Contract
工事請負代金の債権譲渡の承諾に係る取扱いについて
3 xx総第 102 号
令和 3 年 4 月 23 日
多摩市(以下「市」という。)は、市と工事請負契約(以下「請負契約」という。)を締結している請負事業者のうち中小・中堅元請建設事業者(原則として資本の額若しくは出資の総額が 20
億円以下又は常時使用する従事員の数が 1,500 人以下の建設業者。以下「受注者」という。)が、
「下請セーフティネット債務保証事業(平成 11 年 1 月 28 日付け建設省経振発第 8 号通知)」、又
は、「地域建設業経営強化融資制度(平成 20 年 10 月 17 日付け国総建第 197 号、国総建整第 154
号通知)」による融資を利用する場合において、工事請負契約書第 5 条第 1 項ただし書に基づき工事請負代金債権の譲渡を承諾することとし、承諾に関し必要な事項を次のとおり定めるものとする。
(対象工事)
第1条 債権譲渡の承諾の対象となる工事は、以下の全てに該当する工事とする。
(1) 請負金額が 1,000 万円以上の建設工事であること。
なお、契約変更により請負金額が変更された場合は、債権譲渡の承諾申請を行った時点における変更後の請負金額が 1,000 万円以上であること。
(2) 対象工事の進捗率が全体の概ね 50%以上であること。
(3) 債権譲渡の承諾に係る年度内に完了が見込まれる工事であること。
債務負担行為に係る工事又は前年度から繰り越される工事にあっては、債権譲渡の承諾申請時点において、次年度に工期末を迎え、かつ、残工期が1年未満の工事であること。
(4) 以下に掲げる事項に該当しないこと。
ア 当該請負契約の履行期限まで 2 週間に満たない場合イ あらかじめ債権譲渡を禁止する旨の定めのある場合
ウ 履行保証を付したもののうち、市が役務保証を必要とする場合
エ その他、請負事業者の施工能力に疑義が生じているなど、債権譲渡を認めることが不適当と判断される場合
(債権譲渡の範囲)
第2条 債権譲渡の承認の対象となる工事請負代金債権の額は、当該工事が完成した場合において、工事請負契約書第 31 条第 2 項の検査に合格し引渡しを受ける出来形部分に相応する工事請負代金から、既に支払をした前払金、中間前払金、部分払金及び請負契約により発生する市の請求権に基づく金額を控除した額とする。
ただし、請負契約が解除された場合においては、工事請負契約書第 45 条第1項の出来形部分の検査に合格し引渡しを受けた出来形部分に相応する工事請負代金から既に支払をした前払金、中間前払金、部分払金及び請負契約により発生する市の請求権に基づく金額を控除した額とする。
2 債権譲渡承諾後に当該請負契約に変更が生じ、工事請負代金が増減した場合の工事請負代金債権の額は、債権譲渡承諾時の工事請負代金債権の額に契約変更により増額又は減額された後の額とする。
(債権譲渡人及び債権譲受人)
第3条 市が債権譲渡を承諾する工事請負代金債権の譲渡人は、下請セーフティネット債務保証事業又は地域建設業経営強化融資制度による融資を利用しようとする元請事業者(以下「債権譲渡人」という。)とし、工事請負代金債権の譲受人は、事業協同組合(事業協同組合連合会等を含む。以下同じ。)又は一般財団法人建設業振興基金(以下、「振興基金」という。)が被保険者として適当と認める民間事業者であって、受注者への資金供給の円滑化に資する資金の貸付事業(中小・中堅元請建設業者に対する電子記録債権(電子記録債権法(平成19年法律第102号)第2条第1項に規定する電子記録債権をいう。以下同じ。)の発行及び特定目的会社に対する電子記録債権発行に関する指示を含む。)を行う者(以下「組合等」という。)とする。
(工事請負代金債権の担保の範囲)
第4条 譲渡債権は、下請セーフティネット債務保証事業の場合にあっては、当該工事に係る貸付金及び元請事業者倒産時の当該工事に係る下請負人等の債権を担保するものであり、地域建設業経営強化融資制度にあっては、当該工事に係る貸付金及び保証事業会社が当該工事に関して債権譲渡人に対して有する金融保証に係る求償債権を担保するものであって、債権譲受人又は保証事業会社が債権譲渡人に対して有するその他の債権を担保するものではない。
