本投資法人の組織運営上の主なリスクは、以下のとおりです。 a.役員の職務遂行に関するリスク
3【投資リスク】
以下において、本投資口及び本投資法人が発行する投資法人債(以下「本投資法人債」といい、短期投資法人債を含むことがあります。)への投資に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。但し、以下は本投資法人への投資に関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。また、本書に記載の事項には、特に本投資法人及び本資産運用会社の目標及び意図を含め、将来に関する事項が存在しますが、別段の記載のない限り、これら事項は本書提出日現在における本投資法人及び本資産運用会社の判断、目標、一定の前提又は仮定に基づく予測等であって、不確実性を内在するため、実際の結果と異なる可能性があります。なお、以下における不動産に関する記述は、不動産を主たる裏付けとする各信託にかかる信託受益権その他の不動産関連資産についてもほぼ同様に当てはまります。
本投資法人は、可能な限りこれらリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、回避できるとの保証や対応が十分であるとの保証はありません。
以下に記載のいずれかのリスクが現実化した場合、分配金の額が減少し又は本投資口若しくは本投資法人債の市場価格若しくは価値が下落し、本投資口又は本投資法人債の投資家は、投資した金額の全部又は一部を回収できないおそれがあります。
本投資口及び本投資法人債に投資を行う際は、以下のリスク要因及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上、各投資家自らの責任と判断において行う必要があります。
本項に記載されている項目は、以下のとおりです。
① 投資法人が発行する投資口及び投資法人債に関するリスク
(ア)投資口の商品性に関するリスク
(イ)換金性・流動性に関するリスク
(ウ)市場価格変動に関するリスク
(エ)金銭の分配に関するリスク
(オ)投資口の希薄化に関するリスク
② 投資法人の組織及び投資法人制度に関するリスク
(ア)投資法人の組織運営に関するリスク
(イ)投資法人の制度に関するリスク
(ウ)スポンサーへの依存及び利益相反に関するリスク
③ 投資法人の運用資産:「原資産」である不動産特有のリスク
(ア)不動産から得られる賃料収入に関するリスク
(イ)不動産の欠陥・瑕疵及び契約不適合に関するリスク
(ウ)不動産管理会社に関するリスク
(エ)費用に関するリスク
(オ)専門家報告書等に関するリスク
(カ)建物の毀損・滅失・劣化に関するリスク
(キ)売却時の不動産流動性に関するリスク
(ク)建築基準法等の規制に関するリスク
(ケ)共有物件に関するリスク
(コ)区分所有建物に関するリスク
(サ)借地xxに関するリスク
(シ)底地物件に関するリスク
(ス)有害物質又は放射能汚染等に関するリスク
(セ)地球温暖化対策に関するリスク
(ソ)不動産の所有者責任に関するリスク
(タ)マスターリースに関するリスク
(チ)将来における法令等の改正に関するリスク
(ツ)テナント等による不動産の使用に基づく価値減損に関するリスク
(テ)売主の倒産等の影響に関するリスク
(ト)開発物件に関するリスク
(ナ)資産の組入れ・譲渡等に関するリスク
(ニ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
(ヌ)敷金・保証金の利用に関するリスク
④ 投資法人の運用資産:信託の受益権特有のリスク
(ア)信託受益者として負うリスク
(イ)信託受益権の流動性に関するリスク
(ウ)信託受託者に関するリスク
(エ)信託受益権の準共有等に関するリスク
⑤ 税制に関するリスク
(ア)導管性要件に関するリスク
(イ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
(ウ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(エ)一般的な税制の変更に関するリスク
⑥ その他
(ア)匿名組合出資持分及び不動産関連ローン等資産への投資に関するリスク
(イ)特定目的会社の優先出資証券への投資に関するリスク
(ウ)減損会計の適用に関するリスク
(エ)内部留保の活用に関するリスク
(オ)自然災害、感染症の拡大等に関するリスク
⑦ リスクに対する管理体制
(ア)投資法人について
(イ)資産運用会社について
① 投資法人が発行する投資口及び投資法人債に関するリスク
(ア)投資口の商品性に関するリスク
投資口は、株式会社における株式又は株券に類似する性質を持ち、投資金額の回収や利回りの如何は、経済状況や不動産及び証券xxxの動向、本投資法人の収益又は財産及び業務の状況に影響され、譲渡による換価時点において投資金額以上の金額の回収を図ることができるか否かは定かではありません。
投資口に対して投下された投資主からの投資金額については、いかなる保証も付されておらず、また、投資口は金融機関の預金等と異なり、預金保険等の対象ではありません。
本投資法人が通常の清算又は倒産手続により清算される場合、投資主は、本投資法人の全ての債権者への弁済の後でなければ、投資口の払戻しを受けることはできず、投資金額のほとんどを回収できない可能性があります。
(イ)換金性・流動性に関するリスク
本投資口については、投資主からの請求による投資口の払戻しを行わないクローズド・エンド型であるため、投資主が本投資口を換金するには、本投資法人の清算・解散による残余財産分配請求xxによる場合を除き、上場する金融商品取引所を通じて又は取引所外において売却することが必要となりますが、投資家の希望する時期と条件で取引できるとの保証や、常に買主が存在するとの保証はなく、譲渡価格を保証する第三者も存在しません。また、東京証券取引所が定める上場廃止基準に抵触する場合には本投資口の上場が廃止され、投資主は保有する本投資口を取引所外において相対で譲渡する他に換金の手段はありません。これらにより、本投資口を低廉な価格で譲渡しなければならない場合や本投資口の譲渡ができなくなる場合があります。
また、本投資法人債には、確立された取引市場が存在せず、買主の存在も譲渡価格も保証されていません。そのため、希望する時期や価格で売却することができず、その償還期限前に換金することが困難となる可能性があり、その結果、損失を被る可能性があります。
(ウ)市場価格変動に関するリスク
本投資口の市場価格は、金利動向や為替xxxの金融環境変化、市場環境や将来的な景気動向、内外の投資家による本投資口に関する売買高、他の金融商品投資との比較、地震、津波、液状化等の天災を含む不動産取引の信用性に影響を及ぼす社会的事象、ウクライナ情勢とこれに伴う経済制裁、資源価格や燃料費、電気料金等の高騰を含む物価上昇、日米金利差拡大を受けた円安の進行等によって影響を受けることがあります。また、今後新型コロナウイルス感染症が再拡大し又はその影響が長期間にわたる場合には、経済活動の抑制やその懸念などから、金融商品市場や本投資証券の市場価格に悪影響が及ぶ可能性があります。
さらに、本投資法人は、不動産等資産を主な投資対象としており、本投資口の市場価格は、不動産の評価額の変動、不動産市場の趨勢、不動産の需給関係、不動産需要を左右することのある企業を取り巻く経済環境、法令・会計・税務の諸制度の変更等、不動産関連市場を取り巻く要因による影響を受けることがあります。
加えて、本投資法人は、その事業遂行のために必要に応じて資金を調達しますが、その資金調達が新投資口の発行により行われる場合には、市場での本投資口の需給バランスに影響が生じ、本投資口の市場価格が影響を受けることがあります。また、本投資口が取引所において一時的に大量に売却される場合、本投資口の市場価格が大幅に下落する可能性があります。
また、本投資法人若しくは本資産運用会社、又は他の投資法人若しくは他の資産運用会社に対して監督官庁等による行政指導、行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、本投資口の市場価格が下落することがあります。
その他、本投資法人債は金利動向等の市場環境等により価格が変動することがあり、また格付けの見直しや引下げによる影響を受けることがあります。
(エ)金銭の分配に関するリスク
本投資法人はその分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、分配の有無、金額及びその支払いは、いかなる場合においても保証されません。
(オ)投資口の希薄化に関するリスク
投資法人は、その事業遂行のために必要に応じて資金を調達しますが、その資金調達が投資口の追加発行により行われる場合には、既存の投資主が有する投資口の投資法人の発行済投資口の総口数に対する割合が希薄化し、また、投資口1口当たりの純資産額の減少等のため投資口の投資利回りが低下し、投資口の価値が下落する可能性があります。また、期中において投資口が追加発行される場合、その期の投資口保有期間にかかわらず、既存の投資口と同額の金銭の分配がなされるため、既存の投資口への分配額に影響を与える可能性があります。さらに、今後、追加発行がなされる場合、投資口1口当たりの純資産額が減少する場合や、市場における投資口の需給バランスに悪影響を与える場合があり、その結果、投資口の価格が悪影響を受けるおそれがあります。
② 投資法人の組織及び投資法人制度に関するリスク
本投資法人は、投信法に基づいて設立される社団(投信法第2条第12項)であり、一般の法人と同様の組織運営上のリスク及び投資法人という制度固有のリスクが存在します。
(ア)投資法人の組織運営に関するリスク
本投資法人の組織運営上の主なリスクは、以下のとおりです。 a.役員の職務遂行に関するリスク
投信法上、投資法人の業務を執行し投資法人を代表する執行役員及び執行役員の職務の執行を監督する監督役員は、投資法人に対して善良な管理者としての注意義務(以下「善管注意義務」といいます。)を負い、また、法令、規約及び投資主総会の決議を遵守し投資法人のためxxに職務を遂行する義務(以下「xx義務」といいます。)を負います。しかし、これらの義務が遵守されないおそれは完全には否定できません。
b.投資法人の資金調達に関するリスク
本投資法人は資金調達を目的として、借入れ及び投資法人債を発行することがあり、規約上、借入金と投資法人債を合わせた限度額は1兆円とされ、また、借入れを行う場合、借入先は、適格機関投資家(但し、租税特別措置法第67条の15に規定する機関投資家に限ります。)に限るものと規定されています。
借入れ又は投資法人債の発行を行う際には様々な条件、例えば担保提供の制限、財務制限、追加担保の条項、現金その他の一定資産の留保、資産・負債等に基づく財務指標による借入制限や担保設定制限、早期償還事由、資産取得制限、投資主への分配に関する制限、本投資法人の業務その他に関する約束や制限等が要
請されます。このような約束や制限の結果、本投資口又は本投資法人債の市場価格に悪影響が出ることがあります。また、借入れ及び投資法人債の発行は、金利実勢、本投資法人の財務状況、経済環境の他、借入先や投資家の自己資本規制その他の法的・経済的状況等の多くの要因に従って決定されるため、本投資法人が必要とする時期及び条件で行うことができるとの保証はありません。本投資法人が既存の借入れ及び投資法人債の返済資金を新たな借入れ等で調達することを予定していたにもかかわらず、かかる調達ができない場合には、既存の借入れ等の返済ができないことにより債務不履行となる可能性があります。
