A さんはB 店の人にバッグを購入したいと言い、B 店の人はこれを了解した。
大学生が大学生に教えたい消費者トラブル
マルチ商法
天理大学 生涯教育専攻
監修協力 奈良県消費生活センター
【契約が成立するまで】
A さんはB 店の人にバッグを購入したいと言い、B 店の人はこれを了解した。
このように相対立する二つの意思表示が合致することによって、法律上の責任が生じる関係を「契約」といいます。
契約は身近なところに色々あり、たとえば、コンビニで物を購入する場合、お客さんが購入するものをレジに出して、店員がレジを打ち始めたときに了解したと見ることができます。
(売買契約)
契約が成立することによって契約を守る責任がうまれます。購入者は代金を支払う責任、販売者は商品を引き渡す責任のことを指します。
一旦契約をした以上、勝手に契約をやめることはできません。ただし、これには例外があり、例外にあたる場合には契約を解消することができるのです。
⇒では、契約を解消する方法には何があるのでしょうか?どうすればいいのでしょうか?もっとも身近なクーリングオフについて知っておきましょう。
★クーリングオフ★
クーリングオフとは、例えば、訪問販売などで、急いで購入した商品が本当に必要かどうかを冷静に考える期間(クーリングオフ期間)を設けた法律上の制度です。8 日または 20 日の期間内であれば無条件で契約の解除ができます。
契約から 8 日:訪問販売、電話誘導販売、特定継続的役務提供(エステ。学習塾)など
契約から 20 日:連鎖販売取引(人に商品をすすめたり、人を紹介すれば、自分に利益が得られると言って商品を購入させる) 業務提供誘引販売(仕事を紹介すると言って、商品などを契約させる)
※ただし、店舗販売、通信販売ではクーリングオフ制度が適用されません。
クーリングオフの効果
・支払金額は全額返済
・違約金、損害賠償を支払う必要なし
・商品の引き取り料は事業者の負担
・クーリングオフ期間に工事をしてしまった場合でも、クーリングオフすれば、工事等の前の状態に戻すよう請求できる(ただし、消費者が工事をせかした場合は除く)
クーリングオフができない主な取引
・3000 円未満の現金取引
・自動車販売・大型家電・家具・本・CD・DVD・ゲームソフトなどの訪問販売による購入
・キャッチセールスによる飲食代金、カラオケボックス、マッサージなど
・自動車リース、葬儀など、クーリングオフ制度がなじまない取引
クーリングオフ通知(契約解除通知)の方法
・封書ではなく「はがき」で行います。電話などでは証拠が残りません。
<記入例>
契約解除通知
契約年月日 平成○○年○月○日
商品名
○○○○
契約金額
○○○○○円
販売会社名 ○○株式会社○○営業所
担当者
○○○氏
上記日付の契約は解除します。
なお、支払済の○○○○円を返金し、商品は引き取ってください。
平成○○年○月○日
(契約者住所)
(契約者氏名)
郵便はがき | |
販売会社の住所 ○○株式会社 代表者 様 |
はがきのおもて はがきのうら
・はがきを出すときは、両面をコピーしてから特定記録郵便や簡易書留で送ります。
・期限内にはがきを出せば、販売会社に届いていなくても有効です。
・クレジット契約をしている場合は、クレジット会社にも同時に通知します。
インターネットトラブル
「危ないよ!サクラサイト」
事 例 事例の解説
某アイドルのファンサイトを利用していたところ、そのアイドルメンバーのマネージャーを名乗る人からメールが来た。「アイドル A が、うつになっているからささえになってほしい。」と言われ、「こちらのサイトでやり取りをしたい。」と別のサイトに誘導された。
最初は、無料ポイントによってメール交換ができたが、そのポイントがなくなってマイナスポイントと表示された。統括者という人から、お礼に 100 万円をあげるというメールが来たので、さらにメールでのやり取りを続けるために最初は、現金で 3 万円を振り込んだ。そして、2 枚のクレジットカードで 10 万円を決済した。
その後、連絡が途絶え、だまされたことに気付いた。お金を返してもらいたい。
有名人や有名人のマネージャーから連絡が来ることはまず、ありえません。知らない人と連絡を取ること、周りの人に相談していないことが今のトラブルに繋がったと考えられます。
現金で振り込んだお金を取り戻すのは容易でありません。カードで支払ったお金については、「だまされたので、払わない。」と、カード会社及び決済代行会社に支払ったいきさつを文書で通知する方法があります。しかし、サイトを利用しており、決済の契約してしまっているため、個人での交渉は大変困難です。
アドバイス
(20 代 大学生) ・お礼にお金がもらえることはありません。甘い話には気を付けましょう。
・サイト利用のきっかけとなった迷惑メールなどには絶対に返信しないようにしましょう。
・xxを払うときは、まずは周りの人に相談してから決済するようにしましょう。
相談先
トラブルかな?と思ったら相談しよう!
