業者からの人材受け入れを開始し、現在は九州から8名、沖縄から2名、北海道から2名の人材を受け入れている。こうした取り組みは、他地域の人材とともに仕事をすることにより同社の従業員にとって技術の幅を広げる機会となるほか、受け入れた人材にとっても同社が手掛ける大型工事や特殊工事に携わることで技術の習得が期待され、業界全体の技術力向上に資すると考えられる。
〈人材受け入れ状況〉
年 | 人数 |
2019 | 2 |
2020 | 2 |
2021 | 8 |
2022 | 10 |
【被災地域への協力】
同社は災害時における被災地の復旧活動への協力を積極的に行ってきた。代表的なものとして、東日本大震災に伴う津波被害を受けた福島第一原子力発電所事故へポンプ車両を提供したことが挙げられる。また、この取り組みをきっかけに、三重県や四日市市と災害協定を締結している。地震や大規模火災などの災害によりコンクリートポンプ車が必要となった際に、自治体からの要請に迅速に応じられる体制を構築している。
〈三重県との災害協定〉
【職場の安全・衛生管理の徹底】
同社では、事故のない安全な施工を第一に考えている。毎年度「安全衛生年間計画」を作成し、安全衛生水準の向上や法令の遵守、安全衛生教育の徹底などを掲げた「安全衛生基本方針」の下、「安全衛生管理目標」や「安全衛生活動」など、実際の目標や活動に落とし込み、毎月の実施事項として取り組んでいる。
また、各拠点に安全衛生委員会を設置し様々な活動を行っている。具体的な取り組みとしては「安全パトロール」が挙げられる。安全衛生委員会が担当となり、現場の指導や支援に当たっている。また、墜落制止用器具の規格改正に伴い、新規格に対応した器具を全員に支給したほか、夏場は熱中症対策として空調服を支給している。こうした取り組みの結果、近年における労働災害の発生件数は年1回以下と低水準で推移している。
【環境に配慮した工事の実施】
(1)クリーンディーゼル車両の導入
同社では、事業に伴う大気汚染物質の排出を抑制するため、クリーンディーゼル車両を積極的に導入している。所有するコンクリートポンプ車 35 台のうち、現時点で 20 台がクリーンディー
ゼル車両となっているほか、今後7年間でさらに 10 台導入する見込みとなっている。
(2)省燃費運転の推進
同社では施工や移動時の省燃費運転を推進している。具体的にはアイドリングを必要最低限とすることや、加減速を繰り返すといった波状運転の防止、赤信号手前での早めのアクセル解除による惰力運転の多用などの省燃費運転のポイントを各運転者へ周知している。
【残コンクリートの削減と適切な処理】
コンクリート打設工事により発生する廃棄物として、残コンクリートが大きな問題となっている。残コンクリートが発生する主な要因には先行モルタルが挙げられる。コンクリートを打設する際に用いられる圧送車は、生コンクリートを直接配管へ通すと配管内が閉塞してしまうため、それらを防ぐため砂利のないセメント・砂・水だけの生コンを事前に通す。この先行モルタルは、打設に用いることができずほとんどが廃棄物となる。一つの現場で発生する先行モルタルは約1トンに及ぶ。こうした問題に対して同社では、先行モルタルに変えて、圧送用先行剤(ルブリ)を用いることで廃棄物の発生量を抑制している。
また、同社は三井マシナリー社製の「残コンクリート・濁水処理設備」を導入し、打設工事後にコンクリートポンプ車内に残ったコンクリートやそれらを洗浄するために使用した水の適切な処理・再利用を行っている。残コンクリート・濁水処理設備では、まず、原水から砂利と砂を分別する。分別された砂利、砂は建設資材として再利用され、残ったスラリーは廃棄物となるものの、最小限の量とするため脱水処理を行ったうえで廃棄される。さらに、xxxは沈砂池で沈砂させ、PH飽和装置で中和したうえで放流される。また、xxxの一部は車両の洗浄水として再利用することで水資源の保全を図っている。
〈残コンクリート・濁水処理施設の工程〉
洗車場 原水ピット
原水ピットに残コンクリートと洗浄水が集められる。
残
コン
・洗
浄x
xxxの一部は洗浄水として再利用。
濃縮撹拌機 分級機
xxxは中和したうえで放流。
沈砂池・PH 中和装置
xxx
脱水ケーキ
脱水ケーキピット
スラリー
砂利・砂とスラリーを分別。
砂利
・砂
砂利・砂ピット
スラリーを脱水することで、廃棄物量を低減。
砂利・砂は建設資材として再利用。
【再生可能エネルギーの創出】
同社は四日市市xxxxx阿倉川の遊休地にxxx発電システムを設置し、再生可能エネルギーの創出を行っている。年間の発電量は約 133 万 kwh であり、中部電力へ売却することで一般家庭などでの再生可能エネルギー利用量の増加へ貢献している。
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性
※色の濃い項目が同社のインパクト領域
本ファイナンスでは、中央建設の事業について、国際標準産業分類における「土木工事業」、「建築工事業」として整理された。その前提のもとでのUNEP FIのインパクト分析ツールを用いた結果、「水」「住居」「保健・衛生」「雇用」「エネルギー」「移動手段」「情報」「包摂的で健全な経済」「経済収束」に関するポジティブ・インパクト、「保健・衛生」「雇用」「エネルギー」「文化・伝統」「人格と人の安全保障」「水(質)」「大気」「土壌」「生物多様性と生態系サービス」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」「経済収束」に関するネガティブ・インパクトが分析された。
一方、事業活動等を踏まえ、本ファイナンスで特定された同社のインパクトは以下の通りである。