借入れに当たり、税法上の導管性要件(後記「⑤ 税制に関するリスク/(ア)導管性要件に関するリスク」をご参照下さい。)を満たすためには、本投資法人は、その借入先を機関投資家(租税特別措置法第67条の15第1項第1号ロ(2)に規定するものをいいます。)に限定することが要請され、借入先は現実には限定されています。また、本投資法人の保有不動産の全部又は一部が資金の借入先に対して担保に供された場合、担保対象となる保有不動産の処分及び建替等は、制限を受けることとなります。その結果、本投資法人が必要とする時期及び条件で保有不動産の処分や建替等ができないおそれがあります。また、本投資法人の保有不動産の売却等により借入金の期限前返済を行う場合には、期限前返済コスト(違約金等)がその時点における金利情勢によって決定される場合がある等、予測しがたい経済状況の変化により本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。本投資法人が資金を調達しようとする場合、借入れの他、投資法人債の発行又は新投資口の発行の方法によることがあります。投資法人債の発行を行う場合、一般に、前述したものをはじめとする様々な財務制限条項や誓約事項が規定されることがあります。また、投資法人債の発行及び条件は、信用格付業者からの格付や市場環境の影響を受けるおそれがあり、本投資法人の必要とする時期及び条件で発行できないおそれがあります。新投資口の発行を行う場合、投資口の発行価格はその時々の市場価格により左右され、場合により、本投資法人の必要とする時期及び条件で発行できないおそれがあります。
さらに、本投資法人は、LTV(本投資法人の保有する資産総額に対する、投資法人債を含む借入金残高の割合)の水準について、資金余力の確保に留意し、原則として60%を上限としていますが、新たな資産の取得等に伴い、一時的に60%を超えることがあります。LTVが高まった場合、一般的に、分配可能金額が金利変動の影響を受け易くなり、その結果、投資主への分配金額が減少するおそれがあります。
c.投資法人が倒産し又は登録を取り消されるリスク
本投資法人は一般の法人と同様に、債務超過に至る可能性を否定することはできません。本投資法人は、現行法上、破産法(平成16年法律第75号。その後の改正を含みます。)(以下「破産法」といいます。)、民事再生法(平成11年法律第225号。その後の改正を含みます。)(以下「民事再生法」といいます。)及び投信法上の特別清算手続の適用を受けます。
また、本投資法人は、投信法に基づいて投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合に投信法に従ってその登録が取り消される可能性があります(投信法第216条)。その場合には、本投資口の上場が廃止され、本投資法人は解散し、清算手続に入ります。本投資口及び本投資法人債は金融機関の預金と異なり、預金保険等の対象ではなく、本投資口につき、当初の投資額が保証されているものではありません。本投資法人が清算される場合、投資主は、全ての上位債権者への償還の後でしか投資額を回収できません。従って、清算手続において、投資主は投資額のほとんどにつき償還を受けられないことがあります。また、本投資法人債の債権者は清算手続に従って投資額を回収することになるため、債権全額の償還を受けられるとの保証はありません。
(イ)投資法人の制度に関するリスク
投資法人の制度上の主なリスクは以下のとおりです。 a.業務委託に関するリスク
投資法人は、資産の運用以外の行為を営業としてすることができず、使用人を雇用することはできません。資産の運用については、投資法人は、「資産運用会社にその資産の運用にかかる業務の委託をしなければならない」こと(投信法第198条第1項)となっています。また、投信法には、投資法人が、「資産保管会社にその資産の保管にかかる業務を委託しなければならない」こと(投信法第208条第1項)、並びにその資産の運用及び保管にかかる業務以外の業務にかかる事務であって投信法第117条に定めるものを、投信法施行規則で定めるところにより他の者に委託しなければならないことが定められています。したがって、
投資法人の業務全般が円滑に執行されるか否かは、資産運用会社、資産の保管にかかる業務の委託を受けている資産保管会社及び投資法人の投信法第117条に定める事務の委託を受けている一般事務受託者の能力や信用性に依拠することになります。金融商品取引法上、資産運用会社となるためには投資運用業の登録を行う必要があり、資産保管会社は信託業を兼営する銀行等一定の要件を満たすものに資格が限定されており、一般事務受託者については、投資法人の設立時及び設立後に新たに行う一般事務受託者との契約締結時に、不適当なものでないことの調査が執行役員及び監督役員により行われていますが、それぞれの業務受託者において、今後業務遂行に必要とされる人的・財産的基盤が損なわれた場合には業務遂行が適切に行われず、投資主に損害を与える可能性があります。また、資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者の業務遂行は適正に行われることが必要であるため、金融商品取引法及び投信法上、これらの者はそれぞれ、投資法人に対して善管注意義務を負い、また、投資法人のためxx義務を負いますが、そのいずれかが職務遂行上、善管注意義務やxx義務に反する行為を行った場合、結果として投資家が損害を受ける可能性があります。
また、本資産運用会社、資産保管会社又は一般事務受託者が、倒産手続等により業務遂行能力を喪失する場合には、倒産に至った業務受託者等に対して本投資法人が有する債権の回収に困難が生じるだけでなく、本投資法人の日常の業務遂行に影響を及ぼすことになります。また、委託契約が解約又は解除された場合において、本投資法人の必要とする時期及び条件で現在と同等又はそれ以上の能力と専門性を有する第三者を選定し業務を委託できないときには、本投資法人の収益等が悪影響を受けるおそれがある他、本投資口が上場廃止になる可能性があります。
b.資産の運用に関するリスク
投資法人は、投信法上、資産運用会社にその資産の運用に関する業務を委託しなければならないため、本投資法人の資産の運用成果は、特に資産の運用に関する業務を行う本資産運用会社の業務遂行能力に依存することになります。資産運用会社についての主なリスクは以下のとおりです。
(ⅰ)資産運用会社の運用能力に関するリスク
資産運用会社は、投資法人に対し善管注意義務を負い、また、投資法人のためにxx義務を負いますが、運用成果に対して何らの保証を行うものではありません。また、資産運用会社となるためには投資運用業の登録を行う必要があり、金融商品取引法及び投信法に定める監督を受け、その信用力の維持には一定限度の制度的な裏付けがありますが、その運用能力が保証されているわけではありません。
本資産運用会社による上場不動産投資法人に適用される各種法規制及び上場規則に基づく運用が期待どおりの収益を上げるとの保証はありません。また、スポンサーであるxxx信託銀行株式会社とMONEグループの運用実績や本投資法人の資産の過去における収益の状況は、本投資法人としての今後の運用実績を保証するものではありません。
(ⅱ)資産運用会社の行為に関するリスク
資産運用会社は、投資法人に対し善管注意義務を負い、また、投資法人のためにxx義務を負い、さらに資産運用会社の行為により投資法人が損害を被るリスクを軽減するため、金融商品取引法及び投信法において業務遂行に関して行為準則が詳細に規定されています。しかし、資産運用会社が、かかる行為準則に違反したり、適正な法的措置を行わない場合には、投資家に損害が発生する可能性があります。また、本資産運用会社の株主、その役職員の出向元企業又はその関係会社等といった関係者が、本投資法人の投資対象である不動産等の取引に関与する場合や、本資産運用会社自身も自ら投資活動を行う可能性もあります。そのような場合に、本資産運用会社が自己又は第三者の利益を図るため、本投資法人の利益を害することとなる取引を行わないとの保証はありません。
(ⅲ)資産運用会社における投資方針・社内体制等の変更に関するリスク
本資産運用会社は、本投資法人の規約に基づいて投資運用業を遂行するため、本資産運用会社の社内規程である「資産運用ガイドライン」において、投資対象資産に関する取得・維持管理・売却の方針及び財務上の指針を定めていますが、その内容は本投資法人の規約に反しない限度で投資主総会の承認を得ることなく適宜見直し、変更されることがあります。そのため、投資主の意思が反映されないまま
「資産運用ガイドライン」が変更される可能性があります。また、本資産運用会社は、「資産運用ガイドライン」に従いその業務を適切に遂行するため、一定の社内体制を敷いていますが、かかる社内体制
について効率性・機能性その他の観点から今後その変更を行わないとは限りません。このような、本資産運用会社における投資方針・社内体制等の変更によって、本投資法人の資産運用の内容が変更され、その結果、当初予定されていた収益を上げられない可能性があります。
c.インサイダー取引規制に関するリスク
金融商品取引法上、投資口の取引についてもインサイダー取引規制の対象となっており、発行者である投資法人の役員だけでなく、資産運用会社及びその特定関係者(資産運用会社の親会社、及び投信法第201条第1項に規定する資産運用会社の利害関係人等のうち、一定の基準を満たす取引を行い、又は行った法人)の役職員が会社関係者として上記規制の対象者に含まれるとともに、投資法人及び資産運用会社に関連する事実が重要事実として規定されています。本投資法人及び本資産運用会社は、社内規程を設け、内部者がインサイダー取引を行うことを制限していますが、本投資口につきインサイダー取引規制に違反する行為が行われた場合には、投資家の本投資口又は不動産投資信託証券市場に対する信頼を害し、ひいては本投資口の流動性の低下や市場価格の下落等の悪影響をもたらすおそれがあります。
(ウ)スポンサーへの依存及び利益相反に関するリスク
本投資法人及び本資産運用会社は、本書提出日現在、前記「1 投資法人の概況/(3)投資法人の仕組み
/② 本投資法人及び本投資法人の関係法人の運営上の役割、名称及び関係業務の概要」に記載のとおり、スポンサーとの間のスポンサー・サポート契約に基づき、スポンサーから、不動産等の売却情報の提供、ブリッジファンド等に関するノウハウ提供、テナント情報の提供、物件取得及び運用に関するアドバイザリー業務の提供、ファイナンスや財務戦略に関するアドバイスの提供並びに不動産の売買・賃貸や金融マーケットに関する情報提供を受けること、スポンサーが子会社を通じた本投資法人の投資口保有に努めること(セイムボート出資)、本資産運用会社の人材確保に協力することについて合意しています。また、本資産運用会社は、本書提出日現在、前記「1 投資法人の概況/(3)投資法人の仕組み/③上記以外の本投資法人の主な関係者の役割、名称及び業務の概要」に記載のとおり、MREMとの間のスポンサー・サポート契約に基づき、MREMから、不動産等の売却情報の提供、ウェアハウジング機能の提供、デュー・ディリジェンス及び取得プロセスにおける調整等の物件取得アレンジ、不動産等の売買・開発や賃貸のマーケットに関する情報提供、並びに不動産等の運営・管理、賃貸、コンバージョン、リニューアル、開発等に係る補助業務及び助言業務等のアドバイザリー業務の提供を受けることに合意しています。さらに、本資産運用会社は、本書提出日現在、前記「1 投資法人の概況/(3)投資法人の仕組み/② 本投資法人及び本投資法人の関係法人の運営上の役割、名称及び関係業務の概要」に記載のとおり、MONEとの間でファシリティ・マネジメント業務に関する業務委託契約に基づき、MONEから、不動産等の管理に関するプロパティ・マネージャーへの指図権の行使、指示等に関する業務、修繕工事及び資本的支出工事の検討・査定に関する助言業務及び補助業務、修繕工事等の発注や修繕工事等の中長期修繕計画策定についての助言業務又は補助業務、不動産等に対する調査・分析等のデュー・ディリジェンスに関する助言業務又は補助業務、省エネルギー・資源の有効利用、評価認証の取得等、不動産等の管理におけるサステナビリティ関連の助言業務または補助業務等の提供を受けることに合意しています。