消費者ホットライン:188(“いやや”で覚えてね!)
警察(110)のように番号を押して郵便番号を入力すれば近くの相談窓口につながります。相談は無料。電話料金は必要。
情報商材を使った儲け話に注意しよう
事 例 事例の解説
動画サイトを見ていたら、一日 15 分のコピペ作業で最低月収 50 万円、24 時間以内の契約で3 万円キャッシュバックと書かれたバナー広告が目について興味を持った。その会社のウェブサイトを見ると、初期費用で 15,000 円必要だったが、24 時間以内に契約すればキャッシュバックされると書かれていたので気軽に申し込んだ。
3万円のキャッシュバックをしてもらうには、電話で話を聞くことが条件になっていたので、業者に電話をした。すると収益を上げるために情報商材等を利用する 11 万円の有料コースを勧められて、儲けたい一心で急いで契約した。マニュアル通りにやったが、キャッシュバックもされず、総額 125,000 円払っている。返金してほしい。
(20代 大学生)
相談先
情報商材とは、情報の内容が商品となり主にインターネットで取引されるマニュアルのようなものです。
この情報商材を購入すれば仕事を紹介すると言われた場合は、「業務提供誘引販売」と言って「特定商取引法」で定められた 20 日間のクーリングオフが適用されます。しかし、この事例の場合では、「仕事紹介」は条件になっていないため、クーリングオフが適用されず、総額 125,000円が返金されるのは大変困難です。契約をする前に十分に考えて、安易に行動しないようにしましょう。
アドバイス
・簡単に儲けられると思わない。
・簡単に信用して申し込まない。
・お金を振り込まない。一度振り込むと返金は困難です。
・自分一人で判断せず、誰かに相談しましょう。
・高額な契約をしない。
・断るxxを持ちましょう。
トラブルかな?と思ったら相談しよう!
奈良県消費生活センター、天理市消費生活センターなど、各地の消費生活センターに相談しよう!
流行りの仮想通貨をうたったマルチ商法にご注意を
事 例 事例の解説
もうかる話があると友人に言われ、学校でA氏に会った。A氏から「仮想通貨でもうかる。そのテキストを買うのに1
0万円必要だが、1人勧誘すれば4万入る。3人誘えば元が取れる」と長時間勧められた。根負けして、ためしにその仮想通貨のテキストを買うことにした。
友人宅で申請書を書き、数日後に10万円を事業者名義の銀行口座に振り込んだ。さらに友人が「書類を事業者の本社に送るので、振込票の控えと本人確認書を持ってきて」と言うので、後日、これらを友人に渡し、「概要書面」をもらった。その後「契約書面」が事業者より送付されてきた。しかし、契約書面を読んでも意味が分からず、自分でも本当にもうかるかわからない、友達を勧誘ができないので契約を解約して返金してほしい。
(20歳 大学生)
相談先
ビジネスをしたことのないような一般の消費者に対し、「友達や後輩を紹介すれば、儲かる」「良い商品なのですぐに売りさばける」などと勧誘して、商品やサービスを契約させ、次々に加入者を増やしていく商法をマルチ商法(連鎖販売取引)といいます。しかし本当にもうかるのはごく一部の人だけで、売れない商品の在庫を大量に抱えたり、友人を無理やり勧誘したために、人間関係が悪化するなどのトラブルにもつながります。契約書面を受け取ってから 20 日以内ならクーリングオフが可能ですから活用しましょう。
アドバイス
・ 特定商取引法のクーリングオフ(契約書面を受け取ってから 20 日)を活用しましょう。
・ その場では契約せずに周りに相談を!