経済面では、被災地域への協力体制を構築していることが「包摂的で健全な経済」、生コンクリート圧送工事や一般土木工事で地域のインフラ開発に貢献していることや、他地域の圧送業者との積極的な人材交流により業界全体の技術力向上を図っていることが「経済収束」に関するポジティブ・インパクトが想定される。
社会面では、若手従業員に対する教育体制の構築や資格取得のサポートが「教育」、「雇用」に関するポジティブ・インパクトであると想定される一方、安全パトロールの実施や墜落静止用器具・空調服等の支給といった職場の安全・衛生管理の徹底が「保健・衛生」「雇用」、省燃費運転のポイント周知による車両の燃費向上が「エネルギー」に関するネガティブ・インパクトを低減させている。
環境面では、再生可能エネルギーの創出が「気候」に関するポジティブ・インパクトであると
想定される一方、クリーンディーゼル車両の導入や省燃費運転の推進、圧送用先行剤の利用による残コンクリートの削減、「残コンクリート・濁水処理設備」による資源の再利用や廃棄物・水の適切な処理が「水(質)」「大気」「土壌」「生物多様性と生態系サービス」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」に関するネガティブ・インパクトを低減させている。
なお、インパクト分析ツールで発出したネガティブ・インパクトのうち、同社のインパクトと特定しなかったものについては、以下記載の理由に基づく。
同社は、有形文化財がある場所での開発を行っていないほか、強制労働・児童労働などの問題もない。また、寡占などxxな競争を阻害する問題もないことから「文化・伝統」「人格と人
の安全性」「経済収束」に関するネガティブ・インパクトは特定しない。
3-1.経済面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
(ポジティブ) 包摂的で健全な経済経済収束 | 被災地域への協力 | ・福島第一原子力発電所事故へポンプ車両を提供 ・三重県、四日市市と災害協定を締結 |
地域インフラ開発への貢献 | ・東海エリアを中心に、生コンクリート圧送工事や一般土木工事で地域のインフラ開発へ貢献 | |
他地域の圧送業者との交流 | ・全国のコンクリート圧送業者から人材を受け入れることで、同社従業員を含めた業界全体の技術力向上を図る |
3-2.社会面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
(ポジティブ)教育 雇用 | 従業員教育の充実 | ・人員配置の工夫による、若手従業員に対する教育体制の構築 ・業務関連の資格取得のサポート |
(ネガティブ)xx・xx雇用 エネルギー | 職場の安全・衛生管理の徹底 | ・安全パトロールの実施 ・新規格に対応した墜落制止用器具の支給 ・夏場の熱中症対策として空調服を支給 |
省燃費運転の推進 | ・運転者に対する省燃費運転のポイント周知による車両の燃費向上 |
3-3.環境面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
(ポジティブ)気候 | 再生可能エネルギーの創出 | ・遊休地に設置したxxx発電システムで、年間約 133 万 kwh の再生可能エネルギーを 創出 |
(ネガティブ)水(質) 大気 土壌 生物多様性と生態系サービス 資源効率・安全性気候 廃棄物 | クリーンディーゼル車両の導入 省燃費運転の推進 残コンクリートの削減と適切な処理 | ・コンクリートポンプ車 35 台のうち 20 台がクリーンディーゼル車両 ・運転者に対する省燃費運転のポイント周知による車両の燃費向上 ・圧送用先行剤の使用による残コンクリート発生量の抑制 ・「残コンクリート・濁水処理設備」による資源 の再利用や廃棄物・水の適切な処理 |
4.測定するKPIとSDGsとの関連性
中央建設は、本ファイナンス期間において以下の通りKPIを設定する。
経済面では、各種工事を通じた地域のインフラ開発への貢献が期待されるほか、様々な地域の圧送業者との積極的な人材交流を通じて施工技術や知識の共有を行うことで、業界全体の技術力向上につながることが期待されることから、元請工事の受注件数や他地域からの人材受け入れの増加を目標として設定する。
社会面では、教育の充実を図ることにより従業員の能力向上を目指すほか、安全・衛生管理を徹底することでより働きやすい環境を構築するため、各種資格の取得者数の増加や重大な労働災害の発生抑制を目標として設定する。
環境面では、車両から排出される大気汚染物質を低減するため、クリーンディーゼル車両の導入台数を目標として設定する。
その他、同社がインパクトとして特定した項目の中でKPIとして目標を設定しなかったものについては以下の考え方に基づいている。
ポジティブ・インパクトについて、経済面の「包摂的で健全な経済」は、三重県や四日市市との災害協定の継続を、環境面の「気候」は保有するxxx発電システムによる再生可能エネルギーの発電状況を引き続き確認していく。
ネガティブ・インパクトについて、社会面の「エネルギー」と環境面の「気候」は省燃費運転の推進状況を、環境面の「水(質)」「土壌」「生物多様性と生態系サービス」「資源効率・安全性」
「廃棄物」は先行圧送剤の使用による廃棄物の削減や、「残コンクリート・濁水処理設備」によ
る資源の再利用、水や廃棄物の適切な処理の継続をそれぞれ確認していく。
4-1.経済面(ポジティブ)
特定インパクト | 経済収束 | |
取組、施策等 | 【地域インフラ開発への貢献】 ・各種工事の施工を通じて、地域インフラの開発へ貢献する 【他地域の圧送業者との交流】 ・様々な地域の圧送業者と人材交流を行い、業界全体の技術力向上を図る | |