しかしながら、各スポンサー・サポート契約は、スポンサー及びMREMに本投資法人に対する不動産の売却義務を課すものではありません。また、スポンサー、MREM及びMONEが上記のサポートの提供に必要な人的・財産的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。また、これらの契約が何らかの理由で解除され若しくは更新されず、又はその他の理由によりスポンサー、MONE又はMREMによるサポートが期待どおりの成果をあげない場合には、本投資法人の損益の状況及び存続に悪影響を及ぼすおそれがあります。さらに、本投資法人や本資産運用会社が、スポンサー、MONE又はMREMと取引を行う場合において、スポンサー、MONE又は MREMの利益を図るために、本投資法人の投資主の利益に反する行為を行う可能性が完全に排除されているわけではなく、その場合には本投資法人に損害が発生する可能性があります。本資産運用会社は、利益相反対策のための社内規程を設け、利益相反の可能性のある行為に対して十分な対応をとることとしていますが、かかるリスクを完全に排除できるとの保証はありません。
③ 投資法人の運用資産:「原資産」である不動産特有のリスク
本投資法人は、我が国の不動産及び不動産を信託する信託の受益権を主要投資対象としており、これらの原資産となる不動産等については、以下のリスクがあります。
(ア)不動産から得られる賃料収入に関するリスク
本投資法人の主な収益は、本投資法人が直接(又は信託を通じて間接的に)保有する不動産等の賃料収入に依存しています。不動産等の賃料収入は以下を含む様々なリスクにより影響を受けることがあります。
a.不動産等の稼働・解約等に関するリスク
我が国における賃貸借契約では、契約期間を2年とし、その後別段の意思表示がない限り自動的に更新されるとするものが多く見られます。しかし、契約期間が満了する際、常に契約が更新されるとの保証はありません。また、契約期間の定めにかかわらず、テナントが一定期間前の通知を行うことにより契約を解約できることとされている場合が多く見受けられます。賃貸借契約が更新されず又は契約期間中に解約された場合、すぐに新たなテナントが入居するとの保証はなく、その結果、賃料収入が減少する可能性があります。なお、賃貸借契約において契約期間中に賃借人が解約した場合の違約金について規定することがあります が、そのような規定は状況によってはその全部又は一部が無効とされ、その結果、本投資法人に予定外の費
用負担が発生する可能性があります。
定期賃貸借契約の有効期間中は契約中に定められた賃料をテナントに対して請求できるのが原則です。しかし、定期賃貸借契約においてテナントが早期解約した場合、残存期間全体についてのテナントに対する賃料請求が場合によっては認められない可能性があります。
その他の用途の資産については、各用途の特性や立地条件等の事情により、テナントが退去した際に、代替テナントとなりうる者が少ないために、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下することや、代替テナント確保のために賃料水準を下げざるを得なくなることがあり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。
b.不動産等の賃借人の信用力及び賃料未払いに関するリスク
賃借人の財務状況が悪化した場合、賃貸借契約に基づく賃料支払いが滞る可能性がある他、この延滞賃料、原状回復費用その他の損害金等の債務の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超える状況となる可能性があります。特に、賃料収入のうち一のテナントからの賃料収入の割合が高い場合、賃料収入に与える影響が大きくなります。
c.賃借人による賃料減額のリスク
賃貸人は、不動産等の賃借人が支払うべき賃料につき、賃料相場の下落その他の様々な事情により賃料減額に応じることを余儀なくされることがあります。また、建物の賃借人は、定期建物賃貸借契約で賃料減額請求権を排除する特約がある場合を除いては借地借家法第32条により賃料減額請求を行うことができます。当事者間で協議が整わない場合には、賃貸人は減額を相当とする裁判が確定するまでテナントに対して賃貸人が相当と考える賃料の支払いを請求することができますが、その間に賃貸人が実際に支払いを受けた賃料の額が後に裁判で認められた額を超える場合には、当該超過額に年1割の利息を付して賃借人に返還しなければなりません。
これに対し、一定の要件を充たす場合には、いわゆる定期建物賃貸借として、借地借家法第32条の賃料増減額請求権を排斥する当事者間の合意は有効とされます。この場合には賃料の減額請求がなされないため、通常の賃貸借契約に比較して契約期間中の賃料収入の安定が期待できます。しかし、定期建物賃貸借契約の効力が認められるためには、借地借家法第38条所定の要件を充足する必要があります。このためある建物賃貸借契約を定期建物賃貸借契約とした上で借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合であっても、借地借家法第38条所定の要件が充足されなかった場合には、賃料減額請求権を排除することができず、当該請求が認められた場合、当該不動産から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主が損失を被る可能性があります。なお、借室の供給が多く、賃料の上昇が多く望めないような状況では賃借人がこのような条件に合意する見返りとして賃料を低く設定することを求める傾向がある他、逆に一般的に賃料水準が上昇したときにも賃貸人は賃料の増額を求められません。
d.テナント集中に関するリスク
本投資法人の保有する不動産等のうち一又は複数が少数のテナントに賃借され、その結果、当該テナントの資力、退去、利用状況等により、当該不動産等の収益が大きく影響を受けるおそれがあります。特に、かかるテナントが賃料の減額を要求する場合はもちろん、退去する場合には、一度に多額の資金の返還を余儀なくされ、かつ、大きな面積の空室が生じるため、一時的に当該不動産等の収益が急激に悪化することがあります。
また、広い面積を一度に賃借するテナントを誘致するには時間がかかることがあり、場合によっては賃貸
条件を緩和することを求められ、その誘致期間と条件次第では、本投資法人の収益が悪影響を受けるおそれがあります。
e.変動賃料に関するリスク
固定賃料に加えて、不動産等のテナント収益等に応じた変動賃料の支払いを伴う場合には、不動産等のテナント収益等の減少が賃料総額の減少につながり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、変動賃料の支払いを伴う賃貸借契約において、変動賃料の計算の基礎となる売上げ等の数値について、賃貸人がその正確性について十分な検証を行えない場合があり得る上、テナントが売上げ等をより低位に計上し、変動賃料の金額を恣意的に引き下げようとする可能性も否定できません。その結果、本来支払われるべき金額全額の変動賃料の支払いがなされず、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
f.ポートフォリオの集中及び不動産の偏在に関するリスク
本投資法人は、前記「2 投資方針/(1)投資方針/③ ポートフォリオ構築方針」に記載の投資方針に従い、投資を行いますが、特定の物件について、ポートフォリオ全体に占める割合が高くなる可能性があります。また、本投資法人は、ポートフォリオの構築において、一定の地理的分散投資を行うものの、東京経済圏を主たる投資対象地域としています。本投資法人の運用不動産のポートフォリオにおける特定の不動産の割合が高くなった場合や、運用不動産が一定の地域に偏在する場合には、特定の不動産に生じたテナントの異動その他の事象や特定の地域の不動産賃貸市場の動向、地震その他の災害等が、本投資法人の収益に著しい悪影響を及ぼすおそれがあります。また、本投資法人の主たる投資対象はオフィスビルに限定されています。したがって、一定地域のオフィスビルにおける収益環境等の変化が本投資法人の収益に悪影響を及ぼすおそれがあります。
さらに、本投資法人の運用不動産が近接して所在する場合には、オフィス賃貸借マーケット(オフィスビルの場合)において相互に競合し、その結果、本投資法人の収益に悪影響を与えるおそれがあります。
(イ)不動産の欠陥・瑕疵及び契約不適合に関するリスク
不動産は個々の物件毎に個性を持ち代替性が低いため、取得しようとする不動産等に一定の瑕疵があった場合又は種類、品質若しくは数量に関して契約の内容に適合しない場合には、資産価値の減耗や、予定しない補修費用等が発生し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。かかる瑕疵又は契約不適合が存在する場合として、例えば、建物の構造、用いられる材質、地盤、特に土地に含有される有毒物質、地質の構造等に関する欠陥や瑕疵等(工事における施工の不具合及び施工報告書の施工データの転用・加筆等、免震装置・制振装置等の強度や機能等の不具合や基準への不適合を含みますが、これらに限られません。)の他、不動産には様々な法規制が適用されているため、法令上の規制違反の状態をもって瑕疵又は契約不適合とされることもあり得ます。
本投資法人は、取得しようとする不動産等に関する売買契約等において売主からの一定の表明及び保証を取得し、瑕疵の内容等について責任の所在を明確化した上で不動産等を取得することとしていますが、かかる表明及び保証の内容が真実かつ正確であるとの保証はなく、売買契約の交渉において、売主が行う表明及び保証の対象、期間若しくは責任額が限定され又はかかる表明及び保証が全く行われない場合もありえます。そこで、本投資法人が不動産等を取得しようとする場合、かかる不動産等について自ら調査を行う他、信頼のおける中立の建設会社、不動産業者、リサーチ会社等の専門業者からのエンジニアリング・レポート、地震リスク調査報告書等を取得します。しかし、上記の調査には限界があり、取得した資料の内容、売主・その前所有者やテナントの協力の程度、調査が可能な範囲及び時間的な制約等から、不動産等に関する欠陥・瑕疵について事前に全てを認識することができるとの保証はありません。
また、民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)(以下「民法改正法」といいます。)による民法改正(以下「民法改正」といい、民法改正前の民法を「旧民法」といいます。)の施行日である2020年4月1日より前に締結された不動産の売買においては、旧民法の規定が適用され(民法改正法附則第34条第1項等)、特約で排除されていない限り、その対象となる不動産に隠れた瑕疵があった場合には、売主は、旧民法第570条により買主に対して瑕疵担保責任を負うことになります。買主は、瑕疵があることを知った日から1年以内に解除権又は損害賠償請求権の行使をすることができます。したがって、本投資法人が特定の不動産の買主となる場合、不動産に係る物理的、法的な瑕疵があり、それが隠れたものである場合には、上記に従い、本投資法人は売主に対して瑕疵担保責任を追及することができますが、かかる期間制限を超えて瑕疵担保責任を追及することはできません。また、本投資法人が売主となる場合、瑕疵担保責任を追及されるおそれがあります。なお、本投資法人は宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号。その後の改正を含みます。)(以下「宅建業法」といいます。)上、みなし宅地建物取引業者であるため、不動産の売主として民
法上負う瑕疵担保責任を排除することは原則としてできません。