・ 契約を急かされても、安易に高額契約な決済しない。
・ 断るxxを持ちましょう!!
トラブルかな?と思ったら相談しよう!
お近くの消費生活センターへ!”
中途解約ができる場合があります。諦めずに相談しよう!
フリマサイトを安全に使うためには
事 例 事例の解説
フリマサイトで人気キャラクターのスマートフォン防水ケースを注文した。販売者の評価も高く、値段も手頃だったので、ウキウキ気分で商品を待っていた。はじめは販売者とも連絡が取れていたが、コンビニで代金の振り込みを終えると、連絡が取れなくなってしまった。その後、2週間ほど過ぎてもなお、商品が届くことはなかった。
まだ販売者を評価する前だったので、販売者のページに行き、キャンセルボタンを押すと、振り込んだ分の料金が、自分の売上金として返金されることになった。幸い、払い戻しができたのでよかったが、評価も高く、期待していた商品が手に入らなかったのはとても残念だった。(19歳 大学生)
個人の不用品をインターネットで売買するフリマには、支払い時に売主と買主の間に第三者を介する支払い方法(エスクローサービス)を採用して、商品未着時の金銭被害を防ぐ仕組みがあります。また、配送業者と連携することで匿名取引ができるシステムが導入されています。
この事例の場合、注文し支払いもしましたが、商品は2 週間経っても届きませんでした。振り込みをするまでは連絡が取れるけれども、振り込みを終えると連絡不能になる悪質な事例です。幸い、評価前だったので、エスクローサービスにより返金されましたが、評価後は相手に代金が支払われてしまいますので、返金は直接交渉になります。評価を急がす相手は要注意です。
アドバイス
相談先
・フリマアプリ等のフリマサービスでの商品売買は、個人間取引です。つまり自己責任なのです。トラブルは、出品者と購入者で解決を図るように求められていることを理解して利用しましょう。
・利用規約をよく理解して、慎重に取引を行いましょう。
・中には悪質な出品者もいます。信用できるサイトを利用しましょう。
トラブルかな?と思ったら相談しよう!
消費生活センターに相談しても、個人間取引の場合は、解決に向けてのアドバイスはしてもらえますが解決まではできません。運営事業者に相談するしかないのが実情です。取引についての知識とxxな運営業者の選択が重要になります。
自転車の修理代
事 例 事例の解説
購入して半年ほどの自転車に乗って走行中に道路で転倒してしまった。そのとき自転車のスポーク部分が 2 本折れてしまい、タイヤもパンクし、自分も頭に怪我をした。幸い軽傷で、自分で手当てできるほどなのでよかったが、自転車修理のために販売店へ行ったところ、修理代が2万円かかると言われた。支払わなくてはならないのか。
(19 歳 大学生)
BAA マークは「自転車協会」が定めた安全基準に適合した自転車専用の安全マークです。
日本製品保証協会が各種消費生活用品の安全を保証したマークです。
すでに使用した製品の事故は、使用方法が悪かったのか、製品の欠陥が問題だったのかの判断が難しくなります。この事例の場合は、購入してから半年と、とても新しいものでしたが、安全マーク
(図参照)もついていませんでした。納得できずに消費生活センターに相
ワンポイントアドバイス
談し、あっせん(業者と話し合い)をしてもらったところ、業者も自転車の欠陥を認めたとのことで、修理代のほとんどを業者負担でしてもらえることになりました。
アドバイス
自転車を買うときに BAA マークや SGマークなど品質を保証するマークがついているかを確認しよう。
信頼がおける、アフターサービスがしっかりした販売店を選ぼう。
相談先
トラブルかな?と思ったら相談しよう!