借入期間におけるKPI | ・2029 年までに、元請工事を 56 件受注する(過去7年実績: 38 件) ・2029 年までに、他地域の人材を 42 名受け入れる(過去4年 実績:22 名) | |
関連するSDGs | 8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。 17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官 民、市民社会のパートナーシップを奨励・ 推進する。 |
4-2.社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 教育 雇用 | |
取組、施策等 | 【従業員教育の充実】 ・業務に関連する資格について、過去問題や論文の添削などのサポートを行うことで取得者数を増加させる | |
借入期間におけるKPI | ・2029 年までに、登録コンクリート圧送基幹技能者を5名増加させる ・2029 年までに、1級コンクリート圧送施工技能士を 10 名増加させる ・2029 年までに、1級土木施工管理技士を2名増加させる ・2029 年までに、1級建設機械施工技士を2名増加させる | |
関連するSDGs | 4.4 2030 年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成 人の割合を大幅に増加させる。 |
4-3.社会面(ネガティブ)
特定インパクト | 保健・衛生 雇用 | |
取組、施策等 | 【職場の安全・衛生管理の徹底】 ・安全パトロールの実施や、安全具や空調服の支給を行うことで、職場の安全・衛生管理を徹底し労働災害を抑制する | |
借入期間におけるKPI | ・重大な労働災害を0件とする | |
関連するSDGs | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な 労働環境を促進する。 |
4-4.環境面(ネガティブ)
特定インパクト | 大気 | |
取組、施策等 | 【クリーンディーゼル車両の導入】 ・車両からの大気汚染物質の排出を抑制するため、クリーンディーゼル車両を導入する | |
借入期間におけるKPI | ・2029 年までに、クリーンディーゼル車両を 10 台導入する | |
関連するSDGs | 11.6 2030 年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当 たりの環境上の悪影響を軽減する。 |
4-5.その他KPIを設定しないインパクトについてSDGsとの関連性
事業活動 | 関連するSDGsのターゲット | SDGsの ゴール |
〈経済面〉 被災地域への協力 | 11.5 2030 年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。 11.b 2020 年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靭さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び 人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災 |
枠組 2015-2030 に沿って、あらゆるレベルでの総 合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。 | ||
〈社会面〉 省燃費運転の実施 | 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。 | |
〈環境面〉 再生可能エネルギーの創出 | 7.2 2030 年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。 | |
省燃費運転の推進 | 13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善 する。 | |
残コンクリートの削減と適切な処理 | 6.3 2030 年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減 する。 |
5.サスティナビリティ管理体制
中央建設では、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、xxx社長を責任者とし、xxxxを中心に日々の業務やその他活動を棚卸することで、自社の事業活動とインパクトレーダーとの関連性について検討をした。
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスの実行後、返済期限までの間においても、xxx社長
とSDGs管理部を中心に、KPIの達成を図っていく。
最高責任者 | 代表取締役社長 xxx xx |
管理責任者 | 常務取締役 xx xx |
担当部 | SDGs管理部 |
6.モニタリング
本件で設定したKPIの進捗状況は、中央建設と三十三銀行の担当者が年に1回以上の会合を設けることで確認する。モニタリングの結果、当初想定と異なる点があった場合には、三十
三銀行は、同社に対して適切な助言・サポートを行い、KPIの達成を支援する。
7.総合評価
本件はUNEP FIの「ポジティブ・インパクト金融原則」に準拠した融資である。中央建設は、
上記評価の結果、本件融資期間を通じてポジティブな成果の発現とネガティブな影響の低減に努めることを確認した。また、三十三銀行は年に1回以上その成果を確認する。