他方で、民法改正法の施行日である2020年4月1日以後に締結された不動産の売買においては、民法改正後の民法の規定が適用され、その対象となる不動産が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであった場合には、特約で排除されていない限り、売主は、買主に対して契約不適合による担保責任を負うことになります。買主は、契約不適合を知った時から1年以内に、売主に対して契約不適合であることについて通知をした場合、責任を追及することができ、また、売主が不動産の引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときには、かかる期間制限なく、契約不適合による担保責任を追及することができます。買主は、契約不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものである場合を除き、責任の追及として、契約不適合が売主の責めに帰すべき事由によるものであるか否かを問わず、履行の追完請求権や代金減額請求権を行使することができます。また、買主は、不履行の程度が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときを除き、契約を解除することができます。さらに、買主は、契約不適合について売主の責めに帰すべき事由がある場合、履行利益も含み得る損害賠償責任を追及することができます。したがって、本投資法人が特定の不動産の買主となる場合、上記に従い、本投資法人は売主に対して契約不適合による担保責任を追及することができますが、上記一定の場合を除き期間制限を超えて責任を追及することはできません。
さらに、本投資法人が買主であるときに、売主がSPC(特別目的会社)である等売主の資力が十分でない場
合や売主が清算又は倒産した場合等、実際には売主に対して瑕疵担保責任、契約不適合による担保責任又は売買契約等の違反による責任を追及することにより損害の回避又は回復を図ることができない場合があります。また、個別の事情により、売買契約上売主が瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担する期間又は補償金額を限定し、又はこれを全く負わない旨の特約をすることがあります。
不動産を信託する信託の受益権の売買においても、信託の受益権の原資産である不動産に隠れた瑕疵又は契約不適合があった場合には、当該不動産の実質的所有者である受益者となる本投資法人が上記と同様のリスクを負担することになります。
加えて、我が国の法制度上、不動産登記にはいわゆる公信力がありません。本投資法人は、本資産運用会社が十分な調査を行った上で取得を行いますが、不動産登記簿の記載を信じて取引した場合にも、不動産に関する権利を取得できないことや予想に反して第三者の権利が設定されている可能性があります。このような場合、上記と同じく、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上許容される限度で責任を追求することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
(ウ)不動産管理会社に関するリスク
一般に、建物の保守管理を含めた不動産等の管理業務全般の成否は、不動産管理会社の能力・経験・ノウハウを含めたその業務遂行能力に強く依拠することになります。管理委託先を選定するに当たっては、当該不動産管理会社の能力・経験・ノウハウを十分考慮することが前提となりますが、その不動産管理会社における人的・財産的基盤が今後も維持されるとの保証はありません。本投資法人は、直接保有する不動産に関して本投資法人が委託した不動産管理会社につき、業務懈怠又は倒産事由が認められた場合、管理委託契約を解除すること、また、不動産を信託する信託の受益権を保有する場合には原資産である不動産に関して信託受託者が委託した不動産管理会社につき、受益者としての指図権を行使し信託受託者を通じて同様に解除することはできますが、不動産管理会社が交代する場合、後任の不動産管理会社が任命されるまでは不動産管理会社不在又は機能不全のリスクが生じるため、当該不動産等の管理状況が悪化するおそれがあります。
(エ)費用に関するリスク
不動産の維持管理には様々な側面で経費を必要とします。例えば、各種保険料の値上げ、消耗品の調達費用・修繕費・管理費を含め、不動産管理や建物管理に関する費用の上昇、不動産管理会社その他による管理コストの上昇その他資本的支出、金利の上昇、税制変更等の理由により、不動産の運用に関する費用は増加する可能性があります。
また、民法改正後の民法においては、①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当期間内に必要な修繕をしないとき、又は②急迫の事情がある場合、賃借人が修繕権を持つものとされています。かかる修繕権を、賃貸借契約上特約で排除していない場合、予期しない金額で賃借人が賃貸人のコントロールの及ばない修繕を行うおそれがあり、かかる費用の請求を受けるおそれがあります。
(オ)専門家報告書等に関するリスク
不動産の鑑定評価額は、個々の不動産鑑定士等による地域分析、個別分析等の分析の結果に基づく、ある一定時点における不動産鑑定士等の判断あるいは意見を示したものに留まります。本投資法人が取得した運用不動産については、毎決算期末を価格時点とした鑑定評価が行われます。なお、同一の物件について鑑定評価を行った場合であっても、個々の不動産鑑定士等によって、その適用する評価方法又は調査の方法若しくは時期、収集した資料等の範囲等によって鑑定評価額が異なる可能性があります。鑑定評価の結果又はその見直し後の結果は、将来において本投資法人が当該鑑定評価額又は見直し後の鑑定評価額により運用不動産を売買できることを保証又は約束するものではありません。
土壌汚染リスク評価報告書は、個々の専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、土壌汚染が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
エンジニアリング・レポート等(地震リスク調査報告書等を含みます。)は、建物等の評価に関する専門家が建物等の状況に関して調査した結果を記載したにものにすぎず、提供される資料の内容、その調査範囲及び時間的な制約等から一定の限界があり、不動産及び信託財産である不動産に関する欠陥・瑕疵等について完全に報告が行われているとは限りません。
また、不動産に関して算出されるPML値(PML値の詳細については、前記「2 投資方針/(1)投資方針
/⑤ 投資基準」をご参照下さい。)は、個々の専門家の分析に基づく予想値であり、損害の予想復旧費用の再調達価格に対する比率で示されますが、将来、地震が発生した場合には、予想復旧費用以上の費用が必要となる可能性があります。
第三者によるマーケット分析は、個々の調査会社の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものに留まり、客観的に適正なエリア特性、需要と供給、マーケットにおける位置付け等と一致するとは限りません。同じ物件について調査分析を行った場合でも、調査分析会社、分析方法又は調査方法若しくは時期によってマーケット分析の内容が異なる可能性があります。
(カ)建物の毀損・滅失・劣化に関するリスク
建物の全部又は一部は、突発的な事故又は地震や風水害、液状化等の天災地変によって、毀損、滅失又は劣化する可能性や、一定期間建物が不稼働となる可能性があります。本投資法人は、火災・水害等による損害を補償する火災保険、賠償責任保険、火災利益保険等を付保する方針ですが、状況により保険契約が締結されない可能性、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生する可能性、保険契約でカバーされない災害や事故が発生する可能性又は保険契約に基づく支払いが保険会社により完全には行われず、若しくは支払いが遅れる可能性も否定できません。また、保険金が支払われた場合でも、行政上の規制その他の理由により事故発生前の状態に回復させることが事実上困難である可能性があります。
加えて、天災地変とりわけ広い地域に被害をもたらす大地震が起った場合、本投資法人の保有する不動産等のうち複数の建物が同時に天災地変の影響を受ける可能性は否定できません。本書提出日現在、本投資法人は、各不動産等につき地震PML値が20%以上の場合又は当該不動産等が加わることによりポートフォリオ全体の地震PML値が10%を超過する場合に、保険料による運用資産の収益性への影響等を考慮しつつ、付保の検討及び判断を行うこととしており、全ての不動産等に地震保険を付保する予定はありません。従って、地震保険を付保する不動産等以外は、地震又は地震を原因とする火災・津波・液状化等の災害による損害について、原則保険によるリスクカバーの対象外となっています。また、地震保険を付保した場合でも、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生する可能性もあります。
(キ)売却時の不動産流動性に関するリスク
本投資法人は、規約に基づき、中長期の安定運用を図ることを目標として運用を行うため、保有する不動産等の売却を頻繁に行うことは意図しておりません。但し、上記目標の範囲内でも、保有するより売却した方が本投資法人にとってより経済的な合理性があると判断される場合等には保有する不動産等の売却を行うことがあります。
不動産等は、流通市場の発達した有価証券取引等と比較すると、相対的に流動性が低いという性格を有します。また、売買時に相当の時間と費用をかけてその物理的状況や権利関係等を詳細に調査するデュー・ディリジェンスが行われます。デュー・ディリジェンスの結果、当該不動産の物理的状況や権利関係等について重大な瑕疵が発見された場合には、流動性が低下したり、売買価格が減額されたりする可能性があります。その他、不動産等もそれ以外の資産と同様、経済変動等によりその市場価格は変動します。
さらに、不動産等の権利関係の態様によっては、流動性等に関するリスクが相対的に増幅されます。
また、経済環境や不動産需給関係の影響によっては、本投資法人が売却を希望する不動産等を希望どおり
の時期・条件で売却できない可能性があります。これらの結果、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。加えて、隣接地権者からの境界確定同意が取得できない場合、又は境界標の確認ができないまま当該不動産等を取得する場合には、後日、このような不動産等を処分するときに事実上の障害が発生する可能性や、境界に関して紛争が発生し、所有敷地の面積の減少、損害賠償責任の負担等、これらの不動産等について予定外の費用又は損失が発生する可能性があります。同様に、越境物や地中埋設物の存在により、不動産等の利用が制限され賃料に悪影響を与える可能性や、越境物や地中埋設物の除去費用等の追加負担が本投資法人に発生する可能性もあります。
(ク)建築基準法等の規制に関するリスク
不動産等は、建築物の敷地、構造、設備及び用途等に関して建築基準法等の制限に服するものですが、建築物の建築時点において適格であった場合でも、その後の建築基準法等の改正に基づく規制環境の変化により、後日建替等をする時点における建築基準法等の制限の下では不適格になることがあります。その他、不動産は様々な規制の下にあり、法令による規制はもとより、各地の条例や行政規則等により規制が及ぶ場合があります。例えば、駐車場の付置義務、住宅の付置義務、福祉施設の付置義務等の他、不動産等を含む地域が現時点又は将来において、道路等の都市計画の対象となる場合には、建築制限が付されたり、敷地面積が減少する可能性があります。さらに、大規模集客施設が都市計画法に定める特定大規模建築物に該当する場合には、当該施設の所在地の用途地域の定めによっては、後日の建替等に際し、建物の用途又は延床面積の制限が付される可能性があります。法規制の変化によりかつて法令に適合していながら後日適合しなくなる建物を既存不適格と呼ぶことがありますが、このような既存不適格の場合には、既存の建物と同一の容積率・高さ・設備等では建替ができなくなり、追加の設備が必要とされ、修繕コストの増加要因となり、又は建替自体が事実上困難となる可能性があります。このような場合には、本投資法人の保有する不動産等の資産価値や譲渡価格に悪影響を与える可能性があります。