(債権譲渡を承諾する時点)
第5条 債権の譲渡を承諾する時点は、当該工事の出来高が概ね 50%を超えたと認められる日以降とする。
2 出来高の確認は、市が請負事業者から提出させた月別の工事進捗率を記した工事履行報告書
(様式7)により行うこととする。
(融資時の出来高確認)
第6条 債権譲渡契約の締結や融資審査手続等において出来高確認が必要な場合は、債権譲受人が当該出来高確認を行うものとする。
2 前項による出来高確認を行うに当たり現場確認の必要がある場合には、債権譲受人は、工事出来高確認協力依頼書(様式5)を提出するものとする。
3 前項の工事出来高確認協力依頼書の提出があった場合は、工程に支障のない範囲で工事現場への立入りを承認する。
(債権譲渡の承諾に係る事務担当)
第7条 債権譲渡の承諾に係る事務については、契約担当部署において処理するものとし、債権譲渡の承諾に関する全ての事務手続は、契約担当部署を窓口とする。
(債権譲渡の承諾申請)
第8条 債権譲渡をしようとする請負事業者は、下請セーフティネット債務保証事業又は地域建設業経営強化融資制度のいずれかを選択し、債権譲受人との間に、選択した制度に係る市の債権譲渡の承諾があったことを停止条件とする債権譲渡契約を締結するものとする。
2 債権譲渡の承諾申請に際しては、債権譲渡人と債権譲受人が共同して次の書類を提出するものとする。書類の提出に際しては、契約担当部署に持参するものとし、郵送による提出は認めない。
ただし、共同して持参できない場合は、委任状(様式3)を提出することにより、単独で提出することができるものとする。
(1)債権譲渡承諾依頼書 3 通
ア 下請セーフティネット債務保証事業を選択する場合 様式1イ 地域建設業経営強化融資制度を選択する場合 様式2
(2)締結済の債権譲渡契約証書の写し 1通
ア 下請セーフティネット債務保証事業を選択する場合
公共工事に係る工事請負代金債権の譲渡を活用した融資制度に係る事務取扱いについて(平成 14 年 12 月 18 日付け国官会第 1812 号、国地契第 61 号、国官技第 230 号、国営計第 138 号。以下「下請セーフティネット事務取扱通知」という。)記 6(2)に定める様式
3-①又は様式 3-②を準用することとし、国土交通省において当該通知が改正された場合は、改正後の通知に基づくものとする。
イ 地域建設業経営強化融資制度を選択する場合
地域建設業経営強化融資制度に係る事務取扱いについて(平成 20 年 10 月 17 日付け国
官会第 1255 号、国地契第 34 号、国官技第 171 号、国営計第 61 号。以下「地域建設業経営強化融資制度事務取扱通知」という。)記 6(2)に定める様式3を準用することとし、国土交通省において当該通知が改正された場合は、改正後の通知に基づくものとする。
(3)工事履行報告書 様式7
(4)発行日から 3 ヵ月以内の債権譲渡人及び債権譲受人の印鑑証明書(原本) 各 1 通
(5)当該工事請負契約締結時の債権譲渡人の印が、使用印又は代理人印(以下「使用印等」という。)である場合は、建設工事等競争入札参加資格審査受付票(以下「受付票」という。)の写し 1通
(6)契約保証金相当額を保険又は保証によって担保されている工事で、保険又は保証約款等により承諾が義務付けられている場合は、必要な承諾を受けている旨を証するもの 1 通
※約款等の写しを添付のうえ、該当する条項を朱線等で明示しておくこと。
(7)振興基金が発行する債務保証承諾書(根保証用)の写し 1通
3 前項第2号及び第6号については、提出時に原本を提示するものとする。
4 申請書類の提出期限は、当該請負契約の履行期間末日の 2 週間前までとする。
(債権譲渡の承諾基準)
第9条 債権譲渡は、前条第 2 項に規定する申請書類について、次の各号に示す内容が確認され
た場合に承諾するものとする。
(1)必要事項の全てが記載されていること。