本評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、三十三総研が、三十三銀行から委託を受けて作成したもので、三十三総研が三十三銀行に対して提出するものです。
2.三十三総研は、依頼者である三十三銀行および三十三銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する中央建設から供与された情報と、三十三総研が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG金融ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書の提供を受けています。
〈本件問合せ先〉
株式会社三十三総研
調査部 研究員 xx xx
x000-0000
xxxxxxxxxx 00 x 00 xxxxxxx0x
TEL:000-000-0000 FAX:000-000-0000
第三者意見書
2022 年 3 月 30 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 中央建設株式会社に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社三十三銀行 |
評価者:株式会社三十三総研 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、三十三銀行が中央建設株式会社(「中央建設」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、株式会社三十三総研による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定したPIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシア ティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、イ ンパクト分析ツールを開発した。三十三銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際 し、三十三総研と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国 内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分 析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、 中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、三十三銀行及び三十三総研 にそれを提示している。なお、三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義 を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義 する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とした中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
三十三銀行及び三十三総研は、本ファイナンスを通じ、中央建設の持ちうるインパクトを、 UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析 を行った。
この結果、中央建設がポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、三十三銀行が PIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(出所:三十三銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、三十三銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、三十三銀行からの委託を受けて、三十三総研が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めたPIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て三十三総研が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、三十三総研が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人である中央建設から貸付人である三十三銀行及び評価者である三十三総研に対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
Japan Credit Rating Agency, Ltd.
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・xxな立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候変動イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:00-0000-0000 FAX:00-0000-0000
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