以上の他、土地収用法(昭和26年法律第219号。その後の改正を含みます。)(以下「土地収用法」といい
ます。)や土地区画整理法(昭和29年法律第119号。その後の改正を含みます。)(以下「土地区画整理法」といいます。)のような私有地の収用・制限を定めた法律の改正等により、不動産の利用、用途、収用、再開発、区画整理等に規制が加えられ、又はその保有、管理、処分その他の権利関係等に制限が加えられることがあり、その結果、関連する費用等が増加し、又は不動産の価値が減殺される可能性があります。
(ケ)共有物件に関するリスク
不動産を単独で所有している場合に比べ、共有不動産は、法的に様々な側面で制約を伴います。
まず、共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有物の変更に当たる行為には原則として共有者全員の合意を要し(民法第251条第1項)、変更に当たらない管理は共有者の持分の過半数で決定する(民法第252条第1項)ものとされています。したがって、特に投資法人が持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営について投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条第1項)、他の共有者によるかかる権利行使によって、投資法人の当該不動産の利用が妨げられる可能性があります。各共有者は、自己の共有持分を自由に譲渡することはできるため、本投資法人の認識しないところで他の共有者が変更されることがあります。他方、共有物全体を一括処分する際には、他の共有者全員の合意が必要となります。
また、各共有者は、何時でも共有物の分割を請求することができるため、他の共有者からの分割請求権行使によって、共有者は自己の望まない時期及び条件で共有物の分割を求められ、又は共有物全体が処分されることがあります。分割請求権を行使しないという共有者間の特約は有効ですが、この特約の効力は最大5年であり、その旨の登記をしなければ、対象となる共有持分を新たに取得した譲受人に対抗することができません。仮に、特約があった場合でも、特約をした者が破産、会社更生又は民事再生手続の対象になった場合には、管財人等は分割請求ができます。
共有不動産にかかる賃料債権は不可分債権となり敷金返還債務は不可分債務になると一般的には解されており、他の共有者の債権者により当該共有者の持分を超えて賃料債権全部が差押えの対象となる場合や、テナントからの敷金返還債務を他の共有者がその持分等に応じて履行できない際に当該共有者が敷金全部の返還債務を負う場合等、共有者は他の共有者の信用リスクの影響を受ける可能性があります。また、各共有者はその持分に応じて管理の費用を払いその他共有物の負担を引受けることとされていますが、いずれかの共有者が自ら負担すべき公租公課その他の費用等の支払い又は履行を行わない場合、滞納処分や差押え等により、不動産の管理に支障をきたし、最終的に他の共有者に損害が生ずるおそれがあります。
また、他の共有者の共有持分に抵当権又は根抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、共有されていた不動産全体について、当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて当該抵当権の効力が及ぶ
ことになると考えられています。したがって、投資法人の不動産である共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、分割後の投資法人の不動産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。
共有物については、上記のものをはじめとする制限やリスクが存在するため、取扱いや処分により多くの時間と費用を要したり、単独所有の場合と比較して譲渡価格において不利になるおそれがあります。
(コ)区分所有建物に関するリスク
区分所有建物とは建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。その後の改正を含みます。)
(以下「区分所有法」といいます。)の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分(居室等)と共有となる共用部分(エントランス部分等)及び建物の敷地部分から構成されます。区分所有建物については、その管理及び運営は区分所有者間で定められる管理規約に服することに加えて、区分所有権を譲渡する場合における他の区分所有者の先買権又は優先交渉権、譲渡における一定の手続履践等、区分所有法の適用を受けない単独所有物件と比較して制限があります。
各区分所有者は自己の専有部分を原則として自由に管理・処分することができるため、本投資法人の意向にかかわりなく区分所有者が変更されることがあり、新たな区分所有者の資力や属性等によっては、当該不動産の価値や収益が減少する可能性があります。他方、管理規約等において当該不動産の区分所有権(敷地の共有持分を含みます。)を処分する場合に他の区分所有者に対して一定の権利(優先交渉権等)を与える旨の管理規約等があれば、本投資法人が区分所有権の処分を行うに際して一定の制約を受けることとなります。
区分所有法上、各区分所有者は管理規約に別段の定めがない限り、その持分に応じて共用部分の負担に任ずることとされ、これに反して自己の負担すべき公租公課や管理費等の支払いを履行しない場合には、不動産等の管理に支障をきたし、他の区分所有者に損害が生ずるおそれがあります。
また、区分所有建物では、専有部分と敷地利用権(敷地利用権とは、区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利をいいます。)の一体性を保持するため、管理規約で別段の定めがない限り、専有部分と敷地利用権を分離して処分することが禁止されます。但し、敷地権(敷地権とは、敷地利用権をもとに、区分所有建物の敷地になっている土地について建物と一体化されている権利をいいます。)の登記がなされていない場合には、善意の第三者に対する分離処分は有効になります。また、区分所有建物の敷地が数筆に分かれ、区分所有者が、それぞれその敷地のうちの一筆又は数筆の土地について、単独で所有権、賃貸借等を敷地利用権(いわゆる分有形式の敷地利用権)として有している場合には、分離して処分することが可能とされています。これらの場合のように専有部分とそれに係る敷地利用権が分離して処分された場合、敷地利用権を有しない専有部分の所有者が出現する可能性があり、区分所有建物と敷地の権利関係が複雑になり、不動産に関する流動性に悪影響を与える可能性があります。
さらに、使用貸借権やそれに類似した利用権設定関係の合意は、区分所有法上、新たな区分所有建物の買受人等の特定承継人(当該敷地のみを譲り受けた第三者も含みます。)に対して効力を生じる(区分所有法第8条、第54条)合意とは解されない債権的合意であるため、理論上、特定承継人が合意の存在を無視して、敷地の一部の所有権(又は共有権)に基づき、その敷地を無償で利用している他の区分所有者に対して区分所有建物の明渡しを請求できないとは言い切れません。このような区分所有建物と敷地の関係を反映して、区分所有建物の場合には、不動産に関する流動性に悪影響を与える可能性があります。
(サ)借地権等に関するリスク
投資法人は、借地権(土地の賃借権及び地上権)と借地権設定地上の建物(以下「借地物件」といいます。)に投資することがありますが、借地物件は、土地建物ともに所有する場合に比べ、特有のリスクがあります。
まず、借地権は、土地の賃借権の場合も地上権の場合も、永久に存続するものではなく、期限の到来により消滅し、借地権設定者側に正当な事由がある場合には更新を拒絶されることがあり、また、借地権者側に地代不払等の債務不履行があれば解除により終了することもあります。借地権が消滅すれば、建物買取請求権が確保されている場合を除き、建物を取り壊して土地を返還しなければなりません。仮に、建物買取請求が認められても投資法人が希望する価格で買い取られる保証はありません。
さらに、敷地が売却され、又は抵当権の実行により処分されることがありますが、この場合に、投資法人が借地権について民法、建物保護ニ関スル法律(明治42年法律第40号。その後の改正を含みます。)又は借地借家法等の法令に従い対抗要件を具備しておらず、又は競売等が先順位の対抗要件を具備した担保権の実行によるものである場合、投資法人は、譲受人又は買受人に自己の借地権を主張できないこととなります。
また、借地権が土地の賃借権である場合には、これを取得し、又は譲渡する場合には、賃貸人の承諾が必要です。かかる承諾が速やかに得られる保証はなく、また、得られたとしても承諾料の支払いを要求される
ことがあります。その結果、投資法人が希望する時期や売却価格を含む条件で借地物件を処分することができないおそれがあります。
また、投資法人が借地権を取得するに際して保証金を支払うこともあり得ますが、借地を明渡す際に、敷地所有者の資力が保証金返還に足りないときは、保証金の全部又は一部の返還を受けられないおそれがあります。
(シ)底地物件に関するリスク
本投資法人は、第三者が賃借してその上に建物を所有している土地、いわゆる底地を取得することがあります。借地権は、定期借地権の場合は借地契約に定める期限の到来により当然に消滅し、普通借地権の場合には期限到来時に本投資法人が更新を拒絶しかつ本投資法人に更新を拒絶する正当事由がある場合に限り消滅します。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取を請求される場合があります(借地借家法第13条、借地法第4条)。普通借地権の場合、借地権の期限到来時に更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、借地権者より時価での建物買取を請求される場合においても、買取価格が本投資法人が希望する価格以下である保証はありません。
また、借地権者の財務状況が悪化した場合又は破産手続、再生手続若しくは更生手続その他の倒産手続の対象となった場合、借地契約に基づく土地の賃料の支払いが滞る可能性があり、この延滞賃料の合計額が敷金及び保証金等で担保される範囲を超える場合は投資家に損害を与える可能性があります。借地契約では、多くの場合、賃料等の借地契約の内容について、定期的に見直しを行うこととされています。賃料の改定により賃料が減額された場合、投資家に損害を与える可能性があります。借地権者は借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求をすることができ、これにより、当該底地から得られる賃料収入が減少し、投資家に損害を与える可能性があります。
(ス)有害物質又は放射能汚染等に関するリスク
土地について、一般的に産業廃棄物等の有害物質が埋蔵されている可能性は否定できず、本投資法人が保有する運用資産に有害物質が埋蔵されている場合には当該土地の価格の下落により、本投資法人が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替えや洗浄が必要となる場合にはこれに関する予想外の費用が発生し、本投資法人が損害を受ける可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務が発生する可能性があります。
土壌汚染等に関し、土壌汚染対策法に規定する特定有害物質に関する一定の施設を設置していた場合や土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に関する被害が生ずるおそれがあると認められる場合には、土壌汚染対策法に基づき、その土地の所有者、管理者又は占有者等は、かかる汚染の状況について調査報告を命じられ、又は当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他必要な措置を講ずべきことを命ぜられることがあります。この場合、本投資法人に多額の負担が生じる可能性があり、また、本投資法人が支出を余儀なくされた費用の償還を他者へ請求できないおそれがあります。