(2)債権譲渡人の所在地、商号又は名称、代表者職氏名及び使用した印が、印鑑証明書及び工事請負契約書と一致していること。なお、契約締結後に使用印等の変更があった場合には、受付票により確認できること。
(3)債権譲受人の所在地、名称、代表者及び使用した印が、印鑑証明書及び振興基金が発行する債務保証承諾書(根保証用)の写しに記載されている被保証者名及び印と一致していること。
(4)契約締結日、工事件名、工事場所、工期に誤りがなく、かつ第 1 条に定める対象工事であること。
(5)請負代金の額、支払済の前払金額及び部分払金額に誤りがなく、債権譲渡額(申請時点)が請負契約に基づき債権譲渡人が請求できる債権金額と一致していること。
(6)当該請負契約が解除されていないこと、又は、工事請負契約書第 42 条第1項各号に該当する恐れがないこと。
(7)建設共同企業体案件の場合、建設共同企業体の名称、代表者及び構成員の住所、氏名の記載があること。
(債権譲渡の承諾)
第 10 条 債権譲渡の承諾は、第 8 条第 2 項に定める申請書類の提出を受けた後、第 9 条の事項
を確認したうえで、債権譲渡承諾書を債権譲渡人及び債権譲受人にそれぞれ 1 通を交付することにより行う。
2 前項の交付は、申請書類の提出を受けた後、概ね 2 週間以内に遅滞なく行うものとする。
3 債権譲渡を承諾した場合は、直ちに債権譲渡整理簿(様式6)に記載する。
(債権譲渡の不承諾)
第 11 条 第 8 条第 2 項に定める申請書類の提出に不備がある場合、又は、第9条に定められた事項の確認ができない場合には、債権譲渡の承諾は行わない。
2 前項の場合には、速やかに、債権譲渡人及び債権譲受人に承諾しない理由を付した債権譲渡不承諾通知書(様式4)を交付するものとする。
(融資実行の通知)
第 12 条 債権譲渡人及び債権譲受人は、第 10 条の承諾後、金銭消費貸借契約を締結し、当該契約に基づき融資が実行された場合には、速やかに融資実行報告書(様式8)を提出するものとする。
(請負代金等の請求)
第 13 条 債権譲受人は、請負契約に定められた検査等の所定の手続を経て、部分払金及び請負代金(以下、「請負代金等」という。)の額が確定した場合に限り、譲り受けた工事請負代金債権の範囲内で、支払を請求することができる。なお、債権譲渡承諾後は、債権譲渡人は請負代
金等の請求をすることができない。
2 債権譲受人が、請負契約に基づき確定した請負代金等の支払いを請求するときは、工事請負代金請求書とともに市が指定する口座振替依頼書を提出するものとする。
(不正行為への措置)
第 14 条 当該融資制度に関し、債権譲渡人及び債権譲受人から提出された申請書類について、明らかな偽造・改ざん等の不正行為が認められたときは、市は融資制度の監督官庁、債権譲受人の監督行政庁及び振興基金等にその事実を通報する。
2 前項の場合も含め、当該融資制度を実施するに当たって不正行為が認められた場合は、市は当該債権譲渡を承諾しないとともに、指名停止措置等も含めた対応を図るものとする。
(その他様式類等)
第 15 条 当該融資制度を実施するにあたって必要な事業協同組合等における取扱いや契約書その他の様式類でこの取扱いに定めのないもの(組合等内部の処理を定めた内規、出来高確認、債権譲渡契約書、金銭消費貸借契約書、支払状況、支払計画書、下請負人の受益の意思表示書、債務保証委託書、債務保証協議書、債務保証承諾書等)は、融資制度の監督官庁や振興基金が定めたものを使用することとする。
2 組合等における取扱いについては、当該組合等が、組合等の監督行政庁、融資制度の監督官庁あるいは振興基金等と協議のうえ、必要な手続を経て定めることとする。
(その他)
第 16 条 当該融資制度を実施するにあたって、この取扱いに定めのない事項については、融資制度に係る監督官庁の通知・通達に準じて取り扱うものとする。
附 則
1 この「工事請負代金の債権譲渡の承諾に係る取扱いについて」は、令和 3 年 5 月 1 日から施行する。
2 この「工事請負代金の債権譲渡の承諾に係る取扱いについて」のうち、地域建設業経営強化融資制度に係る取扱いは、国土交通省が本制度の実施を終了したときにその効力を失うものとする。