奈良県消費生活センター、天理市消費生活センターなど、各地の消費生活センターに相談しよう!
中古車販売のトラブル
事 例 事例の解説
ロードサイド店舗で現状渡し(保証なし・整備なし)の条件で中古車を購入した。納車から数日で、ブレーキに不具合が生じ、危うく事故が起こりそうになった。購入時、ブレーキに不具合があるとの説明がなかったため、販売店に無償修理を求めたところ、「自然消費したものだ。現状渡しなので、修理は有償になる。」と言われた。納車して数日でブレーキが自然消費するとは思えない。なので、無償で修理をしてほしい。販売時にわからなかった場合は、販売店に責任はないのか。(20 代 大学生)
「保証なし・整備なし」という販売態様は、販売店によっては「現状渡し」という表現が用いられることがあるようです。例え「現状渡し(保証なし・整備なし)」で購入した場合であっても、中古車に自然消耗とはいえない不具合が生じた場合、購入の際にその不具合について車両状態評価書による「要整備箇所」の説明を受けていなければ、販売店は「売主の瑕疵担保責任」を負うことになります。「売主の瑕疵担保責任」は、販売店がその不具合を知っていたか否かは関係ありません。
したがって、法律上では、購入者は
販売店に対して無償修理を求めることができますが、交渉は容易ではありません。
アドバイス
・中古自動車販売協会に加入している販売店を選びましょう。
・契約書をよく読みましょう。
・試乗してから、購入するかよく考えることが大切です。
相談先
ト
ラブルかな?と思ったら相談しよう!
中古自動車販売の業界団体「日本中古自動車販売協会」に相談しよう。
成人年齢の引き下げが私たちの暮らしに与える影響
平成 30 年 5 月 29 日に、成人年齢を 20 歳から 18 歳に引き下げる民法改
正案が、衆議院本会議で可決し、平成 34 年 4 月の施行を目指すことになりました。これにより明治時代から続く「大人」の定義が変わることになります。選挙年齢はすでに 18 歳になっています。若い世代が社会の一員としての自覚を持ち、早くからさまざまな活動に参加することには大きな意義があります。しかし、現状では、引き下げがもたらす弊害への手当てが十分とはいえない 状況です。最も心配されるのは、消費者被害です。成人になると保護者の同意なしに契約をすることや、クレジットカードが作れるようになります。このため、クレジットカードの仕組みをしらないままカードを作って支払いが困難に
なったり、悪質商法にねらわれる危険性が高くなります。
消費生活相談の現状をみると、成人になったとたん目立って増えるのは、例えば、「SNS で知り合った人から 50 万円の時計を勧められた。高いけれど、他の友達を紹介すれば、1 人につき 10 万円の報酬をもらえるので、すぐにもとがとれるし、儲けることもできる、というので契約した。でもやっぱり怪しいので解約したい。」といった、いわゆるマルチ取引の被害です。順調にいけば、4年後に成人年齢が18歳に引き下げられ、18歳で成人となります。 18 歳というと高校 3 年生なので、学校内でマルチ取引の契約をする、いじめのターゲットにローンを組ませてお金を巻き上げるといった心配も起こってきくるかもしれません。
このように成人年齢を引き下げると、今まで 18.19 歳にも適用していた未xx者取消権が使えなくなるために、これまでより若い年齢の世代に、契約に関わる消費者被害が増加すると予想されます。ますます、消費者としての自覚を育てる「消費者教育」の必要性が高まってきます。
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・中古車販売のトラブル | xxxx | x xx |
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平成 30 年度 天理大学 人間学部 人間関係学科 生涯教育専攻消費者教育論 授業作成 担当:xxxx
監修協力 奈良県消費生活センター