また、建物について、一般的にアスベスト、PCBその他の有害物質を含む建材等が使用されているか又は使用されている可能性があります。本投資法人が保有する運用資産についてかかる事態が発覚した場合には当該建物の価格の下落の可能性があり、また、かかる有害物質を除去するために建材の全面的又は部分的交換が必要となる場合にはこれに関する予想外の費用が発生する可能性があります。その他、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務が発生する可能性もあります。
さらに、原子力発電所の事故等により、投資対象不動産又はその所在周辺地域において、放射能汚染又は風評被害が発生し、当該地域における社会的ないし経済的活動が阻害され、その結果、当該投資対象不動産の収益性やその価値が大幅に減少する可能性があります。その他、原子力発電所の事故処理に長期間を要することとなる場合、当該投資対象不動産の所在する地域だけでなく、不動産市場や金融市場、さらには日本経済全体も影響を受けることとなり、それがひいては本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(セ)地球温暖化対策に関するリスク
法律又は条例により、地球温暖化対策として、一定の不動産の所有者に温室効果ガス排出に関する報告や排出量制限の義務が課されることがあります。これらの制度設計又は拡充に伴い、排出量削減のための建物改修工事を実施したり、排出権又は再エネクレジット等を取得する等の負担を余儀なくされる可能性があり
ます。
(ソ)不動産の所有者責任に関するリスク
民法第717条では、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があり、そのために第三者に損害を与えた場合には、第一次的にはその占有者、そしてその占有者が損害の発生を防止するに必要な注意を行っていた場合には、その所有者が損害の賠償義務を負うとされ、この所有者の義務は無過失責任とされています。従って、本投資法人の保有する不動産等の設置又は保存に瑕疵があり、それを原因として、第三者に損害を与えた場合には、最終的に本投資法人が損害賠償義務を負担するおそれがあります。
本投資法人は、取得する不動産等に関して原則として適切な保険を付保する予定ですが、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生しないとの保証はなく、また、保険事故の発生した場合に常に十分な金額の保険金が適時に支払われるとの保証はありません。
(タ)マスターリースに関するリスク
本投資法人は、賃貸する不動産をマスターリース会社に賃貸し、マスターリース会社が転貸人としてテナントに転貸する場合があります。本投資法人がマスターリース契約を締結する場合、テナント(マスターリースの場合、「テナント」とは実際の利用者(転借人)を指します。以下同じとします。)は基本的にマスターリース会社の口座に賃料を入金することになりますが、このような場合、マスターリース会社の財務状態が悪化した結果、マスターリース会社がテナントから受領した賃料について、本投資法人への支払いが滞る可能性があります。
また、マスターリース契約上、マスターリース会社の倒産や契約期間満了等によりマスターリース契約が終了した場合、本投資法人が所有者として、テナントとの間の転貸借契約及び旧マスターリース会社のテナントに対する権利及び義務等を承継することが必要となる場合があります。このような場合、本投資法人がテナントに対して、賃貸人たる地位を承継した旨を通知する前に、テナントが旧マスターリース会社に賃料等を支払った場合、本投資法人はテナントに対して賃料請求ができないおそれがあり、その結果、本投資法人の収益等に悪影響を与える可能性があります。
(チ)将来における法令等の改正に関するリスク
不動産は様々な法律の規制の下にあり、今後法令や規制が改正され、その結果、本投資法人が損失を被るおそれがあります。かかる法規制には、民法、区分所有法、借地借家法、建築基準法、都市計画法、消防法
(昭和23年法律第186条。その後の改正を含みます。)、各地の条例等といった不動産に関する法規制の他、土地収用法や土地区画整理法のような私有地の収用・制限を定めた法律等も含まれ、これらの改正等により、不動産の利用、用途、収用、再開発、区画整理等に規制が加えられ、又はその保有、管理、処分その他の権利関係等に制限が加えられることがあり、その結果、関連する費用等が増加し又は不動産等の価値が減殺される可能性があります。また、エネルギーや温室効果ガス削減その他地球温暖化対策等を目的とした法令、条例等の制定、改正によっても、追加的な費用負担が発生する可能性があります。さらに、環境関連法令につき、将来的に環境保護を目的として不動産等に関して規制が強化され、又は関連する法令等が制定・改廃・施行され、不動産について、大気、土壌、地下水等の汚染に関する調査義務、除去義務、損害賠償義務、その他の所有者としての無過失責任等が課される可能性があります。
(ツ)テナント等による不動産の使用に基づく価値減損に関するリスク
本投資法人は、テナントの属性や資力に留意しつつ賃貸借契約を締結し、不動産管理会社を通じてその利用状況を管理しますが、個々のテナントの利用状況を完全に監督できるとの保証はなく、また、本投資法人の承諾なしにテナントによる転貸借や賃借権の譲渡がなされるおそれもあります。また、一部のテナントの属性により当該不動産等が悪影響を受けることがあり、例えば、一定の反社会的勢力が賃貸人の承諾なくして建物の一部を占拠する等といった場合には、当該不動産等の価値が減損し、本投資法人の収益等に悪影響が及ぶおそれがあります。
(テ)売主の倒産等の影響に関するリスク
本投資法人が不動産等を取得した後に売主が倒産した場合、売主への瑕疵担保責任を追及した場合であっても支払能力が不足する可能性があり、また、かかる不動産等の売買契約又はその対抗要件具備行為は、倒産した売主の管財人等により否認される可能性があります。また、かかる倒産手続に入らない場合であって
も、当該不動産等の売買契約が当該売主の債権者により詐害行為を理由に取り消される可能性があります。この場合、否認等により不動産等を取り戻される一方で支払った代金等は倒産手続における平等弁済の対象となり、著しく低い金額しか回収できないことがあります。その他、本投資法人を買主とするある売買取引を、その実質に従い又はその他の理由により、担保付融資取引の性質を持つ取引であると法的に評価し、その結果、当該不動産等はなおも売主(倒産手続であればその財団)に属すると判断されることがあります。その場合には、本投資法人は特に担保権の行使に対する制約を受けることがあります。
(ト)開発物件に関するリスク
本投資法人は、建物竣工を条件として竣工前の物件の購入につき合意する場合があり、竣工を条件として予め開発段階で売買契約を締結する場合には、既に竣工済みの物件を取得する場合に比べて、次のようなリスクが加わります。
a.開発途中において、天災地変により、又は工事における事故その他の予期し難い事由の発生により、あるいは地中障害物、埋蔵文化財若しくは土壌汚染等の発見により、開発が遅延、変更又は中止されるリスク
b.工事請負業者の倒産若しくは請負契約の不履行により、又は行政上の許認可手続の遅延等により、開発が遅延、変更又は中止されるリスク
c.竣工後のテナントの確保が当初の期待を下回り、見込みどおりの賃貸事業収入を得られないリスク
d.上記の事由その他により開発コストが当初の予想を大幅に上回り、又はその他予期せぬ事情により開発が遅延、変更若しくは中止されるリスク
上記のリスクが顕在化した場合には、開発物件からの収益等が本投資法人の予想を大きく下回る可能性があります。また、予定された時期に物件の引渡しを受けられないおそれや予定どおりの収益をあげられないおそれがあります。さらに、予定外の費用や損失を本投資法人が被る可能性があり、その結果、投資家に損害を与える可能性があります。
また、本投資法人は法令及び規約に従い、保有する建物の増築、建替その他開発行為を行うことがあります。この場合、建物竣工を条件として竣工前の物件を購入する場合に想定される上記の開発リスク類似のリスクが、増築、建替その他開発行為を行う保有資産につき生じることがあります。
(ナ)資産の組入れ・譲渡等に関するリスク
本投資法人は、新たな資産の取得を決定し、あるいは物件の売却や交換の他、新たな資産取得又は譲渡に向けたその他の手法を利用する可能性があります。
実際に物件取得を行う旨合意し適時開示を行った場合にも、内装工事や修繕、物件の特性、売主その他の権利者との協議の結果として、実際の引渡し・資産運用の開始までに一定期間を要することがあります。物件取得の合意から引渡しまでの間に、経済環境が著しく変動した場合等においては、当該資産を購入することができないおそれも否定できず、その結果、予定した収益を上げることが困難となるおそれがあります。
また、本投資法人は、新たに取得する資産を信託受益権化した上で取得することがあります。この場合、本投資法人による取得に先立ち当該不動産が信託される予定ですが、当該不動産が予定どおりに信託されない可能性があり、この場合、本投資法人が当該取得予定の資産を取得することができず、又は当該取得予定の資産を信託受益権化せずに現物不動産の状態で取得する可能性があり、その結果、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ニ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
本投資法人は、不動産又は信託受益権を取得するにあたり、いわゆるフォワード・コミットメント(先日付の売買契約であって、契約締結から一定期間経過した後に決済・物件引渡しを行うことを約する契約)等を行うことがあります。不動産売買契約が買主の事情により解約された場合には、買主は債務不履行による損害賠償義務を負担することとなります。また、損害額等の立証にかかわらず、不動産又は信託受益権の売買価格に対して一定の割合の違約金が発生する旨の合意がなされることも少なくありません。フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済・物件引渡しまでに一定の期間があるため、その期間における市場環境の変化等により本投資法人が不動産取得資金を調達できない場合等、売買契約を解約せざるを
得なくなった場合には、違約金等の支払いにより、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
(ヌ)敷金・保証金の利用に関するリスク
本投資法人は、投資対象不動産のテナントが賃貸人に対し無利息又は低利で預託した敷金又は保証金を投資資金として利用する場合があります。しかし、そのような場合で賃貸借契約の中途解約により想定外の時期に敷金又は保証金の返還義務が生じた場合には、本投資法人は、敷金又は保証金の返還資金を借入れ等により調達せざるを得なくなります。その結果、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
④ 投資法人の運用資産:信託の受益権特有のリスク
本投資法人が、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権を取得する場合には、以下のような信託の受益権特有のリスクがあります。
なお、以下、2007年9月30日施行の信託法(平成18年法律第108号。その後の改正を含みます。)を「新信託法」といい、同日施行の信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号。その後の改正を含みます。以下「信託法整備法」といいます。)による改正前の信託法(大正11年法律第62号。その後の改正を含みます。)を「旧信託法」といい、信託契約に別段の定めがない限り、2007年9月30日より前に効力を生じた信託契約については、信託財産についての対抗要件に関する事項を除き、旧信託法が適用されます(信託法整備法第2条)。
(ア)信託受益者として負うリスク
信託受益者とは信託の利益を享受する者ですが、他方で、旧信託法の下では、受託者が信託事務の処理上発生した信託財産に関する租税、受託者の報酬、信託財産に瑕疵があることを原因として第三者が損害を被った場合の賠償費用等の信託費用については、最終的に受益者が負担することになっています(旧信託法第 36条第2項)。すなわち、信託受託者が信託財産としての不動産を所有し管理するのは受益者のためであり、その経済的利益と損失は、最終的には全て受益者に帰属することになります。従って、本投資法人が不動産、不動産の賃借権若しくは地上権を信託する信託の受益権を取得する場合には、信託財産に関する十分なデュー・ディリジェンスを実施し、保険金支払能力に優れる保険会社を保険者、受託者を被保険者とする損害保険を付保すること等、本投資法人自ら不動産を取得する場合と同等の注意をもって取得する必要があり、一旦不動産、不動産の賃借権若しくは地上権を信託する信託の受益権を保有するに至った場合には、信託受託者を介して、原資産が不動産である場合と実質的にほぼ同じリスクを受益者たる本投資法人が負担することになり、その結果、本投資法人の収益又は存続に悪影響を及ぼすおそれがあります。新信託法の下では、旧信託法第36条第2項が廃止され、原則として信託受益者がこのような責任を負うことはなくなりましたが、信託受益者と信託受託者の間で信託費用等に関し別途の合意をした場合には、当該合意に従い信託受益者に対し信託受託者から信託費用等の請求がなされることがあり(新信託法第48条第5項、第54条第4項)、その場合には同様に本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
(イ)信託受益権の流動性に関するリスク
投資法人が信託受益権を保有し、信託受託者を通じて信託財産としての不動産を処分する場合には、既に述べた不動産の流動性リスクが存在します。また、信託受益権を譲渡しようとする場合には、信託受託者の承諾を契約上要求されるのが通常です。さらに、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する場合の信託受益権については金融商品取引法上の有価証券とみなされますが、譲渡に際しては債権譲渡と同様の譲渡方法によるため(新信託法第94条)、株券や社債券のような典型的な有価証券ほどの流動性があるわけではありません。また、信託受託者は原則として瑕疵担保責任を負っての信託不動産の売却を行わないため、本投資法人の意思にかかわらず信託財産である不動産の売却ができなくなる可能性があります。
(ウ)信託受託者に関するリスク
a.信託受託者の破産・会社更生等に関するリスク
信託法上、受託者が倒産手続の対象となった場合に、信託財産が破産財団又は更生会社の財産その他受託者の固有財産に属するか否かに関しては、旧信託法の下では、明文の規定はないものの、同法の諸規定、とりわけ信託財産の独立性という観点から、登記等の対抗要件を具備している限り、信託財産が受託者の破産
財団又は更生会社の財産その他受託者の固有財産に帰属するリスクは極めて低いと判断されます。新信託法においては、信託財産は信託受託者の固有財産に属しない旨が明文で規定されています(新信託法第25条第
1項、第4項及び第7項)。但し、信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された不動産に信託設定登記をする必要がありますので、不動産を信託する信託の受益権については、この信託設定登記がなされるものに限り本投資法人は取得する予定です。しかしながら、必ずこのような取扱いがなされるとの保証はありません。
b.不動産信託受託者の信託違反に伴うリスク
不動産信託受託者は、信託業務を行うにあたり、受益者に対して忠実義務及び善管注意義務を負います
(信託業法(平成16年法律第154号。その後の改正を含みます。)第28条第1項、第2項)。また、受益者を害するおそれのある一定の行為を行ってはならないものとされています(同法第29条第1項、第2項)。しかし、不動産信託受託者が、かかる義務又は信託契約上の義務に反して信託財産である不動産を処分すること、又は信託財産である不動産を引当てとして何らかの債務を負うこと等がないとはいいきれず、これらの場合には、不動産信託受益権を保有する投資法人が不測の損害を被る可能性があります。かかるリスクに備え、旧信託法及び新信託法は、信託の本旨に反した信託財産の処分行為の取消権を信託受益者に認めていますが(旧信託法第31条及び新信託法第27条)、常にかかる権利の行使等により損害を回避・回復できるとは限りません。
(エ)信託受益権の準共有等に関するリスク
信託受益権が準共有されている場合、単独で保有する場合には存在しない種々の問題が生じる可能性があります。旧信託法の下では所有権以外の財産権の準共有については、所有権の共有に関する規定が可能な限り準用されます(民法第264条)。新信託法の下では信託受益者が複数の場合の意思決定の方法に関する明文規定があり(新信託法第105条以下)、信託受益権が準共有されている場合にもかかる規定の適用があるものと解されるため、所有権の共有に関する民法の規定に優先してかかる規定がまず適用されます。
旧信託法の下では、準共有者間で別段の定めをした場合を除き、準共有されている信託受益権の変更に当たる行為には原則として準共有者全員の合意を要し(民法第251条第1項)、変更に当たらない管理は、準共有者の準共有持分の過半数で決定する(民法第252条第1項)ものと考えられます。従って、特に本投資法人が準共有持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
一方、新信託法の下では、信託契約において意思決定の方法が定められていない場合、一定の行為を除き、準共有者の全員一致によることになるものと解されます(新信託法第105条第1項本文)。この場合には、他の準共有者全員が承諾しない限り、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができないこととなります。また、信託契約において別の意思決定の方法が定められている場合でも、当該方法が本投資法人の意向を反映するような形で定められているとは限らず、同様に信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
準共有持分の処分については、旧信託法及び新信託法いずれの下でも、準共有者は、信託受託者の承諾を得ることを条件として、自己の準共有持分を自己の判断で処分することができます。従って、本投資法人の意向にかかわりなく他の準共有者が変更される可能性があります。準共有者の間において信託契約とは別の協定書等において、準共有者が準共有持分を処分する場合に他の準共有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課されることがあります。この場合は、本投資法人の知らない間に他の準共有者が変動するリスクは減少しますが、本投資法人がその準共有持分を処分する際に制約を受けることになります。
信託受益権の準共有者が信託受託者に対して有する信託交付金の請求権及び信託受託者に対して負担する信託費用等の支払義務は、別段の合意のない限り、準共有される財産に関する債権債務として不可分債権及び不可分債務であると一般的には解されています。従って、他の準共有者の債権者が当該準共有者の準共有持分の割合を超えて信託交付金請求権全部を差し押さえ、又は他の準共有者が信託受託者からの信託費用等の請求をその準共有持分の割合に応じて履行しない場合に、本投資法人が請求された全額を支払わざるを得なくなる可能性があります。不動産自体が共有されている場合と同様、これらの場合、本投資法人は、差し押さえられた信託交付金請求権のうち自己の準共有持分に応じた金額の支払いや支払った信託費用等のうち他の準共有者の準共有持分に応じた金額の償還を当該他の準共有者に請求することができますが、当該他の準共有者の資力の如何によっては、支払い又は償還を受けることができない可能性があります。
⑤ 税制に関するリスク
本投資法人には、以下のような税制に関するリスクが存在します。本投資法人は、本投資法人の会計処理に関する助言を専門家に継続的に依頼して、税制についての情報や現行の税制についての税務当局の見解を収集して、できる限り事前に対応する体制を取っています。
(ア)導管性要件に関するリスク
税法上、投資法人に係る課税の特例規定により、一定の要件(導管性要件)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、利益の配当等を投資法人の損金に算入することが認められています。
投資法人の主な導管性要件 | |
支払配当要件 | 配当等の額が配当可能利益の額の90%超であること (利益を超えた金銭の分配を行った場合には、金銭の分配の額が配当可能額の90%超であること) |
国内50%超募集要件 | 投資法人規約において、投資口の発行価額の総額のうちに国内において募集される投資口の発行価額の占める割合が50%を超える旨の記載又は 記録があること |
借入先要件 | 機関投資家(租税特別措置法第67条の15第1項第1号ロ(2)に規定す るものをいう。次の所有先要件において同じ。)以外の者から借入れを行っていないこと |
所有先要件 | 事業年度の終了の時において、発行済投資口が50人以上の者によって所 有されていること又は機関投資家のみによって所有されていること |
非同族会社要件 | 事業年度の終了の時において、投資主の1人及びその特殊関係者により発行済投資口の総口数あるいは議決権総数の50%超を保有されている同 族会社に該当していないこと |
会社支配禁止要件 | 他の法人の株式又は出資の50%以上を有していないこと(匿名組合出資 を含み、一定の海外子会社の株式又は出資を除く) |
本投資法人は、導管性要件を満たすよう努める予定ですが、今後、下記に記載した要因又はその他の要因により導管性要件を満たすことができない可能性があります。本投資法人が、導管性要件を満たすことができなかった場合、利益の配当等を損金算入することができなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
a.会計処理と税務処理との不一致によるリスク
会計処理と税務処理との不一致(税会不一致)が生じた場合、会計上発生した費用・損失について、税務上その全部又は一部を損金に算入することができない等の理由により、法人税等の税負担が発生し、配当の原資となる会計上の利益は減少します。支払配当要件における配当可能利益の額(又は配当可能額)は会計上の税引前利益に基づき算定されることから、多額の法人税額が発生した場合には、配当可能利益の額の90%超の配当(又は配当可能額の90%超の金銭分配)ができず、支払配当要件を満たすことが困難となる可能性があります。なお、2015年度税制改正により、交際費、寄附金、法人税等を除く税会不一致に対しては、一時差異等調整引当額の分配により法人税額の発生を抑えることができるようになりましたが、本投資法人の過去の事業年度に対する更正処分等により多額の追徴税額(過年度法人税等)が発生した場合には、法人税等は一時差異等調整引当額の対象にならないため、支払配当要件を満たすことができないリスクは残ります。
b.資金不足により計上された利益の配当等の金額が制限されるリスク
借入先要件に基づく借入先等の制限や資産の処分の遅延等により機動的な資金調達ができない場合には、配当の原資となる資金の不足により支払配当要件を満たせない可能性があります。
c.借入先要件に関するリスク
本投資法人が何らかの理由により機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合又は本投資法人の既存借入金に関する貸付債権が機関投資家以外に譲渡された場合、あるいはこの要件の下における借入金の定義が税法上において明確ではないためテナント等からの預り金等が借入金に該当すると解釈された場合においては、借入先要件を満たせなくなる可能性があります。
d.投資主の異動について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
本投資口が市場で流通することにより、本投資法人のコントロールの及ばないところで、所有先要件あるいは非同族会社要件が満たされなくなる可能性があります。
(イ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、導管性要件に関する取扱いに関して、税務当局との見解の相違により更正処分を受け、過年度における導管性要件が事後的に満たされなくなる可能性があります。このような場合には、本投資法人が過年度において行った利益の配当等の損金算入が否認される結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、規約における投資方針において、その有する特定資産の価額の合計額に占める特定不動産の価額の合計額の割合を75%以上とすること(規約第28条第3項)としています。本投資法人は、上記内容の投資方針を規約に定めること、及びその他の税法上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産流通税(登録免許税及び不動産取得税)の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更された場合には、軽減措置の適用を受けることができない可能性があります。
(エ)一般的な税制の変更に関するリスク
不動産、不動産信託受益権その他本投資法人の資産に関する税制若しくは本投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、投資口に係る利益の配当、資本の払戻し、譲渡等に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資口の保有又は売却による投資主の手取金の額が減少し、又は税務申告等の税務上の手続面での負担が投資主に生じる可能性があります。
⑥ その他
(ア)匿名組合出資持分及び不動産関連ローン等資産への投資に関するリスク
本投資法人はその規約に基づき、不動産に関する匿名組合出資持分及び不動産関連ローン等資産への投資を行うことがあります。これらの場合、本投資法人が投資した金銭を、投資先たる匿名組合や特別目的会社が不動産その他の資産に投資しますが、当該不動産等にかかる収益が悪化した場合、当該不動産等の価値が下落した場合や不動産その他の資産が想定した価格で売却できない場合、不動産関連ローン等資産に対する弁済等が得られない場合等には、当該投資により得られる運用益や分配される残余財産の減少等により損害を被る可能性があります。また、匿名組合出資持分及び不動産関連ローン等資産については契約上譲渡が禁止若しくは制限されている場合があり、又は確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、適切な時期及び価格で譲渡することが困難な場合があります。また、匿名組合出資持分及び不動産関連ローン等資産への投資は、投資先たる匿名組合や特別目的会社が取得・保有する新規物件にかかる優先交渉権の取得を目的として行われることがありますが、かかる優先交渉権により当該新規物件を取得できる保証はありません。
(イ)特定目的会社の優先出資証券への投資に関するリスク
本投資法人はその規約に基づき、資産流動化法に基づく特定目的会社がその資産の2分の1を超える額を不動産等に投資することを目的とする場合、その優先出資証券への投資を行うことがあります。かかる優先出資証券への投資を行う場合にも、本投資法人は、税法上の導管性要件(前記「⑤ 税制に関するリスク/
(ア)導管性要件に関するリスク」をご参照下さい。)に抵触することなく保有する意向です。また、規約に基づき中長期の安定運用を目標としているため、取得した優先出資証券につき短期間でその売却を行うことは意図しておりません。但し、売却する方が本投資法人にとってより経済的な合理性があると判断される場合、その売却を行うことがあります。
しかしながら、優先出資証券については確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、従って売却を意図してもその売却が困難な場合があり、又は予定より低い価額での売買を余儀なくされる可能性
があります。また、特定目的会社の投資する不動産に関する収益が悪化した場合や当該不動産の価値が下落した場合又は特定目的会社の開発する不動産が予想した価格で売却できない場合、さらには導管体である特定目的会社において意図されない課税が生じた場合等には、当該特定目的会社の発行する優先出資証券に投資した本投資法人が当該優先出資証券より得られる運用益や分配される残余財産の減少等により損害を被るおそれがあります。また、優先出資証券の発行をした特定目的会社が自ら土地又は土地の賃借権を取得してその上に建物を建築する場合もあり、そのような場合には、前記「③ 投資法人の運用資産:「原資産」である不動産特有のリスク(ト)開発物件に関するリスク」に記載のリスクがあります。
(ウ)減損会計の適用に関するリスク
固定資産の減損にかかる会計基準(「固定資産の減損にかかる会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会平成14年8月9日))及び「固定資産の減損にかかる会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)が、2005年4月1日以後開始する事業年度より強制適用されることになったことに伴い、本投資法人においても第1期営業期間より「減損会計」が適用されています。「減損会計」とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。
今後の不動産市場の動向及び運用資産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の財務状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(エ)内部留保の活用に関するリスク
本投資法人は、内部留保を有しており、法令等の定めにより分配金に加算する他、資本調達による投資口の希薄化や物件取得に伴う費用計上、物件売却による損失発生やテナント退去による一時的な賃料の減少等による一時的な分配金への悪影響の緩和、さらには税務と会計の取扱いの不一致により生ずるおそれのある課税への対応等のために活用し、中長期的観点に立ったポートフォリオの戦略的運営と成長を目指す方針です。しかしながら、投資法人の内部留保にかかる会計又は税務に関する処理、運用、取扱い若しくは取扱いに関する解釈が変更された場合、内部留保の金額が変更される可能性及び内部留保の活用が困難になるなど本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(オ)自然災害、感染症の拡大等に関するリスク
本投資法人及び本資産運用会社は、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震などの大規模な地震をはじめとする災害やSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)及びCOVID-19(新型コロナウイルス)などの伝染病・疫病等の国内外における流行等の外的要因により、不動産の正常な運営、管理等が妨げられ、その結果、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
また、本資産運用会社は、保有資産における被害の拡大防止のため必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策として、事業継続計画(BCP)の見直しを随時行っています。しかしながら、全ての災害や感染症等のリスクを回避することは困難であり、また、昨今の気候変動などに伴う災害の大規模化を考えると、想定を上回る規模で被害が発生する可能性もあります。特に、新型コロナウイルス等の感染症の感染拡大に伴う外出自粛要請その他の措置や、これらに伴う経済活動の停滞、労働環境の変化や消費動向等に影響が生じた場合には、テナントの売上げや不動産の賃貸需要等に長期的な悪影響が生じるおそれもあります。また、テナント業種によっては、当該感染症等の拡大や流行の長期化による売上げの減少に伴い、テナントによる賃料減額請求が行われたり、賃料支払いが滞ったりする可能性があるほか、テナント退去に伴う空室リスクが顕在化する可能性があり、その結果、本投資法人の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ リスクに対する管理体制
本投資法人は、上記に記載した各々のリスクに関し、本投資法人自らが投信法及び関連法規に定められた規則を遵守するとともに、本資産運用会社において適切な社内規程の整備を行い、併せて必要な組織体制を敷き、役職員に対する遵法精神を高めるための教育等の対策を講じています。
具体的な取組みは、以下のとおりです。
(ア)投資法人について
本投資法人は、執行役員1名及び監督役員2名により構成される役員会により運営されています。役員会は3ヶ月に一度以上、必要に応じて随時開催され、法令及び本投資法人の「役員会規程」に定める承認事項の決議や業務の執行状況等の報告が行われます。これにより、本資産運用会社又はその利害関係人等から独立した地位にある監督役員が業務の執行状況を監督できる体制となっています。
また、監督役員は必要に応じて本資産運用会社及び資産保管会社から本投資法人の業務及び財産の状況に関する報告を求め、又は必要な調査を行うことができるものとしています。
なお、執行役員のうち1名は金融商品取引法第31条の4第1項に従い、金融庁長官に兼職の届出を行った上で、本資産運用会社の代表取締役社長が兼務しています。
(イ)資産運用会社について
本資産運用会社は、本投資法人の資産運用にあたり遵守する運用・管理の方針及び計画として「資産運用計画」及び「資産管理計画」を策定及び改定し、また、規約に基づき遵守すべき資産の運用・管理の社内基準として「資産運用ガイドライン」を制定しています。
この「資産運用計画」、「資産管理計画」及び「資産運用ガイドライン」を遵守することを通じ、資産運用におけるリスクを回避し又は極小化することに努めます。
本資産運用会社は、各種リスクを適切に管理するために、社内規程として「リスク管理規程」を制定し、その状況等を取締役会等に報告する旨定めています。
加えて、利益相反リスクに対しては、本投資法人の利益が害されること防止するために、「利害関係者取引規程」を制定し、厳格な利益相反対応ルールを設定しています。
また、本資産運用会社は、コンプライアンスに関して、法令等遵守の徹底を図るため、「コンプライアンスの基本方針」及び「コンプライアンス・マニュアル」を制定するとともに、具体的な法令等遵守を実現させるための実践計画である「コンプライアンス・プログラム」を策定し、これに従って法令等遵守の実践に努めます。
さらに、本資産運用会社は、業務の適正性の確保と効率的運営を図るため、「内部監査規程」、「自主点検規則」を制定し、適切な自己点検制度の確立を図っています。
以上のように、本投資法人及び本資産運用会社は投資リスクに関する管理体制を整備していますが、このような体制が常に有効に機能する保証はありません。管理体制が有効に機能しないことによりリスクが顕在化した場合、本投資法人又は投資家に損失が生じるおそれがあります。